JP4467243B2 - 樹脂組成物および光学素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ、特に、プロジェクションテレビ等に使用されるフレネルレンズないしレンチキュラーレンズ等のレンズ、を形成するための光硬化性樹脂組成物、および当該樹脂組成物からなる光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フレネルレンズは、プレス法やキャスト法等により製造されてきたが、レンズの製作に長時間を必要とし、生産性の悪いものであった。近年、紫外線硬化性樹指を使用してレンズを作製する検討がなされている。具体的には、レンズ形状を有する金型に、紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、透明樹脂基板と該金型とで該樹脂組成物を挟み込み、該基板側から紫外線を照射して該樹脂組成物を硬化させることにより、短時間でレンズを製造することができるようになる。さらに、最近のプロジェクションテレビの薄型化や大型化に伴い、レンズ形成用の樹脂に対して、高屈折率化や力学特性などの種々のレンズ特性が要求され、またレンズ使用環境に応じた様々な提案や検討がなされている。
【0003】
プロジェクションスクリーン用のフレネルレンズは、プラスチック製の基材上に電離線硬化型樹脂を用いて、レンズ形状を賦型した構成のものであり、その基材は光学的に異方性がなく、透明性に優れる材質が良いとされている。従来から、その基材として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチルとスチレンの共重合体(MS)、ポリカーボネート(PC)、および透明性オレフィン樹脂等が使用されている。
【0004】
また、レンズ(電離線硬化型樹脂の硬化物)が賦型される基材に耐衝撃性を付与させるため、ブタジエンゴム、アクリルゴム等を上記の樹脂にブレンドして、海島構造を有する透明性材料もしばしば使用されている。
【0005】
これらのプラスチック製基材においては、用途、性能およびコストに応じて、どのタイプの基材を選択するかということが非常に重要であり、用いる基材によって、紫外線硬化型樹脂の該基材への密着性を向上させることが、実用上からも、大きな意義を有する。例えば、基材と紫外線硬化型樹脂の密着性を向上させるために、該基材に表面処理(プライマー処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、プラズマ処理等)を施すことができるが、材料によってはその効果に差異がある。また、これらの表面処理を行うには、工程や設備も必要である。したがって、製造コストの観点からは、レンズ材料そのものが、基材との良好な密着性を有することが、非常に有効である。その為には、基板材料の選定において、それぞれの基材に応じて、該基板と良好な密着性を有する樹脂組成物を選定することが、量産レベルのリードタイムの短縮化を図る上で重要となる。
【0006】
しかしながら、これらの紫外線硬化型樹脂は、基板との密着性に優れるのみでは、レンズに要求される性能を満たしたことにはない。例えば、フレネルレンズにあっては、屈折率等の光学性能を有するのはもちろんのこと、特開2001-228549号公報に開示されているように、レンチキュラーレンズとの接触による擦れを抑える制振性や、レンチキュラーレンズとの接触圧に耐えうる剛性ないし復元性が必要とされる(特許文献1参照)。すなわち、プロジェクションスクリーンは、通常、フレネルレンズとレンチキュラーレンズの二枚の剛性の異なるレンズシートから構成されている。このスクリーン輸送時の振動により、二枚のレンズが擦れる事でレンズ表面に傷が発生する。本現象を回避するため、樹脂の弾性率を調整したり、滑り剤ないし合紙を挟むなど各種回避策が講じられている。さらに、フレネルレンズ樹脂内にシリコーンを練りこむ事で、耐擦れ性を向上させている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001-228549号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようにプロジェクションテレビ等に使用する、光硬化性樹脂組成物を用いて形成されるレンズには、高屈折率等の光学性能を有し、復元性、耐擦傷性に優れ、かつ基材と光硬化性樹脂組成物の硬化層との密着性が良好であるという性能が要求されている。
【0009】
一方、レンズ作製時には、成形金型から樹脂硬化物を離型する必要があるため、成形金型と樹脂硬化物との離型性が高いことが要求されている。
【0010】
しかしながら、これらの全ての性能を満足できないのが現状であり、より優れた樹脂組成物を提供することが課題となっている。
【0011】
したがって、本発明は、高屈折率等の光学性能を有し、復元性、耐擦傷性に優れ、かつ基材との密着性が良好である樹脂組成物であって、かつ該樹脂組成物をプロジェクションテレビ等のスクリーン等に使用する光学部材(レンズ)として利用した場合に、各種性能を満足できる樹脂組成物とその硬化物を提供することを目的とする。
【0012】
また、2P法により光学部材を成形した場合であっても、光学部材の品質特性を損なうことなく、該金型と光学部材とが容易に離型できる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂組成物は、平均分子量1500以下のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル酸エステルとスチレンまたはα−メチルスチレンとの共重合体、熱可塑性ウレタンエラストマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、および、光重合開始剤を含んでなるものである。 本発明の好ましい態様として、添加剤として、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含んでなる。
【0014】
また、より好ましい態様として、本発明の樹脂組成物は、内部離型剤として、さらに、下記式1で表されるリン酸エステル、または、下記式2で表されるホスホン酸エステルを含んでなるものである。
【化3】
(ここで、nは4以上の整数を示す。)
【化4】
(ここで、nは4以上の整数を示す。)
【0015】
さらに、本発明の樹脂組成物中に含まれる化合物中のOH基の濃度が、1.2mmol/g以上である場合は、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.5〜1.0重量%であることが好ましく、また、樹脂組成物中に含まれる前記熱可塑性ウレタンエラストマーのウレタン鎖濃度が0.28mmol/g以上であり、かつ、前記OH基濃度が、0.41〜1.2mmol/gである場合にあっては、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.1〜1.0重量%であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の別の態様として、上記樹脂組成物からなる光学素子を提供する。当該光学素子は、25℃における屈折率が、1.55以上であることが好ましい。これにより、復元性や耐擦傷性に加えて、光学部材として好適な光学性能を有する光学素子が得られる。
【0017】
本発明の別の態様としては、上記樹脂組成物を金型に塗布し、該塗布物上に基材を設けた後に前記樹脂組成物を硬化させ、前記金型から、前記硬化物および前記基材を剥離することにより得られるレンズ状成型物を提供するものである。
【0018】
本発明の樹脂組成物からなる硬化物をレンズとして利用して、透過型スクリーン等を形成した場合、十分な正面輝度を有するものが得られ、また高屈折率等の光学性能を有し、復元性、耐擦傷性に優れた光学部材となり、かつ基材と該硬化物との密着性が良好なものとなる。
【0019】
また、離型剤として本発明のリン酸エステルないしホスホン酸エステルを用いることにより、添加剤としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンと併用して、樹脂組成物に加えた場合であっても、光学性能に悪影響を与えることなく、金属金型からの離型性と、滑り性とを硬化物に付与することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、更に詳しく説明する。
【0021】
まず、本発明の樹脂組成物を構成する、平均分子量1500以下のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、成分Aという)は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびビスフェノールS型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させたオリゴマーである。
【0022】
成分Aの具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSの単量体、2量体および3量体エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させた構造(a)、単量体エポキシを2塩基酸あるいはその無水物で反応させ、それに(メタ)アクリル酸を反応させた構造(b)、あるいは単量体エポキシと2塩基酸あるいはその無水物で反応させ、それにヒドロキシル基を分子内に有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させた構造(c)等の構造が挙げられる。なお、上記構造(a)、構造(b)、構造(c)を以下に示す。
【化5】
【化6】
【化7】
【0023】
構造(b)および構造(c)において用いられる2塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、およびマレイン酸等が挙げられ、構造(c)において用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および2−ヒドロキシ−3フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
成分Aの構造としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSが高屈折率を維持させるために必須成分である。平均分子量が1500を越えると、基材と樹脂組成物との密着性が悪くなり、密着性を向上させるために(メタ)アクリル酸エステルとスチレンまたはα−メチルスチレンとの共重合体(以下、成分Bという)をかなり多く含有させる必要がある。しかしながら、平均分子量1500を越えると成分Aと成分Bとの相溶性が悪化するため、両成分が均一に分散しない。
【0025】
成分Aである、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの平均分子量としては、好ましくは1000以下であり、最も好ましくは約500である。このような分子量のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることで、密着補助剤として機能する成分Bの含有量を少なくすることが可能となり、成分Aと成分Bとの相溶性の問題を解決することができる。
【0026】
上記の成分Aの平均分子量の下限値としては、450程度であり、それより小さいと、得られる硬化物に粘着性が生じたり、強度物性が低下したりするようになる。なお、本願明細書において用いられる平均分子量なる用語は、特に断りのない限り、数平均分子量を意味する。
【0027】
上記に説明した成分Aは、樹脂組成物中の含有量が20重量%以上であることが好ましく、特に、30重量%以上が好ましい。但し、50重量%程度が上限の含有量である。成分Aの含有量が50重量%を超えると、A成分以外の成分の機能が充分に発揮できなくなる。一方、成分Aの含有量が20重量%未満の場合、充分な光硬化性が得られない。上記の含有量は、重量基準で算出したものであり、以下、特に断りのない限り、重量基準により表したものを意味するものとする。
【0028】
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、および/または(メタ)アクリル酸エステルモノマーのみからなる樹脂組成物は、基材に対する密着性が不十分である。したがって、本発明の樹脂組成物においては、(メタ)アクリル酸エステルとスチレンまたはα−メチルスチレンとの共重合体(以下、成分Bという)を含んでなる。この成分Bは、基材と同様な構造を有するため、基材と近似した表面エネルギーを有する。そのため、当該成分Bは、基材との密着性ないし接着性を向上させるための役割を有する。この共重合体の樹脂組成物全体に対する含有量は、0.1〜20重量%であることが好ましい。含有量が0.1重量%未満の場合、所定の基材への密着性が得られにくく、一方、20重量%を越える含有量では、成分Aとの相溶性が悪く、成分Aと成分Bとが均一に分散しない。屈折率の観点からも、スチレンまたはα−メチルスチレンを、コモノマーとして使用して共重合した、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
【0029】
成分Bの具体例としては、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステル類と、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンとをビニル重合した共重合物であり、(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、およびイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
本発明の樹脂組成物を構成する熱可塑性ウレタンエラストマー(以下、成分Cという)は、低温での耐擦れ性を向上させるために加えられたものである。成分Cを含有することにより、硬化物の膜構造中に海島構造が作成され、樹脂硬化物の耐衝撃性が向上する。また、成分Cは、それ自身および他の成分と未架橋の状態で硬化物中に存在するため、内部ひずみを緩和し易い。したがって、密着性も向上する。この成分Cの樹脂組成物全体に対する含有量は、0.1〜10重量%が好ましく、0.1重量%未満の場合、耐擦れ性が向上せず、l0重量%を越えると、基材への密着性が不十分となる。
【0031】
成分Cは、ジイソシアネートとジオール化合物とをウレタン化反応させて得られるものである。この成分Cの構造は特に限定されるものではなく、上記に説明した、成分Aおよび成分Bまたはポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンに可溶であれば使用できる。好ましくは、分子量5万〜30万、ガラス転移点温度(Tg)が−40℃〜60℃のものが好ましく、具体的にはジイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、ジオール化合物としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキルジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオール、2塩基酸とジオール成分よりなるポリエステルジオール、その他ポリカプロラクトンジオール、およびポリカーボネートジオール等が挙げられる。ポリエステルジオールに用いる2塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、およびマレイン酸等が挙げられ、ポリエステルジオールに用いるジオール成分としては、上記のジオール化合物として記述したアルキルジオール、およびポリエーテルジオールが挙げられる。
【0032】
具体的には日本ポリウレタンエ業(株)製ミラクトランP-22SおよびミラクトランP-26S、大日本インキ化学工業(株)製PANDEX T-5265H、PANDEX T-5287S、およびPANDEX T-5282、ザ・ダウケミカル・カンパニー製ペレセン2103-70A、ペレセン2103−70A、およびペレセン2103-80AE等が挙げられる。
【0033】
本発明の樹脂組成物を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(以下、成分Dという)は、単官能、2官能、多官能と各種アクリレート誘導体が好適に用いられる。1.55以上の屈折率を得るためには、フェノキシエチルアクリレートの誘導体(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド変性品)、ビスフェノールAジアクリレート誘導体(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド変性品)を使用することが好ましい。
【0034】
上記の成分Dとしては、前記に説明した成分A、成分Bおよび成分Cと十分な相溶性がある(メタ)アクリル酸エステル類であれば良く、具体的には、単官能モノマーとしては、イソアミル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、およびパラクミルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0035】
また、2官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、およびイソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
本発明における樹脂組成物を構成する光重合開始剤(以下、成分Eという)は、樹脂組成物全体に対する含有量として、0.01〜10重量%が好ましい。0.01重量%未満では充分な光硬化性が得られず、一方、10重量%を越えると、樹脂組成物の光硬化に寄与せずに無駄なものとなりコストの上昇を招く。
【0038】
成分Eとしては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2モルフォリノプロパン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、およびフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0039】
本発明の樹脂組成物には、上記の成分A〜E以外に、下記のものが含まれていることが好ましい。すなわち、上記樹脂組成物中にシリコーン、シリコーンポリマー、好ましくは変性シリコーン、より好ましくはポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン添加剤を含有させても良い。このような添加剤を含有することにより滑り性が向上し、当該樹脂組成物を硬化させてレンズシートを形成した場合に、レンズシート同士の擦れによるレンズ表面の傷の発生を低減させることができる。
【0040】
樹脂組成物全体に対する上記添加剤の含有量は、0.01〜10重量%が好ましい。0.01重量%未満の場合、所定の滑り性が得られず、一方、10重量%を越えると、樹脂組成物の材料物性が損なわれ、あるいは基材と樹脂硬化物との密着性が低下する。
【0041】
上記のシリコーン、シリコーンポリマーとして、具体的には、ビッグケミージャパン(株)製のBYK−307、BYK−333、BYK−332、BYK−331、BYK−345、BYK−348、BYK−370、BYK一UV3510、信越化学工業(株)製のX-22-2404、KF−62-7192、KF−615A、KF−618、KF−353、KF−353A、KF−96、KF−54、KF−56、KF−410、KF−412、HIVACF−4、HIVACF−5、KF−945A、KF−354、およびKF−353、東レ・ダウコーニング・ジャパン(株)製SH−28PA、SH−29PA、SH−190、SH−510、SH−550、SH−8410、SH−8421、SYLGARD309、BY16-152、BY16-152B、およびBY16-152C、日本ユニカー(株)製FZ-2105、FZ-2165、FZ-2163、L-77、L−7001、L-7002、L-7604、およびL-7607、エフカ・アディティプス製のEFKA-S018、EFKA-3033、EFKA-83、EFKA-3232、EFKA-3236、およびEFKA-3239、ならびに共栄社化学(株)製のグラノール410等が挙げられる。
【0042】
また、樹脂硬化後の環境変化により、経時的にシリコーン成分がブリードアウトしてくるのを防ぐため、補助的にシリコーンアクリレート、もしくはシリコーンメタクリレート等の反応性シリコーンを併用することもできる。該反応性シリコーンの具体的なものとして、ビッグケミージャパン(株)製のBYK−UV3500、およびBYK−UV3530、ダウコーニング(株)製ペンタッドUV-31、ならびに信越化学工業(株)製のX-24-8201、X-22-174DX、X-22-2426、X-22-2404、X-22-164A、X-22-164B、およびX−22-164C、等が挙げられる。
【0043】
本発明の樹脂組成物においては、さらに、下記式3または4で表される離型剤を含んでなることが好ましい。
【化8】
(ここで、nは4以上の整数を示す。)
【化9】
(ここで、nは4以上の整数を示す。)
【0044】
本発明の樹脂組成物を金型表面に塗布し、紫外線により樹脂組成物を硬化させてレンズシートを作製する場合、該硬化物を金型から剥離する必要がある。しかしながら、本発明の樹脂組成物は、水酸基等の極性基やウレタン鎖等の極性を有する鎖を含んでいるため、当該樹脂組成物と金属製金型との密着性が強く、硬化物を金型から剥離することが困難となる。上記のようなシリコーン系の添加剤が樹脂組成物に含有している場合であっても、特に、フレネルレンズにおいては、レンズ表面が複雑な形状であるため、金型表面の賦型部分に樹脂が入り込み、金型とレンズ(硬化物)とを剥離させることが困難となる。上述のごとく、シリコーンの添加量を増やすと、離型性は向上するものの、レンズの材料物性が低下したり、また基材との密着性が低下してしまう。
【0045】
このような問題に対し、特公平6−20752号公報、特開平3−287641号公報、および特開平11−43493号公報には、レンズ用の離型剤としてアルコキシアルキルリン酸エステルが開示されており、また、特開平8−57864号公報には酸性ホスホン酸誘導体系内部離型剤が開示されている。
【0046】
しかしながら、上記のように、樹脂組成物に滑り剤としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが含まれている場合、該ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンと離型剤との相溶性を考慮する必要がある。すなわち、樹脂組成物中の離型剤および滑り剤の含有量が低い場合であっても、シリコーン成分とリン酸エステル成分の双方が、金型界面にブリードアウトし、金型界面ではシリコーン成分および離型剤の濃度が局所的に高くなる。シリコーンと離型剤との相溶性が低い場合、樹脂組成物の状態(液体状態)では曇点を有したり、液体状態では透明であっても樹脂硬化後に成形物の表面に曇りが生じる場合がある。また、離型剤成分とシリコーン成分との相溶性が低いと、離型性のみ発現し、滑り性や成形物の透明性が改善されないか、逆に、滑り性が向上しても離型性が十分ではなく、経時的に外観が変化する(シリコーン成分のブリード)などの不具合が発生する。
【0047】
本発明においては、内部離型剤として、上記の式3の構造を有するリン酸エステルまたは式4の構造を有するホスホン酸エステルを用いることにより、硬化させた場合でも硬化物の透明性が維持され、かつ、離型性に優れる、樹脂組成物を提供することができる。すなわち、添加剤であるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの十分な相溶性を有するため、樹脂硬化後、硬化物表面に該離型剤および添加剤がブリードアウトしても、硬化物(成形品)の表面に曇りを生じることはない。
【0048】
また、本発明における上記式3または式4に示した構造の離型剤を含んでなる樹脂化合物を硬化させて、成形したレンズシートは、高温多湿環境中に長時間保存した場合でも外観が変化することなく経時安定性に優れるものである。
【0049】
本発明における離型剤としては、OH基を一つ有する、すなわちリン酸ジエステルないしホスホン酸モノエステルの構造を有するものである。OH基を有しないリン酸トリエステルでは、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの相溶性は高いものの、離型性が十分でない。一方、二つのOH基を有するリン酸モノエステルでは、樹脂硬化物(レンズシート)の透明性や滑り性の観点からは優れるものの、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの相溶性が低く、上記の離型性の問題が生ずる。
【0050】
本発明における離型剤としてのリン酸エステルおよびホスホン酸エステルは、エステル部分の炭素数は4以上である。炭素数が小さい場合、十分な離型性が得られない。好ましくは、炭素数は8以上である。
【0051】
好ましい態様として、本発明における離型剤の含有量は、樹脂組成物に対し0.05〜5.0重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。0.05重量%未満では離型性が十分でなく、一方、5.0重量%を超える含有量では、成形物の材料物性が損なわれる。
【0052】
樹脂組成物中に含まれる化合物のOH基濃度が、1.2mmol/g以上である場合においては、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.5〜1.0重量%であることが好ましい。また、樹脂組成物中に含まれる前記熱可塑性ウレタンエラストマーのウレタン鎖濃度が0.28mmol/g以上であり、かつ前記OH基濃度が、0.41〜1.2mmol/gである場合においては、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.1〜1.0重量%であることが好ましい。なお、OH基濃度とは、組成物を構成する上記の化合物のうち、ビスフェノールA型エポキシアクリレートオリゴマーやヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシモノマー中のOH基の樹脂組成物全体に占める割合を示す。また、ウレタン鎖濃度とは、上記の熱可塑性ウレタンエラストマー中のウレタン結合の樹脂組成物全体に占める割合を示す。
【0053】
本発明の樹脂組成物においては、金属製の成形型からの離型性を阻害する要因として、樹脂組成物中に水酸基とウレタン鎖(熱可塑性ウレタンポリマー、ウレタンアクリレートオリゴマー等のウレタン鎖を含む材料全般)が含まれていることである。OH基濃度が、1.2mmol/gよりも低い場合には、金型からの離型性の観点からは離型剤が含まれていることが好ましい。しかしながら、実用的には、離型剤の含有量が0.5重量%未満でも問題とならず、好ましくは0.1重量%以上0.5重量%含有されていればよい。金属型を用いない樹脂成形の場合は、離型剤は含まれていなくても良い。すなわち、非金属製の成形型に使用されている樹脂と塗布する樹脂との表面エネルギーの差が大きい樹脂や、または表面エネルギーの差が小さい場合であっても、フッ素系添加剤やシリコーン添加剤を添加したり、樹脂組成物としてフッ素原子やシリコン原子を有する材料を用いることができる。
【0054】
OH基濃度が、1.2mmol/g以上になると、金属との接着性が増し、金型から成形物が剥離せず、また、成形初期には剥離しても数枚〜数十枚成形すると樹脂が金型に残り始め、その残留樹脂のために、離型性がさらに低下する。本発明においては、式3または式4で表される離型剤を樹脂組成物に対して0.5〜1.0重量%含有させる事により、上記離型性の問題を解消することができる。離型剤の含有量が0.5重量%未満であると、離型性が改善されず、一方、1.0重量%を超えると、リン酸等の存在により、ポリエステルウレタンポリマー等のエステル構造が加水分解されてしまい、分子量低下による粘度低下が生じ、樹脂の成形性が悪化する。
【0055】
なお、レンズ型に非金属製の樹脂成形型を用いる場合は、リン酸エステル系離型剤を含有する必要はないが、樹脂成形型に金属微粒子や金属元素等が含有されている場合は、金属製成形型と同様に、上記の離型剤を含有することが好ましい。また、非金属製の成形型を用いる場合であっても、成形型または樹脂組成物のいずれか一方の表面エネルギーをできるだけ小さくし、両者の表面エネルギー差をできるだけ大きくすることにより、良好な離型性を発現できる。すなわち、レンズ成形用樹脂組成物との表面エネルギーの関係によっては、樹脂組成物にシリコン系滑り剤やフッ素系添加剤を添加するか、ないしシリコンやフッ素系添加剤を樹脂組成物にブレンドして用いることにより、成形型からの離型性を向上させることができる。
【0056】
また、屈折率の観点からは、エステル部分にアルキル鎖を用いるよりも、芳香族系化合物を導入する方が屈折率が高くるため好ましい。しかしながら、芳香族系化合物を導入すると、リン酸エステルおよびホスホン酸エステル自体の凝固点温度が上昇するため、低温での樹脂組成液の保存安定性や、成形物を低温保管した場合の安定性の観点から好ましくない。また、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの相溶度合いにもよるが、離型剤とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとがある程度相溶している状態では、離型剤が固化する際にシリコーン成分も固化するため、低温環境下での滑り性が損なわれる。本発明におけるリン酸エステルおよびホスホン酸エステルの凝固点温度は、使用する環境にもよるが、概ね−50℃以下が好ましく、より好ましくは−30℃以下である。
【0057】
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、熱重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、および溶剤等を含有させてもよい。
【0058】
本発明の樹脂組成物は、上記の成分A〜Eと、必要に応じ他の成分とを混合して溶解させることにより、通常は液状組成物として得ることができる。その液状組成物の粘度は500〜10000cps(25℃)程度が好ましい。
【0059】
また、本発明の光学素子は、常法に従い得ることができる。すなわち、上記の液状の樹脂組成物が濃度勾配が無く、均一に乳化したような、各成分が均一に分散した状態で、その液状樹脂組成物に紫外線を照射して、樹脂組成物を硬化させることにより光学素子を得ることができる。各成分を均一に分散させることにより、該光学素子は高い屈折率を有する。例えば、屈折率は1.55以上(25℃)が好ましく、該光学素子を用いて高屈折率の光学性能を有するレンズを作製できる。なお、本発明の樹脂組成物を用いた光学素子は、各成分が均一に分散した状態で硬化したもので、かつ光透過性が一定以上あればよく、必ずしも透明性の高いものを要求するものではなく、光拡散性を持たせたものであっても良い。
【0060】
本発明の光学素子は、透明樹脂基板上に上記の本発明の樹脂組成物からなる硬化物層をレンズ状に形成したものである。硬化物層の厚さは、10〜300μm程度が好ましい。透明樹脂基材としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、またはこれらの混合樹脂等が挙げられる。上記の透明樹脂基材と樹脂組成物の硬化物層との密着性(接着性)を向上させるための手段として、大別すると、洗浄処理、研磨処理、薬品処理1(基材表面を酸化、エッチングして該組成物との親和性を向上させる処理)、活性ガス処理、薬品処理2(接着剤と被着材の両者に親和性のある化合物を塗布する処理;プライマー処理)の5つの処理がある。これらの処理のうち、洗浄処理、研磨処理、および薬品処理1は、基材そのものを侵してしまうため、レンズ面の平滑性を維持することが難しく、また基材自体の材料物性に影響を与える可能性もあるため、上記処理を利用することは困難である。
【0061】
光学素子用部材として用いる場合、活性ガス処理、薬品処理2が挙げられるが、活性ガス処理は接着剤と被着材の種類によって、処理の能力に差があるため、汎用性低い。また、処理後すぐ接着しないとその効果がなくなることもあり、製造工程上、制約される場合がある。また薬品処理2は製造コストの増加、ゴミ付着などの取扱い上の問題があるため、あらゆる製造方法に適用することができない。さらに、薬品処理2は接着効果はあるものの、生産上は基材の種類、紫外線硬化型等の樹脂組成物との両方に親和性のある化合物を選定する煩雑さもあり、これらの問題を解消することが困難である。
【0062】
本発明の樹脂組成物においては、上記のような特別な処理を行なわずに、基材上に直接、樹脂組成物を塗布し、それを硬化させて硬化層を形成することにより、基材と該硬化物の層との密着性が良好となる。本発明の樹脂組成物は、耐吸湿性に優れるスチレン樹脂系基材(具体的には、例えば旭化成(株)製SX100、電気化学(株)製TH21、大日本インキ化学工業(株)製クリアパクトT1300、新日鉄化学(株)製エスチレンMS-600等)に対する密着性が、特にPMMA(ポリメチルメタアクリレート)基材やPC(ポリカーボネート)基材と比較して優れる。
【0063】
本発明におけるレンズ状成型物の製造方法は、例えば、フレネルレンズ形状を有する成形型に本発明の樹脂組成物を塗布して、塗膜を形成し、その塗膜の上に透明樹脂基材を設け、次いで、その状態で該透明樹脂基材側から高圧水銀灯などにより、紫外線等の電離放射線を照射して、該樹脂組成物を硬化させた後、該成形型から基材と硬化物と剥離するものである。この様にして通常、屈折率が1.55以上(25℃)を有する該硬化物かならるフレネルレンズ等を得ることができる。
【0064】
尚、本発明の樹脂組成物は、光硬化性を有する電離放射線硬化型の樹脂組成物である。その電離放射線としては、可視光線、紫外線、X線等の電磁波、ないし電子線等の荷電粒子線が用いられるが、これらの内で、可視光線、紫外線、または電子線が実用上、好適に用いられる。特に可視光線または紫外線を用いる場合には、波長1000〜8000Åの紫外線または可視光線によって、解離し、ラジカルを発生するような光重合開始剤を使用することが必要である。
【0065】
本発明の樹脂組成物の硬化物を光学素子用部材として用いる場合、圧縮弾性率、クリープ変形率および耐つぶれ性、低温における耐擦れ性、貯蔵弾性率、損失正接、ならびに動摩擦係数等で示される材料物性が重要な指標となる。プロジェクションスクリーンは、レンチキュラーレンズとフレネルレンズの二種類のレンズにより構成されたものが現在の主流となっている。この一組のレンズは、レンチキュラーレンズの入光面側の曲形状(アーチ状)レンズと、フレネルレンズの三角形状(くさび状)レンズとが接触した状態で構成されているため、両レンズ間に圧力がかかり、特にレンズ先端部分の形状の変形が起こりやすい。このような接触圧力は以下の理由により生ずるものと考えられる。すなわち、2枚のレンズがセパレーションを起こすと映像に悪影響を及ぼすことから、2枚のレンズが分離しないようにレンチキュラーレンズに反り形状を付与している。この反りを有するレンチキュラーレンズを、その対になるフレネルレンズに押し付けてプロジェクションスクリーンを作製するため、自ずと両レンズの接触部分に圧力が発生することになる。したがって、フレネルレンズを形成する樹脂はその圧力に耐え得る程度の材料物性を有していなければならない。
【0066】
そのためには、硬さだけではなく、両レンズ間に長時間およぼされる圧力に対する対抗力(クリープ性)を考慮する必要がある。微小硬度計を用いて測定した圧縮弾性率やクリープ変形率により、樹脂の評価を行うことができる。
【0067】
また、2枚構成であるレンズシートのうち一方のフレネルレンズは、その表面がくさびが連続した形状を有しており、他方のレンチキュラーレンズは、その表面が連続したアーチ状の形状を有している。そのため両レンズを重ねあわせると、そのくさび形状部分とアーチ形状部分が互いに接触する。上記の二種のレンズを組み合わせて輸送する際には、輸送時の振動によって、剛性の異なる両レンズがそれぞれ異なった挙動をするために、擦れや衝撃によって、フレネルレンズ突端部(くさびの先端部)が変形または破壊されたり、また、レンズ表面が削れ、白い粉が発生したりする。
【0068】
さらに、上記フレネルレンズは、通常、レンズ部を構成する樹脂が弾性率の高い樹脂からなるため、温度変化に対する耐擦れ性能を備えておく必要がある。様々なスクリーン使用環境下、すなわち、高温でもレンズの変形を生じさせず、かつ、低温(0℃)や極低温(−20℃)でも擦れを発生させないような材料物性を有するスクリーン用樹脂材料が望まれる。
【0069】
それには動的粘弾性試験において、貯蔵弾性率(硬さ)が所定の値以下であり、共振周波数域での振幅量を減衰させる必要がある。言い換えれば、振動エネルギーを熱エネルギーに変換する指標である損失正接(tanδ)が大きい程、制振され擦れが低減される。また、ずれに効果のある滑り性能も付与しておく必要がある。
【0070】
【実施例】
耐吸湿性能を有するスチレン樹脂に耐衝撃性を付与させるべく、ゴム状弾性体を分散粒子として含有させたゴム変性スチレン系樹脂(MBS樹脂)のべースプレートを基材として用いた。以下に、樹脂組成物の配合割合、各樹脂組成物の粘度、基材と該樹脂組成物との密着性、さらに該樹脂組成物の透明性のデータを下記の表1に示す。
【表1】
【0071】
樹脂組成物の粘度は、JIS K-5400の回転粘度計法に基づいて測定した。(株)東京計器製BL型粘度計、No.3ロータを使用し、40℃で12rpm、1分後の粘度計の指示値を測定した。測定した粘度計指示値に換算乗数(本条件では100)を乗じた値を粘度とした。
【0072】
また、MBS樹脂からなる基材と樹脂組成物との密着性は以下のようにして評価した。表1に示す各樹脂組成物を、フレネルレンズ形成用金型の表面に所定の方法で塗布し、その塗膜上にMBS樹脂基材を設けて樹脂組成物を該金型と該基材との間に挟み込み、塗膜厚みが一定になるように該基材を加圧した。次に、紫外線を該基材側から照射して、樹脂組成物を硬化させて硬化層を形成した後、金型から該硬化層と該基材と(これらがシート状レンズである)を剥離して、シート状レンズを得た。(尚、表1の各組成には記載していないが、全て光開始重合剤を同量同条件で加えて硬化させている。)
【0073】
得られたシート状レンズの剥離表面側から樹脂組成物(硬化層)と、MBS樹脂基材との接着性を評価するため、JIS K5400に準拠した碁盤目剥離試験を行った。
【0074】
その評点は、碁盤目の10割(全て)が接着しているものは10点、碁盤目の8割が接着しているものは8点、碁盤目の6割が接着しているものは6点、碁盤目の2割が接着しているものは2点、碁盤目の0割が接着しているものは、つまり全く接着していないは0点とした。また、樹脂の透明性評価は、樹脂組成物を目視にて観察し、透明で濁りの無いものは“OK”、濁りの認められたものは“NG”とした。但し、インキ樹脂組成物の透明性が高いものほど良好というものではなく、光拡散性という意味では濁っている(ヘイズが高い)ものは光透過率が一定以上あれば良い。樹脂組成物の混合状態や屈折率差を制御しなければならないため、透明性を有する方が設計し易いという意味から、濁りをNGとした。
【0075】
表1の組成B〜Fにおいて、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーであるビスフェノールA系エポキシアクリレートの平均分子量が484〜2000の範囲では、ビスフェノールA系エポキシアクリレート以外の成分が同一条件の場合には、平均分子量が大きくなればなるほど、樹脂組成物(硬化物)とMBS樹脂基材との密着性(接着性)が低下していることがわかる。
【0076】
また、組成Aと組成Bを比較すると、アクリル酸エステルとスチレンまたはα−メチルスチレンの共重合体(B成分)の有無によって(他の成分は同一の条件で)、MBS樹脂基材との密着性が変化し、B成分を含有しない場合は、樹脂組成物(硬化物)とMBS樹脂基材との密着性が低いことがわかる。また、表1の組成G〜Jに示されたように、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーであるビスフェノールA系エポキシアクリレートの平均分子量を上げていくと、分子量が1500および2000の樹脂組成物においては、樹脂組成物の透明性が低下し、白濁していることが認められる。
【0077】
実施例1〜4、および比較例1〜9
次に、耐吸湿性能を有するスチレン樹脂に耐衝撃性を付与したゴム変性スチレン系樹脂(MBS樹脂)のべ一スプレートを基材として用い、樹脂組成物の配合割合、その基材と各樹脂組成物との密着性、各樹脂組成物からなる硬化物の屈折率、各樹脂組成物の粘度、ならびに、該硬化物の各温度における貯蔵弾性率、各温度における損失正接、平衡弾性率ないし動摩擦係数、圧縮弾性率、クリープ変形率、およびクリープ試験時の最大変形量を測定した結果を下記の表2に示す。
【0078】
また、表2には各温度における振動試験と、耐つぶれ試験の結果も示す。
【表2】
【0079】
上記の各評価および測定結果は、以下の方法による。但し、樹脂組成物とMBS樹脂基材との密着性は、表1で示した方法と同様にして評価した。
【0080】
屈折率
試料としては、下記に示す動的粘弾性測定用の試料と同様にして調整した硬化済シートを用い、その試料をアッベ屈折率計のプリズム部に1−ブロモナフタレンを用いて密着させ、試料温度を25℃として、D線(λ=589nm)での屈折率を測定した。(その他はJIS K7105に準拠)
【0081】
動的粘弾性測定用試料の調整
貯蔵弾性率、損失正接、および平衡弾性率の動的粘弾性の測定用の試料の作製は、以下のようにして行なった。40〜42℃に温度制御された、表面が平坦なステンレス板を金型とし、該金型面に40〜42℃に調整した各樹脂組成物を厚さが200μmになるように塗布した。メタルハライドタイプの紫外線ランプ(日本電池(株)製)を用い、積算光量2000mJ/cm2、ピーク照度250mW/cm2の条件で照射を行なって、樹脂組成物を硬化させた後、硬化したシートを剥離して、試料用のシートを得た。
【0082】
圧縮弾性率測定用試料の調整
圧縮弾性率の測定用の試料の作成は、表面が平坦なステンレス板に替えて、表面にフレネルレンズの逆型形状を有するニッケル製金型を用いた以外は、上記の動的粘弾性測定用試料の調整と同様にして、フレネルレンズの形状を有する試料用のシートを得た。
【0083】
動的粘弾性の測定
得られた試料を30mm×3mm×0.2mmの短冊状に成形し、動的粘弾性測定装置((株)オリエンテック製、「レオバイブロン」)を用いて、試料に0.05%の負荷歪みを与えて、貯蔵弾性率、および損失正接の測定を行った。周波数は1〜10Hzとし、温度範囲は、−100〜100℃とした(3℃/minの昇温速度)。この測定により、貯蔵弾性率の温度依存性曲線、および損失正接の温度依存性曲線を得た。
【0084】
得られた貯蔵弾性率の温度依存性曲線から、25℃(常温)、0℃、および−20℃の各温度における貯蔵弾性率を求めた。これとは別に、強制振動の周波数を1Hzとし、その他は上記と同様にして得た貯蔵弾性率の温度依存性曲線から、80℃における貯蔵弾性率を求め、平衡弾性率とした。
【0085】
また、得られた損失正接の温度依存性曲線から、25℃(常温)、0℃、および−20℃の各温度における損失正接を求めた。
【0086】
動摩擦係数の測定
厚さ100μmとし、アクリル板で覆って紫外線を照射した以外は、上記の動的粘弾性測定用の試料と同様にして試料を得た。測定には、表面性測定装置(新東科学(株)製、ヘイドン・トライポギア タイプ:14DR)を使用した。得られた試料表面にボール圧子で垂直荷重を加え(100gの点圧)、ボール圧子を300mm/minの速度で試料表面を滑らせて動摩擦係数を測定した。この測定を5回行い、その平均値を動摩擦係数の値とした。
【0087】
圧縮弾性率の測定
超微小硬度計(独国フィッシャー社製、H-100V)を用いたユニバーサル硬さ試験を応用することにより、圧縮弾性率を算出した。すなわち、圧子による荷重を所定の値になるまで徐々に増加させ、その後、徐々に減少させることにより、侵入深さの荷重依存性曲線を得、その測定結果を解析することにより圧縮弾性率を算出した。圧子として、直径が0.4mmのタングステンカーバイト(WC)製のボール圧子を使用した。
【0088】
侵入深さの荷重依存性曲線は、典型的には、図1に示すような様相を示す。まず、荷重が0(点a)から荷重fを徐々に増加させると変形が起き、徐々に圧子の侵人深さが増加する。ある荷重値で荷重の増加を停止させると、塑性変形による侵入が停止し(点b)、その後、荷重値をそのまま維持すると、その間、クリープ変形により侵入深さの増加が続き、荷重値の維持を止める点cに至る。その後、荷重を徐々に減少させると、弾性変形によって、点dに向かって侵入深さが減少する。
【0089】
上記において、図1中の点bにおける荷重値である最大荷重値Fは、20mNに設定した。その理由は以下のとおりである。実際のプロジェクションスクリーンにおけるフレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとの接触圧は小さく、実測が困難である。しかしながら、スクリーンを構成するレンズの変形が、条件の厳しいレンズシートの外周部で10μm程度であれば、レンズの性能上、許容できる。したがって、従来用いられているレンズシートが10μm変形するのに必要な荷重が、ほぼ20mNであることから、最大荷重値を20mNとしたものである。また、クリーブ変形を行なわせる時間は、適宜60秒間とした。
【0090】
侵入深さの荷重依存性曲線を求める手順を以下に示す。
(1)圧縮のための荷重値を0から20mNになるまで、0.1秒毎に100ステップで増加させる。
(2)20mNになった荷重値を60秒間維持し、クリープ変形を起こさせる。
(3)荷重値が0.4mN(試験機最低荷重)になるまで、0.1秒毎に40ステップで減少させる。
(4)荷重値が0.4mNのまま60秒間維持し、侵入深さを回復させる。
(5)以上の(1)〜(4)の操作を三回繰り返す。
【0091】
なお、ボール圧子を作用させる部位としては、図2に示すように、フレネルレンズを構成する個々の細分化されたレンズ面、例えば、図2中、2c、2c’、および2c"で示すような部分の、中央部付近であることが好ましい。レンズ面の隣接する凹部同士の間隔をピッチPとすれば、P/2に相当する位置の付近である。その他のレンズ形状の場合にも、レンズを形成する個々のレンズ面の中央付近にボール圧子を作用させることが好ましい。
【0092】
圧縮弾性率(E)は、下記の式により求めた。
E=1/(2(hr(2R−hr))1/2×H×(△H/△f)−(1−n)/e)
ここで、hrは、荷重fが最大値Fであるときの荷重減少区域の、侵入深さの荷重依存性曲線の接線と侵入深さ軸(横軸)との交点の侵入深さ(単位:mm)である。
Rは、ボール圧子の半径(2R=0.4mm)である。
Hは、侵入深さhの最大値(単位:mm)である。
△H/△fは、荷重fが最大値Fであるときの荷重減少区域の、荷重へ侵入深さ曲線の傾きの逆数である。
nは、ボール圧子の素材(WC)のポアソン比(n=0.22)である。
eはボール圧子の素材(WC)の弾性率(e=5.3×105N/mm2)である。
【0093】
前記で説明したように、荷重の増減等を(1)〜(4)の順で3回繰り返して、1回ごとに侵入深さの荷重依存性曲線を求め、その曲線の各々から圧縮弾性率(E)(単位:Mpa)をそれぞれ求め、それらの平均値を圧縮弾性率とした。
【0094】
クリープ変形率
クリープ変形率(C)は、下記の式を用いて求めた。
C=(h2−h1)・100/h1
ここで、h1は一定試験荷重(ここでは20mN)に達したとき(図2において点b)の侵入深さ、h2はその試験荷重を保持して所定時間(60秒)経過した後(図2において点c)の侵入深さ、をそれぞれ示す(単位はmm)。
【0095】
振動試験
フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとを、各々のレンズ面同士を密着させ、四辺を粘着テープで固定し、TV画面サイズの木枠にはめ込んだものを、温度が一定に保たれた環境試験室内に設置した振動試験機((株)アカシ製、振動試験機、EDS252)にセットした。振動条件としては、図3に示すPSD(Power Spectrum Density)波形に示すランダム波とし、4320秒を1サイクルとして、5000kmのトラック輸送に相当する振動試験を、25℃の温度では10サイクル、0℃の温度では5サイクル、−20℃の温度では3サイクル、行なった。
【0096】
このランダム波は、統計的性質を有する不確定波で、PSD関数により性質を表現することが可能であり、この振動試験においては、その関数を指標に試験条件を決定している。このようなランダム波を使用した理由は、振動の非線形要素を排除できること、即ち、プロジェクションスクリーンの取付け、梱包形態などによる非線形要素を排除して対象物の振動を一定の状況で加振することが可能になるからである。また、振動は、試験開始時を0とした時間軸のいずれにおいても、すべて異なるので、実際の輸送時の振動により近い状況を作り出せるからである。
【0097】
なお、環境温度は25℃(常温)、0℃、および−20℃とし、試験終了後、プロジェクターにより、全体が白色の画面を投映した際に、擦れによる輝度ムラが明瞭に認められるものを×、輝度ムラか認められるが目立たないものを△、輝度ムラが認められないものを○とした。
【0098】
TVセット潰れ試験
上記に説明した圧縮弾性率(E)、およびクリープ変形率(C)を測定した各樹脂組成物と同様の組成物を用いて成形されたフレネルレンズシートを所定のレンチキュラーレンズシートとを合わせ、4辺をテープで固定し、各テレビサイズの木枠に嵌め込んでテレビ実装し、白画面を目視により観察評価した。1時間経過後にフレネルレンズシートがつぶれているものは「×」、つぶれが認められないものは「○」とした。
【0099】
表2から、実施例1〜4においては、密着性、耐擦れ性(振動試験)および、耐つぶれ試験において、全て良好な結果となっている。但し、実施例2の場合は動摩擦係数が大きくなっており、また、−20℃における耐擦れ性が少し悪くなっている。この理由は、実施例2では、比較的分子量の小さいオリゴマーが架橋構造中に多く分布し、また多官能モノマー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を樹脂硬化物として使用しているため架橋密度が高く、その結果硬化物のtanδが低くなったことに起因するものと考えられる。
【0100】
また、実施例3において、−20℃での耐擦れ性が少し悪いのは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、実施例3の樹脂組成物は、実施例2と比較して平均分子量の高い(1000の)ビスフェノールAエポキシアクリレートを使用しているものの、2官能ビスフェノールAジアクリレートの配合割合がかなり多いため(変性繰り返し単位にもよるが)、分子が剛直になり、−20℃での貯蔵弾性率が高くなったからと考えられる。ただし、熱可塑性エラストマーが含まれているため、比較例8よりは貯蔵弾性率も低く、耐擦れ性に優れるものと考えられる。
【0101】
また、実施例3では、ビスフェノールAエポキシアクリレートの平均分子量が1000であり、実施例の中では最も分子量が高いビスフェノールAエポキシアクリレートを使用しているため、実施例1等と比較して密着性は劣っている。
【0102】
また、比較例1〜8の樹脂組成物では、熱可塑性ウレタンエラストマー(成分C)を含まないことから、耐擦れ性(振動試験)が良好でない。また、比較例9では、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーであるビスフェノールAエポキシアクリレートとして、分子量2000のものを使用しているために、密着性が低い。また、(メタ)アクリル酸エステルとスチレン又はα−メチルスチレンの共重合体(成分B)を含有していないために、密着性がさらに低い。
【0103】
実施例5〜7および比較例10〜12
実施例2で用いた樹脂組成物に、表3に示す離型剤を0.7重量%、添加剤として、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(日本ユニカー(株)製 L−7001)を0.5重量%、およびフッ素系レベリング剤(大日本インキ化学工業(株)製 メガファック F−470)0.1重量%を加えたものを用いて、実施例2と同様にしてシート状レンズを作製した。なお、各離型剤のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの相溶性を調べるため、離型剤とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを1:1の割合で混合した混合溶液の状態を目視により評価した。該溶液が透明であるものを○、白濁または分離しているものを×とした。さらに、該混合溶液の−10℃における混合溶液の流動性を調べた。当該混合溶液をガラス瓶に計りとり、−10℃にて保管した。−10℃になった混合溶液のガラス瓶を90°傾け、該溶液がすぐに流動するもの(明らかに液状状態にあるもの)を○、流動性が無く固体ないしワックス状のものを×、とした。
【表3】
【0104】
シート状レンズ作製時の金型からの離型性、該シートレンズの透過率、ヘイズ値、および、加速試験として、得られたレンズシートを60℃、95%RHの条件下で168時間保持した後の、該レンズシートの透過率、ヘイズ値およびレンズ表面状態について評価を行った。また、得られたレンズシートについて、実施例2と同様にして−20℃における振動試験を行った。それらの結果を表4に示す。
【表4】
【0105】
実施例5〜7においては、金型からの離型性に優れるとともに、得られたレンズシートの透明性が高く、かつ経時的安定性にも優れるものであった。
【0106】
一方、比較例10において得られたレンズシートは、離型性も悪く、また高温多湿環境下での透明性が維持されず、経時的安定性に劣るものであった。また、比較例11において得られたレンズシートは高温多湿環境下での経時安定性には優れるものの、離型性が悪い。比較例12において得られたレンズシートは、高温多湿環境下での経時安定性には優れるものの、用いたリン酸エステルのアルキル基の鎖長が短いため(n=4)、離型性が不十分なレベルであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】侵入深さの荷重依存性曲線を説明するための概略図である。
【図2】圧子を作用させる部位を示す概略図である。
【図3】振動試験に用いたPSD波形のグラフである。
【符号の説明】
2 フレネルレンズシート
Claims (7)
- 樹脂組成物中に含まれるOH基の濃度が1.2mmol/g以上である場合において、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.5〜1.0重量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 樹脂組成物中に含まれる前記熱可塑性ウレタンエラストマーのウレタン鎖濃度が0.28mmol/g以上であり、かつ前記OH基濃度が、0.41〜1.2mmol/gである場合において、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.1〜1.0重量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3に記載のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる、光学素子。
- 25℃における屈折率が、1.55以上である、請求項4に記載の光学素子。
- 前記光学素子が、フレネルレンズである、請求項4または5に記載の光学素子。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を金型に塗布し、該塗布物上に基材を設けた後に前記樹脂組成物を硬化させ、前記金型から、前記硬化物および前記基材を剥離することにより得られる、光学素子。
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