JP2003313215A - 樹脂組成物および光学素子 - Google Patents
樹脂組成物および光学素子Info
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Abstract
元性、耐擦傷性に優れ、かつ基材との密着性が良好であ
る樹脂組成物であって、該樹脂組成物をプロジェクショ
ンテレビ等のスクリーン等に使用する光学部材(レン
ズ)として利用した場合に、各種性能を満足できる樹脂
組成物とその硬化物を提供する。 【解決手段】 平均分子量1500以下のエポキシ(メ
タ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル酸エス
テルとスチレンまたはα−メチルスチレンとの共重合
体、熱可塑性ウレタンエラストマー、(メタ)アクリル
酸エステルモノマー、光重合開始剤を含んでなる、樹脂
組成物とする。
Description
ロジェクションテレビ等に使用されるフレネルレンズな
いしレンチキュラーレンズ等のレンズ、を形成するため
の光硬化性樹脂組成物、および当該樹脂組成物からなる
光学素子に関する。
ャスト法等により製造されてきたが、レンズの製作に長
時間を必要とし、生産性の悪いものであった。近年、紫
外線硬化性樹指を使用してレンズを作製する検討がなさ
れている。具体的には、レンズ形状を有する金型に、紫
外線硬化性樹脂組成物を塗布し、透明樹脂基板と該金型
とで該樹脂組成物を挟み込み、該基板側から紫外線を照
射して該樹脂組成物を硬化させることにより、短時間で
レンズを製造することができるようになる。さらに、最
近のプロジェクションテレビの薄型化や大型化に伴い、
レンズ形成用の樹脂に対して、高屈折率化や力学特性な
どの種々のレンズ特性が要求され、またレンズ使用環境
に応じた様々な提案や検討がなされている。
レンズは、プラスチック製の基材上に電離線硬化型樹脂
を用いて、レンズ形状を賦型した構成のものであり、そ
の基材は光学的に異方性がなく、透明性に優れる材質が
良いとされている。従来から、その基材として、ポリメ
タクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチルと
スチレンの共重合体(MS)、ポリカーボネート(P
C)、および透明性オレフィン樹脂等が使用されてい
る。
物)が賦型される基材に耐衝撃性を付与させるため、ブ
タジエンゴム、アクリルゴム等を上記の樹脂にブレンド
して、海島構造を有する透明性材料もしばしば使用され
ている。
用途、性能およびコストに応じて、どのタイプの基材を
選択するかということが非常に重要であり、用いる基材
によって、紫外線硬化型樹脂の該基材への密着性を向上
させることが、実用上からも、大きな意義を有する。例
えば、基材と紫外線硬化型樹脂の密着性を向上させるた
めに、該基材に表面処理(プライマー処理、コロナ放電
処理、火炎処理、紫外線処理、プラズマ処理等)を施す
ことができるが、材料によってはその効果に差異があ
る。また、これらの表面処理を行うには、工程や設備も
必要である。したがって、製造コストの観点からは、レ
ンズ材料そのものが、基材との良好な密着性を有するこ
とが、非常に有効である。その為には、基板材料の選定
において、それぞれの基材に応じて、該基板と良好な密
着性を有する樹脂組成物を選定することが、量産レベル
のリードタイムの短縮化を図る上で重要となる。
は、基板との密着性に優れるのみでは、レンズに要求さ
れる性能を満たしたことにはない。例えば、フレネルレ
ンズにあっては、屈折率等の光学性能を有するのはもち
ろんのこと、特開2001-228549号公報に開示
されているように、レンチキュラーレンズとの接触によ
る擦れを抑える制振性や、レンチキュラーレンズとの接
触圧に耐えうる剛性ないし復元性が必要とされる(特許
文献1参照)。すなわち、プロジェクションスクリーン
は、通常、フレネルレンズとレンチキュラーレンズの二
枚の剛性の異なるレンズシートから構成されている。こ
のスクリーン輸送時の振動により、二枚のレンズが擦れ
る事でレンズ表面に傷が発生する。本現象を回避するた
め、樹脂の弾性率を調整したり、滑り剤ないし合紙を挟
むなど各種回避策が講じられている。さらに、フレネル
レンズ樹脂内にシリコーンを練りこむ事で、耐擦れ性を
向上させている。
ションテレビ等に使用する、光硬化性樹脂組成物を用い
て形成されるレンズには、高屈折率等の光学性能を有
し、復元性、耐擦傷性に優れ、かつ基材と光硬化性樹脂
組成物の硬化層との密着性が良好であるという性能が要
求されている。
脂硬化物を離型する必要があるため、成形金型と樹脂硬
化物との離型性が高いことが要求されている。
できないのが現状であり、より優れた樹脂組成物を提供
することが課題となっている。
性能を有し、復元性、耐擦傷性に優れ、かつ基材との密
着性が良好である樹脂組成物であって、かつ該樹脂組成
物をプロジェクションテレビ等のスクリーン等に使用す
る光学部材(レンズ)として利用した場合に、各種性能
を満足できる樹脂組成物とその硬化物を提供することを
目的とする。
合であっても、光学部材の品質特性を損なうことなく、
該金型と光学部材とが容易に離型できる樹脂組成物を提
供することを目的とする。
に、本発明の樹脂組成物は、平均分子量1500以下の
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)ア
クリル酸エステルとスチレンまたはα−メチルスチレン
との共重合体、熱可塑性ウレタンエラストマー、(メ
タ)アクリル酸エステルモノマー、および、光重合開始
剤を含んでなるものである。 本発明の好ましい態様と
して、添加剤として、ポリエーテル変性ポリジメチルシ
ロキサンを含んでなる。
樹脂組成物は、内部離型剤として、さらに、下記式1で
表されるリン酸エステル、または、下記式2で表される
ホスホン酸エステルを含んでなるものである。
化合物中のOH基の濃度が、1.2mmol/g以上で
ある場合は、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対し
て0.5〜1.0重量%であることが好ましく、また、
樹脂組成物中に含まれる前記熱可塑性ウレタンエラスト
マーのウレタン鎖濃度が0.28mmol/g以上であ
り、かつ、前記OH基濃度が、0.41〜1.2mmo
l/gである場合にあっては、前記離型剤の含有量が、
樹脂組成物に対して0.1〜1.0重量%であることが
好ましい。
組成物からなる光学素子を提供する。当該光学素子は、
25℃における屈折率が、1.55以上であることが好
ましい。これにより、復元性や耐擦傷性に加えて、光学
部材として好適な光学性能を有する光学素子が得られ
る。
物を金型に塗布し、該塗布物上に基材を設けた後に前記
樹脂組成物を硬化させ、前記金型から、前記硬化物およ
び前記基材を剥離することにより得られるレンズ状成型
物を提供するものである。
ズとして利用して、透過型スクリーン等を形成した場
合、十分な正面輝度を有するものが得られ、また高屈折
率等の光学性能を有し、復元性、耐擦傷性に優れた光学
部材となり、かつ基材と該硬化物との密着性が良好なも
のとなる。
ルないしホスホン酸エステルを用いることにより、添加
剤としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンと併
用して、樹脂組成物に加えた場合であっても、光学性能
に悪影響を与えることなく、金属金型からの離型性と、
滑り性とを硬化物に付与することができる。
しく説明する。
均分子量1500以下のエポキシ(メタ)アクリレート
オリゴマー(以下、成分Aという)は、例えば、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキ
シ樹脂、およびビスフェノールS型エポキシ樹脂等のエ
ポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させたオリ
ゴマーである。
A、ビスフェノールF、ビスフェノールSの単量体、2
量体および3量体エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を
反応させた構造(a)、単量体エポキシを2塩基酸ある
いはその無水物で反応させ、それに(メタ)アクリル酸
を反応させた構造(b)、あるいは単量体エポキシと2
塩基酸あるいはその無水物で反応させ、それにヒドロキ
シル基を分子内に有する(メタ)アクリル酸エステルを
反応させた構造(c)等の構造が挙げられる。なお、上
記構造(a)、構造(b)、構造(c)を以下に示す。
られる2塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、およ
びマレイン酸等が挙げられ、構造(c)において用いら
れる(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、および2−ヒドロキシ−3フェノキシプロピ
ル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
A、ビスフェノールF、ビスフェノールSが高屈折率を
維持させるために必須成分である。平均分子量が150
0を越えると、基材と樹脂組成物との密着性が悪くな
り、密着性を向上させるために(メタ)アクリル酸エス
テルとスチレンまたはα−メチルスチレンとの共重合体
(以下、成分Bという)をかなり多く含有させる必要が
ある。しかしながら、平均分子量1500を越えると成
分Aと成分Bとの相溶性が悪化するため、両成分が均一
に分散しない。
ートオリゴマーの平均分子量としては、好ましくは10
00以下であり、最も好ましくは約500である。この
ような分子量のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマ
ーを用いることで、密着補助剤として機能する成分Bの
含有量を少なくすることが可能となり、成分Aと成分B
との相溶性の問題を解決することができる。
は、450程度であり、それより小さいと、得られる硬
化物に粘着性が生じたり、強度物性が低下したりするよ
うになる。なお、本願明細書において用いられる平均分
子量なる用語は、特に断りのない限り、数平均分子量を
意味する。
含有量が20重量%以上であることが好ましく、特に、
30重量%以上が好ましい。但し、50重量%程度が上
限の含有量である。成分Aの含有量が50重量%を超え
ると、A成分以外の成分の機能が充分に発揮できなくな
る。一方、成分Aの含有量が20重量%未満の場合、充
分な光硬化性が得られない。上記の含有量は、重量基準
で算出したものであり、以下、特に断りのない限り、重
量基準により表したものを意味するものとする。
ー、および/または(メタ)アクリル酸エステルモノマ
ーのみからなる樹脂組成物は、基材に対する密着性が不
十分である。したがって、本発明の樹脂組成物において
は、(メタ)アクリル酸エステルとスチレンまたはα−
メチルスチレンとの共重合体(以下、成分Bという)を
含んでなる。この成分Bは、基材と同様な構造を有する
ため、基材と近似した表面エネルギーを有する。そのた
め、当該成分Bは、基材との密着性ないし接着性を向上
させるための役割を有する。この共重合体の樹脂組成物
全体に対する含有量は、0.1〜20重量%であること
が好ましい。含有量が0.1重量%未満の場合、所定の
基材への密着性が得られにくく、一方、20重量%を越
える含有量では、成分Aとの相溶性が悪く、成分Aと成
分Bとが均一に分散しない。屈折率の観点からも、スチ
レンまたはα−メチルスチレンを、コモノマーとして使
用して共重合した、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
ル酸および/または(メタ)アクリル酸エステル類と、
スチレンおよび/またはα−メチルスチレンとをビニル
重合した共重合物であり、(メタ)アクリル酸エステル
類の具体例としてはメチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、
メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレ
ート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリ
レート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレー
ト、およびイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げ
られる。
レタンエラストマー(以下、成分Cという)は、低温で
の耐擦れ性を向上させるために加えられたものである。
成分Cを含有することにより、硬化物の膜構造中に海島
構造が作成され、樹脂硬化物の耐衝撃性が向上する。ま
た、成分Cは、それ自身および他の成分と未架橋の状態
で硬化物中に存在するため、内部ひずみを緩和し易い。
したがって、密着性も向上する。この成分Cの樹脂組成
物全体に対する含有量は、0.1〜10重量%が好まし
く、0.1重量%未満の場合、耐擦れ性が向上せず、l
0重量%を越えると、基材への密着性が不十分となる。
合物とをウレタン化反応させて得られるものである。こ
の成分Cの構造は特に限定されるものではなく、上記に
説明した、成分Aおよび成分Bまたはポリエーテル変性
ポリジメチルシロキサンに可溶であれば使用できる。好
ましくは、分子量5万〜30万、ガラス転移点温度(T
g)が−40℃〜60℃のものが好ましく、具体的には
ジイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、
キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、お
よびヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、ジ
オール化合物としては、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール等のアルキルジオール、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール等のポリエーテルジオール、2塩基
酸とジオール成分よりなるポリエステルジオール、その
他ポリカプロラクトンジオール、およびポリカーボネー
トジオール等が挙げられる。ポリエステルジオールに用
いる2塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、および
マレイン酸等が挙げられ、ポリエステルジオールに用い
るジオール成分としては、上記のジオール化合物として
記述したアルキルジオール、およびポリエーテルジオー
ルが挙げられる。
ミラクトランP-22SおよびミラクトランP-26S、
大日本インキ化学工業(株)製PANDEX T-52
65H、PANDEX T-5287S、およびPAN
DEX T-5282、ザ・ダウケミカル・カンパニー
製ペレセン2103-70A、ペレセン2103−70
A、およびペレセン2103-80AE等が挙げられ
る。
クリル酸エステルモノマー(以下、成分Dという)は、
単官能、2官能、多官能と各種アクリレート誘導体が好
適に用いられる。1.55以上の屈折率を得るために
は、フェノキシエチルアクリレートの誘導体(エチレン
オキサイド、プロピレンオキサイド変性品)、ビスフェ
ノールAジアクリレート誘導体(エチレンオキサイド、
プロピレンオキサイド変性品)を使用することが好まし
い。
分A、成分Bおよび成分Cと十分な相溶性がある(メ
タ)アクリル酸エステル類であれば良く、具体的には、
単官能モノマーとしては、イソアミル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−
3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキ
シエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレング
リコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレン
グリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピ
レングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチ
ル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレ
ンオキサイド付加物(メタ)アクリレート、テトラヒド
ロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メ
タ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、およびパ
ラクミルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)
アクリレート等が挙げられる。
グリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカン
ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレン
オキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノー
ルAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレ
ート、およびイソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物
ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
プロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイ
ド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ
(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテト
ラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
合開始剤(以下、成分Eという)は、樹脂組成物全体に
対する含有量として、0.01〜10重量%が好まし
い。0.01重量%未満では充分な光硬化性が得られ
ず、一方、10重量%を越えると、樹脂組成物の光硬化
に寄与せずに無駄なものとなりコストの上昇を招く。
シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−
メチル1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメ
トキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベ
ンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノ
フェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−
(メチルチオ)フェニル]−2モルフォリノプロパン−
1、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォス
フィンオキサイド、およびフェニルビス(2,4,6−ト
リメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド等が挙
げられる。
E以外に、下記のものが含まれていることが好ましい。
すなわち、上記樹脂組成物中にシリコーン、シリコーン
ポリマー、好ましくは変性シリコーン、より好ましくは
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン添加剤を含有
させても良い。このような添加剤を含有することにより
滑り性が向上し、当該樹脂組成物を硬化させてレンズシ
ートを形成した場合に、レンズシート同士の擦れによる
レンズ表面の傷の発生を低減させることができる。
量は、0.01〜10重量%が好ましい。0.01重量
%未満の場合、所定の滑り性が得られず、一方、10重
量%を越えると、樹脂組成物の材料物性が損なわれ、あ
るいは基材と樹脂硬化物との密着性が低下する。
して、具体的には、ビッグケミージャパン(株)製のB
YK−307、BYK−333、BYK−332、BY
K−331、BYK−345、BYK−348、BYK
−370、BYK一UV3510、信越化学工業(株)
製のX-22-2404、KF−62-7192、KF−
615A、KF−618、KF−353、KF−353
A、KF−96、KF−54、KF−56、KF−41
0、KF−412、HIVACF−4、HIVACF−
5、KF−945A、KF−354、およびKF−35
3、東レ・ダウコーニング・ジャパン(株)製SH−2
8PA、SH−29PA、SH−190、SH−51
0、SH−550、SH−8410、SH−8421、
SYLGARD309、BY16-152、BY16-1
52B、およびBY16-152C、日本ユニカー
(株)製FZ-2105、FZ-2165、FZ-216
3、L-77、L−7001、L-7002、L-760
4、およびL-7607、エフカ・アディティプス製の
EFKA-S018、EFKA-3033、EFKA-8
3、EFKA-3232、EFKA-3236、およびE
FKA-3239、ならびに共栄社化学(株)製のグラ
ノール410等が挙げられる。
的にシリコーン成分がブリードアウトしてくるのを防ぐ
ため、補助的にシリコーンアクリレート、もしくはシリ
コーンメタクリレート等の反応性シリコーンを併用する
こともできる。該反応性シリコーンの具体的なものとし
て、ビッグケミージャパン(株)製のBYK−UV35
00、およびBYK−UV3530、ダウコーニング
(株)製ペンタッドUV-31、ならびに信越化学工業
(株)製のX-24-8201、X-22-174DX、X
-22-2426、X-22-2404、X-22-164
A、X-22-164B、およびX−22-164C、等
が挙げられる。
下記式3または4で表される離型剤を含んでなることが
好ましい。
紫外線により樹脂組成物を硬化させてレンズシートを作
製する場合、該硬化物を金型から剥離する必要がある。
しかしながら、本発明の樹脂組成物は、水酸基等の極性
基やウレタン鎖等の極性を有する鎖を含んでいるため、
当該樹脂組成物と金属製金型との密着性が強く、硬化物
を金型から剥離することが困難となる。上記のようなシ
リコーン系の添加剤が樹脂組成物に含有している場合で
あっても、特に、フレネルレンズにおいては、レンズ表
面が複雑な形状であるため、金型表面の賦型部分に樹脂
が入り込み、金型とレンズ(硬化物)とを剥離させるこ
とが困難となる。上述のごとく、シリコーンの添加量を
増やすと、離型性は向上するものの、レンズの材料物性
が低下したり、また基材との密着性が低下してしまう。
52号公報、特開平3−287641号公報、および特
開平11−43493号公報には、レンズ用の離型剤と
してアルコキシアルキルリン酸エステルが開示されてお
り、また、特開平8−57864号公報には酸性ホスホ
ン酸誘導体系内部離型剤が開示されている。
に滑り剤としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサ
ンが含まれている場合、該ポリエーテル変性ポリジメチ
ルシロキサンと離型剤との相溶性を考慮する必要があ
る。すなわち、樹脂組成物中の離型剤および滑り剤の含
有量が低い場合であっても、シリコーン成分とリン酸エ
ステル成分の双方が、金型界面にブリードアウトし、金
型界面ではシリコーン成分および離型剤の濃度が局所的
に高くなる。シリコーンと離型剤との相溶性が低い場
合、樹脂組成物の状態(液体状態)では曇点を有した
り、液体状態では透明であっても樹脂硬化後に成形物の
表面に曇りが生じる場合がある。また、離型剤成分とシ
リコーン成分との相溶性が低いと、離型性のみ発現し、
滑り性や成形物の透明性が改善されないか、逆に、滑り
性が向上しても離型性が十分ではなく、経時的に外観が
変化する(シリコーン成分のブリード)などの不具合が
発生する。
記の式3の構造を有するリン酸エステルまたは式4の構
造を有するホスホン酸エステルを用いることにより、硬
化させた場合でも硬化物の透明性が維持され、かつ、離
型性に優れる、樹脂組成物を提供することができる。す
なわち、添加剤であるポリエーテル変性ポリジメチルシ
ロキサンとの十分な相溶性を有するため、樹脂硬化後、
硬化物表面に該離型剤および添加剤がブリードアウトし
ても、硬化物(成形品)の表面に曇りを生じることはな
い。
に示した構造の離型剤を含んでなる樹脂化合物を硬化さ
せて、成形したレンズシートは、高温多湿環境中に長時
間保存した場合でも外観が変化することなく経時安定性
に優れるものである。
一つ有する、すなわちリン酸ジエステルないしホスホン
酸モノエステルの構造を有するものである。OH基を有
しないリン酸トリエステルでは、ポリエーテル変性ポリ
ジメチルシロキサンとの相溶性は高いものの、離型性が
十分でない。一方、二つのOH基を有するリン酸モノエ
ステルでは、樹脂硬化物(レンズシート)の透明性や滑
り性の観点からは優れるものの、ポリエーテル変性ポリ
ジメチルシロキサンとの相溶性が低く、上記の離型性の
問題が生ずる。
テルおよびホスホン酸エステルは、エステル部分の炭素
数は4以上である。炭素数が小さい場合、十分な離型性
が得られない。好ましくは、炭素数は8以上である。
剤の含有量は、樹脂組成物に対し0.05〜5.0重量
%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重
量%である。0.05重量%未満では離型性が十分でな
く、一方、5.0重量%を超える含有量では、成形物の
材料物性が損なわれる。
度が、1.2mmol/g以上である場合においては、
前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.5〜
1.0重量%であることが好ましい。また、樹脂組成物
中に含まれる前記熱可塑性ウレタンエラストマーのウレ
タン鎖濃度が0.28mmol/g以上であり、かつ前
記OH基濃度が、0.41〜1.2mmol/gである
場合においては、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に
対して0.1〜1.0重量%であることが好ましい。な
お、OH基濃度とは、組成物を構成する上記の化合物の
うち、ビスフェノールA型エポキシアクリレートオリゴ
マーやヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−
3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒド
ロキシモノマー中のOH基の樹脂組成物全体に占める割
合を示す。また、ウレタン鎖濃度とは、上記の熱可塑性
ウレタンエラストマー中のウレタン結合の樹脂組成物全
体に占める割合を示す。
成形型からの離型性を阻害する要因として、樹脂組成物
中に水酸基とウレタン鎖(熱可塑性ウレタンポリマー、
ウレタンアクリレートオリゴマー等のウレタン鎖を含む
材料全般)が含まれていることである。OH基濃度が、
1.2mmol/gよりも低い場合には、金型からの離
型性の観点からは離型剤が含まれていることが好まし
い。しかしながら、実用的には、離型剤の含有量が0.
5重量%未満でも問題とならず、好ましくは0.1重量
%以上0.5重量%含有されていればよい。金属型を用
いない樹脂成形の場合は、離型剤は含まれていなくても
良い。すなわち、非金属製の成形型に使用されている樹
脂と塗布する樹脂との表面エネルギーの差が大きい樹脂
や、または表面エネルギーの差が小さい場合であって
も、フッ素系添加剤やシリコーン添加剤を添加したり、
樹脂組成物としてフッ素原子やシリコン原子を有する材
料を用いることができる。
なると、金属との接着性が増し、金型から成形物が剥離
せず、また、成形初期には剥離しても数枚〜数十枚成形
すると樹脂が金型に残り始め、その残留樹脂のために、
離型性がさらに低下する。本発明においては、式3また
は式4で表される離型剤を樹脂組成物に対して0.5〜
1.0重量%含有させる事により、上記離型性の問題を
解消することができる。離型剤の含有量が0.5重量%
未満であると、離型性が改善されず、一方、1.0重量
%を超えると、リン酸等の存在により、ポリエステルウ
レタンポリマー等のエステル構造が加水分解されてしま
い、分子量低下による粘度低下が生じ、樹脂の成形性が
悪化する。
用いる場合は、リン酸エステル系離型剤を含有する必要
はないが、樹脂成形型に金属微粒子や金属元素等が含有
されている場合は、金属製成形型と同様に、上記の離型
剤を含有することが好ましい。また、非金属製の成形型
を用いる場合であっても、成形型または樹脂組成物のい
ずれか一方の表面エネルギーをできるだけ小さくし、両
者の表面エネルギー差をできるだけ大きくすることによ
り、良好な離型性を発現できる。すなわち、レンズ成形
用樹脂組成物との表面エネルギーの関係によっては、樹
脂組成物にシリコン系滑り剤やフッ素系添加剤を添加す
るか、ないしシリコンやフッ素系添加剤を樹脂組成物に
ブレンドして用いることにより、成形型からの離型性を
向上させることができる。
にアルキル鎖を用いるよりも、芳香族系化合物を導入す
る方が屈折率が高くるため好ましい。しかしながら、芳
香族系化合物を導入すると、リン酸エステルおよびホス
ホン酸エステル自体の凝固点温度が上昇するため、低温
での樹脂組成液の保存安定性や、成形物を低温保管した
場合の安定性の観点から好ましくない。また、ポリエー
テル変性ポリジメチルシロキサンとの相溶度合いにもよ
るが、離型剤とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサ
ンとがある程度相溶している状態では、離型剤が固化す
る際にシリコーン成分も固化するため、低温環境下での
滑り性が損なわれる。本発明におけるリン酸エステルお
よびホスホン酸エステルの凝固点温度は、使用する環境
にもよるが、概ね−50℃以下が好ましく、より好まし
くは−30℃以下である。
塑剤、レベリング剤、消泡剤、熱重合禁止剤、酸化防止
剤、光安定剤、および溶剤等を含有させてもよい。
と、必要に応じ他の成分とを混合して溶解させることに
より、通常は液状組成物として得ることができる。その
液状組成物の粘度は500〜10000cps(25
℃)程度が好ましい。
ることができる。すなわち、上記の液状の樹脂組成物が
濃度勾配が無く、均一に乳化したような、各成分が均一
に分散した状態で、その液状樹脂組成物に紫外線を照射
して、樹脂組成物を硬化させることにより光学素子を得
ることができる。各成分を均一に分散させることによ
り、該光学素子は高い屈折率を有する。例えば、屈折率
は1.55以上(25℃)が好ましく、該光学素子を用
いて高屈折率の光学性能を有するレンズを作製できる。
なお、本発明の樹脂組成物を用いた光学素子は、各成分
が均一に分散した状態で硬化したもので、かつ光透過性
が一定以上あればよく、必ずしも透明性の高いものを要
求するものではなく、光拡散性を持たせたものであって
も良い。
記の本発明の樹脂組成物からなる硬化物層をレンズ状に
形成したものである。硬化物層の厚さは、10〜300
μm程度が好ましい。透明樹脂基材としては、例えばポ
リカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリアクリル樹脂、またはこれらの混合樹脂等が
挙げられる。上記の透明樹脂基材と樹脂組成物の硬化物
層との密着性(接着性)を向上させるための手段とし
て、大別すると、洗浄処理、研磨処理、薬品処理1(基
材表面を酸化、エッチングして該組成物との親和性を向
上させる処理)、活性ガス処理、薬品処理2(接着剤と
被着材の両者に親和性のある化合物を塗布する処理;プ
ライマー処理)の5つの処理がある。これらの処理のう
ち、洗浄処理、研磨処理、および薬品処理1は、基材そ
のものを侵してしまうため、レンズ面の平滑性を維持す
ることが難しく、また基材自体の材料物性に影響を与え
る可能性もあるため、上記処理を利用することは困難で
ある。
ス処理、薬品処理2が挙げられるが、活性ガス処理は接
着剤と被着材の種類によって、処理の能力に差があるた
め、汎用性低い。また、処理後すぐ接着しないとその効
果がなくなることもあり、製造工程上、制約される場合
がある。また薬品処理2は製造コストの増加、ゴミ付着
などの取扱い上の問題があるため、あらゆる製造方法に
適用することができない。さらに、薬品処理2は接着効
果はあるものの、生産上は基材の種類、紫外線硬化型等
の樹脂組成物との両方に親和性のある化合物を選定する
煩雑さもあり、これらの問題を解消することが困難であ
る。
うな特別な処理を行なわずに、基材上に直接、樹脂組成
物を塗布し、それを硬化させて硬化層を形成することに
より、基材と該硬化物の層との密着性が良好となる。本
発明の樹脂組成物は、耐吸湿性に優れるスチレン樹脂系
基材(具体的には、例えば旭化成(株)製SX100、
電気化学(株)製TH21、大日本インキ化学工業
(株)製クリアパクトT1300、新日鉄化学(株)製
エスチレンMS-600等)に対する密着性が、特にP
MMA(ポリメチルメタアクリレート)基材やPC(ポ
リカーボネート)基材と比較して優れる。
は、例えば、フレネルレンズ形状を有する成形型に本発
明の樹脂組成物を塗布して、塗膜を形成し、その塗膜の
上に透明樹脂基材を設け、次いで、その状態で該透明樹
脂基材側から高圧水銀灯などにより、紫外線等の電離放
射線を照射して、該樹脂組成物を硬化させた後、該成形
型から基材と硬化物と剥離するものである。この様にし
て通常、屈折率が1.55以上(25℃)を有する該硬
化物かならるフレネルレンズ等を得ることができる。
する電離放射線硬化型の樹脂組成物である。その電離放
射線としては、可視光線、紫外線、X線等の電磁波、な
いし電子線等の荷電粒子線が用いられるが、これらの内
で、可視光線、紫外線、または電子線が実用上、好適に
用いられる。特に可視光線または紫外線を用いる場合に
は、波長1000〜8000Åの紫外線または可視光線
によって、解離し、ラジカルを発生するような光重合開
始剤を使用することが必要である。
部材として用いる場合、圧縮弾性率、クリープ変形率お
よび耐つぶれ性、低温における耐擦れ性、貯蔵弾性率、
損失正接、ならびに動摩擦係数等で示される材料物性が
重要な指標となる。プロジェクションスクリーンは、レ
ンチキュラーレンズとフレネルレンズの二種類のレンズ
により構成されたものが現在の主流となっている。この
一組のレンズは、レンチキュラーレンズの入光面側の曲
形状(アーチ状)レンズと、フレネルレンズの三角形状
(くさび状)レンズとが接触した状態で構成されている
ため、両レンズ間に圧力がかかり、特にレンズ先端部分
の形状の変形が起こりやすい。このような接触圧力は以
下の理由により生ずるものと考えられる。すなわち、2
枚のレンズがセパレーションを起こすと映像に悪影響を
及ぼすことから、2枚のレンズが分離しないようにレン
チキュラーレンズに反り形状を付与している。この反り
を有するレンチキュラーレンズを、その対になるフレネ
ルレンズに押し付けてプロジェクションスクリーンを作
製するため、自ずと両レンズの接触部分に圧力が発生す
ることになる。したがって、フレネルレンズを形成する
樹脂はその圧力に耐え得る程度の材料物性を有していな
ければならない。
ズ間に長時間およぼされる圧力に対する対抗力(クリー
プ性)を考慮する必要がある。微小硬度計を用いて測定
した圧縮弾性率やクリープ変形率により、樹脂の評価を
行うことができる。
一方のフレネルレンズは、その表面がくさびが連続した
形状を有しており、他方のレンチキュラーレンズは、そ
の表面が連続したアーチ状の形状を有している。そのた
め両レンズを重ねあわせると、そのくさび形状部分とア
ーチ形状部分が互いに接触する。上記の二種のレンズを
組み合わせて輸送する際には、輸送時の振動によって、
剛性の異なる両レンズがそれぞれ異なった挙動をするた
めに、擦れや衝撃によって、フレネルレンズ突端部(く
さびの先端部)が変形または破壊されたり、また、レン
ズ表面が削れ、白い粉が発生したりする。
ンズ部を構成する樹脂が弾性率の高い樹脂からなるた
め、温度変化に対する耐擦れ性能を備えておく必要があ
る。様々なスクリーン使用環境下、すなわち、高温でも
レンズの変形を生じさせず、かつ、低温(0℃)や極低
温(−20℃)でも擦れを発生させないような材料物性
を有するスクリーン用樹脂材料が望まれる。
性率(硬さ)が所定の値以下であり、共振周波数域での
振幅量を減衰させる必要がある。言い換えれば、振動エ
ネルギーを熱エネルギーに変換する指標である損失正接
(tanδ)が大きい程、制振され擦れが低減される。
また、ずれに効果のある滑り性能も付与しておく必要が
ある。
を付与させるべく、ゴム状弾性体を分散粒子として含有
させたゴム変性スチレン系樹脂(MBS樹脂)のべース
プレートを基材として用いた。以下に、樹脂組成物の配
合割合、各樹脂組成物の粘度、基材と該樹脂組成物との
密着性、さらに該樹脂組成物の透明性のデータを下記の
表1に示す。
0の回転粘度計法に基づいて測定した。(株)東京計器
製BL型粘度計、No.3ロータを使用し、40℃で1
2rpm、1分後の粘度計の指示値を測定した。測定し
た粘度計指示値に換算乗数(本条件では100)を乗じ
た値を粘度とした。
物との密着性は以下のようにして評価した。表1に示す
各樹脂組成物を、フレネルレンズ形成用金型の表面に所
定の方法で塗布し、その塗膜上にMBS樹脂基材を設け
て樹脂組成物を該金型と該基材との間に挟み込み、塗膜
厚みが一定になるように該基材を加圧した。次に、紫外
線を該基材側から照射して、樹脂組成物を硬化させて硬
化層を形成した後、金型から該硬化層と該基材と(これ
らがシート状レンズである)を剥離して、シート状レン
ズを得た。(尚、表1の各組成には記載していないが、
全て光開始重合剤を同量同条件で加えて硬化させてい
る。)
樹脂組成物(硬化層)と、MBS樹脂基材との接着性を
評価するため、JIS K5400に準拠した碁盤目剥
離試験を行った。
着しているものは10点、碁盤目の8割が接着している
ものは8点、碁盤目の6割が接着しているものは6点、
碁盤目の2割が接着しているものは2点、碁盤目の0割
が接着しているものは、つまり全く接着していないは0
点とした。また、樹脂の透明性評価は、樹脂組成物を目
視にて観察し、透明で濁りの無いものは“OK”、濁り
の認められたものは“NG”とした。但し、インキ樹脂
組成物の透明性が高いものほど良好というものではな
く、光拡散性という意味では濁っている(ヘイズが高
い)ものは光透過率が一定以上あれば良い。樹脂組成物
の混合状態や屈折率差を制御しなければならないため、
透明性を有する方が設計し易いという意味から、濁りを
NGとした。
タ)アクリレートオリゴマーであるビスフェノールA系
エポキシアクリレートの平均分子量が484〜2000
の範囲では、ビスフェノールA系エポキシアクリレート
以外の成分が同一条件の場合には、平均分子量が大きく
なればなるほど、樹脂組成物(硬化物)とMBS樹脂基
材との密着性(接着性)が低下していることがわかる。
リル酸エステルとスチレンまたはα−メチルスチレンの
共重合体(B成分)の有無によって(他の成分は同一の
条件で)、MBS樹脂基材との密着性が変化し、B成分
を含有しない場合は、樹脂組成物(硬化物)とMBS樹
脂基材との密着性が低いことがわかる。また、表1の組
成G〜Jに示されたように、エポキシ(メタ)アクリレ
ートオリゴマーであるビスフェノールA系エポキシアク
リレートの平均分子量を上げていくと、分子量が150
0および2000の樹脂組成物においては、樹脂組成物
の透明性が低下し、白濁していることが認められる。
与したゴム変性スチレン系樹脂(MBS樹脂)のべ一ス
プレートを基材として用い、樹脂組成物の配合割合、そ
の基材と各樹脂組成物との密着性、各樹脂組成物からな
る硬化物の屈折率、各樹脂組成物の粘度、ならびに、該
硬化物の各温度における貯蔵弾性率、各温度における損
失正接、平衡弾性率ないし動摩擦係数、圧縮弾性率、ク
リープ変形率、およびクリープ試験時の最大変形量を測
定した結果を下記の表2に示す。
と、耐つぶれ試験の結果も示す。
法による。但し、樹脂組成物とMBS樹脂基材との密着
性は、表1で示した方法と同様にして評価した。
様にして調整した硬化済シートを用い、その試料をアッ
ベ屈折率計のプリズム部に1−ブロモナフタレンを用い
て密着させ、試料温度を25℃として、D線(λ=58
9nm)での屈折率を測定した。(その他はJIS K
7105に準拠)
の測定用の試料の作製は、以下のようにして行なった。
40〜42℃に温度制御された、表面が平坦なステンレ
ス板を金型とし、該金型面に40〜42℃に調整した各
樹脂組成物を厚さが200μmになるように塗布した。
メタルハライドタイプの紫外線ランプ(日本電池(株)
製)を用い、積算光量2000mJ/cm2、ピーク照
度250mW/cm2の条件で照射を行なって、樹脂組
成物を硬化させた後、硬化したシートを剥離して、試料
用のシートを得た。
ンレス板に替えて、表面にフレネルレンズの逆型形状を
有するニッケル製金型を用いた以外は、上記の動的粘弾
性測定用試料の調整と同様にして、フレネルレンズの形
状を有する試料用のシートを得た。
に成形し、動的粘弾性測定装置((株)オリエンテック
製、「レオバイブロン」)を用いて、試料に0.05%
の負荷歪みを与えて、貯蔵弾性率、および損失正接の測
定を行った。周波数は1〜10Hzとし、温度範囲は、
−100〜100℃とした(3℃/minの昇温速
度)。この測定により、貯蔵弾性率の温度依存性曲線、
および損失正接の温度依存性曲線を得た。
ら、25℃(常温)、0℃、および−20℃の各温度に
おける貯蔵弾性率を求めた。これとは別に、強制振動の
周波数を1Hzとし、その他は上記と同様にして得た貯
蔵弾性率の温度依存性曲線から、80℃における貯蔵弾
性率を求め、平衡弾性率とした。
から、25℃(常温)、0℃、および−20℃の各温度
における損失正接を求めた。
した以外は、上記の動的粘弾性測定用の試料と同様にし
て試料を得た。測定には、表面性測定装置(新東科学
(株)製、ヘイドン・トライポギア タイプ:14D
R)を使用した。得られた試料表面にボール圧子で垂直
荷重を加え(100gの点圧)、ボール圧子を300m
m/minの速度で試料表面を滑らせて動摩擦係数を測定
した。この測定を5回行い、その平均値を動摩擦係数の
値とした。
を用いたユニバーサル硬さ試験を応用することにより、
圧縮弾性率を算出した。すなわち、圧子による荷重を所
定の値になるまで徐々に増加させ、その後、徐々に減少
させることにより、侵入深さの荷重依存性曲線を得、そ
の測定結果を解析することにより圧縮弾性率を算出し
た。圧子として、直径が0.4mmのタングステンカー
バイト(WC)製のボール圧子を使用した。
は、図1に示すような様相を示す。まず、荷重が0(点
a)から荷重fを徐々に増加させると変形が起き、徐々
に圧子の侵人深さが増加する。ある荷重値で荷重の増加
を停止させると、塑性変形による侵入が停止し(点
b)、その後、荷重値をそのまま維持すると、その間、
クリープ変形により侵入深さの増加が続き、荷重値の維
持を止める点cに至る。その後、荷重を徐々に減少させ
ると、弾性変形によって、点dに向かって侵入深さが減
少する。
値である最大荷重値Fは、20mNに設定した。その理
由は以下のとおりである。実際のプロジェクションスク
リーンにおけるフレネルレンズシートとレンチキュラー
レンズシートとの接触圧は小さく、実測が困難である。
しかしながら、スクリーンを構成するレンズの変形が、
条件の厳しいレンズシートの外周部で10μm程度であ
れば、レンズの性能上、許容できる。したがって、従来
用いられているレンズシートが10μm変形するのに必
要な荷重が、ほぼ20mNであることから、最大荷重値
を20mNとしたものである。また、クリーブ変形を行
なわせる時間は、適宜60秒間とした。
以下に示す。 (1)圧縮のための荷重値を0から20mNになるま
で、0.1秒毎に100ステップで増加させる。 (2)20mNになった荷重値を60秒間維持し、クリ
ープ変形を起こさせる。 (3)荷重値が0.4mN(試験機最低荷重)になるま
で、0.1秒毎に40ステップで減少させる。 (4)荷重値が0.4mNのまま60秒間維持し、侵入
深さを回復させる。 (5)以上の(1)〜(4)の操作を三回繰り返す。
は、図2に示すように、フレネルレンズを構成する個々
の細分化されたレンズ面、例えば、図2中、2c、2
c’、および2c"で示すような部分の、中央部付近で
あることが好ましい。レンズ面の隣接する凹部同士の間
隔をピッチPとすれば、P/2に相当する位置の付近で
ある。その他のレンズ形状の場合にも、レンズを形成す
る個々のレンズ面の中央付近にボール圧子を作用させる
ことが好ましい。
た。 E=1/(2(hr(2R−hr))1/2×H×(△
H/△f)−(1−n)/e) ここで、hrは、荷重fが最大値Fであるときの荷重減
少区域の、侵入深さの荷重依存性曲線の接線と侵入深さ
軸(横軸)との交点の侵入深さ(単位:mm)である。
Rは、ボール圧子の半径(2R=0.4mm)である。
Hは、侵入深さhの最大値(単位:mm)である。△H
/△fは、荷重fが最大値Fであるときの荷重減少区域
の、荷重へ侵入深さ曲線の傾きの逆数である。nは、ボ
ール圧子の素材(WC)のポアソン比(n=0.22)
である。eはボール圧子の素材(WC)の弾性率(e=
5.3×105N/mm2)である。
(1)〜(4)の順で3回繰り返して、1回ごとに侵入
深さの荷重依存性曲線を求め、その曲線の各々から圧縮
弾性率(E)(単位:Mpa)をそれぞれ求め、それら
の平均値を圧縮弾性率とした。
したとき(図2において点b)の侵入深さ、h2はその
試験荷重を保持して所定時間(60秒)経過した後(図
2において点c)の侵入深さ、をそれぞれ示す(単位は
mm)。
を、各々のレンズ面同士を密着させ、四辺を粘着テープ
で固定し、TV画面サイズの木枠にはめ込んだものを、
温度が一定に保たれた環境試験室内に設置した振動試験
機((株)アカシ製、振動試験機、EDS252)にセ
ットした。振動条件としては、図3に示すPSD(Po
wer Spectrum Density)波形に示
すランダム波とし、4320秒を1サイクルとして、5
000kmのトラック輸送に相当する振動試験を、25
℃の温度では10サイクル、0℃の温度では5サイク
ル、−20℃の温度では3サイクル、行なった。
確定波で、PSD関数により性質を表現することが可能
であり、この振動試験においては、その関数を指標に試
験条件を決定している。このようなランダム波を使用し
た理由は、振動の非線形要素を排除できること、即ち、
プロジェクションスクリーンの取付け、梱包形態などに
よる非線形要素を排除して対象物の振動を一定の状況で
加振することが可能になるからである。また、振動は、
試験開始時を0とした時間軸のいずれにおいても、すべ
て異なるので、実際の輸送時の振動により近い状況を作
り出せるからである。
および−20℃とし、試験終了後、プロジェクターによ
り、全体が白色の画面を投映した際に、擦れによる輝度
ムラが明瞭に認められるものを×、輝度ムラか認められ
るが目立たないものを△、輝度ムラが認められないもの
を○とした。
率(C)を測定した各樹脂組成物と同様の組成物を用い
て成形されたフレネルレンズシートを所定のレンチキュ
ラーレンズシートとを合わせ、4辺をテープで固定し、
各テレビサイズの木枠に嵌め込んでテレビ実装し、白画
面を目視により観察評価した。1時間経過後にフレネル
レンズシートがつぶれているものは「×」、つぶれが認
められないものは「○」とした。
性、耐擦れ性(振動試験)および、耐つぶれ試験におい
て、全て良好な結果となっている。但し、実施例2の場
合は動摩擦係数が大きくなっており、また、−20℃に
おける耐擦れ性が少し悪くなっている。この理由は、実
施例2では、比較的分子量の小さいオリゴマーが架橋構
造中に多く分布し、また多官能モノマー(ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート)を樹脂硬化物として使
用しているため架橋密度が高く、その結果硬化物のta
nδが低くなったことに起因するものと考えられる。
擦れ性が少し悪いのは、以下の理由によるものと考えら
れる。すなわち、実施例3の樹脂組成物は、実施例2と
比較して平均分子量の高い(1000の)ビスフェノー
ルAエポキシアクリレートを使用しているものの、2官
能ビスフェノールAジアクリレートの配合割合がかなり
多いため(変性繰り返し単位にもよるが)、分子が剛直
になり、−20℃での貯蔵弾性率が高くなったからと考
えられる。ただし、熱可塑性エラストマーが含まれてい
るため、比較例8よりは貯蔵弾性率も低く、耐擦れ性に
優れるものと考えられる。
ポキシアクリレートの平均分子量が1000であり、実
施例の中では最も分子量が高いビスフェノールAエポキ
シアクリレートを使用しているため、実施例1等と比較
して密着性は劣っている。
可塑性ウレタンエラストマー(成分C)を含まないこと
から、耐擦れ性(振動試験)が良好でない。また、比較
例9では、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーで
あるビスフェノールAエポキシアクリレートとして、分
子量2000のものを使用しているために、密着性が低
い。また、(メタ)アクリル酸エステルとスチレン又は
α−メチルスチレンの共重合体(成分B)を含有してい
ないために、密着性がさらに低い。
0.7重量%、添加剤として、ポリエーテル変性ポリジ
メチルシロキサン(日本ユニカー(株)製 L−700
1)を0.5重量%、およびフッ素系レベリング剤(大
日本インキ化学工業(株)製 メガファック F−47
0)0.1重量%を加えたものを用いて、実施例2と同
様にしてシート状レンズを作製した。なお、各離型剤の
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの相溶性を
調べるため、離型剤とポリエーテル変性ポリジメチルシ
ロキサンとを1:1の割合で混合した混合溶液の状態を
目視により評価した。該溶液が透明であるものを○、白
濁または分離しているものを×とした。さらに、該混合
溶液の−10℃における混合溶液の流動性を調べた。当
該混合溶液をガラス瓶に計りとり、−10℃にて保管し
た。−10℃になった混合溶液のガラス瓶を90°傾
け、該溶液がすぐに流動するもの(明らかに液状状態に
あるもの)を○、流動性が無く固体ないしワックス状の
ものを×、とした。
性、該シートレンズの透過率、ヘイズ値、および、加速
試験として、得られたレンズシートを60℃、95%R
Hの条件下で168時間保持した後の、該レンズシート
の透過率、ヘイズ値およびレンズ表面状態について評価
を行った。また、得られたレンズシートについて、実施
例2と同様にして−20℃における振動試験を行った。
それらの結果を表4に示す。
性に優れるとともに、得られたレンズシートの透明性が
高く、かつ経時的安定性にも優れるものであった。
シートは、離型性も悪く、また高温多湿環境下での透明
性が維持されず、経時的安定性に劣るものであった。ま
た、比較例11において得られたレンズシートは高温多
湿環境下での経時安定性には優れるものの、離型性が悪
い。比較例12において得られたレンズシートは、高温
多湿環境下での経時安定性には優れるものの、用いたリ
ン酸エステルのアルキル基の鎖長が短いため(n=
4)、離型性が不十分なレベルであった。
略図である。
Claims (9)
- 【請求項1】平均分子量1500以下のエポキシ(メ
タ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル酸エス
テルとスチレンまたはα−メチルスチレンとの共重合
体、熱可塑性ウレタンエラストマー、(メタ)アクリル
モノマー、および、光重合開始剤を含んでなる、樹脂組
成物。 - 【請求項2】添加剤として、ポリエーテル変性ポリジメ
チルシロキサンを含んでなる、請求項1に記載の樹脂組
成物。 - 【請求項3】内部離型剤として、下記式1で表されるリ
ン酸エステル、または、下記式2で表されるホスホン酸
エステルを、さらに含んでなる、請求項2に記載の樹脂
組成物。 【化1】 (ここで、nは4以上の整数を示す。) 【化2】 (ここで、nは4以上の整数を示す。) - 【請求項4】樹脂組成物中に含まれるOH基の濃度が
1.2mmol/g以上である場合において、前記離型
剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.5〜1.0重量
%である、請求項3に記載の樹脂組成物。 - 【請求項5】樹脂組成物中に含まれる前記熱可塑性ウレ
タンエラストマーのウレタン鎖濃度が0.28mmol
/g以上であり、かつ前記OH基濃度が、0.41〜
1.2mmol/gである場合において、前記離型剤の
含有量が、樹脂組成物に対して0.1〜1.0重量%で
ある、請求項3に記載の樹脂組成物。 - 【請求項6】請求項1〜5に記載のいずれか1項に記載
の樹脂組成物からなる、光学素子。 - 【請求項7】25℃における屈折率が、1.55以上で
ある、請求項6に記載の光学素子。 - 【請求項8】前記光学素子が、フレネルレンズである、
請求項6または7に記載の光学素子。 - 【請求項9】請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂
組成物を金型に塗布し、該塗布物上に基材を設けた後に
前記樹脂組成物を硬化させ、前記金型から、前記硬化物
および前記基材を剥離することにより得られる、光学素
子。
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