JP2009265640A - プリズムシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)成分:(ジ)ペンタエリスリトールから誘導される構造と、9以上の重合性二重結合とを有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(30〜60質量部)と、(b)成分:ウレタン結合を有さず、分子量500以上で硬化物のtanδピークが70℃未満である2つの(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(5〜55質量部)と、(c)成分:25℃における粘度が50mPa・s以下である脂肪族化合物(5〜55質量部)と、(d)成分:重合開始剤とを有し、50℃における粘度が200mPa・s以下である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を透光性基材14に塗布し、凹凸が形成された光拡散層12を賦形することよりなる。
【選択図】図1
Description
このバックライトシステム100では、光源103から出た光が、光源用反射フィルム104によって導光板102に入射し、プリズムシート105で一定の方向に揃えられた後、液晶表示面を点灯させる。
プリズムシート105は、透光性の基材の一方の面に、単位プリズムまたはレンズが形成され、他方に光拡散層が設けられたものである。そして、上述の液晶表示装置においては、プリズムシート105のプリズム面が導光板102と接して載置される。
このような問題に対し、レンズ層とマット層とを一体化させた面光源用レンズフィルムにおいて、耐久性を向上させるために、紫外線硬化性樹脂を用いた面光源用レンズフィルムが開示されている(例えば、特許文献1)。
また、光学シートの表面に、粒子を添加する等によって凹凸の光拡散層を形成させることにより、損傷防止を図った発明が開示されている(例えば、特許文献2)。
さらに、液晶表示装置の薄肉化、軽量化を図るために、プリズムシートの薄肉化が求められている。プリズムシートの薄肉化に当たっては、プリズムシートの反りが問題となる。このような問題に対して、活性エネルギー線硬化性樹脂を用いたプリズムシートが開示されている(例えば、特許文献3)。
他方、粒子を添加せずに光拡散層に凹凸面を形成させ、かつ、耐擦傷性を付与するには、凹凸パターン形成面への樹脂の浸透性等を適切なものとしなければ、薄肉化が図れないという問題もあった。そして、プリズムシートを薄肉化しても、反り発生を防止することが求められている。
そこで本発明は、耐擦傷性に優れ、輝度・品位劣化を防止し、薄肉化しても反りのないプリズムシートを目的とする。
(a)成分:ペンタエリスリトール、および/または、ジペンタエリスリトールから誘導される構造と、9つ以上の重合性二重結合基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート化合物(30〜60質量部)
(b)成分:ウレタン結合を有さず、分子量500以上で硬化物のtanδピークが70℃未満である2つの(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(5〜55質量部)。
(c)成分:25℃における粘度が50mPa・s以下である脂肪族化合物(5〜50質量部)。
(d)成分:重合開始剤。
[但し、上記の(a)成分、(b)成分、(c)成分の合計は100質量部である。]
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は、損失正接tanδのピーク温度が60℃以上であることが好ましく、25℃における引張り弾性率が2.7GPa以上であることが好ましい。
図1に示すとおり、プリズムシート10は、透光性基材14の一方の面に、プリズム層20が形成されている。プリズム層20は、中間層16に三角柱状のプリズム列18が所定のピッチで一方向に複数配列されて構成されている。透光性基材14の、プリズム層20が形成された面とは反対側の面には、表面に凹凸を有する光拡散層12が形成されている。
光拡散層12の表面に形成された凹凸面の形状は、特に限定されず、光拡散層12表面の被接触物の材質や、プリズムシート10に求める拡散の程度に応じて決定することができる。例えば、算術平均粗さRaが0.05〜2.0μm、10点平均粗さRzが0.5〜10μmとすることができる。
また、光拡散層12の厚さは特に限定されないが、例えば、1〜12μmの範囲で決定することが好ましい。1μmより薄いと拡散構造を転写するのが困難となり、12μmより厚いと樹脂組成物の使用量が多くなり、薄肉化の要求を満たすことができなくなり、シートの柔軟性が低下するなどの問題がある。
(a)成分は、ペンタエリスリトール、および/または、(ジ)ペンタエリスリトールから誘導される構造と、9つ以上の重合性二重結合基とを有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートである。(a)成分は、ラジカル重合性光重合開始剤等の存在下で、紫外線等の活性エネルギーを照射することにより重合反応や架橋反応を起こす成分であり、光拡散層12に耐擦傷性、耐熱性を付与する。(a)成分としては、例えば、(a1)成分:トリイソシアネート化合物と、(a2)成分:(ジ)ペンタエリスリトールとを反応させて得られたものが好ましい。
(b)成分は、ウレタン結合を有さず、分子量500以上で硬化物のtanδピークが70℃未満である2つの(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物である。(b)成分は、ラジカル重合性光重合開始剤の存在下で、紫外線等の活性エネルギー線照射をすることにより、重合反応や架橋反応を起こす成分である。さらに(a)成分と混合することにより、主に光拡散層12の成形性を向上させ、柔軟性の付与、耐擦傷性の付与を行うための成分である。
中でも、ポリブチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキシドの付加数が6モル以上のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFのエチレンオキシドの付加数が6モル以上のジ(メタ)アクリレートが、樹脂組成物の硬化物の引張り弾性率の調整の点で好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の(b)成分の配合量は特に限定されないが、(a)〜(c)成分の合計100質量部に対して5〜55質量部であり、10〜40質量部が好ましく、15〜35質量部がより好ましい。上記範囲の下限値未満であると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度を低減する効果が現れないおそれがあり、さらには硬化物の靭性が低下して耐擦傷性の向上効果が充分に発現しないおそれがある。上記範囲の上限値を超えると、硬化物の引張り弾性率が低くなりすぎて、好ましいとされる光拡散層12の厚みの範囲(1〜12μm)ではプリズムシート10においてプリズム面側に反りが生じるおそれがあるためである。
(c)成分は、25℃における粘度が50mPa・s以下の、脂肪族化合物である。(c)成分は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度を低下させる成分である。(c)成分としては、例えば、ジアクリレートとしては、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(HPN)、ポリエチレングリコール200ジアクリレート(PE−200)、ポリエチレングリコール300ジアクリレート(PE−300)、ポリエチレングリコール400ジアクリレート(PE−400)、ポリプロピレングリコール400ジアクリレート(PP−400)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、2−エチル−2ブチル−プロパンジオールジアクリレート(C9A)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(L−C9A)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPA)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(DCP)等が挙げられる。
アクリレートおよびメタクリレートのどちらも含む化合物としては、2−ヒドロキシ−3−アクロイロキシプロピルメタクリレート(G201P)等を挙げることができる。
(c)成分の配合量は、(a)〜(c)成分の合計100質量部に対して5〜50質量部であり、好ましくは10〜45質量部である。(c)成分の配合量が上記範囲の下限値未満では樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、上記範囲の上限値を超えると、(a)成分および(b)成分の樹脂組成物中に占める割合が低下し、硬化物の耐熱性、耐擦傷性の向上効果が充分に発現しなくなるためである。
(d)成分は、重合開始剤である。(d)成分は、具体的には光重合開始剤や熱重合開始剤である。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。また、市販の光重合開始剤を使用してもよい。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(d)成分の配合量は特に限定されず、(a)〜(c)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、特に好ましくは0.1〜4質量部である。(d)成分の配合量が上記範囲の下限値未満では、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の活性エネルギー線による充分な硬化性が得られないおそれがある。上記範囲の上限値を超えると、光拡散層12が黄色く着色する、基材との密着性が低下する等の場合があるためである。
さらに、光拡散層12の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、(e)成分:その他成分として、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、熱安定剤、被膜物質改質剤、難燃剤、重合防止剤、光重合促進剤、増感剤、離型剤等の各種添加物を含有させても良い。
(e)成分の配合量は、本発明の本質的な硬化に影響しない範囲であれば、特に限定されない。例えば、(a)〜(c)成分の合計量100質量部に対して、好ましくは0〜10質量部、より好ましくは0〜4質量部で決定することができる。
透光性基材14としては、活性エネルギー線を透過するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂等の樹脂からなるフィルム、シート、板等を使用することができる。また、帯電防止、反射防止、基材同士の密着性防止等の他の処理を施すこともできる。透光性基材14の厚さは特に限定されない。透光性基材14の厚さが厚いほど、プリズムシート10の反りを小さくできると考えられる。ただし、薄い厚さのプリズムシート10が、一般に求められることから、透光性基材14の厚さは、例えば50〜200μmのものが好ましい。また、透光性基材14には、プリズム層20との密着性を向上させるための表面処理部を有しても良い。表面処理としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等からなる易接着性を有するものが挙げられる。また、透光性基材14の表面を粗面化処理したものであっても良い。
プリズム層20は、中間層16とプリズム列18とにより構成されている。プリズム層20の厚さは特に限定されないが、例えば、15〜100μmの範囲で決定することが好ましい。上記範囲の下限値未満であるとプリズム形状の再現性が困難となり、上記範囲の上限値を超えるとプリズムピッチが大きくなり、液晶パネルの画素ピッチと干渉してモアレが発生するためである。
プリズム列18の形状は特に限定されず、プリズムシート10に求める性能に合わせて適宜決定することができる。例えば、高輝度バックライト用のプリズムシートでは、プリズム列18の高さを15〜75μm程度、プリズム頂角を45〜75°程度、プリズム列18のピッチを10〜70μm程度とすることが好ましい。
中間層16の材質は、プリズム列18と同様である。
中間層16の厚さとしては、硬化収縮によるプリズム列18の変形を小さくすることができる体積が十分あればよく、例えば、1〜15μmの範囲で決定することが好ましい。
本発明のプリズムシート10の製造方法は、前記透光性基材に、前記(a)成分と、前記(b)成分と、前記(c)成分と、前記(d)成分とを主成分とし、50℃における粘度が200mPa・s以下である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布する工程と、前記透光性基材に塗布された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、前記光拡散層の凹凸に対応した凹凸パターンが形成された面を押圧する工程と、前記透光性基材を通して活性エネルギー線を照射して、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して賦形する工程とを有するものである。
本発明のプリズムシート10の製造方法の一例について、図2に基づいて説明する。図2は、本発明の実施に用いられるプリズムシート製造装置の一例を示す模式図である。この製造方法は、光拡散層12の表面の凹凸を円筒形の型で賦形する方法である。
製造装置40は、型ロール46と、ニップロール48と、固定ロール49と、活性エネルギー線発光源50と、タンク42とを有する。タンク42には、ノズル44が備えられている。ニップロール48は、ニップロール48の軸方向と、型ロール46の軸方向とが平行で、かつ、型ロール46との間に任意の間隙を有して設置されている。型ロール46の二次側には、固定ロール49が配置されている。活性エネルギー線発光源50は、型ロール46の周面にエネルギー線を照射できるように配置されている。
ニップロール48の材質は特に限定されず、ゴム材等が挙げられる。
次いで、得られたシート56の、光拡散層12を設けた面と反対側の面に、プリズム層20を設けることで、凹凸が形成された光拡散層12を有するプリズムシート10を製造することができる。
さらに、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物のtanδピークを60℃とすることで、耐熱性の向上を図ることができる。前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物の引張り弾性率を2.7GPa以上とすることで、さらなる反り発生防止を図ることができる。
本発明によれば、光拡散層に(a)成分と、(b)成分と、(c)成分と、(d)成分とを有し、50℃における粘度が200mPa・s以下である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を透光性基材に塗布し、凹凸パターンを刻設した型を押圧し、活性エネルギー線を照射することで、容易にプリズムシートを製造することができる。
(評価手段)
<耐擦傷性の評価>
耐擦傷試験は、染色物摩擦堅牢度試験機(型式RT−200、株式会社大栄化学精機製作所製)の平滑型摩擦子のヘッドの中心に、5mm四方のPET製フィルム(厚さ188μm)を貼り、それを覆うように15mm四方のアンチグレアタイプの偏光フィルムの凹凸面が表面となるように貼付した。試験台に厚さ2mmのガラス板を固定し、該ガラス板の上にプリズムシートの光拡散層が表面となるように貼付し、摩擦子を2Nの力で押圧しながら10往復させて、光拡散層の状態を目視で評価した。損傷が確認できた場合を×、損傷が確認できない場合を○とした。
作製したプリズムシートをプリズム稜線方向と垂直な向きを縦方向とし、縦195mm、横309mmに切断し、試験片とした。前記試験片を60℃、相対湿度30%の環境下にプリズム面を上にして4時間放置した。反り量測定は、23℃、相対湿度50%環境下で、平坦なステージの上に置き、マイクロスコープを用いて、ステージ面からの四隅の垂直距離を観測し、その平均値で評価した。プリズムの反りがない場合、あるいは反りの程度が小さい場合は、確認のためにプリズム面を下側にして同様の測定をした。反りが、プリズム側のものを「+」、光拡散層側のものを「−」として標記した。
《試験片の作製》
内側面を鏡面仕上げした、70mmφのガラスモールド2枚を200μmの間隔となるように配置し、その周囲をポリエステルテープで囲んで型を作製した。そして、この型の内部に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を注入し、コンベア型UV照射装置(10インチDバルブ、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製)により、1000mJ/cm2の紫外線を型の外側から照射し、板状の樹脂組成物の硬化物を得た。
次の方法により引張り弾性率は、動的弾性率E’として、同時にtanδのプロファイルよりtanδピークが得られる。板状の樹脂組成物の硬化物を長さ30mm、幅10mmに切断したものを試験片とした。動的弾性率E’の測定は、動的粘弾性測定装置(DMS6100、セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて、引張りモード、周波数10Hz、昇温速度3℃/min、サンプリングレート15秒の条件で行った。
粘度は50℃における樹脂組成物をB型粘度計(TVB−10、東機産業株式会社、ロータNo.10)で少量アダプターを用いて測定した。
直径200mmφ、長さ3400mmの鉄心外周部に、厚さ300μmの銅メッキを施し、さらに銅の酸化防止のためにニッケルメッキを施した型ロールを作成し、これを回転させながらブラスト加工を行った。ブラスト加工は、型ロールの表面から290mmの距離に8mmφのブラストノズルを設置し、該型ロールの回転中心に向かって、吐出圧0.5MPaで、型ロールの周面前面に研削材を吹き付け、微細凹凸形状を有する型ロールを作製した。前記研削材には、粒径が45μm以下のガラスビーズ(J400、ポッターズ・バロティーニ社製)を用いた。
次いで、図2の製造装置40と同様に、前記型ロールと、ゴムニップロールとを平行に配置した。型ロールとゴムニップロールとの間に、両面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との密着を向上させるためのコーティング処理をした厚さ188μmのPET製フィルム(T910E、三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製)からなる透光性基材を型ロールに添って供給した。そして、ゴムニップロール(ゴム硬度90度)と型ロールとの間で、前記透光性基材をニップした。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をゴムニップロールによって、型ロールへとニップされている透光性基材の型ロール側に供給しながら、透光性基材を8m/minの速度で移動させた。型ロールを回転させながら、紫外線照射装置から紫外線(メタルハライドランプ、120W/cm)を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を重合硬化させ、型ロールの形状転写面の凹凸を転写させた。その後、型ロールから離型し、透光性基材の一方の面に光拡散層が形成された積層体を得た。
プリズム列の形状に対応するパターンが複数形成された型ロールと、ゴムニップロール(ゴム硬度20度)との間に、光拡散層が形成された側と反対側の面が型ロール側となるように、「(製造例1)」で得られた積層体を供給した。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をゴムニップロールによって、型ロールへとニップされている透光性基材の型ロール側に供給しながら、透光性基材を5m/minの速度で移動させた。型ロールを回転させながら、紫外線照射装置から、紫外線(高圧水銀灯、240W/cm×2灯)を照射することで、プリズム列と中間層を一体としたプリズム層を形成させ、プリズムシートを得た。プリズム列は、頂角68°のプリズム列が、ピッチ50μm、および30μmで配列されたものを形成させた。
硝子製フラスコに、イソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート117.6g(0.7モル)およびイソシアヌレート型のヘキサメチレンジイソシアネート3量体151.2g(0.3モル)と、水酸基を有する(メタ)アクリルロイル化合物として、2−ヒドロキシプロピルアクリレート128.7g(0.99モル)およびペンタエリスリトールトリアクリレート693g(1.54モル)と、触媒として、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫100質量ppmと、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.55gと、を加え、70〜80℃の温度で残存イソシアネート濃度が0.1質量%以下になるまで反応させ、ウレタンアクリレート化合物(UA1)を得た。
硝子製フラスコに、イソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート環状3量体151.2g(0.3モル)と、水酸基を有するアクリルロイル化合物として、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート577g(1.1モル)と、触媒として、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫100質量ppmと、重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.30g、希釈剤としてヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート82.7g(2.65)モルとを仕込み、50℃の条件にて残存イソシアネート濃度が0.1質量%以下になるまで反応させ、ウレタンアクリレート化合物(UA2)を得た。
<光拡散層>
光拡散層を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、下記の配合に従って混合し、樹脂組成物Aを得た。得られた樹脂組成物Aを用い、50℃の粘度、tanδピーク、引張り弾性率を測定し、その結果を表1に示す。
(b)成分:ウレタン結合を有さず、分子量500以上で硬化物のtanδピークが70℃未満である2つの(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物として、アクリエステルPBOM(前記(I)式においてl=9である化合物、三菱レイヨン株式会社製)・・・25質量部
(c)成分:25℃における粘度が50mPa・s以下である脂肪族化合物として、ニューフロンティアHPN(ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、第一工業製薬株式会社製)・・・20質量部
(d)成分:重合開始剤として、イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロフェニルケトン、日本チバガイギー株式会社製)・・・1.6質量部
合成例2で調製したウレタンアクリレート化合物UA2・・・55質量部
得られた樹脂組成物Aを用いて、前述の製造例1に従い、ニップ圧を0.12MPaとして光拡散面の賦形を行った。ここでUA2には、(a)成分:ペンタエリスリトール、および/または、ジペンタエリスリトールから誘導される構造と、9つ以上の重合性二重結合基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート化合物と、(c)成分:25℃における粘度が50mPa・s以下である脂肪族化合物とのどちらも含まれるので、(a):(b):(c):(d)の質量分率は42.5:25:32.5:1.6となった。
プリズム列および中間層を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、RP4000S(三菱レイヨン株式会社製)を用いて、前述の製造例2に従い、ニップ圧を0.12MPaとしてピッチ50μmのプリズム列の賦形を行い、プリズムシートAを得た。得られたプリズムシートAについて、耐擦傷性の評価、反りの評価を行い、その結果を表1に示す。
光拡散層を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、下記の配合を用い、実施例1と同様にして樹脂組成物Bを得た。得られた樹脂組成物Bを用い、50℃の粘度、tanδピーク、引張り率を測定し、その結果を表1に示す。また、得られた樹脂組成物Bを用い、光拡散層形成時のニップ圧を0.2MPaとし、プリズム形成時のニップ圧を0.13MPaとした以外は実施例1と同様にして、プリズムシートBを得た。得られたプリズムシートBについて、耐擦傷性の評価、反りの評価を行い、その結果を表1に示す。
(b)成分:アクリエステルPBOM・・・20質量部
(c)成分:ニューフロンティアHPN・・・25質量部
(d)成分:イルガキュア184・・・1.6質量部
ウレタンアクリレート化合物UA2・・・55質量部
ここでUA2には(a)成分と(c)成分のどちらもが含まれるので、(a):(b):(c):(d)の質量分率は42.5:20:37.5:1.6となった。
光拡散層を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、下記の配合を用い、実施例1と同様にして樹脂組成物Cを得た。得られた樹脂組成物Cを用い、50℃の粘度、tanδピーク、引張り弾性率を測定し、その結果を表1に示す。また、得られた樹脂組成物Cを用い、光拡散層形成時のニップ圧を0.1MPaとし、プリズム形成時のニップ圧を0.16MPaとした以外は実施例1と同様にして、プリズムシートCを得た。得られたプリズムシートCについて、耐擦傷性の評価、反りの評価を行い、その結果を表1に示す。
(a)成分:ウレタンアクリレート化合物UA1・・・50質量部
(b)成分:アクリエステルPBOM・・・33質量部
(c)成分:PE−200(ポリエチレングリコール200ジアクリレート、第一工業製薬株式会社製)・・・17質量部
(d)成分:イルガキュア184・・・1.6質量部
光拡散層形成時のニップ圧を0.5MPaとし、プリズムのピッチを30μm、プリズム形成時のニップ圧を0.2MPaとした以外は、実施例1と同様にして、プリズムシートDを得た。得られたプリズムシートDについて、耐擦傷性の評価、反りの評価を行い、その結果を表1に示す。
光拡散層を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、プリズム列の形成に用いる樹脂組成物(RP4000S)を使用し、光拡散層形成時のニップ圧を0.26MPaとし、プリズム形成時のニップ圧を0.13MPaとした以外は、実施例1と同様にしてプリズムシートE−1を得た(比較例1)。また、プリズム形成時のニップ圧を0.10MPaとした以外は、実施例1と同様にしてプリズムシートE−2を得た(比較例2)。得られたプリズムシートについて反りの評価を行ったところ、反りをキャンセルする為には15μm以上の光拡散層が必要となる為、耐擦傷試験を行うまでもなく、プリズムシートE−1、2を規格外と判断した。また、RP4000Sについて、50℃の粘度、tanδピーク、引張り弾性率を測定し、その結果を表1に示す。
重合反応容器の2Lのセパラブルフラスコにトルエン106質量部、メチルエチルケトン(MEK)71質量部、メチルメタクリレート(MMA)69質量部、アクリル酸エチル(EA)25質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)5質量部、MAA1質量部を計り取り、攪拌しながら、窒素によるバブリングを30分間行った。その後、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.45質量部を加えた後、90℃に昇温し、その状態で5時間保持した。さらにAIBN1質量部を加えて、4時間保持した後、室温まで冷却して反応を完了した。こうしてアクリル樹脂Aの溶液を得た。
アクリル樹脂Aは、分子量=75100、水酸基価=21.6mgKOH/g、酸価=2.1mgKOH/g、tanδピーク=61℃であり、アクリル樹脂Aの溶液の加熱残分は36.0質量%であった。
光拡散材として、第一光拡散材であるシリコーン樹脂微粒子(屈折率:1.42、平均粒子径:3.0μm、真比重:1.32、商品名:トスパール130、GE東芝シリコーン株式会社製)70質量%と、第二光拡散材であるアクリル樹脂微粒子(屈折率:1.49、平均粒子径:3.0μm、真比重:1.20、商品名:XX−57B、積水化成品工業株式会社製)30質量%の混合物を得た。
溶媒として、MEK40質量%とトルエン60質量%との混合液を調製した。
架橋剤(デュラネートTPA−100:旭化成ケミカルズ株式会社製)は、アクリル樹脂Aの固形分92.8質量%に対して7.2質量%となるように計量した。
そして、アクリル樹脂Aの溶液258質量部と、光拡散材28質量部と、溶媒328質量部と、架橋剤7.2質量部とを攪拌混合し、光拡散層形成用の塗工液を調製した。
リバースグラビアコート法により、前記塗工液をPET製フィルム(T910E、三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製)の片面に塗布し、凹凸面を有する光拡散層を形成させた。得られたフィルムの光拡散層と反対側に、ニップ圧を0.20MPaとした以外は、実施例1と同様にしてプリズムを賦形した。
そして、実施例1〜4の通り、樹脂組成物A〜Cは10μm以下の厚さで光拡散層を形成できたが、比較例1、2の樹脂は、反りをキャンセルする為の光拡散層が10μmを超える厚さとなった。このことから、樹脂組成物A〜Cでは、薄肉化が容易であることが判った。
さらに、実施例1〜4では、プリズムシートの反りがいずれも1mm未満であり、薄肉化した際にも、反り発生防止に優れていることが判った。
実施例1〜4のプリズムシートは、耐擦傷性試験において、損傷は認められなかった。一方、比較例3では、耐擦傷試験において、損傷が認められた。このことから、光拡散層に樹脂組成物A〜Cを用いた実施例1〜4は耐擦傷性に優れることが判った。
12 光拡散層
14 透光性基材
20 プリズム層
Claims (3)
- 透光性基材の一方の面にプリズム層を有し、
前記透光性基材の他方の面に、表面に凹凸が形成された光拡散層を有するプリズムシートであり、
前記光拡散層は、50℃における粘度が200mPa・s以下である、下記(a)〜(d)成分を主成分とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から得られることを特徴とするプリズムシート。
(a)成分:ペンタエリスリトール、および/または、ジペンタエリスリトールから誘導される構造と、9つ以上の重合性二重結合基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート化合物(30〜60質量部)
(b)成分:ウレタン結合を有さず、分子量500以上で硬化物のtanδピークが70℃未満である2つの(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(5〜55質量部)。
(c)成分:25℃における粘度が50mPa・s以下である脂肪族化合物(5〜50質量部)。
(d)成分:重合開始剤。
[但し、上記の(a)成分、(b)成分、(c)成分の合計は100質量部である。] - 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は、tanδのピーク温度が60℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のプリズムシート。
- 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の前記硬化物は、25℃における引張り弾性率が2.7GPa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のプリズムシート。
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