JP4461011B2 - μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物及びその選択的製造方法 - Google Patents

μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物及びその選択的製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機感光体等の電荷発生材料、光導電性材料、光記録材料、有機太陽電池材料、非線形光学材料等に有用な、新規なμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属フタロシアニン系化合物は、半導体レーザーの発信波長域である800nm前後に感度を有する有機光導電性物質として注目されている。このような有機光導電性物質を有効成分とする有機感光体(OPC)は多数提案されており、例えば、チタニルフタロシアニン系化合物を電荷発生材料として用いた有機感光体が実用化されている。
【0003】
また、最近では、発光ダイオード(LED)の普及等による光源の短波長化やカラーレーザービームプリンター(LBP)用OPC等に適した、新たな性能が付与された中−高感度を有する電荷発生材料の探索も精力的に行われている。
光の照射によってフタロシアニン(Pc)化合物は電荷を発生し、その結晶変態、中心金属の有無および種類などにより様々な電気特性を示すことが知られている。
【0004】
例えば、2種または2種以上のフタロシアニン化合物の混合結晶に関して、特開平2−272067号には、無金属フタロシアニンに、該無金属フタロシアニンに対して同量以下のチタニルフタロシアニンを加えた後、攪拌を行って結晶転移を行わしめるX型無金属フタロシアニン組成物の製造方法が記載されている。特開平4−351673号には、オキシチタニウムフタロシアニンと少なくとも1種のヒドロキシメタルフタロシアニンとからなる混合結晶が記載されている。特開平4−184452号には、チタニルフタロシアニンと多層型フタロシアニン誘導体とを含有する塗布液が記載されており、感光体に用いられている。特開平8−67829号には、フタロシアニン系化合物の少なくとも2種以上を酸に溶解させ、これを水と誘電率20以下の有機溶媒の混合液に添加し、フタロシアニン混晶体として析出させることを特徴とするフタロシアニン混晶体の製造方法が記載されている。特開2002−12790号には、少なくとも3種の中心物質の異なるフタロシアニンからなる混晶が記載されている。
【0005】
さらに、特開平9−217020号には新規な結晶変態を有するμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が記載されており、特開平10−88023号にはμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体が記載されている。また、特開平7−295259号には、アルコキシ橋かけ金属フタロシアニン二量体が記載されている。
【0006】
特開平6−145550号には、チタニルフタロシアニン及び中心金属が3価のハロゲン化金属フタロシアニンを含むフタロシアニン混合物を、アシッドペースティング法により水中に再沈させる方法が記載されている。しかしながら、上記文献には、μ−オキソ架橋型の化合物についての記載はなく、またそれらを選択的に得ることについての記載もない。
【0007】
μ−オキソ異種金属フタロシアニン二量体に関して、特開2000−219817号には、μ−オキソ−アルミニウム/ガリウムフタロシアニン二量体が記載されている。しかしながら、ここに記載のフタロシアニン二量体は、確率論的に必ず、μ−オキソアルミニウムフタロシアニン二量体とμ−オキソガリウムフタロシアニン二量体との3種の混合物として得られるものである。
【0008】
また、米国特許第4900817号には、例えば、(HO)GePc−O−SiPcOSi(C13であるような多環フタロシアニン化合物が記載されている。しかしながら、この多環フタロシアニン化合物は、中心金属が4価のSiやGeである。また、その製法はヒドロキシ基置換金属(IV)フタロシアニンの有機溶剤中での脱水反応によるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電荷発生材料として、有機感光体に光感度や電気特性について多様性をもたせることができる、新規なμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、このμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物が簡便且つ選択的に高収率で得られる製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、式
Figure 0004461011

[式中、M1は最大3の原子価をとることができる金属原子(但しインジウムを除く)を表し、M2は4の原子価をとることができる金属原子を表し、Rはそれぞれ独立して水素、1またはそれ以上の置換基および/または置換原子を表し、(Am−)はm価の対アニオンAを表し、n/mは対アニオンの個数を表し、nはM2の原子価に対応して0または1〜3から選択される整数を表し、mは1又は2を表す。]
で示されるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物を提供するものであり、そのことにより上記の目的を達成できる。
【0011】
また、本発明は、中心金属がハロゲン化金属(III)であるフタロシアニンと中心金属がオキシ金属(IV)であるフタロシアニンとを等モルづつ反応させる工程を包含する、μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の製造方法を提供するものであり、そのことにより上記の目的を達成できる。
【0012】
さらに、本発明は、中心金属がハロゲン化金属(III)であるフタロシアニンと中心金属がオキシ金属(IV)であるフタロシアニンとを等モルづつ反応させる工程、および得られた化合物をアンモニア水を用いて洗浄する工程を包含する、μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の製造方法を提供するものであり、そのことにより上記の目的を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1のXRDスペクトルである。
【図2】図2は、実施例1のTOF−MSスペクトルである。
【図3】図3は、実施例2のXRDスペクトルである。
【図4】図4は、実施例2のTOF−MSスペクトルである。
【図5】図5は、実施例4のXRDスペクトルである。
【図6】図6は、実施例4のTOF−MSスペクトルである。
【図7】図7は、実施例6のTOF−MSスペクトルである。
【図8】図8は、実施例7のTOF−MSスペクトルである。
【図9】図9は、実施例7のH−NMRスペクトルである。
【図10】図10は、実施例7の13C−NMRスペクトルである。
【図11】図11は、実施例7のIRスペクトルである。
【図12】図12は、実施例7の近紫外−可視−近赤外吸光スペクトルである。
【図13】図13は、比較例2のTOF−MSスペクトルである。
【0014】
【発明の実施の形態】
発明の詳細な説明
本発明のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物は、中心金属としてM1を含む金属フタロシアニンと中心金属としてM2を含む金属フタロシアニンの中心金属原子同士(M1、M2)がオキソ架橋した構造の化合物である。M1は、最大3の原子価をとることができる金属原子を意味する。例えば周期表3A族(例えばSc、Y)もしくは3B族(例えばAl、Ga、Tl)の金属原子はM1に含まれる。M2は4の原子価をとることができる金属原子を意味する。例えば周期表4A〜7A族、8族、および4B〜6B族の金属原子はM2に含まれる。周期表3A族もしくは3B族の金属原子(例えばAl、Ga)はM2に含まれない。尚、μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の構造中に含まれる状態では、M2は3価の形態で存在していてもよい。
【0015】
本発明のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物は、それらの芳香族環上にそれぞれ1以上の置換基および/または置換原子(R)を有していてもよい。置換基や置換原子の種類は、化合物中に安定に存在するものであれば特に限定されない。具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソアミル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基)、フェノキシ基、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基)、アリル基、アルケニル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、I、F等)、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられる。
【0016】
また、本発明のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物は、中心金属原子(M2)の原子価に対応して正電荷(n)を帯びることがある。そのため、溶液中では通常、適当な対アニオン(A)を伴う形態で存在する。対アニオン(A)としては、例えばヒドロキシイオン(OH)、ハロゲンイオン(例えばCl)、硫酸水素イオン(HSO )等の1価の無機アニオン、あるいは硫酸イオン等の2価の無機アニオンが挙げられる。好ましくは、反応後、アンモニア水を用いて洗浄した場合のヒドロキシイオン(OH)である。
【0017】
上記のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物は、中心金属がハロゲン化金属(III)であるフタロシアニン(以下、ハロゲン化金属フタロシアニンという。)と中心金属がオキシ金属(IV)であるフタロシアニン(以下、オキシ金属(IV)フタロシアニンという。)とを反応させて製造される。
【0018】
ハロゲン化金属(III)フタロシアニンは、例えば、式
Figure 0004461011

[式中、RおよびM1は上記と同意義であり、Xはハロゲン原子を表す]で示される。
【0019】
ハロゲン化金属(III)フタロシアニンは公知の方法を使用して得ることができる。例えば、1−クロロナフタレンまたはキノリンなどの高沸点有機溶媒中、フタロニトリル、1,3−ジイミノイソインドリン、あるいはそれらの誘導体を、3価の金属原子のハロゲン化物と共に反応させることにより得ることができる。さらに、生成物を、熱時濾過後、熱DMFおよびDMF等により洗浄することができる。ハロゲン化物のハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくは塩素である。
【0020】
上記ハロゲン化金属(III)フタロシアニンの中心金属原子M1の好ましい例として、アルミニウム[Al(III)]、ガリウム[Ga(III)]が挙げられる。但し、M1としてインジウム[In(III)]を使用しないことが好ましい。中心金属がインジウムであるハロゲン化金属(III)フタロシアニンの場合、硫酸処理によってInがフタロシアニン環より脱離し、無金属フタロシアニンが副生するため、本発明の反応が生じにくくなるからである。
【0021】
ハロゲン化金属(III)フタロシアニンとしては、好ましくはクロロガリウムフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニンが挙げられる。
【0022】
また、オキシ金属(IV)フタロシアニンは、例えば、式
Figure 0004461011

[式中、RおよびM2は上記と同意義である]で示される。
【0023】
オキシ金属(IV)フタロシアニンは公知の方法を使用して得ることができる。例えば、1−クロロナフタレンまたはキノリンなどの高沸点有機溶媒中、フタロニトリル、1,3−ジイミノイソインドリン、あるいはそれらの誘導体を、3〜6価の金属原子のハロゲン化物(例えば、塩化チタン、塩化バナジル、塩化モリブデン)と共に反応させ、次いで得られた(ジ)ハロゲン化金属フタロシアニンを加水分解することにより得ることができる。加水分解は、DMF等による洗浄によって起こり得るが、必要により稀塩酸水中で行うことが好ましい。
【0024】
上記オキシ金属(IV)フタロシアニンの中心金属原子M2としては、チタン(Ti)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)等が挙げられる。好ましいオキシ金属(IV)フタロシアニンは、チタニルフタロシアニン[O=TiPc]、バナジルフタロシアニン[O=VPc]、オキシモリブデンフタロシアニン[O=MoPc]である。特に、チタニルフタロシアニンが好ましい。
【0025】
例えばチタニルフタロシアニンは、一般に、1−クロロナフタレンまたはキノリンのような高沸点有機溶媒中、フタロニトリルもしくは1,3−ジイミノイソインドリンをチタン塩化物(例えば、四塩化チタン)と共に反応させ、次いで、得られたクロロチタニウムフタロシアニンを、稀塩酸水中で加水分解することにより得ることができる。あるいは、フタロニトリルと四塩化チタンとを、アルコール溶媒中、プロトン授受型反応促進剤(例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU)または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN))の存在下で加熱還流させ、得られたジクロロチタニウムフタロシアニンを稀塩酸水中で加水分解することにより得ることができる(特開平3−21669号)。
【0026】
本発明のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物は、上記のハロゲン化金属(III)フタロシアニンとオキシ金属(IV)フタロシアニンとを反応させることにより製造できる。ハロゲン化金属(III)フタロシアニンと、オキシ金属(IV)フタロシアニンの混合モル比は1:1、等モルであり、且つ好ましい。この混合比での反応で、目的とするμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニンが高収率で選択的に得られるからである。
【0027】
上記反応として、例えば、濃硫酸の存在下に、ハロゲン化金属(III)フタロシアニンとオキシ金属(IV)フタロシアニンとを等モルづつ混合して反応させる方法が挙げられる。濃硫酸として濃度95%以上の硫酸を使用するのが好ましい。
【0028】
具体的には、ハロゲン化金属(III)フタロシアニンとオキシ金属(IV)フタロシアニンを、冷却下(例えば5℃以下)で濃硫酸に溶解して2〜3時間反応させることができる。さらに、この反応後に、反応化合物を大量の水/氷中に注ぐことで化合物を析出させることができる。この操作によって化合物を微細化・精製することができる。
【0029】
なお、反応物等を濃硫酸に溶解し、その溶解物を水/氷中に注ぐことで固体を析出させて、微細化・精製する処理を「アシッドペースティング処理」という。本発明では、いわゆるアシッドペースティング処理によって、ハロゲン化金属(III)フタロシアニンとオキシ金属(IV)フタロシアニンとを反応させてμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物が得られることとなる。
【0030】
上記反応の後、得られた化合物をさらに引き続きアンモニア水を用いて洗浄することにより、反応化合物から酸根を簡便に除去することができる。具体的には、水およびアンモニア溶液に反応化合物を加え、次いで濾取した化合物を水およびイオン交換水で十分に洗浄し、乾燥することにより、化合物を簡便に精製することができる。使用に好ましいアンモニア水は濃度1%以上、好ましくは5〜50%のものであり、特に濃度25%のアンモニア水を使用するのが好ましい。
【0031】
この方法によりμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物を簡便且つ選択的に高収率で製造することができる。
本発明のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の製造に好ましいハロゲン化金属(III)フタロシアニン/オキシ金属(IV)フタロシアニンの組合せとして、クロロガリウムフタロシアニン/チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン/バナジルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン/オキシモリブデンフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン/チタニルフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン/オキシモリブデンフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン/オキシパラジウムフタロシアニン等が挙げられる。さらに、これらのハロゲン化金属(III)フタロシアニン/オキシ金属(IV)フタロシアニンはそれらの芳香族環上に1以上の置換基および/または置換原子を有していてもよい。
【0032】
このようにして得られる本発明のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニンは、有機感光体等の電荷発生材料、光導電性材料、光記録材料、有機太陽電池材料、非線形光学材料等に有用である。
【0033】
【発明の効果】
本発明により、従来、選択的製造が困難なため混合系から分離・精製することで単品を得ていた、「D−σ−A型色素」(ドナー色素(D)とアクセプター色素(A)がσ結合でつながっている色素をいう。)であるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物が容易に得ることができる。このμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物は、有機感光体等の電荷発生材料、光導電性材料、光記録材料、有機太陽電池材料、非線形光学材料等に有用である。また、本発明によって、分子内電子状態の分極を一義的に誘起できるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物を、ハロゲン化金属(III)フタロシアニンとオキシ金属(IV)フタロシアニンとを反応させることによる簡便で且つ選択的に高収率で得ることができる。
【0034】
【実施例】
実施例
以下、合成例及び実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0035】
合成例1
チタニルフタロシアニンの合成[特開平3−21669号、実施例1に記載の方法]
フタロニトリル76.2g(約0.6mol)、四塩化チタン56.4g(約0.3mol)、及びn−アミルアルコール200mlの混合物中に、加熱還流下1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU)91.8g(約0.6mol)を約1時間かけて滴下し、さらに加熱還流下6時間攪拌した。反応終了後、100℃まで放冷し、水約30mlを加え、しばらく攪拌した後、生成物を濾取し、ジメチルホルムアミド(DMF)100ml、次いでメタノール100mlを振りかけ洗浄した。得られたジクロロチタニウムフタロシアニンを3%の塩酸水1000mlに分散し、pHが6以上になるまで水洗した。次いでこの水湿潤ケーキを、予め100〜120℃に加熱したDMF約500mlへ投入し、この温度で約1時間攪拌した後、熱時濾過した。得られたDMF湿潤ケーキをメタノール100mlで置換して、乾燥し、チタニルフタロシアニン[O=TiPc]29.1gを得た。
【0036】
合成例2
バナジルフタロシアニンの合成[特開平7−247442号、合成例1に記載の方法]
フタロニトリル32.5gと三塩化バナジウム10.0gとをキノリン125g中で235℃において5〜6時間反応させ、生成物を濾取して後、200mlのDMF(ジメチルホルムアミド)で洗浄し、必要により稀塩酸水を用いて加水分解することによりバナジルフタロシアニン[O=VPc]19.0gを得た。
【0037】
合成例3
オキシモリブデンフタロシアニンの合成[特開平8−60021号、実施例2に記載の方法]
フタロニトリル25.6gと三塩化モリブデン10.0gを1−クロロナフタレン150ml中で5時間反応させた。反応終了後、熱時生成物を収集し、ケーキをジメチルホルムアミド(DMF)で振り掛け洗浄した後、再度DMF120mlに分散させ、5時間攪拌還流後、再度熱時濾過を施し、メタノールでDMFを置換した。必要により稀塩酸水を用いて加水分解することにより、15.5gのオキシモリブデンフタロシアニン[O=MoPc]を得た。
【0038】
合成例4
クロロガリウムフタロシアニンの合成[特開平10−88023号、合成例1に記載の方法]
四つ口フラスコにフタロニトリル145.5g(1.13mol)と1−クロロナフタレン680ml及び塩化ガリウム(III)50.0g(0.284mol)を仕込み、加熱した。255℃で12時間還流下撹拌した。その後、還流を停止し、130℃程度まで放冷後熱時濾過して、熱ジメチルホルムアミド(100℃ DMF)2000ml、DMF1000mlを用いて振りかけ洗浄した。得られたケーキをDMF1500mlに再度分散し、3時間撹拌還流した後、110℃で熱時濾過後、熱DMF(110℃)1000ml、DMF1000mlを用いて振りかけ洗浄した。この操作を2度繰り返した後、得られたケーキをメタノール1000ml及び水1000mlで洗浄した後、70℃で乾燥して、クロロガリウムフタロシアニン[ClGaPc]128.8g(収率73.5%)を得た。
【0039】
合成例5
クロロアルミニウムフタロシアニンの合成[特開平9−217020号、合成例1に記載の方法]
4口フラスコにフタロニトリル180.0g(1.41mol)と1−クロロナフタレン900ml及び塩化アルミニウム(III)47.0g(0.353mol)を仕込み、加熱した。240℃で6時間還流下撹拌した。その後、還流を停止し、130℃程度まで放冷後熱時濾過して、熱トルエン(100℃ )1800ml、トルエン80ml、アセトン900mlを用いて振りかけ洗浄し、トルエン100mlで置換した。得られたケーキをトルエン750ml中で3時間攪拌還流した後、100℃で熱時濾過後、熱トルエン(100℃)1800ml、トルエン180ml、アセトン900mlで洗浄して、水400mlで溶媒置換した。得られたケーキを水4500mlに加え、70℃で1時間加熱分散した。熱時濾過後、アセトン900ml、水1000mlで洗浄し、70℃で乾燥してクロロアルミニウムフタロシアニン[ClAlPc]187.6g(収率92.5%)を得た。
【0040】
合成例6
合成例4で得られたクロロガリウムフタロシアニンを濃硫酸に溶解し、アシッドペースティング処理を行った。こうして得られた生成物は日本化学会誌 12,878,1997に記載されるように、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)と、μ−オキソガリウムフタロシアニン二量体(PcGa−O−GaPc)の混合物であることがわかっている。
【0041】
合成例7
テトラキスtert−ブチル−チタニルフタロシアニンの合成
合成例1における出発物質(フタロニトリル)を、tert−ブチル−フタロニトリルに代えたこと以外は、合成例1と同様にしてテトラキスtert−ブチル−チタニルフタロシアニン[O=TiPc(t−Bu)]を合成した。
【0042】
合成例8
テトラキスtert−ブチル−クロロガリウムフタロシアニンの合成
合成例4における出発物質(フタロニトリル)をtert−ブチル−フタロニトリルに代えたこと以外は、合成例4と同様にしてテトラキスtert−ブチル−クロロガリウムフタロシアニン[ClGaPc(t−Bu)]を合成した。
【0043】
実施例1
ClGaPc/OTiPc(1:1)系によるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の合成
濃硫酸358gを5℃以下に冷却し、温度を保ちながらクロロガリウムフタロシアニン6.1g(0.010mol)及びチタニルフタロシアニン5.7g(0.010mol)の混合物を加え、5℃で2時間攪拌した。水0.6L(リットル)、氷1.4Lに10℃以下で滴下し、2時間分散した。静置後、減圧濾過し、水道水2.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキと水道水0.2Lを3Lビーカーに仕込み、2時間室温分散した。減圧濾過後、水道水2.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキ、水0.2L、25%アンモニア水0.15Lを1Lセパラブルフラスコに仕込み、6時間分散した。減圧濾過後、湯2.0L、イオン交換水1.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキを70℃で乾燥し、青色固体[化1]、10.7g(収率91.0%)を得た。
[化1]
Figure 0004461011
【0044】
この化合物(PcGa−O−TiPc:分子量1175.64)の元素分析結果を表1に示す。
[表1]
Figure 0004461011
【0045】
この化合物のX線回折スペクトル(XRDスペクトル)を図1に示す。また、この化合物のTOF−MS(飛行時間型質量分析)による質量分析スペクトルを図2に示す。
TOF−MSの測定は、「KOMPACT MALDI III」を用いて、検出モード「POSITIVE」、引き出し電圧「LOW(5KV)」、及び飛行モード「REFLECTION」で行った。
【0046】
実施例2
ClGaPc/OVPc(1:1)系によるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の合成
濃硫酸182gを5℃以下に冷却し、温度を保ちながらクロロガリウムフタロシアニン3.1g(0.005mol)及びバナジルフタロシアニン2.9g(0.005mol)の混合物を加え、5℃で2時間攪拌した。水0.3L、氷1.0Lに10℃以下で滴下し、2時間分散した。静置後、減圧濾過し、水道水2.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキと水道水0.2Lを3Lビーカーに仕込み、2時間室温分散した。減圧濾過後、水道水2.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキ、水0.2L、25%アンモニア水0.15Lを1Lセパラブルフラスコに仕込み、6時間分散した。減圧濾過後、湯2.0L、イオン交換水1.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキを70℃で乾燥し、青色固体[化2]、5.3g(収率90.0%)を得た。
[化2]
Figure 0004461011
【0047】
この化合物(PcGa−O−VPc:分子量1178.72)の元素分析結果を表2に示す。
[表2]
Figure 0004461011
【0048】
この化合物のXRDスペクトルを図3に示す。また、この化合物のTOF−MSによる質量分析スペクトルを図4に示す。
【0049】
実施例3
ClGaPc/OMoPc(1:1)系によるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の合成
濃硫酸190gを5℃以下に冷却し、温度を保ちながらクロロガリウムフタロシアニン3.1g(0.005mol)及びオキシモリブデンフタロシアニン3.1g(0.005mol)の混合物を加え、5℃で2時間攪拌した。水0.3L、氷0.9Lに10℃以下で滴下し、2時間分散した。静置後、減圧濾過し、水道水2.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキと水道水0.9Lを2Lビーカーに仕込み、2時間室温分散した。減圧濾過後、水道水1.5Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキ、水0.3L、25%アンモニア水0.18Lを1Lセパラブルフラスコに仕込み、6時間分散した。減圧濾過後、湯1.5L、イオン交換水1.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキ33.6gを70℃で乾燥し、青色固体[化3]、5.0g(収率81.7%)を得た。
[化3]
Figure 0004461011
【0050】
この化合物(PcGa−O−MoPc:分子量1223.72)の元素分析結果を表3に示す。
[表3]
Figure 0004461011
【0051】
実施例4
ClAlPc/OTiPc(1:1)系によるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の合成
濃硫酸176gを5℃以下に冷却し、温度を保ちながらクロロアルミニウムフタロシアニン2.9g(0.005mol)及びチタニルフタロシアニン2.9g(0.005mol)の混合物を加え、5℃で2時間攪拌した。水0.4L、氷0.8Lに10℃以下で滴下し、2時間分散した。一晩静置後、減圧濾過し、水道水2.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキと水道水0.7Lを2Lビーカーに仕込み、2時間室温分散した。減圧濾過後、水道水1.5Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキ、水0.2L、25%アンモニア水0.15Lを1Lセパラブルフラスコに仕込み、6時間分散した。減圧濾過後、湯1.5L、イオン交換水1.5Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキ30.4gを70℃で乾燥し、青色固体[化4]、4.8g(収率84.8%)を得た。
[化4]
Figure 0004461011
【0052】
この化合物(PcAl−O−TiPc:分子量1132.90の元素分析結果を表4に示す。
[表4]
Figure 0004461011
【0053】
この化合物のXRDスペクトルを図5に示す。また、この化合物のTOF−MSによる質量分析スペクトルを図6に示す。
【0054】
実施例5
ClAlPc/OVPc(1:1)系によるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の合成
濃硫酸352gを5℃以下に冷却し、温度を保ちながらクロロアルミニウムフタロシアニン5.8g(0.010mol)及びバナジルフタロシアニン5.8g(0.010mol)の混合物を加え、5℃で2時間攪拌した。水0.5L、氷1.5Lに10℃以下で滴下し、2時間分散した。静置後、減圧濾過し、水1.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキと水道水1.4Lを3Lビーカーに仕込み、2時間室温分散した。ウエットケーキ、水0.4L、25%アンモニア水0.2Lを1Lセパラブルフラスコに仕込み、6時間分散した。減圧濾過後、湯1.5L、イオン交換水1.5Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキを70℃で乾燥し、青色固体[化5]、10.2g(収率89.8%)を得た。
[化5]
Figure 0004461011
【0055】
この化合物(PcAl−O−VPc:分子量1135.98)の元素分析結果を表5に示す。
[表5]
Figure 0004461011
【0056】
実施例6
ClGaPc/(tert−Bu)PcTi=O(1:1)系によるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の合成
濃硫酸74gを5℃以下に冷却し、温度を保ちながらクロロガリウムフタロシアニン1.16g(1.87mmol)及び(テトラtert−ブチル)チタニルフタロシアニン1.50g(1.87mmol)の混合物を加え、5℃で2時間攪拌した。水0.15L、氷0.3Lに10℃以下で滴下し、2時間分散した。静置後、減圧濾過し、水0.5Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキと水道水0.65Lを1Lビーカーに仕込み、2時間室温分散した。ウエットケーキ、水0.4L、25%アンモニア水0.1Lを1Lセパラブルフラスコに仕込み、6時間分散した。減圧濾過後、湯0.5L、イオン交換水1.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキを70℃で乾燥し、青色固体[化6]、1.84g(収率70.2%)を得た。
[化6]
Figure 0004461011
【0057】
この化合物(PcGa−O−TiPc(tert−Bu):分子量1400.07の元素分析結果を表6に示す。
[表6]
Figure 0004461011
【0058】
また、この化合物のTOF−MSによる質量分析スペクトルを図7に示す。
【0059】
実施例7
(tert−Bu)PcGaCl/(tert−Bu)PcTi=O(1:1)系によるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の合成
濃硫酸71gを5℃以下に冷却し、温度を保ちながら(テトラtert−ブチル)クロロガリウムフタロシアニン1.26g(1.50mmol)、及び(テトラtert−ブチル)チタニルフタロシアニン1.20g(1.50mmol)の混合物を加え、5℃で2時間攪拌した。水0.2L、氷0.3Lに10℃以下で滴下し、2時間分散した。静置後、減圧濾過し、水1.8Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキと水道水0.4Lを1Lビーカーに仕込み、2時間室温分散した。ウエットケーキ、水0.2L、25%アンモニア水0.12Lを1Lセパラブルフラスコに仕込み、6時間分散した。減圧濾過後、湯1.0L、イオン交換水1.2Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキを70℃で乾燥し、青色固体[化7]、1.89g(収率77.5%)を得た。
[化7]
Figure 0004461011
【0060】
この化合物(分子量1624.5)の元素分析結果を表7に示す。
[表7]
Figure 0004461011
【0061】
この化合物のTOF−MSによる質量分析スペクトルを図8に示す。また、H−NMRスペクトルを図9に、13C−NMRスペクトルを図10に、IRスペクトルを図11に示し、可視−近赤外吸収スペクトルを図12に示す。
【0062】
比較例1
μ−オキソアルミニウム/ガリウムフタロシアニン二量体の合成[特開2000−219817号、実施例1に記載の方法]
濃硫酸357gを氷−メタノールで5℃以下に冷却し、温度を保ちながら合成例4で得たクロロガリウムフタロシアニン6.17g(0.01mol)と、合成例5で得たクロロアルミニウムタロシアニン5.75g(0.01mol)の混合物を加え、5℃以下で2時間攪拌した。これを氷1400g/水600mlに、温度が10℃を越えないように撹拌しながら注加し、注加終了後さらに1時間分散した。静置後、上澄みを除去し、濾過した。水2000mlで洗浄した後、ケーキを水1800ml中で分散して、吸引濾過した。ケーキを水800mlで水洗した。水洗ケーキを温水550ml及び25%アンモニア水66mlに加え、還流下で6時間分散した。濾過後、ケーキを湯(60℃)600ml、イオン交換水(IEW)1650mlで洗浄した。濾液のpHと電導度がイオン交換水レベルとなったところで、70℃で乾燥し、10.5g(収率89.8%)の青色固体を得た。
【0063】
次いで、得られた青色固体9.0gとo-ジクロロベンゼン150mlを300mlのフラスコに仕込み、170〜180℃で撹拌した。生成してくる水を除去しながら10時間還流攪拌した。130℃で熱時濾過後、熱DMF(110℃)225ml、DMF45ml、メタノール90ml、IEW225mlで順次振りかけ洗浄した後、得られたケーキを70℃で乾燥し、μ−オキソ−アルミニウム/ガリウムフタロシアニン二量体(PcAl−O−GaPc)を含む結晶変態を、混晶として8.4g(収率95%)得た。
【0064】
比較例2
合成例1で得られたチタニルフタロシアニン(O=TiPc)と、合成例4で得られたクロロガリウムフタロシアニン(ClGaPc)とを等モルづつ単純に混合した試料を作成した。
この試料の元素分析結果を表8に示す。
[表8]
Figure 0004461011
【0065】
この化合物のTOF−MSによる質量分析スペクトルを図13に示す。
【0066】
比較例3
合成例1で得られたチタニルフタロシアニンと、合成例6のヒドロキシガリウムフタロシアニンとμ−オキソガリウムフタロシアニン二量体の混合物であることが分かっている生成物を同量づつ単純に混合した試料を作成した。
【0067】
質量分析
以下の条件で、作成した試料10点について、TOF−MSによる質量分析を行った。
【0068】
[表9]
Figure 0004461011
【0069】
[表10]
Figure 0004461011
【0070】
表9、表10中の各略号は以下のとおりである。
ClGaPc:クロロガリウムフタロシアニン
ClAlPc:クロロガリウムフタロシアニン
TiOPc:チタニルフタロシアニン
VOPc:バナジルフタロシアニン
MoOPc:オキシモリブデンフタロシアニン
GPL:μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体
APL:μ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体
HOGaPc:ヒドロキシガリウムフタロシアニン
(l):ピーク強度大
(m):ピーク強度中
(s):ピーク強度小
【0071】
また、表9、表10のMおよび[M−OH]は、TOF−MS分析における異種金属フタロシアニン二量体の親ピーク(PP)を示す。

Claims (18)


  1. Figure 0004461011

    [式中、M1は最大3の原子価をとることができる金属原子(但しインジウムを除く)を表し、M2は4の原子価をとることができる金属原子を表し、Rはそれぞれ独立して水素、1またはそれ以上の置換基および/または置換原子を表し、前記置換基はアルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、アリール基、アラルキル基、アリル基、アルケニル基、シアノ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、ニトロ基またはアミノ基であり、置換原子はハロゲン原子であり、(Am−)はm価の対アニオンAを表し、n/mは対アニオンの個数を表し、nはM2の原子価に対応して0または1〜3から選択される整数を表し、mは1又は2を表す。]
    で示されるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物。
  2. 前記M1が周期表3A族および3B族の金属原子からなる群から選択される、請求項1記載のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物。
  3. 前記Rは、それぞれ独立して、水素、またはアルキル基である請求項1または2に記載の化合物。
  4. 前記アルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、またはイソアミル基である請求項3記載の化合物。
  5. 前記M1がスカンジウム、イットリウム、アルミニウム、ガリウム、およびタリウムからなる群から選択される、請求項1記載のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物。
  6. 前記M1がガリウムまたはアルミニウムである、請求項1記載のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物。
  7. 前記M2が周期表4A〜7A族、8族、および4B〜6B族の金属原子からなる群から選択される、請求項1〜いずれかに記載のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物。
  8. 前記M2がチタン、バナジウム、およびモリブデンからなる群から選択される、請求項請求項1〜いずれかに記載のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物。
  9. 前記M2がチタンである、請求項1〜いずれかに記載のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物。
  10. 下記式A:
    Figure 0004461011

    [式中、M1は最大3の原子価をとることができる金属原子(但しインジウムを除く)を表し、Rはそれぞれ独立して水素、1またはそれ以上の置換基および/または置換原子を表し、前記置換基はアルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、アリール基、アラルキル基、アリル基、アルケニル基、シアノ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、ニトロ基またはアミノ基であり、置換原子はハロゲン原子であり、Xはハロゲン原子を表す。]
    で表される中心金属がハロゲン化金属(III)であるフタロシアニンと、下記式B:
    Figure 0004461011

    [式中、M2は4の原子価をとることができる金属原子を表し、Rはそれぞれ独立して水素、1またはそれ以上の置換基および/または置換原子を表し、前記置換基はアルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、アリール基、アラルキル基、アリル基、アルケニル基、シアノ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、ニトロ基またはアミノ基であり、置換原子はハロゲン原子である。]
    で表される中心金属がオキシ金属(IV)であるフタロシアニンとを等モルづつ反応させる工程および得られた化合物をアンモニア水を用いて洗浄する工程を包含する、請求項1〜いずれかに記載のμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の製造方法。
  11. 前記M1が周期表3A族および3B族の金属原子からなる群から選択される、請求項10記載の方法。
  12. 前記Rは、それぞれ独立して、水素、またはアルキル基である請求項10または11記載の方法。
  13. 前記アルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、またはイソアミル基である請求項12記載の方法。
  14. 前記M1がスカンジウム、イットリウム、アルミニウム、ガリウム、およびタリウムからなる群から選択される、請求項10記載の方法。
  15. 前記M1がガリウムまたはアルミニウムである、請求項10記載の方法。
  16. 前記M2が周期表4A〜7A族、8族、および4B〜6B族の金属原子からなる群から選択される、請求項10記載の方法。
  17. 前記M2がチタン、バナジウム、およびモリブデンからなる群から選択される、請求項10記載の方法。
  18. 前記M2がチタンである、請求項10記載の方法。
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