JP3665362B2 - Iv型オキシチタンフタロシアニンの製造方法及びiv型チタニルフタロシアニンの製造方法 - Google Patents

Iv型オキシチタンフタロシアニンの製造方法及びiv型チタニルフタロシアニンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一般的にはオキシチタンフタロシアニン類とその製造方法に関し、さらに詳細には、本発明は、IV型多形のオキシチタンフタロシアニンと、前記IV型多形のオキシチタンフタロシアニンを含む積層型光導電性部材と、を得るための直接的かつ経済的な方法に関する。具体例では、本発明の方法は、ジハロチタンフタロシアニン、特にジクロロチタン(TiCl2 )フタロシアニン、を次いで硫酸に溶解してオキシチタンフタロシアニンへ加水分解することによるチタニルフタロシアニン類の製造に関する。さらに詳細には、具体例では、本発明の方法は、フタロニトリルからジクロロチタンフタロシアニンを製造し、硫酸のような強酸に溶解して前記クロライドを加水分解し、その後硫酸溶液をメタノールのような脂肪族アルコールと水との混合物へ添加し、続いて、例えば、水と希水酸化アンモニウムとで洗浄することを含む。本発明の方法に関する利点は、1段階反応でIV型オキシチタンフタロシアニンを製造することを含み、ここでジクロロチタンフタロシアニン出発反応体は経済的なフタロニトリルから得ることができ、かつ従来技術で行われていたような多形のオキシチタンフタロシアニンを単離することを回避できる。本発明の方法で得られるIV型オキシチタンフタロシアニンを含む積層型画像形成部材は、多くの利点、例えば、高い光導電性、低い暗減衰、及び、例えば、100,000画像形成サイクル後の約1%から約20%のサイクルダウンというゼログラフィックサイクリングの優れた安定性を有している。本発明の積層型光導電性画像形成部材は、例えば、電子写真画像形成方法、特に負に帯電した又は正に帯電した画像が適切な電荷のトナー組成物によって可視化されるゼログラフィック画像形成及び印刷方法を含む多くの異なる知られた画像形成及び印刷方法に選択できる。一般的には、画像形成部材は約700から約850nmの波長領域に敏感であり、それゆえにダイオードレーザを光源として選択できる。
【0002】
【従来の技術】
MitaのEPO特許出願公開第314,100号には、例えば、キノリン又はアルキルベンゼン中でチタンアルコキサイド類とジイミノイソインドリンとを反応させて、次いで硫酸ペースト化方法によりα型チタニルフタロシアニン顔料を含む混合物へ転化させ、それにより合成した顔料を濃硫酸に溶解し、得られた溶液を氷へ注いで、アルファ混合物形を沈澱させ、このアルファ混合物形を濾過して、塩化メチレンで洗浄するオキシチタンフタロシアニンの合成が記載されている(例えば5、6頁参照)。
【0003】
硫酸のような強酸の使用を必要とする特定の多形のオキシチタンフタロシアニンの製造方法が知られており、これらの方法は、製造目的を容易に達成できず、一般的には有機顔料の幾分かの分解に至る。1989年1月20日のKonicaの特開昭64−17066号(米国特許第4,643,770号がこれと同じと思われる)に記載されたような一つの方法は、例えば、1−クロロナフタレン溶媒中でチタンテトラクロライドとフタロニトリルとを反応させてジクロロチタンフタロシアニンを生成させることを含み、その後ジクロロチタンフタロシアニンをアンモニア水で加水分解してII型の多形の形成を可能にしている。このフタロシアニンを、電子放出溶媒、例えば、2−エトキシエタノール、ジオキサン又はN−メチルピロリドン、で好ましく処理し、次いでαオキシチタンフタロシアニンを50から180°Cの温度で粉砕する。
【0004】
近赤外光に高感度を有するオキシチタンフタロシアニンをベースとする光受容体を得るために、また特にゼログラフィック方法で繰り返してサイクルが可能である光受容体を提供するために、一般的に有機光導電体と共にあるような顔料の純度及び化学構造を制御することのみならず、適切な結晶形で顔料を製造することが必要であると考えられている。オキシチタンフタロシアニンの特定の結晶形、例えばI、II、III及びIV型の製造に使用される開示された方法は、Mitsubishiの特開昭62−25685号、特開昭62−25686号及び特開昭62−25687号に記載されたような方法で合成パラメータを注意深く制御することによって純粋なI及びII型の顔料の製造を制御するのが面倒で、かつ困難であるか、又は高温でのサンドミル(Konicaの米国特許第4,898,799号参照)のような厳格な処理若しくは大量の濃硫酸、即ちスルホン化又はデメタライゼイションにより金属フタロシアニン類の分解を引き起こすことが知られている溶媒への顔料の溶解(Sanyo−Shikisoの特開昭63−20365号及びMitaのEPO第314,100号参照)を含んでいる。
【0005】
米国特許第5,206,359号では、ハロベンゼンを用いたX型オキシチタンフタロシアニンの処理を含むオキシチタンフタロシアニンの製造方法が開示されている。米国特許第5,182,382号は、X型チタニルフタロシアニンの製造方法を開示し、その方法はトリフルオロ酢酸及び塩化メチレンの溶液へのI型チタニルフタロシアニンの溶解、X型チタニルフタロシアニンの沈澱を可能にする溶媒への得られた溶液の添加、溶液からのX型チタニルフタロシアニンの分離、次いで有機溶媒による第1の洗浄及び水による第2の洗浄、並びにその後のフルオロベンゼンによる溶媒処理を含む。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感光性のIV型オキシチタンフタロシアニンの直接的かつ経済的な製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、ジクロロチタンフタロシアニンからの安定で高感光性のIV型オキシチタンフタロシアニンの直接的な製造に関する。
【0008】
本発明の別の目的は、オキシチタンフタロシアニンのいかなる他の多形又は多形の混合物の使用を必要としないIV型オキシチタンフタロシアニンの製造方法を提供することである。
【0009】
また、本発明のさらなる目的では、特定のチタニルフタロシアニン類の直接的かつ経済的な製造方法が提供され、その方法では、ジクロロチタンフタロシアニンを硫酸中に溶解し、加水分解してオキシチタンフタロシアニンを形成させる。この段階ではオキシチタンフタロシアニンは溶解しているため、多形は存在していない。その後得られた溶液をメタノールのような脂肪族アルコールと水との溶媒混合物へ注ぐと、IV型オキシチタンフタロシアニンが得られる。このような方法の利点は、大抵2段階、即ち1)フタロニトリルからのジクロロチタンフタロシアニンの製造及び2)硫酸のような強酸中での加水分解、次いでメタノール/水中での沈澱によるIV型オキシチタンフタロシアニンの直接製造、を含むルートによるIV型チタニルフタロシアニン顔料の製造を含み、該方法ではオキシチタンフタロシアニンの他の多形を単離する必要がなく、顔料は、不純物の除去、顔料のより均質な組成物及びより再現可能な処理を可能とする加水分解の間溶解している。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のIV型オキシチタンフタロシアニンの製造方法は、強酸中でのジハロチタンフタロシアニンの加水分解、次いで得られた溶液を脂肪族アルコールと水とを含む混合物に添加してIV型オキシチタンフタロシアニンを沈澱させること、アンモニア水と水とでこのIV型顔料を洗浄すること、及び水とハロベンゼンとの混合物で得られた生成物を任意的にスラリーにすること、を含む。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のIV型オキシチタンフタロシアニンの製造方法において、前記ジハロチタンフタロシアニンがジクロロチタンフタロシアニンであり、前記酸が硫酸であり、前記脂肪族アルコールがメタノールであり、前記ハロベンゼンがクロロベンゼンであることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載のIV型チタニルフタロシアニンの製造方法は、酸中でのジクロロチタンフタロシアニンの加水分解、次いで得られた溶液を脂肪族アルコールと水とを含む混合物と混合してIV型チタニルフタロシアニンを沈澱させること、前記溶液からIV型を分離させること、前記IV型をアンモニア水と水とで洗浄し、水とハロベンゼンとの混合物で得られた生成物をスラリーにすること、を含み、前記ジクロロチタンフタロシアニンがフタロニトリルから得られることを特徴とする。
【0013】
具体例では、本発明はオキシチタンフタロシアニン及びその光応答性画像形成部材の製造方法に関する。さらに詳細には、本発明の具体例では、多形のIV型オキシチタンフタロシアニンの製造方法を提供し、その方法は強酸中でのジハロチタンフタロシアニンの加水分解、メタノール、エタノール等(さらに好ましくはメタノール)のような、例えば、1から約12、好ましくは1の炭素原子から6の炭素原子を有する脂肪族アルコールのようなアルコールと水とを含む沈澱混合物への形成された溶液の添加、得られたIV型オキシチタンフタロシアニンの単離、その後の顔料(IV型)の洗浄、水とハロベンゼンとの混合物による顔料の任意的な洗浄、及び得られたIV型の分離を含んでいる。生成物はX線粉末回折(XRPD)を含む種々の知られた手段により同定できる。
【0014】
本発明の1つの具体例は、X線粉末回折により決定されるようにIV型オキシチタンフタロシアニンの製造方法に関し、該具体例はジクロロチタンフタロシアニンを提供すること又はフタロニトリルからジクロロチタンフタロシアニンを得ること、硫酸のような強酸に、例えば、約0から約10、好ましくは2°Cの低温でそのジクロロチタンフタロシアニンを溶解し、加水分解すること、水とメタノールのような脂肪族アルコールとの混合物からIV型オキシチタンフタロシアニンを沈澱させ、例えば水と水酸化アンモニウムの希釈溶液のような水酸化物とで洗浄すること、及び例えば、濾過又は遠心分離でIV型を単離することを含む。
【0015】
具体例では、本発明の方法は、内部温度を約2から約5°Cに保持しながら1重量部のジクロロチタンフタロシアニンを45重量部の濃硫酸へ添加することを含む。この混合物を約0から約−2°Cで3時間攪拌してもよく、その後364部の水と364部のメタノールとの激しく攪拌された混合物へ滴加し、内部温度を5°未満に保持した。懸濁物をWhatman GF/Aガラスファイバフィルタで濾過し、固体を91部の2.5%(v/v)水酸化アンモニウムで60分間スラリーにし、濾過し、91部の水で5回スラーにし、濾過した。得られたIV型多形のオキシチタンフタロシアニンを35部の水でスラリーにし、50°Cまで加熱し、1.6部のクロロベンゼンを滴加した。50°Cで1時間攪拌後、溶媒をデカントし、オキシチタンフタロシアニンIV型顔料を23部のメタノールで30分間スラリーにし、濾過し高真空化で乾燥した後にIV型オキシチタンフタロシアニンが生じた。生成物をXRPD及びIRで同定した。
【0016】
本発明の方法により得られたフタロシアニン顔料を用いて多数の異なる積層型光応答性画像形成部材を製造できる。具体例では、積層型光応答性画像形成部材は、支持基体と、電荷輸送層、特にアリールアミン正孔輸送層、及びそれらの間にあるIV型オキシチタンフタロシアニンを含む光発生剤層から構成することができる。本発明の別の具体例は、支持基体、電荷輸送層、特にアリールアミン正孔輸送層、及びトップオーバーコーティングとして本発明の方法により得られたIV型オキシチタンフタロシアニン顔料を含む、正に帯電した積層型光応答性画像形成部材に関する。さらに本発明に従って、支持基体、薄い接着層、ポリマー樹脂性バインダー中に分散された本発明の方法により得られたIV型オキシチタンフタロシアニン光発生剤、及びトップ層としてポリマー樹脂性バインダー中に分散されたアリールアミン正孔輸送分子を含む、改良型の負に帯電した光応答性画像形成部材が提供される。
【0017】
特に、本発明の画像形成部材はゼログラフィック画像形成処理に有用であり、その画像形成方法ではオキシチタンフタロシアニン顔料が約600nmから約900nmの波長の光を吸収する。これらの知られた方法では、静電潜像が最初に画像形成部材に形成され、次いで現像され,その後画像は適切な基体に転写される。
【0018】
さらに、本発明の画像形成部材を、ガリウムヒ化物光を放射するダイオード(LED)アレイを有する電子印刷方法に選択でき、そのダイオードアレイは典型的には660nmから約830nmの波長に作用する。
【0019】
本発明の負に帯電した光応答性画像形成部材は、例えば、シラン層又は混合されたシラン/ジルコニウム酸化物層を含む電荷ブロッキング層でコーティングされた支持導電性基体と、例えば、Goodyear Chemicalから得られるポリエステル49,000を含む任意の溶液でコーティングされた接着層と、不活性の樹脂性バインダー中に任意的に分散された本発明の方法により得られるIV型オキシチタンフタロシアニンを含む光発生剤層と、MAKROLON(商標名)ポリカーボネート樹脂性バインダー中に分散されたN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4、4’−ジアミンを含む電荷輸送層とから構成することができる。この部材は以下の電気特性を有している。即ち、780nmでの1.4erg/cm2 と等しいE1/2 、11V/秒という暗減衰、並びに72及び76%という5及び10erg/cm2 でのパーセント放電である。
【0020】
本発明の画像形成部材に選択される基体層は不透明又は実質的に透明とすることができ、必要な機械的特性を有するいかなる適切な材料から構成されてもよい。
【0021】
基体層の厚みは、経済的な考慮を含む多くの要因に依存し、それゆえにこの層は例えば3000ミクロンを越える実質的な厚み又は最小厚さとしてもよい。具体例では、この層の厚みは約75ミクロンから約300ミクロンである。
【0022】
さらに画像形成部材に関して、光発生剤層は、樹脂性バインダー中に分散された本発明の方法により得られたIV型オキシチタンフタロシアニン顔料を含む。一般的には、光発生剤層の厚みは、他の層の厚み及びこの層に含まれる光発生剤材料の量を含む多くの要因に依存する。従って、この層は、オキシチタンフタロシアニン光発生剤組成物が約5容量%から約100容量%の量で存在する場合には、約0.05ミクロンから約10ミクロンの厚みとすることができる。バインダーは省略してもよい。
【0023】
ブロッキング層として、種々の知られたシラン類又はシラン/ジルコニウム酸化物の混合物、ポリアミド類又はポリウレタン類を選択できる。この層は約0.01ミクロンから10ミクロン、好ましくは0.02ミクロンから0.20ミクロンの厚みである。
【0024】
任意的な接着剤として、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリウレタン及びポリアクリロニトリルを含む種々の知られた物質を選択できる。この層は約0.05ミクロンから1ミクロンの厚みである。任意的に、この層は導電性及び非導電性粒子、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、窒化シリコン、カーボンブラック等を含むことができ、例えば、本発明の具体例では、所望の電気的及び光学的特性を提供する。
【0025】
電荷輸送層に選択されるアリールアミンは、一般的には約5ミクロンから約75ミクロン、好ましくは、約10ミクロンから約40ミクロンの厚みであり、高絶縁及び透明の有機樹脂性バインダー中に分散された以下の一般式の成分を含む。
【0026】
【化1】
Figure 0003665362
【0027】
式中、Xはアルキル基又はハロゲンであり、特にこれらの置換基はo−CH3 、p−CH3 、o−Cl、m−Cl及びp−Clから成る群から選択される。
【0028】
輸送層用の高絶縁及び透明の樹脂性材料又は不活性バインダー樹脂性材料の例は、米国特許第3,121,006号に記載されたような材料を含む。有機樹脂性材料の特定の例は、ポリカーボネート類、アクリレートポリマー類、ビニルポリマー類、セルロースポリマー類、ポリエステル類、ポリシロキサン類、ポリアミド類、ポリウレタン類及びエポキシド類並びにそれらのブロック、ランダム及び交互共重合体を含む。好ましい電気的に不活性のバインダーは、約20,000から約100,000の分子量、特に好ましくは約50,000から約100,000の分子量を有するポリカーボネート樹脂を含む。
【0029】
【実施例】
[実施例1]
ジクロロチタンフタロシアニンの合成
ジクロロチタンフタロシアニンを、Inorganic Chemistry、4巻、111及び112頁(1965)に記載された方法を行うことにより、又は米国特許第3,825,422号(その開示内容を全て援用して本明細書の記載の一部とする)に記載された方法を使用することにより調製することができる。さらに詳細には、前記フタロシアニン類を以下のように調製できる。
【0030】
ジクロロチタンフタロシアニンを米国特許第3,825,422号(Xerox Corporation、R.J.Gruber及びB.Grushkin)に記載されたように調製する。即ち、温度計が固定され、蒸留できるように設定された1リットルのフラスコへ12.3gのチタントリクロライドと、20gのo−フタロニトリルと375mlのα−クロロナフタレンとを添加した。マグネチックスターラで攪拌しながら窒素のブランケット下でフラスコを加熱する。温度が約170°Cのときに、オレンジ−赤の液体が蒸留し始める。温度を255°C(還流)まで着実に上昇させ、255°Cで1時間維持する。その後、生成物を室温まで冷却する。濾過後、固体を乾燥したベンゼンと375mlの無水エーテルで洗浄した。その後、その固体を真空下で乾燥し、20.7gのジクロロチタンフタロシアニンが得られた。
[実施例2]
ジクロロチタンフタロシアニンの精製
実施例1に記載された方法で調製した6.00gのジクロロチタンフタロシアニンを200mlの乾燥したN,N−ジメチルホルムアミドへ添加した。懸濁物をアルゴン下で15分間攪拌し、ガラスファイバフィルタ(Whatman GF/A級)を通して濾過し、固体を30mlの乾燥したN,N−ジメチルホルムアミドで3回、次いで30mlの乾燥したエーテルで3回洗浄した。高真空下で乾燥した後、5.50gのジクロロチタンフタロシアニンが得られた。
[実施例3]
IV型オキシチタンフタロシアニンの合成
2.75gの実施例2のジクロロチタンフタロシアニンを内部温度を5°C未満に維持し攪拌しながら125gの硫酸へ添加した。温度を0から2°Cに維持しながら攪拌を3時間続け、得られた暗緑色の溶液を内部温度を5°Cに維持しながら1kgのメタノールと水との激しく攪拌された1:1(w/w)混合物へ滴加した。得られた暗青色の懸濁物をガラスファイバフィルタ(WhatmanGF/A級)を通して濾過した。得られた湿ったフィルタケークを500mlのフラスコに移して、250mlの2.5%(v/v)の水酸化アンモニウムで60分間スラリーにし、濾過し、250mlの水で5回スラリーにし、再び濾過した。XRPDトレースで同定した得られたIV型オキシチタンフタロシアニンを、88mlの水でスラリーにし、50°Cまで加熱し、3.75mlのクロロベンゼンを滴加した。50°で1時間攪拌した後、水とクロロベンゼンとの溶媒をデカントし、顔料を80mlのメタノールで30分間スラリーにした。高真空下で乾燥した後、2.09gの暗青色の顔料が得られた。生成物は、XRPDトレースに基づいて、IV型オキシチタンフタロシアニンと同定された。
【0031】
得られたIV型顔料は、積層型画像形成部材の光発生剤としての用途に選択した場合、11V/秒という暗減衰と、780nmで1.4erg/cm2 というE1/2 とを明らかにした。780nmにおける5及び10erg/cm2 での放電はそれぞれ72及び76%であった。この部材のサイクルダウンは50,000画像形成サイクル後に8%であった。
【0032】
上記IV型オキシチタンフタロシアニンを、以下の手順で製造したゼログラフィック画像形成デバイスで光発生剤として評価した。アルミニウムMYLAR(商標名)基体(4ミル)を、5番のワウンドワイヤのロッドアプリケータを使用して、6.5gのアセチルアセトネートトリブトキシジルコニウムと、0.75gの(アミノプロピル)トリメトキシシランと、28.5gのイソプロピルアルコールと、14.25gのブタノールとを混合して調製したシラン/ジルコニウム酸化物溶液でコーティングした。この層を140°Cで20分間乾燥した。最終の厚みは、0.1ミクロンと測定された。0.56gのIV型オキシチタンフタロシアニンと、0.26gのポリ(ビニルブチラール)とを、ペイントシェイカー内の70gの0.8mmのガラスビーズが入れられた60mlのジャーの中の19.7gの酢酸ブチル中で合わせて、オキシチタンフタロシアニンの分散物を調製した。分散物を2時間振蕩し、6番のワウンドワイヤのロッドアプリケータを使用して前記のシラン/ジルコニウム酸化物層へコーティングした。このように形成された光発生層を100°Cで10分間乾燥した。その最終の厚みは約0.20ミクロンと測定された。
【0033】
5.4gのN,N’−ジフェニル−N、N−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンと8.1gのポリカーボネート(Z)とを61.5gのクロロベンゼンに溶解し、正孔輸送層溶液を調製した。この溶液を、10ミルのフィルムアプリケータを使用してオキシチタンフタロシアニン発生剤層へコーティングした。このようにして得られた電荷輸送層を115°Cで60分間乾燥し、最終の厚みは約27ミクロンとなった。
【0034】
光応答性画像形成部材のゼログラフィック電気特性を、電位差計に接続された容量結合したプローブで測定された表面電位が、−800Vという初期ダーク値V0 に到達するまで、コロナ放電源を用いてその表面を静電気的に帯電させて測定した。暗がりで0.5秒間放置した後、帯電した部材は表面電位、即ち、Vddp 又は暗現像(dark development)電位に到達した。部材をキセノンランプからのフィルタ光で露光した。光放電効果によるVddp からバックグラウンド電位Vbgまでの表面電位の低減が観察された。暗減衰(V/秒)を(V0 −Vddp )/0.5として計算した。光放電のパーセントを100×(Vddp −Vbg)/Vddp として計算した。ハーフ露光エネルギ−E1/2 、即ち、初期値の半分までVddp を低減するのに必要とされる露光エネルギ−は1.4erg/cm2 と決定された。選択された入射光の波長は780nmであった。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、高感光性のIV型オキシチタンフタロシアニンの直接的かつ経済的な製造方法を提供できるという優れた効果を奏する。

Claims (3)

  1. 強酸中でのジハロチタンフタロシアニンの加水分解、次いで得られた溶液を、メタノール又はエタノールと、水とを含む混合物に添加してIV型オキシチタンフタロシアニンを沈澱させること、アンモニア水と水とでこのIV型顔料を洗浄すること、及び水とハロベンゼンとの混合物で得られた生成物を任意的にスラリーにすること、を含むIV型オキシチタンフタロシアニンの製造方法。
  2. 前記ジハロチタンフタロシアニンがジクロロチタンフタロシアニンであり、前記酸が硫酸であり、前記メタノール又はエタノールがメタノールであり、前記ハロベンゼンがクロロベンゼンであることを特徴とする請求項1記載のIV型オキシチタンフタロシアニンの製造方法。
  3. 酸中でのジクロロチタンフタロシアニンの加水分解、次いで得られた溶液を、メタノール又はエタノールと、水とを含む混合物と混合してIV型チタニルフタロシアニンを沈澱させること、前記溶液からIV型を分離させること、前記IV型をアンモニア水と水とで洗浄し、水とハロベンゼンとの混合物で得られた生成物をスラリーにすること、を含み、前記ジクロロチタンフタロシアニンがフタロニトリルから得られることを特徴とするIV型チタニルフタロシアニンの製造方法。
JP10533594A 1993-05-27 1994-05-19 Iv型オキシチタンフタロシアニンの製造方法及びiv型チタニルフタロシアニンの製造方法 Expired - Fee Related JP3665362B2 (ja)

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