JP2532795B2 - 電子写真用感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真用感光体の製造方法

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JP2532795B2 JP4070740A JP7074092A JP2532795B2 JP 2532795 B2 JP2532795 B2 JP 2532795B2 JP 4070740 A JP4070740 A JP 4070740A JP 7074092 A JP7074092 A JP 7074092A JP 2532795 B2 JP2532795 B2 JP 2532795B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特定の結晶型を有するオ
キシチタニウムフタロシアニンの結晶を電荷発生剤に用
いた電子写真用感光体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、フタロシアニン化合物は電子
写真用感光体に使用されている。
【0003】特に、 700 nm 以上の長波長域に吸収ピー
クを有し、また中心金属や、結晶型の種類によって、半
導体レーザーの近赤外域で高感度を示すものがいくつか
報告されており、その研究開発が活発になされている。
【0004】例えばオキシチタニウムフタロシアニンに
は種々の結晶型があり、その結晶型の違いによって帯電
性、暗減衰、感度などに大きな差があることが、特開昭
59-49544 号公報、特開昭 59-166959 号公報などに報
告されている。
【0005】本発明者らは、これらの結晶型について詳
細に検討した結果、特にブラッグ角(2θ)が、( 27.
3 ± 0.2 )゜ に明確な回折ピークを示すオキシチタニ
ウムフタロシアニンが非常に感度が良好で、優れた特性
を有していることが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このブ
ラッグ角(2θ)が、( 27.3 ± 0.2 )゜に明確な回
折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンは安定
な結晶型ではなく、電荷発生層を塗布するための分散液
を調液する際、分散条件により他のより安定な結晶型に
変化しやすく、例えば感度などの良好な特性が損なわれ
てしまうということが判明した。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、このようなオ
キシチタニウムフタロシアニンの結晶型を保ったまま、
安定な分散液を作成するための分散条件を検討した結
果、分散媒中で分散処理する際に、重量において、その
オキシチタニウムフタロシアニン結晶の等量以上の水を
分散媒中に含有させることによって、他の分散条件が多
少変化しても結晶型を保ったまま、分散液が作成できる
ことを見い出し本発明に至った。なお、オキシチタニウ
ムフタロシアニン結晶を含む分散液は、電荷発生層を形
成するのに適した電荷発生塗液として、通常一般に用い
られる固形分濃度にて調整される。
【0008】
【作用】すなわち本発明は、導電性支持体上に感光層を
有してなる電子写真用感光体の製造方法であって、その
X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ)が、( 27.3
± 0.2 )゜に明確な回折ピークを示すオキシチタニウ
ムフタロシアニンの結晶を、重量において、その結晶の
等量以上の水を含有する分散媒中で分散処理させてなる
分散液を用いて、電荷発生層を形成することを特徴とす
る電子写真用感光体の製造方法であり、本発明の方法に
よってオキシチタニルフタロシアニンの結晶型を変化さ
せることなく分散液を調製することができる。さらに本
発明により得られる電子写真用感光体は、非常に高い感
度を示し、残留電位、帯電性などの良好な特性を示す。
【0009】
【実施例】本発明に用いるオキシチタニウムフタロシア
ニンは、例えばフタロニトリルと四塩化チタンとから容
易に合成することができる。
【0010】すなわち、フタロニトリルと四塩化チタン
を、1−クロロナフタレンのような不活性溶媒中で、20
0 〜 220℃に加熱、反応させる。かくして得られるジク
ロロチタニウムフタロシアニンを濾別し、反応に用いた
溶剤にて熱時洗浄し、不純物や未反応物を除く。さらに
メタノールなどのアルコール類で洗浄後、加水分解して
オキシチタニウムフタロシアニンとする。このようにし
て得られるオキシチタニウムフタロシアニンを、例えば
酸ペースト法によりアモルファス化したのち水中に懸濁
し、芳香族系溶剤を添加して加熱処理することにより、
そのX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ)が、( 2
7.3 ± 0.2 )゜に主たる回折ピークを有するオキシチ
タニウムフタロシアニンの結晶を得ることができる。も
ちろんその他の方法によっても( 27.3 ± 0.2 )゜に
主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシア
ニンの結晶を得ることができることは言うまでもない。
【0011】次にこのような結晶型のオキシチタニウム
フタロシアニンを分散媒中で分散処理する際に、分散媒
中に、重量においてオキシチタニウムフタロシアニン結
晶の等量以上の水を含有させて分散処理して得られる分
散液を用いて、電荷発生層を形成するための塗布液とし
て調製される。
【0012】分散媒としては、水と混ざり合いかつオキ
シチタニウムフタロシアニンの結晶型を変化させない限
り、種々の溶剤を用いることができる。例えばテトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、アセトン、エタノール、プロ
パノールなどを単独あるいは混合して用いることができ
る。
【0013】分散媒中には予めバインダー樹脂を添加し
ておいても良いし、また分散後に添加してもよい。用い
るバインダー樹脂としては上記分散媒に可溶な樹脂であ
れば良く、例えばポリビニルブチラール樹脂、ポリエス
テル樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
【0014】オキシチタニウムフタロシアニンの結晶を
分散処理する方法としては、公知の方法、例えばボール
ミル、サンドグラインドミルなどを用いることができ
る。
【0015】オキシチタニウムフタロシアニンとバイン
ダー樹脂との割合は特に制限はないが、一般には樹脂 1
00 重量部に対してオキシチタニウムフタロシアニンが
20〜 300 重量部の範囲で使用される。また特性改善の
ため、必要に応じて分散液中には、常法にしたがって種
々の電子吸引性化合物あるいは電子供与性化合物を添加
することができる。
【0016】このようにして得られる分散液を用いて、
導電性支持体上に感光層を形成する。感光層としては、
上記分散液を用いて電荷発生層を形成させ、その上に電
荷輸送層を形成したもの、あるいは電荷輸送層の上に上
記分散液を用いて電荷発生層を形成させたもの、あるい
は上記分散液のみで形成された単層構成のもの、のいづ
れかを用いることができる。
【0017】電荷輸送層を設ける場合、使用される電荷
輸送剤としては例えばオキサゾール、オキサジアゾー
ル、ピラゾリンなどの複素環化合物、ヒドラゾン化合
物、スチルベン化合物あるいはこれらの化合物の各種誘
導体が挙げられる。またこれら電荷輸送剤とともに用い
られるバインダー樹脂としては、例えばポリエステル、
ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリ
レートなどの各種樹脂が挙げられる。
【0018】導電性支持体としては、アルミニウム板、
アルミニウム円筒、アルミニウム箔、プラスチックフィ
ルムの表面にアルミニウムなどの導電性金属の薄膜また
は箔を設けたものが挙げられる。
【0019】導電性支持体と感光層との間には、通常使
用される公知の中間層を設けることができる。中間層と
しては、例えばアルミニウム陽極酸化被膜などの無機
層、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアミド
などの有機層が用いられる。
【0020】以下に製造例および実施例により本発明を
具体的に説明する。 (製造例1)フタロニトリル 100 gr を1−クロロナフ
タレン 770 ml 中に加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら
四塩化チタン 24 ml を滴下した。のち昇温し、200 〜
220℃で3時間反応させたのち放冷し、 130℃にて熱時
濾過し、同温度の1−クロロナフタレン 200 ml で洗浄
した。次いでメタノールにて濾液が無色となるまで洗浄
した。
【0021】得られたジクロロチタニウムフタロシアニ
ンを熱懸濁処理( 80℃、1時間)し、濾液のPHが5
〜7となるまでこの熱懸濁処理を繰り返した。
【0022】得られたオキシチタニウムフタロシアニン
を乾燥後、その 20 gr を硫酸 400ml に 5 〜 10℃にて
徐々に添加し、2時間同温度にて撹拌後濾過し、その濾
液を水5L中に注加した。得られた析出物を濾別し、そ
の濾液が酸性を示さなくなるまで蒸留水にて充分洗浄し
た。得られたオキシチタニウムフタロシアニンを水200
ml 、クロロベンゼン 50 ml の懸濁液中にいれ、80℃に
て3時間加熱処理した。
【0023】このようにして得られたオキシチタニウム
フタロシアニンのX線回折スペクトルを図1に示す。図
1に示すように、ブラッグ角(2θ)が、( 27.3 ±
0.2)゜に明確なピークを有している。
【0024】(実施例1)テトラヒドロフラン 475 重
量部、水 15 重量部からなる混合溶媒中にポリビニルブ
チラール(積水化学(株)製、商品名エスレックBL−
1) 5 重量部を溶解させ、次ぎにこの溶液中に製造例
1で製造したオキシチタニウムフタロシアニン 5 重量
部を加えた。次いでサンドグラインドミルにて 10 時間
粉砕、微粒子化処理を行った。
【0025】このようにして得られた分散液から遠心分
離法にてオキシチタニウムフタロシアニンを分離し、試
料Aとした。このX線回折スペクトルを図2に示すが、
結晶型の変化は認められない。
【0026】次ぎに上記得られた分散液を用いてアルミ
ニウム板上に浸漬塗工により、乾燥後の膜厚が 0.1μm
となるように設けた。
【0027】次ぎにこの電荷発生層の上に、次の(化
1)で示されるブタジエン化合物 50重量部とポリカー
ボネート樹脂(三菱化成(株)製、商品名ノバレックス
7030A) 50 重量部をジクロロメタン 350 重量部
に溶解させた液を同じく浸漬塗工にて、乾燥後の膜厚が
20μmとなるように電荷輸送層を設けた。
【0028】
【化1】
【0029】この感光体の初期電気特性として帯電電
位、半減露光量および残留電位を川口電気製作所製、静
電複写紙試験装置EPA−8100により測定した。
【0030】すなわち、暗所にてコロナ電流−30μAに
よるコロナ放電にて感光体を帯電したときの帯電電位V
0、次いで感光体表面の照度が2lux の白色光を照射
し、表面電位が1/5V0 に減少するのに要した露光量
E1/5 および露光から4秒後の残留電位Vr を測定し
た。その結果を(表1)に示すが、高い感度を示してい
ることがわかる。
【0031】
【表1】
【0032】(比較例1)実施例1において分散溶媒と
してテトラヒドロフラン−水系の代わりにテトラヒドロ
フラン 490 重量部単独を用いたこと以外はすべて実施
例1と同様に行い、試料B及び感光体を作成した。試料
BのX線回折スペクトルを図3に示すが、スペクトルの
パターンが変化しており、結晶型が変わっていることが
わかる。
【0033】次に電気特性の測定結果を(表1)に示す
が、実施例1に比べて感度が低く残留電位が高くなって
いるのがわかる。
【0034】
【発明の効果】以上、本発明の電子写真用感光体の製造
方法について詳細に説明したが、本発明の製造方法によ
って得られる電子写真用感光体は、非常に高い感度を示
し、残留電位、帯電性などにおいて極めて優れたもので
あった。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1で得られたオキシチタニウムフタロシ
アニンのX線回折スペクトルを示す図
【図2】本発明の実施例1で得られた試料AのX線回折
スペクトルを示す図
【図3】比較例1で得られた試料BのX線回折スペクト
ルを示す図

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性支持体上に感光層を有してなる電子
    写真用感光体の製造方法において、そのX線回折スペク
    トルのブラッグ角(2θ)が、( 27.3 ± 0.2)゜に明
    確な回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン
    の結晶を、重量においてその結晶の等量以上の水を含有
    する分散媒中で分散処理させてなる分散液を用いて電荷
    発生層を形成させることを特徴とする電子写真用感光体
    の製造方法。
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