JP2554360B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2554360B2 JP63166567A JP16656788A JP2554360B2 JP 2554360 B2 JP2554360 B2 JP 2554360B2 JP 63166567 A JP63166567 A JP 63166567A JP 16656788 A JP16656788 A JP 16656788A JP 2554360 B2 JP2554360 B2 JP 2554360B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は,電子写真感光体に関し,詳しくは高感度,
長期にわたる繰り返し特性が安定である電子写真感光体
に関する。
(従来の技術) 従来,電子写真感光体は,セレン,セレン合金,酸化
亜鉛,硫化カドミウムおよび酸化チタン等の無機光導電
体を用いたものが主として使用されてきた。近年,半導
体レーザーの発展は目覚ましく,小型で安定したレーザ
ー発振器が安価に入手できるようになり,電子写真用光
源として用いられ始めている。しかし,これらの装置に
短波長光を発振する半導体レーザーを用いるのは,寿
命,出力等に問題が多いので,これらの問題のない長波
長光を発振する半導体レーザーが用いられるようにな
り,それに従って長波長領域(780nm以上)に高感度を
持つ光導電材料を開発する必要が生じてきた。最近は有
機系の材料,特に長波長領域に感度を有するフタロシア
ニンを使用した積層型感光体の研究が盛んに行われてい
る。
本発明者らはすでに,780nm以上の波長に対して感度を
有するτ,τ′ηおよびη′型の結晶形を有する無金属
フタロシアニンを見い出している。これらの無金属フタ
ロシアニンを用いた電子写真感光体は,可とう生,加工
生,衛生性に優れ,長波長光への感度も良好であるが,
結晶粒子の結晶性について,さらに改良する必要が生じ
た。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は,均一でかつ平滑な電荷発生層を形成
することができ,高感度で長期にわたる繰り返し特性が
安定であり,画像の鮮明性,階調性の良好な電子写真感
光体を得ることにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は,導電性支持体上に,電荷発生物質と電荷移
動物質を含む層を形成してなる電子写真感光体におい
て,電荷発生物質がτ型,τ′型,η型およびη′型か
ら選ばれる結晶形を有する無金属フタロシアニン粒子で
あり,かつCuKαを線源として測定したX線回折のブラ
ッグ角度(2θ±0.2゜)において,21.5゜のピーク強度
が,7.6゜のピーク強度に対して50%以上大きく,かつ2
2.3゜のピーク強度より大きい,および/または27.5゜
のピーク強度が,7.6゜のピーク強度に対して50%以上大
きく,かつ28.5゜のピーク強度より大きいことを特徴と
する電子写真感光体である。また,以上の特徴に加え
て,無金属フタロシアニンの一次粒子の長軸径が1μm
以下であり,さらには,長軸径/短軸径の比率(L/S
比)が10以下であることを特徴とする電子写真感光体に
より目的を達成した。
本発明において用いられる,τ型無金属フタロシアニ
ンは特開昭58−182639号公報に,η型無金属フタロシア
ニン特開昭58−183758号公報に,また,τ′型および
η′型の無金属フタロシアニンは特開昭60−19153号公
報にそれぞれ記載されているものであり,原料としての
α型無金属フタロシアニンもしくはα型無金属フタロシ
アニンとフタロシアニン誘導体とを摩砕助剤,溶媒等と
ともに各種分散機を用いて混練することにより,所定の
結晶型を有する無金属フタロシアニン粒子に結晶転移さ
せることができる。
上記結晶形を有する無金属フタロシアニンは,通常,
棒状の結晶形を有しているが,本発明においては,特定
のL/S比を有し,特に長軸径が1μm以下のフタロシア
ニン粒子が電子写真特性に優れている。このような微細
な結晶粒子は,結晶転移の際,転移時間,転移温度,分
散メディアと原料の比率,摩砕助剤と原料との比率,溶
媒等の諸条件を適宜選定して得ることができる。
従って,上記条件を適宜調節して,本発明のX線回折
図およびX線回折強度を有するτ,τ′,ηおよびη′
型無金属フタロシアニン粒子を得ることが出来る。ま
た,本発明者等の詳細な実験により,粒子の長軸径が1
μm以下であり,L/S比が10以下のτ,τ′,ηおよび
η′型無金属フタロシアニンは,X線回折図のブラッグ角
度(2θ±0.2゜)の21.2゜以上のX線回折ピーク強度
が大きくなることが判明した。それに加えて,微粒子化
したために光吸収効率が良好になり,結果として量子効
率が向上して,電子写真特性が大幅に改良されたもので
ある。
本発明で得られる上記結晶形無金属フタロシアニン粒
子は,L/S比が10以下であり,極めて微粒子であるために
塗液中における粒子の分散が良好であり,薄膜で均一な
電荷発生層を形成することができる。
フタロシアニン粒子の長軸径および短軸径は,走査型
電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。
SEMによる粒子径は,ある観測される粒子像に対して,
2本の平行線により粒子をはさみ,この2線間距離の最
小のものを短軸径(S)とし,これに垂直な2本の平行
線で粒子をはさんだときの距離を長軸径(L)とする。
本発明における感光体の好ましい層構成は,導電性基
板上に,下引き層,電荷発生層,電荷移動層の順にて積
層されたもの,あるいは下引き層を除いて上記層を構成
したものがあるが,従来公知の構成のいずれであっても
良い。
各層は電荷発生剤と電荷移動剤を適切な結着剤樹脂で
分散塗布して形成することが好ましい。
上記結着剤樹脂としては,シリコン樹脂,ケトン樹
脂,ポリ塩化ビニル樹脂,アクリル樹脂,ポリエステル
樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリビニルブチラール樹
脂,ポリウレタン樹脂などの絶縁性樹脂があるが,これ
らに限定されるものではない。
電荷発生層は,本発明の無金属フタロシアニン粒子を
塗膜重量で40重量%以上含有し,上記樹脂の溶剤を加え
た塗液を,スピンコーター,アプリケーター,スプレー
コーター,バーコーター,浸漬コーター,ドクタープレ
ード,ローラーコーター,カーテンコーター,ビードコ
ーター等の塗工装置を用いて乾燥後膜厚として,0.1〜5
μm,望ましくは0.3〜1μmになるように形成する。
電荷移動層は,電荷移動剤の単層または電荷移動剤を
結着剤樹脂溶液に溶解分散させた塗液を乾燥塗膜厚とし
て5〜50μm,望ましくは10〜20μmの厚さで形成したも
のである。電荷移動物質としては電子移動物質と正孔移
動性物質であるかいずれも使用することができる。好ま
しい電荷移動剤としては,オキサゾール誘導体,カルバ
ゾール誘導体,ヒドラゾン誘導体,スチリル色素系,シ
アニン色素系,オキサジアゾール誘導体,ピラゾリン誘
導体,トリフェニルメタン系化合物,トリフェニルアミ
ン系化合物,ニトロフルオレノン類等の正孔移動物質が
ある。
下引き層としては,ナイロン610,共重合ナイロン,ア
ルコキシメチル化ナイロンなどのアルコール可溶性ポリ
アミド,カゼイン,ポリビニルアルコール,ニトロセル
ロース,エチレン−アクリル酸コポリマー,ゼラチン,
ポリウレタン,ポリビニルブチラールおよび酸化アルミ
ニウムなどの金属酸化物を0.1〜20μm,望ましくは0.1〜
1μmとなるように形成したものである。また,酸化亜
鉛,酸化チタン類の金属酸化物,窒化ケイ素,炭化ケイ
素やカーボンブラックなどの導電性および誘電性粒子を
樹脂中に含有させて調整することもできる。
上記各層を形成するべき導電性支持体としては,アル
ミニウム,アルミニウムと他種金属との合金,鋼,鉄,
銅,ニッケル等の金属の他に導電性プラスチックおよび
プラスチック,紙,ガラス等に導電性を付与したものを
用いることができる。
プリンター用デジタル光源としては,レーザーの他,L
EDも使用できる。可視光領域のLEDも使われているが,
一般に実用化されているものは,650nm以上,標準的には
660nmの発振波長を持っている。また,当該無金属フタ
ロシアニン化合物は,650nm前後に吸収ピークを持つた
め,LED用材料としても有効な材料として使用できる。ま
た光記録材料用としても多くの用途が考えられる。
以下,本発明の実施例について説明する。例中で部と
は,重量部を示す。
(実 施 例) 参考例1(α型無金属フタロシアニンの製造) アミノイミノイソインドレニン14.5部をトリクロロベ
ンゼン50部中で200℃にて2時間加熱し,反応後,水蒸
気蒸溜で溶媒を除き,2%塩酸水溶液,続いて2%水酸化
ナトリウム水溶液で精製した後,水で十分洗浄後,乾燥
することによって無金属フタロシアニン8.8部(収率70
%)を得た。このようにして得た無金属フタロシアニン
はβ型の結晶形を有している。β型からα型への転移は
次の操作で製造される。10℃以下の98%硫酸10部の中に
1部のβ型無金属フタロシアニンを少しずつ溶解し,そ
の混合物を約2時間の間,5℃以下の温度を保ちながら撹
拌する。続いて硫酸溶液を200部の氷水中に注入し,析
出した結晶をろ過する。結晶を酸が残留しなくなるまで
蒸留水で洗浄し,乾燥すると0.95部のα型無金属フタロ
シアニンが得られる。
参考例2(τ型無金属フタロシアニンの製造) α型無金属フタロシアニン10部に,食塩30部,ポリエ
チレングリコール8部をニーダーに入れ,80℃で30時間
ニーディングし,サンプングして,X線回折図でτ型に移
転したことを確認の後,ニーダーより取り出し,水およ
びメタノールで磨砕助剤,溶媒を洗浄除去後,2%の希硫
酸水溶液中で撹拌,精製し,ろ過,水洗,乾燥して鮮明
な色相の青色結晶を得た。これらの結晶は赤外線吸収ス
ペクトルの測定によってもτ型無金属フタロシアニンで
あることが確認された。
参考例3(τ′型無金属フタロシアニンの製造) α型無金属フタロシアニン10部,食塩300部,エチレ
ングリコール300部をサンドミルに入れ,100℃で30時間
ミリングした。サンプリングして,X線回折図でτ′型
(変形τ型)に転移したことを確認の後,ニーダーより
取り出し,参考例2と同様にして青色結晶を得た。この
結晶は赤外線吸収スペクトルの測定によってもτ′型無
金属フタロシアニンであることが確認された。
参考例4(η型無金属フタロシアニンの製造) 無金属フタロシアニン100部,ジエチルアミノメチル
銅フタロシアニン(ジエチルアミノエチル基を平均1.1
個含有)10部を氷冷した98%硫酸に溶解し,この溶液を
水中に投入し,沈澱物をろ過,水洗,乾燥することによ
って均一な混合物を得た。この混合物100部,粉砕食塩3
00部およびポリエチレングリコール80部をニーダーに入
れ,90℃で30時間ニーディングした。サンプリングして,
X線回折図でη型に転移したことを確認の後,ニーダー
より取り出し,水およびメタノールで磨砕助剤,溶媒を
洗浄除去後,2%の希硫酸水溶液中で撹拌,精製し,参考
例2と同様にして青色結晶を得た。この結晶は赤外線吸
収スペクトルの測定によってもη型無金属フタロシアニ
ンであることが確認された。
参考例5(η′型無金属フタロシアニンの製造) α型無金属フタロシアニン100部,フタロシアニン誘
導体Pc−(COCH2NHC8H172.1(Pcは無金属フタロシア
ニン残基を表す。)15部,粉砕食塩300部およびポリエ
チレングリコール80部をニーダーに入れ,100℃で15時間
ニーディングした。サンプリングして,X線回折図でη′
型(変形η型)に転移したことを確認の後,ニーダーよ
り取り出し,参考例2と同様にして青色結晶を得た。こ
の結晶は赤外線吸収スペクトルの測定においてもη′型
無金属フタロシアニンであることが確認された。
以上,参考例2〜5により作製したτ,τ′,ηおよ
びη′型無金属フタロシアニン粒子は,CuKα線を使用し
て測定したX線回折図上において,第1表に示すブラッ
グ角度(2θ±0.2゜)の位置に明確なピークを有して
いる。
また,その代表的なX線回折図を第1〜4図にそれぞ
れ示す。
本発明は,ブラッグ角度の21.2゜以上のX線回折ピー
ク,具体的には,第1表のNo.7〜9のピークが,明確で
あり,その回折角度の大きい,τ,τ′,ηおよびη′
型無金属フタロシアニンに関するものである。
実施例1〜4 参考例2〜5により作製したτ,τ′,ηおよびη′
型無金属フタロシアニンの結晶形とX線回折ピーク強度
比を第3表に示す。
本実施例5〜8の無金属フタロシアニンは,ブラッグ
角度(2θ±0.2゜)の21.2゜以上の位置に,7.6(ピー
クNo.1)および/または9.2゜(ピークNo.2)のピーク
強度に対して50%以上の強度を有するX線回折ピークを
少なくとも1本有している。
比 較 例1〜4 従来の方法で作成したτ,τ′,ηおよびη′型無金
属フタロシアニンの結晶形とX線回折ピーク強度比を第
4表に示す。
本比較例1〜4の無金属フタロシアニンは,ブラッグ
角度(2θ±0.2゜)の21.2゜以上の位置に,7.6(ピー
クNo.1)および/または9.2゜(ピークNo.2)のピーク
強度に対して10%以上の強度を有するX線回折ピークを
有していない。
次に,電子写真感光体の作製方法を示す。
アルミニウム蒸着したポリエチレンテレフタレートシ
ート(75μm)のアルミニウム面にポリビニルアルコー
ル(ケン化度86〜89%)10部を混合し,エタノール500
部を加えてボールミルで3時間分散した塗液をワイヤー
バーで塗布し,70℃で3時間加熱乾燥させ,膜厚0.5μm
の下引き層を形成した。
次に本例で得られた無金属フタロシアニンを3部,塩
ビ−酢ビ共重合体樹脂(ユニオンカーバイド社製商品名
VMCH)3部を,テトラヒドロフラン94部とともに,ボー
ルミルで2時間分散した。この分散液を下引き層上に塗
布し,100℃で2時間乾燥させた後,0.20μmの電荷発生
層を形成した。
次に電荷移動剤として,1−フェニル−1,2,3,4−テト
ラヒドロキノリン−6−カルボキシアルデヒド−1′,
1′−ジフェニルヒドラゾン10部,ポリエステル樹脂
(東洋紡株式会社製商品名バイロン200)10部を塩化メ
チレン100重量部に溶かした液を電荷発生層上に塗布,
乾燥し,15μmの電荷移動層を形成した。
上記で作成した電子写真感光体を川口電気製静電複写
紙試験装置SP−428により−5.4KVでコロナ帯電し,表面
電位および5luxの白色光を照射して帯電量が1/2まで減
少する時間から白色光半減露光量感度(E1/2)を調べ
た。
分光感度は前記静電帯電試験装置を用いて,感光体に
−5.4KVのコロナ帯電をさせた後,500Wのキセノンランプ
を光源とし,モノクロメーターで単色光として照射し,
帯電露光時の光減衰を測定することにより得た。
以上の結果を第5表に示した。
以上の結果より,本発明で得られた無金属フタロシア
ニンを電荷発生剤とした感光体は,表面電位,暗減衰,
残留電位および感度ともに優れていることを確認した。
(発明の効果) 本発明により,高感度であり,帯電性の良好な電子写
真感光体を得ることが出来た。
【図面の簡単な説明】
第1〜4図は,それぞれτ,τ′,ηおよびη′型無金
属フタロシアニンのCuKα線を使用して測定したX線回
折図を示す。図中の数字は,第1表のピークNo.を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−136055(JP,A) 特開 昭63−148269(JP,A) 特開 昭62−47054(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性支持体上に,電荷発生物質と電荷移
    動物質を含む層を形成してなる電子写真感光体におい
    て,電荷発生物質がτ型,τ′型,η型およびη′型か
    ら選ばれる結晶形を有する無金属フタロシアニン粒子で
    あり,かつCuKαを線源として測定したX線回折のブラ
    ッグ角度(2θ±0.2゜)において,21.5゜のピーク強度
    が,7.6゜のピーク強度に対して50%以上大きく,かつ2
    2.3゜のピーク強度より大きい,および/または27.5゜
    のピーク強度が,7.6゜のピーク強度に対して50%以上大
    きく,かつ28.5゜のピーク強度より大きいことを特徴と
    する電子写真感光体。
  2. 【請求項2】無金属フタロシアニンの一次粒子の長軸径
    が1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の電
    子写真感光体。
  3. 【請求項3】無金属フタロシアニンの一次粒子の長軸径
    /短軸径(L/S)の比率が10以下であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の電子写真感光体。
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