JP4438128B2 - ダイレクト蒸着された熱可塑性樹脂成形品 - Google Patents

ダイレクト蒸着された熱可塑性樹脂成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンダーコート処理を施すことなく直接アルミニウム、クロムなどの金属層を真空蒸着法やスパッタリング法などのメタライジングにより形成することができる、いわゆるダイレクト蒸着性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品や各種OA機器用の熱可塑性樹脂成形品には、製品の外観や耐候性、その他の機能性を高めるために、アルミニウム、クロムなどの金属層を真空蒸着法やスパッタリング法などにより成形品表面に形成するメタライジング処理が施される場合がある。
【0003】
従来、熱可塑性樹脂成形品に真空蒸着法などによりメタライジングするに際しては、次のような工程が必要であった。
【0004】
(1) 成形品表面の凹凸を無くし平滑面を得るためにベースコート処理を施し、ベースコート層を形成する。
(2) ベースコート層を焼き付け処理する。
(3) 真空蒸着法などでメタライジングを行い金属層を形成する。
(4) 金属層を保護し傷つきを防止するためにトップコート処理を施し、トップコート層を形成する。
(5) トップコート層を焼き付け処理する。
【0005】
このように、熱可塑性樹脂成形品のメタライジングには多数の工程と処理剤を必要とするものであったが、最近になって、工程数の削減、処理コストの低減を目的として、上記(1)(2)のベースコート処理工程を無くし、成形品表面に直接メタライジングを行って金属層を形成させる、いわゆるダイレクト蒸着が試みられている。
【0006】
なお、このようなメタライジングを施した製品については、当然のことながら、メタライジング表面が良好な光輝性を有することが要求され、また、用途によってはメタライジング層の基材への密着強度も重要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常の熱可塑性樹脂組成物では、得られる成形品の樹脂基材表面に微細な凹凸が存在するため、ベースコート処理無しでは、良好な光輝面をもつ金属層を形成し得ない。また、各種溶剤を含むトップコートを焼き付け処理した場合、ベースコート層がないと、この溶剤が金属層を浸透して成形品の樹脂基材を侵すことから、メタライジング面が白濁し、外観が著しく損なわれるといった問題もあった。
【0008】
本発明は上記従来の問題点を解決し、ダイレクト蒸着性に優れた熱可塑性樹脂組成物、即ちベースコート処理を行わなくても、良好な光輝面をもつ金属層を形成することができ、また、トップコート処理後も白濁等の外観の劣化の問題もなく、良好な光輝表面を保つことができ、しかも、メタライジング表面密着強度も高い成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に係るダイレクト蒸着性れた熱可塑性樹脂成形品は、ゴム質重合体にビニル系単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)15〜50重量部と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体と、必要に応じて用いられる他の共重合可能な不飽和単量体とを共重合してなる硬質共重合体(B)85〜50重量部とを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、前記ゴム質重合体は、重量平均粒子径800〜3000Åで、該ゴム質重合体中の粒子径5000Å以上のゴム粒子の割合が10%未満であり、前記硬質共重合体(B)中のシアン化ビニル系単量体の含有量が35.8〜45重量%である熱可塑性樹脂組成物からなる成形品表面にアンダーコート処理すること無しに直接金属層を形成してなることを特徴とする(ただし、ゴム含有グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)との合計で100重量部とする。)。
【0010】
本発明の第2の態様に係るダイレクト蒸着れた熱可塑性樹脂成形品は、ゴム質重合体にビニル系単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体と、必要に応じて用いられる他の共重合可能な不飽和単量体とを共重合してなる硬質共重合体(B)と、粘度平均分子量(Mv)が30,000以下であるポリカーボネート(C)とを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、前記ゴム質重合体は、重量平均粒子径800〜3000Åで、該ゴム質重合体中の粒子径5000Å以上のゴム粒子の割合が10%未満であり、前記硬質共重合体(B)中のシアン化ビニル系単量体の含有量が35.8〜45重量%であり、該熱可塑性樹脂組成物中のゴム含有量が3〜20重量%である熱可塑性樹脂組成物からなる成形品表面にアンダーコート処理すること無しに直接金属層を形成してなることを特徴とする。
【0011】
即ち、本発明者らは、ダイレクト蒸着性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得るべく鋭意検討を重ねた結果、ゴム含有グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)との所定量で構成される熱可塑性樹脂組成物において、ゴム含有グラフト共重合体(A)のゴム質重合体として、重量平均粒子径800〜3000Åで、該ゴム質重合体中の粒子径5000Å以上のゴム粒子の割合が10%未満のものを用いることにより、また、ゴム含有グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)と、粘度平均分子量(Mv)が30,000以下のポリカーボネート(C)とで構成される熱可塑性樹脂組成物において、ゴム含有グラフト共重合体(A)のゴム質重合体として、重量平均粒子径800〜3000Åで、該ゴム質重合体中の粒子径5000Å以上のゴム粒子の割合が10%未満のものを用いると共に、所定のゴム含有量に調整することにより、著しく優れたダイレクト蒸着性が得られることを見出し、本発明を達成した。
【0012】
なお、本発明でいうダイレクト蒸着性とは、成形品表面にアンダーコート処理すること無しに直接メタライジングを行い金属層を形成させた場合の光輝性、更にトップコート処理後の光輝性をも含めた表面状態の良否を指し、この光輝性は、反射率計により金属層の全反射率と拡散反射率を測定し、その差から正反射率を求める方法で調べることができる。拡散反射率が大きくなると金属層が白濁したように観察され商品価値を著しく損ねる。一般に、最終工程のトップコート処理後の正反射率が80%以上で拡散反射率が2.0%以下であれば、各種分野に実用可能と言える。
【0013】
また、用途によってはトップコート処理後のメタライジング表面密着強度も重要であるが、本発明のダイレクト蒸着性に優れた熱可塑性樹脂組成物は、この密着強度においても良好な特性を示す。
【0014】
本発明において、ゴム含有グラフト共重合体(A)のゴム質重合体の重量平均粒子径は、特に1000〜2500Åであることが好ましい。またゴム質重合体としては、共役ジエン系重合体、アクリルエステル系重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系重合体、及びポリオルガノシロキサン系重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の複合ゴムが好ましい。
【0015】
また、硬質共重合体(B)中のシアン化ビニル系単量体の含有量は20〜45重量%であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
本発明において、ゴム含有グラフト共重合体(A)とは、ゴム質重合体の存在下に、ビニル系単量体をグラフト重合してなる共重合体である。
【0018】
ゴム含有グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体としては、ボリブタジエン、ブタジエンと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のような共役ジエン系重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のようなアクリルエステル系重合体、エチレン−プロピレン又はブテン、好ましくはプロピレン−非共役ジエン共重合体、ポリオルガノシロキサン系重合体等が挙げられる。ここで、アクリル酸エステル重合体のアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレートなどが挙げられ、また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体に含有されるジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネンなどが挙げられ、これらのうちの1種を単独で、或いは2種以上の複合ゴムとして用いることができる。
【0019】
本発明において、ゴム質重合体としては、その重量平均粒子径が800〜3000Åで、粒子径5000Å以上のゴム粒子の割合(以下「粗大粒子割合」と称す。)がゴム質重合体全体の10%未満のものを用いる。
【0020】
このゴム質重合体の重量平均粒子径が800Å未満では、得られる成形品の衝撃強度が低下し、3000Åを超えると、前記拡散反射率が2.0%を超え、ダイレクト蒸着性が劣るものとなる。ゴム質重合体の重量平均粒子径は特に1000〜2500Åであることが好ましい。
【0021】
また、この重量平均粒子径が800〜3000Åの範囲内であっても、粗大粒子割合が10%以上であると前記拡散反射率が2.0%を超え、ダイレクト蒸着性に劣るものとなる。
【0022】
従って、本発明においては、上記重量平均粒子径及び粗大粒子割合に粒子径制御したゴム質重合体を用いる。
【0023】
なお、ゴム含有グラフト共重合体(A)中のゴム含量は40〜75重量%であることが好ましい。ゴム含量が40重量%未満では耐衝撃性に劣り、75重量%を超えてもグラフト率が低下することから耐衝撃性に劣るものとなる。
【0024】
ゴム質重合体にグラフト重合するビニル系単量体としては、芳香族ビニル、シアン化ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物、不飽和カルボン酸等が挙げられる。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルが挙げられ、マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
本発明の硬質共重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体と、更に必要に応じて用いられる共重合可能な他の不飽和単量体を共重合してなる共重合体からなり、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体と、更に必要に応じて用いられる共重合可能な他の不飽和単量体は、ゴム含有グラフト共重合体(A)にグラフトさせる単量体として例示したものと同様な単量体が使用される。
【0026】
ここで、硬質共重合体(B)中のシアン化ビニル系単量体の含有量は、好ましくは20〜45重量%である。シアン化ビニル系単量体の含有量が20重量%未満では、耐衝撃性等の物性が得にくく、また、拡散反射率が2.0%を超え、正反射率が80%未満となってダイレクト蒸着性にも劣るものとなり、45重量%を超えると、メタライジング密着強度等が劣るものとなる。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂組成物が、樹脂成分として、ゴム含有グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とで構成される場合、これらの割合はゴム含有グラフト共重合体(A)15〜50重量部と硬質共重合体(B)85〜50重量部とで合計で100重量部とする。この範囲よりもゴム含有グラフト共重合体(A)が多く、硬質共重合体(B)が少ないと流動性が劣るものとなり、また、拡散反射率が2.0%を超え、正反射率が80%未満となってダイレクト蒸着性にも劣るものとなる。逆に、ゴム含有グラフト共重合体(A)が少なく硬質共重合体(B)が多いと耐衝撃性が劣るものとなる。なお、このゴム含有グラフト共重合体(A)及び硬質共重合体(B)よりなる熱可塑性樹脂組成物中の全ゴム含有量は5〜25%であることがダイレクト蒸着性と物性バランスの面から好ましい。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂組成物が、樹脂成分としてゴム含有グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とポリカーボネート(C)とで構成される場合、全ゴム含有量が3〜20重量%となるようにこれらを配合すれば良い。この全ゴム含有量が3重量%未満では耐衝撃性に劣るものとなり、メタライジング密着性も悪く、また、全ゴム含有量が20重量%を超えるとダイレクト蒸着性が損なわれ、また、流動性も悪くなる。
【0029】
このようにポリカーボネート(C)を配合することにより、耐熱性及び耐衝撃性を格段に高めることができるが、樹脂流動性においては低下する傾向があるため、目的に応じて、樹脂の構成成分を選定するのが好ましい。
【0030】
このゴム含有グラフト共重合体(A)、硬質共重合体(B)及びポリカーボネート(C)よりなる熱可塑性樹脂組成物の場合、物性ないし特性のバランス面で好ましい配合は、ゴム含有グラフト共重合体(A)10〜20重量部、硬質共重合体(B)30〜50重量部、ポリカーボネート40〜70重量部で合計が100重量部となる配合である。
【0031】
ここで用いられるポリカーボネートとしては粘度平均分子量(Mv)が30,000以下である。粘度平均分子量(Mv)が30,000を超えるポリカーボネートを用いた場合、流動性が損なわれると共にダイレクト蒸着性も劣るものとなる。
【0032】
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、補強剤、充填剤など各種添加剤をその物性等を損なわない範囲内に配合することができる。
【0033】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を混合する方法として、特に制限はないが、例えば、押出機、バンバリーミキサー等を用いた溶融混練法が好ましい。
【0034】
【実施例】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
【0035】
なお、以下において、「部」は「重量部」を意味するものとする。また、各種物性の測定方法は次の通りである。
【0036】
ゴム粒子径の測定方法:大塚電子(株)製 DLS−700型を用いて動的光散乱法により重量平均粒子径と粒子径分布を求めた。
【0037】
アクリロニトリル含有量の測定方法:CHNコーダー(Yanaco社製:CHN corder MT−3)を用いて各元素の分析値より算出した。
【0038】
ポリカーボネート分子量の測定方法:ウエベローデ粘度計を用いて塩化メチレンを溶媒とした溶液で測定し、下記のSchnellの粘度式を用いて算出した。
【0039】
〔η〕=1.23×Mv0.84×10-4
合成例1:ゴム含有グラフト共重合体(a−1)の製造
以下の配合にて、乳化重合法によりABS共重合体を合成した。
【0040】
〔配合〕
スチレン(ST) 35部
アクリロニトリル(AN) 15部
ポリブタジエン・ラテックス 50部(固形分として)
(重量平均粒子径:1800Å,粗大粒子割合:5%)
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.1部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウム及びポリブタジエン・ラテックスを仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DM及びクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たABSラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してABSグラフト共重合体(a−1)を得た。
【0041】
合成例2:ゴム含有グラフト共重合体(a−2)の製造
重量平均粒子径が2500Åで、粗大粒子割合が15%のポリブタジエン・ラテックス50部(固形分として)の存在下に、AN15部、ST35部を反応させたこと以外は、合成例1と同様にしてABSグラフト共重合体(a−2)を得た。
【0042】
合成例3:ゴム含有グラフト共重合体(a−3)の製造
重量平均粒子径が3800Åのポリブタジエン・ラテックス50部(固形分として)の存在下、AN15部、ST35部を反応させたこと以外は、合成例1と同様にしてABSグラフト共重合体(a−3)を得た。
【0043】
合成例4:ゴム含有グラフト共重合体(a−4)の製造
重量平均粒子径が2000Åで、粗大粒子割合が7%のポリブチルアクリレート・ラテックス50部(固形分として)の存在下、AN15部、ST35部を反応させたこと以外は、合成例1と同様にAASグラフト共重合体(a−4)を得た。
【0044】
合成例5:ゴム含有グラフト共重合体(a−5)の製造
重量平均粒子径が2400Åで、粗大粒子割合が8%のエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムラテックス(エチレン:プロピレン:非共役ジエン(5−エチレン−2−ノルボルネン)=80:19:1(モル%))50部(固形分として)の存在下、AN15部、ST35部を反応させたこと以外は、合成例1と同様にしてAESグラフト共重合体(a−5)を得た。
【0045】
合成例6:ゴム含有グラフト共重合体(a−6)の製造
重量平均粒子径が1400Åで、粗大粒子割合が5%のポリオルガノシロキサンゴムラテックス50部(固形分として)の存在下、AN15部、ST35部を反応させたこと以外は、合成例1と同様にしてASSグラフト共重合体(a−6)を得た。
【0046】
合成例7:硬質共重合体(b−1)の製造
窒素置換した反応器に水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、t−DM0.5部と、AN35部、ST65部からなるモノマー混合物を使用し、STの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。更に、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出した。得られた硬質共重合体(b−1)のAN含有量は、35.8重量%であった。
【0047】
合成例8:硬質共重合体(b−2)の製造
AN15部、ST85部からなるモノマー混合物を加えたこと以外は合成例7と同様にして重合を行った。得られた硬質共重合体(b−2)のAN含有量は、15.5重量%であった。
【0048】
合成例9:硬質共重合体(b−3)の製造
AN50部、ST50部からなるモノマー混合物を加えたこと以外は合成例7と同様にして重合を行った。得られた硬質共重合体(b−3)のAN含有量は、49.2重量%であった。
【0049】
合成例10:硬質共重合体(b−4)の製造
AN25部、ST20部、α−メチルスチレン35部、N−フェニルマレイミド20部からなるモノマー混合物を使用し、スチレン、α−メチルスチレン、N−フェニルマレイミドの一部を逐次添加したこと以外は合成例7と同様にして重合を行った。得られた硬質共重合体(b−4)のAN含有量は、24.3重量%であった。
【0050】
なお、ポリカーボネート樹脂としては、以下のものを用いた。
【0051】
ポリカーボネート(c−1):三菱エンジニアリングプラスチック(株)製S−1000F〔粘度平均分子量(Mv):24,000〕
ポリカーボネート(c−2):三菱エンジニアリングプラスチック(株)製E−2000〔粘度平均分子量(Mv):31,000〕
実施例1〜、比較例1〜10
表1,2に示す配合割合で、更に、滑剤、酸化防止剤等の添加剤と共に混合させた後(この熱可塑性樹脂組成物の全ゴム含有量は表1,2に示す通りである。)、220〜240℃で2軸押出機(東芝(株)製「TEX−44」)にて溶融混合し、ペレット化した。この樹脂ペレットを4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)にて220〜260℃にて成形し、必要なテストピースを作成し、各種物性を下記の方法で測定し、結果を表1,2に示した。
【0052】
〔メルトフローインデックス〕 ASTM−D1238
(220℃/10Kg)(g/10min)
〔アイゾット衝撃強度〕 ASTM−D256
(常温)(Kg・cm/cm)
〔熱変形温度〕 ASTM−D648(℃)
また、下記方法によりメタライジング及びトップコート処理を施したものについて、下記測定方法で反射率と密着強度を測定し、結果を表1,2に示した。
【0053】
〔メタライジング及びトップコート処理〕
真空蒸着法によるアルミニウムのメタライジングを行った。射出成形により100×100×2.3mmの平板を成形し、到達真空度1×10-5Torr、電流値400mAで電子ビームを発生させ膜厚約800Åのアルミニウム蒸着膜を形成した。これにトルエン:10〜20%、1−ブタノール:20〜30%、石油系炭化水素:40〜50%からなる溶剤とアクリル系クリアー塗料を混合した溶液を吹き付けてトップコート層を形成した後、70〜110℃で焼き付け処理した。
【0054】
反射率(%):反射率計(東京電色センター製)によりトップコート処理した金属層の全反射率と拡散反射率を測定し、その差から正反射率を求める方法でそれぞれの値を得る。正反射率が高く拡散反射率が小さいほうが光輝性に優れる。
正反射率=全反射率−拡散反射率
密着強度:トップコート処理した表面に碁盤目セロテープ剥離試験を行い、密着強度を以下の判断基準で評価した。
○:全く剥がれず
△:剥がれた面積が50%未満
×:剥がれた面積が50%以上
【0055】
【表1】
Figure 0004438128
【0056】
【表2】
Figure 0004438128
【0057】
表1,2より次のことが明らかである。
【0058】
即ち、重量平均粒子径や粗大粒子割合が本発明の範囲外のゴム質重合体を用いて合成されたゴム含有グラフト共重合体を配合した比較例1,2では、良好な光輝性が得られずダイレクト蒸着性に劣る。
【0059】
ゴム含有グラフト共重合体と硬質共重合体との配合割合が本発明の範囲外の比較例5,6ではダイレクト蒸着性、メタライジング密着性や衝撃強度、流動性に問題を生じる。
【0060】
比較例3,4は硬質共重合体のAN含有量が本発明の好適範囲外のものであるが、ダイレクト蒸着性やメタライジング密着性、衝撃強度等が劣るものとなる。
【0061】
また、ポリカーボネートを配合した系において、全ゴム含有量が本発明の範囲外である比較例8,9では、ダイレクト蒸着性やメタライジング密着性、衝撃強度等が劣るものとなる。
【0062】
比較例7は、ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)が本発明の好適範囲を外れるものであるが、ダイレクト蒸着性が劣るものとなっている。
【0063】
これに対して、実施例1〜の本発明の熱可塑性樹脂組成物であれば、ダイレクト蒸着性,メタライジング密着性、流動性や機械的強度等において良好な特性を得ることができる。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のダイレクト蒸着性に優れた熱可塑性樹脂組成物によれば、ベースコート処理を行わなくても、良好な光輝性をもつ金属層を形成することができ、また、トップコート処理後も白濁等の外観の劣化の問題もなく、良好な光輝表面を保つことができ、しかも、メタライジング表面密着強度も高い熱可塑性樹脂成形品を得ることができる。
【0065】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ランプハウジング等の車両用部品や各種OA機器等のメタライジング成形品に好適であり、各種分野の基本的要求特性に応じて適宜使い分けることができる。

Claims (4)

  1. ゴム質重合体にビニル系単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)15〜50重量部と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体と、必要に応じて用いられる他の共重合可能な不飽和単量体とを共重合してなる硬質共重合体(B)85〜50重量部とを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記ゴム質重合体は、重量平均粒子径800〜3000Åで、該ゴム質重合体中の粒子径5000Å以上のゴム粒子の割合が10%未満であり、前記硬質共重合体(B)中のシアン化ビニル系単量体の含有量が35.8〜45重量%である熱可塑性樹脂組成物からなる成形品表面にアンダーコート処理すること無しに直接金属層を形成してなることを特徴とするダイレクト蒸着れた熱可塑性樹脂成形品
  2. ゴム質重合体にビニル系単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体と、必要に応じて用いられる他の共重合可能な不飽和単量体とを共重合してなる硬質共重合体(B)と、粘度平均分子量(Mv)が30,000以下であるポリカーボネート(C)とを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記ゴム質重合体は、重量平均粒子径800〜3000Åで、該ゴム質重合体中の粒子径5000Å以上のゴム粒子の割合が10%未満であり、前記硬質共重合体(B)中のシアン化ビニル系単量体の含有量が35.8〜45重量%であり、該熱可塑性樹脂組成物中のゴム含有量が3〜20重量%である熱可塑性樹脂組成物からなる成形品表面にアンダーコート処理すること無しに直接金属層を形成してなることを特徴とするダイレクト蒸着れた熱可塑性樹脂成形品
  3. 前記ゴム質重合体の重量平均粒子径が1000〜2500Åであることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイレクト蒸着れた熱可塑性樹脂成形品
  4. 前記ゴム質重合体が、共役ジエン共重合体、アクリルエステル系重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系重合体、及びポリオルガノシロキサン系重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のダイレクト蒸着れた熱可塑性樹脂成形品
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