JP5283817B2 - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、各種部品の成形材料として好適に利用できる熱可塑性樹脂組成物およびその成形品に関する。
芳香族ポリカーボネートを含む熱可塑性樹脂組成物は、機械的特性、耐熱性、耐衝撃性に優れていることから、各種部品の成形材料として広く使用されている。特に、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂と芳香族ポリカーボネートとを混合してなる熱可塑性樹脂組成物は耐衝撃性に優れる上に、芳香族ポリカーボネート単体で問題となる成形加工性あるいは衝撃強度の厚み依存性が改良されているため、自動車外装用成形材料等に好適に使用される。
しかし、この熱可塑性樹脂組成物およびその成形品は不安定であり、熱や光により劣化しやすいため、成形時の滞留による物性の低下、変色等を起こしやすく、用途に制限があった。そこで、その対策として、ABS樹脂の代わりに、アクリロニトリル・アクリル酸ブチル・スチレン(ASA)樹脂、アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・非共役ジエン・スチレン(AES)樹脂等を用いることがある。
AES樹脂としては、例えば特許文献1に、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴムラテックスに芳香族ビニル系単量体を乳化グラフト重合して得たグラフト重合体を含むものが開示されている。また、特許文献2,3には、特定ゲル分率のエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴムラテックスに特定の製法で芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を乳化グラフト重合して得たグラフト重合体を含むものが開示されている。
特開昭63−291913号公報 特開昭63−291942号公報 特開昭63−291943号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載のAES樹脂と芳香族ポリカーボネートを混合してなる熱可塑性樹脂組成物は安定性に優れるものの、耐衝撃性、特に低温耐衝撃性の改良効果が不十分である上に、成形加工性(流動性)に劣っていた。また、これらの点は、ASA樹脂を芳香族ポリカーボネートに混合した場合でも同様である。
本発明の目的は、安定性、低温耐衝撃性および成形加工性のいずれもが優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。また、安定性および低温耐衝撃性がともに優れた成形品を提供することにある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート(A)と、グラフト重合体(B)と、芳香族ビニル系単量体単位およびシアン化ビニル系単量体単位を含むビニル系共重合体(C)とを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
グラフト重合体(B)は、質量平均粒子径250〜400nmかつ粒子径500nm以上のゴム粒子の割合が25%未満であるラテックス状のゴム質重合体(b−1)に、芳香族ビニル系単量体65〜90質量%およびシアン化ビニル系単量体10〜35質量%を含む単量体混合物(b−2)をグラフト重合してなり、
前記ラテックス状のゴム質重合体(b−1)は、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体100質量部および変性低分子量α−オレフィン共重合体9質量部およびアニオン系界面活性剤2.6質量部を2軸スクリュー押出機で溶融混練し、水酸化カリウム水溶液を連続的に添加しながら、得られた溶融物を2軸スクリュー押出機から押出す工程と、前記溶融物を一軸押出機に連続的に供給して冷却する工程と、温水中に投入、分散させる工程とを経て得られたものであることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、グラフト重合体(B)が、ゴム質重合体(b−1)45〜75質量%に単量体混合物(b−2)55〜25質量部をグラフト重合してなることが好ましい。
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物が成形されたことを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、安定性、低温耐衝撃性および成形加工性のいずれもが優れる。
本発明の成形品は、安定性および低温耐衝撃性がともに優れる。
<芳香族ポリカーボネート(A)>
芳香族ポリカーボネート(A)は、粘度平均分子量(Mv)が16000〜30000のものが好ましい。粘度平均分子量が16000未満であると、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低くなる傾向にあり、30000を超えると成形性が低くなる傾向にある。
<グラフト重合体(B)>
[ゴム質重合体(b−1)]
グラフト重合体(B)を構成するゴム質重合体(b−1)は、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(以下、「EPDM」と略称する)および低分子量変性α−オレフィン共重合体を含有し、これらが水性媒体中に均一に分散した水性分散体である。ゴム質重合体(b−1)に含まれるEPDM中の非共役ジエン成分としては特に制限はないが、中でも、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネンおよびジシクロペンタジエンが好ましい。
低分子量変性α−オレフィン共重合体は、官能基を有する化合物で変性されたα−オレフィン共重合体であって、質量平均分子量が1000〜5000のものである。例えば、α−オレフィン単位99.8〜80質量%と不飽和カルボン酸系化合物単位0.2〜20質量%とを含有するものが挙げられる。低分子量変性α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンとしては、エチレン等が挙げられ、不飽和カルボン酸系化合物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸およびマレイン酸モノアミドなどが挙げられる。
この低分子量変性α−オレフィン共重合体がゴム質重合体(b−1)に含まれることで、乳化安定性を高くできるので、製造安定性が高くなる。
ゴム質重合体(b−1)中の低分子量変性α−オレフィン共重合体の含有量は、EPDM100質量部に対して質量部である。
ゴム質重合体(b−1)はEPDM以外のゴム成分を含有してもよい。EPDM以外のゴム成分の例としては、ポリブタジエン、ポリブタジエンの水素添加物、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、SEBS等の水素添加ジエン系(ブロック、ランダムおよびホモ)(共)重合体、ポリウレタンゴムおよびシリコーンゴム等が挙げられる。
ゴム質重合体(b−1)は、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と成形加工性とのバランスがより優れることから、平均粒子径が250〜400nmで、粒子径500nm以上のゴム粒子の割合が25%未満である。平均粒子径が250nm未満の場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低くなることがあり、400nmを超える場合、あるいは、500nm以上のゴム粒子の割合が25%以上である場合には、成形加工性が低くなる上に、光沢が低下して表面外観が悪化する傾向にある。
ゴム質重合体(b−1)を調製する方法としては、公知の溶融混練手段でEPDMと低分子量変性α−オレフィン共重合体の所定量を溶融混練し、機械的剪断力を与えて充分に分散させ、その混練物を、乳化剤を含む水性媒体に添加する方法が挙げられる。この方法によれば、安定なゴム質重合体のラテックスを得ることができる。
このゴム質重合体(b−1)の調製方法における溶融混練手段としては特に制限はないが、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機が好ましい。また、乳化剤としては、例えば、オレイン酸カリウムや不均化ロジン酸カリウム等のアニオン系界面活性剤などが用いられる。アニオン系界面活性剤の添加量は、EPDM100質量部に対して2.6質量部とするのが好ましい。なお、乳化剤は、EPDMと低分子量変性α−オレフィン共重合体にあらかじめ混合しておき、これに水酸化カリウム水溶液を添加することもできる。
上記のようにして得たゴム質重合体(b−1)のラテックスは、そのまま乳化グラフト重合に供される。
[単量体混合物(b−2)]
単量体混合物(b−2)は、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を必須成分として含み、これらと重合可能な他のビニル単量体を任意成分として含む混合物である。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
他のビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピルおよびアクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピレンおよびメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸ブチルまたはメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、他のビニル系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体が挙げられる。
単量体混合物(b−2)の組成は、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と成形加工性とのバランスがより優れることから、芳香族ビニル系単量体が65〜90質量%、シアン化ビニル系単量体が35〜10質量%であることが好ましい。芳香族ビニル系単量体が65質量%未満である(シアン化ビニル系単量体が35質量%を超える)と成形加工性が低くなる傾向にあり、芳香族ビニル系単量体が90質量%を超える(シアン化ビニル系単量体が10質量%未満である)と低温耐衝撃性が低くなることがある。
[グラフト重合体(B)の製造方法]
グラフト重合体(B)を製造する方法としては、ゴム質重合体(b−1)のラテックスに単量体混合物(b−2)を添加し、所定の重合温度に加熱して乳化グラフト重合させる方法が挙げられる。中でも、単量体混合物(b−2)にレドックス系開始剤を混合した上で、単量体混合物(b−2)を1時間以上にわたって、ゴム質重合体(b−1)のラテックスに連続的に添加することが好ましい。単量体混合物(b−2)の添加時間が1時間未満の場合、ラテックス安定性が低下して重合収率が低下することがある。
重合後のグラフト重合体(B)には、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。
上記グラフト重合体(B)の製造においては、ゴム質重合体(b−1)45〜75質量%(固形分として)に、単量体混合物(b−2)55〜25質量部を重合する((b−1)と(b−2)の合計100質量%)ことが好ましい。ゴム質重合体(b−1)が45質量%未満である(単量体混合物が55質量%を超える)と耐衝撃性が低くなることがあり、ゴム質重合体(b−1)が75質量%を超える(単量体混合物が25質量%未満である)と、成形加工性が低くなる傾向にある上に、着色顔料添加時の発色性が低くなる。
また、上記グラフト重合体(B)の製造で使用されるレドックス系開始剤としては、油溶性有機過酸化物と硫酸第一鉄−キレート剤−還元剤とが組み合わされたものが好ましい。油溶性有機過酸化物としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。より好ましいレドックス系開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、デキストロースからなるものである。
上記グラフト重合体(B)の製造方法によれば、グラフト重合体(B)がラテックス状で得られる。したがって、そのラテックス状のグラフト重合体(B)からグラフト重合体(B)を回収することになる。グラフト重合体(B)の回収方法としては、例えば、グラフト重合体(B)のラテックスに析出剤を添加し、加熱、攪拌した後、析出剤を分離し、これを水洗、脱水、乾燥する析出法が採用される。析出法における析出剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウムまたは硫酸マグネシウム等の水溶液を単独で使用あるいは併用できる。
<ビニル系共重合体(C)>
ビニル系共重合体(C)は、芳香族ビニル系単量体単位とシアン化ビニル系単量体単位とを含む共重合体である。また、このビニル系共重合体(C)には、芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル系単量体単位と共重合可能な他のビニル系単量体単位を含有しても構わない。
芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、他のビニル系単量体の具体例としては、単量体混合物(b−2)に含まれるものと同様である。
ビニル系共重合体(C)の組成には特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体単位60〜85質量%、シアン化ビニル系単量体単位15〜40質量%、他のビニル系単量体単位0〜20質量%であることが好ましい。
ビニル系共重合体(C)の製造方法としては、乳化重合法や懸濁重合法が採用される。ビニル系共重合体(C)を乳化重合で製造する場合、反応器内に各単量体と乳化剤と重合開始剤と連鎖移動剤とを仕込み、加熱して重合し、得られた共重合体ラテックスから析出法によりビニル系共重合体(C)を回収する。
ここで、乳化剤としては、ロジン酸カリウムおよびアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の一般的な乳化重合用乳化剤を用いることができる。また、重合開始剤としては、有機、無機の過酸化物系開始剤を用いることができ、連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等を用いることができる。析出法としては、グラフト重合体ラテックスからグラフト重合体(B)を回収するのと同様の方法を採用できる。
懸濁重合で製造する場合、反応器内に各単量体と懸濁剤と懸濁助剤と重合開始剤と連鎖移動剤とを仕込み、加熱して重合し、得られた共重合体スラリーを脱水してビニル系共重合体(C)を回収する。
ここで、懸濁剤としては、トリカルシウムフォスファイト、ポリビニルアルコール等を用いることができ、懸濁助剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が用いることができる。また、重合開始剤としては、有機パーオキサイド類を用いることができ、連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等を用いることができる。
<熱可塑性樹脂組成物>
熱可塑性樹脂組成物は、低温耐衝撃性と流動性のバランスが良くなることから、芳香族ポリカーボネート(A)とグラフト重合体(B)とビニル系共重合体(C)との合計100質量部に対し、芳香族ポリカーボネート(A)の含有量が50〜70質量部、グラフト重合体(B)の含有量が10〜23質量部、ビニル系共重合体(C)の含有量が40〜7質量部であることが好ましい。グラフト重合体(B)の含有量が10質量部未満であると耐衝撃性が低くなり、グラフト重合体(B)の含有量が20質量部を超えると成形加工性が低くなる上に、発色性が低くなる。
熱可塑性樹脂組成物は、例えば、押出機、バンバリーミキサーまたは混練ロール等にてペレット化することで容易に製造することができる。そのペレット化の際、芳香族ポリカーボネート(A)、グラフト重合体(B)、ビニル系共重合体(C)のほかに、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、顔料、充填剤などの添加剤を添加してもよい。熱可塑性樹脂組成物を着色する場合には、添加剤として、例えば、着色顔料、染料、カーボンブラック、酸化チタンなどの着色剤を使用することができる。
以上説明した熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート(A)、グラフト重合体(B)、ビニル系共重合体(C)を含有し、グラフト重合体(B)が特定のゴム質重合体(b−1)であり、ゴム質重合体(b−1)にグラフト重合する単量体混合物(b−2)が特定の組成であるため、耐衝撃性と成形加工性(流動性)とがともに優れる。また、ゴム質重合体(b−1)は飽和ゴムであるため、安定性に優れる。したがって、この熱可塑性樹脂組成物は、安定性、耐衝撃性、成形加工性のいずれもが優れている。また、この熱可塑性樹脂組成物は発色性が高く、着色する場合に適している。
<成形品>
次に、本発明の成形品について説明する。本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形したものである。成形方法としては、例えば、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法などが挙げられる。
本発明の成形品は、バンパー、ドアミラー、リアスポイラーなどの自動車外装部品等に好適であるが、それ以外の用途にも適用できる。
以下、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
「製造例1」ゴム質重合体(b−1−1)の製造
EPDM(三井化学(株)製TP3180)100部、低分子量変性ポリエチレン(三井化学(株)製 ハイワックス2203A)9部、更に、オレイン酸カリウム2.6部を混合した。次いで、それらの混合物を2軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼(株)製PCM−30型、L/D=40)のホッパーより6kg/時間で供給し、水酸化カリウム15%水溶液を110g/時間で連続的に供給しながら、加熱温度200℃で溶融混練して溶融物を押出した。引き続き、溶融物を同押出機先端に取り付けた冷却用一軸押出機に連続的に供給し、90℃まで冷却した。取り出した固体を80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、平均粒子径350nmで500nm以上のゴム粒子の割合が21%であるゴム質重合体ラテックスを得た。
次いで、得られたラテックスの固形分100部に対してt−ブチル−クミルパーオキサイドを0.84部、ジビニルベンゼンを1.0部添加し、135℃で5時間反応させて、ゴム質重合体(b−1−1)を調製した。
このゴム質重合体の架橋度を測定したところ70%であった。なお、架橋度は、ゴム質重合体ラテックスを希硫酸にて凝固させ、水洗乾燥した後、これを1g採取して200mlのトルエン中に40時間浸漬し、次いで、200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その質量を測定して求めた。
「製造例2」ゴム質重合体(b−1−2)の製造
EPDM100部、低分子量変性ポリエチレン17部およびオレイン酸カリウム3.0部添加したこと以外は製造例1と同様にしてゴム質重合体(b−1−2)ラテックスを調製した。ゴム質重合体(b−1−2)の平均粒子径は200nmで500nm以上のゴム粒子の割合が13%である。
「製造例3」ゴム質重合体(b−1−3)の製造
EPDM100部、低分子量変性ポリエチレン7部およびオレイン酸カリウム2.1部添加したこと以外は製造例1と同様にしてゴム質重合体(b−1−3)を調製した。ゴム質重合体(b−1−3)の平均粒子径は450nmで500nm以上のゴム粒子の割合が39%である。
「製造例4」ゴム質重合体(b−1−4)の製造
EPDM100部、低分子量変性ポリエチレン9部およびオレイン酸カリウム1.7部添加したこと以外は製造例1と同様にしてゴム質重合体(b−1−4)を調製した。ゴム質重合体(b−1−4)の平均粒子径は350nmで500nm以上のゴム粒子の割合が31%である。
「製造例5」グラフト重合体(B−1)の製造
攪拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水180部、ゴム質重合体(b−1−1)を固形分として70部、オレイン酸0.5部、硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部およびデキストロース0.35部を仕込み、温度を80℃とした。次に、アクリロニトリル7.5部、スチレン22.5部およびクメンハイドロパーオキサイド0.6部を150分連続的に添加し、重合温度を80℃一定に保った状態で乳化グラフト重合を行った。重合終了後のモノマー転化率は95%であった。
重合後、得られたグラフト重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、粉末状のグラフト重合体(B−1)を得た。
「製造例6」グラフト重合体(B−2)の製造
ゴム質重合体(b−1−1)の量を50部、アクリロニトリルの量を12.5部、スチレンの量を37.5部としたこと以外は製造例5と同様にしてグラフト重合体(B−2)を得た。
「製造例7」グラフト重合体(B−3)の製造
ゴム質重合体(b−1−1)の代わりにゴム質重合体(b−1−2)を用いたこと以外は製造例5と同様にしてグラフト重合体(B−3)を得た。
「製造例8」グラフト重合体(B−4)の製造
ゴム質重合体(b−1−1)の代わりにゴム質重合体(b−1−3)を用い、アクリロニトリルの量を10.8部、スチレンの量を19.2部としたこと以外は製造例5と同様にしてグラフト重合体(B−4)を得た。
「製造例9」グラフト重合体(B−5)の製造
アクリロニトリルの量を2.4部、スチレンの量を27.6部としたこと以外は製造例5と同様にしてグラフト重合体(B−5)を得た。
「製造例10」グラフト重合体(B−6)の製造
アクリロニトリルの量を10.8部、スチレンの量を19.2部としたこと以外は製造例5と同様にしてグラフト重合体(B−6)を得た。
「製造例11」グラフト重合体(B−7)の製造
ゴム質重合体(b−1−1)の代わりにゴム質重合体(b−1−4)を用いたこと以外は製造例5と同様にしてグラフト重合体(B−7)を得た。
なお、表1に、製造例5〜11におけるゴム質重合体の種類および量、単量体混合物の量を示す。
Figure 0005283817
「製造例12」ビニル系共重合体(C)の製造
窒素置換した攪拌機付きステンレス重合反応槽反応器に、イオン交換水120部、ポリビニルアルコール0.1部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、アクリロニトリル23部、スチレン77部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を仕込んだ。そして、反応器の温度50℃にして5時間加熱した後、120℃に昇温し、4時間重合した後に抜き出してビニル系共重合体(C)を得た。その重合におけるモノマー転化率は98%であり、得られたビニル系共重合体(C)の質量平均分子量は1.0×10であった。
芳香族ポリカーボネート(A)としては、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製S−1000を用いた。
(実施例1,2および比較例1〜5)
上述した方法で得た各成分を表2に示す配合で混合し、その混合物を押出機で溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得た。
Figure 0005283817
得られた熱可塑性樹脂組成物の曲げ強度、低温耐衝撃性、流動性について以下のように評価した。評価結果を表2に示す。
機械的強度(曲げ強度):東芝機械製射出成形機IS55FP−1.5Aを用い、ISO 3167に準拠して試験片を作成し、曲げ強さをISO 178の方法に準拠して測定した。
耐衝撃性(Charpy衝撃強度):東芝機械製射出成形機IS55FP−1.5Aを用い、ISO 3167に準拠して試験片を作製し、ISO 179の方法に準拠し、−20℃にて測定した。
流動性:東洋精機製作所製メルトインデクサーP−111を用い、ISO1133に準じて260℃、5kg荷重の条件でのメルトボリュームレート(MVR)を測定した。流動性が低い程、成形加工性も低い。
本願請求項1および2の範囲を満たす実施例1,2は、低温耐衝撃性と流動性(すなわち、成形加工性)とがともに高かった。
これに対し、ゴム質重合体の平均粒子径が200nmで500nm以上の粒子の割合が13%である比較例1、および、ゴム質重合体の平均粒子径が450nmで500nm以上の粒子の割合が39%である比較例2は、低温耐衝撃性が低かった。
芳香族ビニル系単量体が27.6部の比較例3は流動性が高かったが低温耐衝撃性が低くかった。
芳香族ビニル系単量体が19.2部である比較例4は低温耐衝撃性が高かったが流動性が低かった。
ゴム質重合体の平均粒子径が350nmで500nm以上の粒子の割合が31%である比較例5は低温耐衝撃性が低かった。

Claims (3)

  1. 芳香族ポリカーボネート(A)と、グラフト重合体(B)と、芳香族ビニル系単量体単位およびシアン化ビニル系単量体単位を含むビニル系共重合体(C)とを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    グラフト重合体(B)は、質量平均粒子径250〜400nmかつ粒子径500nm以上のゴム粒子の割合が25%未満であるラテックス状のゴム質重合体(b−1)に、芳香族ビニル系単量体65〜90質量%およびシアン化ビニル系単量体10〜35質量%を含む単量体混合物(b−2)をグラフト重合してなり、
    前記ラテックス状のゴム質重合体(b−1)は、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体100質量部および変性低分子量α−オレフィン共重合体9質量部およびアニオン系界面活性剤2.6質量部を2軸スクリュー押出機で溶融混練し、水酸化カリウム水溶液を連続的に添加しながら、得られた溶融物を2軸スクリュー押出機から押出す工程と、前記溶融物を一軸押出機に連続的に供給して冷却する工程と、温水中に投入、分散させる工程とを経て得られたものであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. グラフト重合体(B)が、ゴム質重合体(b−1)45〜75質量%に単量体混合物(b−2)55〜25質量部をグラフト重合してなることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物が成形されたことを特徴とする成形品。
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