JP4141749B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摺動性、流動性、成形外観及び機械強度に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、特定グラフト共重合体中にポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂及び変性低分子量α−オレフィン共重合体を含有することにより、これらの特性が優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体をグラフト重合してなるグラフト重合体を含有するゴム強化樹脂はAES樹脂として知られており、優れた耐候性、耐衝撃性を有し種々の用途に利用されている。
【0003】
事務機器、家電、自動車分野においては、キーボード、軸受け材料、ギヤー材料として摺動性、自己潤滑性の高い材料が要求されている。一般に、AES樹脂等の熱可塑性樹脂に摺動性、自己潤滑性を付与する場合、シリコーンオイル等の潤滑剤やポリエチレン等のポリオレフィン樹脂を添加し、溶融混練りする方法が用いられる。
【0004】
例えば、ゴム変性スチレン樹脂にポリオレフィン系樹脂、スチレン−オレフィングラフト共重合体、ジメチルシリコーンを混合した摺動性スチレン系樹脂組成物が特開昭63−182361号公報に開示されている。また、合成樹脂の耐摩耗性を向上させる添加剤として、特定のポリエチレン成分が特開昭63−175069号公報に開示されている。一方、本出願人は、特定のゲル含有量を有するエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴムラテックスに芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体を乳化重合により安定に製造する方法を見出し、先に、特開昭63−291913号公報として提案し、耐候性を有し、耐衝撃性、耐熱性及び表面光沢の優れた樹脂組成物を特開昭63−291942号公報及び特開昭63−291943号公報として提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の、シリコーンオイル等の潤滑剤やポリエチレン等のポリオレフィン樹脂を添加し溶融混練りする方法では、潤滑剤のブリージングが起こり易く、また添加剤の分散状態が十分で無いため機械的強度低下が起こる欠点が有り、優れた摺動性、自己潤滑性、表面外観を得ることは、実際上、困難である。
【0006】
また、特開昭63−291913号公報、特開昭63−291942号公報及び特開昭63−291943号公報の組成物は、今日においても耐候性、耐衝撃性、耐熱性及び表面光沢に優れているものの、摺動性は、今日において要求される性能を下回ることがあった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、耐磨耗・摺動性が高く、更に流動性、成形外観、機械強度に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその樹脂成形品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム質重合体(A)とポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂(B)(但し、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.3dl/gの範囲のものを除く)を重量比率60/40〜70/30で含有し、かつ変性低分子量α−オレフィン共重合体を含有する複合ゴムラテックス(C)の存在下に、
芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び重合可能な他のビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト重合体(D)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物及びその樹脂成形品が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
摺動性、流動性、成形外観及び機械強度のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を得るために鋭意検討した結果、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体にポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂及び変性低分子量α−オレフィン共重合体を含有する特定のグラフト共重合体及び硬質共重合体を特定割合で配合することにより、極めて優れた特性を有する熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いるポリオレフィン樹脂であるポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂と変性低分子量α−オレフィン共重合体を含有するグラフト共重合体を効率的に製造する方法を得るべく、次のような検討を行った。本発明者らは、先に特開昭63−291913号公報において特定のゲル含有量を有するエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムラテックスに芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体を乳化重合により安定に製造する方法を明らかにし、更に、特開平2−123146号公報において特定の変性低分子量α−オレフィン共重合体を含有するマレイミド系グラフト共重合体の効率的製造方法を明らかにした。
【0012】
しかしながら、これらの方法により得られるグラフト共重合体を用いた熱可塑性樹脂組成物の摺動性を調査すると、今日における要求性能を満足しうる特性が得られなかった。この問題を解決するため検討を進めた結果、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体にポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂と変性低分子量α−オレフィン共重合体の特定量をラテックス状にて均一に分散しジビニルベンゼン等の多官能性化合物と架橋開始剤として有機過酸化物を添加し架橋させたエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体含有架橋ラテックスとし、該架橋ラテックスに芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び重合可能な他のビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト重合体を用いることにより本発明を見出した。
【0013】
グラフト共重合体(D)において、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(以下、「EPDM」と略称する)は、エチレン、プロピレン及び非共役ジエンのゴム状共重合体であるが、含有されるエチレンの割合は、40〜75重量%であることが好ましい。即ち、この割合が、40重量%未満の場合、本発明の効果は確認されるが、その効果は小さく実用的でない。75重量%を超える場合は、本発明の効果が確認されにくい。なお、非共役ジエン成分としては、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネン及びジシクロペンタジエン等が好ましい。
【0014】
本発明のゴム成分は、EPDM(A)単独で使用することも、あるいはEPDM(A)と他のゴム質を示す重合体を組み合わせて使用することもできる。他のゴム質を示す重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリブタジエンの水素添加物、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソブレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合体、イソブチレン−イソブレン共重合体、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、SEBS等の水素添加ジエン系(ブロック、ランダム及びホモ)(共)重合体、ポリウレタンゴム及びシリコーンゴム等が挙げられる。
【0015】
変性低分子量α−オレフィン共重合体としては、α−オレフィン99.8〜80重量%及び不飽和カルボン酸系化合物0.2〜20重量%を含む変性ポリエチレン等が挙げられる。ここで、α−オレフィンとしては、エチレン等が、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸及びマレイン酸モノアミド等が挙げられる。
【0016】
このような、変性低分子量α−オレフィン共重合体を、前記のEPDM(A)とポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂(B)の100重量部に対して0.1重量部以上配合することにより、調製された複合ゴムラテックスの安定性を改善することができる。しかしながら、30重量部を超えると衝撃強度の著しい低下を招く。このため、本発明において、複合ゴムラテックス(C)は、EPDM(A)とポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂(B)の100重量部に対して変性低分子量α−オレフィン共重合体0.1〜30重量部を配合したものが好ましい。
【0017】
ポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂(B)は、例えば、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。EPDMとポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂の割合は重量比率で60/40〜70/30である。EPDMの割合が60未満では耐衝撃強度が著しく低下し、70を超えると本発明の効果が得られにくい。
【0018】
なお、複合ゴムラテックス(C)は、ゲル含有量が40〜95重量%であり、平均粒子径が0.2〜1μmであることが物性バランス上好適である。即ち、ゲル含有量が40重量%未満のときは、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と表面外観が悪化し易く、ゲル含有量が95重量%を超えるときは、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が著しく悪化するおそれがある。一方、平均粒子径が0.2μm未満のときは、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が著しく悪化し易く、1μmを超えるときは、光沢が低下し表面外観が悪化する場合がある。
【0019】
複合ゴムラテックス(C)にグラフト重合させる単量体混合物は、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び重合可能な他のビニル単量体の混合物である。これらの単量体のうち、芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン及びp−メチルスチレン等が挙げられる。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等が挙げられる。重合可能な他のビニル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル及びアクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル及びメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、アクリル酸ブチルやメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。また、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0020】
本発明において、単量体混合物は、芳香族ビニル系単量体60〜76重量%、シアン化ビニル系単量体40〜24重量%、他のビニル単量体0〜20重量%含有してなるものが好ましい。
【0021】
グラフト共重合体(D)は、前記EPDMとポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂の割合が重量比率で60/40〜70/30で、変性低分子量α−オレフィン共重合体0.1〜30重量部を含有する複合ゴムラテックス10〜80重量部(固形分として)に対して、上記単量体混合物90〜20重量部を乳化グラフト重合して得られるものが好ましい。グラフト共重合体の複合ゴムラテックスが40重量部未満で単量体混合物が60重量部を超える場合、及び複合ゴムラテックスが80重量部を超え、単量体混合物が20重量部未満である場合には、耐衝撃性が低下する場合がある。
【0022】
一方、熱可塑性樹脂(E)としては、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びハイインパクトポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)等が挙げられる。これら熱可塑性樹脂(E)は単独で用いてもよいし、あるいは2種類以上をブレンドして用いることも可能である。
【0023】
この熱可塑性樹脂(E)としては、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれる少なくとも1種類以上の単量体を重合してなる硬質共重合体が好ましい。
【0024】
硬質共重合体は、芳香族ビニル系単量体60〜76重量%、シアン化ビニル系単量体40〜24重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜20重量%を含むものが好ましい。芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体の好適な具体例としては、グラフト重合と同様のものを用いることができる。
【0025】
更に、共重合可能な単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル及びアクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル及びメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。また、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0026】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述したグラフト共重合体(D)20〜100重量部及び硬質共重合体(E)80〜0重量部を含み、好ましくは(D)及び(E)の合計が100重量部となるものであり、更に好ましくはグラフト共重合体(D)10〜90重量部及び硬質共重合体(E)90〜10重量部を含有するものである。グラフト共重合体が20重量部未満で硬質共重合体が80重量部を超える場合には、耐衝撃性が低下することがある。
【0027】
このような本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(D)及び硬質共重合体(E)の所定量を更に必要に応じて酸化防止剤、滑剤、加工助剤、顔料、充填剤等と共に混合し、例えば、押出機、バンバリーミキサー又は混練ロール等にて混練してペレット化することにより、容易に製造することができる。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造原料であるグラフト共重合体の製造に好適な方法について、以下に説明する。本発明で用いるグラフト共重合体は、例えば、次のようにして製造するのが好ましい。まず、EPDMと酸変性低分子量α−オレフィン共重合体及びポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を均一に分散させた複合ゴムラテックスを製造する。
【0029】
即ち、EPDM、ポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂及び変性低分子量α−オレフィン共重合体の所定量を適当な溶剤に溶解して、これに乳化剤を添加する。この場合、溶剤としては、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族又は熱トルエン等の脂環式炭化水素溶剤を用いることができる。乳化剤としては特に制限はないが、例えばオレイン酸カリウムや不均化ロジン酸カリウム等のアニオン系界面活性剤が用いられる。更に、多価アルコールとしては、エチレングリコール、テトラメチレングリコール又はグリセリン等を用いることができる。
【0030】
乳化剤の添加量は、EPDMとポリオレフィンの100重量部に対して1〜10重量部とするのが好ましい。なお、乳化剤は、例えばオレイン酸をEPDMとポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂及び変性低分子量α−オレフィン共重合体に混合しておき、これに水酸化カリウム水溶液を添加して、オレイン酸カリウムを生成させることにより添加することもできる。
【0031】
変性低分子量α−オレフィン共重合体をEPDMとポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂の100重量部に対して0.1〜30重量部添加することにより、安定なグラフト重合を行うことが可能となり、またEPDMとポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂の配合量比率を95/5〜5/95とすることで最終樹脂組成物に良好な摺動性と機械強度を与えることができる。EPDMとオレフィン樹脂及び変性低分子量α−オレフィン共重合体の溶液を乳化剤により乳化させた後、これを十分に攪拌し、溶剤を留去することにより、平均粒子径0.2〜1μm程度のラテックスを得る。
【0032】
次いで、このラテックスの固形分100重量部に対して、ジビニルベンゼン等の多官能性化合物を0.1〜5.0重量部及びジ−t−ブチル−オキシトリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物を0.1〜5.0重量部添加して、60〜140℃で、0.5〜5.0時間程度反応させることにより架橋ラテックスを調製する。
【0033】
本発明において、このように調製される複合ゴムラテックス(C)のゲル含量は、前述の如く、40〜95重量%程度であることが好ましい。なお、架橋ラテックスのゲル含量は、このラテックスを希硫酸にて水洗乾燥した後、これを1g採取し、200mlのトルエン中に40時間浸漬し、次いで200メッシュのステンレス金網にて濾過し、残渣を乾燥することによって求めることができる。
【0034】
次いで、このようにして調製した架橋ラテックス40〜80重量部(固形分として)と、芳香族ビニル系単量体60〜76重量%、シアン化ビニル系単量体40〜24重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜20重量%を含む単量体混合物60〜20重量部を、適当な重合温度に加温してグラフト重合させる。本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法においては、単量体混合物にレドックス系開始剤を混合し1時間以上にわたって連続的に重合系内に添加することが好ましい。この添加時間が1時間未満の場合、ラテックス安定性は悪化し重合収率が低下することがある。
【0035】
なお、ここで使用されるレドックス系開始剤としては、油溶性の有機過酸化物が好ましく、通常の場合、硫酸第一鉄−キレート剤−還元剤の組合わせで使用される。油溶性開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド及びターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が好ましい。レドックス系開始剤としては、特に、クメンハイドロパーオキサイド、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム及びデキストローズからなるものが好ましい。
【0036】
重合を終了して得られたグラフト共重合体には、必要に応じて酸化防止剤を添加する。次いで、得られたグラフト共重合体ラテックスから、樹脂固形分を析出させる。この場合、析出剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウム又は硫酸マグネシウム等の水溶液を単独、又は併用して用いることができる。析出剤を添加したグラフト共重合体ラテックスは、加熱、攪拌した後、析出物を分離し、これを水洗、脱水、乾燥することによりグラフト共重合体を得ることができる。
【0037】
次に、本発明に用いられる硬質共重合体の製造方法について説明する。
【0038】
硬質共重合体の製造には、乳化重合や懸濁重合等の重合法が採用される。硬質共重合体を乳化重合で合成する場合、乳化剤としては、ロジン酸カリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の一般的な乳化重合用乳化剤を用いることができる。また、重合開始剤としては有機・無機の過酸化物系開始剤が用いられ、連鎖移動剤にはメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー又はテルペン類等が用いられる。
【0039】
硬質共重合体を懸濁重合で合成する場合、懸濁剤としては、トリカルシウムフォスファイト又はポリビニルアルコール等が用いられ、懸濁助剤にはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等を用いることができる。また、開始剤としては、有機パーオキサイド類が用いられ、連鎖移動剤にはメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー又はテルペン類等を用いることができる。
【0040】
硬質共重合体の合成には、これを構成する単量体を所定量混合し、適当な乳化剤、開始剤及び連鎖移動剤を添加して重合させる。次いで、乳化重合により得られる硬質樹脂ラテックスの場合には樹脂固形分を析出させる。この場合、析出剤としては、例えば硫酸、酢酸、塩化カルシウム又は硫酸マグネシウム等の水溶液を単独、又は併用して用いることができる。析出物は必要に応じて水洗、脱水、乾燥して硬質共重合体とする。
【0041】
【実施例】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「重量部」を意味する。
【0042】
「製造例1」EPDM含有架橋ラテックスの製造(C−1)
EPDM(商品名:EPT3012P、三井石油化学(株)製)60部、ポリエチレン(商品名:UBEスーパーポリエチレン ユメリット2525F、宇部興産(株)製)40部の合計100部を熱トルエン566部に溶解した後、変性ポリエチレン(商品名:ハイワックス2203A、三井石油化学(株)製)を16部添加し、更に、オレイン酸を5部加え、完全に溶解した。別に、水700部に水酸化カリウム0.9部を溶解した水溶液を80℃に保ち、これに調製した上記重合体溶液を徐々に加えて乳化した後、ホモミキサーで攪拌した。
【0043】
次いで、溶剤と水の一部を留去して粒径0.30〜0.60μmのラテックスを得た。このラテックスの固形分100部に対してジビニルベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルシクロヘキサンをそれぞれゲル含量が、40〜95重量%程度になるように添加し、120℃で1時間反応させて、複合ゴムラテックスC−1を調製した。
【0044】
複合ゴムラテックスC−2〜C−6については、EPDM(A)とポリオレフィン樹脂であるポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂(B)であること以外は、上記方法と同様にして製造した。また、比較例用としてC−7及びC−8が有るが、これもEPDM(A)のみを使用し、ポリオレフィン樹脂であるポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂(B)を使用していないこと以外は上記方法と同様にして製造した。
【0045】
【表1】
【0046】
なお、それぞれの複合ゴムラテックスを希硫酸にて凝固させ、水洗乾燥した後、これを1g採取して200mlのトルエン中に120℃で5時間浸漬し、次いで200メッシュのステンレス金網にて濾過し、残渣を乾燥することにより、各ラテックスのゲル含量を求め、40〜95重量%程度であることを確認した。
【0047】
「製造例2」グラフト共重合体の製造法(D−1)
攪拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水200部、複合ゴムラテックスC−1を固形分として60部、オレイン酸カリウム2部、硫酸第一鉄0.004部、ピロリン酸ナトリウム0.2部及びデキストローズ0.2部を仕込み温度を70℃とした。次に、アクリロニトリル12部、スチレン28部、クメンハイドロパーオキサイド0.5部を2時間連続的に添加し、重合温度を70℃一定に保ち重合反応を行った。モノマー転化率は92%であった。重合後、酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、グラフト共重合体の粉末D−1を得た。また、同様の方法、工程を経て複合ゴムラテックスC−2〜C−8についてもグラフト共重合体を得たので結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
「製造例3」硬質共重合体の製造法(E−1)
窒素置換した攪拌機付きステンレス重合槽反応器に、イオン交換水120部、ポリビニルアルコール0.1部、アゾビスイソブチルニトリル0.3部、アクリロニトリル30部、スチレン70部、t−ドデシルメルカプタン0.35部を加え、開始温度60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応後、硬質共重合体を取り出しE−1を得た。また、E−1のモノマー転化率は98%、重量平均分子量は1.0×10であった。
【0050】
<物性測定の条件>
・流動性:日本製鋼所製JSW.J75E−Pを用いてダンベル1号の金型で240℃における射出成形時の最小充填圧力で判定評価した。
・機械強度:東芝機械製IS55FP−1.5Aを用いてISO 3167に準拠して試験片を作製し、引張り強さはISO 527−4、曲げ強さはISO 178の方法に準拠して測定した。
・摺動性:摺動性の代替特性としてNORMAN TOOL&STANPINGCOMPANY製のRCA磨耗試験機を使用し、テープ送り速度65mm/sec.、加重280gの条件下、加圧2sec.、解除2sec.を1サイクルとしこれを50サイクル繰り返した後、磨耗部分の凹みを表面粗さ計で測定した。
・成形外観:日本製鋼所製JSW.J75E−Pを用いてダンベル1号の金型で240℃における射出成形をし、ゲート付近を次の基準にて目視で判定評価した。
○:フローマーク等の成形外観のむらが無い。
△:フローマーク等の成形外観のむらが幾分認められる。
×:フローマーク等の成形外観のむらが明瞭に認められる。
【0051】
(実施例及び比較例)
実施例1、2、4及び5は、EPDM(A)とポリエチレン樹脂(B)の組み合わせであり、実施例3及び6はEPDM(A)とポリプロピレン樹脂(B)の組み合わせである。これらは比較例1及び2の様に、EPDM(A)を単独で使用した場合に比べ、摺動性、流動性、成形外観、機械強度に優れている。
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、摺動性、流動性、成形外観及び機械強度に優れた熱可塑性樹脂組成物が提供される。

Claims (5)

  1. エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム質重合体(A)とポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂(B)(但し、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.3dl/gの範囲のものを除く)を重量比率60/40〜70/30で含有し、かつ変性低分子量α−オレフィン共重合体を含有する複合ゴムラテックス(C)の存在下に、
    芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び重合可能な他のビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト重合体(D)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. グラフト重合体(D)10〜90重量部と熱可塑性樹脂(E)90〜10重量部を配合してなる請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 熱可塑性樹脂(E)が芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び重合可能な他のビニル系単量体を含む単量体混合物を重合してなる硬質共重合体である請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 熱可塑性樹脂組成物100重量部中に複合ゴムラテックス(固形分)10〜80重量部を含有してなる請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形したことを特徴とする樹脂成形品。
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