JP4874695B2 - ダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物、成形品およびランプ - Google Patents
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Description
後者の金属化処理では、光輝性を高くすることを目的として、金属化処理を施す前にあらかじめ塗装やプラズマ重合処理によりアンダーコート処理層を形成するのが一般的であった。さらに、金属化処理により得られた金属膜を保護するために、シリコン系等のトップコート層を形成することが一般的であった。
耐熱性に優れた樹脂材料としては、特定のマレイミド系共重合体と小粒子径ゴム含有グラフト共重合体とポリカーボネートとを特定比率で含有する熱可塑性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献3を参照)。
また、特許文献3に記載の熱可塑性樹脂組成物は、高い耐熱性と耐衝撃性を有するものの、ポリカーボネートを含有しているために、近年の光輝外観に対する高い要求レベルを十分に満足させることはできなかった。
さらに、ダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物においては、生産性の点から、流動性が高いことが求められ、また、実用可能な程度の耐衝撃性が求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性、流動性のいずれもが優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有するダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性が共に優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有する成形品を提供することを目的とする。また、光輝性および耐熱性が共に優れたランプを提供することを目的とする。
本発明のダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物においては、アクリロニトリル−スチレン共重合体(B)を、0質量部を超え30質量部以下((A)と(I)と(B)との合計は100質量部である。)の範囲で含有することが好ましい。
本発明のランプは、上述した成形品からなるランプハウジングと、ランプハウジングに取り付けられたレンズとが一体化されたことを特徴とする。
本発明の成形品は、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性が共に優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有するものである。特にダイレクト蒸着後の光輝性と、耐熱性のバランスは、従来知られている熱可塑性樹脂組成物では得られないほど非常に高いレベルであり、各種工業用材料としての利用価値は極めて高い。
本発明のランプは、光輝性および耐熱性が共に優れたものである。
(ダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物)
<グラフト共重合体(A)>
グラフト共重合体(A)は、ジエン系ゴム状重合体(G)にビニル系単量体混合物(V)をグラフト重合してなるものである。
グラフト共重合体(A)を構成するジエン系ゴム状重合体(G)としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体、ポリクロロプレンなどのジエン系ゴムなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ジエン系ゴム状重合体(G)は、ダイレクト蒸着後の光輝性が優れることから、粒子径500nm以上の粒子の含有割合が10質量%未満であり、5質量%未満であることがより好ましい。
また、ジエン系ゴム状重合体(G)は、予め小粒子径のジエン系ゴム状重合体を製造し、これを適当な酸(例えば、酢酸、メタクリル酸等)によって上記粒子径に肥大化させる方法を適用することもできる。
ジエン系ゴム状重合体(G)にグラフト重合させるビニル系単量体混合物(V)は芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を必須成分として含有する。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
これらの中でも、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性がより優れる点で、スチレンとアクリロニトリルとの混合物が好ましい。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等が挙げられる。
これらは、1種または2種以上を使用できる。
グラフト密度(Gd)(mol/cm2)={(グラフト率(%)/100)×(ジエン系ゴム状重合体の比重)×(ジエン系ゴム状重合体の質量平均粒子径(cm))/(3×グラフト鎖の質量平均分子量) (1)
ここで、グラフト率は、下記式(2)より求められる。
グラフト率(%)=〔(Y−X×ゴム分率)/X×ゴム分率〕×100 (2)
式(2)におけるYは、グラフト共重合体(A)のアセトン不溶分、XはYを求める際に使用したグラフト共重合体(A)の全質量、ゴム分率はグラフト共重合体(A)中のゴム含有割合である。
また、グラフト密度を調整するためには、上記条件を複合的に組み合わせることが好ましい。
乳化グラフト重合法としては、例えば、乳化剤の存在下、ジエン系ゴム状重合体にビニル系単量体混合物(V)を、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル重合する方法などが挙げられる。
上記湿式法により得られたスラリー状のグラフト共重合体(A)から乾燥状態のグラフト共重合体(A)を得るためには、まず残存する乳化剤残渣を水中に溶出させ、洗浄した後に、このスラリーを遠心もしくはプレス脱水機で脱水し、次いで、気流乾燥機等で乾燥する方法が挙げられる。また、圧搾脱水機や押出機等で脱水と乾燥を同時に実施し、乾燥したグラフト共重合体(A)を粉体または粒子状で得る方法が挙げられる。この際、圧搾脱水機や押出機から排出されたものを直接、熱可塑性樹脂組成物を製造する押出機や成形機に送って成形品を製造しても構わない。
イミド化共重合体(I)は、マレイミド系単量体単位と、芳香族ビニル系単量体単位および/またはシアン化ビニル系単量体単位とを含む共重合体である。
マレイミド系単量体としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。マレイミド系単量体は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
イミド化共重合体(I)中のマレイミド系単量体単位の含有量は10〜55質量%であることが好ましい。マレイミド系単量体単位の含有量が10質量%未満であると、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低くなる傾向にあり、55質量%を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下する上に、耐衝撃性が著しく低下する傾向にある。
イミド化共重合体(I)中の芳香族ビニル系単量体単位の含有量は35〜80質量%であることが好ましい。芳香族ビニル系単量体単位の含有量が35質量%未満であると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下する傾向にあり、ダイレクト蒸着後の光輝性も低下する傾向にある。一方、80質量%を超えると、マレイミド系単量体単位あるいはシアン化ビニル系単量体単位の含有量が相対的に少なくなるため、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下することがあり、また、耐衝撃性が損なわれることもある。
イミド化共重合体(I)中のシアン化ビニル系単量体単位の含有量は、10〜55質量%であることが好ましい。シアン化ビニル系単量体単位の含有量が10質量%未満であると、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低くなり、55質量%を超えると熱着色が起こることがある。
ビニル系(共)重合体(B)を構成する単量体単位としては特に限定されないが、好ましくは、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルからなる群より選ばれる1種以上の単量体単位が挙げられる。芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルとしては、ビニル系単量体混合物(V)と同様のものが挙げられる。
さらに、これら中でも、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性およびダイレクト蒸着後の光輝性が共により高くなることから、アクリロニトリル−スチレン共重合体(SAN)、アクリロニトリル−αメチルスチレン共重合体(αSAN)からなる群より選ばれる1種または2種がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性、流動性のいずれもが優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有することから、グラフト共重合体(A)が1〜50質量部、イミド化共重合体(I)が50〜99質量部であり、好ましくは、グラフト共重合体(A)が1〜50質量部、イミド化共重合体(I)が50〜99質量部、ビニル系(共)重合体(B)が0質量部を超え30質量部以下であり、より好ましくは、グラフト共重合体(A)が30〜45質量部、イミド化共重合体(I)が55〜65質量部、ビニル系(共)重合体(B)が0質量部を超え15質量部以下である。ここで、グラフト共重合体(A)とイミド化共重合体(I)とビニル系(共)重合体(B)との合計は100質量部である。
グラフト共重合体(A)の配合量が1質量部未満であると、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が著しく低くなる。またイミド化共重合体(I)の配合量が50質量部未満であると、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下し、一方、99質量部を超えるとグラフト共重合体(A)の配合量が少なくなるため、著しく耐衝撃性が低下する。
また、ビニル系(共)重合体(B)の配合量が30質量部を超えるとグラフト共重合体(A)あるいはイミド化共重合体(I)の配合量が相対的に少なくなり、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性あるいは耐熱性が損なわれることがある。
熱可塑性樹脂組成物はそのままで、または、必要に応じて染料、顔料、安定剤、補強剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤等の添加剤を混練時に配合して、成形品の製造原料として使用できる。
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品本体と、成形品本体表面にダイレクト蒸着により形成された金属膜とを有するものである。
熱可塑性樹脂組成物の成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。成形品本体の形状に特に制限はない。
成形品本体表面にダイレクト蒸着する方法としては、例えば、真空蒸着やスパッタリング処理などが挙げられる。その際に使用する金属としては、例えば、アルミニウム、クロムなどが挙げられる。
成形品には、埃等によるキズの発生から保護するために、シリコン系塗料を塗装したり、シリカ等を蒸着させたりして被膜を形成させるトップコート処理が施されてもよい。
本発明の成形品の工業的な用途例としては、車両部品、特にヘッドランプやテールランプ、指示灯、フォグランプ等の車両用ランプハウジング、照明機器ハウジング等の家電部品、OA機器ハウジング、インテリア部材等が挙げられる。
これらの中でも、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性が共に優れるという効果が特に活かされる点では、車両用ランプハウジングが好適である。
本発明のランプは、成形品からなるランプハウジングと、ランプハウジングに取り付けられたレンズとが一体化されたものである。
レンズの材質としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどが挙げられる。
本発明のランプは、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形してなるランプハウジングを有するものであるから、光輝性、耐熱性に優れたものである。
下記の乳化重合により、下記のジエン系ゴム状重合体ラテックスを得た。
攪拌機を備えた耐圧容器に脱イオン水150部、ブタジエンモノマー100部、硬化脂肪酸カリウム3.0部、ピロリン酸ナトリウム0.3部、ターシャルドデシルメルカプタン0.2部、過硫酸カリウム0.3部、及び水酸化カリウム0.14部を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下で攪拌しながら温度を60℃に上げて重合を開始し、重合率65%のときに、過硫酸カリウム0.1部を溶解した脱イオン水5部を上記耐圧容器に添加した。その後、重合温度を70℃に上げ、反応時間13時間、重合転化率95%で重合を完結した。得られたポリブタジエンラテックスは、質量平均粒子径80nm、固形分52.0%であった。
次に、このポリブタジエンラテックスを酢酸による肥大化操作を行って、PBD−1〜6の6種類のポリブタジエンを得た。
PBD−1〜3は、12%の酢酸水溶液を、酢酸として1.75部(PBD−1)、1.5部(PBD−2)、2.0部(PBD−3)をそれぞれ添加して得たものである。また、PBD−4は、20%の酢酸水溶液を、酢酸として2.5部添加して得たものである。PBD−5は、14%の酢酸水溶液を、酢酸として2.2部添加して得たものである。また、PBD−6は、20%の酢酸水溶液を、酢酸として1.75部添加して得たものである。それぞれのジエン系ゴム状重合体の粒子径を、MICROTRAC UPA150にて測定した。
PBD−1:質量平均粒子径;200nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;2%。
PBD−2:質量平均粒子径;150nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;1%。
PBD−3:質量平均粒子径;260nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;8%。
PBD−4:質量平均粒子径;400nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;15%。
PBD−5:質量平均粒子径;320nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;8%。
PBD−6:質量平均粒子径;280nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;12%。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、イオン交換水200部(ポリブタジエンラテックス中の水も含む)、不均化ロジン酸カリウム0.3部(固形分)、硫酸第一鉄七水塩0.01部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、結晶ブドウ糖0.5部を仕込み、完全に溶解した後に、表1または表2に示す量のポリブタジエンラテックスを添加、混合した。
反応器内の内容物を攪拌しながら65℃まで昇温させ、表1または表2に示す量のアクリロニトリル(表中では、ANと表記する。)およびスチレン(表中では、STと表記する。)からなるビニル系単量体混合物と連鎖移動剤であるターシャリードデシルメルカプタン(表中では、TDMと表記する。)と重合開始剤であるクメンハイドロパーオキサイド(表中では、CHPと表記する。)とを、同じく表1または表2に示す時間で連続的に滴下、供給してグラフト重合させた。その間、反応器の内温を65℃に保つようにジャケット温度を制御した。なお、連鎖移動剤と重合開始剤はグラフト率調整の役割を果たす。
滴下終了後70℃まで昇温させ、さらに1時間保ってグラフト重合反応を完結させた。冷却後、酸化防止剤(ジラウリルチオジプロピオネート)を添加し、グラフト共重合体のラテックスを得た。
得られたグラフト共重合体ラテックスを、その1倍量の2.5%硫酸水溶液(80℃)中に攪拌下で投入し、さらに90℃で5分間保持して凝固させてグラフト共重合体のスラリーを得た。そして、そのスラリーの水洗と脱水を2度繰り返した後、一晩70℃で静置し、乾燥して乳白色粉末のグラフト共重合体(A−1)〜(A−6)、(a−7)〜(a−12)を得た。
グラフト密度を求めるために、まず、グラフト率を測定した。グラフト率の測定では、赤外線吸収分析装置により、グラフト共重合体中のゴム含有量(ゴム分率)を求めておき、そのグラフト共重合体2.5gを80mlのアセトンに添加し、65〜70℃にて3時間還流して懸濁アセトン溶液を得た。その懸濁アセトン溶液を14000rpmにて30分間遠心分離して、沈殿成分と上澄み溶液(アセトン溶液)とをそれぞれ分取した。そして、沈殿成分を十分に乾燥させてその質量(Y(g))を測定した。そして、式(3)に代入してグラフト率を求めた。
グラフト率(%)=〔(Y−2.5×ゴム分率)/2.5×ゴム分率〕×100 (3)
そして、上記式(1)に、グラフト率、ポリブタジエンの比重、ポリブタジエンの質量平均粒子径、グラフト鎖の質量平均分子量を代入してグラフト密度(Gd)を求めた。その結果を表1,2に示す。
なお、ポリブタジエンの比重は0.9とした(J. Brandrup、E. H. Immergutら著、「POLYMER HANDBOOK」参照)。
アクリロニトリル14部とスチレン55部とN−フェニルマレイミド31部とを、連続溶液重合により重合して、N,N−ジメチルホルムアミド溶液により25℃で測定した還元粘度が0.61dl/gのアクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド三元共重合体(I−1)を得た。
アクリロニトリル21部とスチレン56部とN−フェニルマレイミド23部とを、連続溶液重合により重合して、N,N−ジメチルホルムアミド溶液により25℃で測定した還元粘度が0.65dl/gのアクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド三元共重合体(I−2)を得た。
アクリロニトリル27部とスチレン73部とを懸濁重合により重合して、N,N−ジメチルホルムアミド溶液により25℃で測定した還元粘度が0.88dl/gのアクリロニトリル−スチレン共重合体(B−1)を得た。
製造例1〜5で製造したグラフト共重合体(A−1)〜(A−6)、(a−7)〜(a−12)、イミド化共重合体(I−1)〜(I−2)、ビニル系共重合体(B−1)を表3〜4に示す割合で配合した。さらに樹脂成分100部に対し、滑剤としてエチレンビスステアリルアミド0.3部を添加し、ヘンシェルミキサを用いて混合した。そして、これにより得られた混合物をバレル温度260℃に加熱した脱気式押出機((株)日本製鋼所製TEX−30α型二軸押出機)に供給し、溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物を下記のように評価した。評価結果を表3〜4に示す。
(ii)ダイレクト蒸着後の光輝性
東芝機械(株)製射出成形機「IS80FP」を用い、シリンダー設定温度230℃、金型温度70℃、インジェクションスピード99%の条件で、熱可塑性樹脂組成物を100mm×100mm×3mmの板状に成形した。次いで、得られた成形品本体の表面に、真空蒸着法により、真空到達度1×10−6Torr、電流値400mA、成膜速度1.5nm/秒の条件で、膜厚約50nmのアルミニウム蒸着膜(金属膜)を成膜した。そして、このアルミニウム蒸着膜上に、さらにSiO2からなるトップコート層を真空蒸着した。
以上のようにして得た成形品について、反射率計((株)村上色彩技術研究所「HR−100」)にて拡散反射率(%)を測定して、光輝性を評価した。なお、拡散反射率の値が低いほど、光輝性が高い。
(iii)耐熱性(VST)
東芝機械製射出成形機IS55FP−1.5Aを用い、ISO 3167に準拠して試験片を作製し、ISO 306の方法に準拠して測定した。
(1)グラフト共重合体(A−1)〜(A−6)を含む実施例1〜実施例8の熱可塑性樹脂組成物は、流動性および耐熱性に優れ、さらにダイレクト蒸着後の拡散反射率が低く光輝性にも優れていた。また、成形した際には充分な耐衝撃性を有していた。
(2)一方、ジエン系ゴム状重合体(G)の質量平均粒子径が300nmを超えており(具体的には400nmであった)、かつ粒子径500nm以上の粒子の含有割合が10%を超えていた(具体的には15%であった)比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、ダイレクト蒸着後の光輝性が低かった。
(3)ジエン系ゴム状重合体(G)の質量平均粒子径が300nmを超えており(具体的には320nmであり)、かつグラフト共重合体(A)のグラフト密度が1.5×10−10(mol/cm2)を超えていた(具体的には2.18×10−10(mol/cm2)であった)比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、ダイレクト蒸着後の光輝性が低かった。
(4)ジエン系ゴム状重合体(G)が、粒子径500nm以上の粒子の含有割合が10%を超えていた(具体的には12%であった)比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、ダイレクト蒸着後の光輝性が低かった。
(5)グラフト共重合体(A)を製造する際のビニル系単量体混合物(V)中のシアン化ビニル系単量体の割合が25%に満たなかった(具体的には20%であった)比較例4の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性が低かった。
(6)グラフト共重合体(A)を製造する際のビニル系単量体混合物(V)中のシアン化ビニル系単量体の割合が40%を超えていた(具体的には45%であった)比較例5の熱可塑性樹脂組成物は、流動性およびダイレクト蒸着後の光輝性が低かった。
(7)グラフト共重合体(A)のグラフト密度が0.3×10−10(mol/cm2)に満たなかった(具体的には0.21×10−10(mol/cm2)であった)比較例6の熱可塑性樹脂組成物は、流動性およびダイレクト蒸着後の光輝性が低かった。
(8)熱可塑性樹脂組成物中のイミド化共重合体(I)の含有率が50%に満たなかった(具体的には30%であった)比較例7の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性が低かった。
(9)熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(A)の含有率が50%を超えており(具体的には55%)、なおかつイミド化共重合体(I)の含有率が50%未満(具体的には45%)であった比較例8の熱可塑性樹脂組成物は、流動性および耐熱性が低かった。
Claims (4)
- 粒子状のポリブタジエンに、スチレン75〜60質量%およびアクリロニトリル25〜40質量%を含むビニル系単量体混合物(V)をグラフト重合してなるグラフト重合体(A)1〜50質量部と、アクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド三元共重合体(I)50〜99質量部((A)と(I)の合計は100質量部である。)とを含有するダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物であって、
グラフト重合体(A)のグラフト密度が0.3×10−10〜1.5×10−10(mol/cm2)であり、
ポリブタジエンは、質量平均粒子径が100〜300nmであり、かつ、粒子径500nm以上の粒子の割合が10質量%未満であることを特徴とするダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物。 - アクリロニトリル−スチレン共重合体(B)を、0質量部を超え30質量部以下((A)と(I)と(B)との合計は100質量部である。)の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載のダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載のダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品本体と、成形品本体表面にダイレクト蒸着により形成された金属膜とを有することを特徴とする成形品。
- 請求項3に記載の成形品からなるランプハウジングと、ランプハウジングに取り付けられたレンズとが一体化されたことを特徴とするランプ。
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