JP4433536B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の制御装置に関し、とくに内燃機関の始動の際のショックを防止する車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば交差点等で自動車が停車した場合、所定の停止条件下でエンジンを自動停止させ、その後、所定の再始動条件下、例えばアクセルペダルを踏み込んだときにエンジンを再始動させる自動停止再始動制御を行う車両の制御装置が提案されている。このような制御はエコラン制御と称され、燃料の節約及び排気エミッションの低減を図ることができるものとして期待されている。
【0003】
このような自動停止再始動制御を行う車両では、自動変速機が使用されることが少なくないが、エンジンの自動停止が行われると、自動変速機の変速作動を行う機械式オイルポンプも停止するため、変速ギアを切換えるためのクラッチの係合状態が解かれてしまう。その結果、自動再始動が行われる際には、エンジンの始動によるエンジン回転数の上昇に並行して、エンジンの始動に伴う作動油圧の上昇によりクラッチが係合状態に移行するため、エンジン回転数の上昇とクラッチの係合とのタイミングの前後により、クラッチ係合時のショックや、係合時のエンジン回転数の不足による発進トルクの不足が生じる。
【0004】
エンジン再始動時のショックの防止策としては、エンジンの自動停止時に自動変速機の変速段を高速段にしておき再始動の際にこれを低速段に切換えることで、クラッチ係合時のショックを軽減する構成があるが、特開平10−122008号公報では、そのような構成において更に、クラッチの係合状態を車速の変化やエンジン回転数の変化などに基づいて判別し、この判別に応答して自動変速機の高速段から低速段への切換えを行う装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構成では多くのセンサ類を用いたブレーキ制御装置が必要で構成が複雑となる上、ブレーキ解除のタイミングの設定が難しく、特に遅いと大きなショックが発生し、中でも下り坂では大きな前後加速度(ショック)となって現われ、運転者に違和感を与えるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、エンジンの始動の際の車両加速度の変動を防止しスムースな発進を実現するための新規な手段を提供することにある。
【0009】
本発明は、内燃機関と、制動手段と、内燃機関から駆動輪への動力伝達経路中に備えられ前記内燃機関から前記駆動輪への車両前進方向への動力伝達のみを許容するワンウェイクラッチと、前記内燃機関から前記駆動輪への動力伝達経路中に備えられ、接続時に前記内燃機関の駆動力により車両を前進させるよう両側の回転要素間で動力の伝達を可能とする前進用クラッチと、前記内燃機関の停止時から始動までの間前記制動手段を作動させ、かつ前記内燃機関の停止時から始動の前後にわたり前記ワンウェイクラッチを作動可能とし、かつ、前記内燃機関の停止指令の発生時から前記内燃機関の始動時にわたり前記前進用クラッチを接続した状態を維持する制御手段とを備えてなる車両の制御装置である。
【0010】
本発明では、内燃機関の始動の際に制動手段を解除することにより発進を行うが、本発明では内燃機関から駆動輪への車両前進方向への動力伝達のみを許容するワンウェイクラッチを備え、当該ワンウェイクラッチを始動の際に作動可能としたので、当該ワンウェイクラッチの作用により坂道でもスムースに発進できる。また、本発明では、ワンウェイクラッチを内燃機関の停止時に作動可能な状態とするので、内燃機関の始動にあたり制動手段の制動力を解除するときにワンウェイクラッチを確実に作動させることができる。
【0011】
第2の本発明は、前記制御手段は前記内燃機関の停止時に前記ワンウェイクラッチを作動可能な状態とし、前記内燃機関の始動の際に前記制動手段の制動力を解除することを特徴とする車両の制御装置である。
【0012】
第2の本発明でも、ワンウェイクラッチを内燃機関の停止時に作動可能な状態とするので、内燃機関の始動にあたり制動手段の制動力を解除するときにワンウェイクラッチを確実に作動させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1において、本発明の実施される車両は、内燃機関であるエンジン2と、エンジン2からの動力を断続・変速して出力軸に伝達する自動変速機20とを含んで構成されている。
【0014】
エンジン2には、当該エンジン2を始動可能なスタータ11が接続されており、かつ、当該エンジン2を始動可能で発電機としても動作するモータジェネレータ1が、駆動装置5を介して接続されている。
【0015】
スタータ11は、図2に示すとおり、その出力軸に固定されたピニオン6と、エンジン2のクランク軸10に固定されたリングギア8との噛み合いにより、エンジン2に対しこれを始動可能に接続されている。なおスタータ11を使用しないときにはピニオン6がスタータ11側に移動し、リングギア8と噛み合わないように構成されている。
【0016】
駆動装置5は、エンジン2のクランク軸10に対しクラッチ7により動力断続自在に接続されたプーリ21と、モータジェネレータ1に直結されたプーリ22と、これらプーリ21,22に巻き掛けられたベルト23とから構成されている。
【0017】
モータジェネレータ1は同期電動発電機であり、後述するエコラン制御の実行中にエンジン2を再始動する際にはスタータ11の代わりに用いられ、またエンジン2の制動の際には電力を回生するものである。モータジェネレータ1は、インバータ3を介して、充放電可能な二次電池である高電圧用のバッテリ9と接続されており、このバッテリ9によりモータジェネレータ1への電力の供給およびモータジェネレータ1により発電された電力の回収が可能に構成されている。なおモータジェネレータ1は、エンジン2の停止中にはバッテリ9を電源とするモータとして作動し、クラッチ7を解放した状態で、駆動装置5を介して図示しないエアコン用コンプレッサ、ウォータポンプ、パワーステアリング用ポンプ等の補機類を駆動する。
【0018】
スタータ11は、リレー12を介して充放電可能な二次電池である低電圧用のバッテリ13に接続されており、当該バッテリ13によるスタータ11への電力の供給が可能に構成されている。バッテリ9とバッテリ13とは、DC/DCコンバータ14を介して、一方から他方への給電が可能に相互に接続されている。
【0019】
インバータ3とリレー12とは、これらに接続されたコントローラ4によりそれぞれの給電状態が制御される。コントローラ4によるモータジェネレータ1の運転制御は、インバータ3が備えるスイッチング素子としての6個のトランジスタのオン時間の割合を順次制御してモータジェネレータ1の三相コイルの各コイルに流れる電流を制御することによって行なわれる。
【0020】
エンジン2はガソリンを燃料とする内燃機関であり、エンジン2には、図示しないが燃料を燃焼室内に直接噴射する燃料噴射装置と、エンジン2の吸気管に設置されたスロットルバルブを開閉操作するスロットルアクチュエータとが設けられており、これら燃料噴射装置の開弁時間の制御やスロットルバルブの開度の制御により運転状態が操作されるように構成されている。エンジン2のクランクシャフト10には、トルクコンバータ17を介して機械式オイルポンプ19が直結されている。
【0021】
自動変速機20は、循環するオイルの作用によりトルクを増幅して後方に伝達する流体式のトルクコンバータ17と、複数のクラッチやブレーキの作動の組み合わせにより複数の前進ギア段および後進ギア段の一つが選択的に噛み合った状態とされる有段式遊星歯車機構からなる歯車変速機部15と、この歯車変速機部15を操作する油圧制御部16とから構成されている。この自動変速機20は走行状態に応じて自動的に変速比が選択されるほか、車室内に設けられたシフトレバー(図示せず)の操作状態に応じて変速比が選択されるが、とくにシフトレバーが駐車位置(Pポジション)に操作された場合には、パーキングロック機構101が作動して駆動軸の回転を機械的に阻止するように構成されている。
【0022】
本実施形態においては、上述した機械式オイルポンプ19に加えて、電動オイルポンプ18が設けられている。電動オイルポンプ18は歯車変速機部15の近傍に設置されている。なお電動オイルポンプ18を別に設ける構成に代えて、モータジェネレータ1の出力軸にて駆動されるオイルポンプを接続する構成としてもよい。
【0023】
これら電動オイルポンプ18および機械式オイルポンプ19は、歯車変速機部15の内部に設けられてその作動を制御する油圧制御回路と接続されている。この油圧制御回路のうち、前進走行時に係合される前進クラッチC1への油圧経路31は図3に示すとおりである。
【0024】
図3において、油圧経路31では、電動オイルポンプ18と機械式オイルポンプ19とが、プライマリレギュレータバルブ35に対し切換弁33を介して分岐して接続されており、切換弁33のチェックボールの作用により、電動オイルポンプ18と機械式オイルポンプ19とのうち高圧の作動油がプライマリレギュレータバルブ35に供給される。プライマリレギュレータバルブ35の油圧はATライン圧コントロールソレノイド37で調圧される。プライマリレギュレータバルブ35の出力側は、このライン圧を運転席内のシフトレバーの操作位置に応じて各作動部分に導くマニュアルバルブ39、およびオリフィス41を経て前進クラッチC1に接続されているが、この油圧経路中には調圧用のアキュムレータ43がオリフィス42を経て分岐して接続されている。なお、図3に示すアキュムレータ43はピストン45及びスプリング47を備えており、前進クラッチC1にオイルが供給されるときに、スプリング47によって決定される所定の油圧がしばらく維持されるように機能し、これにより前進クラッチC1の係合状態が維持されるものである。
【0025】
他方、図示しないが、各車輪のブレーキ装置にはソレノイドバルブからなるABSアクチュエータが配設されており、このABSアクチュエータの作動によりブレーキ装置の油圧制御回路の所定箇所がロック(閉鎖)できるように構成されている。
【0026】
図4において、電子制御ユニット50(以下ECUという)は、CPUを中心としたワンチップマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、コントローラ等と通信を行なう図示しない通信ポートと、入出力ポートとを備える。
【0027】
このECU50には各種センサが接続されている。すなわち、ECU50の入力側には、エンジン2に取り付けられたエンジン回転数センサおよびエンジン水温センサ、車室内のイグニッションスイッチ、バッテリ9,13からのSOC(充電状態)センサ、ヘッドライト・デフォッガ・エアコンなどの補機、駆動輪に取り付けられた車速センサ、自動変速機に設けられたAT油温センサ、シフトレバーの基部に設けられたシフトポジションセンサ(シフトレバーの操作位置すなわちP・R・N・D・4・3・2・Lの各ポジションに応じたシフトポジション信号を出力する)、サイドブレーキレバーに設けられたサイドブレーキポジションセンサ、フットブレーキペダルに設けられたブレーキペダルセンサ、排気管内に設けられた触媒温度センサ、スロットルバルブアクチュエータに設けられたスロットル開度センサ、クランクシャフトに設けられたクランク角センサ、タービンに設けられた回転数センサ、外気温センサおよび車内温センサなどが接続され、これら各センサからの検出値が入力されるように構成されている。
【0028】
またECU50の出力側には、点火装置、燃料噴射装置、コントローラ4(スタータ11およびモータジェネレータ1の作動を制御する)、歯車変速機部15の油圧制御回路の制御用のATソレノイド、油圧経路31のATライン圧コントロールソレノイド37、ABSアクチュエータ、車室内に設けられた自動停止制御実施インジケータおよび自動停止制御未実施インジケータ、ならびに電子スロットル弁などが接続され、これら各機器への作動信号が出力されるように構成されている。
【0029】
次に、自動変速機20の歯車変速機部15の構成例について説明する。図5において、歯車変速機部15は、フロントプラネタリーギア54、リヤプラネタリーギア55、カウンタードライブギア56、U/Dプラネタリーギア57、デファレンシャルドライブピニオン58等の複数のギア、インプットシャフト59、インターミディエイトシャフト60、前進クラッチC1、ダイレクトクラッチC2、U/DクラッチC3、ワンウェイクラッチF1〜F3、ブレーキB1〜B4を備える。歯車変速機部15は、クラッチ、ブレーキおよびワンウェイクラッチによりギアを組み合わせて、変速段を切り換える。
【0030】
前進クラッチC1は、インプットシャフト59とフロントプラネタリーギア54のリングギアを接続し、トルクコンバータ17を介してエンジン2からインプットシャフト59に伝達された駆動力をフロントプラネタリーギア54のリングギアに伝達する。ダイレクトクラッチC2は、インプットシャフト59とフロント及びリヤプラネタリーギア54、55のサンギアを接続する。クラッチC1及び/又はクラッチC2の係合により、エンジン2からトルクコンバータ17を介してインプットシャフト59に伝達された駆動力が歯車変速機部15内に伝達される。
【0031】
U/DクラッチC3は、U/Dプラネタリーギア57のサンギアとキャリヤを接続する。ブレーキB1は、フロント及びリヤプラネタリーギア54、55のサンギアをロックする。ブレーキB2は、係合することによりフロント及びリヤプラネタリーギア54、55のサンギアの左回転をワンウェイクラッチF1によりロックする。ブレーキB3は、リヤプラネタリーギア55のキャリアの回転をロックする。ブレーキB4は、U/Dプラネタリーギア57のサンギアの回転をロックする。ワンウェイクラッチF1は、ブレーキB2の作用時、フロント及びリヤプラネタリーギア54、55のサンギアの左回転をロックする。ワンウェイクラッチF2は、リヤプラネタリーギア55のキャリアの左回転をロックする。ワンウェイクラッチF3は、U/Dプラネタリーギア57のサンギアの右回転をロックする。なお、歯車変速機部15の断面は図6に示すとおりである。
【0032】
前進側および後進側の駆動力は、クラッチC1〜C3とF1〜F3、及び、ブレーキB1〜B4を、図示しない主ソレノイドを切り換えて油圧回路を切り換えることにより得られる。この油圧回路の油圧は、電動オイルポンプ18、またはエンジン2により駆動される機械式オイルポンプ19により得られる。
【0033】
歯車変速機部15の各シフトポジションと各クラッチの係合(○)及び非係合(無記号)、ブレーキの作動(○)及び非作動(無記号)の関係の主要部分を図7に示す。図7において、特にワンウェイクラッチF2の記号(□)は「車両が後退しようとすると係合」することを示す。すなわち、ブレーキB1が係合した状態で車両が後退しようとすると、ワンウェイクラッチF2のインナーレースが逆転しRrキャリヤが固定状態となり、また、ブレーキB1が係合した状態で車両が前進しようとするとインナーレースが正転してワンウェイクラッチF2が空転状態となり、歯車変速機15は通常の2ndポジションの作動状態となる。これはエンジン2が運転されていても同様の作用となる。すなわち、ワンウェイクラッチF2は、エンジン2から駆動輪への車両前進方向への動力伝達のみを許容する。
【0034】
こうして構成された本実施形態の車両では、ECU50により車両の状態に応じてエンジン2を自動停止したり自動再始動する自動停止再始動制御(以下「エコラン制御」という。)が行なわれている。エンジン2の自動停止の条件は、シフトレバーがNポジションまたはPポジションのときには、「車速ゼロ」(車両が停止状態)かつ「アクセルオフ」(アクセルペダルが踏み込まれていない状態)であり、シフトレバーがDポジションのときには、「車速ゼロ」かつ「アクセルオフ」かつ「ブレーキオン」(ブレーキペダルが踏み込まれている状態)である。なお、自動停止の条件としては、これらのほかに「アイドルスイッチオフ」「SOC所定値以上」「外気温所定値以上」「エンジン水温が所定値以上」等を加えることも好適である。
【0035】
車速ゼロか否かは、駆動輪速センサの検出値に基づいて判定され、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み状態は、アクセルペダルポジションセンサやブレーキペダルセンサにより検出される各ポジション信号に基づいて判定される。一方、エンジン2の自動再始動の条件は、こうした自動停止の条件の何れかが成立しなくなった状態である。
【0036】
エンジン2の自動停止処理は燃料噴射の停止及び点火プラグへの給電の停止によって行われ、エンジン2の再始動はこれらの再開とモータジェネレータ1の駆動とによって行われる。こうしたエコラン制御は、例えば市街地を走行している場合の交差点での信号待ち状態のときに作動し、燃費の向上とエミッションの削減が図られる。
【0037】
以上のとおり構成された車両において行われる停止時および始動時の制御の例について説明する。図8は、ECU50により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、図示しないイグニッションキーがオンとされたときから所定時間毎に繰り返し実行される。
【0038】
この制御ルーチンが実行されると(ステップ10)、ECU50のCPUは、まず各種信号の入力処理を実行する(ステップ20)。入力信号には、出入力ポートを介して入力される上述の各センサ類、すなわちエンジン回転数センサ、エンジン水温センサ、イグニッションスイッチ、SOCセンサ、ヘッドライト・デフォッガ・エアコンなどの補機、駆動輪速センサ、自動変速機の油温センサ、シフトポジションセンサ、サイドブレーキポジションセンサ、ブレーキペダルセンサ、触媒温度センサ、スロットルポジションセンサ、クランク角センサ、タービンの回転数センサ、外気温センサおよび車内温センサなどの検出信号や作動状態信号がある。
【0039】
こうして入力信号処理を実行すると、次に、各種検出値や作動状態が上述のエンジン2の自動停止の条件に合致するかにより、自動停止が可能であるかが判断される(ステップ30)。
【0040】
肯定の場合には、次にエンジン自動停止制御、エンジン停止時変速機制御、および発進制御装置作動が行われる(ステップ40)。このうちエンジン自動停止制御では、エンジン自動停止の指令に応じ燃料の供給をカットすると共に点火を中止する。
【0041】
エンジン停止時変速機制御では、同じくエンジン自動停止の指令に応じ、エンジン停止前に電動オイルポンプ18が作動を開始する。したがって、エンジン2の停止によって機械式オイルポンプ19が停止しても、電動オイルポンプ18による作動油の供給が継続され油圧が確保される。なお、電動オイルポンプ18の容量は機械式オイルポンプ19に比べ小さく設定されており、低圧、低流量で設計されており、これにより消費電力の低減と省スペース化が図られている。
【0042】
エンジン停止時変速機制御ではまた、エンジン停止指令に基づく電動オイルポンプ18の作動開始と共にブレーキB1に作動油が供給され、その係合が完了する。このとき、前進クラッチC1等は係合したままで通常のDレンジの1stポジションに比べブレーキB1が更に係合し、言いかえれば2nd状態で待機する。
【0043】
発進制御装置作動では、前記エンジン自動停止の指令に応じ、ABSアクチュエータにてブレーキ装置の油圧制御回路の所定箇所をロック(閉鎖)することにより、車両停止時にブレーキペダルの踏圧に応じて発生した油圧を保持する。その結果、ブレーキ装置による制動状態が維持され、車両が保持される。以上がエンジン自動停止の条件が成立した場合の制御である。
【0044】
これを図9に従って説明すると、変速機がDポジションのままでブレーキペダルが踏まれ(ブレーキセンサオン)、車両が停止した後、ECU50によりエンジン停止条件が成立しているかが判断され、エンジン停止指令が出され、エンジン2はエンジン自動停止制御を開始する。自動変速機20もこの指令に基づきエンジン停止時変速機制御を開始し、2ndに保持される。ここでブレーキB1はエンジン停止指令が出た後係合されるが、すでに発進制御装置が作動しているため車両が移動することはない。
【0045】
次に、上述のエンジン2の自動再始動の要求があるか否かが、各種検出値や作動状態に基づいて判断される(ステップ50)。この自動再始動の条件は、前記ステップ30の条件のうち何れか1項目でも外れた場合に成立する。通常は、「ブレーキペダルを放す」ことにより自動再始動の条件が成立し、これに応じてエンジン2の始動指令信号が出力される。
【0046】
肯定の場合には、エンジン始動のための制御として、エンジン自動始動制御、エンジン始動時変速機制御、および発進制御装置解除が行われる(ステップ60)。このうちエンジン始動制御では、エンジン2の始動指令信号に応じ、モータジェネレータ1への給電が開始され、これによりエンジン2のクランク軸10が起動される。また、クランク角センサの検出値に基いて燃料供給および点火に適した気筒が選択され、燃料供給と点火とが行われ、エンジン2が始動する。他方、次に述べるエンジン始動時変速機制御において、歯車変速機部15で2ndポジションから1stポジションへの切換えを行うべく、油圧制御回路によりブレーキB1が解放(オフ)操作されるのであるが、エンジン自動始動制御では、このブレーキB1の解放のタイミングに合わせ、点火時期変更等によりエンジントルクを低下する制御が行われる。
【0047】
エンジン始動時変速機制御では、エンジン2の始動が完了したかを、エンジン回転数が点火後維持され異常振動(失火)や回転変動がないことで確認し、その後、電動オイルポンプ18をオフする。この時すでに機械式オイルポンプ19は正常に作動し、通常のライン圧を発生しており、切換弁33により、自動的に高い方の油圧が選択されている。なお、エンジン始動の際に、ライン圧コントロールソレノイド37の操作によりライン圧を更に低下させ、これによりエンジン始動時の振動・ショックを入力クラッチのスリップにより吸収する構成としてもよい。
【0048】
また、ステップ50におけるエンジン2の自動再始動の要求があった旨の判断(肯定判断)からの経過時間をECU50内のソフトウェアタイマにより計測し、所定時間が経過したことを条件に、油圧制御回路によりブレーキB1を解放(オフ)操作する。これにより、上述と同じく歯車変速機部15で2ndポジションから1stポジションへの切換えが行われると同時にエンジントルクを低下させる制御が行われる。これにより駆動輪に伝達する始動トルクが減少し、発進時のショックが軽減される。なお、このブレーキB1はエンジン始動完了後も継続して係合し、次にアクセルペダルが踏圧されるまで継続する構成としてもよい。
【0049】
発進制御装置解除では、エンジン2の始動指令に応じ、ブレーキB1の解放に先立って、発進制御装置を解除する。すなわち、ABSアクチュエータによるブレーキ装置の油圧制御回路のロック(閉鎖)を解除し、これによりブレーキ装置による制動力の強制が解除される。
【0050】
そして、このとき車両が急な登り坂上にあれば後退しようとするが、フロント及びリヤプラネタリーギア54、55のサンギアがブレーキB1により固定された状態で出力軸(インターミディエイトシャフト)が逆転すると、連結されているRrリングギアも逆転しようとする。その際Rrキャリヤも逆転しようとするが、ワンウェイクラッチF2がそれを許さないため、フロントプラネタリーギア54およびリヤプラネタリーギア55全体が停止(固定)し、車両も斜面に停止する。また下り坂(前進側)の場合は、ワンウェイクラッチF2が正回転を許容するため、歯車変速機部15は2ndの状態となるが、エンジン2も始動されており通常の前進状態と変わらないため問題はない。以上がエンジン自動再始動の条件が成立した場合の制御である。
【0051】
これを図10に従って説明すると、エンジン停止中に所定のエンジン再始動条件が成立し(例えばブレーキペダルを放す)、エンジン始動指令に応じてエンジン2が始動され(エンジン自動始動制御)、さらに並行してエンジン始動時変速機制御および発進制御装置解除が実施される。このとき、ブレーキB1の解放前にエンジンが始動され、かつ発進制御装置が解放されるが、変速機が2ndに保持されているためショック・振動は小さい。
【0052】
このように、本実施形態では、自動変速機20の歯車変速機部15内に備えられた各切換え要素、具体的には前進クラッチC1のオン状態維持とワンウェイクラッチF2の作用とを利用し、エンジン2を始動する際に自動変速機20の出力軸を制動することにより車両を制動させる。したがって、ブレーキ装置を用いた発進制御装置の解除により発進を行うのでなく、ワンウェイクラッチF2におけるエンジン2から駆動輪への前進方向への動力伝達によって発進を行うこととなり、ブレーキ装置の解除により発進を行う場合の従来の不都合を解消できる。特に、本実施形態では、自動変速機20内に備えられたワンウェイクラッチF2の作用により登坂路でもスムースに発進できる。
【0053】
また本実施形態では、発進制御装置の解除に若干ディレータイムを設けてエンジン2の始動と同時に発進制御装置を解除することとしたが、ワンウェイクラッチF2が瞬時に作動可能となるので、エンジン2の始動中もワンウェイクラッチF2を確実に作動させてスムースに発進することができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、発進制御装置の解除とエンジン2の始動を同時に設定し、ワンウェイクラッチF2が作動可能となるように構成したが、ワンウェイクラッチF2を作動可能とするタイミングはエンジン2の始動前でもよく、例えばフットブレーキオフ信号と同時、あるいは再始動判断と同時でもよいし、発進制御装置による制御を取りやめることもできる。
【0055】
また、上記実施形態では、ステップ60のエンジン始動時変速機制御において、ブレーキB1を、ステップ50におけるエンジン2の自動再始動の要求があった旨の判断(肯定判断)の時点から所定時間が経過したことを条件に解放する構成としたが、かかる構成に代えて、運転者によりアクセルペダルの踏み込み操作が行われたことを条件としても、同様の効果を得ることができる。さらに、ブレーキB1の解放を前進方向に車速が発生した際とする構成とすることも好適である。このような構成とした場合には、前進方向に車速が発生した場合に低速段である1stポジションが選択されるので、下り坂で大きなエンジンブレーキが発生する利点がある。上記実施形態ではエンジンはガソリンエンジンとされたが、ディーゼルエンジンでも、他の燃料を使用するエンジンでも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る車両の機械的構成の概略を示す構成図である。
【図2】 エンジン、スタータおよびモータジェネレータの周辺の構成を示す構成図である。
【図3】 油圧制御回路の一部を示す構成図である。
【図4】 電子制御ユニットの入出力信号関係を示すブロック図である。
【図5】 自動変速機の構成を示すスケルトン図である。
【図6】 自動変速機を示す断面図である。
【図7】 自動変速機の歯車変速機部におけるポジションと各クラッチの係合及び各ブレーキの作動の関係の主要部分を示す図である。
【図8】 実施形態における制御の一例を示すフロー図である。
【図9】 エンジンの停止時における前進クラッチ、ブレーキおよび発進制御装置等の作動を示すタイミング図である。
【図10】 エンジンの再始動時における前進クラッチ、ブレーキおよび発進制御装置等の作動を示すタイミング図である。
【符号の説明】
1 モータジェネレータ、2 エンジン、11 スタータ、17 トルクコンバータ、20 自動変速機、18 電動オイルポンプ、19 機械式オイルポンプ、50 ECU(電子制御ユニット)、B1 ブレーキ、C1 前進クラッチ。
Claims (2)
- 内燃機関と、制動手段と、内燃機関から駆動輪への動力伝達経路中に備えられ前記内燃機関から前記駆動輪への車両前進方向への動力伝達のみを許容するワンウェイクラッチと、前記内燃機関から前記駆動輪への動力伝達経路中に備えられ、接続時に前記内燃機関の駆動力により車両を前進させるよう両側の回転要素間で動力の伝達を可能とする前進用クラッチと、前記内燃機関の停止時から始動までの間前記制動手段を作動させ、かつ前記内燃機関の停止時から始動の前後にわたり前記ワンウェイクラッチを作動可能とし、かつ、前記内燃機関の停止指令の発生時から前記内燃機関の始動時にわたり前記前進用クラッチを接続した状態を維持する制御手段とを備えてなる車両の制御装置。
- 請求項1に記載の車両の制御装置であって、
前記制御手段は前記内燃機関の停止時に前記ワンウェイクラッチを作動可能な状態とし、前記内燃機関の始動の際に前記制動手段の制動力を解除することを特徴とする車両の制御装置。
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