JP4431766B2 - 多糖類の生産方法 - Google Patents
多糖類の生産方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4431766B2 JP4431766B2 JP2003006565A JP2003006565A JP4431766B2 JP 4431766 B2 JP4431766 B2 JP 4431766B2 JP 2003006565 A JP2003006565 A JP 2003006565A JP 2003006565 A JP2003006565 A JP 2003006565A JP 4431766 B2 JP4431766 B2 JP 4431766B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polysaccharide
- medium
- polysaccharides
- sodium chloride
- pseudomonas
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多糖類生産用培地及び多糖類製造方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は多糖類収量及び純度を高めることを可能とする、塩化ナトリウムを高濃度で含有する多糖類生産用培地及び前記培地を用いることを特徴とする多糖類製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、微生物の生産する多糖類が生体内において免疫機能を強化する作用を有し、抗腫瘍活性などの効果を示すことが明らかになってきた。これらの微生物が生産する多糖類のうち、ヒアルロン酸、デキストラン、キサンタンガム、プルラン等はすでに産業上利用され、あるいは利用されつつある。
【0003】
本発明者らによって完成された発明、即ちシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌を海水で調製した培地で培養することにより、多糖類が生産されることが知られている(非特許文献1)。この多糖類は保湿性、抗潰瘍活性、抗関節痛等、医薬品や機能性食品等への応用が期待されている(非特許文献2)。
【0004】
海洋微生物を用いて多糖類を生産するに際しては、海水又は2〜3%(W/V)塩化ナトリウムで調製した培地が用いられる。例えば、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌を培養して多糖類を得るためには、本菌を培養して多糖類を得る方法(非特許文献1)、シュードモナス・エスピーNo.9−12(Pseudomonas sp. No.9-12)菌を培養して多糖類を得る方法(非特許文献3)などが知られている。
【0005】
【非特許文献1】
[マツダ(M. Matsuda)ら:Nippon Suisan Gakkaishi, 58, 1735〜1741(1992)]
【非特許文献2】
[マツダ(M. Matsuda)ら:Marine Biotechnology, 1, 68-73(1999)]
【非特許文献3】
[タンダワニッツ(S. Tandavanitj)ら:Nippon Suisan Gakkaishi, 55, 2015-2019(1989)]
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、海洋から分離した微生物を培養して多糖類を生産させる場合の生産量は、たとえば、Nippon Suisan Gakkaishi[上記マツダ(M.Matsuda)ら: 1992]やFisheries Science[シャムスディン(A.Shamsuddin)ら:Fisheries Science, 64,469-473(1998)]に記載のごとく、多くの場合200〜300mg/リットル程度であり、一般的に行われている微生物による物質生産の生産効率と比較すると満足できる値とはなっていない。そのため、前記システムを用いて多糖類を工業的に生産するにはさらなる収率の向上が求められていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明は、微生物を培養して多糖類を高純度で大量に生産させるのに適した培地を提供することを課題とする。また、本発明は、微生物を培養して多糖類を高純度で大量に生産させる多糖類の製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
本発明者らは、上述の問題点に鑑み、海洋微生物を培養して多糖類を大量に生産させるのに適した培地について鋭意研究を行ったところ、培養培地に添加する塩化ナトリウムの濃度を調整することにより海洋微生物が生産する多糖類の量と共に純度も高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本願は以下の発明に関する。
(1) 微生物を利用して多糖類を生産する際に使用される、炭素源と、窒素源と、無機塩とを含有する多糖類生産用培地であって、前記無機塩として塩化ナトリウムを5.5〜8.0%(W/V)含有する多糖類生産用培地。
(2) 前記炭素源として蔗糖、前記窒素源としてペプトン、酵母エキスを用いる前記(1)に記載の多糖類生産用培地。
(3) 微生物を所定の培地において培養して多糖類を生産するに際し、海水よりも高濃度の塩化ナトリウム含有培地において微生物を培養する多糖類の生産方法。
(4) 前記微生物として海洋微生物を用いる前記(3)に記載の多糖類の生産方法。
(5) 前記微生物としてシュードモナス(Pseudomonas)属を用いる前記(3)に記載の多糖類の生産方法。
(6) 前記微生物としてシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株を用いる前記(3)に記載の多糖類の生産方法。
(7) 前記培地として、無機塩として塩化ナトリウムを5.5〜8.0%(W/V)、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する多糖類生産用培地を用いる前記(3)に記載の多糖類の生産方法。
(8) さらに、生産された多糖類を培地中から採取する工程を有する前記(3)に記載の多糖類の生産方法。
【0010】
さらに以下の発明も好ましい。
(9) 無機塩として塩化ナトリウムを5.5〜8.0%(W/V)、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有し、酸性ムコ多糖類を製造するシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株の培養に用いられる培地。
(10) 酸性ムコ多糖類の生産方法であって、
無機塩として塩化ナトリウムを5.5〜8.0%(W/V)、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する多糖類生産用培地において、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株を実質的に静置の条件及び弱い嫌気条件の少なくともいずれか一方の条件で培養する酸性ムコ多糖類の生産方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の培地について説明する。
本発明の培地としては、多糖類を生産しうる微生物が生育できるものであって、塩化ナトリウムを高濃度の範囲で含有するものであれば特に制限されることはない。好ましくは塩化ナトリウムを5.5〜8.0%(W/V)の範囲で含有するものが用いられる。塩化ナトリウム濃度が前記下限値よりも小さくなると多糖類の生産収率が低くなり、前記上限値よりも高くなると得られる収率は同じであることから経済的観点から前記上限を超えないようにすることが好ましい。
【0012】
従来より塩化ナトリウムが微生物培養培地に添加されることがあったが、その添加量は通常の微生物の場合0.5%(W/V)程度、海洋微生物など好塩微生物の場合は2.5〜3.0%(W/V)程度であった。また、高い塩化ナトリウム濃度で生育できる微生物があることが報告されているものの、塩化ナトリウム濃度を高く設定することで有用多糖類が制限なく増産されるという報告はされていない。
【0013】
これに対して本発明における培地中の塩化ナトリウムの濃度はかなり高濃度であり、好適には塩化ナトリウム濃度は5.5〜8.0%(W/V)である。そして本発明によれば多糖類の生産収率の飛躍的向上を簡易に図ることができる。また、後に説明するように無機塩を高い濃度で含む有機廃棄物の用途が拡大するといった効果も得られうる。
このように本発明は従来技術に基づいて容易に想到できるものではなく、本発明を見出したことはまさに驚くべきことである。
【0014】
前記多糖類を生産しうる微生物を培養できる培地としては、従来公知の培地を基本培地とし、塩化ナトリウム濃度が海水よりも高濃度になるように、好ましくは塩化ナトリウム濃度が5.5〜8.0%(W/V)の範囲となるように調整したものが用いられる。
【0015】
本発明に用いられる基本培地としては、多糖類を生産しうる微生物が生育できるものであって、少なくとも炭素源と、窒素源と、各種無機塩と及び微量元素とを適量含有するものが用いられる。さらに好ましくは、前記基本培地として、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物が生育できるものが用いられる。炭素源としては、グルコース、フラクトース、ガラクトース、シュクロース等の糖、あるいは糖蜜や廃糖蜜が挙げられる。炭素源として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩等の化合物やペプトン、酵母エキス、アミノ酸などの天然物が挙げられる。窒素源として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。無機塩としては、例えば、リン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩等が挙げられる。無機塩として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。特に、塩化ナトリウム濃度を5.5〜8.0%(W/V)とすることにより、多糖類の生産が著しく向上する。固体培地の場合は寒天を用いる。
【0016】
塩化ナトリウムの濃度の調整は、塩化ナトリウム源としての海水もしくは人工海水及び/又は塩化ナトリウムもしくはその水溶液を培地に添加することにより行われる。この場合の添加方法は従来公知の方法に基づいて行われる。
培地の塩化ナトリウム濃度以外の培養条件、例えば、使用する培地、培地のpH、培地への添加物、培養温度などは通常微生物の培養の際に用いられている条件をそのまま用いることができる。
【0017】
本発明に用いられる微生物としては、多糖類を生産しうるものであれば特に制限なく使用することができる。好ましくは海洋微生物、さらに好ましくは酸性ムコ多糖類及び硫酸多糖類を生産する能力のある海洋微生物が用いられる。具体的には海洋性シュードモナス属細菌が挙げられ、より具体的にはシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株が挙げられる。本菌株は本発明者らが瀬戸内海に於いてワカメの表面より分離した海洋性細菌であり、その分類学的特性は、Nippon Suisan Gakkaishi[上記マツダ(M.Matsuda)ら: 1992]に記載されている。また、本菌株は香川大学農学部生命機能科学科岡崎研究室に保存されている。
【0018】
本発明における培養条件は、培養時のpHは微生物が生育し、かつ多糖類を生産する範囲であれば制限されないが、通常は6から7.5の範囲のpHが好ましい。培養温度については微生物が生育し、かつ多糖類を生産する範囲であれば制限されないが、25℃から30℃の範囲が多糖類の生産には良好である。培養期間は培養のpHや温度により変化するが、通常2日から7日が適切である。
前記した培地と微生物を用いて従来法を用いて微生物を培養することにより、所望の多糖類が得られる。本発明によれば種々の多糖類が得られるが、その多糖類の例として、ムコ多糖類及び硫酸多糖類等が挙げられる。
【0019】
ところで、微生物が生産する多糖類は、種々の生理活性を有することが知られており、医薬品や機能性食品などの素材として特に有用であるとして開発研究が行われてきた。例えば、酸性ムコ多糖類を化学修飾して硫酸化することにより、新たに抗ウイルス作用を発現することが報告されている[上記マツダ(M.Matsuda)ら: 1999]。又酸性ムコ多糖類を加水分解して得たオリゴ糖には変形性関節症などの軟骨疾患の予防と治療に役立つ可能性がある。さらに、硫酸多糖類には、培養細胞に対する抗がん活性(特願2001−270284)があることも報告されている。
しかし、多糖類を医薬品や機能性食品などの素材に応用するには純度や収率の観点から制限があった。
ところが、本発明によれば高純度の多糖類を高収率で得ることができる。そのため、本発明により得られる多糖類は、例えば、抗ウイルス薬や軟骨疾患の予防・治療薬のような医薬品として、また軟骨疾患軽減健康食品といった機能性食品として好適に使用されうる。本発明により得られる多糖類のうち酸性ムコ多糖類は、前記用途に特に好適に使用されうるものである。
【0020】
本発明により得られる多糖類は、構成糖のモル比がN−アセチル−D−ガラクトサミン:D−グルクロン酸:N−アセチル−L−ガラクトサミン:ピルビン酸が2:1:1:1(モル濃度比)で、ゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100〜150万であることが好ましい。構成成分の分析には、セルロースアセテート膜電気泳動、又は高速液体クロマトグラフィーを用いることができる。この構成成分の分析には、多糖類を2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)、又は4N−HClで100℃、12時間加水分解し、ロータリーエバポレイターでTFA又はHClを除いたものを検体とし、中性糖、ウロン酸、有機酸及びアミノ糖の分析を行う。構成有機酸の分析にはこの他に酵素法を用いることができる。
【0021】
本発明の分子量の測定は、ゲルろ過クロマトグラフィー法を用いることができる。具体的には、Asahipak GFA-7M((株)昭和電工製)をカラムとする高速液体クロマトグラフィー((株)島津製作所製)を使用し、水を移動相とし、分子量既知のプルラン(Shodex STANDARD P-82、(株)昭和電工製)を標準サンプルとして作成した分子量保持時間標準曲線を使用して測定することができる。
【0022】
次に、本発明の多糖類の製造方法について好ましい1実施形態として酸性ムコ多糖類の製造方法を挙げて説明する。尚、目的生産物が酸性ムコ多糖類の生産方法を例示するが、それ以外の多糖類の生産にも本発明を用いることができることはいうまでもない。
【0023】
好ましい1実施形態としての本発明の多糖類の製造方法は、(a)高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する工程と、(b)前記培地において微生物を培養し多糖類を生産する工程と、(c)生産された所定の多糖類を抽出・回収する工程と、
任意の工程として(d)生産された所定の多糖類を分離・回収する工程と、(e)弱い嫌気条件で培養を行う工程と、を有する。
【0024】
このように本発明の多糖類の製造方法は、培地の塩化ナトリウム濃度を通常の微生物培養培地よりもはるかに高い濃度に設定することを特徴とすることより、従来法に比べ約2培以上の収率で多糖類としてのムコ多糖類を生産することができる。収率が向上する理由は定かではないが、培地の塩化ナトリウム濃度を通常の海水の値(約3.0%(W/V))より高く設定することで、微生物の生育環境が悪化し、微生物が塩による浸透圧から自らを保護する為に細胞外に多糖類を多く生産したためと考えられる。
【0025】
続いて、前記の実施形態を各工程毎に詳細に説明していく。
(a)高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する工程
まず、海水よりも高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する。この場合、培地中の塩化ナトリウム濃度が5.5〜8.0%(W/V)となるように調製することが好ましい。さらに好ましくは前記した本発明の培地を用いることが望ましく、その際に炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを用いることがより望ましい。
【0026】
(b)前記培地において微生物を培養し多糖類を生産する工程
前記のようにして調製した培地を用いて微生物を培養して目的の多糖類を生産するわけであるが、酸性ムコ多糖類を得るためには微生物としてシュードモナス(Pseudomonas)属を用いることが好ましい。さらに好ましくはシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株を用いることが望ましい。微生物としてシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株を用いることで、いわゆる付加価値の高い多糖類を効率的に生産することができる。
【0027】
以上のようにして多糖類としてのムコ多糖類が生産されることになる。特に、微生物としてシュードモナス・エスピーWAK−1を用いることで、酸性ムコ多糖類が極めて効率良く生産することができる。
【0028】
ここで、酸性ムコ多糖類は、下記構造単位を有するものである。
【0029】
【化1】
(上記の構造式において、GalNAcpはピラノース型N-アセチルガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型を、LはL型を、Pyrはピルビン酸を、nは繰り返しの数をそれぞれ表す。)
そして、以下に説明する抽出・回収工程を経ることにより高純度の酸性ムコ多糖類を高収率で得ることが可能となる。
【0030】
(c)生産された所定の多糖類を抽出・回収する工程
上記製造方法で得られた培養液から本発明の多糖類を抽出する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、培養液をそのまま、あるいは高温で殺菌した後で、遠心分離により菌体を除去し、これをそのまま、あるいは濃縮してから、塩析または2〜3倍量のエタノール、イソプロパノール、あるいはアセトン等を加え、沈殿を生じさせる。この沈殿物を再度、水あるいは1〜15%塩化ナトリウム溶液に溶解させた後で、アルコール等による沈殿を2〜3回繰り返し、水で透析を行い、噴霧乾燥や凍結乾燥機等を用いて乾燥させることにより、本発明の多糖類を得る。これ以外にも限外濾過法も利用することができる。
さらに精製するためには、イオン交換、ゲル濾過等の各種クロマトグラフィーや第4級アンモニウム塩による沈殿や塩析などを用いることができる。
【0031】
(d)生産された所定の多糖類を分離・回収する工程
上記した抽出・回収方法により、多糖類を抽出・回収することが可能であるが、任意の工程として、本発明者らが先に出願した特願2000−265079号に開示された、シュードモナス属に属し、酸性ムコ多糖類及び硫酸多糖類の両者を生産する能力のある細菌を液体培地中実質的に静置(もしくは振盪)の条件で培養し、前記培養物中の酸性ムコ多糖類(もしくは硫酸多糖類)を精製蓄積させ、これを採取することを特徴とする酸性ムコ多糖類及び硫酸多糖類の分離方法を併用してもよい。かかる分離方法を併用することにより、効率的に酸性ムコ多糖類と、硫酸多糖類を分離回収することができる。尚、括弧内の条件で培養することにより括弧内で示される硫酸多糖類のみを生産及び回収できることになる。尚、日本国特許出願、特願2000−265079号(出願日2000年9月1日)の明細書を参照のためにここに組み込むものとする。
【0032】
ところで、本発明者らが先に出願した特願2000−265079号に開示された前記分離方法によれば、効率よく酸性ムコ多糖類及び硫酸多糖類を分離回収することが可能であったが、収率については工業上実施する上でさらに改善すべき余地が多く残されていた。そこで、前記特願2000−265079号を出願した後に検討したところ、前記「実質的な静置の条件」というのは、結果的に弱い嫌気培養の条件が重要であることが明らかになった。即ち、アルゴン又は窒素ガスなどを用いて弱い嫌気培養したり、アスコルビン酸を培地に添加して酸化還元電位を低めることで、効率的に酸性ムコ多糖類のみを生産及び回収可能となることを知見した。
【0033】
(e)弱い嫌気条件で培養を行う工程
前記の知見より、本発明はさらに任意の工程として(e)弱い嫌気条件で培養する工程を有してもよい。
【0034】
本発明は前記の必須工程(a)〜(c)に加えて、任意の工程として前記(d)及び/又は(e)工程を併用することにより、酸性ムコ多糖類及び硫酸多糖類の分離・選択性の向上を図りつつ、収率を飛躍的に向上させることができる。
尚、前記(d)及び(e)工程については経時的要素は含まれないため、本発明のいずれの工程と併用してもかまわないが、少なくとも前記(c)工程と前記(d)及び/又は(e)工程を併用することにより収率の向上と純度の向上の両立を効率的に図ることができる。
【0035】
かくして多糖類が生産及び回収されることになる。本発明により得られる多糖類は特に制限なく種々の用途に使用されうるものであるが、前記の通り種々の生理活性を有するものである。そのため、医薬品や機能性食品などの素材として特に好適に用いられる。
【0036】
以上本発明について説明してきたが本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
従って、本発明の多糖類生産用培地及び本発明の多糖類の製造法は、多糖類を生産するいずれの微生物種、例えば海洋微生物にも適用することが可能である。
【0037】
また、培地に添加される無機塩(塩化ナトリウム源)として、前記したものの他に多糖類の生産に支障を起こさないものであれば特に限定されることなく使用することができる。そのため、無機塩(塩化ナトリウム源)として、例えば、無機塩を含有する産業廃棄物、具体的には醤油粕、佃煮や漬物工場から排出される食塩水を含んだ有機性廃液等を用いることができる。
【0038】
このように本発明は無機塩を高い濃度で含む有機廃棄物を培地に用いうるものであるため、前記有機廃棄物の用途の拡大を通じて資源循環型社会構築に寄与するものと期待される。即ち、本発明の別の態様として無機塩を高い濃度で含む有機廃棄物の利用方法が提供される。無機塩を高い濃度で含む有機廃棄物の塩濃度やその他の性質により培地の調製条件が多少異なるが、当業者であれば前記した培地の調製条件に基づいて無機塩を高い濃度で含む有機廃棄物を用いた培地を調製可能であろう。
【0039】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明をより詳しく説明する。
(実施例1、2、比較例1、2、3)
マツダ(M. Matsuda)[上記、1992]らの記載に従い、ペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、蔗糖3%の組成を有する培地に海水又は塩化ナトリウムを添加して塩化ナトリウム濃度が0.2、2.9、5.5、8.0、10.3%(W/V)になるように培地を調製した。これらの培地を121℃にて20分間オートクレープにより滅菌した。シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK-1,香川大学農学部生命機能科学科岡崎研究室保存菌株No.WAK−1)の保存用斜面培養から1白金耳を試験管中の滅菌培地(10mL)に接種し、28℃で3日間振とう培養した。
500ml容の三角フラスコ中の塩化ナトリウム濃度を上記のように0.2〜10.3%(W/V)に調整した滅菌培地(150ml)に接種し、25℃にて3日間静置培養を行った。
培養後、微生物増殖の指標として培養液の640nmにおける濁度を測定した。又培養終了液を遠心分離して菌体を除いた上澄液に2倍量のエタノールを加え、白色沈殿を得た。この沈殿を濾過により採取し、水(100ml)中に溶解し、再度エタノール沈殿を行った。得られた沈殿物を水に溶解し、水に対して透析後、凍結乾燥を行い多糖類を得た。
【0040】
このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の酸性ムコ多糖類であることを確認した。
以上の方法によりシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌を培養した培養液の多糖類の乾燥重量は、海水又は2〜3%(W/V)塩化ナトリウムで調製した培地を用いる従来法に比べて約2倍増加し、純度の高い酸性ムコ多糖類が得られた。
【0041】
したがって、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌を培養する際の塩化ナトリウム濃度を高めることにより酸性ムコ多糖類を選択的に大量生産させ、純度の高い当該多糖類が回収されることが確認された。その結果を下記表1に示す。
尚、前記塩化ナトリウム濃度が0.2、2.9、5.5、8、10.3%(W/V)になるように調製した培地を用いて得られた実験結果をそれぞれ比較例1、2、3及び実施例1、2とした。
【0042】
【表1】
表1から明らかなように、生産される多糖類の量は塩化ナトリウムの添加量により異なり、塩化ナトリウムの添加量が0.2%の場合には培地1L当たり0g、2.9%では0.30g、5.5%では0.73g、8.0%では0.59g、10.3%では0.18gであった。
又NMR分析から、Fig.1に示すようにエタノール沈殿物として回収される多糖類は、純度の高い酸性ムコ多糖類であると認められた。
【0043】
以上、実施例を挙げて本発明について説明してきたが、微生物由来の多糖類の生産収率を向上することができる。好ましい本発明の培地を用いた多糖類の製造方法によると、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌が生産する多糖類を大量に生産蓄積し、比較例(従来法)の約2倍量を回収することが可能となる。しかも、簡便な多糖類の回収方法であるエタノール沈殿を行うことにより、高純度で多糖類が回収できる。したがって、本発明により、種々の生理機能を有する多糖類を工業的規模で製造することが可能となる。
【0044】
(実施例3)
ペプトン0.5%、 酵母エキス0.1%の組成を有する海水から調製した培地を、温度121℃としたオートクレーブ中で20分間滅菌し、シュードモナス・エスピーWAK−1菌株(Pseudomonas sp. WAK-1、香川大学農学部生命機能科学科岡崎研究室保存菌株)の保存用斜面培養から、1白金耳を試験管中の上記滅菌培地(10ml)に接種し、25℃の温度で72時間振とう培養を行い、次いでこの前培養液を500ml容の三角フラスコ中に醤油粕を凍結乾燥し粉末化したもの1%、蔗糖3%の組成を有する海水から調製した滅菌培地(121℃、20分間)に接種し、25℃の温度で10日間の静置培養を行った。培養後培養液を遠心分離して菌体を除いた上澄液に、2倍量のエタノールを加えて白色沈殿を得た。
この沈殿物を採取して水200ml中に溶解し、この溶液に再度2倍量のエタノールを加えて多糖類を沈殿させ、噴霧乾燥により粉末化とした。
このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の酸性ムコ多糖であることを確認した。
【0045】
(実施例4)
前培養までは実施例3と同様に処理し、前記実施例3で述べた醤油粕を含む培地に寒天を1.5%添加した寒天平板培地(18×26cm)に広げて前培養液を塗沫し、25℃の温度で7日間培養を行った後、寒天平板の表面に生じた粘質物をかきとり、1%フエノール液に懸濁させ、実施例3と同じ方法で菌体を遠心分離により除いて同様の処理をして多糖類を得た。
前記実施例3及び4で得られた多糖類は、醤油粕の代わりにペプトン及び酵母エキス、蔗糖から成る培地で培養して得られる収量よりも少ないが、培養日数を延長することにより多糖類の収量を増加さすことが可能であった。
従って本実施例3及び4より、種々の生理機能を有する多糖類を食品産業廃棄物を利用して安価に工業的規模で製造することが可能となり、食品リサイクルに寄与すること大である。
【0046】
なお、本実施例及び比較例において用いられた上記のWAK−1菌株は、日本国独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6 に寄託し、平成14年8月28日 受託番号 FERM P−18988として受託されたものである。なお、その後ブタペスト条約に基づく寄託への移管請求を行い受託番号 FERM BP−8275として受託された。
【0047】
前述したところが、この発明の好ましい実施態様であること、多くの変更及び修正をこの発明の精神と範囲とにそむくことなく実行できることは当業者によって了承されよう。
本出願は、同出願人により先にされた日本国特許出願、すなわち、特願2002−6352号(出願日2002年1月15日)に基づく優先権主張を伴うものであって、これらの明細書を参照のためにここに組み込むものとする。
【0048】
【発明の効果】
本発明は以上のような構成を有することより、以下のような効果を有する。
微生物由来の多糖類の生産収率を向上することができる。また、生産された多糖類を簡便な回収方法により回収できる。そのため、本発明により種々の多糖類を工業的規模で生産できる。
さらに、好適な態様において生理機能を有する高純度の多糖類を高収率で生産できる。そのため、本発明は食品や医薬品などへの応用が期待されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により生産される多糖類の1H−NMR図である。
Claims (4)
- 無機塩として塩化ナトリウムを5.5〜8.0%(W/V)、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する海水よりも高濃度の塩化ナトリウム含有培地において、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株を培養することを特徴とする多糖類の生産方法。
- 静置の条件及び弱い嫌気条件の少なくともいずれか一方の条件下で前記シュードモナス・エスピーWAK−1菌株を培養することを特徴とする請求項1に記載の多糖類の生産方法。
- 前記培地には、無機塩として醤油粕が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の多糖類の生産方法。
- さらに、生産された多糖類を培地中から採取する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の多糖類の生産方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003006565A JP4431766B2 (ja) | 2002-01-15 | 2003-01-15 | 多糖類の生産方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002-6352 | 2002-01-15 | ||
JP2002006352 | 2002-01-15 | ||
JP2003006565A JP4431766B2 (ja) | 2002-01-15 | 2003-01-15 | 多糖類の生産方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003274928A JP2003274928A (ja) | 2003-09-30 |
JP4431766B2 true JP4431766B2 (ja) | 2010-03-17 |
Family
ID=29217911
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003006565A Expired - Fee Related JP4431766B2 (ja) | 2002-01-15 | 2003-01-15 | 多糖類の生産方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4431766B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013017419A (ja) * | 2011-07-11 | 2013-01-31 | Picaso Cosmetic Laboratory Ltd | 酸性ムコ多糖類の製造方法、酸性ムコ多糖類生産用培地及び酸性ムコ多糖類 |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4889206B2 (ja) * | 2004-07-01 | 2012-03-07 | 有限会社 シーバイオン | Il−12産生誘導活性を有するマクロファージ活性化剤 |
JP4944412B2 (ja) * | 2005-09-09 | 2012-05-30 | 有限会社 シーバイオン | 前駆脂肪細胞分化抑制剤及びその製造方法 |
JP6251471B2 (ja) * | 2012-05-31 | 2017-12-20 | 株式会社ピカソ美化学研究所 | 美白剤 |
JP2014001148A (ja) * | 2012-06-15 | 2014-01-09 | Picaso Cosmetic Laboratory Ltd | 線維芽細胞増殖促進剤 |
JP2017112901A (ja) * | 2015-12-24 | 2017-06-29 | キッコーマン株式会社 | 高分子ヒアルロン酸の製造方法 |
CN112662583A (zh) * | 2020-12-31 | 2021-04-16 | 中国海洋大学 | 一种适用于葛仙米营养生长的改良培养基及配制方法 |
-
2003
- 2003-01-15 JP JP2003006565A patent/JP4431766B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013017419A (ja) * | 2011-07-11 | 2013-01-31 | Picaso Cosmetic Laboratory Ltd | 酸性ムコ多糖類の製造方法、酸性ムコ多糖類生産用培地及び酸性ムコ多糖類 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003274928A (ja) | 2003-09-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4431766B2 (ja) | 多糖類の生産方法 | |
JP3555957B2 (ja) | Klebsiella pneumoniae,subsp. pneumoniaeの新規な菌株及びL−フコースを含有する多糖類の製造方法 | |
CN108624638B (zh) | 一种发酵生产氨基葡萄糖的方法 | |
JPH0691819B2 (ja) | デアセチラーゼの製造方法 | |
JP5953078B2 (ja) | 新規微生物およびその変異株並びにそれを用いた多糖類の製造方法 | |
JP2004321177A (ja) | 水溶性低粘度β−D−グルカン含有培養液の調製方法 | |
JP2009060895A (ja) | 可溶性β−D−グルカン粉末の製造方法 | |
JP3802011B2 (ja) | 美白剤 | |
JP3081901B2 (ja) | γ−ポリグルタミン酸の製造法 | |
JP4944412B2 (ja) | 前駆脂肪細胞分化抑制剤及びその製造方法 | |
KR101727251B1 (ko) | 녹조류 유래 다당류 분해능을 갖는 슈도모나스 제니귤라타 균주 kctc12651bp | |
JPWO2002086116A1 (ja) | 硫酸化フコグルクロノマンナン | |
JP4461286B2 (ja) | 軟骨細胞増殖促進薬及び軟骨障害の予防又は治療薬 | |
WO2003060140A1 (fr) | Milieu permettant la production de polysaccharides et procede de production de polysaccharides | |
JP3083858B2 (ja) | 酸性ヘテロ多糖類、硫酸化多糖類、およびその製法 | |
JP4889206B2 (ja) | Il−12産生誘導活性を有するマクロファージ活性化剤 | |
JP2002065292A (ja) | 多糖類の製造法 | |
JP3057221B2 (ja) | 特異な粘性特性を有する新規多糖体及びその製造方法 | |
JP4693014B2 (ja) | グリコサミノグリカン二糖の製造方法。 | |
JP3028856B2 (ja) | 紅藻類アマノリ属海藻オリゴ糖の製造法 | |
JP2013017419A (ja) | 酸性ムコ多糖類の製造方法、酸性ムコ多糖類生産用培地及び酸性ムコ多糖類 | |
JP4713860B2 (ja) | Il−12産生誘導活性を有するマクロファージ活性化剤 | |
JP3797851B2 (ja) | バクテリアによるキチン・キトサン様物質の製造方法 | |
JP2004041035A (ja) | N‐アセチルグルコサミンの製造方法 | |
JP3079183B2 (ja) | 褐藻分解物の製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051221 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080930 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081120 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20091117 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20091201 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20091201 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20091201 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4431766 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140108 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140108 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |