JP4713860B2 - Il−12産生誘導活性を有するマクロファージ活性化剤 - Google Patents
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Description
そして、あまのり属海藻類から得られたオリゴ糖がIL-12の産生誘導作用を持ち、免疫賦活剤として有用である旨が開示されている(特許文献1)。
しかし、特許文献1にかかる発明にあっては、ネオアガロオリゴ糖とその脱硫化された中性糖を主体とし、それ以外にもより重合度の高い不消化物性多糖類、レクチン、核酸、灰分等を含有するものであった。つまり特許文献1にかかる発明は活性本体の特定がなされておらず、このままでは安全性や効力の面で不十分であり実際上食品や医薬品としての応用が困難であった。そのため安全性と効力を兼ね備えるマクロファージ活性化剤、特にIL-12産生誘導を伴うマクロファージ活性化剤が求められていた。
〈1〉 コンドロシン又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含むマクロファージ活性化剤。
〈2〉 上記コンドロシンは海洋細菌の生産する酸性ムコ多糖類の分解物であり、次の構造式で示される化合物である上記〈1〉記載のマクロファージ活性化剤。
〈3〉 インターロイキン12産生誘導活性を有する前記〈1〉又は〈2〉記載のマクロファージ活性化剤。
〈4〉 上記〈1〉〜〈3〉のいずれかに記載のマクロファージ活性化剤を主成分とする免疫賦活剤。
本発明者等は、優れたIL-12産生誘導効果を有する物質を見出すべく、マウス由来マクロファージ様細胞株を用いてマクロファージ活性化及びIL-12産生誘導を検索した。その結果、コンドロシンがマクロファージ活性化及びIL-12産生誘導を促進すると共に細胞毒性が極めて弱く、免疫賦活化剤として極めて有効であることを見出した。本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、コンドロシンを有効成分として含有するIL-12産生誘導活性を有するマクロファージ活性化剤に関する。かかるマクロファージ活性化剤は、そのマクロファージ活性化及びIL-12産生のメカニズムにより、医薬品、健康食品及び化粧品としての応用が期待されものである。尚、コンドロシンについては、従来より、軟骨培養細胞プロテオグリカン生成促進効果を有することが知られている。しかし、これをマクロファージ活性化及びサイトカイン類の誘導活性、特にIL-12産生誘導活性又は免疫賦活化剤として使用したという報告は現在までされていない。
まず、海水よりも高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する。この場合、培地中の塩化ナトリウム濃度が5.5〜8.0%(W/V)となるように調製することが好ましい。さらに好ましくは上記した本発明の培地を用いることが望ましく、その際に炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを用いることがより望ましい。
上記のようにして調製した培地を用いて微生物を培養して目的の多糖類を生産する。WAK-1-Aを得るためには微生物としてシュードモナス(Pseudomonas)属を用いることが好ましい。さらに好ましくはシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株を用いることが望ましい。微生物としてシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株を用いることで、WAK-1-Aを効率的に生産することができる。そして、以下に説明する抽出・回収工程を経ることにより高純度のWAK-1-Aを高収率で得ることが可能となる。
上記製造方法で得られた培養液からWAK-1-Aを抽出する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、培養液をそのまま、あるいは高温で殺菌した後で、遠心分離により菌体を除去し、これをそのまま、あるいは濃縮してから、2〜3倍量のエタノール、イソプロパノール、あるいはアセトン等を加え、沈殿を生じさせる。この沈殿物を再度、水あるいは1〜15重量%塩化ナトリウム溶液に溶解させた後で、アルコール等による沈殿を2〜3回繰り返し、水で透析を行い、噴霧乾燥や凍結乾燥機等を用いて乾燥させることにより、WAK-1-Aを得る。これ以外にも電気透析法や限外濾過法も利用することができる。さらに精製するためには、イオン交換、ゲル濾過等の各種クロマトグラフィーや第4級アンモニウム塩による沈殿や塩析などを用いることができる。培養終了液から菌体の除去に際しては、中空糸モジュールを備えた膜濾過装置を用いることができる。
上記した抽出・回収方法により、多糖類を抽出・回収することが可能である。この場合、任意の工程として、本発明者らが先に出願した特開2002-065292号に開示された、シュードモナス属に属し、WAK-1-Aを生産する能力のある細菌を液体培地中実質的に静置の条件で培養し、上記培養物中のWAK-1-Aを精製蓄積させ、これを採取することを特徴とするWAK-1-Aの分離方法を併用してもよい。かかる分離方法を併用することにより、効率的にWAK-1-Aを分離回収することができる。
上記の知見より、本発明はさらに任意の工程として(e)緩やかな攪拌又は弱い嫌気条件で培養する工程を有してもよい。以上により、WAK-1-Aが生産及び回収されることになる。
上記マクロファージ活性化剤を賦活組成物として用いる場合、有効成分であるコンドロシンと医薬品、食品及び化粧品に一般に用いられている各種成分、例えば、油分、保湿剤、防腐剤、殺菌剤、色剤、粉末、香料、増粘剤、緩衝剤などを、その剤形にあわせ、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することにより調製される。また、上記免疫賦活組成物に、コンドロシンを配合するに当たっては、コンドロシンのマクロファージ活性化及びIL-12産生誘導作用ならびに免疫賦活性を考慮することが好ましい。一般的には、コンドロシンを有効成分として0.001重量%以上、好ましくは0.01〜20.0重量%程度添加することが好ましい。必ずしも有効成分を単離して使用する必要はなく、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、コンドロシンを含む粗精製物を使用することができる。
免疫賦活組成物の剤型は任意であり、例えばカプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、ドリンク剤等の可溶化系、乳液またはクリーム等の乳化系、あるいは軟膏、貼布剤または分散液などの剤型をとることができる。こうして、所望の免疫賦活効果、例えばがん、ウイルス病、アトピー性皮膚炎等の発生を防ぐことができ、また既に生成しているがん、ウイルス病、アトピー性皮膚炎等の治療に使用できる免疫賦活剤が提供される。
(参考例1)
ペプトン0.5%、 酵母エキス0.1%、蔗糖3%の組成を有し海水で調製した培地を、温度121℃としたオートクレーブ中で20分間滅菌した。シュードモナス・エスピーWAK-1 (Pseudomonas sp. WAK-1)菌株の保存用斜面培養から、1白金耳を試験管中の上記滅菌培地 (10ml)に接種し、25℃の温度で24時間振とう培養を行った。次いでこの前培養液を500ml容の三角フラスコ中に上記組成に食塩3%を追加した組成を有し海水で調製した滅菌培地200ml(121℃、20分間)に接種し、25℃の温度で5日間の静置培養を行った。培養後培養液を濾過助剤 (セライト)を用いて濾過し、菌体を除いた上澄液に、2倍量のエタノールを加えて白色沈殿を得た。この沈殿物を採取して水200ml中に溶解し、この溶液に再度2倍量のエタノールを加えて多糖類を沈殿させ、凍結乾燥により粉末化とした。これをM/100 リン酸緩衝液 (pH=7.0)に溶解し、予め同緩衝液で平衡化したDEAE−セルロースイオン交換カラムクロマトグラフィーにより吸着した画分から0.4M NaClで溶出される画分を集め、透析後凍結乾燥して酸性ムコ多糖類粉末を得た。
このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の多糖類WAK-1-Aであることを確認した。
前培養までは参考例1と同様に処理し、次いでこの前培養液を500ml容の三角フラスコ中に上記組成を有する海水から調製した滅菌培地200ml (121℃、20分間)に接種し、25℃の温度で5日間緩やかな振とう培養を行った。培養後培養液を孔径0.2μmの中空糸MF膜 (Spectrum社製)モジュールを備えた膜濾過装置を用いて菌体を除き、この溶液から中空糸UF膜 (Spectrum社製)モジュールを備えた膜濾過装置を用いて分子量5万カットして得られる組成物を短時間のうちに5〜10倍濃縮及び脱塩して採取し、凍結乾燥により粉末化した。これをM/100 リン酸緩衝液 (pH=7.0)に溶解し、予め同緩衝液で平衡化したDEAE−セルロースイオン交換カラムクロマトグラフィーにより吸着した画分から0.4M NaClで溶出される画分を集め、透析後凍結乾燥して酸性ムコ多糖類粉末を得た。
このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の多糖類WAK-1-Aであることを確認した。
前培養までは参考例2と同様に処理し、上記参考例2で述べた蔗糖を含む培地に寒天を1.5%添加した寒天培地250mlを平板 (18×26cm)に広げて前培養液を塗沫した。そして、25℃の温度で7日間培養を行った後、寒天平板の表面に生じた粘質物をかきとり、1%フエノール液に懸濁させ、参考例1と同じ方法で菌体を濾過により除いて得られた上澄液にエタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後5%第4級アンモニウム塩(Cetavlon)溶液を加えて沈殿する画分を濾過により集めた。これを4MNaClに溶解し再度エタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後透析し凍結乾燥により多糖類を得た。これをM/100 リン酸緩衝液 (pH=7.0)に溶解し、予め同緩衝液で平衡化したDEAE−セルロースイオン交換カラムクロマトグラフィーにより吸着した画分から0.4M NaClで溶出される画分を集め、透析後凍結乾燥して酸性ムコ多糖類粉末を得た。
このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の多糖類WAK-1-Aであることを確認した。
参考例1,2, 及び3でそれぞれ得られた酸性ムコ多糖類を水に溶解して1.0%溶液とし、1.0N塩酸濃度にて100℃で6時間加熱して加水分解処理を行った。反応液を冷却後、水酸化ナトリウムで中和した。この中和液を用い、ゲル濾過Bio-Gel P2カラム (2.5×100cm)にてコンドロシンを単糖類や無機塩類と分別、採取した。Bio-Gel P2カラムクロマトグラフィーは、溶離液に緩衝液 (水:ピリジン:酢酸=500:5:2)を用い、4.0ml/30minの流速で展開し、各4.0mlを分画した。
このようにして得られたコンドロシンについては、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、コンドロシンであることを確認した。
加水分解、中和までは上記製造例1と同様に処理し、次いで中和液に活性炭を加えて良く攪拌した後、ブフナー漏斗上のガラス繊維濾紙 (Whatman GFF)を通して濾過し、水で良く洗浄してから、さらに2.5%エタノールで洗浄した。次に、5%エタノールで溶出する画分を集め、ロータリーエバポレイターで蒸発乾固した後、300mlの水に溶解し、AC-220-550カートリッジを装着した電気透析システム (旭化成製、S3型)を用いてコンドロシンを精製し、凍結乾燥した。
このようにして得られたコンドロシンについては、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、コンドロシンであることを確認した。
市販のコンドロイチン硫酸 (三栄源エフ・エフ・アイ製、サメ軟骨抽出物)を1.0N塩酸に溶解して1.0%溶液とし、100℃で6時間加熱して加水分解処理を行った。反応液を冷却後、水酸化ナトリウムで中和した。この中和液に活性炭を加えて良く攪拌した後、ブフナー漏斗上のガラス繊維濾紙 (Whatman GFF)を通して濾過し、水で良く洗浄してから、さらに2.5%エタノールで洗浄した。次に、5%エタノールで溶出する画分を集め、ロータリーエバポレイターで蒸発乾固した後、300mlの水に溶解し、AC-220-550カートリッジを装着した電気透析システム (旭化成製、S3型)を用いてコンドロシンを精製し、凍結乾燥した。
このようにして得られたコンドロシンについては、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知のコンドロシンであることを確認した
培養液には,10%(V/V)FBSを含むRPMI1640培地 (コージンバイオ社製)を用いた。マウス由来マクロファージ様細胞株J774.1 (Riken Cell Bank)を所定の濃度となるように含む上記培養液100μlずつを入れた96穴プレートに播種し (1.5×105個/well)、マクロファージ細胞に分化誘導した後試料を添加して37℃、5%CO2下で培養した。試料は、10mg/mlの濃度となるように上記培養液に溶解した後0.2μmのフイルターで予め滅菌して使用した。24時間培養後、培養上清を回収し、サイトカイン測定キット (BioSource International, Inc.)を用いてELISA法でTNF-α及びIL-12の濃度を測定した。なお、IL-12濃度はIL-12p40 + p70を測定した。これらの測定結果を図1及び図2に示す。
Claims (4)
- コンドロシン又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含むことを特徴とするマクロファージ活性化剤。
- インターロイキン12産生誘導活性を有することを特徴とする請求項1又は2記載のマクロファージ活性化剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のマクロファージ活性化剤を主成分とすることを特徴とする免疫賦活剤。
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