JP4713860B2 - Il−12産生誘導活性を有するマクロファージ活性化剤 - Google Patents

Il−12産生誘導活性を有するマクロファージ活性化剤 Download PDF

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Description

本発明は、コンドロシンを有効成分として含むマクロファージ活性化剤に関する。さらに詳しくはインターロイキン12(以下、「IL-12」と記す)産生誘導活性を有するマクロファージ活性化剤に関する。
IL-12はナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化する作用を有するサイトカインとして発見され、細胞性免疫活性の増加、マクロファージの活性化、IgE産生抑制などの活性が確認されている(Allergy Clin. Immunol.107, 9-18, 2001)。このためアレルギー、がん、ウイルス病等の治療薬としての応用が期待されている。また、IL-12はNK細胞やNKT細胞などの活性化による抗腫瘍性の発現に重要であり、がんを攻撃するキラーT細胞を強力に活性化し、細胞性免疫力を増強するインターフエロン−γの産生や働きを活性化する。一方、IL-12は生体の免疫バランス(Th1/Th2)をTh1側に誘導する作用を有することでアレルギーや自己免疫疾患の発症を抑制する効果があると期待されている。
そして、あまのり属海藻類から得られたオリゴ糖がIL-12の産生誘導作用を持ち、免疫賦活剤として有用である旨が開示されている(特許文献1)。
しかし、特許文献1にかかる発明にあっては、ネオアガロオリゴ糖とその脱硫化された中性糖を主体とし、それ以外にもより重合度の高い不消化物性多糖類、レクチン、核酸、灰分等を含有するものであった。つまり特許文献1にかかる発明は活性本体の特定がなされておらず、このままでは安全性や効力の面で不十分であり実際上食品や医薬品としての応用が困難であった。そのため安全性と効力を兼ね備えるマクロファージ活性化剤、特にIL-12産生誘導を伴うマクロファージ活性化剤が求められていた。
特開2002−193828号
以上より、安全性と効力を兼ね備えるマクロファージ活性化剤が求められていた。
本発明は以下の記載事項に関する。
〈1〉 コンドロシン又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含むマクロファージ活性化剤。
〈2〉 上記コンドロシンは海洋細菌の生産する酸性ムコ多糖類の分解物であり、次の構造式で示される化合物である上記〈1〉記載のマクロファージ活性化剤。
Figure 0004713860
(上記の構造式において、GalNpはピラノース型ガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型をそれぞれ表す。)
〈3〉 インターロイキン12産生誘導活性を有する前記〈1〉又は〈2〉記載のマクロファージ活性化剤。
〈4〉 上記〈1〉〜〈3〉のいずれかに記載のマクロファージ活性化剤を主成分とする免疫賦活剤。
本発明によれば、安全性と効力を兼ね備えるマクロファージ活性化剤が提供される。
(マクロファージ活性化剤)
本発明者等は、優れたIL-12産生誘導効果を有する物質を見出すべく、マウス由来マクロファージ様細胞株を用いてマクロファージ活性化及びIL-12産生誘導を検索した。その結果、コンドロシンがマクロファージ活性化及びIL-12産生誘導を促進すると共に細胞毒性が極めて弱く、免疫賦活化剤として極めて有効であることを見出した。本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、コンドロシンを有効成分として含有するIL-12産生誘導活性を有するマクロファージ活性化剤に関する。かかるマクロファージ活性化剤は、そのマクロファージ活性化及びIL-12産生のメカニズムにより、医薬品、健康食品及び化粧品としての応用が期待されものである。尚、コンドロシンについては、従来より、軟骨培養細胞プロテオグリカン生成促進効果を有することが知られている。しかし、これをマクロファージ活性化及びサイトカイン類の誘導活性、特にIL-12産生誘導活性又は免疫賦活化剤として使用したという報告は現在までされていない。
コンドロシンは具体的には、次の構造式(I)で示される化合物である。
Figure 0004713860
(上記の構造式において、GalNpはピラノース型ガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型をそれぞれ表す。)
コンドロシンとしては、医薬、化粧品として使用できる程度に精製されたものであれば、種々の方法で調製されたものを用いることができる。コンドロシンは、例えば(1)特定の微生物によって生産されるコンドロイチンモチーフ(基本骨格)を含む酸性ムコ多糖類を酸で加水分解して得られる二糖類、又は(2)サメ、エイ、サケ等の魚類や牛、豚等の軟骨に含まれるコンドロイチン硫酸の酸加水分解物から得られる。なかでも、抗原性やアレルギー原因物質の混入の恐れがなく工業的に安定している点からは、上記(1)の製法により製造されるものが好ましい。
コンドロイチンモチーフを含む酸性ムコ多糖類としては、海洋細菌シュードモナス・エスピーWAK-1 (Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株の培養物より分離精製された酸性ムコ多糖類を用いることが好ましい [マツダ(M.Matsuda)ら: Fisheries Science, 63, 983-988(1997)]。これら酸性ムコ多糖類は、本明細書において単に「WAK-1-A」又は「多糖類WAK-1-A」と表記する。WAK-1-Aは、次式(II)で示される構造単位を有するものである。
Figure 0004713860
(上記の構造式において、GalNAcpはピラノース型N-アセチルガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型を、LはL型を、Pyrはピルビン酸を、nは繰り返しの数をそれぞれ表す。)
酸性ムコ多糖類を得るには、具体的には、海洋微生物を炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する海水を寒天で固めた培地で培養して多糖類を生産し、採取、精製して得ることができる [マツダ(M.Matsuda):ら、日本水産学会誌, 58, 1735-1741(1992)]。また、海洋微生物を所定の培地において培養して多糖類を生産するに際し、海水よりも高濃度の塩化ナトリウム含有培地において微生物を培養することを特徴とする多糖類の生産方法によることもできる (特開2003-274928)。
より具体的には、例えば寒天平板培養では、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する多糖類生産用海水培地を寒天で固めた培地においてシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株を培養し、寒天平板上に生じた粘質物中からWAK-1-Aを分離、精製して得ることができる。
海水よりも高濃度の塩化ナトリウム含有培地を用いる場合は、無機塩として塩化ナトリウムを5.5〜8.0%(W/V)、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する多糖類生産用培地においてシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株を緩やかな攪拌、実質的に静置の条件及び弱い嫌気条件の少なくともいずれか一方の条件下で培養することにより、WAK-1-Aを選択的に高収率で得ることができる。
WAK-1-Aを生産する微生物を培養する基本培地としては、多糖類を生産しうる微生物が生育できるものであって、少なくとも炭素源と、窒素源と、各種無機塩と及び微量元素とを適量含有するものが用いられる。さらに好ましくは、上記基本培地として、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物が生育できるものが用いられる。炭素源としては、グルコース、フラクトース、ガラクトース、シュクロース等の糖、あるいは糖蜜や廃糖蜜が挙げられる。炭素源として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩等の化合物やペプトン、酵母エキス、アミノ酸などの天然物が挙げられる。窒素源として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。無機塩としては、例えば、リン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩等が挙げられる。無機塩として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。特に、塩化ナトリウム濃度を5.5〜8.0%(W/V)とすることにより、多糖類の生産が著しく向上する。固体培地の場合は寒天を用いる。
培地の塩化ナトリウム濃度以外の培養条件、例えば、使用する培地、培地のpH、培地への添加物、培養温度などは通常微生物の培養の際に用いられている条件をそのまま用いることができる。
WAK-1-Aの生産に用いられる微生物としては、多糖類を生産しうるものであれば特に制限なく使用することができる。好ましくは海洋微生物、さらに好ましくはWAK-1-Aを生産する能力のある海洋微生物が用いられる。具体的には海洋性シュードモナス属細菌が挙げられ、より具体的にはシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株が挙げられる。本菌株は本発明者らが瀬戸内海においてワカメの表面より分離した海洋性細菌であり、その分類学的特性は、日本水産学会誌 [上記マツダ(M.Matsuda)ら: 1992]に記載されている。
培養条件は、培養時のpHは微生物が生育し、かつ多糖類を生産する範囲であれば制限されないが、通常は6から7.5の範囲のpHが好ましい。培養温度については微生物が生育し、かつ多糖類を生産する範囲であれば制限されないが、25℃から30℃の範囲が多糖類の生産には良好である。培養期間は培養のpHや温度により変化するが、通常2日から7日が適切である。
上記した培地と微生物を用いて従来法を用いて微生物を培養することにより、本発明の有効成分の原料となるWAK-1-Aが効率的に生産されることとなる。
コンドロシンの原材料に用いられるWAK-1-Aは、構成糖のモル比がN−アセチル−D−ガラクトサミン:D−グルクロン酸:N−アセチル−L−ガラクトサミン:ピルビン酸が2:1:1:1(モル濃度比)で、ゲル濾過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100〜150万であることが好ましい。構成成分の分析には、セルロースアセテート膜電気泳動、又は高速液体クロマトグラフィーを用いることができる。この構成成分の分析には、多糖類を2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)、又は4N-HClで100℃、12時間加水分解し、ロータリーエバポレイターでTFA又はHClを除いたものを検体とし、中性糖、ウロン酸、有機酸及びアミノ糖の分析を行う。特にウロン酸の分析は、多糖のカルボキシル基還元後に加水分解して中性糖を分析することにより行う。有機酸の分析にはこの他に酵素法を用いることができる。
WAK-1-Aの分子量の測定は、ゲル濾過クロマトグラフィー法を用いることができる。具体的には、Asahipak GFA-7M(昭和電工製)をカラムとする高速液体クロマトグラフィー(島津製)を使用し、0.1NNaClを移動相とし、分子量既知のプルラン(Shodex STANDARD KIT P-82、昭和電工製)を標準サンプルとして作成した分子量保持時間標準曲線を使用して測定することができる。
次に、コンドロシンの製造に用いられるWAK-1-Aの製造方法について、好ましい1実施形態を挙げて説明する。尚、WAK-1-Aの生産方法は以下の製法に限定されないことはいうまでもない。好ましい1実施形態としてのWAK-1-Aの製造方法は、(a)高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する工程と、(b)上記培地において微生物を培養し多糖類を生産する工程と、(c)生産されたWAK-1-Aを抽出・回収する工程と、任意の工程として(d)生産されたWAK-1-Aを分離・回収する工程と、(e)緩やかな攪拌又は弱い嫌気条件で培養を行う工程と、を有する。続いて、上記実施形態を各工程毎に詳細に説明していく。
(a)高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する工程
まず、海水よりも高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する。この場合、培地中の塩化ナトリウム濃度が5.5〜8.0%(W/V)となるように調製することが好ましい。さらに好ましくは上記した本発明の培地を用いることが望ましく、その際に炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを用いることがより望ましい。
(b)上記培地において微生物を培養し多糖類を生産する工程
上記のようにして調製した培地を用いて微生物を培養して目的の多糖類を生産する。WAK-1-Aを得るためには微生物としてシュードモナス(Pseudomonas)属を用いることが好ましい。さらに好ましくはシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株を用いることが望ましい。微生物としてシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株を用いることで、WAK-1-Aを効率的に生産することができる。そして、以下に説明する抽出・回収工程を経ることにより高純度のWAK-1-Aを高収率で得ることが可能となる。
(c)生産された所定の多糖類を袖出・回収する工程
上記製造方法で得られた培養液からWAK-1-Aを抽出する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、培養液をそのまま、あるいは高温で殺菌した後で、遠心分離により菌体を除去し、これをそのまま、あるいは濃縮してから、2〜3倍量のエタノール、イソプロパノール、あるいはアセトン等を加え、沈殿を生じさせる。この沈殿物を再度、水あるいは1〜15重量%塩化ナトリウム溶液に溶解させた後で、アルコール等による沈殿を2〜3回繰り返し、水で透析を行い、噴霧乾燥や凍結乾燥機等を用いて乾燥させることにより、WAK-1-Aを得る。これ以外にも電気透析法や限外濾過法も利用することができる。さらに精製するためには、イオン交換、ゲル濾過等の各種クロマトグラフィーや第4級アンモニウム塩による沈殿や塩析などを用いることができる。培養終了液から菌体の除去に際しては、中空糸モジュールを備えた膜濾過装置を用いることができる。
(d)生産された所定の多糖類を分離・回収する工程
上記した抽出・回収方法により、多糖類を抽出・回収することが可能である。この場合、任意の工程として、本発明者らが先に出願した特開2002-065292号に開示された、シュードモナス属に属し、WAK-1-Aを生産する能力のある細菌を液体培地中実質的に静置の条件で培養し、上記培養物中のWAK-1-Aを精製蓄積させ、これを採取することを特徴とするWAK-1-Aの分離方法を併用してもよい。かかる分離方法を併用することにより、効率的にWAK-1-Aを分離回収することができる。
(e)弱い嫌気条件で培養を行う工程
上記の知見より、本発明はさらに任意の工程として(e)緩やかな攪拌又は弱い嫌気条件で培養する工程を有してもよい。以上により、WAK-1-Aが生産及び回収されることになる。
次に、WAK-1-Aを酸加水分解してコンドロシンを分離精製することにより、コンドロシンが得られる。
(免疫賦活組成物)
上記マクロファージ活性化剤を賦活組成物として用いる場合、有効成分であるコンドロシンと医薬品、食品及び化粧品に一般に用いられている各種成分、例えば、油分、保湿剤、防腐剤、殺菌剤、色剤、粉末、香料、増粘剤、緩衝剤などを、その剤形にあわせ、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することにより調製される。また、上記免疫賦活組成物に、コンドロシンを配合するに当たっては、コンドロシンのマクロファージ活性化及びIL-12産生誘導作用ならびに免疫賦活性を考慮することが好ましい。一般的には、コンドロシンを有効成分として0.001重量%以上、好ましくは0.01〜20.0重量%程度添加することが好ましい。必ずしも有効成分を単離して使用する必要はなく、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、コンドロシンを含む粗精製物を使用することができる。
免疫賦活組成物の剤型は任意であり、例えばカプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、ドリンク剤等の可溶化系、乳液またはクリーム等の乳化系、あるいは軟膏、貼布剤または分散液などの剤型をとることができる。こうして、所望の免疫賦活効果、例えばがん、ウイルス病、アトピー性皮膚炎等の発生を防ぐことができ、また既に生成しているがん、ウイルス病、アトピー性皮膚炎等の治療に使用できる免疫賦活剤が提供される。
上記コンドロシンは特に制限なく種々の用途に使用されうるものであるが、サイトカイン産生誘導剤として、好ましくはIL-12産生誘導活性を有するマクロファージ活性化剤として好適に用いられる。この場合、有効成分としてのコンドロシンは、0.001重量%以上、好ましくは0.01〜20.0重量%のコンドロシンをマクロファージ活性化剤に配合することが好ましい。このコンドロシンを有効成分として含有するマクロファージ活性化剤は、通常使用されている医薬品、皮膚外用剤や食品基材を使用することにより、粉末、カプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、ドリンク剤等の適当な形態とすることができる。さらに、その他の薬効成分、増粘剤、可塑剤、着色料、香料等、任意の添加物を含有させることができる。なお、上記コンドロシンについては、皮膚に対する毒性も刺激も無く、副作用も無いことが確認されている。
次に参考例及び実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例になんら制約されるものではない。尚、特記しない限り、百分率(%)は重量基準であることはいうまでもない。
(参考例1)
ペプトン0.5%、 酵母エキス0.1%、蔗糖3%の組成を有し海水で調製した培地を、温度121℃としたオートクレーブ中で20分間滅菌した。シュードモナス・エスピーWAK-1 (Pseudomonas sp. WAK-1)菌株の保存用斜面培養から、1白金耳を試験管中の上記滅菌培地 (10ml)に接種し、25℃の温度で24時間振とう培養を行った。次いでこの前培養液を500ml容の三角フラスコ中に上記組成に食塩3%を追加した組成を有し海水で調製した滅菌培地200ml(121℃、20分間)に接種し、25℃の温度で5日間の静置培養を行った。培養後培養液を濾過助剤 (セライト)を用いて濾過し、菌体を除いた上澄液に、2倍量のエタノールを加えて白色沈殿を得た。この沈殿物を採取して水200ml中に溶解し、この溶液に再度2倍量のエタノールを加えて多糖類を沈殿させ、凍結乾燥により粉末化とした。これをM/100 リン酸緩衝液 (pH=7.0)に溶解し、予め同緩衝液で平衡化したDEAE−セルロースイオン交換カラムクロマトグラフィーにより吸着した画分から0.4M NaClで溶出される画分を集め、透析後凍結乾燥して酸性ムコ多糖類粉末を得た。
このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の多糖類WAK-1-Aであることを確認した。
(参考例2)
前培養までは参考例1と同様に処理し、次いでこの前培養液を500ml容の三角フラスコ中に上記組成を有する海水から調製した滅菌培地200ml (121℃、20分間)に接種し、25℃の温度で5日間緩やかな振とう培養を行った。培養後培養液を孔径0.2μmの中空糸MF膜 (Spectrum社製)モジュールを備えた膜濾過装置を用いて菌体を除き、この溶液から中空糸UF膜 (Spectrum社製)モジュールを備えた膜濾過装置を用いて分子量5万カットして得られる組成物を短時間のうちに5〜10倍濃縮及び脱塩して採取し、凍結乾燥により粉末化した。これをM/100 リン酸緩衝液 (pH=7.0)に溶解し、予め同緩衝液で平衡化したDEAE−セルロースイオン交換カラムクロマトグラフィーにより吸着した画分から0.4M NaClで溶出される画分を集め、透析後凍結乾燥して酸性ムコ多糖類粉末を得た。
このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の多糖類WAK-1-Aであることを確認した。
(参考例3)
前培養までは参考例2と同様に処理し、上記参考例2で述べた蔗糖を含む培地に寒天を1.5%添加した寒天培地250mlを平板 (18×26cm)に広げて前培養液を塗沫した。そして、25℃の温度で7日間培養を行った後、寒天平板の表面に生じた粘質物をかきとり、1%フエノール液に懸濁させ、参考例1と同じ方法で菌体を濾過により除いて得られた上澄液にエタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後5%第4級アンモニウム塩(Cetavlon)溶液を加えて沈殿する画分を濾過により集めた。これを4MNaClに溶解し再度エタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後透析し凍結乾燥により多糖類を得た。これをM/100 リン酸緩衝液 (pH=7.0)に溶解し、予め同緩衝液で平衡化したDEAE−セルロースイオン交換カラムクロマトグラフィーにより吸着した画分から0.4M NaClで溶出される画分を集め、透析後凍結乾燥して酸性ムコ多糖類粉末を得た。
このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の多糖類WAK-1-Aであることを確認した。
(製造例1)
参考例1,2, 及び3でそれぞれ得られた酸性ムコ多糖類を水に溶解して1.0%溶液とし、1.0N塩酸濃度にて100℃で6時間加熱して加水分解処理を行った。反応液を冷却後、水酸化ナトリウムで中和した。この中和液を用い、ゲル濾過Bio-Gel P2カラム (2.5×100cm)にてコンドロシンを単糖類や無機塩類と分別、採取した。Bio-Gel P2カラムクロマトグラフィーは、溶離液に緩衝液 (水:ピリジン:酢酸=500:5:2)を用い、4.0ml/30minの流速で展開し、各4.0mlを分画した。
次いでコンドロシンのみが含まれる画分を集めて凍結乾燥した。各フラクションのコンドロシン及びガラクトサミンの検出には、各フラクションから一定量の試料を採取し、(i)N-アセチル化後に還元し、Wakopak WBT-130Eカラム (7.8×300mm、和光純薬製)にアプライした。移動相に水を用い、60℃で0.5ml/minの流速で展開し、示差屈折計で測定した。(ii)誘導体としないで、Mightysil RP-18GPカラム (4.6×250mm,関東化学製)にアプライした。移動相には2.4mMフタル酸含有2.5mMトリスアミノメタン (pH4.0)を用い、35℃で0.5ml/minの流速で展開し、示差屈折計で測定した。
このようにして得られたコンドロシンについては、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、コンドロシンであることを確認した。
(製造例2)
加水分解、中和までは上記製造例1と同様に処理し、次いで中和液に活性炭を加えて良く攪拌した後、ブフナー漏斗上のガラス繊維濾紙 (Whatman GFF)を通して濾過し、水で良く洗浄してから、さらに2.5%エタノールで洗浄した。次に、5%エタノールで溶出する画分を集め、ロータリーエバポレイターで蒸発乾固した後、300mlの水に溶解し、AC-220-550カートリッジを装着した電気透析システム (旭化成製、S3型)を用いてコンドロシンを精製し、凍結乾燥した。
このようにして得られたコンドロシンについては、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、コンドロシンであることを確認した。
(製造例3)
市販のコンドロイチン硫酸 (三栄源エフ・エフ・アイ製、サメ軟骨抽出物)を1.0N塩酸に溶解して1.0%溶液とし、100℃で6時間加熱して加水分解処理を行った。反応液を冷却後、水酸化ナトリウムで中和した。この中和液に活性炭を加えて良く攪拌した後、ブフナー漏斗上のガラス繊維濾紙 (Whatman GFF)を通して濾過し、水で良く洗浄してから、さらに2.5%エタノールで洗浄した。次に、5%エタノールで溶出する画分を集め、ロータリーエバポレイターで蒸発乾固した後、300mlの水に溶解し、AC-220-550カートリッジを装着した電気透析システム (旭化成製、S3型)を用いてコンドロシンを精製し、凍結乾燥した。
このようにして得られたコンドロシンについては、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知のコンドロシンであることを確認した
製造例2で得られたコンドロシンを使用して,マウス由来マクロファージ様細胞株 (J774.1)の活性化及びIL-12産生誘導作用を調べ試料無添加の場合と比較して試料添加系でのマクロファージ活性化及びIL-12産生量を求めた。マクロファージの活性化は培養上清中のTNF-α濃度を指標とした。
(マクロファージ活性化及びIL-12濃度の測定方法)
培養液には,10%(V/V)FBSを含むRPMI1640培地 (コージンバイオ社製)を用いた。マウス由来マクロファージ様細胞株J774.1 (Riken Cell Bank)を所定の濃度となるように含む上記培養液100μlずつを入れた96穴プレートに播種し (1.5×105個/well)、マクロファージ細胞に分化誘導した後試料を添加して37℃、5%CO2下で培養した。試料は、10mg/mlの濃度となるように上記培養液に溶解した後0.2μmのフイルターで予め滅菌して使用した。24時間培養後、培養上清を回収し、サイトカイン測定キット (BioSource International, Inc.)を用いてELISA法でTNF-α及びIL-12の濃度を測定した。なお、IL-12濃度はIL-12p40 + p70を測定した。これらの測定結果を図1及び図2に示す。
図1に示すように、コンドロシンはマクロファージに対する刺激でTNF-α産生誘導を促進し、マクロファージ活性化が認められた。なお、マクロファージの活性化の指標となるNO産生は認められなかった。
また図2から明らかなように、マクロファージに対する刺激で対照でのIL-12誘導活性は全く認められなかったが、コンドロシンの場合はIL-12産生誘導を促進した。IL-12はTh2細胞への分化を抑制する働きがある。そのため、コンドロシンを用いてTh2細胞の分化を抑えてアレルギー反応を根本から治療することができる。また、効力が強く、かつ安全性の高いアレルギー予防、治療薬を提供することができる。
なお、本参考例1、2及び3において用いられた上記のWAK-1菌株は、日本国独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6 に寄託し、平成14年8月28日 受託番号 FERM P−18988として受託され、その後ブタペスト条約に基づく寄託への移管請求を行い受託番号 FERM BP−8275として受託されたものである。
図1はマクロファージの活性化を示すものである。 図2はマクロファージのIL-12産生誘導促進効果を示すものである。

Claims (4)

  1. コンドロシン又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含むことを特徴とするマクロファージ活性化剤。
  2. 前記コンドロシンは海洋細菌の生産する酸性ムコ多糖類の分解物であり、次の構造式で示される化合物であることを特徴とする請求項1記載のマクロファージ活性化剤。
    Figure 0004713860
    (上記の構造式において、GalNpはピラノース型ガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型をそれぞれ表す。)
  3. インターロイキン12産生誘導活性を有することを特徴とする請求項1又は2記載のマクロファージ活性化剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のマクロファージ活性化剤を主成分とすることを特徴とする免疫賦活剤。
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