JP4461286B2 - 軟骨細胞増殖促進薬及び軟骨障害の予防又は治療薬 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟骨障害の予防又は治療薬、並びに組織培養の補助薬に関するものである。さらに詳しくは、本発明はWAK−1−A又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含有する軟骨障害の予防又は治療薬、並びに組織培養の補助薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種軟骨疾患の予防及び治療の過程においては、軟骨細胞の増殖、分化機能の発現が重要である。即ち軟骨細胞の増殖、成熟化が骨の正常な成長や骨折した場合の修復をもたらすものと考えられている。これまでも、たんぱく質(特開平5-255398号)、HGF(特開平8-59502)、その他の軟骨細胞増殖因子(特開平7-258110)についての開示がある。しかし、安全性、安定性、及び有効性に優れた軟骨細胞増殖促進薬の臨床的応用は確立されていない。
【0003】
軟骨疾患の中でも、最も患者数の多い疾患は変形性関節症であり、原因の一つとして加齢が考えられ、これからの高齢化社会においては本症例の増加が予想される。関節疾患など軟骨の変性を主病変とする軟骨障害の予防と治療には、従来、エストロゲン、カルシトニンなどの骨吸収抑制物質、アスピリンや非ステロイド性消炎剤(NSAID)が主に使用されてきたが、十分な効果が得られていないばかりか、消化管障害などの有害作用は良く知られている。
【0004】
軟骨を取り巻くプロテオグリカンの糖部分は、アミノ糖とウロン酸を構成成分とするヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸に代表されるグリコサミノグリカンであることから、軟骨疾患の予防と治療にアミノ糖やこれらグリコサミノグリカンを摂取する民間療法は古くから存在した。事実、特表平8-508973号はヒアルロン酸の軟骨誘導促進効果を開示している。
軟骨のマトリックスとして重要なもう一方の構成成分であるコンドロイチン硫酸の外的投与によって、プロテオグリカン生合成促進作用がみられることから、コンドロイチン硫酸を軟骨損傷や疾患の予防と治療に使用して臨床的に改善が得られたという文献は多い。しかし、この治療法は、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)に比べて作用が弱く、比較的軽い症例にしか適用が考えられない(特開2000-53569号)。
【0005】
高齢化社会の到来により加齢に伴う軟骨障害患者は著しく増加しており、この領域における医療の進歩が要望されている。従来から軟骨障害を治療するために種々の治療法が試みられてきているが、それらは直接的に原因の解決を目的とするものではなく、例えば、抗炎症剤などを投与することにより、その疾患に基づく痛みなどの障害を抑制する方法、関節にヒアルロン酸製剤などを注入して関節の動きを潤滑にする方法など、対症療法的なものでしかなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、軟骨損傷や軟骨障害の根治的治療法は見出されてはおらず、特に変形性関節症は、患者数が多く、その有効な治療法が切望されている。したがって、軟骨損傷や軟骨障害の治療において安全に用いられる予防又は治療薬が強く求められていた。
また、ヒトの皮膚などの組織の一部を取りだし、フラスコで人工的に培養してヒトに戻すというテッシュエンジアリングが次世代医療として脚光をあびてきている。その際に用いることができる有効な組織培養の補助薬(剤)が求められていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、WAK−1−Aが軟骨細胞の増殖と軟骨プロテオグリカンの生成を促進することを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は(1)多糖類WAK−1−A又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする軟骨細胞増殖促進薬、及び(2)多糖類WAK−1−A又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする軟骨障害の予防又は治療薬に関する。
また、本発明は(3) 多糖類WAK−1−A又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする組織培養の補助薬にも関する。
尚、多糖類WAK−1−A は、海洋微生物の培養物より分離精製された多糖類である[マツダ(M.Matsuda)ら:Fisheries Science, 63, 983-988(1997)]。本明細書において、単に「WAK−1−A」というときは「多糖類WAK−1−A」を意味するものとする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で使用されるWAK−1−Aは、医薬として使用できる程度に精製されたものであれば、種々の方法で調製されたものを用いることができる。WAK−1−Aの調製方法としては、各種の方法が知られている。例えば、海洋微生物を炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する海水を寒天で固めた培地で培養して多糖類を生産し、採取、精製して得ることがことができる[マツダ(M.Matsuda):ら、Nippon Suisan Gakkaishi, 58,1735-1741(1992)]。また、海洋微生物を所定の培地において培養して多糖類を生産するに際し、海水よりも高濃度の塩化ナトリウム含有培地において微生物を培養することを特徴とする多糖類の生産方法によることもできる(特願2002-6352)。
【0010】
より具体的には、例えば寒天平板培養では、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する多糖類生産用海水培地を寒天で固めた培地においてシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株を培養し、寒天平板上に生じた粘質物中のWAK−1−Aと硫酸多糖類の混合物からWAK−1−Aを分離、精製して得ることができる。
【0011】
海水よりも高濃度の塩化ナトリウム含有培地を用いる場合は、無機塩として塩化ナトリウムを5.5〜8.0%(W/V)、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する多糖類生産用培地においてシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株を実質的に静置の条件及び/又は弱い嫌気条件で培養することにより、WAK−1−Aを選択的に高収率で得ることができる。
【0012】
WAK−1−Aを生産する微生物を培養する基本培地としては、多糖類を生産しうる微生物が生育できるものであって、少なくとも炭素源と、窒素源と、各種無機塩と及び微量元素とを適量含有するものが用いられる。さらに好ましくは、前記基本培地として、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物が生育できるものが用いられる。炭素源としては、グルコース、フラクトース、ガラクトース、シュクロース等の糖、あるいは糖蜜や廃糖蜜が挙げられる。炭素源として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩等の化合物やペプトン、酵母エキス、アミノ酸などの天然物が挙げられる。窒素源として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。無機塩としては、例えば、リン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩等が挙げられる。無機塩として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。特に、塩化ナトリウム濃度を5.5〜8.0%(W/V)とすることにより、多糖類の生産が著しく向上する。固体培地の場合は寒天を用いる。
【0013】
培地の塩化ナトリウム濃度以外の培養条件、例えば、使用する培地、培地のpH、培地への添加物、培養温度などは通常微生物の培養の際に用いられている条件をそのまま用いることができる。
【0014】
WAK−1−Aの生産に用いられる微生物としては、多糖類を生産しうるものであれば特に制限なく使用することができる。好ましくは海洋微生物、さらに好ましくはWAK−1−A及び硫酸多糖類を生産する能力のある海洋微生物が用いられる。具体的には海洋性シュードモナス属細菌が挙げられ、より具体的にはシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株が挙げられる。本菌株は本発明者らが瀬戸内海に於いてワカメの表面より分離した海洋性細菌であり、その分類学的特性は、Nippon Suisan Gakkaishi[上記マツダ(M.Matsuda)ら: 1992]に記載されている。また、本菌株は香川大学農学部生命機能科学科岡崎研究室に保存されている。
【0015】
本発明における培養条件は、培養時のpHは微生物が生育し、かつ多糖類を生産する範囲であれば制限されないが、通常は6から7.5の範囲のpHが好ましい。培養温度については微生物が生育し、かつ多糖類を生産する範囲であれば制限されないが、25℃から30℃の範囲が多糖類の生産には良好である。培養期間は培養のpHや温度により変化するが、通常2日から7日が適切である。
【0016】
前記した培地と微生物を用いて従来法を用いて微生物を培養することにより、本発明の有効成分であるWAK−1−Aが効率的に生産されることとなる。
【0017】
ところで、微生物が生産する多糖類は、種々の生理活性を有することが知られており、医薬品や機能性食品などの素材として特に有用であるとして開発研究が行われてきた。例えば、多糖類を化学修飾して硫酸化することにより、新たに抗ウイルス作用を発現することが報告されている[上記マツダ(M.Matsuda)ら: 1999]。又多糖類を加水分解して得たオリゴ糖には変形性関節症などの軟骨疾患の予防と治療に役立つ可能性がある。さらに、硫酸多糖類には、がん培養細胞に対するアポトーシス誘導作用やがん培養細胞に対する抗がん活性(特願2001−270284、特願2000-379937)があることも報告されている。
WAK−1−Aは、優れた軟骨細胞増殖促進作用を有するので、軟骨損傷、軟骨疾患、例えば変形性関節炎及びそれらの類似疾患における関節軟骨の破壊等の予防・治療のような医薬品として、また軟骨疾患軽減健康食品といった機能性食品として好適に使用されうる。さらに組織工学における培養細胞の増殖補助剤(薬)としても期待されている。
【0018】
本発明に用いられるWAK−1−Aは、構成糖のモル比がN−アセチル−D−ガラクトサミン:D−グルクロン酸:N−アセチル−L−ガラクトサミン:ピルビン酸が2:1:1:1(モル濃度比)で、ゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100〜150万であることが好ましい。構成成分の分析には、セルロースアセテート膜電気泳動、又は高速液体クロマトグラフィーを用いることができる。この構成成分の分析には、多糖類を2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)、又は4N−HClで100℃、12時間加水分解し、ロータリーエバポレイターでTFA又はHClを除いたものを検体とし、中性糖、ウロン酸、有機酸及びアミノ糖の分析を行う。構成有機酸の分析にはこの他に酵素法を用いることができる。
【0019】
WAK−1−Aの分子量の測定は、ゲルろ過クロマトグラフィー法を用いることができる。具体的には、Asahipak GFA-7M(昭和電工製)をカラムとする高速液体クロマトグラフィー(島津製)を使用し、水を移動相とし、分子量既知のプルラン(Shodex STANDARD P-82、昭和電工製)を標準サンプルとして作成した分子量保持時間標準曲線を使用して測定することができる。
【0020】
次に、本発明の軟骨細胞増殖促進薬及び軟骨障害の予防又は治療薬の有効成分であるWAK−1−Aの製造方法について、好ましい1実施形態を挙げて説明する。
尚、WAK−1−Aの生産方法は以下の製法に限定されないことはいうまでもない。
好ましい1実施形態としてのWAK−1−Aの製造方法は、(a)高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する工程と、(b)前記培地において微生物を培養し多糖類を生産する工程と、(c)生産されたWAK−1−Aを抽出・回収する工程と、
任意の工程として(d)生産されたWAK−1−Aを分離・回収する工程と、(e)弱い嫌気条件で培養を行う工程と、を有する。
【0021】
続いて、前記の実施形態を各工程毎に詳細に説明していく。
(a)高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する工程
まず、海水よりも高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する。この場合、培地中の塩化ナトリウム濃度が5.5〜8.0%(W/V)となるように調製することが好ましい。さらに好ましくは前記した本発明の培地を用いることが望ましく、その際に炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを用いることがより望ましい。
(b)前記培地において微生物を培養し多糖類を生産する工程
前記のようにして調製した培地を用いて微生物を培養して目的の多糖類を生産するわけであるが、WAK−1−Aを得るためには微生物としてシュードモナス(Pseudomonas)属を用いることが好ましい。さらに好ましくはシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株を用いることが望ましい。微生物としてシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株を用いることで、WAK−1−Aを効率的に生産することができる。
以上のようにして多糖類としてのWAK−1−Aが生産されることになる。特に、微生物としてシュードモナス・エスピーWAK−1を用いることで、WAK−1−Aが極めて効率良く生産することができる。
【0022】
ここで、WAK−1−Aは、下記構造単位を有するものである。
【化1】
Figure 0004461286
(上記の構造式において、GalNAcpはピラノース型N-アセチルガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型を、LはL型を、Pyrはピルビン酸を、nは繰り返しの数をそれぞれ表す。)
そして、以下に説明する抽出・回収工程を経ることにより高純度のWAK−1−Aを高収率で得ることが可能となる。
【0023】
(c)生産された所定の多糖類を袖出・回収する工程
上記製造方法で得られた培養液からWAK−1−Aを抽出する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、培養液をそのまま、あるいは高温で殺菌した後で、遠心分離により菌体を除去し、これをそのまま、あるいは濃縮してから、2〜3倍量のエタノール、イソプロパノール、あるいはアセトン等を加え、沈殿を生じさせる。この沈殿物を再度、水あるいは1〜15%塩化ナトリウム溶液に溶解させた後で、アルコール等による沈殿を2〜3回繰り返し、水で透析を行い、噴霧乾燥や凍結乾燥機等を用いて乾燥させることにより、WAK−1−Aを得る。これ以外にも限外濾過法も利用することができる。さらに精製するためには、イオン交換、ゲル濾過等の各種クロマトグラフィーや第4級アンモニウム塩による沈殿や塩析などを用いることができる。
【0024】
(d)生産された所定の多糖類を分離・回収する工程
上記した抽出・回収方法により、多糖類を抽出・回収することが可能であるが、任意の工程として、本発明者らが先に出願した特願2000−265079号に開示された、シュードモナス属に属し、WAK−1−A及び硫酸多糖類の両者を生産する能力のある細菌を液体培地中実質的に静置(もしくは振盪)の条件で培養し、前記培養物中のWAK−1−A(もしくは硫酸多糖類)を精製蓄積させ、これを採取することを特徴とするWAK−1−A及び硫酸多糖類の分離方法を併用してもよい。かかる分離方法を併用することにより、効率的にWAK−1−Aと、硫酸多糖類を分離回収することができる。尚、括弧内の条件で培養することにより括弧内で示される硫酸多糖類のみを生産及び回収できることになる。
【0025】
(e)弱い嫌気条件で培養を行う工程
前記の知見より、本発明はさらに任意の工程として(e)弱い嫌気条件で培養する工程を有してもよい。
【0026】
かくしてWAK−1−Aが生産及び回収されることになる。本発明により得られるWAK−1−Aは特に制限なく種々の用途に使用されうるものであるが、前記の通り種々の生理活性を有するものである。そのため、WAK−1−Aは医薬品や機能性食品などの素材として、好ましくは軟骨損傷、軟骨疾患などの軟骨障害の予防又は治療薬として好適に用いられる。又、例えば組織培養細胞における培地への添加剤、組織工学分野における組織培養の補助剤としても用いることが可能である。
【0027】
【実施例】
(実施例1)
以下のようにして軟骨細胞の増殖に対するWAK−1−Aの効果を検討した。
マウス胚細胞由来の軟骨細胞様に分化するATDC5(RIKEN BANK, RBC0565)培養細胞株を用いた。ATDC5を 96ウエルプレートに1x104 cells/wellの密度で播種し、5%FCS(牛胎児血清)を含むイーグルMEM培地を用いて5%CO2下、37oCで培養した。2日間培養後、0%FCSイーグルMEMで2回洗浄後、90μlの5%FCSを含むイーグルMEMを各wellに入れた後、10μlの試験液を入れ4日間37℃で培養した。試験液は、5mg/mlの濃度となるように0%FCSを含むイーグルMEMに溶解した後0.45nmのフイルターで除菌した。10μlのWST試薬(同仁)を各wellに入れた後、3時間培養して415 nmで測定した(655 nmを参照波長とした)。
その結果を表1に示す。WAK−1−A無添加群の吸光度を100%とした場合の添加群の吸光度を%値(活性%)として算出した。表1に示されるように、WAK−1−Aは、ATDC5の発色を用量依存的に増加させ、ミトコンドリアのホルマザン生成の促進、即ち軟骨細胞に対する増殖促進作用を有することが示された。
【0028】
【表1】
Figure 0004461286
【0029】
(実施例2)
以下のようにして軟骨細胞のプロテオグリカン生成に対するWAK-1-Aの効果を検討した。
マウス胚細胞由来の軟骨細胞様に分化するATDC5(RIKEN BANK、RBC0565)培養細胞株を、48ウエルプレートに5x104 cells/wellの密度で播種し、5%FCS(牛胎児血清)を含むイーグルMEM培地を用いて5%CO2 下、37oCで培養した。
2日間培養後、血清を含まないイーグルMEM培地でウエルを2回洗浄した後、450μlの5%FCSを含むイーグルMEM培地を各ウエルに入れた後、50μlの試験液を入れ、4日間37oCで培養した。なお、試験液はWAK-1-Aが5mg/mlの濃度となるように血清を含まないイーグルMEM培地に溶解した後、0.45nmのフイルターで除菌したものである。
培養終了後、培養液を除去して得られた細胞株をPBS-A(リン酸緩衝液)で2回洗浄した後、0.125mlの0.2%NP-40(1mM MgCl2を含むPBS-Aに溶解)と共に各ウエルに入れ、37oCで2時間培養して細胞を溶解した後、遠心分離で得られた上清についてコンドロイチン硫酸測定用キット(ホクドー製)を用いてプロテオグリカンとして測定した。結果を表 2に示す。なお、表中の数値は、WAK-1-A無添加の吸光度(650nm)を100%とした場合の添加群の吸光度を活性%として算出したものである。濃度は、各ウエル中の反応混液1ml当たりのWAK-1-Aの濃度(μg)である。
表 2から明らかなように、WAK-1-Aは軟骨細胞のコンドロイチン硫酸を指標とするプロテオグリカン生成に対する促進作用を有していることが示された。
【0030】
【表2】
Figure 0004461286
【0031】
なお、本実施例1及び2において用いられた上記のWAK−1菌株は、日本国独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 〒305−8566日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6 に寄託し、平成14年8月28日 受託番号 FERM P−18988として受託され、その後ブタペスト条約に基づく寄託への移管請求を行い受託番号 FERM BP−8275として受託されたものである。
【0032】
【発明の効果】
本発明の有効成分であるWAK-1-Aは、軟骨細胞の増殖及び軟骨細胞プロテオグリカン生成を促進する作用を有している。従って、WAK-1-Aは、軟骨損傷、軟骨疾患などの軟骨障害の予防又は治療薬や、組織培養の補助薬として有用である。

Claims (3)

  1. 多糖類WAK−1−A又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする軟骨細胞増殖促進薬。
  2. 多糖類WAK−1−A又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする軟骨障害の予防又は治療薬。
  3. 多糖類WAK−1−A又はその生理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする組織培養の補助薬。
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