JP3802011B2 - 美白剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海洋細菌の生産する酸性ムコ多糖類を有効成分として配合した美白剤に関するものである。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は海洋細菌の生産する酸性ムコ多糖類又はその生理学的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有する美白剤に関するものであり、特にシミ、ソバカス等の予防又は治療に有効であって、優れた美白効果を示すと共に、安定性および皮膚に対する高い安全性を併せ持つ美白剤に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
皮膚の着色の原因となるメラニン色素は、日焼け等により組織中にメラニンが産生することに起因していることが知られている。皮膚が日光に起因する紫外線の照射を受けると、皮膚内に存在しているチロシンが酵素チロシナーゼの作用により酵素的に酸化された後、数段階の反応を経て黒色のメラニンへ変化する過程がメラニン色素の生成過程である。したがって、チロシナーゼの活性を阻害することにより、ヒト皮膚のシミやそばかす等の発生を抑制することができる。
【0004】
そして従来から、上記メラニンの生成を抑制し、皮膚の美白状態を維持せしめる美白化粧料の組成物として、アルブチンなどのハイドロキノン誘導体、エラグ酸、アスコルビン酸及びその配糖体、コウジ酸及びその誘導体等が知られている。
【0005】
一方、乳酸菌が生産するリン酸化多糖類がメラノーマ増殖抑制作用及びメラニン産生抑制作用を持ち、美白剤としての有用性が開示されている(特許文献1)。
【0006】
また、種々の海洋細菌が多糖類を生産することが知られてり、一部の菌種が酸性ムコ多糖類を生産することが報告されている (特許文献2、特許文献3、非特許文献1)。これらの酸性ムコ多糖類は、いずれも、グルクロン酸などのウロン酸残基やN-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミンなどアミノ糖残基が一定の配列を繰り返して糖鎖を形成し、場合によってはグルコース、ガラクトースなどの中性糖残基も含み、又側鎖としてアミノ酸やピルビン酸基が結合した構造を有している点で中性多糖類とは異なる。
【特許文献1】
特許2971027号
【特許文献2】
特開2002-065292号
【特許文献3】
特許3083858号
【非特許文献1】
Shamsuddinら; Fisheries Science, 64, 469-473(1998)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれら化粧料には、種々の問題点が残されており、実用性の面で問題があった。
例えば、美白成分としてのコウジ酸は発ガンの恐れがあること、アルブチンなどのハイドロキノン誘導体は発疹、かぶれなど安全性に問題があった。
また、動植物抽出物配合も知られてはいるが、その効果は満足出来るものではなかった。
したがって、本発明は、優れた美白効果を有し、安定性及び皮膚に対して安全性の高い新規な成分を有効成分とする美白剤を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヒト皮膚美白剤として使用が可能な物質を求めて、鋭意研究を進めていたところ、軟骨培養細胞増殖促進作用を有する物質として知られている海洋細菌が生産する酸性ムコ多糖類にメラノーマ細胞のメラニンの産生を抑制する効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は(1)海洋細菌の生産する酸性ムコ多糖類又はその生理学的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有することを特徴とする美白剤に関する。
尚、本多糖類としては、海洋細菌シュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株の培養物より分離精製された酸性ムコ多糖類を用いることが好ましい[マツダ(M.Matsuda)ら: Fisheries Science, 63, 983-988(1997)]。これら酸性ムコ多糖類は、本明細書において単に「WAK-1-A」又は「多糖類WAK-1-A」と表記する。
本発明の美白剤の有効成分として用いられる海洋細菌が生産する多糖類WAK-1-Aは、次の構造式で示される化合物である。
【0010】
【化2】
Figure 0003802011
(上記の構造式において、GalNAcpはピラノース型N-アセチルガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型を、LはL型を、Pyrはピルビン酸を、nは繰り返しの数をそれぞれ表す。)
また本発明は、別の態様として酸性ムコ多糖類又はそれらの生理学的に許容される塩もしくは誘導体の美白剤としての使用にも関する。また本発明は、美白治療において酸性ムコ多糖類又はそれらの生理学的に許容される塩もしくは誘導体を用いる美白治療方法にも関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
(美白剤)
本発明者等は、優れた美白効果を有する物質を見出すべく、マウスのB16メラノーマ細胞株を用いたメラニン生成抑制を指標に種々検索を行った。 その結果、海洋細菌の作る多糖類WAK-1-Aが、メラニン生成を強く抑制すると共に細胞毒性が極めて弱く、化粧料の美白成分として極めて有効であることを見出した。
【0012】
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、WAK-1-Aを有効成分として含有する美白用化粧料組成物に関するものである。
【0013】
このWAK-1-Aついては、従来、軟骨培養細胞増殖促進を有することが知られているが、これを美白剤として使用したという報告はないことからすると上記知見はまさに驚くべきものであった。
【0014】
本発明において、美白剤とは、シミ、ソバカス等の予防又は治療に有効な皮膚用化粧料組成物であって、医薬部外品としてのローション、乳液、クリーム、パック剤、石鹸等の薬用化粧品および医薬品としてのローション、乳液、クリーム、軟膏等の皮膚外用剤を含むものである。
【0015】
本発明の美白用化粧料組成物は、有効成分であるWAK-1-Aと化粧料に一般に用いられている各種成分、例えば、油分、界面活性剤、紫外線吸収剤、アルコール、保湿剤、防腐剤、殺菌剤、色剤、粉末、香料、増粘剤、緩衝剤などを、その剤形にあわせ、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することにより調製される。
【0016】
本発明美白用化粧料組成物に、WAK-1-Aを配合するに当たっては、これら化合物のメラニン生成抑制作用ならびに皮膚の角質透過性等を考慮することが好ましく、一般にはこれら化合物を有効成分として少なくとも0.001重量%以上、好ましくは0.01〜20.0重量%程度添加すればよい。必ずしも有効成分を単離して使用する必要はなく、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の化合物を含む粗精製物を使用することができる。
【0017】
本発明の剤型は任意であり、例えば化粧水等の可溶化系、乳液またはクリーム等の乳化系、あるいは軟膏または分散液などの剤型をとることができる。こうして、所望の美白効果、例えば顔などのしみの発生を防ぐことができ、また既に生成しているしみの脱色に使用できる美白剤が提供される。
【0018】
(有効成分)
本発明で使用される多糖類WAK-1-Aは、医薬として使用できる程度に精製されたものであれば、種々の方法で調製されたものを用いることができる。WAK-1-Aの調製方法としては、各種の方法が知られている。例えば、海洋微生物を炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する海水を寒天で固めた培地で培養して多糖類を生産し、採取、精製して得ることができる[マツダ(M.Matsuda):ら、日本水産学会誌, 58, 1735-1741(1992)]。また、海洋微生物を所定の培地において培養して多糖類を生産するに際し、海水よりも高濃度の塩化ナトリウム含有培地において微生物を培養することを特徴とする多糖類の生産方法によることもできる(特願2002-6352)。
【0019】
より具体的には、例えば寒天平板培養では、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する多糖類生産用海水培地を寒天で固めた培地においてシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株を培養し、寒天平板上に生じた粘質物中のWAK-1-Aと硫酸多糖類の混合物からWAK-1-Aを分離、精製して得ることができる。
【0020】
海水よりも高濃度の塩化ナトリウム含有培地を用いる場合は、無機塩として塩化ナトリウムを5.5〜8.0%(W/V)、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する多糖類生産用培地においてシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株を実質的に静置の条件及び弱い嫌気条件の少なくともいずれか一方の条件下で培養することにより、WAK-1-Aを選択的に高収率で得ることができる。
【0021】
WAK-1-Aを生産する微生物を培養する基本培地としては、多糖類を生産しうる微生物が生育できるものであって、少なくとも炭素源と、窒素源と、各種無機塩と及び微量元素とを適量含有するものが用いられる。さらに好ましくは、前記基本培地として、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物が生育できるものが用いられる。炭素源としては、グルコース、フラクトース、ガラクトース、シュクロース等の糖、あるいは糖蜜や廃糖蜜が挙げられる。炭素源として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩等の化合物やペプトン、酵母エキス、アミノ酸などの天然物が挙げられる。窒素源として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。無機塩としては、例えば、リン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩等が挙げられる。無機塩として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。特に、塩化ナトリウム濃度を5.5〜8.0%(W/V)とすることにより、多糖類の生産が著しく向上する。固体培地の場合は寒天を用いる。
【0022】
培地の塩化ナトリウム濃度以外の培養条件、例えば、使用する培地、培地のpH、培地への添加物、培養温度などは通常微生物の培養の際に用いられている条件をそのまま用いることができる。
【0023】
WAK-1-Aの生産に用いられる微生物としては、多糖類を生産しうるものであれば特に制限なく使用することができる。好ましくは海洋微生物、さらに好ましくはWAK-1-Aを生産する能力のある海洋微生物が用いられる。具体的には海洋性シュードモナス属細菌が挙げられ、より具体的にはシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株が挙げられる。本菌株は本発明者らが瀬戸内海においてワカメの表面より分離した海洋性細菌であり、その分類学的特性は、日本水産学会誌[上記マツダ(M.Matsuda)ら: 1992]に記載されている。
【0024】
本発明における培養条件は、培養時のpHは微生物が生育し、かつ多糖類を生産する範囲であれば制限されないが、通常は6から7.5の範囲のpHが好ましい。培養温度については微生物が生育し、かつ多糖類を生産する範囲であれば制限されないが、25℃から30℃の範囲が多糖類の生産には良好である。培養期間は培養のpHや温度により変化するが、通常2日から7日が適切である。
【0025】
前記した培地と微生物を用いて従来法を用いて微生物を培養することにより、本発明の有効成分であるWAK-1-Aが効率的に生産されることとなる。
【0026】
本発明に用いられるWAK-1-Aは、構成糖のモル比がN−アセチル−D−ガラクトサミン:D−グルクロン酸:N−アセチル−L−ガラクトサミン:ピルビン酸が2:1:1:1(モル濃度比)で、ゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100万〜150万であることが好ましい。構成成分の分析には、セルロースアセテート膜電気泳動、又は高速液体クロマトグラフィーを用いることができる。この構成成分の分析には、多糖類を2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)、又は4N−HClで100℃、12時間加水分解し、ロータリーエバポレイターでTFA又はHClを除いたものを検体とし、中性糖、ウロン酸、有機酸及びアミノ糖の分析を行う。構成有機酸の分析にはこの他に酵素法を用いることができる。尚、上記WAK-1-Aの構造式中、上記nは、1175〜1762の整数に相当する。
【0027】
WAK-1-Aの分子量の測定は、ゲルろ過クロマトグラフィー法を用いることができる。具体的には、Asahipak GFA-7M(昭和電工製)をカラムとする高速液体クロマトグラフィー(島津製)を使用し、水を移動相とし、分子量既知のプルラン(Shodex STANDARD KIT P-82、昭和電工製)を標準サンプルとして作成した分子量保持時間標準曲線を使用して測定することができる。
【0028】
(有効成分の製造方法)
次に、本発明の美白剤の有効成分であるWAK-1-Aの製造方法について、好ましい1実施形態を挙げて説明する。尚、WAK-1-Aの生産方法は以下の製法に限定されないことはいうまでもない。
好ましい1実施形態としてのWAK-1-Aの製造方法は、(a)高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する工程と、(b)前記培地において微生物を培養し多糖類を生産する工程と、(c)生産されたWAK-1-Aを抽出・回収する工程と、任意の工程として(d)生産されたWAK-1-Aを分離・回収する工程と、(e)弱い嫌気条件で培養を行う工程と、を有する。
【0029】
続いて、前記の実施形態を各工程毎に詳細に説明していく。
(a)高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する工程
まず、海水よりも高濃度の塩化ナトリウムを含有する培地を調製する。この場合、培地中の塩化ナトリウム濃度が5.5〜8.0%(W/V)となるように調製することが好ましい。さらに好ましくは前記した本発明の培地を用いることが望ましく、その際に炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを用いることがより望ましい。
(b)前記培地において微生物を培養し多糖類を生産する工程
前記のようにして調製した培地を用いて微生物を培養して目的の多糖類を生産するわけであるが、WAK-1-Aを得るためには微生物としてシュードモナス(Pseudomonas)属を用いることが好ましい。さらに好ましくはシュードモナス・エスピーWAK-1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株を用いることが望ましい。微生物としてシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株又はその変異株を用いることで、WAK−1−Aを効率的に生産することができる。
【0030】
ここで、WAK−1−Aは、下記構造単位を有するものである。
【化3】
Figure 0003802011
(上記の構造式において、GalNAcpはピラノース型N-アセチルガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型を、LはL型を、Pyrはピルビン酸を、nは繰り返しの数をそれぞれ表す。)
そして、以下に説明する抽出・回収工程を経ることにより高純度のWAK-1-Aを高収率で得ることが可能となる。
【0031】
(c)生産された所定の多糖類を袖出・回収する工程
上記製造方法で得られた培養液からWAK-1-Aを抽出する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、培養液をそのまま、あるいは高温で殺菌した後で、遠心分離により菌体を除去し、これをそのまま、あるいは濃縮してから、2〜3倍量のエタノール、イソプロパノール、あるいはアセトン等を加え、沈殿を生じさせる。この沈殿物を再度、水あるいは1〜15%塩化ナトリウム溶液に溶解させた後で、アルコール等による沈殿を2〜3回繰り返し、水で透析を行い、噴霧乾燥や凍結乾燥機等を用いて乾燥させることにより、WAK-1-Aを得る。これ以外にも電気透析法や限外濾過法も利用することができる。さらに精製するためには、イオン交換、ゲル濾過等の各種クロマトグラフィーや第4級アンモニウム塩による沈殿や塩析などを用いることができる。
【0032】
(d)生産された所定の多糖類を分離・回収する工程
上記した抽出・回収方法により、多糖類を抽出・回収することが可能であるが、任意の工程として、本発明者らが先に出願した特願2000-265079号に開示された、シュードモナス属に属し、WAK-1-A及び硫酸多糖類の両者を生産する能力のある細菌を液体培地中実質的に静置の条件で培養し、前記培養物中のWAK-1-Aを精製蓄積させ、これを採取することを特徴とするWAK-1-Aの分離方法を併用してもよい。かかる分離方法を併用することにより、効率的にWAK-1-Aを分離回収することができる。
【0033】
(e)弱い嫌気条件で培養を行う工程
前記の知見より、本発明はさらに任意の工程として(e)弱い嫌気条件で培養する工程を有してもよい。
【0034】
かくしてWAK-1-Aが生産及び回収されることになる。本発明により得られるWAK-1-Aは特に制限なく種々の用途に使用されうるものであるが、化粧品素材として、好ましくは美白剤として好適に用いられる。
【0035】
本発明では、有効成分として少なくとも0.001重量%以上、好ましくは、0.01〜20重量%のWAK-1-Aを美白剤に配合する。このWAK-1-Aを有効成分として含有する美白剤は、通常使用されている化粧料基材を使用することにより、クリーム、乳液、化粧水等の適当な形態とすることができる。さらに、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、アルブチン等のメラニン合成抑制剤、その他の薬効成分、増粘剤、可塑剤、着色料、香料等、任意の添加物をこの美白剤に含有させることができる。なお、本発明の美白剤の有効成分であるWAK-1-Aについては、皮膚に対する毒性も刺激も無く、副作用も無い。また一般に多糖類には保湿効果があることからして、酸性ムコ多糖類又はそれらの生理学的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含む本発明の美白剤は、美白効果に加えて保湿効果を有することは当業者であれば容易に推測できるであろう。
【0036】
以上本発明の美白剤について説明してきたが、本発明の美白剤のメラニン抑制効果を利用することにより、エビなどの変色防止剤といった食品添加物としても用いることも可能である。即ち、本発明の別の態様として、本多糖類又はその生理学的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有することを特徴とする食品添加物が提供される。この場合、食品添加物の使用量は当業者の知識に基づき用途に応じて適宜定まるものである。
【0037】
【実施例】
次に参考例及び実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例になんら制約されるものではない。尚、特記しない限り、百分率(%)は重量基準であることはいうまでもない。
(参考例1)
ペプトン0.5%、 酵母エキス0.1%の組成を有する海水から調製した培地を、温度121℃としたオートクレーブ中で20分間滅菌し、シュードモナス・エスピーWAK-1菌株(Pseudomonas sp. WAK-1)菌株の保存用斜面培養から、1白金耳を試験管中の上記滅菌培地(10ml)に接種し、25℃の温度で72時間振とう培養を行い、次いでこの前培養液を500ml容の三角フラスコ中に上記組成に蔗糖3%及び食塩3%を追加した組成を有する海水から調製した滅菌培地100ml(121℃、20分間)に接種し、25℃の温度で7日間の静置培養を行った。培養後培養液を遠心分離して菌体を除いた上澄液に、2倍量のエタノールを加えて白色沈殿を得た。この沈殿物を採取して水200ml中に溶解し、この溶液に再度2倍量のエタノールを加えて多糖類を沈殿させ、噴霧乾燥により粉末化とした。
これをM/100 リン酸緩衝液(pH=7.0)に溶解し、予め同緩衝液で平衡化したDEAE−セルロースイオン交換クロマトグラフィーにより吸着した画分から0.4M NaClで溶出される画分を集め、透析後凍結乾燥して酸性ムコ多糖類粉末を得た。
このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の多糖類WAK-1-Aであることを確認した。
【0038】
(参考例2)
前培養までは参考例1と同様に処理し、前記参考例1で述べた蔗糖を含む培地に寒天を1.5%添加した寒天培地250mlを平板(18×26cm)に広げて前培養液を塗沫し、25℃の温度で7日間培養を行った後、寒天平板の表面に生じた粘質物をかきとり、1%フエノール液に懸濁させ、参考例1と同じ方法で菌体を遠心分離により除いて同様の処理をして多糖類を得た。このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の多糖類WAK-1-Aであることを確認した。
【0039】
参考例1で得られたWAK-1-Aを使用して,メラノーマ細胞に対する細胞増殖とメラニン生成抑制効果を調べ試料無添加の場合と比較して試料添加系での細胞増殖率,メラニン生成量を求めた。又陽性コントロールとしてアルブチン(Fluka Chemie)を使用した。
【0040】
(i)細胞中のメラニン量の測定方法
培養液には,10%(V/V)牛胎児血清(FCS)及び4.7mM HEPESを含むイーグルMEM培地(日水製薬)を用いた。2x104個のマウスB16メラノーマ細胞を所定の濃度となるように試料を含む上記培養液5mlを入れた直径6cmのシャーレに播種し,5%CO2下、37oCで培養した。試料は、0.5mg/4mlの濃度となるように上記培養液に溶解した後0.45μmのフイルターで予め除菌して使用した。4日間培養後、新しい培養液(同様に試料を含む)に交換し更に4日間同条件で培養した後,0.25%トリプシン/PBS溶液で2回処理して細胞を分散させ遠心分離により回収した。これを上記培養液2mlを用いて細胞浮遊液を作り,その0.1mlを細胞計数用として使用した。細胞数は血球計算板を使用して測定し,シャーレ当たりの細胞数を算出した。この結果を図1に示す。
【0041】
図1の結果から明らかなように,WAK-1-Aは,メラノーマ細胞の増殖抑制効果、すなわち細胞毒性は認められなかった。
【0042】
(ii)細胞中のメラニン量の測定方法
(i)の方法で細胞数を測定した残りの細胞浮遊液をリン酸緩衝液で洗浄した後直径1.3cm,穴孔5μmのフイルター(東洋濾紙)上に細胞を捕集し,その白色化度を肉眼で評価することによりメラニン産生量を判定した。この結果を図2に示す。なお、白色度の判定基準は下記によって行った。
++: 白色化が大きい。 +:白色化が中程度。 ±:やや白色化する。
−:白色化しない。
【0043】
図2から明らかなように、WAK-1-AはB16メラノーマのメラニン産生を抑制した。
【0044】
なお、本参考例1及び2において用いられた上記のWAK-1菌株は、日本国独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6 に寄託し、平成14年8月28日 受託番号 FERM P−18988として受託され、その後ブタペスト条約に基づく寄託への移管請求を行い受託番号 FERM BP−8275として受託されたものである。
【0045】
【発明の効果】
本発明の有効成分であるWAK-1-Aは、B−16メラノーマ細胞に対して、細胞毒性を示すことなくメラニン産生を著しく抑制し,皮膚に美白作用をなすので、美白剤として安全で非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウスメラノーマ細胞の増殖に対するWAK-1-Aの影響を示したものである。
【図2】マウスメラノーマ細胞のメラニン産生に対するWAK-1-Aの影響を示したものである。

Claims (1)

  1. 海洋細菌が生産する次の構造式で示される酸性ムコ多糖類又はそれらの生理学的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含む美白剤。
    Figure 0003802011
    (上記の構造式において、GalNAcpはピラノース型N-アセチルガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型を、LはL型を、Pyrはピルビン酸を、nはゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100万〜150万であることを示す繰り返しの数をそれぞれ表す。)
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