JP2013017419A - 酸性ムコ多糖類の製造方法、酸性ムコ多糖類生産用培地及び酸性ムコ多糖類 - Google Patents

酸性ムコ多糖類の製造方法、酸性ムコ多糖類生産用培地及び酸性ムコ多糖類 Download PDF

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Abstract

【課題】海洋微生物由来の酸性ムコ多糖類の生産収率を向上する。
【解決手段】米発酵液を含有する培地において、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株を培養する酸性ムコ多糖類の生産方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、海洋微生物による酸性ムコ多糖類の製造方法、その方法に用いられる酸性ムコ多糖類生産用培地、及びその方法により製造される酸性ムコ多糖類に関する。
近年、微生物の生産する多糖類が生体内において免疫機能を強化する作用を有し、抗腫瘍活性などの効果を示すことが明らかになってきた。これらの微生物が生産する多糖類のうち、ヒアルロン酸、デキストラン、キサンタンガム、プルラン等はすでに産業上利用されている。
本発明者らによって完成された発明、即ちシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp.WAK−1)菌株を海水又は人工海水で調製した培地で培養することにより酸性ムコ多糖類が生産されることが知られている(非特許文献1)。この酸性ムコ多糖類は美白作用、保湿性、細胞賦活作用、抗関節炎等、化粧品や医薬品及び機能性食品等への応用が期待されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献2)。
海洋微生物を用いて酸性ムコ多糖類を生産するに際しては、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する海水又は人工海水で調製した培地が用いられる。例えば、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株を培養して酸性ムコ多糖類を得るためには、本菌株を培養して酸性ムコ多糖類を得る方法(非特許文献3)などが知られている。
特許第3802011号公報 特許第4461286号公報
[マツダ(M. Matsuda)ら:Nippon Suisan Gakkaishi, 58, 1735〜1741(1992)] [マツダ(M. Matsuda)ら:Marine Biotechnology, 1, 68-73(1999)]。 [タンダワニッツ(S. Tandavanitj)ら:Nippon Suisan Gakkaishi, 55, 2015-2019(1989)]
しかし、海洋微生物を培養して酸性ムコ多糖類を生産する場合の生産量は、例えば、Nippon Suisan Gakkaishi[上記マツダ(M.Matsuda)ら: 1992]やFisheries Science[シャムスディン(A.Shamsuddin)ら:Fisheries Science, 64,469−473(1998)]に記載のごとく、多くの場合200〜300mg/リットル程度であり、一般的に行われている微生物による物質生産の生産効率と比較すると満足できる値とはなっていない。
これまでにも塩化ナトリウムを高濃度で含有する培養培地及び上述の培地を用いることを特徴とする多糖類製造法などが検討され、収量では満足できる効果が得られているが(特許第4431766号公報)、高塩濃度による培養機材の腐食や劣化及び培養廃液の脱塩処理などに改善の余地があった。そのため、通常の海水濃度で上述の微生物を培養しても酸性ムコ多糖類の収量を増加させ得る海洋微生物の培養用培地及び培養方法を提供することが求められていた。
以上より、本発明は海洋微生物由来の酸性ムコ多糖類の生産収率を向上することを目的とする。また本発明は、化粧品、食品や医薬品などへの応用が可能な高純度の酸性ムコ多糖類を提供することを目的とする。
本発明は以下の内容に関する。
(1)米発酵液を含有する培地において、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株を培養する酸性ムコ多糖類の生産方法。
(2)シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株は、通常の炭素源と窒素源と無機塩の他に米発酵液を20%〜30%(W/V)を含有する培地において行われる酸性ムコ多糖類の生産方法。
(3)米発酵液のアミノ酸度が、2.0以上である酸性ムコ多糖類の生産方法。
(4)さらに、生産された酸性ムコ多糖類を培地中から採取する工程を有する酸性ムコ多糖類の生産方法。
(5)シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp.WAK−1)菌株を培養して酸性ムコ多糖類を生産する際に使用される、米発酵液を含有する酸性ムコ多糖類生産用培地。
(6)酸性ムコ多糖類生産用培地は、通常の炭素源と窒素源と無機塩の他に米発酵液を20%〜30%(W/V)を含有する酸性ムコ多糖類生産用培地。
(7)米発酵液のアミノ酸度が、2.0以上である酸性ムコ多糖類生産用培地。
(8)上述の酸性ムコ多糖類の生産方法により生産された、下記構造単位
Figure 2013017419
(上記の構造式において、GalNAcpはピラノース型N-アセチルガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型を、LはL型を、Pyrはピルビン酸を、nは繰り返しの数をそれぞれ表し、1200〜1800の整数に相当する。)
を有する酸性ムコ多糖類。
本発明は以上のような構成を有することより、以下のような効果を有する。
海洋微生物由来の酸性ムコ多糖類の生産収率を向上することができる。また、生産された上述の多糖類を簡便な回収方法により回収できるため、酸性ムコ多糖類を効率良く生産できる。
さらに、好適な態様において生理機能を有する高純度の酸性ムコ多糖類を収率良く生産できる。そのため、化粧品、食品や医薬品などへの応用が期待されるものである。
図1は、米発酵液を配合しない培地を対照(100%)としたときの、実施例に係る培地により生産される酸性ムコ多糖類の相対的収量の比較図である。 図2は、本発明により生産される酸性ムコ多糖類の1H-NMR図である。
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。尚、図中同一の機能又は類似の機能を有するものについては、同一又は類似の符号を付して説明を省略する。
まず、本発明の培地について説明する。本発明の培地としては、酸性ムコ多糖類を生産しうる海洋微生物が生育できるものであって米発酵液を含有するものであれば特に制限されることはない。好ましくはアミノ酸度が2.0以上である米発酵液が20%〜30%(W/V)の範囲で含有するものが用いられる。
本実施形態に用いられる基本培地としては、酸性ムコ多糖類を生産しうる海洋微生物が生育できるものであって、少なくとも炭素源と、窒素源と、各種無機塩と及び微量元素とを適量含有するものが用いられる。さらに好ましくは、上述の基本培地として、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する海洋微生物が生育できるものが用いられる。炭素源としては、グルコース、フラクトース、ガラクトース、シュクロース等の糖、あるいは糖蜜や廃糖蜜が挙げられる。炭素源として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩等の化合物やペプトン、酵母エキス、アミノ酸などの天然物が挙げられる。窒素源として1種または2種以上を単独で又は組み合わせて用いることができる。これらの成分を海水または人工海水を用いて調製する。この基本培地に上記米発酵液を濃度20〜30%(W/V)配合することにより、酸性ムコ多糖類の生産が向上する。
培地に配合する米発酵液の濃度以外の培養条件、例えば、使用する培地、培地のpH、培地への添加物、培養温度などは通常海洋微生物の培養の際に用いられている条件をそのまま用いることができる。
本実施形態に用いられる微生物としては、酸性ムコ多糖類を生産しうるものであれば特に制限なく使用することができる。好ましくは海洋微生物、さらに好ましくは酸性ムコ多糖類を生産する能力のある海洋微生物が用いられる。具体的には海洋性シュードモナス属細菌が挙げられ、より具体的にはシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株が挙げられる。この菌株は本発明者らが瀬戸内海においてワカメの表面より分離した海洋性細菌であり、その分類学的特性は、Nippon Suisan Gakkaishi[上記マツダ(M.Matsuda)ら: 1992]に記載されている。また、上記のWAK−1菌株は、日本国独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6 に寄託し、平成14年8月28日 受託番号 FERRM P−18988として受託されたものであり、その後ブタペスト条約に基づく寄託への移管請求を行い受託番号 FERM BP−8275として受託された。
本実施形態における培養条件は、培養時のpHは海洋微生物が生育し、かつ酸性ムコ多糖類を生産する範囲であれば制限されないが、通常は6から7.5の範囲のpHが好ましい。培養温度については微生物が生育し、かつ酸性ムコ多糖類を生産する範囲であれば制限されないが、25℃から30℃の範囲が酸性ムコ多糖類の生産には良好である。培養期間は培養のpHや温度により変化するが、通常2日から7日が適切である。
上述した培地と微生物を用いて従来法により培養することにより、所望の酸性ムコ多糖類が得られる。
培地中の塩化ナトリウムの濃度を高濃度、好ましくは塩化ナトリウム濃度を5.5〜8.0%(W/V)で、上述の微生物を培養することで、酸性ムコ多糖類の生産収率の飛躍的向上を簡易に図ることができる旨が本発明者により提案されている。しかし、高塩濃度による培養機材の腐食や劣化及び培養廃液の脱塩処理などに改善の余地があった。一方、本実施形態によれば上述の微生物を通常の海水濃度で培養しても酸性ムコ多糖類の収量を増加させ得ることができる。そのため、本実施形態によれば、培養機材の腐食等を防止することができるという作用効果が得られる。
微生物が生産する多糖類は、種々の生理活性を有することが知られており、化粧品、医薬品や機能性食品などの素材として特に有用であるとして研究開発が行われてきた。例えば、酸性ムコ多糖類が美白剤として有用なことが開示されており(特許第3802011号)、さらに酸性ムコ多糖類を化学修飾して硫酸化することにより、新たに抗ウイルス作用を発現することが報告されている[上記マツダ(M.Matsuda)ら: 1999]。また酸性ムコ多糖類を加水分解して得たオリゴ糖には変形性関節症などの軟骨疾患の予防と治療に役立つ可能性がある(特許第4713860号)。しかし、これら多糖類を医薬品や機能性食品などの素材に応用するには純度や収率の観点から制限があった。
ところが、本実施形態によれば高純度の酸性ムコ多糖類を増収することができる。そのため、本実施形態により得られる酸性ムコ多糖類は、例えば、美白剤及び皮膚外用剤のような化粧品、抗ウイルス薬や軟骨疾患の予防・治療薬のような医薬品として、またその加水分解物は免疫増強剤や軟骨疾患軽減健康食品(特許第4713860号)といった機能性食品として好適に使用されうる。
美白剤及び皮膚外用剤のような化粧品として用いる場合には、酸性ムコ多糖類の他、必要により酸性ムコ多糖類の効果を損なわない範囲内で通常化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分を適宜加えることができる。他の成分としては、例えば界面活性剤、油分、保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、アルコ−ル類、粉末成分、色剤、香料、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することが出来る。さらに生理活性作用を有する植物抽出物及びこれらの抽出分画、精製物等も適宜配合することが出来る。美白剤及び皮膚外用剤は、常法により製造することが出来る。また、美白剤及び皮膚外用剤は、一般皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬品、医療部外品、薬用化粧料等を包含するものである。美白剤及び皮膚外用剤の剤型は、可溶化系、乳化系、粉末分散系等何れでもよく、用途も化粧水、乳液、クリ−ム、パック、洗顔料、口紅等の基礎化粧料、ファンデ−ション等のメ−クアップ化粧料、シャンプ−、リンス、石けん、ボディ−シャンプ−等のトイレタリ−製品、浴用剤等を問わないものである。
本実施形態により得られる酸性ムコ多糖類は、構成糖のモル比がN−アセチル−D−ガラクトサミン:D−グルクロン酸:N−アセチル−L−ガラクトサミン:ピルビン酸が2:1:1:1(モル濃度比)で、ゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100〜150万であることが好ましい。構成成分の分析には、セルロースアセテート膜電気泳動、又は高速液体クロマトグラフィーを用いることができる。この構成成分の分析には、上述の多糖類を2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)、又は4N−HClで100℃、12時間加水分解し、ロータリーエバポレイターでTFA又はHClを除いたものを検体とし、中性糖、ウロン酸、有機酸及びアミノ糖の分析を行う。構成有機酸の分析にはこの他に酵素法を用いることができる。
本実施形態の分子量の測定は、ゲルろ過クロマトグラフィー法を用いることができる。具体的には、Asahipak GFA−7M((株)昭和電工製)をカラムとする高速液体クロマトグラフィー(島津製)を使用し、0.1M−NaClを移動相とし、分子量既知のプルラン(Shodex STANDARD P−82、(株)昭和電工製)を標準サンプルとして作成した分子量保持時間標準曲線を使用して測定することができる。
次に、本実施形態の酸性ムコ多糖類の製造方法について好ましい実施形態を挙げて説明する。
尚、目的生産物が酸性ムコ多糖類の生産方法を例示するが、それ以外の多糖類の生産にも本実施形態を用いることができることはいうまでもない。
好ましい1実施形態としての酸性ムコ多糖類の製造方法は、(a)米発酵液を配合した培地を調製する工程と、(b)上述の培地において海洋微生物を培養し酸性ムコ多糖類を生産する工程と、(c)生産された所定の酸性ムコ多糖類を分離・回収する工程と、を有する。
続いて、上述の実施形態を各工程毎に詳細に説明していく。
(a)米発酵液を含有する培地を調製する工程
まず、米発酵液を配合した培地を調製する。この場合、米発酵液のアミノ酸度が2.0以上で培地中の米発酵液の濃度が20〜30%(W/V)となるように調製することが好ましい。さらに好ましくは上述した本実施形態の培地を用いることが望ましく、その際に炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを用いることがより好ましい。なお本実施形態によれば、米発酵液を用いたことで、ペプトンなどの通常用いられる培地組成物の使用量を従来よりも軽減することができる。狂牛病問題以降、ペプトンとして植物系のものが好んで用いられている点を考慮すると、ペプトンの使用量が減ることで、培地組成の管理負担が軽減される。
(b)上述の培地において微生物を培養し酸性ムコ多糖類を生産する工程
上述のようにして調製した培地を用いて海洋微生物を培養して目的の酸性ムコ多糖類を生産するわけであるが、酸性ムコ多糖類を得るためには海洋微生物としてシュードモナス(Pseudomonas)属を用いることが好ましい。さらに好ましくはシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株を用いることが望ましい。海洋微生物としてシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株又はその変異株を用いることでいわゆる付加価値の高い酸性ムコ多糖類を効率的に生産することができる。
以上のようにして酸性ムコ多糖類が生産されることになる。特に、海洋微生物としてシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株を用いることで、酸性ムコ多糖類が極めて効率良く生産することができる。
ここで、酸性ムコ多糖類は、下記構造単位を有するものである。
Figure 2013017419
(上記の構造式において、GalNAcpはピラノース型N-アセチルガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型を、LはL型を、Pyrはピルビン酸を、nは繰り返しの数をそれぞれ表す。nは、1200〜1800の整数、より具体的には1175〜1762の整数に相当する。)
そして、以下に説明する抽出・回収工程を経ることにより高純度の酸性ムコ多糖類を高収率で得ることが可能となる。
(c)生産された所定の多糖類を袖出・回収する工程
上記製造方法で得られた培養液から酸性ムコ多糖類を抽出する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、培養液をそのまま、あるいは高温で殺菌した後で、遠心分離により菌体を除去し、これをそのまま、あるいは濃縮してから、2〜3倍量のエタノール、イソプロパノール、あるいはアセトン等を加え、沈殿を生じさせる。この沈殿物を再度、水あるいは1〜15%塩化ナトリウム溶液に溶解させた後で、アルコール等による沈殿を2〜3回繰り返し、水で透析を行い、本実施形態の酸性ムコ多糖類を得る。これ以外にも限外濾過法も利用することができる。さらに精製するためには、イオン交換、ゲル濾過等の各種クロマトグラフィーや第4級アンモニウム塩による沈殿や塩析などを用いることができる。
かくして酸性ムコ多糖類が生産及び回収されることになる。本実施形態により得られる酸性ムコ多糖類は特に制限なく種々の用途に使用されうるものであるが、上述の通り種々の生理活性を有するものである。そのため、化粧品、医薬品や機能性食品などの素材として特に好適に用いられる。
(その他の実施形態)
上記のように、本実施形態は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
従って、本実施形態の酸性ムコ多糖類生産用培地及び本実施形態の酸性ムコ多糖類の製造法は、酸性ムコ多糖類を生産するいずれの微生物種、例えば海洋微生物にも適用することが可能である。
本実施形態においては、栄養源の一つとして、米発酵液である清酒を培地に加えた。しかし、清酒に換えてもしくは清酒と併せてかかる清酒の酒粕を培地に加えても構わない。但し、酸性ムコ多糖類の純度や収率の観点からは、清酒を加えることが好ましい。一方、産業廃棄物である酒粕の用途拡大を図り廃棄量を減らし環境負荷を軽減できる観点からは酒粕を加えることが好ましい。
また、培地に添加される無機塩(塩化ナトリウム源)として、上述したものの他に酸性ムコ多糖類の生産に支障を起こさないものであれば特に限定されることなく使用することができる。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
次に、実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。
(実施例)
マツダ(M. Matsuda)[上記、1992]らの記載に従い、ペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、蔗糖3%の成分組成を有し、海水又は人工海水で調製した培地に米発酵液(日本盛(株)製、商品名:純米酒コシヒカリ100%、アミノ酸度2.8)を10、20%(W/V)になるように調製した。これらの培地を121℃にて20分間オートクレープにより滅菌した。シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株の保存用斜面培養から1白金耳を試験管中の滅菌培地(10mL)に接種し、25℃で2日間静置培養した。次にこれを500ml容の三角フラスコ中の滅菌培地(100ml)に接種し、25℃にて4日間静置培養を行った。
培養終了液を遠心分離した後濾過助剤(ラジオライト#500)を用いてGF−75(Whatman)で濾過し、菌体を除いた上澄液に2倍量のエタノールを加え、白色沈殿を得た。この沈殿を濾過により採取し、水(100ml)中に溶解し、再度エタノール沈降を行った。得られた沈殿物を水に溶解後透析し、活性炭処理して多糖類画分を得た。
図1に示すように、実施例にかかるシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株を培養した培養液からエタノール沈殿物として回収される多糖類は、米発酵液を20%添加することにより無添加の培地を用いる方法に比べて約1.4〜約1.6倍増加することが認められた。
このようにして得られた多糖類については、セルロースアセテート膜電気泳動法を用いて均一性を確認すると共に、化学分析、核磁気共鳴分析により、公知の酸性ムコ多糖類であることを確認した[マツダ(M. Matsuda)ら,1992及び1997]。即ち、本多糖を2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)、または4N−HClで100℃、12時間加水分解し、ロータリーエバポレイターでTFAまたはHClを除いたものを検体とし、構成成分の分析を行った。その結果、本多糖類は、セルロースアセテート膜電気泳動、高速液体クロマトグラフィーまたはアミノ酸自動分析法で構成糖のモル比がN−アセチル−D−ガラクトサミン:D−グルクロン酸:N−アセチル−L−ガラクトサミン:ピルビン酸が2:1:1:1(モル濃度比)であり、ピルビン酸は酵素法においても同様な結果が得られた。またGFA-7Mカラム(昭和電工製)によるゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100万〜150万であることが認められた。尚、上記WAK-1-Aの構造式中、上記nは、1200〜1800の整数、より具体的には1175〜1762の整数に相当する。
図2に示すように、実施例にかかるシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株を培養した培養液からエタノール沈殿物として回収される多糖類は、培地に米発酵液を20%添加の有無にかかわらず同一の1H-NMRパターンを示した[マツダ(M. Matsuda)ら,1992及び1997]。
表1に示すように、実施例にかかるシュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株を培養した培養液からエタノール沈殿物として回収される多糖類は、培地に米発酵液を20%添加することにより精製度の増すことが認められた。なお、精製度はエタノール沈殿物(乾燥物重量に換算)に含まれるD-GlcUA(D−グルクロン酸)の比率(W/W)により評価し、米発酵液添加培地では17.8%を示し、含まない培地(対照)の15.4%を上回った。
Figure 2013017419
したがって、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株を培養する際に米発酵液を加えることにより従来法によるよりも酸性ムコ多糖類を増産させ、純度の高い多糖類が回収されることが確認された。
以上、実施例を挙げて本発明について説明してきたが、通常の海水濃度の培地において、海洋微生物由来の酸性ムコ多糖類の生産収率を向上することができる。好ましい本発明の培地を用いた酸性ムコ多糖類の製造方法によると、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株が生産する酸性ムコ多糖類を増産蓄積し、従来法の約1.4〜1.6倍量を回収することが可能となる。しかも、簡便な多糖類の回収方法であるエタノール沈殿法で純度の高い酸性ムコ多糖類が回収できる。したがって、本発明により、種々の生理機能を有する酸性ムコ多糖類を効率よく製造することが可能となる。
なお、本実施例において用いられた上記のWAK−1菌株は、日本国独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6 に寄託し、平成14年8月28日 受託番号 FERRM P−18988として受託されたものであり、その後ブタペスト条約に基づく寄託のへの移管請求を行い受託番号 FERM BP−8275として受託された。

Claims (8)

  1. 米発酵液を含有する培地において、シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株を培養することを特徴とする酸性ムコ多糖類の生産方法。
  2. 前記シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp. WAK−1)菌株は、通常の炭素源と窒素源と無機塩の他に米発酵液を20%〜30%(W/V)を含有する培地において培養が行われることを特徴とする請求項1記載の酸性ムコ多糖類の生産方法。
  3. 前記米発酵液のアミノ酸度が、2.0以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸性ムコ多糖類の生産方法。
  4. さらに、生産された前記酸性ムコ多糖類を前記培地中から採取する工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸性ムコ多糖類の生産方法。
  5. シュードモナス・エスピーWAK−1(Pseudomonas sp.WAK−1)菌株を培養して酸性ムコ多糖類を生産する際に使用される、米発酵液を含有する酸性ムコ多糖類生産用培地。
  6. 前記酸性ムコ多糖類生産用培地は、通常の炭素源と窒素源と無機塩の他に米発酵液を20%〜30%(W/V)を含有することを特徴とする請求項5記載の酸性ムコ多糖類生産用培地。
  7. 前記米発酵液のアミノ酸度が、2.0以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の酸性ムコ多糖類生産用培地。
  8. 請求項4に記載の酸性ムコ多糖類の生産方法により生産された、下記構造単位
    Figure 2013017419
    (上記の構造式において、GalNAcpはピラノース型N-アセチルガラクトサミン残基を、GlcUApはピラノース型グルクロン酸残基を、DはD型を、LはL型を、Pyrはピルビン酸を、nは繰り返しの数をそれぞれ表し、1200〜1800の整数に相当する。)
    を有することを特徴とする酸性ムコ多糖類。
JP2011153197A 2011-07-11 2011-07-11 酸性ムコ多糖類の製造方法、酸性ムコ多糖類生産用培地及び酸性ムコ多糖類 Pending JP2013017419A (ja)

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