JP2009034094A - 新規微生物およびその変異株並びにそれを用いた多糖類の製造方法 - Google Patents

新規微生物およびその変異株並びにそれを用いた多糖類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた美白効果を示すと共に、安定性および皮膚に対する高い安全性を併せ持つ多糖類の生産に用いられる新規微生物およびその変異株並びにそれを用いた多糖類の製造方法を提供する。
【解決手段】コベティア(Cobetia)属に属し寄託番号FERM P-21295として寄託されている新規微生物及びその変異株。
【選択図】なし

Description

本発明は新規微生物およびその変異株並びにそれを用いた多糖類の製造方法に関する。
また本発明は海洋微生物の産生する多糖類またはその生理学的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有する美白剤に関する。本発明はシミ、ソバカス等の予防又は治療に有効であって、優れた美白効果を示すと共に、安定性および皮膚に対する高い安全性を併せ持つ化粧品、健康食品、あるいは医薬品に関するものである。
皮膚の着色の原因となるメラニン色素は、日焼け等により組織中にメラニンが産生することに起因していることが知られている。皮膚が日光に起因する紫外線の照射を受けると、皮膚内に存在しているチロシンが酵素チロシナーゼの作用により酵素的に酸化された後、数段階の反応を経て黒色のメラニンへ変化する過程がメラニン色素の生成過程である。したがって、チロシナーゼの生成やその活性を阻害することにより、ヒト皮膚のシミやそばかす等の発生を抑制することができる。
そして従来から、上記メラニンの生成を抑制し、皮膚の美白状態を維持せしめる美白化粧料の組成物として、アルブチンなどのハイドロキノン誘導体、エラグ酸、アスコルビン酸およびその配糖体、コウジ酸およびその誘導体等が知られている。
一方、乳酸菌が産生するリン酸化多糖類がメラノーマ増殖抑制作用及びメラニン産生抑制作用を持ち、美白剤としての有用性が開示されている(特許文献1)。また、種々の海洋微生物が多糖類を産生することが知られている(特許文献2、特許文献3)。
しかし、これら化粧料には、種々の問題点が残されており、実用性の面で問題があった。例えば、美白成分としてのコウジ酸は発ガンの恐れがあった。また、アルブチンなどのハイドロキノン誘導体は発疹、かぶれなど安全性に問題があった。また、動植物抽出物配合も知られてはいるが、その効果は満足出来るものではなかった。
そのため、優れた美白効果を示すと共に、安定性および皮膚に対する高い安全性を併せ持つ成分が求められていた。
特許2971027号 特開2002-065292号 特許3083858号
本発明は、優れた美白効果を示すと共に、安定性および皮膚に対する高い安全性を併せ持つ多糖類の生産に用いられる新規微生物およびその変異株並びにそれを用いた多糖類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、コベティア(Cobetia)属に属し寄託番号FERM P-21295として寄託されている新規微生物及びその変異株を要旨とする。
本発明の第2の特徴は、コベティア(Cobetia)属に属し寄託番号FERM P-21295として寄託されている新規微生物またはその変異株を培地中で培養し多糖類を産生させて培養物を得る工程と、培養物から多糖類を単離する工程と、を含む多糖類の製造方法を要旨とする。
本発明の第3の特徴は、構成成分がN−アセチル−D−グルコサミン、D−ガラクトロン酸、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−ガラクトース、ピルビン酸、D−アラニンであり、ゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100万〜150万である多糖類を要旨とする。
本発明の第4の特徴は、多糖類の製造方法により得られた多糖類またはそれらの生理的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有する美白剤を要旨とする。
本発明の第5の特徴は、多糖類の製造方法により得られた多糖類またはそれらの生理的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有する化粧料を要旨とする。
本発明によれば、優れた美白効果を有し、安定性及び皮膚に対して安全性の高い成分として有用な多糖類の生産に用いられる新規微生物およびその変異株並びにそれを用いた多糖類の製造方法が提供される。
本発明者は、瀬戸内海で採取した海水をスクリーニング源として窒素源、炭素源および海水で調製し、寒天で固めた寒天平板培地で、22〜28℃にて2日〜7日間培養し、生育した粘稠性を示すコロニーを釣菌して純粋分離した。この菌株を上記と同じ組成の液体培地で振とう培養し、多糖類を産生することを確認して選別した。多糖類のメラニン生成抑制作用を調べ、本菌株(FERM P-21295)がその目的に適った性質を有することを知見した。
得られた本菌株の16S rDNA塩基配列、さらには培養学的および生化学的特性を調べることにより、該菌株の同定を試み、コベティア(Cobetia)属に属する新規な微生物であることを明らかにした。次いで本新規菌株の培養物を分析し、メラニン生成抑制作用を有する多糖類が産生されていることを確認し、多糖類の製造方法を発明した。
上記知見に基づく本発明について、以下実施形態を挙げて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
前記した培地と微生物を用いて従来法を用いて微生物を培養することにより、本発明の有効成分である本多糖が効率的に生産されることとなる。
本発明に用いられる多糖類は、構成糖のモル比がN−アセチル−D−グルコサミン:D−ガラクトロン酸:N−アセチル−D−ガラクトサミン:D−ガラクトース:ピルビン酸:D−アラニン=(1.0〜1.2):(1.6〜1.8):(2.4〜2.6):1:(1.2〜1.4):(1.1〜1.3)であり、ゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100万〜150万であることが好ましい。構成成分の分析には、セルロースアセテート膜電気泳動、高速液体クロマトグラフィーまたはアミノ酸自動分析装置を用いることができる。この構成成分の分析には、多糖類を2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)、または4N−HClで100℃、12時間加水分解し、ロータリーエバポレイターでTFAまたはHClを除いたものを検体とし、各種標品との比較によって中性糖、ウロン酸、有機酸、アミノ糖またはアミノ酸の分析を行う。構成有機酸の分析にはこの他に酵素法またはNMR分析装置を用いて解析することができる。
本多糖の分子量の測定は、ゲルろ過クロマトグラフィー法を用いることができる。具体的には、Asahipak GFA-7M(昭和電工製)をカラムとする高速液体クロマトグラフィー(島津製)を使用し、0.1M-NaClを移動相とし、分子量既知のプルラン(Shodex STANDARD KIT P-82、昭和電工製)を標準サンプルとして作成した分子量保持時間標準曲線を使用して測定することができる。
本多糖はカルバゾール硫酸法で陽性を示し、ウロン酸の存在が推測される。また上記の条件で加水分解した検体はエルソン−モルガン法で陽性を示すことからヘキソサミンが含まれていると判断できる。また塩の存在下において第4級アンモニウム塩により沈殿を生じることからも、本発明の多糖類は酸性多糖であると認められる。
本発明の多糖類の製造方法について説明する。本発明の多糖類の製造方法はコベティア(Cobetia)属に属し、平均分子量が100万〜150万(プルラン等量)であるN−アセチル−D−グルコサミン、D−ガラクトロン酸、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−ガラクトース、ピルビン酸、D−アラニンからなる多糖類を産生する微生物を用いて培養を行い、その培養物から平均分子量が100万〜150万(プルラン等量)であるN−アセチル−D−グルコサミン、D−ガラクトロン酸、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−ガラクトース、ピルビン酸、D−アラニンからなる多糖類を抽出することを特徴としている。本発明の製造方法における好ましい微生物として、コベティア(Cobetia)属に属する微生物が使用され、更に好ましくはコベティア(Cobetia)属に属し寄託番号FERM P-21295として寄託されている新規微生物株が使用される。
コベティア(Cobetia)属に属し寄託番号FERM P-21295として寄託されている新規微生物株は本発明の多糖類を産生する能力があり、瀬戸内海の海水より、本発明者らによって純粋分離されたものである。次にこの菌株の菌学的性質について述べる。
(新規微生物)
実施形態にかかる新規微生物は、コベティア(Cobetia)属に属し、寄託番号FERM P-21295として寄託されている微生物である。実施形態にかかる新規微生物は以下の菌学的性質を有する。
<形態>
細胞の形態:桿菌
運動性:無し
胞子形成:無し
<生育状態>
コロニーの形態:円形
コロニーの色調:クリーム色
コロニーの表面:スムーズ
生育温度:10℃、37℃及び45℃で生育する。
生育pH:5.5〜9.5(至適生育pH:6.5〜7.5)
酸素要求性:好気性
<生理学的性質>
グラム染色性:陰性
カタラーゼ反応:陽性
オキシダーゼ反応:陰性
O/Fテスト(酸化/発酵) :陰性/陰性
β−ガラクトシダーゼ活性:陰性
インドール産生:陰性
硝酸塩還元:陰性
でんぷん加水分解:陰性
ゼラチン加水分解:陰性
エスクリン加水分解:陰性
ウレアーゼ:陰性
アルギニンジヒドロラーゼ:陰性
資化性 (D-グルコース、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、こはく酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、L-アラニン):有り
資化性 (L-アラビノース、マルトース、ラクトース、サッカロース、D-マンノース、D-マンニトール、N-アセチル-D-グルコサミン、n-カプリン酸、アジピン酸、dl-リンゴ酸、酢酸フェニル、L-ヒスチジン、L-セリン):無し
実施形態にかかる新規微生物は、16S rDNA塩基配列がCobetia marina DSM 4741のそれと99.4%の相同率を有し、かつ100%は一致しない配列番号1の塩基配列を有する。
実施形態にかかる新規微生物は、コベティア(Cobetia)属微生物に適した培養条件での培養にて培養物を得、次に培養物から多糖を分離することにより回収可能なコベティア(Cobetia)属微生物である。より詳細には、実施形態にかかる新規微生物は、Cobetia marina DSM 4741(文献1,VALIDATION LIST No 88. Int.J.Syst.Evol.Microbiol., 52, 1915-1916, 2002、文献2,DR. Arahalら: System. Appl. Microbiol., 25, 207-211, 2002)と99.4%の相同な16S rDNA塩基配列(配列番号1)を有し、かつ、100%の相同率は有しない微生物でありメラニン生成抑制作用を有する本多糖類を産生する微生物である。
尚、Cobetia marina DSM4741株は、Cobetia marina の標準株として位置付けられている。寄託番号と公の寄託先は、下記のとおりである。
1.ATCC253741(American Type Culture Collection, Manassas, VA. USA)
2.DSM4741(DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH. Braunschweig, Germany)
3.NCIMB1877(National Collection of Industrial and Marine Bacteria, Aberdeen, UK)
コベティア(Cobetia)属も海洋微生物で、海洋資源開発の進展の中で興味が持たれているものの一つであり、DSM4741株は、Arahalら(上記文献2)によって命名され、承認されているものである(上記文献1)。
実施形態にかかる新規微生物は、後に実施例の欄で説明するように、コベティア(Cobetia)属に属することが、16S rDNA塩基配列分析などの分類学的調査を通じて決定されたことより、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託し、平成19年5月2日、寄託番号 FERM P-21295として受託された。本菌株は本発明者が瀬戸内海において海水より分離した海洋性微生物であり、その分類学的特性は、後に説明する実施例に記載した。
(多糖類の製造方法)
実施形態にかかる多糖類の製造方法は、(ア)コベティア(Cobetia)属に属し寄託番号FERM P-21295として寄託されている新規微生物を培地中で培養し多糖類を産生させて培養物を得る工程と、(イ)培養物から多糖類を単離する工程と、を含む。以下詳細に説明する。
(ア)微生物を培養し多糖類を産生する工程
多糖類を得るためには、上記実施形態にかかる微生物(FERM P-21295)またはその変異株を用いる。微生物として本菌株またはその変異株を用いることで、多糖類を効率的に生産することができる。液体培養は静置、振とう(攪拌)、通気培養法、および固形培養には寒天平板法を用いることができる。
基本培地としては、多糖類を産生しうる微生物が生育できるものであって、少なくとも炭素源と、窒素源と、各種無機塩とおよび微量元素とを適量含有するものが用いられる。さらに好ましくは、上記基本培地として、コベティア(Cobetia)属に属する微生物が生育できるものが用いられる。炭素源としては、グルコース等の糖、あるいは糖蜜や廃糖蜜が挙げられる。炭素源として1種または2種以上を単独でまたは組み合わせて用いることができる。窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩等の化合物やペプトン、酵母エキス、アミノ酸などの天然物が挙げられる。窒素源として1種または2種以上を単独でまたは組み合わせて用いることができる。無機塩としては、例えば、リン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩等が挙げられる。無機塩として1種または2種以上を単独でまたは組み合わせて用いることができる。固体培地の場合は寒天を用いる。
培養条件は使用する培地、培地のpH、培地への添加物、培養温度などは通常微生物の培養の際に用いられている条件をそのまま用いることができる。培養時のpHは微生物が生育し、かつ多糖類を生産する範囲(pH5.5〜9.5)であれば制限されないが、通常は6.5から7.5の範囲のpHが好ましい。培養温度については微生物が生育し、かつ多糖類を産生する範囲であれば制限されないが、22℃から28℃の範囲が多糖類の産生には良好である。培養期間は培養のpHや温度により変化するが、通常2日から7日が適切である。
コベティア(Cobetia)属に属し寄託番号FERM P-21295として寄託されている新規微生物を、炭素源、窒素源および鉱物塩を含む培養培地で静置培養し、その後、静置、振とう(または撹拌)、通気条件で22℃から28℃の範囲で2日から7日間培養することが好ましい。
上記した培地と微生物を用いて微生物を培養することにより、目的とする多糖類が効率的に産生されることとなる。上記により得られた多糖画分は、糖分析反応(フェノール硫酸法、カルバゾール硫酸法など)および加水分解後HPLC分析によりアミノ糖、アミノ酸または有機酸を分析することができる。さらに、以下に説明する抽出・回収工程を経ることにより高純度の多糖類を高収率で得ることが可能となる。
(イ)産生された多糖類を分離・回収する工程
上記製造方法で得られた培養物から多糖類を抽出する方法としては、多糖類の分離回収に用いられる種々の方法を用いることができる。例えば、液体培養の場合は培養物をそのまま、あるいは高温で殺菌した後で、遠心分離により菌体を除去し、これをそのまま、あるいは濃縮してから、2〜3倍量のエタノール、イソプロパノール、あるいはアセトン等を加え、沈殿を生じさせる。この沈殿物を再度、水あるいは1〜15重量%塩化ナトリウム溶液に溶解させた後で、アルコール等による沈殿を2〜3回繰り返し、水で透析を行い、噴霧乾燥や凍結乾燥機等を用いて乾燥させることにより、多糖類を得る。これ以外にも電気透析法や限外濾過法も利用することができる。さらに精製するためには、イオン交換、ゲル濾過等の各種クロマトグラフィーや塩析および活性炭処理法などを用いることができる。
培養液から菌体の除去に際しては、孔径が0.1〜0.45μmの中空糸膜モジュールを備えた膜分離装置を用いることができる。
以上の工程により多糖類が産生および回収される。本実施形態により得られる多糖類は特に制限なく種々の用途に使用されうるものであるが、本多糖類には本明細書に記載のとおりメラニン生成抑制効果のあることから、化粧品分野、健康食品分野および医薬分野に有用な素材を提供することができる。
多糖類の調製方法としては、各種の方法が使用されうるが、用途の制限を受けないという観点からは、医薬として使用できる程度に精製しうるものが好ましい。例えば、本新規菌株を炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する海水または人工海水を寒天で固めた培地または寒天を加えない液体培地で培養して多糖類を生産し、採取、精製して得ることができる。より具体的には、例えば液体培養では、炭素源として蔗糖、窒素源としてペプトン、酵母エキスを含有する多糖類産生用海水培地において本菌株またはその変異株を培養し、培養液から多糖類を分離、精製して得ることができる。
尚、多糖類を産生する新規菌株を分離する方法としては、寒天平板培養で粘稠性を示すコロニーを作る菌株として保存中の菌株についてこれをペプトン、酵母エキス、蔗糖からなり海水または人工海水で調製した培地で振とう培養して得られた培養物から多糖画分をエタノールによる沈殿により分離精製する方法が挙げられる。
(多糖類の用途)
多糖類の製造方法により得られた多糖類またはそれらの生理的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有する美白剤が提供される。また多糖類の製造方法により得られた多糖類またはそれらの生理的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有する化粧料が提供される。
本発明者は、ヒト皮膚美白剤として使用が可能な物質を求めて、鋭意研究を進めていたところ、海洋微生物が産生する多糖類にメラノーマ細胞のメラニンの生成を抑制する効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
(美白剤)
本発明者は、優れた美白効果を有する物質を見出すべく、マウスのB16メラノーマ細胞株を用いたメラニン生成抑制を指標に種々検索を行った。その結果、海洋微生物(FERM P-21295)の作る多糖類が、メラニン生成を強く抑制すると共に細胞毒性が極めて弱く、化粧料の美白成分として極めて有効であることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、新規海洋微生物が産生する多糖類を有効成分として含有する美白化粧料組成物に関するものである。
「美白剤」とは、シミ、ソバカス等の予防又は治療に有効な皮膚用化粧料組成物であって、医薬部外品としてのローション、乳液、クリーム、パック剤、石鹸等の薬用化粧品および医薬品としてのローション、乳液、クリーム、軟膏等の皮膚外用剤を含むものである。
「美白用化粧料組成物」は、有効成分である多糖類と化粧料に一般に用いられている各種成分、例えば、油分、界面活性剤、紫外線吸収剤、アルコール、保湿剤、防腐剤、殺菌剤、色剤、粉末、香料、増粘剤、緩衝剤などを、その剤形にあわせ、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することにより調製される。
美白用化粧料組成物に、多糖類を配合するに当たっては、これら化合物のメラニン生成抑制作用ならびに皮膚の角質透過性等を考慮することが好ましく、一般にはこれら化合物を有効成分として少なくとも0.001重量%以上、好ましくは0.01〜20.0重量%程度添加すればよい。必ずしも有効成分を単離して使用する必要はなく、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、本実施形態にかかる化合物を含む粗精製物を使用することができる。
剤型は任意であり、例えば化粧水等の可溶化系、乳液またはクリーム等の乳化系、あるいは軟膏または分散液などの剤型をとることができる。こうして、所望の美白効果、例えば顔などのしみの発生を防ぐことができ、また既に生成しているしみの脱色に使用できる美白剤が提供される。
本実施形態では、有効成分として少なくとも0.001重量%以上、好ましくは、0.01〜20重量%の多糖類を美白剤に配合する。この多糖類を有効成分として含有する美白剤は、通常使用されている化粧料基材を使用することにより、クリーム、乳液、化粧水等の適当な形態とすることができる。さらに、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤その他の薬効成分、増粘剤、可塑剤、着色料、香料等、任意の添加物をこの美白剤に含有させることができる。尚、本発明の美白剤の有効成分である多糖類については、皮膚に対する毒性も刺激も無く、副作用も無い。また一般に多糖類には保湿効果があることおよび本多糖類の構成成分には天然保湿因子として知られているアラニンが含まれていることからして、多糖類またはそれらの生理学的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含む本発明の美白剤は、美白効果に加えて高い保湿効果を有することは当業者であれば容易に推測できるであろう。
以上実施形態にかかる美白剤について説明してきたが、実施形態にかかる美白剤のメラニン抑制効果を利用することにより、エビなどの変色防止剤といった食品添加物としても用いることも可能である。即ち、本発明の別の態様として、多糖類又はその生理学的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有することを特徴とする食品添加物が提供される。この場合、食品添加物の使用量は当業者の知識に基づき用途に応じて適宜定まるものである。
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例になんら制約されるものではない。尚、特記しない限り、百分率(%)は重量基準である。
(実施例1)
〈多糖類産生菌の分離〉
ペプトン0.5%、 酵母エキス0.1%、蔗糖3%及び寒天1.5%の組成を有し海水で調製した培地を、温度121℃としたオートクレーブ中で15分間滅菌し平板培地とした。瀬戸内海の海水サンプルを探索源としてこの寒天平板培地に画線し、粘稠性を示して生育したコロニーを2〜3回植え継いで純粋分離し、多糖類産生菌候補として寒天斜面培養に画線培養し保存した。保存培養から、1白金耳を試験管中の上記組成より寒天を除いた滅菌培地(10ml)に接種し、25℃の温度で24時間振とう培養を行い、次いでこの前培養液を500ml容の三角フラスコ中に上記組成の液体培地200ml(121℃、15分間滅菌)に接種し、25℃の温度で3日間の振とう培養を行った。培養後培養液を遠心分離した後濾過助剤(ラジオライト#500)を用いて濾過し、菌体を除いた上澄液にエタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後再度エタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後透析し凍結乾燥により多糖画分を得た。
その結果、多糖類を産生する菌株を取得し、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 〒305−8566 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6に寄託し、平成19年5月2日 寄託番号 FERM P-21295として受託されている。尚、かかる寄託番号 FERM P-21295として受託された菌株を実施例2〜5において用いた。
(実施例2)
〈新規菌株の分類学的位置〉
新たに単離した多糖類産生菌株(FERM P-21295)を16S rDNA塩基配列の分析によって同定した。この新たに単離された本菌株(FERM P-21295)の16S rDNA塩基配列は、Cobetia marina DMS4741株の16S rDNA塩基配列と99.4%の相同性を示しコベティア(Cobetia)属に属すると決定された。しかし、この菌株は、コベティア(Cobetia)属の基準株であるCobetia marina DSM4741とは以下に記載されるいくつかの培養特性および生化学的特性によって明らかに区別される。
本菌株 (FERM P-21295)の16S rDNA-Full塩基配列による相同性検索を以下のようにして行った (表1:16S rDNA(16S rRNA遺伝子)塩基配列解析)。ゲノムの抽出操作はBIO RAD社のプロトコールに従った。抽出したゲノムDNAを鋳型とし、PCRにより16S ribosomal RNA遺伝子(16S rDNA)の全塩基配列1500〜1600bpの領域を増幅した。その後、増幅された16S rDNAをシーケンシングし16S rDNAの塩基配列(配列番号1)を決定した。
BLASTを用いた細菌基準株データベースに対する相同性検索の結果、本菌株(FERM P-21295)の16S rDNA塩基配列はコベティア(Cobetia)属由来の16S rDNA塩基配列に対して高い相同性を示し、相同率99.4%でコベティア(Cobetia)属の基準株C. marina DSM4741株の16S rDNA塩基配列に対し最も高い相同性を示した。
GenBank/DDBJ/EMBLに対する相同性検索の結果においても、本菌株(FERM P-21295)の16S rDNA塩基配列はC. marina由来の16S rDNA塩基配列に対し高い相同性を示し、基準株ではC. marina DSM4741株の16S rDNA塩基配列に対し相同率99.4%の相同性を示した。また、本菌株の16S rDNA塩基配列と細菌基準株データベースに対する相同性検索上位10株の16S rDNA塩基配列を用いて行った簡易分子系統解析の結果、本菌株はC. marina の16S rDNA塩基配列と系統枝を形成し、両者が近縁であることが示された (図1)。しかし、両者の16S rDNA塩基配列間には9塩基の相違点があり、その内の2塩基は混合塩基によるもの、あるいはプライマー領域内と考えられることから、両者の明確な差として捉えることは不適切と考えられるが、残りの7塩基は明らかに異なった。このことから、本菌株とC. marinaの16S rDNA塩基配列は完全には一致しておらず、簡易分子系統解析の系統枝は両者が系統的にやや異なることを示唆すると考えられる。今回の16S rDNA塩基配列の結果からは、本菌株をC .marinaに近縁なCobetia sp.とすることが妥当と判断した。
本菌株(FERM P-21295)の培養学的および生化学的特性についてMB2216培地(Becton Dickinson, MD, USA)を用い、25℃、24時間培養により試験した。光学顕微鏡による観察およびBarrowら(Barrow,G.I.ら:Cowan and Steel’s Manual for the Identification of Medical Bacteria. 3 rd ed., Cambridge Press, 1993) の方法に基づき、カタラーゼ反応、オキシダーゼ反応、ブドウ糖からの酸/ガス産生、ブドウ糖の酸化/発酵(OF)について試験した。培養学的および生化学的特性についてはさらに試験用キットAP120NE (bioMerieux, Lyon, France)を用い当該キットのプロトコールに基づき実施した。表2(培養学的及び生化学的試験)および表3(資化性試験)にその結果を示す。
本菌株 (FERM P-21295)は、運動性を有さないグラム陰性桿菌で、多形態を有し、グルコースを酸化せず、カタラーゼ反応は陽性、オキシダーゼ反応は陰性を示した。本菌株は、10℃および45℃で生育し、でんぷんを加水分解せず、資化性試験ではD-グルコース、酢酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウム等を資化し、L-アラビノース、ラクトース、及びサッカロース等を資化しなかった。これらの性状の内、運動性を有しない点、セリンを資化しない点及び45℃で生育する点は16S rDNA塩基配列解析の結果において近縁性が示唆されたC. marinaの性状と異なった。特に、運動性を有さない点は両者の大きな相違点と考えられる。よって今回の試験結果から、本菌株をC. marinaに近縁なCobetia sp.と推定した。しかし、本菌株とC. marinaの16S rDNA塩基配列は系統的にやや異なり、生理・生化学性状においてもC. marinaの性状とは異なることから、本菌株とC. marinaは種レベルにおいて別種の可能性もある。
(実施例3)
ペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、蔗糖3%の組成を有し海水で調製した培地を、温度121℃としたオートクレーブ中で15分間滅菌し、本菌株(FERM P-21295)の斜面培養から、1白金耳を試験管中の上記滅菌培地(10ml)に接種し、25℃の温度で24時間静置培養を行い、次いでこの前培養液を500ml容の三角フラスコ中に上記組成の培地200ml(121℃、15分間滅菌)に接種し、25℃の温度で3日間の静置培養を行った。培養後培養液を遠心分離した後濾過助剤(ラジオライト#500)を用いて濾過し、菌体を除いた上澄液にエタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後再度エタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後透析し、活性炭処理し、凍結乾燥により多糖画分を得た。
尚、実用的な精製レベルとしては、培養濾過液から分子量5万カットの中空糸UF膜モジュール(Spectrum社製)を備えた膜濾過装置により得られる高分子画分を短時間のうちに濃縮、脱塩回収し、活性炭処理し、凍結乾燥により粉末化した。膜濾過装置は東洋紡エンジニアリング社製SYLS-SB04型を用いた。
本多糖を2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)、または4N−HClで100℃、12時間加水分解し、ロータリーエバポレイターでTFAまたはHClを除いたものを検体とし、構成成分の分析を行った。その結果、本多糖類は、セルロースアセテート膜電気泳動、高速液体クロマトグラフィーまたはアミノ酸自動分析法でN−アセチル−D−グルコサミン、D−ガラクトロン酸、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−ガラクトース、ピルビン酸、D−アラニンが構成成分として認められ、それらのモル比がN−アセチル−D−グルコサミン:D−ガラクトロン酸:N−アセチル−D−ガラクトサミン:D−ガラクトース:ピルビン酸:D−アラニンが(1.0〜1.2):(1.6〜1.8):(2.4〜2.6):1:(1.2〜1.4):(1.1〜1.3)であり、ピルビン酸は酵素法においても同様な結果が得られた。またGFA-7M(昭和電工製)をカラムによるゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100万〜150万であることが認められた。
(実施例4)
前培養までは実施例3と同様に処理し、次いでこの前培養液を500ml容の三角フラスコ中に上記組成を有する海水から調製した滅菌培地200ml(121℃、15分間)に接種し、25℃の温度で3日間振とう培養を行った。次いで培養液を遠心分離した後濾過助剤(ラジオライト#500)を用いて濾過し、上澄液にエタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後再度エタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後透析し、活性炭処理し、凍結乾燥により多糖画分を得た。尚、実用的な精製レベルとしては、培養濾液から分子量5万カットの中空糸UF膜モジュール(Spectrum社製)を備えた膜濾過装置により得られる高分子画分を短時間のうちに濃縮、脱塩回収し、活性炭処理し、凍結乾燥により粉末化した。膜濾過装置は東洋紡エンジニアリング社製SYLS-SB04型を用いた。本多糖を2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)、または4N−HClで100℃、12時間加水分解し、ロータリーエバポレイターでTFAまたはHClを除いたものを検体とし、構成成分の分析を行った。その結果、本多糖類は、セルロースアセテート膜電気泳動、高速液体クロマトグラフィーまたはアミノ酸自動分析法でN−アセチル−D−グルコサミン、D−ガラクトロン酸、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−ガラクトース、ピルビン酸、D−アラニンが構成成分として認められ、それらのモル比がN−アセチル−D−グルコサミン:D−ガラクトロン酸:N−アセチル−D−ガラクトサミン:D−ガラクトース:ピルビン酸:D−アラニンが(1.0〜1.2):(1.6〜1.8):(2.4〜2.6):1:(1.2〜1.4):(1.1〜1.3)であり、ピルビン酸は酵素法においても同様な結果が得られた。またGFA-7M(昭和電工製)をカラムによるゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100万〜150万であることが認められた。
(実施例5)
前培養までは実施例3と同様に処理し、上記実施例3で述べた培地に寒天を1.5%添加した寒天平板培地250mlを平板(18×26cm)に広げて前培養液を塗沫し、25℃の温度で4日間培養を行った後、寒天平板の表面に生じた粘質物をかきとり、1%フエノール液に懸濁させ、遠心分離した後濾過助剤(ラジオライト#500)で菌体を濾過により除いて得られた上澄液にエタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後再度エタノールを加えて沈殿する画分を集め、水に溶解後透析し、活性炭処理し、凍結乾燥により多糖画分を得た。尚、実用的な精製レベルとしては、培養濾過液から分子量5万カットの中空糸UF膜モジュール(Spectrum社製)を備えた膜濾過装置により得られる高分子画分を短時間のうちに濃縮、脱塩回収し、活性炭処理し、凍結乾燥により粉末化した。本多糖を2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)、または4N−HClで100℃、12時間加水分解し、ロータリーエバポレイターでTFAまたはHClを除いたものを検体とし、構成成分の分析を行った。その結果、本多糖類は、セルロースアセテート膜電気泳動、高速液体クロマトグラフィーまたはアミノ酸自動分析法でN−アセチル−D−グルコサミン、D−ガラクトロン酸、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−ガラクトース、ピルビン酸、D−アラニンが構成成分として認められ、それらのモル比がN−アセチル−D−グルコサミン:D−ガラクトロン酸:N−アセチル−D−ガラクトサミン:D−ガラクトース:ピルビン酸:D−アラニンが(1.0〜1.2):(1.6〜1.8):(2.4〜2.6):1:(1.2〜1.4):(1.1〜1.3)であり、ピルビン酸は酵素法においても同様な結果が得られた。またGFA-7M(昭和電工製)をカラムによるゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100万〜150万であることが認められた。
(実施例6)
(マウス培養細胞株によるメラニン生成抑制試験)
実施例3で得られた多糖類を使用して,メラノーマ細胞に対する細胞増殖とメラニン生成抑制効果を調べ試料無添加の場合と比較して試料添加系での細胞増殖率,メラニン生成量を求めた。また陽性コントロールとしてメラニン生成抑制作用を有することが知られている多糖類(Okazakiら:Fragrance Journal, 8, 61-64, 2004)を使用した。
(細胞培養)
(1)前培養したB16F10細胞を12穴マルチウェルプレートの各ウェルに1.0x104細胞/ウェルの細胞数に播種した。播種48時間後、所定濃度の被験物質を含む0.5mMテオフィリン含有DMEM+10%FBS培地に交換した。被験物質の濃度は、25μg/ml、50μg/ml、100μg/mlに設定した。各試料濃度毎に3ウェルを割り当てアッセイに供した(N=3)。細胞増殖計数用のプレートとメラニン定量用のプレート2枚を1組として各試料のアッセイに使用した。培地交換後、72時間培養を続けた。
(2)細胞増殖計数用プレートを用いて各ウェル内の細胞数(相対値)をWST-1法を用い450nmの吸光度を測定することにより、細胞の生育度を測定した。この結果を表4に示す。
(細胞中のメラニン量の測定方法)
B16メラノーマ細胞を培養し、細胞中に産生したメラニンをアルカリで溶解し、吸光度を測定することによりメラニン生成量を求めた。72時間培養後のメラニン定量用のプレートを用いて各ウェル内の細胞を10%トリクロロ酢酸溶液で処理した後にエタノール/エーテル(1:1(V/V))で処理した。
これに1N− NaOH/10%DMSO溶液を加え、メラニンを可溶化した後吸光度475nmを測定した。合成メラニン(Sigma)を1N−NaOH/10% DMSO溶液に溶解した溶液を所定の濃度に希釈し標準液として使用し、本標準液と測定溶液の吸光度を比較することにより測定溶液中のメラニン含有量を算出した。(2)で求めたウェル内細胞数(相対値)と本ウェル内メラニン量から細胞内メラニン量(相対値)を計算した。
表4から明らかなように,本多糖類の添加により濃度に依存してメラニン生成の抑制が認められた。また本多糖類は,メラノーマ細胞の増殖抑制効果、すなわち細胞毒性は認められなかった。各濃度の本多糖類の添加で細胞毒性に伴う細胞の形態の変化も見られなかった。即ち、本多糖類は、細胞の生育に影響を与えない濃度範囲でメラニン生成抑制作用を示すことが認められた。
本発明の有効成分である多糖類は、B−16メラノーマ細胞に対して、細胞毒性を示すことなくメラニン生成を抑制し,皮膚に美白作用をなすので、美白剤として安全で非常に有用である。本発明の微生物(FERM P-21295)を用いることにより本多糖類を安全に生産することができる。
本菌株 (FERM P-21295) の16S rDNA塩基配列を用いた簡易分子系統樹を示す。左下の線はスケールバー、系統枝の分岐に位置する数字はブートストラップ値、株名の末尾のTは、その種の基準株(Type strain)であることを示したものである。

Claims (10)

  1. コベティア(Cobetia)属に属し寄託番号FERM P-21295として寄託されていることを特徴とする新規微生物またはその変異株。
  2. 以下の菌学的性質を有することを特徴とする請求項1に記載の新規微生物またはその変異株。
    <形態>
    細胞の形態:桿菌
    運動性:無し
    胞子形成:無し
    <生育状態>
    コロニーの形態:円形
    コロニーの色調:クリーム色
    コロニーの表面:スムーズ
    生育温度:10℃、37℃及び45℃で生育する。
    生育pH:5.5〜9.5(至適生育pH:6.5〜7.5)
    酸素要求性:好気性
    <生理学的性質>
    グラム染色性:陰性
    カタラーゼ反応:陽性
    オキシダーゼ反応:陰性
    O/Fテスト(酸化/発酵) :陰性/陰性
    β−ガラクトシダーゼ活性:陰性
    インドール産生:陰性
    硝酸塩還元:陰性
    でんぷん加水分解:陰性
    ゼラチン加水分解:陰性
    エスクリン加水分解:陰性
    ウレアーゼ:陰性
    アルギニンジヒドロラーゼ:陰性
    資化性 (D-グルコース、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、こはく酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、L-アラニン):有り
    資化性 (L-アラビノース、マルトース、ラクトース、サッカロース、D-マンノース、D-マンニトール、N-アセチル-D-グルコサミン、n-カプリン酸、アジピン酸、dl-リンゴ酸、酢酸フェニル、L-ヒスチジン、L-セリン):無し
  3. 16S rDNA塩基配列がCobetia marina DSM 4741のそれと99.4%の相同率を有し、かつ100%は一致しない配列番号1の塩基配列を有することを特徴とする請求項1または2に記載の新規微生物またはその変異株。
  4. コベティア(Cobetia)属に属し寄託番号FERM P-21295として寄託されている新規微生物またはその変異株を培地中で培養し多糖類を産生させて培養物を得る工程と、
    前記培養物から多糖類を単離する工程と、を含むことを特徴とする多糖類の製造方法。
  5. 前記培養物を得る工程において、
    前記コベティア(Cobetia)属に属し寄託番号FERM P-21295として寄託されている新規微生物を、炭素源、窒素源および鉱物塩を含む培養培地で静置培養し、その後、静置、振とう(または撹拌)、通気条件で22℃から28℃の範囲で2日から7日間培養すること、を特徴とする請求項4に記載の多糖類の製造方法。
  6. 構成成分がN−アセチル−D−グルコサミン、D−ガラクトロン酸、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−ガラクトース、ピルビン酸、D−アラニンであり、ゲルろ過クロマトグラフィーで測定した平均分子量がプルランを標準として100万〜150万であることを特徴とする多糖類。
  7. 構成成分のモル比が、N−アセチル−D−グルコサミン:D−ガラクトロン酸:N−アセチル−D−ガラクトサミン:D−ガラクトース:ピルビン酸:D−アラニン=(1.0〜1.2):(1.6〜1.8):(2.4〜2.6):1:(1.2〜1.4):(1.1〜1.3)であることを特徴とする請求項6に記載の多糖類。
  8. 請求項4または5に記載の多糖類の製造方法により得られた多糖類またはそれらの生理的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有することを特徴とする美白剤。
  9. 請求項4または5に記載の多糖類の製造方法により得られた多糖類またはそれらの生理的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有することを特徴とする化粧料。
  10. 請求項4または5に記載の多糖類の製造方法により得られた多糖類またはそれらの生理的に許容される塩もしくは誘導体を有効成分として含有することを特徴とする美容健康食品。
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