JP3057221B2 - 特異な粘性特性を有する新規多糖体及びその製造方法 - Google Patents

特異な粘性特性を有する新規多糖体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘性特性の調節可
能な新規多糖体及び細菌を用いるその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、微生物由来の多糖体、例えば
キサンタンガム、レバン等は、それらの特異な物性に基
づき、食品、化粧料及び飼料等の添加剤、さらに産業用
材料として用いるられている。例えば、キサンタンガム
は細菌キサントモナス・カンペストリクス(Xanthomona
s campestrics)が菌体外に産生する高分子多糖で、1,
4-β-D-グルコシド結合の連鎖に一つのグルクロン酸
と二つのマンノースからなる側鎖を有する多糖体であ
る。その水溶液は、室温付近では殆ど非ニュートン性の
粘性液体として挙動し、熱やアルカリ、酸にも比較的安
定である。具体的には、キサンタンガムはこのような特
性を利用して、食品や化粧料の粘性特性の改善等の目的
で使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、キサン
タンガムを初めとする従来の多糖体は、それらの粘性特
性に基づき多岐の分野で使用されている。しかしなが
ら、これらの多糖体は、一般に、濃度変化により粘性の
程度を変動させることができるとはいえ、流動性のある
粘性領域と固化(ゲル化)領域との中間的な性質(ゾ
ル)を維持することが困難であった。また、高温時の固
化安定性、pH安定性についても必ずしも満足できるも
のではなかった。
【0004】従って、例えば食品形態等の多様化が図ら
れている近年の技術的背景を考慮すれば、濃度変化によ
り、単に粘性の程度を変動しうるだけでなく、粘性溶液
からゲル化状態にまで変動しうる多糖体を提供すること
が望まれるであろう。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種培地
での各種微生物の生育や生産物について研究してきたと
ころ、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する細菌
が、増粘性とゲル化能を併せもつ多糖体を産生すること
を見い出した。また、この多糖体は従来技術文献に未載
でもある。
【0006】従って、本発明によれば、上記課題を、
(A)ゲルろ過カラムを用いる高速液体クロマトグラフ
ィーにより測定した場合の分子量が約160万であり、
(B)構成成分として、1:1のモル比でグルコースと
マンノース残基を含んでおり、そして(C)5℃ないし
10℃において、0.5(重量/容量)%の水溶液は粘
性溶液となるが、1(重量/容量)%の水溶液はゲル化
状態となる、ことを特徴とする粘性特性の調節可能な多
糖体、の提供により解決できる。
【0007】また、本発明によれば、前記多糖体を効率
よく製造するための方法も提供される。具体的にはこの
方法は、該多糖体を産生しうるシュードモナス(Pseudo
monas)属細菌を栄養培地で培養し、培養物から該多糖
体を採取することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の具体的な態様】本発明に従う多糖体は、上記
(A)ないし(C)の特徴を有するが、さらにその溶液
の粘性特性を詳述すると、次のとおりである。すなわ
ち、該多糖体は、通常の室温下では、約0.5〜約1.0
(重量/容量)%の水溶液が粘性溶液の状態にあるが、
約2(重量/容量)%の水溶液ではゲル化状態になる。
さらに、該多糖体の約3(重量/容量)%の水溶液は、
さらなる高温度においてもゲル化状態になる。また、一
旦こうして形成されたゲル化状態は、その後100℃で
30分間インキュベートしてもゲル化状態を安定に保ち
得る。その上、前記ゲル化状態は、酸性からアルカリ性
までの広い範囲において安定であり、例えば室温では、
強酸性(0.5規定塩酸)条件下でもゲル化状態を保持
する。
【0009】以上のように、本発明に従う多糖体は、増
粘性に加えて、既知のキサンタンガムやレバン等には見
られない極めて特異な物性を示すので、食品、化粧料、
飼料等の分野で広範に利用することができるであろう。
【0010】前記本発明に従う多糖体は、本発明のもう
一つの態様であるシュードモナス(Pseudomonas)属細
菌を栄養培地で培養する方法によって効率よく製造する
ことができる。シュードモナス属細菌は、シュードモナ
ス属に属し、該多糖体を産生しうるものであれば、その
種、株を問わず使用することができる。しかし、その中
でも、本発明者らにより、鳥取県鳥取市の土壌からエタ
ノール資化性菌として分離された細菌であって、工業技
術院生命工学工業技術研究所に平成9年1月7日付で寄
託され、受託番号FERM P−16025が付された、シュ
ードモナス・スツツェリ(Pseudomonas stutzeri) BL
58株が特に好ましいものとしてあげられる。
【0011】本菌の多糖体産生用の栄養培地としては、
一般にシュードモナス属細菌を生育することのできる、
炭素源、窒素源、酵母エキス及び金属塩類を含むいかな
る培地を用いてもよい。
【0012】通常、炭素源としてグルコース、フルクト
ース、シュークロース、グリセロール、植物油脂類、エ
タノール、プロパノール、ブタノール等を用いることが
できる。最適の炭素源はエタノールであり、初発濃度
0.1〜8%(v/v)、好ましくは1〜4%(v/v)で用
いられる。エタノールは培養開始時、あるいは培養中に
遂次添加する方法がとられる。
【0013】窒素源としては、ペプトン、酵母エキス、
アミノ酸混合液、無機アンモニウム塩、アンモニア等を
0.05〜5%、好ましくは0.1〜2%で用いることが
できる。
【0014】無機金属塩としては、カリウム、マグネシ
ウムのりん酸塩または硫酸塩が100〜1,500mg/l
で、カルシウム、亜鉛、鉄、マンガンの硫酸塩、塩酸塩
又はりん酸塩を各成分が1mg〜100mg/lの範囲で用い
ることができる。
【0015】ビタミン等の微量要素を酵母エキスの0.
05〜1g/lの割合で添加することもできる。
【0016】培養は、振とう培養又は深部通気撹はん培
養等の好気条件により、通常1〜10日間行う。培養温
度は15〜45℃、好ましくは25〜37℃がよく、p
Hは7〜12、好ましくは9〜10がよい。培養終了後
は、適宜希釈して粘度を下げ、遠心分離、膜ろ過等によ
り除菌後、真空凍結乾燥、噴霧乾燥、加熱真空乾燥等を
行い、本発明に従う多糖体を提供できる。
【0017】なお、本発明に従う好ましい菌株である上
記BL58株は、以下の菌学的性質をもつことにより、
シュードモナス・スツツェリ(Pseudomonas stutzeri
と同定された。
【0018】(菌学的性質)BL58株をバージェイズ
マニュアル オブ システマティク バクテリオロジ
ー(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology)第
1巻(1984)の記載に基づいて分類学的性質を調べ
た結果を以下に示す。
【0019】 性質 物性 形態学的性質 コロニー形態 大小不同、波状緑、クリーム色、 でこぼこ、不透明、低凸状 直径2mm 運動性 + 胞子形成 − グラム染色 − 生理学的性質 生育温度 (37℃) + (41℃) + (45℃) + カタラーゼ + オキシダーゼ + ウレアーゼ + グルコースの発酵性 − NO3還元 − インドール生産 − グルコース由来の酸 − アルギニンジヒドロラーゼ − エスクリン加水分解 − ゼラチン加水分解 − β-ガラクトシダーゼ − グルコース同化 + アラビノース同化 − マンノース同化 − マンニトール同化 − N-アセチルグルコサミン同化 − マルトース同化 + グルコン酸同化 + カプリン酸同化 + アジピン酸同化 − リンゴ酸同化 + クエン酸同化 + 酢酸フェニル同化 − シトクロムオキシダーゼ + マレイン酸培養液のアルカリ化 + Tween80 − デンプン + フェニルアラニンデアミナーゼ + 以上の結果、BL58株を上述のとおり同定した。
【0020】
【実施例】本発明を実施例により、さらに詳細に説明す
る。
【0021】例1:BL58株の分離 鳥取県鳥取市の土壌より採取した土壌試料0.1gを5ml
の下記表Iの培地に懸濁し、30℃で5日間振とう培養
を行う。この培養液0.1mlを同じ新しい培地5mlに植
菌して、30℃で5日間振とう培養する。この操作を3
回繰り返して集積培養し、同組成の寒天平板培地上でコ
ロニーを形成させることによってエタノール資化性微生
物を単離する。これらの取得微生物の中で最も多糖類生
産力の高い菌株としてBL58株を選抜した。従って、
本発明の多糖体の生産は、本特異的方法によって得られ
る他の微生物によっても可能である。
【0022】表I:培地 C2H5OH 3%(v/v) (NH4)2SO4 1.5g/l (NH4)2SO3 1.5g/l NH4NO3 1.5g/l KH2PO4 1.5g/l K2HPO4 0.67g/l MgSO4・7H2O 0.3g/l CaCl2・2H2O 0.01g/l ZnSO4・7H2O 0.01g/l FeSO4・7H2O 0.01g/l MnSO4・7H2O 0.001g/l酵母エキス 0.5g/l 上記表Iの培地組成からみられるように、BL58株
は、天然土壌試料からエタノール資化性菌として得られ
たものである。このような特異的培地を用い、上記方法
に従えば、当分野の技術に習熟した者であれば、本発明
に使用できる菌株を容易に取得できる。
【0023】例2:BL株による多糖体産生条件 例1にBL58株の分離に用いた表Iの培地組成は、B
L58株による多糖体の産生にも適したものである。以
下、かかる培地組成を基本とする培地でBL58株を培
養する例を示す。なお、実施例中でパーセンテージを表
示する際の「%(v/v)」及び「%(w/v)」は、それぞ
れ(容量/容量)%及び(重量/容量)%を意味する。
【0024】スラント保存培地より1白金耳量を100
mlの培地(エタノール1%(v/v))を入れた坂口フラ
スコ中に植菌し、30℃、24時間培養した。この培養
液1mlをエタノール(3%(v/v))を含む同培地に接
種し、30℃で培養した。初発培地pHを7〜11で実
施した結果を図1に示した。pH8において生育は速い
が、多糖体の産生による粘度増加は認められなかった。
一方、pHが9以上では生育のための誘導期が認められ
るものの、培養液の粘度増加が顕著であり、pH10〜
11の条件では培養液は完全にゲル化した。本菌株はア
ルカリ性条件下でのみ、多糖体を効率よく産生した。
【0025】次に、培地中のエタノール濃度の影響につ
いて調べた。初発エタノール濃度を1〜8%(v/v)ま
で変えて生育を調べた結果を図2に、また多糖体の産生
量(全糖量にて表示)を図3に示した。
【0026】炭素源としたエタノール濃度が1〜2%
(v/v)ではBL58株は速やかに生育したが、エタノ
ール濃度を高くするに従って、生育の誘導期が長くな
り、7%(v/v)以上のエタノール濃度では生育は認め
られなかった。エタノール濃度が4%(v/v)までは多
糖体の産生量も増加する傾向にあり、エタノール濃度2
〜5%(v/v)では培養液はゲル化し、高い多糖体の産
生を示した。エタノール濃度が5%(v/v)以上では多
糖体の産生量は低下した。
【0027】(各種炭素源の影響)BL58株の多糖体
の産生に及ぼす炭素源としてのアルコール類と糖類の影
響を図4に示す。本菌は0.5%(v/v)のプロパノール
やブタノールを炭素源として利用したが、メタノールで
の生育は認められなかった。また、本菌は3%(w/v)
のグリセロール、グルコース及びフルクトースを炭素源
として生育したが、ラクトースでは生育しなかった。多
糖体の産生においては、エタノールの場合は0.5%(v
/v)濃度においても培養液の粘度の増加が観察された
が、他のアルコール類では培養液粘度の増加はほとんど
認められなかった。一方、糖質を炭素源とした多糖体の
産生は、対象とした3%(v/v)エタノールでは培養液
は完全にゲル化するのに対し、3%(w/v)のグルコー
スやフルクトースの場合には培養液の粘度増加のみが観
察され、ゲル化するまでには至らなかった。
【0028】例3:多糖体標品の調製及びその特性 BL58株を上記表Iに示す培地100mlを入れた坂口
フラスコ合計10本に培養し(30℃、5日間、初発p
H10.0)、ゲル化した培養液に蒸留水を添加して希
釈した後、その遠心分離上清を蒸留水に対して透析し
た。多糖体を透析液の凍結乾燥標品として調製した。以
後の分析は、多糖体凍結乾燥標品を用いた結果を示す。
【0029】(多糖体の化学構造)BL58株が産生す
る多糖体の分子量を、Shodex GS−710(商
標)のゲルろ過カラムを用いて高速液体クロマトグラフ
ィーにより測定した、既知分子量のデキストリンを分子
量マーカーとして用いて測定した結果、BL58株の産
生する多糖体の分子量は約160万と推定された。
【0030】本多糖体の構成成分はグルコースとマンノ
ースが1:1の割合からなり、微量の有機酸を含んでい
た。本多糖体の組成成分は以下の方法を用いて分析し
た。
【0031】1%(w/v)の多糖体を2規定のTFA
(トリフルオロ酢酸)存在下で酸加水分解(100℃、
12時間)した後、その分解物を薄層クロマトグラフィ
ーと高速液体クロマトグラフィーを用いて分析した。薄
層クロマトグラフィーの結果を図5に示した。
【0032】ゲル化に及ぼす多糖体濃度と温度の影響を
調べた。0.5〜3.0%(w/v)濃度の多糖体溶液を調
整し、各濃度でのゲル化を観察した。1%、2%及び3
%(w/v)の多糖体水溶液では、それぞれ10℃、30
℃、55℃まで完全に固化しており、ゲル化状態を保つ
ことができた。また、多糖体濃度を調節することによ
り、ゲル化温度を微妙に制御できる特性を示した。これ
らの結果を表IIに示す。
【0033】 (有機溶媒分散効果)1%(w/v)のBL58株由来の
多糖体水溶液に対して、エタノールやアセトンを1:1
の割合で添加して、ゲル化に及ぼす影響を検討した。通
常の微生物多糖体は有機溶媒により沈殿を生じる。しか
し、BL58株の生産する多糖体は50%のエタノール
やアセトン存在下においても沈殿は観察されず、寧ろ多
糖体溶液中に有機溶媒が分散され、ゲル化を促進した。
【0034】(金属イオンのゲル化効果)BL58株由
来の多糖体1%(w/v)溶液に種々の金属塩を添加した
後、ゲル化に及ぼす金属塩の添加効果を検討した。2価
金属塩の添加により、多糖体のゲル化が促進された。特
に、Mnイオンは低温条件下でのゲル化に有効であっ
た。
【0035】(多糖体の安定性)BL58株由来の多糖
体3%(w/v)溶液は安定なゲルを形成する。そこで、
酸性やアルカリ性条件下での安定性を検討した。pH3.
0〜11.0では安定なゲルを形成したが、pH3.0あ
るいはpH11.0に調整して煮沸するとゲルは液化状態
となった。
【0036】例4:本発明の多糖体に由来するゲルの安
定性 例3において調製した多糖体を用いてゲルの温度安定性
を調べた。キサンタンガムとレバンはシグマ ケミカル
社(Sigma Chemical Co.,USA)の製品を用いた。ポリマ
ーサンプルをそれぞれ蒸留水に3%あるいは5%(w/v)
に溶解し、50〜100℃で30分間保持後、観察した
結果を表IIIに示す。本発明に従う多糖体は50〜10
0℃においてゲル化状態を保ったが、キサンタンガムで
はペースト状であり、レバンは粘性を帯びた溶液状を呈
するのみであった。
【0037】 表III BP キサンタンガム レバン 温度 3% 5% 3% 5% 3% 5% 50℃ G G P P S S 60℃ G G P P S S 70℃ G G P P S S 80℃ G G P P S S 90℃ G G P P S S 100℃ G G P P S S G:ゲル化 P:ペースト状 S:低粘性 例5:本発明の多糖体のpH安定性 例3において調製した多糖体、キサンタンザム(シグマ
ケミカル社製)、レバン(シグマ ケミカル社製)の
各3%水溶液を1規定塩酸あるいは1規定水酸化ナトリ
ウムによりpH2〜11の各pHに調整、25℃、6時間
保持後に観察した。表IVに示すように、本発明による多
糖体はpH2〜11の間において安定なゲル化状態を維
持し、物性の変化は認められなかった。同条件下でキサ
ンタンガムはペースト状になり、レバンは粘性を帯びた
溶液状になりゲル化することはなかった。
【0038】表IV pH BP キサンタンガム レバン 2 G P S 3 G P S 4 G P S 5 G P S 6 G P S 7 G P S 8 G P S 9 G P S 10 G P S11 G P S G:ゲル化 P:ペースト状 S:低粘性 次に、3%(w/v)の各多糖体溶液を強酸性(0.5規定
塩酸)、あるいは強アルカリ性(0.5規定水酸化ナト
リウム)条件下で、室温あるいは煮沸(30分間)を行
い物性変化を観察した。表Vに結果を示すように、本発
明になる多糖体は0.5規定塩酸中でも室温でゲルを形
成した。煮沸あるいは0.5規定水酸化ナトリウム水溶
液中では強い粘ちょう液となり、キサンタンザム、レバ
ンよりも明らかに高粘性を保った。
【0039】 表V 溶液 BP キサンタンガム レバン 0.5N HCI 室温 G P S 煮沸(30分) V P S 0.5N NaOH 室温 V P S 煮沸(30分) V P S G:ゲル化 V:高粘性 P:ペースト状 S:低粘性
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、多糖体の水溶液中の濃
度を調節することにより、低粘性から高粘性、さらにゲ
ル化状態を任意に調節することができる多糖体が提供で
きる。かかる、本多糖体によるゲルは、耐高温性、耐酸
性、耐アルカリ性を有しており、医薬・食品の粘性・品
質改善、化粧料の保湿性・粘性の改善、トイレタリー製
品への応用、建築資材の改良、石油の3次回収への応用
等が計れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】BL58株の生育に及ぼす培地pHの影響。
【図2】BL58株の生育に及ぼすエタノール濃度の影
響を示す図。
【図3】培養培地中の初発エタノール濃度と多糖体生産
量の関係を表す図。
【図4】多糖体生産に及ぼす炭素源の影響。
【図5】酸加水分解物の薄層クロマトグラフィーの図。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゲル濾過カラムを用いる高速液体
    クロマトグラフィーにより測定した場合の分子量が約1
    60万であり (B)構成成分として1:1のモル比でグルコースとマ
    ンノース残基を含んでおり、そして (C)5℃ないし10℃において0.5(重量/容量)
    %の水溶液は粘性溶液となるが、1(重量/容量)%の
    水溶液はゲル状となり、かつシュードモナス(Pseu
    domonas)属細菌が産生しうることを特徴とする
    粘性特性の調節可能な多糖体。
  2. 【請求項2】 請求項記載の多糖体の製造方法であっ
    て該多糖を産生しうるシュードモナス(Pseudom
    onas)属細菌を栄養培地で培養し、培養物から該多
    糖体を採取することを特徴とする多糖体の製造方法。
  3. 【請求項3】 シュードモナス属細菌がシュードモナス
    ・スツツェリ(Pseudomonas stutze
    ri)BL58株(FERM P−16025号)であ
    る請求項に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 栄養培地が炭素源、窒素源、酵母エキス
    及び金属塩類を含んでなる請求項または記載の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 炭素源の全てもしくは一部がエタノール
    である請求項ないしのいずれかに記載の製造方法。
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