JP4418969B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents
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Description
しかしながら、容量形成層と中間層間に生じる収縮差を緩和する効果を得るためには内部電極層の構成や配設態様などを適切に調整することが必要であり、所望の効果を得ることは容易でないのが実情である。
例えば、特許文献1の図4に示されているように、容量を形成しない電極として、単一層内(同一平面)に4分割された内部電極層を配設した構成の場合、後述の実施例の欄でも説明するように、熱処理工程でクラックが発生することが確認されている。
(a)セラミック誘電体層と、静電容量の形成に寄与する容量形成用内部電極層とが積層された構造を有し、一端側が前記セラミック誘電体層の一方端部に引き出された一枚の容量形成用内部電極層と、一端側が前記セラミック誘電体層の他方端部に引き出された一枚の容量形成用内部電極層とが、前記セラミック誘電体を介して対向することにより容量が形成されるように構成された、複数の容量形成層と、
(b)セラミック誘電体層と、静電容量の形成に寄与しないダミー用内部電極層とが積層された構造を有し、互いに隣り合う前記容量形成層の間に配設されて、前記容量形成層における電歪現象に起因して発生する応力を緩和する応力緩和層と、
(c)前記容量形成用内部電極層と、前記ダミー用内部電極層との間で容量が形成されることを阻止し、前記容量形成層と前記応力緩和層との間に配設されている容量形成阻止用内部電極層と
を具備する積層セラミックコンデンサであって、
前記応力緩和層の厚みが100〜300μmであり、
前記ダミー用内部電極層の層数が13〜41層であって、かつ、
前記ダミー用内部電極層の単一層内の平面面積が、前記容量形成用内部電極層の単一層内の平面面積の60%以上であるとともに、
前記ダミー用内部電極層が、単一層内において分割されていないか、あるいは、2つまたは3つに分割されていること
を特徴としている。
なお、ダミー用内部電極層が、単一層内において分割されていない構成の場合にも、応力緩和層の厚み、および、ダミー用内部電極層の単一層内の平面面積の、容量形成用内部電極層の単一層内の平面面積に対する割合が、上述の本願発明の要件を満たす場合には、焼成時の内部電極層とセラミック誘電体層の収縮差によるクラックの発生を抑制する効果を得ることが可能である。
さらに、積層体(セラミック素子)1は、上記の静電容量の形成に寄与する容量形成用内部電極層3a,3bと、ダミー用内部電極層23(分割電極23a,23b)との間で容量が形成されることを阻止する容量形成阻止用内部電極層24a,24bを備えており、この容量形成阻止用内部電極層24a,24bは、容量形成層11a,11bと応力緩和層(中間層)12との間に配設されている。
また、容量形成層11a,11bと応力緩和層(中間層)12を備えた積層体(セラミック素子)1の両端面4a,4bには外部電極5a,5bが配設されている。
また、応力緩和層(中間層)12を構成するセラミック誘電体層22として、容量形成層11a,11bを構成するセラミック誘電体層2と同じく、BaTiO3系の高誘電率セラミックを主成分とする材料が用いられている。
さらに、容量形成用内部電極層3a,3bとダミー用内部電極層23(分割電極23a,23b)との間の容量形成を阻止する容量形成阻止用内部電極層24a,24bとしても、Niを構成材料とする電極が用いられている。
長さ(L0) :1.6mm
幅(W0) :0.8mm
厚み(T0) :0.8mm
セラミック層(誘電体層)厚み:7.1μm
外層厚み(T2) :70μm
容量形成層の容量形成用内部電極層の寸法
長さ(L1) :1.34mm
幅(W1) :0.51mm
容量形成層のセラミック層の全積層数 :60層
応力緩和層の厚み(T1) :0〜300μm
また、150℃−3WV−60minの処理後の構造欠陥は、電歪現象(逆圧電現象)により生じた構造欠陥である。
なお、150℃−3WV−60minの処理は、処理を行う前の段階で既に構造欠陥が生じているもの(すなわち、焼成時の収縮差によって構造欠陥が生じているもの)を除いた試料について行った。
評価1〜7では、応力緩和層(中間層)が静電容量の形成に寄与しないダミー用内部電極層を備えていない場合における、中間層の厚みと構造欠陥発生率の関係を調べた(比較例)。
(2)評価8〜14
評価8〜14では、応力緩和層(中間層)がダミー用内部電極層23を備えている場合における、中間層の厚みと構造欠陥発生率の関係を調べた。
(3)評価15〜19
評価15〜19では、単一層内のダミー用内部電極層23の平面面積と構造欠陥発生率の関係、すなわち、図3の左側の分割電極23a,右側の分割電極23bについて、L方向の寸法(LL,LR)を変化させることによりダミー用内部電極層23の平面面積を異ならせた場合における、ダミー用内部電極層23の平面面積と構造欠陥発生率の関係を調べた。
(4)評価20〜23
評価20〜23では、単一層内のダミー用内部電極層23の平面面積と構造欠陥発生率の関係、すなわち、図3の左側の分割電極23a,右側の分割電極23bについて、W方向の寸法(WL,WR)を変化させることによりダミー用内部電極層23の平面面積を異ならせた場合における、ダミー用内部電極層23の平面面積と構造欠陥発生率の関係を調べた。
(5)評価24〜27
評価24〜27では、単一層内のダミー用内部電極層23の平面面積と構造欠陥発生率の関係、すなわち、図3の左側の分割電極23a,右側の分割電極23bについて、L方向とW方向の両方の寸法(LL,LR),(WL,WR)を変化させることによりダミー用内部電極層23の平面面積を異ならせた場合における、ダミー用内部電極層23の平面面積と構造欠陥発生率の関係を調べた。
(6)評価28,29
評価28,29では、単一層内(同一平面)のダミー用内部電極層23について、その合計平面面積を同じとして、ダミー用内部電極層23の配設パターンを変化させた場合の構造欠陥発生率を調べた。すなわち、評価28ではダミー用内部電極層23を2つの分割電極23a,23bに分割し、各分割電極の、図3のL方向の寸法を異ならせた場合の構造欠陥発生率を、また、評価29では、図4に示すように、分割されていない1つのダミー用内部電極層23を配設した場合の構造欠陥発生率を調べた。
なお、評価29では、図4に示すように、1つのダミー用内部電極層23のみを、応力緩和層(中間層)12の中央に備えた構造を有しており、分割数が0となっている。
(7)評価30,31
評価30,31では、単一層内のダミー用内部電極層23の分割数と構造欠陥発生率の関係を調べた。
(1)評価1〜7
表1の評価1〜7のように、応力緩和層(中間層)がダミー用内部電極層23を備えていない場合、中間層の厚みが100μm以下の場合(評価1〜4)、電歪現象(逆圧電現象)による構造欠陥が発生し、また、中間層の厚みが150μm以上になると(評価5,6,7)、焼成工程での収縮差による構造欠陥が発生することがわかった(図7参照)。
この評価1〜7より、中間層がダミー用内部電極層23を備えていない場合、良好な結果が得られないことが確認された。
表2の評価8〜14のように、応力緩和層(中間層)がダミー用内部電極層23を備え、分割数が2の場合、中間層の厚みが100μm未満の場合には、電歪現象(逆圧電現象)による構造欠陥の発生が認められたが、中間層の厚みが100〜300μmの場合、焼成工程での収縮差による構造欠陥および電歪現象(逆圧電現象)による構造欠陥の発生が認められなかった(図8参照)。
表3の評価15〜19のように、ダミー用内部電極層23の平面面積を、図3のL方向の寸法を変化させることによって変化させた場合、単一層内のダミー用内部電極層23の平面面積が、静電容量の形成に寄与する容量形成用内部電極層の単一層内の平面面積の60%以上になると(評価15,16)、電歪現象(逆圧電現象)による構造欠陥および焼成工程での収縮差による構造欠陥の両方の構造欠陥の発生を防止することが可能になるが、ダミー用内部電極層23の平面面積が、容量形成用内部電極層の平面面積の60%未満になると(評価17,18,19)、焼成工程での収縮差による構造欠陥が発生するようになることが確認された(図9参照)。
表3の評価20〜23のように、ダミー用内部電極層の平面面積を、図3のW方向の寸法を変化させることによって変化させた場合、単一層内のダミー用内部電極層23の平面面積が、容量形成用内部電極層(有効電極層)の単一層内の平面面積の60%以上である場合には(評価20)、電歪現象(逆圧電現象)による構造欠陥および焼成工程での収縮差による構造欠陥の発生を防止することが可能になるが、ダミー用内部電極層23の平面面積が、容量形成用内部電極層の単一層内の平面面積の60%未満になると(評価21〜23)、焼成工程での収縮差による構造欠陥が発生するようになることがわかった(図9参照)。
表4の評価24〜27のように、ダミー用内部電極層23の平面面積を、図3のL方向およびW方向の両方の寸法を変化させることによって変化させた場合、ダミー用内部電極層23の平面面積が、容量形成用内部電極層の単一層内の平面面積の60%以上である場合(評価24)には、電歪現象(逆圧電現象)による構造欠陥および焼成工程での収縮差による構造欠陥の発生を防止することが可能になるが、ダミー用内部電極層23の平面面積が、容量形成用内部電極層の単一層内の平面面積の60%未満になると(評価25〜27)、焼成工程での収縮差による構造欠陥が発生するようになることがわかった(図9参照)。
表4の評価28および29に示すように、単一層内のダミー用内部電極層23について、評価28における、ダミー用内部電極層23を構成する2つの分割電極の合計平面面積と、評価29の単一のダミー用内部電極層23の平面面積を同じとした場合について以下に述べる。
評価28における、ダミー用内部電極層23を構成する2つの分割電極における、図3のL方向の寸法を異ならせた場合(分割電極を左右対称でないパターンとした場合)も、ダミー用内部電極層23の平面面積が容量形成用内部電極層の平面面積の60%以上である場合には、逆圧電現象による構造欠陥および焼成工程での収縮差による構造欠陥の発生を防止できることが確認された。
また、評価29では、図4に示すように、単一のダミー用内部電極層23のみを備えた構造(すなわち、ダミー用内部電極層が分割されておらず、分割数が0である構造)となっているが、その場合にも、中間層の厚みおよびダミー用内部電極層23の容量形成用内部電極層に対する面積比が本願発明の要件を満たす限りにおいて、逆圧電現象による構造欠陥および焼成工程での収縮差による構造欠陥の発生を防止できることが確認された。
単一層内のダミー用内部電極層23として、図5,図6に示すように、3分割(分割箇所数2)(評価30)、および4分割(分割箇所数3)(評価31)されたダミー用内部電極層23を構成する分割電極(ダミー用内部電極層の平面面積の容量形成用内部電極層の平面面積に対する割合は90%)を配設した場合の、構造欠陥発生率を調べたところ、表4に示すように、3分割した評価30では、電歪現象(逆圧電現象)による構造欠陥および焼成工程での収縮差による構造欠陥のいずれの発生も防止できることが確認されたが、4分割した評価31では、表4および図10に示すように、熱処理工程における構造欠陥が発生することが確認された。なお、ダミー用内部電極層を4分割した場合において、熱処理工程における構造欠陥が発生する理由は必ずしも明確ではないが、分割数が3以下の場合に比べて、ダミー用内部電極層(分割電極)一層当たりの収縮量が小さいため、容量形成用内部電極層と収縮差が生じたことによるものではないかと考えられる。
したがって、本願発明は、種々の積層セラミックコンデンサに適用することが可能であり、特に、高破壊電圧、高耐電圧特性が要求される大容量で高耐電圧(高定格電圧タイプ)の積層セラミックコンデンサに好適に利用することができる。
2 セラミック誘電体層
3a,3b 容量形成用内部電極層
4a,4b 積層体(セラミック素子)の端面
5a,5b 外部電極
11a,11b 容量形成層
12 応力緩和層(中間層)
22 セラミック誘電体層
23 ダミー用内部電極層
23a,23b ダミー用内部電極層を構成する分割電極
24a,24b 容量形成阻止用内部電極層
33a,33b,33c ダミー用内部電極層を構成する3つの分割電極
43a,43b,43c,43d ダミー用内部電極層を構成する4つの分割電極
L0 セラミック素子の長さ
W0 セラミック素子の幅
T0 セラミック素子の厚み
T1 応力緩和層の厚み
T2 外層厚み
L1 容量形成層の容量形成用内部電極層の長さ
W1 容量形成層の容量形成用内部電極層の幅
LL 図3の左側の分割電極のL方向の寸法
LR 図3の右側の分割電極のL方向の寸法
WL 図3の左側の分割電極のW方向の寸法
WR 図3の右側の分割電極のW方向の寸法
Claims (2)
- (a)セラミック誘電体層と、静電容量の形成に寄与する容量形成用内部電極層とが積層された構造を有し、一端側が前記セラミック誘電体層の一方端部に引き出された一枚の容量形成用内部電極層と、一端側が前記セラミック誘電体層の他方端部に引き出された一枚の容量形成用内部電極層とが、前記セラミック誘電体を介して対向することにより容量が形成されるように構成された、複数の容量形成層と、
(b)セラミック誘電体層と、静電容量の形成に寄与しないダミー用内部電極層とが積層された構造を有し、互いに隣り合う前記容量形成層の間に配設されて、前記容量形成層における電歪現象に起因して発生する応力を緩和する応力緩和層と、
(c)前記容量形成用内部電極層と、前記ダミー用内部電極層との間で容量が形成されることを阻止し、前記容量形成層と前記応力緩和層との間に配設されている容量形成阻止用内部電極層と
を具備する積層セラミックコンデンサであって、
前記応力緩和層の厚みが100〜300μmであり、
前記ダミー用内部電極層の層数が13〜41層であって、かつ、
前記ダミー用内部電極層の単一層内の平面面積が、前記容量形成用内部電極層の単一層内の平面面積の60%以上であるとともに、
前記ダミー用内部電極層が、単一層内において分割されていないか、あるいは、2つまたは3つに分割されていること
を特徴とする積層セラミックコンデンサ。 - 前記応力緩和層を構成するセラミック誘電体が、前記容量形成層を構成するセラミック誘電体と同一のセラミック誘電体であることを特徴とする請求項1記載の積層セラミックコンデンサ。
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