JP4416212B2 - 熱成形装置および熱成形方法 - Google Patents

熱成形装置および熱成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱成形装置および熱成形方法に関し、特に、接触加熱成形を行う熱成形装置および熱成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
接触加熱式の熱成形においては、シート状に形成された軟化熱可塑性樹脂を表面板に搬送して同表面板上でシート状樹脂を接触させて加熱し、加熱後に表面板と対面する雌型内壁にシート状樹脂を当接させ成形する。このとき、シート状樹脂に加熱ムラがあると成形品の肉厚ムラなどの原因になることから、均一に熱伝導を行わせるために表面板と雌型内壁とに小穴を設けて同表面板の小穴を介してシート状樹脂を吸引し雌型表面の小穴を介して圧縮空気等で押圧しつつ接触加熱を行っていた。
【0003】
ここで、吸引時の吸引漏れなどによってシート状樹脂と表面板との当接面にエア溜まりが発生すると、成形品にレインドロップと呼ばれる雨滴状の模様が生じてしまう。そこで、従来の熱成形においては、表面板の当接面を所定の粗面に形成して吸引気体流路を確保し、エア溜まりの発生を防いでいた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の熱成形装置においては、次のような課題があった。
すなわち、表面板の当接面を粗面にすると、吸引気体流路を確保することによってエア溜まり発生を防いでレインドロップが生じないようにすることができる。しかし、表面板の当接面が粗面であるために当該粗面状の細かい凹凸がシート樹脂に転写されてしまい、透明のシート状樹脂成形を行う場合に透明性を低下させてしまう。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、レインドロップ発生を防ぎつつも高品位な透明樹脂成形が可能である熱成形装置および熱成形方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、一面が鏡面に形成されるとともに複数の第一の通気穴を有する表面板と、同表面板を加熱する表面板加熱手段と、上記表面板へ搬送する前のシート状樹脂を予備加熱するプレヒート手段と、予備加熱された上記シート状樹脂を上記表面板鏡面に搬送するシート状樹脂搬送手段と、上記表面板の第一の通気穴と連通し圧力調整機構と、上記表面板に対して進退しつつ間に上記シート状樹脂を気密的に挟持可能であって同シート状樹脂を所定形状に成形する成形型を有するとともに、当該成形型の壁面に第二の通気穴を有する成形手段とを具備し、上記表面板から上記成形型が離間しているときに上記シート状樹脂搬送手段により上記予備加熱されたシート状樹脂を上記表面板へ搬送し、次に上記圧力調整機構により上記表面板の第一の通気穴から気体を吸引し、上記成形手段により上記成形型を上記表面板へ近づける途中で上記成形型の第二の通気穴から圧縮空気を噴出させ、上記成形型と上記表面板との間に上記シート状樹脂が気密的に挟持された後に上記成形手段により上記シート状樹脂を上記成形型の壁面に接触させる構成としてある。
【0006】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、表面板は一面が鏡面に形成されるとともに複数の第一の通気穴を有しており、表面板加熱手段はこの表面板を加熱するようになっている。プレヒート手段は、上記表面板へ搬送する前のシート状樹脂を予備加熱する。シート状樹脂搬送手段は、プレヒート手段で予備加熱されたシート状樹脂を上記表面板鏡面に搬送し、表面板が表面板加熱手段で加熱されることにより同表面板に搬送されるシート状樹脂が加熱されるようになっている。また、圧力調整機構は表面板の通気穴と連通している
【0007】
成形手段は上記表面板に対して進退しつつ間に上記シート状樹脂を挟持可能であって同シート状樹脂を所定形状に成形する成形型を有するとともに、当該成形型の壁面に第二の通気穴を有している。そして、熱成形装置は、上記表面板から上記成形型が離間しているときに上記シート状樹脂搬送手段により上記予備加熱されたシート状樹脂を上記表面板へ搬送し、次に上記圧力調整機構により上記表面板の第一の通気穴から気体を吸引し、上記成形手段により上記成形型を上記表面板へ近づける途中で上記成形型の第二の通気穴から圧縮空気を噴出させ、上記成形型と上記表面板との間に上記シート状樹脂が気密的に挟持された後に上記成形手段により上記シート状樹脂を上記成形型の壁面に接触させる。すなわち、シート状に形成された軟化熱可塑性樹脂を鏡面に接触させることによって、樹脂シートに傷等の模様を転写することなく成形を行うことが可能となって透明樹脂シートの成形品の透明性を損なわない。
また、表面板にて接触加熱がなされるシート状樹脂は上記プレヒート手段によって前もって加熱されている。このため、表面板とシート状樹脂との接触面においてエア溜まりが発生しにくい。また、シート状樹脂において当該接触面とその反対の面とでは温度勾配が生じるが、予備加熱をしておくと当該接触面をある温度にまで加熱する時間が短く、温度勾配も小さい。従って、より効果的に成形後のレインドロップや肉厚ムラの発生を防止することができる。
【0008】
ここで、上記シート状樹脂搬送手段は、シート状樹脂を上記表面板に搬送することができればよく、搬送ローラによって表面板に導くようにしてもよいし、シート状樹脂の両端を把持しながら搬送してもよく、様々な構成が考えられる。上記成形手段は、シート状樹脂搬送時にはその妨げにならないように当該搬送経路から退避しておき、成形時に樹脂シートに成形型を接触させることができればよく、そのための構成は様々である。
【0009】
例えば、成形型を構成したユニットに対してボールネジを構成し、いわゆるメカフィード機構で当該ユニットを進退させてもよいし、その他物体を進退させる様々な機構が採用可能である。また、成形型は所望の成形品形状の外面と同様な形状の内壁を有する雌型で構成することもできるし、成型品形状の内面と同様な形状の外壁を有する雄型で構成することもであって、種々の形状とすることが可能である。さらに、複数の雌型を同時に進退可能に構成して一度に複数の成形品を作成するように構成することも可能である。
【0010】
表面板においては、複数の通気穴を有しつつも一面が鏡面に形成できればよく、その製法や素材等は様々である。その構成の一例として、請求項1に記載の熱成形装置において、上記表面板に形成される鏡面は硬質クロムメッキにて形成されてもよい
【0011】
上記のように構成された発明において、表面板と樹脂シートとが接触する面である表面板上の鏡面は、硬質クロムメッキにて形成されている。すなわち、種々の材料を鏡面に形成するためには、ある程度の硬度や耐磨耗性等の性質が要求される。そこで、表面板に対して、簡単に形成することが可能であり、空気中で安定,光沢の変化が少ない,硬い,耐磨耗性が良い等の好適な性質を有する硬質クロムメッキを使用することとした。
【0012】
硬質クロムメッキを使用して鏡面を形成する際の、より具体的な製法の一例としては、例えば所定の素材を板状に形成し、鏡面を形成したい面を平面研削するなどしてある程度平らにし、ラッピングを施した後、電気メッキにより硬質クロムメッキ面を形成する。その後、さらに平面研削してラッピングを施した後にバフ研磨等を行って平滑な鏡面を形成することが考えられる。むろん、鏡面を得るためには必ずしも上記のような手法を採用する必要があるわけではなく、焼き入れを行った表面板に平面研削,ラッピングを施してバフ研磨によって鏡面仕上げを行うこと等も可能である。
【0013】
また、請求項2にかかる発明は、上記請求項1に記載の熱成形装置において、上記成形手段は、ヒータで加熱された圧縮空気を上記成形型の第二の通気穴から噴出する構成としてある。
【0014】
さらに、請求項3にかかる発明は、上記請求項1または請求項2に記載の熱成形装置において、上記成形型と上記表面板との間に上記シート状樹脂が気密的に挟持されたときに上記成形手段による上記成形型の第二の通気穴からの圧縮空気の噴出を停止させ、その後、上記圧力調整機構により上記表面板の第一の通気穴から圧縮空気を噴出するとともに上記成形手段により上記成形型の第二の通気穴から気体を吸引する構成としてある。
【0015】
また、上記プレヒート手段は、シート状樹脂を表面板と接触させる前に予備加熱を行うことが可能であればよくその構成は様々であって、シート状樹脂に対して接触加熱を行っても良いし輻射加熱を行ってもよい。かかる構成の一例として請求項4にかかる発明は、上記請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の熱成形装置において、上記プレヒート手段は、外周面に当接するシート状樹脂を加熱するメインローラと、シート状樹脂の搬送経路において同メインローラの前後に軸平行に配設されるガイドローラとを具備し、同ガイドローラにてシート状樹脂を上記メインローラの外周面に導いて、シート状樹脂を搬送しつつ接触加熱する構成としてある。
【0016】
上記のように構成した発明においては、上記プレヒート手段は、メインローラとガイドローラから構成されている。ここで、メインローラは外周面に当接するシート状樹脂を加熱可能であり、ガイドローラはシート状樹脂の搬送経路において同メインローラの前後に軸平行に配設される。そして、搬送経路の前部でガイドローラにてシート状樹脂を上記メインローラの外周面に導き、搬送経路後部でガイドローラにてシート状樹脂を引っ張る。この結果、シート状樹脂が搬送されつつ接触加熱される。むろん当該接触加熱がなされた後に、シート状樹脂は上記シート状樹脂搬送手段にて上記表面板に搬送される。
【0017】
ここで、メインローラは当接するシート状樹脂を加熱することが可能であればよく、例えば、メインローラを良熱伝導体にて構成し、その内部のヒータ等の発熱体の熱を表面に伝導させるなど様々な構成が考えられる。このメインローラにおいて予備的に加熱するのはシート状樹脂と表面板との間におけるエア溜まりの発生を防ぐためであり、シート状樹脂を適度に柔らかくするように加熱を行うためにはメインローラの発熱体の発生熱を調整したり、メインローラの径の大小を調整することにより加熱されている時間を調整したりするなど様々な手法が考えられる。
【0018】
さらに、シート状樹脂と表面板とを接触させる際にこれらの間にエア溜まりを発生させないように予備加熱を行うための他の構成の一例として、請求項5にかかる発明は、上記請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の熱成形装置において、上記プレヒート手段は、外周面に当接するシート状樹脂を加熱する複数の送りローラを具備し、同送りローラにてシート状樹脂を搬送しつつ接触加熱する構成としてある。
【0019】
上記のように構成した発明においては、上記プレヒート手段は、シート状樹脂を外周面に当接させつつ加熱する複数の送りローラからなり、同送りローラにてシート状樹脂を搬送しつつ接触加熱する。ここにおいても、送りローラは当接するシート状樹脂を加熱することが可能であればよく、内部ヒータを有する良熱伝導体などで構成すればよい。さらに、上記ガイドローラのようなもので引っ張る構成としてもよく、また、所望の予備加熱を行うために送りローラの発熱体の発生熱を調整したり、送りローラの径の大小を調整したりすることもできる。
【0020】
上記圧力調整機構は、表面板に設けられる複数の通気穴近傍に吸引力と押圧力とを発生させることができればよく、吸引としては例えば、弁を介して真空ポンプを接続し、吸引動作時のみに開弁するように構成すればよい。むろん、真空ポンプとしては様々な種類のものを採用することが可能であり、例えばロータリーポンプやディフュージョンポンプなど様々な構成が考えられる。さらに、押圧としては小穴から圧縮空気等を噴出可能に構成することなどが可能であり、例えば弁を介してエアコンプレッサを接続し、押圧動作時のみに開弁して圧縮した空気を送るようにするなど様々な構成が考えられる。
【0021】
さらに、この圧縮空気をシート状樹脂に噴出させる際に好適な一例として、請求項6にかかる発明においては、上記請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の熱成形装置において、上記圧力調整機構は押圧力生成時に上記通気穴から加熱された圧空を噴出させる構成としてある。
【0022】
上記のように構成した発明においては、圧力調整機構は押圧力生成時に上記通気穴から加熱された圧空を噴出させる。すなわち、圧縮空気をシート状樹脂に対して噴出して押圧力を発生させる際に、通常はシート状樹脂においては表面板と離れると同時に冷却が始まるが、このとき、温度低下が急激であると肉厚ムラ等の原因になり、圧縮空気の温度が低いとよけいにその温度低下を助長させる。そこで、圧縮空気を加熱しておき、シート状樹脂に押圧力が作用している状態でも温度低下を抑えるようにした。従って、肉厚ムラ等の発生が防がれてより高品位の熱成形が可能となる。ここで、圧縮空気を加熱するには様々な手法が考えられ、例えば、コンプレッサを介して圧縮空気を供給する場合にはその圧縮空気の通路にヒータを構成し、圧縮空気が送られるとともに加熱されるように構成するなど、様々な手法が採用可能である。
【0023】
ート状樹脂は平面であり、当該接触面と反対側の面にて吸引力と押圧力とを作用させることもできる。かかる場合の構成の一例として、上記請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の熱成形装置において、上記成形手段は成形型壁面に通気穴を有するとともに同通気穴近傍に吸引力と押圧力とを生成する成形型圧力調整機構を具備する構成としてもよい
【0024】
上記のように構成した発明においては、上記成形手段は成形型圧力調整機構を具備しており、成形型壁面に通気穴を有するとともに同通気穴近傍に吸引力と押圧力とを生成するようになっている。すなわち、成形型は表面板に対してシート状樹脂を挟んで対向しており、この成形型側からシート状樹脂を吸引し、押圧する。より具体的には、成形時にはシート状樹脂は成形型と表面板との間に挟持されるので、上記成形型の通気穴にて吸引力を発生させるとシート状樹脂が成形型壁面に接触して成形がなされる。
【0025】
また、成形直前に成形型側からシート状樹脂に対して押圧力を発生させると、シート状樹脂と表面板とがより確実に接触して、レインドロップの原因となるエア溜まりの発生等を防ぐことが可能となる。ここで、圧縮空気を加熱しておくことにより、成形型側のシート状樹脂を加熱することができ、成形品の品質を低下させる肉厚ムラの原因となるシート状樹脂内の温度勾配を低減することができる。
【0026】
このように、成形型圧力調整機構にて圧縮空気によって押圧力を生成すると、表面板とシート状樹脂との接触面におけるエア溜まりの発生を防ぐことができるが、その生成圧力の一例として、請求項7にかかる発明は、上記請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の熱成形装置において、上記成形型の第二の通気穴から圧縮空気を噴出させるときに当該第二の通気穴近傍に生成される押圧力は1平方センチメートル当たり3kg以上である構成としてある。
【0027】
上記のように構成した発明においては、上記シート状樹脂に押圧力を発生させるが、その押圧力は1平方センチメートル当たり3kg以上である。すなわち、従来のように表面板を粗面で構成しておくと、大きな圧力でシート状樹脂を押しつけるほど同シート状樹脂に粗面が転写されて透明度が低下していたが、本発明においては表面板が鏡面であるので、このような高い圧力でシート状樹脂を押圧するとシート状樹脂に鏡面が転写されて好適である。また、高い圧力で押圧することによりエア溜まりの発生を防ぎ、レインドロップを防止することができる。
【0028】
さらに、本発明においては上記プレヒート手段によってシート状樹脂を予備加熱し、成形型圧力調整機構によって鏡面を有する表面板に対してシート状樹脂を押圧する。ここで、上記押圧力の発生と表面板による加熱のタイミングを制御することによってレインドロップの発生を防止することも考えられる。かかる場合に好適な構成の一例として、上記シート状樹脂は上記プレヒート手段にて予備加熱されることにより表面板上に搬送された時点ですでに十分な膨張がなされていてもよい
【0029】
上記のように構成した発明においては、上記シート状樹脂は上記プレヒート手段にて予備加熱されることにより表面板上ではすでに十分な膨張がなされており、すでに十分な膨張をしている同シート樹脂に対して熱成形を行うこととなる。すなわち、膨張していないシート状樹脂が表面板上で膨張すると、同シート状樹脂は表面板と反対方向に膨張することが考えられ、表面板の加熱とともにこの膨張部分の周辺が表面板に接着すると、この膨張部分はエア溜まりとなることが考えられる。しかし、すでに十分に膨張している場合には表面板の加熱によってシート状樹脂が表面板と反対方向に膨張することはない。従って、シート状樹脂は成形型圧力調整機構による押圧と圧力調整機構による吸引によって表面板に対して接触する方向にのみ力が作用し、この状態で加熱されることによってエア溜まりの発生を防ぐことができる。
【0030】
このように、すでにシート状樹脂の膨張がなされていても、ある程度のエア溜まりがある状態でこのエア溜まりの周辺が表面板に接着すると、このエアは逃げることができない。そこで、表面板による加熱によってシート状樹脂が同表面板に接着する前にエアが逃げるように、加熱によるシート状樹脂の軟化速度とエアの逃げ速度とを考慮して接着する前にエアを逃がすように構成すると好適である。
【0031】
上述のように、表面板に接触させつつ加熱したシート状樹脂を成形型にて成形する接触加熱式の熱成形を行うに際して、鏡面状に形成した表面板を使用する手法は、必ずしも装置に限られない。その一例として、請求項8にかかる発明は、加熱軟化させたシート状樹脂を所定の成形型にて成形する熱成形方法であって、一面が鏡面に形成されるとともに複数の第一の通気穴を有する表面板を加熱する表面板加熱工程と、上記表面板へ搬送する前のシート状樹脂を予備加熱するプレヒート工程と、予備加熱された上記シート状樹脂を上記表面板鏡面に搬送するシート状樹脂搬送工程と、壁面に第二の通気穴を有する成形型を上記表面板に対して進退させつつ間に上記シート状樹脂を気密的に挟持して同シート状樹脂を所定形状に成形する成形工程とを具備し、上記表面板から上記成形型が離間しているときに上記予備加熱されたシート状樹脂を上記表面板へ搬送し、次に上記表面板の第一の通気穴と連通した圧力調整機構により上記表面板の第一の通気穴から気体を吸引し、上記成形型を上記表面板へ近づける途中で上記成形型の第二の通気穴から圧縮空気を噴出し、上記成形型と上記表面板との間に上記シート状樹脂が気密的に挟持された後に上記シート状樹脂を上記成形型の壁面に接触させて上記所定形状に成形する構成としてある。すなわち、必ずしも装置という形態に限らず、その方法としても有効である。
【0032】
また、請求項9にかかる発明は、上記請求項8に記載の熱成形方法において、ヒータで加熱された圧縮空気を上記成形型の第二の通気穴から噴出する構成としてある。
【0033】
さらに、請求項10にかかる発明は、上記請求項8または請求項9に記載の熱成形方法において、上記成形型と上記表面板との間に上記シート状樹脂が気密的に挟持されたときに上記成形型の第二の通気穴からの圧縮空気の噴出を停止させ、その後、上記表面板の第一の通気穴から圧縮空気を噴出するとともに上記成形型の第二の通気穴から気体を吸引する構成としてある。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜請求項3にかかる発明によれば、シート状樹脂を鏡面に接触させつつ加熱することによって成形品の透明性低下を防ぐことができ、高品位な成形品を作成可能な熱成形装置を提供することができる
【0035】
さらに、請求項4にかかる発明によれば、簡易な構成によりシート状樹脂を予備加熱することができる。
さらに、請求項5にかかる発明によれば、簡易な構成によりシート状樹脂を予備加熱することができる。
【0036】
さらに、請求項6にかかる発明によれば、より高品位な成形品を提供することができる
さらに、請求項7にかかる発明によれば、より高品位な成形品を提供することができる。
【0037】
さらに、請求項8〜請求項10にかかる発明によれば、シート状樹脂を鏡面に接触させつつ加熱することによって成形品の透明性低下を防ぐことができ、高品位な成形品を作成可能な熱成形方法を提供することができる
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる熱成形装置の概略斜視図であり、図2は熱成形装置の要部断面図である。図において、熱成形時の台座となるテーブル10には上部に表面板11が配設されており、同表面板11に対向するように雌型ユニット20が配設されている。雌型ユニット20は駆動制御部61に接続されており、同駆動制御部61の制御によって所定ストロークの範囲で上下動可能になっている。シート状樹脂は巻き取りロール70に巻き取られて表面板11上に搬送されるようになっており、表面板11の前段にはプレヒートロール30が配設され、シート状樹脂はガイドロールにて同プレヒートロール30外周面に導かれつつ、下方に引かれており、弛ませた後に表面板11上に搬送される。
【0039】
雌型ユニット20の下部には、成形品外周面が型取られるとともに下方に開口する複数のキャビティ21が設けられており、それぞれのキャビティ21の奥方には複数の通気穴22が空けられている。これらの通気穴22はキャビティ21上部に形成される通気室23に連通されており、この通気室23はソレノイドバルブ51,56を介してロータリポンプ(RP)50およびコンプレッサ55に連結されている。
【0040】
従って、ソレノイドバルブ51を開弁してソレノイドバルブ56を閉弁した状態では、上記キャビティ21内の気体は通気穴22と通気室23とを通じてロータリポンプ50によって吸引され、キャビティ21内においてキャビティ21奥方への吸引力を発生させる。また、ソレノイドバルブ51を閉弁してソレノイドバルブ56を開弁した状態では、コンプレッサ55からの圧縮空気が通気室23と通気穴22とを通じてキャビティ21内に噴出され、キャビティ21内においてキャビティ21開口方向への押圧力を発生させる。また、上記ソレノイドバルブ51,56は圧力制御部63に接続されており、同圧力制御部63の制御によって開弁と閉弁が切り替えられるようになっている。
【0041】
テーブル10内部かつ表面板11下部には、同表面板11に当接されるようにして加熱板12が配設されている。同加熱板12の下部にはシート状樹脂搬送方向に対して略直角方向に長い筒状体からなるヒータである複数のヒートパイプ13が埋設されており、同ヒートパイプ13はヒータ制御部62の制御によって加熱板12を加熱するようになっている。また、表面板11の上面は平面研削後にラッピング処理を行ってから硬質クロムメッキが施されており、さらに同メッキ面を平面研削後にラッピング処理が施され、さらにバフ研磨によって所定の鏡面に仕上げられている。
【0042】
図3はテーブル10の拡大斜視図であり、同図に示すように表面板11にはシート状樹脂搬送方向と略平行方向および略直角方向に複数の通気穴14が並べて空けられており、テーブル10の一面に設けられるドアの奥方には複数のバルブ15aが並設されている。そして、上記複数の通気穴14は加熱板12上部に設けられる通気機構15に連通されており、各バルブ15aの開閉によって通気穴14においてシート状樹脂搬送方向に略平行に並ぶ一列および略直角に並ぶ一列毎に通気を確保することが可能になっている。すなわち、列単位で通気穴14の通気・非通気状態を確保することにより、上記雌型ユニット20を変更して表面板11とキャビティ21との当接面積が変わった場合でも必要な面積の通気穴14のみを通気させて対応することができる。
【0043】
通気機構15はヒータ16とソレノイドバルブ52,57とを介して上記ロータリポンプ50,コンプレッサ55と連結されている。ソレノイドバルブ52,57は上述のソレノイドバルブ51,56と同様に圧力制御部63に接続され、同圧力制御部63の制御によって開弁と閉弁が切り替えられるようになっており、ヒータ16はヒータ制御部62に接続され、同ヒータ制御部62の制御によって所定のタイミングで加熱が開始される。従って、ソレノイドバルブ52を開弁してソレノイドバルブ57を閉弁した状態では、ロータリポンプ50によって通気機構15を通じて通気穴14近傍の気体が吸引され、表面板11上部に搬送されるシート状樹脂に対して吸引力を発生させることができる。
【0044】
また、ソレノイドバルブ52を閉弁してソレノイドバルブ57を開弁した状態ではコンプレッサ55からの圧縮空気が通気機構15と通気穴14とを通じて表面板11上部に噴出され、搬送されるシート状樹脂に対して押圧力を発生させることができる。ヒータ16は通気機構15とソレノイドバルブ52,57との間の気体通路に介装されて、通過する気体を加熱することが可能となっており、上記圧縮空気を噴出する際に上記ヒータ制御部62がヒータ16を駆動することによって、シート状樹脂に対して熱風を吹き付けるようになっている。
【0045】
図4は上記プレヒートロール30のシート状樹脂搬送方向に略直角な平面における断面図である。同図において、プレヒートロール30はシート状樹脂搬送方向に略直角に向いた軸を有する円筒状のロールであって、中心に鉄心33を備えており、同鉄心33の周りには複数のコイル31が巻き付けられている。鉄心33およびコイル31の周りには、鉄心33と同軸にしてロール部材32が備えられており、同ロール部材32はギヤ34に連結されている。このギヤ34は上記駆動制御部61に接続されており、同駆動制御部61の制御によってギヤ34を介してロール部材32が回転される。また、コイル31は上記ヒータ制御部62に接続されており、同ヒータ制御部62の制御によりコイル31に電力が供給され、電磁誘導によって発熱させることが可能となっている。
【0046】
また、シート状樹脂搬送経路には、同プレヒートロール30より小さい径を有するガイドロール35a,b,cが、搬送経路に沿って35a,b,cの順番でプレヒートロール30と軸平行に配設されている。ガイドロール35aの外周面とプレヒートロール30の外周面とは、搬送されるシート状樹脂厚と略同一距離だけ離間され、この離間部分にシート状樹脂を挟み込んで送るようになっている。すなわち、プレヒートロール30の下側でガイドロール35aによってガイドすることによってシート状樹脂をプレヒートロール30の外周面に当接させて熱的接触を確保しつつ送るようになっている。
【0047】
ガイドロール35bはシート状樹脂の搬送経路にてその外周面がシート状樹脂と略同一距離だけ離間されており、プレヒートロール30に当接するシート状樹脂を引っ張りつつ下方に導くようになっている。また、ガイドロール35cはプレヒートロール30と上記テーブル10との間に配設されており、下方に導かれたシート状樹脂が弛ませられつつ表面板11方向に導かれる。すなわち、このようにシート状樹脂を一旦下方に弛ませることによって同シート状樹脂が蛇行することを防いでいる。
【0048】
さらに、本熱成形装置は操作パネル40を備えており、オペレータが所望の搬送速度,加熱温度等をプログラマブルコントローラ60に設定しつつ各部の動作を行わせることが可能となっている。図5は本熱成形装置における制御系の構成を示すブロック図であり、同図においてプログラマブルコントローラ60に上記駆動制御部61,ヒータ制御部62,圧力制御部63,出力部41,入力部42が接続されている。
【0049】
ここで、出力部41は上記操作パネル40に備えるディスプレイからなり、搬送速度や加熱温度等のステータスを表示するようになっており、入力部42は上記操作パネル40に備えるボタンからなり、搬送速度や加熱温度等を所望の状態に設定可能になっている。駆動制御部61は上述のように雌型ユニット20とプレヒートロール30のギヤ34とに接続されており、また上記巻き取りロール70にも接続されている。そして、駆動制御部61は各部を制御して樹脂シートの搬送,雌型ユニット20の下降・上昇,樹脂シートの搬送を繰り返して熱成形を一連の流れで行うことを可能にしている。
【0050】
ヒータ制御部62はプレヒートロール30のコイル31と加熱板12に埋設されるヒートパイプ13とヒータ16とに接続されており、シート状樹脂搬送時の予備加熱と成形時の加熱および、圧空噴射時の加熱を所定のタイミングで行うようになっている。また、圧力制御部63はソレノイドバルブ51,52および56,57に接続されており、熱成形時にシート状樹脂に発生させる吸引力と押圧力との発生タイミングを制御するようになっている。また、ロータリポンプ50とコンプレッサ55とは接続されるソレノイドバルブによってパスが切り替えられるので、これらを駆動し続けてもよいが、上記プログラマブルコントローラ60に接続して、駆動の開始・停止とを制御するようにしても良い。
【0051】
このように、加熱板12とヒートパイプ13とこれらを制御するヒータ制御部62とが上記表面板加熱手段を構成し、シート状樹脂を搬送させるための上記駆動制御部61と巻き取りロール70とが上記シート状樹脂搬送手段を構成する。また、表面板11の通気穴14近傍に吸引力と押圧力とを発生させるための、上記圧力制御部63とソレノイドバルブ52,57とロータリポンプ50とコンプレッサ55と通気機構15とが上記圧力調整機構を構成し、熱成形品を成形するための上記駆動制御部61と雌型ユニット20とが上記成形手段を構成する。さらに、シート状樹脂を予備加熱するための上記ヒータ制御部62とプレヒートロール30とが上記プレヒート手段を構成する。
【0052】
以下、上記構成における本熱成形装置の動作を図6に示す動作シーケンスのフローチャート,図7に示す各部の動作タイミングチャートおよび図8に示す各部の駆動状態を示す断面図に沿って説明する。本実施形態においては、熱成形動作を開始するとステップS100にてヒータ制御部62の制御によりプレヒートロール30内のコイル31にて時刻t1で電磁誘導がなされてプレヒートロール30が加熱される。さらに、ステップS110にてヒータ制御部62の制御により加熱板12内のヒートパイプ13が加熱され、時刻t2で表面板11が加熱される。
【0053】
ステップS120では駆動制御部61が巻き取りロール70とプレヒートロール30のギヤ34とを駆動して、時刻t3でシート状樹脂の搬送を開始する。ここで、搬送前に加熱を開始するのは所望温度に達する時間的余裕を確保するためであって、連続して熱成形を行う場合にはプレヒートロール30と表面板11との温度を所定の状態になるように制御しておけばよく、一回の成形毎に加熱を停止したりする必要はない。しかし、熱成形装置の駆動開始時には、プレヒートロール30の加熱から開始することによりシート状樹脂に対して十分な予備加熱を行い、シート状樹脂の搬送前に表面板11の加熱を開始することによりシート状樹脂を迅速に加熱可能にすると好適である。
【0054】
ステップS130では、圧力制御部63が時刻t4でソレノイドバルブ52を開弁する。このため、図8(a)に示すように表面板11上面で搬送されるシート状樹脂に対して吸引力が発生する。ここで、表面板11の上面は鏡面に形成されており、予備加熱が施されたシート状樹脂が吸引されて表面板11の鏡面に当接されながら加熱されることにより、シート状樹脂の当接面には鏡面が転写される。従って、シート状樹脂としてOPSや透明PP等の透明性を有する素材を採用した場合に、成形品の表面で透明性を低下させる原因となる乱反射が発生せず、透明な成形品を提供することができる。
【0055】
ここで、成形品の透明性を確保するにしても、表面板が鏡面であることによってシート状樹脂内の温度不均一による肉厚ムラ等を発生させたり、シート状樹脂面と表面板との間にエア溜まりを発生させてレインドロップを発生させると不都合である。そこで、本実施形態においては表面板を鏡面にしつつもこれらの不都合が発生しないように構成してある。
【0056】
より具体的には、肉厚ムラ等を発生させないように以下の動作がなされる。
図9はシート状樹脂と表面板との当接面の拡大断面図およびシート状樹脂の温度変化を示しており、同図(a)は表面板を粗面に形成した上述の従来例の拡大断面図であり、同図(b),(c)は表面板を鏡面に形成した場合の拡大断面図である。また、シート状樹脂と表面板との当接面におけるシート状樹脂面をそれぞれPa,Pb,Pcとして示しており、当該当接面に対向するシート状樹脂面をそれぞれPA,PB,PCとして示している。
【0057】
さらに、シート状樹脂の温度変化としてシート状樹脂面Pa〜PcおよびPA〜PCの温度を時間に対してグラフに示しており、同図(b)は予備加熱を行わない場合の温度変化であり、同図(c)は予備加熱を行った場合の温度変化である。ここで、図(a),(b),(c)の場合の初期温度はそれぞれT0a,T0b,T0cであり、全ての場合においてシート状樹脂面Pa〜Pcの目的温度はT1であり、シート状樹脂面Pa〜Pcのそれぞれが目的温度に達した時点でのシート状樹脂面PA〜PCのそれぞれの温度はT2a〜T2cである。
【0058】
同図(a)と(b)とを比較すると、シート状樹脂の初期温度T0aとT0bとは同一であり、両者とも目的温度はT1である。加熱によってシート状樹脂面Pa,Pbの温度は上昇するが、シート状樹脂面Pbはシート状樹脂面Paと比較して表面板との接触面積が大きいので、昇温速度が大きい。従って、同図(b)のように表面板が鏡面である方が所望温度に達するまでに要する時間が短くなっている。
【0059】
しかし、シート状樹脂面PAとシート状樹脂面PBとを比較すると、シート状樹脂面Pbに与えられる熱量が大きいためにシート状樹脂面PBの昇温速度の方が多少大きいと考えられるものの、シート状樹脂面PAの温度T2aはシート状樹脂面PBの温度T2bより高い。従って、シート状樹脂面PA,Pa間の温度勾配ΔTaはシート状樹脂面PB,Pb間の温度勾配ΔTbより小さくなっている。従って、表面板を単に鏡面にした場合にはシート状樹脂内での温度勾配が大きくて肉厚ムラの原因になり、特に樹脂自身の成形可能温度範囲が狭いシートで不良率が増加し、歩留まり悪化の原因になってしまうことが考えられる。
【0060】
そこで、同図(b)と予備加熱を行う場合の図(c)とを比較する。ここで、図(c)の場合は予備加熱を行っているのでシート状樹脂の初期温度T0cはT0bより高くなっている。従って、シート状樹脂面Pcが目的温度T1に達するまでの時間はさらに短くなっており、その時点のシート状樹脂面Pcの温度T2cはT2a,T2bより高くなっている。この結果、シート状樹脂面PC,Pc間の温度勾配ΔTcは上記温度勾配ΔTa,ΔTbの双方より小さくなっている。
【0061】
従って、予備加熱を行うことによってシート状樹脂内の加熱時間を低減するとともに、シート状樹脂内の温度勾配も低下させ、より高品位な成形品を成形することができる。むろんシート状樹脂が予備加熱にて適度に柔らかくなっていることによりエア溜まりを低減する効果もある。また、表面板11が鏡面に形成されることによってシート状樹脂と表面板11との接触面積が増加することに伴って、表面板11からシート状樹脂への熱伝導が増加して当接面での温度変動が増加することが考えられる。しかし、本実施形態のようにヒータ制御部62によって複数のヒートパイプ13の加熱状態を制御するなどして表面板11の良熱応答性を確保すると、当接面全体の高精度な温度制御が可能になり、より確実にシート状樹脂における温度勾配を低減することができる。
【0062】
さらに、エア溜まりを低減するための動作として、キャビティ21の通気穴22からシート状樹脂に対して圧縮空気を吹き付けて押圧力を発生させる構成となっている。すなわち、上記図6の動作シーケンスのステップS135で駆動制御部61の制御により加熱されているシート状樹脂に対して時刻t5で雌型ユニット20を所定の速度で下降させる。そして、ステップS140にて駆動制御部61の制御によって時刻t6〜t7の間にて雌型ユニット20の下降速度を減少させるとともに、図8(b)に示すように圧力制御部63の制御によりソレノイドバルブ56を開弁して通気穴22から圧縮空気を噴射させる。
【0063】
この結果、雌型ユニット20がシート状樹脂に近づきながら圧縮空気でシート状樹脂を押圧し、シート状樹脂と表面板との当接面においてエア抜きを行うことができ、レインドロップ発生の大きな原因となるエア溜まりを低減することができる。ここで、雌型ユニット20の通気穴22から噴射する圧縮空気も上記ヒータ16と同様な構成をとることにより加熱することが可能であり、加熱圧空を噴射することにより上記シート状樹脂面PC側からも加熱を行って、シート状樹脂の温度勾配をさらに低減することもできる。
【0064】
時刻t7においては雌型ユニット20の底面がシート状樹脂上面と当接すると、シート状樹脂は雌型ユニット20と表面板11との間に気密的に挟持される。ここで、ステップS150にて圧力制御部63の制御により時刻t8にてソレノイドバルブ52を閉弁するとともにソレノイドバルブ57,51を開弁する。また、このときヒータ16もオンする。従って、図8(c)に示すようにシート状樹脂は下面から熱風によって押圧され、上面から吸引されて、キャビティ21内壁に当接する。
【0065】
その後、ステップS160にて圧力制御部63の制御により時刻t9でソレノイドバルブ57,51を閉弁するとともに雌型ユニット20を上昇させる。この結果、シート状樹脂はキャビティ21内壁形状に成形されている。そして、ステップS170にて駆動制御部61の制御によって巻き取りロール70とプレヒートロール30とを回転させることによりシート状樹脂を搬送すると、シート状樹脂は所定の形状に成形された状態で搬送されるので、これらを適当にカットすることによって成形品が完成する。
【0066】
このように、本発明においては、鏡面上でシート状樹脂を加熱することにより表面板上の傷等がシート状樹脂に転写することを防いでおり、上述の実施形態では鏡面を形成するために硬質クロムメッキを採用していた。しかし、鏡面を形成するためにはかかる構成に限られることはなく、焼き入れ処理を行った表面板に対してラッピング処理後にバフ研磨で仕上げるなど様々な構成が採用可能である。ただし、硬質クロムメッキを使用すると鏡面を簡単に形成することが可能であり、クロムメッキの性質に基づいて、適度に硬く,空気中での安定性,光沢の不変性,耐磨耗性等に優れた良質な鏡面を形成することができる。
【0067】
また、表面板を加熱するために上記実施形態ではヒートパイプを採用していたが、表面板を加熱するための構成としてもヒートパイプに限るわけではなく様々な構成を採用することができる。図10は表面板を加熱するための他の実施形態を示す要部断面図である。同図において、加熱板120の上側には上述の実施形態と同様に上面が鏡面として形成される表面板11が配設されており、同表面板11には通気穴14が空けられている。また、通気機構15は図示しないソレノイドバルブやロータリポンプ等に接続されており、圧力調整機構を構成している。
【0068】
通気機構15の下部には当該加熱板120を加熱するために鉄心130とコイル131とが設けられている。すなわち、通気機構15の下部には鉄心130とコイル131とのための所定の空間が設けられており、同空間の略中央に鉄心130が挿入されている。さらに、この鉄心130と略同軸にコイル131が設けられており、このコイル131は図示しないヒータ制御部62に接続されて、所定の交流電力が供給される。従って、ヒータ制御部62の制御によって鉄心130とコイル131とで電磁誘導がなされ、その結果発生した熱が加熱板120を伝導して表面板11に伝達される。このように、表面板11を加熱するための構成は様々であり、むろん加熱板と表面板とを一体として構成することも考えられる。
【0069】
また、シート状樹脂を表面板に搬送する前に同シート状樹脂を加熱するための構成も様々であり、所定の熱源で輻射加熱を行っておいて、この輻射領域中を搬送してからシート状樹脂を表面板に搬送する構成にして予備加熱するようなことも考えられる。また、上述のようなプレヒートロールを使用する場合であっても同プレヒートロールは様々な配置とすることができる。図11は他の実施形態にかかるプレヒートロールを示す斜視図であり、同図において、プレヒートロール300は上述の実施形態におけるプレヒートロール30と同様の構成であり、その上部にはプレヒートロール300と略同一形状のロール301が互いの軸を略平行、かつ外周面がシート状樹脂厚と略同一距離離間されつつ配設されている。
【0070】
かかる構成においてプレヒートロール300とロール301との間にシート状樹脂を挟みつつ、プレヒートロール300を図11における半時計回りに、ロール301を図11における時計回りに回転させると、シート状樹脂はプレヒートロール300とロール301との外周面に当接しつつ送られる。ここで、プレヒートロール300は図示しないヒータ制御部62に制御されて加熱するので、シート状樹脂の予備加熱がなされる。むろん、同図において上側のロールであるロール301側に加熱するための構成を設けてもよいし、上下のロールの両方において加熱するための構成を設けることもできる。
【0071】
このように、本発明においては、表面板の一面を鏡面に形成し、同鏡面状でシート状樹脂を加熱する。従って、シート状樹脂に傷等が転写されることがない。また、シート状樹脂を表面板に搬送する前に予備加熱を行い、さらに、成形時に加熱した圧縮空気をシート状樹脂に噴射することにより、シート状樹脂をより確実に表面板に当接させつつ、ムラのない成形を行うことができる。この結果、レインドロップ発生を防ぎつつも高品位な透明樹脂成形が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかる熱成形装置の概略斜視図である。
【図2】 熱成形装置の要部断面図である。
【図3】 テーブルの拡大斜視図である。
【図4】 プレヒートロールの断面図である。
【図5】 本熱成形装置における制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】 本熱成形装置の動作シーケンスのフローチャートである。
【図7】 本熱成形装置の各部の動作タイミングチャートである。
【図8】 成形時の要部の駆動状態を示す断面図である。
【図9】 シート状樹脂と表面板との当接面の拡大断面図およびシート状樹脂の温度変化を示す図である。
【図10】 表面板を加熱するための他の実施形態を示す要部断面図である。
【図11】 他の実施形態にかかるプレヒートロールを示す斜視図である。
【符号の説明】
10…テーブル
11…表面板
20…雌型ユニット
30…プレヒートロール
40…操作パネル
50…ロータリポンプ
55…コンプレッサ
60…プログラマブルコントローラ
61…駆動制御部
62…ヒータ制御部
63…圧力制御部
70…巻き取りロール

Claims (10)

  1. 一面が鏡面に形成されるとともに複数の第一の通気穴を有する表面板と、
    同表面板を加熱する表面板加熱手段と、
    上記表面板へ搬送する前のシート状樹脂を予備加熱するプレヒート手段と、
    予備加熱された上記シート状樹脂を上記表面板鏡面に搬送するシート状樹脂搬送手段と、
    上記表面板の第一の通気穴と連通し圧力調整機構と、
    上記表面板に対して進退しつつ間に上記シート状樹脂を気密的に挟持可能であって同シート状樹脂を所定形状に成形する成形型を有するとともに、当該成形型の壁面に第二の通気穴を有する成形手段とを具備し、
    上記表面板から上記成形型が離間しているときに上記シート状樹脂搬送手段により上記予備加熱されたシート状樹脂を上記表面板へ搬送し、次に上記圧力調整機構により上記表面板の第一の通気穴から気体を吸引し、上記成形手段により上記成形型を上記表面板へ近づける途中で上記成形型の第二の通気穴から圧縮空気を噴出させ、上記成形型と上記表面板との間に上記シート状樹脂が気密的に挟持された後に上記成形手段により上記シート状樹脂を上記成形型の壁面に接触させることを特徴とする熱成形装置。
  2. 上記請求項1に記載の熱成形装置において、
    上記成形手段は、ヒータで加熱された圧縮空気を上記成形型の第二の通気穴から噴出することを特徴とする熱成形装置。
  3. 上記請求項1または請求項2に記載の熱成形装置において、
    上記成形型と上記表面板との間に上記シート状樹脂が気密的に挟持されたときに上記成形手段による上記成形型の第二の通気穴からの圧縮空気の噴出を停止させ、その後、上記圧力調整機構により上記表面板の第一の通気穴から圧縮空気を噴出するとともに上記成形手段により上記成形型の第二の通気穴から気体を吸引することを特徴とする熱成形装置。
  4. 上記請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の熱成形装置において、
    上記プレヒート手段は、外周面に当接するシート状樹脂を加熱するメインローラと、シート状樹脂の搬送経路において同メインローラの前後に軸平行に配設されるガイドローラとを具備し、同ガイドローラにてシート状樹脂を上記メインローラの外周面に導いて、シート状樹脂を搬送しつつ接触加熱することを特徴とする熱成形装置。
  5. 上記請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の熱成形装置において、
    上記プレヒート手段は、外周面に当接するシート状樹脂を加熱する複数の送りローラを具備し、同送りローラにてシート状樹脂を搬送しつつ接触加熱することを特徴とする熱成形装置。
  6. 上記請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の熱成形装置において、
    上記圧力調整機構は押圧力生成時に上記通気穴から加熱された圧空を噴出させることを特徴とする熱成形装置。
  7. 上記請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の熱成形装置において、
    上記成形型の第二の通気穴から圧縮空気を噴出させるときに当該第二の通気穴近傍に生成される押圧力は1平方センチメートル当たり3kg以上であることを特徴とする熱成形装置。
  8. 加熱軟化させたシート状樹脂を所定の成形型にて成形する熱成形方法であって、
    一面が鏡面に形成されるとともに複数の第一の通気穴を有する表面板を加熱する表面板加熱工程と、
    上記表面板へ搬送する前のシート状樹脂を予備加熱するプレヒート工程と、
    予備加熱された上記シート状樹脂を上記表面板鏡面に搬送するシート状樹脂搬送工程と、
    壁面に第二の通気穴を有する成形型を上記表面板に対して進退させつつ間に上記シート状樹脂を気密的に挟持して同シート状樹脂を所定形状に成形する成形工程とを具備し、
    上記表面板から上記成形型が離間しているときに上記予備加熱されたシート状樹脂を上記表面板へ搬送し、次に上記表面板の第一の通気穴と連通した圧力調整機構により上記表面板の第一の通気穴から気体を吸引し、上記成形型を上記表面板へ近づける途中で上記成形型の第二の通気穴から圧縮空気を噴出し、上記成形型と上記表面板との間に上記シート状樹脂が気密的に挟持された後に上記シート状樹脂を上記成形型の壁面に接触させて上記所定形状に成形することを特徴とする熱成形方法。
  9. 上記請求項8に記載の熱成形方法において、
    ヒータで加熱された圧縮空気を上記成形型の第二の通気穴から噴出することを特徴とする熱成形方法。
  10. 上記請求項8または請求項9に記載の熱成形方法において、
    上記成形型と上記表面板との間に上記シート状樹脂が気密的に挟持されたときに上記成形型の第二の通気穴からの圧縮空気の噴出を停止させ、その後、上記表面板の第一の通気穴から圧縮空気を噴出するとともに上記成形型の第二の通気穴から気体を吸引することを特徴とする熱成形方法。
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