以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。まず、本実施形態のシステムにおいて入力デバイスとして使用される電子ペンの概要について説明する。
[電子ペン]
図1は電子ペンの使用形態を模式的に示す図であり、図2は電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子ペン10は、ドットパターンが印刷された専用ペーパー20と組み合わせて使用される。電子ペン10は、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者は通常のインクペンと同様に専用ペーパー20上に文字などを書くことになる。
図2に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、データ通信ユニット13、バッテリー14、LED15、カメラ16及び圧力センサ18を備える。また、電子ペン10は通常のインクペンと同様の構成要素としてインクカートリッジ(図示せず)などを有する。
電子ペン10は、ペン先部17により専用ペーパー20上に描かれたインクの軌跡をデータ化するのではなく、専用ペーパー20上で電子ペン10が移動した軌跡座標をデータ化する。LED15が専用ペーパー20上のペン先部17近傍を照明しつつ、カメラ16が専用ペーパー20に印刷されているドットパターンを読み取り、データ化する。つまり、電子ペン10は専用ペーパー20上で利用者が電子ペン10を移動させることにより生じるストロークを画像データ又はベクトルデータとして取得することができる。
圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により専用ペーパー上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、LED15及びカメラ16のスイッチオン/オフの切換を行う。即ち、利用者が電子ペン10で専用ペーパー20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかる。よって、所定値以上の筆圧が検出されたときに、利用者が記述を開始したと判定して、LED15及びカメラ16を作動する。
カメラ16は専用ペーパー20上のドットパターンを読み取り、そのパターンデータをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給されたドットパターンから、専用ペーパー20上でのX,Y座標を算出する。
プロセッサ11は、利用者の記述が行われる間に、筆圧の配列データ及びX,Y座標データを取得し、タイムスタンプ(時間情報)と関連付けてメモリ12に記憶していく。よって、メモリ12内には利用者の記述内容に対応するデータが時系列で記憶されていく。メモリ12の容量は例えば1Mバイト程度とすることができる。
利用者により送信指示がなされるまでは、取得された全てのデータはメモリ12内に保持される。そして、利用者が送信指示を行うと、データ通信ユニット13により、電子ペン10と所定距離内にある端末装置25へメモリ12内のデータが送信される。基本的には、一度送信指示がなされると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた全てのデータを端末装置25へ送信するため、メモリ12内はクリアされる。よって、送信後にもう一度同じ情報を端末装置25へ送信したい場合には、利用者は専用ペーパー20上に再度記述を行う必要がある。なお、この場合、利用者は専用ペーパー20上にインクペンで書かれた文字などをなぞればよいことになる。
電子ペン10自体は、送信ボタンなどの機能ボタンを備えておらず、送信指示その他の指示は、利用者が専用ペーパー20上の所定位置に設けられた専用ボックスを電子ペン10でチェックすることにより実行される。専用ボックスの位置座標には、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は専用ボックスの位置座標を受信すると、データ通信ユニット13にメモリ12内のデータを供給し、端末装置25への送信を行わせる。なお、電子ペン10は、データの送信完了を電子ペンの振動により示すことができる。
バッテリー14は電子ペン10内の各要素に電源供給するためのものであり、例えば電子ペンのキャップ(図示せず)により電子ペン10自体の電源のオン/オフを行うことができる。
このように、電子ペン10は利用者が専用ペーパー20上に記述した文字などに対応する座標データ及び筆圧データを取得して近傍の端末装置25へ送信する機能を有するが、電子ペン10のペン先部17は通常のインクペンとなっているため、専用ペーパー20上に記述した内容はオリジナルの原本として残るという特徴がある。即ち、紙の原本に対して記述するのと同時に、その内容を座標データなどの形態でリアルタイムに電子化することができる。
なお、電子ペン10の標準機能によれば、電子ペン10により得られるデータは、原則として座標データ又はベクトルデータの形態であり、テキストデータではない。但し、電子ペン10は標準機能として、専用ペーパー20上に設けられた専用エリアに記述することにより、英数字に限りテキスト化する機能は備えている。
また、電子ペン10内には、ペン自体及びその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報及びペン所有者情報)を保持することができ、アプリケーションから参照することができる。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのIDなどを保持できる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、emailアドレス、空きメモリ容量、名称、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などを保持することができる。
なお、上記の例におけるデータ通信ユニット13では、Bluetooth(登録商標)の無線伝送、USBケーブルを使用した有線伝送、端子などの接触によるデータ伝送など、各種の方法によって電子ペン10から端末装置25へのデータ送信を行うことが考えられる。
次に、電子ペンにより利用者が記述した内容のX,Y座標データを取得する方法について説明する。前述のように専用ペーパー20には、所定のドットパターンが印刷されている。電子ペン10のカメラ16は、利用者が専用ペーパー20上に記述したインクの軌跡を読み取るのではなく、専用ペーパー20上のドットパターンを読み取る。実際、図1に示すように、LED15による照明エリア及びカメラ16の撮影エリア(照明エリア内に位置する)は、ペン先部17が専用ペーパー20に接触する位置とはずれている。
ドットパターンはカーボンを含む専用インキなどで印刷されており、カメラ16はその専用インキによるパターンのみを認識することができる。専用インキ以外のインキ(カーボンを含まない)により、専用ペーパー上に罫線や枠などを印刷しても、電子ペンはそれらを認識することはない。よって、専用ペーパーを利用して各種申込書などの帳票を作成する際は、専用インキ以外のインキで入力枠や罫線、注意書きなどを印刷する。
ドットパターンは、図3に例示するように、各ドットの位置がデータに対応付けされている。図3の例では、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右にシフトすることにより、0〜3の2ビット情報を表示した例である。このようにして表現された情報の組合せにより、専用ペーパー上の位置座標が決定される。図4(a)に例示するように、縦横2mmの範囲内に36個のドットが格子状に配置され、これらのドットにより示されるデータの配列(図4(b))が、その専用ペーパー上の位置座標と対応付けされている。よって、電子ペン10のカメラ16が図4(a)に示すようなドットパターンを撮影すると、プロセッサ11はカメラ16から入力されるドットパターンのデータに基づいて図4(b)に示すデータ配列を取得し、それに対応する専用ペーパー上の位置座標(即ち、そのドットパターンがその専用ペーパー上のどの位置にあるのか)をリアルタイムで算出する。なお、ドットパターンを認識する最小単位は2mm×2mmであり、カメラ16は毎秒100回程度の撮影を行う。
次に、専用ペーパーについて説明する。専用ペーパーの構造の一例を図5に示す。図示のように、専用ペーパー20は、台紙30上にドットパターン32が印刷され、その上に罫線などの図案34が印刷されている。台紙30は通常は紙であり、ドットパターン32は前述のようにカーボンを含んだ専用インキにより印刷される。また、通常のインキなどにより図案34が印刷される。ドットパターンと図案とは同時に印刷してもよいし、いずれかを先に印刷してもよい。
図案34の例を図6に示す。図6は、ある申込書36の例であり、複数の記入欄38や送信ボックス39が印刷されている。図6には明確に図示されておらず、詳細は後述するが、実際にはドットパターンが申込書36の全面に印刷されており、その上に記入欄38や送信ボックス39が通常のインキにより印刷されている。利用者は、ドットパターンを意識することなく、従来からある申込書と同様に、電子ペン10を使用して必要事項を申込書36の各記入欄38に記入すればよい。
専用ペーパー20上のエリアは大きく2種類のエリアに分けることができる。1つは記入エリアであり、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。図6の例では複数の記入欄38がこれに該当する。もう1つは機能エレメントであり、対応するエリア内を電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されているアクション、指示などを実行するようになっている。図6の例における送信ボックス39がこれに該当する。
送信ボックス39は前述したように電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の端末装置25へ送信するための指示を行う際に使用される。利用者が送信ボックス39内に電子ペン10でチェックを入れると、電子ペン10が送信ボックス内のドットパターンを読み取る。当該パターンは送信指示に対応付けられており、電子ペン10内のプロセッサ11はデータ通信ユニット13にメモリ12内の記憶データの送信命令を発する。
ドットパターンの割り当ては、通常、アプリケーション(用紙の種類)毎に行われる。即ち、ある申込書内のドットパターンは1枚の用紙の中で重複することはないが、同一の申込書には全て同じドットパターンが印刷されている。よって、利用者が電子ペン10で必要事項を入力すると、その入力事項がその申込書のどの項目に対するものであるかを、申込書上の座標データから特定することができる。
このように、ドットパターンを印刷した専用ペーパー上に所定の図案を印刷することにより、専用ペーパーを利用した各種申込書が作成できる。利用者は電子ペン10を使用して通常の要領で必要事項を記入すれば、その電子データが自動的に取得される。
上記の例では、ドットパターンは専用ペーパー上にカーボンを含むインキにより印刷されているが、プリンタ及びカーボンを含むインクを使用してドットパターンを通常の紙上にプリントすることも可能である。さらに、専用ペーパー上の図案も印刷ではなく、プリンタにより形成することも可能である。ドットパターンをプリンタにより紙上に形成する場合には、1枚1枚に異なるドットパターンを形成することが可能である。よって、形成されたドットパターンの違いにより、それらの用紙1枚1枚を識別し、区別することが可能となる。
なお、本明細書においては、「印刷」の語は、通常の印刷のみならず、プリンタによるプリントも含む概念とする。
次に、電子ペンにより取得したデータの送信処理について図2を参照して説明する。電子ペン10が取得したデータは、主として利用者が入力した事項のデータであるが、通常はそのデータの送信先であるサービスサーバがどこであるかの情報は含まれていない。その代わりに、その専用ペーパーに関するアプリケーションやサービスを特定する情報が専用ペーパー上のドットパターンに含まれており、利用者の入力作業中に専用ペーパーからその情報が取得されている。よって、電子ペン10から記入データを受け取った端末装置25は、まず、問い合わせサーバ26に対して、その専用ペーパーに対して入力されたデータをどのサービスサーバ27へ送信すべきかの問い合わせを行う。問い合わせサーバ26は、専用ペーパー毎に、対応するサービスサーバの情報を有しており、端末装置25からの問い合わせに応じて、当該専用ペーパーに関するサービスなどを行うサービスサーバ27の情報(URLなど)を端末装置25へ回答する。それから、端末装置25は、電子ペンから取得した記入データをそのサービスサーバ27へ送信することになる。
なお、上記の例では端末装置25、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27が別個に構成されているが、これらの幾つか又は全てを1つの装置として構成することも可能である。本実施形態において、後述するサーバは、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27を兼ねているものとする。
[検診システム]
次に、本実施形態の検診システムについて説明する。図7に検診システム100の概略構成を示す。図7に示す検診システム100は、受診票を持った受診者が複数の検査課を巡回するような健康診断において、医者や検査課スタッフが電子ペンを使用して記入した情報を受診票IDに基づいて記憶することで、検診の進捗状況をリアルタイム且つ容易に確認することができるものである。なお、本実施形態の検診システム100で利用する電子ペン用帳票は、詳細は後述するが、受診票3であるものとする。
図7に示すように、検診システム100は、受付端末25、検査課端末26及び検診サーバ5がネットワーク2を通じて接続されることにより構成される。ここで、ネットワーク2の1つの好適な例はインターネットである。また、受付端末25とは、受付スタッフが使用するパーソナルコンピュータなどであって、ネットワーク2を介してデータの授受が可能な端末である。また、検査課端末26は、検査課スタッフ等が使用するパーソナルコンピュータなどであって、受付端末25と同様にネットワーク2を介してデータの授受が可能な端末である。なお、検査課端末26は、複数の検査課にそれぞれ1台以上ずつ設置されているものとする。また、検診サーバ5は、情報管理データベース(以下、「DB」と呼ぶ。)7に接続されている。
まず、本システムにおける検診方法の概要を述べておく。図8は、受診者が健康診断において持ち歩く受診票3の構造を示す図である。受診票3は、上述の専用ペーパーとして作成されたものであり、印刷されているドットパターンは全て異なるものとする。また、受診票3は、図示のとおり、身長、体重といった受診項目の名称を示す項目名と、各項目に対応する検診結果を記入する記入欄から構成されている。なお、受診票3は、電子ペン10が記憶している記入情報を、ネットワーク2を介して検診サーバ5へ送信するための送信ボックスを構成要素として含んでいるが便宜上図示しないものとする。ここで、記入情報とは、ペン情報、ドットパターン上の位置座標、記入した時刻に関する情報などを含むものとする。
受付スタッフは、まず、受診者と、当該受診者が持ち歩く受診票3との関連付けを行う。具体的に、受付スタッフは、受診者1人毎にユニークなドットパターンが印刷された受診票3を出力する。このとき、受付スタッフは、受診者の氏名や性別といった受診者情報を取得する。そして、受付スタッフは、受付端末25から、受診票を識別する情報である受診票ID及び当該受診者情報を登録情報として検診サーバ5へ送信する。検診サーバ5は、取得した登録情報に含まれる受診票IDをキーとして受診者情報を情報管理DB7に記憶する。ここで、受診票IDは、受診票を識別する情報であるが、受診票は受診者1人につき1枚割り当てられるため、受診者を識別する情報ともいえる。
一方、受診者は、受付スタッフから渡された受診票3を持ち、複数の検査課を巡回して健康診断を受ける。ここで、各検査課が行う検診としては、具体的に、身長、体重及び血圧の測定、視力及び聴力の検査、内科検診などが挙げられる。受診者が所定の検査課での検診を終了すると、医師又は検査課スタッフは、電子ペン10を利用して検診結果を受診票3に記入する。なお、電子ペン10は、各検査課に1本配布されているものとする。このとき、電子ペン10は、受診票3に記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、当該ストロークデータを検査課端末26へ送信する。検査課端末26は、電子ペン10からストロークデータを受診し、ネットワーク2を通じて検診サーバ5へ送信する。このようにして、検診サーバ5は、ストロークデータを、検査課スタッフ等が受診票3に対して記入した検診結果を示す記入情報として取得する。
次に、検診サーバ5は、受診票3において各項目が設定されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から各項目に記入されたストロークデータを抽出し、検診結果を特定する。なお、受診票3に印刷されたドットパターンは受診者毎に全て異なるため、検診サーバ5は、ドットパターン上の位置座標に基づいて、各受診者が持ち歩く受診票の受診票IDを特定することができる。そして、検診サーバ5は、特定した受診票IDに基づいて、各項目に対応する検診結果を情報管理DB7に記憶する。
さらに、検診サーバ5は、情報管理DB7に記憶された検診結果に基づいて、受診者の進捗状況を表す状況確認画面を作成し、検査課端末26へ送信する。検査課端末26は、受信した状況確認画面を表示する。ここで、状況確認画面は、図9に示すように、受診票IDと、身長や体重といった項目名から構成されている。なお、受診票IDは、各受診者が持ち歩く受診票を識別する情報であるため、当該受診票IDから受診者を特定することができる。検診サーバ5は、状況確認画面において、情報管理DB7が既に検診結果を記憶している項目名に対しては「済」とし、情報管理DB7がまだ検診結果を記憶していない項目名に対しては「未」とする。これによれば、どの受診者がどの項目を受診したか、又は、受診していないかといった進捗状況を容易に把握することができる。よって、受診者への未受診項目のアナウンスなど健康診断の流れをスムーズにするサービスを提供することも可能となる。
このような状況確認画面において、図示のような検診結果出力ボタン60が押下されると、検診サーバ5は、情報管理DB7に記憶された受診者情報及び検診結果に基づいて図10に示すような検診結果画面を作成し、要求のあった検査課端末26へ送信する。検査課端末26は、受信した検診結果画面を表示し、画面上で検診結果の追加や修正といった変更を行うことができる。
このように、本実施形態の検診システム100によれば、検査課スタッフ等が電子ペン10を利用して記入した検診結果を、受診票IDに基づいて情報管理DB7に記憶することにより、リアルタイムで所定の受診者の進捗状況を把握することができる。また、検査課スタッフ等は、所定の受診者の検診結果を確認し、端末上で容易に誤記の修正等を行うことができる。
[検診サーバ]
次に、検診サーバ5について詳しく説明する。図11は、検診システム100における、特に検診サーバ5の内部構成を示す。図示のように、検診サーバ5は、検診プログラム500、登録情報取得機能501、登録情報記憶機能502、記入情報取得機能503、座標テーブル504、受診票ID特定機能505、項目情報抽出機能506、検診結果特定機能507、情報管理DB記憶機能508、状況確認画面作成機能509及び検診結果画面作成機能510から構成されている。なお、各機能は、サーバ5が有するCPUが予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
検診プログラム500は、電子ペン10から取得した記入情報に基づいて、座標テーブル504を参照することにより、受診票3の各項目に記入された検診結果を情報管理DB7に記憶、管理するプログラムである。また、検診プログラム500は、情報管理DB7に記憶された検診結果に基づいて、受診者の検診の進捗状況を示す状況確認画面を作成し、検査課端末26上で表示させる。また、検診プログラム500は、情報管理DB7に予め記憶された受診者情報及び検診結果に基づいて、受診者の検診結果を示す検診結果画面を作成し、検査課端末26上で表示させる。
登録情報取得機能501は、検診プログラム500を実行することにより、受診者の氏名や性別といった受診者情報と、受診者が持ち歩く受診票3の受診票IDとを登録情報として受付端末25から取得する機能である。
登録情報記憶機能502は、登録情報に含まれる受診票IDをキーとして、情報管理DB7に受診者情報を記憶する機能である。
記入情報取得機能503は、検診プログラム500を実行することにより、検査課スタッフが電子ペン10を使用して受診票3に記入した検診結果を記入情報として取得する機能である。
座標テーブル504は、図12に示すように、項目名、項目ID及び座標データから構成されている。項目名は、受診票3を構成する項目の名称である。項目IDは、各項目を識別するための情報である。座標データは、各項目のドットパターン上の位置座標を示す情報であり、各項目の左上の座標及び右下の座標により表されている。座標テーブル504には送信ボックスの座標データも含まれているものとする。なお、各受診票3に印刷されるドットパターンは全て異なるため、座標テーブル504は、受診票毎に項目名、項目ID及び座標データを記憶しているものとする。
受診票ID特定機能505は、記入情報取得機能503が取得した記入情報及び座標テーブル504に基づいて、検査課スタッフが検診結果を記入した受診票の受診票IDを特定する機能である。
項目情報抽出機能506は、記入情報DB503が取得した記入情報及び座標テーブル504に基づいて、各項目に記入された項目情報を抽出する機能である。
検診結果特定機能507は、項目情報抽出機能506が抽出した項目情報及び座標テーブル504に基づいて、検査課スタッフが記入した検診結果を特定する機能である。具体的に、図8に示すような受診票3において、身長項目や体重項目の項目情報に基づいて検診結果を特定する場合、検診結果特定機能507は、文字認識を行うことにより検査課スタッフが記入した数値を特定する。このように、受診票3において検査課スタッフ等が直接数字や文字を記入する領域を特に数値認識領域と呼ぶ。また、受診票3において、聴力項目や内科検診項目の項目情報に基づいて検診結果を特定する場合、検診結果特定機能507は、検査課スタッフがチェックマークを記入したボックスを特定する。例えば内科検診項目は、「特記事項なし」、「呼吸異常音」、「不整脈」及び「結膜貧血」の4つのボックスから構成されているが、検査課スタッフが「特記事項なし」のボックスにチェックマークを記入したとする。この場合、検診結果特定機能507は、内科検診項目の項目情報及び座標テーブル504に基づいて、「特記事項なし」ボックスにチェックマークが記入されたことを特定する。このように、受診票3において検査課スタッフ等が所定のボックスにチェックマーク等を記入する領域を特に選択肢領域と呼ぶ。
情報管理DB記憶機能508は、受診票ID特定機能505が特定した受診票IDに基づいて、検診結果特定機能507が特定した各項目に対応する検診結果を、情報管理DB7に記憶する機能である。ここで、情報管理DB7について説明する。情報管理DB7は、図13に示すように、受診票IDをキーとして、受診者情報及び検診結果が記憶されている。受診者情報は氏名、性別及び生年月日から構成されており、検診結果は身長や体重などから構成されている。
状況確認画面作成機能509は、情報管理DB記憶機能508が記憶している検診結果に基づいて、図9に示すような状況確認画面を作成し、検査課端末26へ送信する機能である。なお、状況確認画面の作成及び送信は、検査課スタッフ等から要求があった場合、検査課端末26から記入情報を取得した場合など任意のタイミングで行うことが可能であるとする。
検診結果画面作成機能510は、情報管理DB記憶機能508が記憶している受診者情報及び検診結果に基づいて、図10に示すような検診結果画面を作成し、検査課端末26へ送信する機能である。そのため、図示のとおり、受診者がまだ受信しておらず、検診結果が情報管理DB7に記憶されていない項目については空欄となる。また、検診結果画面作成機能510は、検診結果画面を表示した検査課端末26から、追加事項の追加や誤記の修正のために検診結果を変更する変更情報を取得した場合、当該変更情報に基づいて情報管理DB7に記憶された検診結果を変更する機能である。即ち、検査課スタッフ等は、検診サーバ5から受信した検診結果画面を表示しながら追加事項の追加や誤記の修正といった検診結果の変更を容易に行うことができる。なお、検診結果画面の作成及び送信は、状況確認画面において検診結果出力ボタン60を押下された場合など任意のタイミングで行うことが可能であるとする。また、1人の受診者の検診結果のみでなく、複数の受診者の検診結果に基づいて検診結果画面を作成することも可能である。例えば、同じ日に受診した複数の受診者の検診結果に基づいて検診結果画面を作成し、検査課端末26へ送信することも可能なため、検査課スタッフ等は容易に1日に受診した受診者の検診結果を確認することができる。
[検診処理]
次に、検診システム100により実行される検診処理について説明する。図14は、検診処理のフローチャートである。
健康診断の受診者は、まず、受付で自身に関する受診者情報を提示する。受付スタッフは、受診者毎にユニークなドットパターンを印刷した受診票3を受診者に渡す。そして、受付スタッフは、受付端末25を使用して受診票3の受診票ID及び受診者情報を登録情報として検診サーバ5へ送信する。検診サーバ5は、ネットワーク2を介して受付端末25から登録情報を取得する(ステップS1)。そして、検診サーバ5は、登録情報に含まれる受診票IDをキーとして、受診者情報を情報管理DB7に記憶する(ステップS2)。
一方、受診者は、受付で渡された受診票3を持って複数の検査課を巡回することにより健康診断を行う。各検査課において受診者は所定の検診を行い、検査課スタッフは電子ペン10を使用して検診結果を受診票3に記入する。検診結果の記入が終了すると、検査課スタッフは、受診票3の送信ボックスにチェックマークを記入することにより、検査課端末26を介して記入情報を検診サーバ5へ送信する。
検診サーバ5は、ネットワーク2を介して検査課端末26から記入情報を取得する(ステップS3)。そして、検診サーバ5は、取得した記入情報及び座標テーブル504に基づいて、電子ペン10により検診結果が記入された受診票3の識別情報である受診票IDを特定する(ステップS4)。また、検診サーバ5は、取得した記入情報及び座標テーブル504に基づいて、受診票3の各項目に記入された項目情報を抽出する(ステップS5)。さらに、検診サーバ5は、抽出した項目情報に基づいて電子ペン10により記入された検診結果を特定する(ステップS6)。そして、検診サーバ5はステップS4において特定した受診票IDに基づいて検診結果を情報管理DB7に記憶する(ステップS7)。
検診サーバ5は、検査課端末26から状況確認画面要求があるか否かを判定し(ステップS8)、状況確認画面要求がある場合(ステップS8;Yes)、情報管理DB7に記憶された検診結果に基づいて状況確認画面を作成する(ステップS9)。そして、検診サーバ5は、要求のあった検査課端末26へ作成した状況確認画面を送信する(ステップS10)。一方、状況確認画面要求がない場合(ステップS8;No)、検診サーバ5は、ステップS11へ進む。
また、検診サーバ5は、検査課端末26から検診結果画面要求があるか否かを判定し(ステップS11)、検診結果画面要求がある場合(ステップS11;Yes)、情報管理DB7に記憶された検診結果及び受診者情報に基づいて検診結果画面を作成する(ステップS12)。そして、検診サーバ5は、要求のあった検査課端末26へ作成した検診結果画面を送信する(ステップS13)。これにより、検診サーバ5は検診処理を完了する。一方、検診結果画面要求がない場合(ステップS11;No)、検診サーバ5は、検診処理を終了する。
このように、本実施形態によれば、スタッフが電子ペン10を利用して記入した情報を、受診票3の受診票IDに基づいて管理することにより、リアルタイムで所定の受診者における検診の進捗状況を確認することができる。よって、受診者に未受診の項目をアナウンスする等、健康診断の巡回をスムーズにするような情報を提供することができる。また、スタッフが電子ペン10を利用して受診票3に記入した情報と、当該受診票3を持ち歩く受診者の受診者情報とに基づいて、特定の受診者の検診結果を容易に電子データ化し、端末の画面に表示させることができる。さらに、スタッフは、画面上で容易に検診結果の誤差修正などを行うことができる。
また、電子ペン10により記入された情報を直接情報管理DB7に記憶することができるため、受診票3を見ながら情報をパンチ入力する必要がなくなり、人件費を大幅に削減することができる。
なお、上述の実施形態では、受診票3を識別する受診票IDに基づいて情報管理DB7を管理することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、受診票を識別する情報により受診者を識別することも可能なため受診者IDに基づいて情報管理DB7を管理することとしてもよい。この場合、受付端末25は、受診者情報と、受診者IDとを登録情報として検診サーバ5に送信することとなる。
また、上述の実施形態では、電子ペン10は記入情報を、検査課端末26を介して検診サーバ5へ送信することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ネットワーク2を介してデータを授受する機能を有する携帯電話やPDAなどを介することとしてもよい。
また、上述の実施形態では、図10に示すような検診結果画面に氏名、性別といった受診者情報62を表示することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく受診者情報62は表示せず検診結果64のみを表示することとしても構わない。
また、上述の実施形態では、本発明を健康診断に適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、検診する項目が予め決まっている種々の診断に適用することが可能である。
[第1変形例]
上述の実施形態では、図8に示すような、受診者毎に異なるドットパターンが全面に印刷された受診票3を使用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、項目名部分のみ受診者毎に異なるドットパターンが印刷された項目名シールを添付した受診票3を使用する場合にも適用することができる。このような項目名シールが添付された受診票3を使用する場合について以下に説明する。
図15(a)は受診票3の例であり、図15(b)は受診票3に添付する項目名シールの例である。図15(a)に示すような受診票3の斜線部50に、図15(b)に示すような項目名シールが添付される。なお、受診票3の記入欄部分にもドットパターンが印刷されているが、全ての受診票3に同一のドットパターンが印刷されている。よって、受診票3の記入欄部分に印刷されたドットパターンにより各項目に対応する検診結果を特定することはできるが、受診票を識別する情報である受診票IDを特定することはできない。そのため、電子ペン10を使用して受診票3への記入を行う検査課スタッフ等は、検診結果を記入する際に必ず対応する項目名部分にチェックマークを記入しなければならない。具体的に、受診者の内科検診の検診結果を記入欄に記入する場合、検査課スタッフ等は、受診票3に添付された図15(b)に示すような項目名シールの内科検診項目の部分にチェックマーク52を記入してから、検診結果を記入する。このような項目名へのチェックマークには、受診確認の意味もあるため、受診票3を見ることにより進捗状況を容易に把握することができる。
なお、座標テーブル504は、各項目に対応する記入欄の受診票3に印刷されたドットパターン上の位置を示す座標データと、各項目名の項目名シールに印刷されたドットパターン上の位置を示す座標データとを含んでいるものとする。即ち、検診サーバ5は、記入情報及び座標テーブル504に基づいて、受診票3に添付された項目名シールのドットパターンから受診票IDを特定すること、及び、受診票3のドットパターンから記入欄に記入された検診結果を特定することができるものとする。
次に、このような項目名シールを添付した受診票3を使用した検診システムにより実行される検診処理について説明する。
健康診断の受診者は、まず、受付で自身に関する受診者情報を提示する。受付スタッフは、受診者毎にユニークなドットパターンを印刷した項目名シールを添付した受診票3を受診者に渡す。なお、受診票3に添付された項目名シールによって特定可能な識別情報を、受診票3を識別する受診票IDとする。そして、受付スタッフは、受付端末25を使用して受診票3の受診票ID及び受診者情報を登録情報として検診サーバ5へ送信する。検診サーバ5は、ネットワーク2を介して受付端末25から登録情報を取得する。そして、検診サーバ5は、登録情報に含まれる受診票IDをキーとして、受診者情報を情報管理DB7に記憶する。
一方、受診者は、受付で渡された受診票3を持って複数の検査課を巡回することにより健康診断を行う。各検査課において受診者は所定の検診を行い、検査課スタッフは電子ペン10を使用して、項目名部分にチェックマークを記入した後、検診結果を受診票3に記入する。検診結果の記入が終了すると、検査課スタッフは、受診票3の送信ボックスにチェックマークを記入することにより、検査課端末26を介して記入情報を検診サーバ5へ送信する。
検診サーバ5は、ネットワーク2を介して検査課端末26から記入情報を取得する。そして、検診サーバ5は、取得した記入情報及び座標テーブル504に基づいて、電子ペン10により検診結果が記入された受診票3の識別情報である受診票IDを特定する。また、検診サーバ5は、取得した記入情報及び座標テーブル504に基づいて、受診票3の各項目に対応する記入欄に記入された項目情報を抽出する。さらに、検診サーバ5は、抽出した項目情報に基づいて電子ペン10により記入された検診結果を特定する。そして、検診サーバ5は、特定した受診票IDに基づいて検診結果を情報管理DB7に記憶する。
情報管理DB7に記憶された情報に基づいて、状況確認画面及び検診結果画面を作成する方法は上述の実施形態と同様であるため、便宜上説明は省略する。
なお、上述の実施形態では、受診票3を識別する受診票IDに基づいて情報管理DB7を管理することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、項目名シールを識別する情報により受診者を識別することも可能なため受診者IDに基づいて情報管理DB7を管理することとしてもよい。この場合、受付端末25は、受診者情報と、受診者IDとを登録情報として検診サーバ5に送信することとなる。
また、この他に同一のドットパターンが印刷された受診票3を特定する方法として、バーコードを付す方法、電子ペン10により受診者IDを記入する方法などが挙げられる。
このように、本実施形態によれば、項目名シールに印刷するドットパターンを全て異なるものにすることで受診票IDを特定するため、受診票3に印刷するドットパターンは全て同一のものとすることができる。よって、ドットパターンを節約することができる。
[第2変形例]
上述の実施形態では、図8に示すような受診者毎に異なるドットパターンが全面に印刷された受診票3を使用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、全て同一のドットパターンが全面に印刷された受診票3と、受診者又は受診票3を識別するための識別帳票とを使用する場合にも適用することができる。このような識別帳票を使用する場合について以下に説明する。
なお、このとき使用される受診票3は、図8に示すようなレイアウトであり上述の実施形態と同様であるが、全ての受診票3において同一のドットパターンが印刷されている点で上述の実施形態と異なる。
図16は、識別帳票の例である。識別帳票は、図示のとおり、項目名54と、受診者を識別する情報である受診者IDに対応する複数のボックスから構成されるチェック欄56とから構成される。また、識別帳票は、項目毎に所定の項目の検診を行う各検査課が保有しているものとする。なお、受診票3にもドットパターンが印刷されているが、全ての受診票3に同一のドットパターンが印刷されている。よって、受診票3に印刷されたドットパターンにより各項目に対応する検診結果を特定することはできるが、受診票を保有する受診者の識別情報を特定することはできない。そのため、電子ペン10を使用して受診票3への記入を行う検査課スタッフ等は、検診結果を記入する際に必ず受診者の受診者IDに対応するボックスにチェックマークを記入しなければならない。具体的に、受診者ID「002」の受診者が身長を測定した場合、身長を測定する検査課スタッフは、図16に示すような識別帳票の受診者ID「002」に対応するボックスにチェックマーク58を記入してから、受診者が保有する受診票3に身長の測定結果を記入する。このような識別帳票へのチェックマークには受診確認の意味もあるため、識別帳票を見ることにより健康診断の進捗状況を把握することができる。
なお、座標テーブル504は、各項目に対応する受診票3に印刷されたドットパターン上の位置を示す座標データと、受診者IDに対応する各ボックスの識別帳票に印刷されたドットパターン上の位置を示す座標データを含んでいるものとする。即ち、検診サーバ5は、記入情報及び座標テーブル504に基づいて、識別帳票のドットパターンから受診者IDを特定すること、及び、受診票3のドットパターンから記入された検診結果を特定することができるものとする。
次に、このような受診票3と識別帳票を使用した検診システムにより実行される検診処理について説明する。
健康診断の受診者は、まず、受付で自身に関する受診者情報を提示する。受付スタッフは、受診者にドットパターンを印刷した受診票3を受診者に渡す。このとき、受付スタッフは、受診票3に受診者を識別する情報である受診者IDをボールペンや鉛筆などで記入する。さらに、受付スタッフは、受付端末25を使用して受診票3に記入した受診者ID及び受診者情報を登録情報として検診サーバ5へ送信する。検診サーバ5は、ネットワーク2を介して受付端末25から登録情報を取得する。そして、検診サーバ5は、登録情報に含まれる受診者IDをキーとして、受診者情報を情報管理DB7に記憶する。
一方、受診者は、受付で渡された受診票3を持って複数の検査課を巡回することにより健康診断を行う。各検査課において受診者は所定の検診を行い、検査課スタッフは電子ペン10を使用して、識別帳票において当該受診者を識別する受診者IDに対応するボックスにチェックマークを記入した後、受診票3において検診結果を記入する。検診結果の記入が終了すると、検査課スタッフは、受診票3の送信ボックスにチェックマークを記入することにより、検査課端末26を介して記入情報を検診サーバ5へ送信する。
検診サーバ5は、ネットワーク2を介して検査課端末26から記入情報を取得する。そして、検診サーバ5は、取得した記入情報及び座標テーブル504に基づいて、電子ペン10により検診結果が記入された受診者の識別情報である受診者IDを特定する。また、検診サーバ5は、取得した記入情報及び座標テーブル504に基づいて、受診票3の各項目に対応する記入欄に記入された項目情報を抽出する。さらに、検診サーバ5は、抽出した項目情報に基づいて電子ペン10により記入された検診結果を特定する。そして、検診サーバ5は、特定した受診者IDに基づいて検診結果を情報管理DB7に記憶する。
なお、情報管理DB7に記憶された情報に基づいて、状況確認画面及び検診結果画面を作成する方法は上述の実施形態と同様であるため、便宜上説明は省略する。
また、第2変形例では、チェック欄56が受診者を識別する情報である受診者IDに対応するボックスから構成されることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、受診票を識別する情報に対応するボックスから構成されることとしてもよい。
このように、本実施形態によれば、検査課スタッフ等が各項目毎に保有する識別帳票により受診者ID又は受診票IDを特定するため、受診票3に印刷するドットパターンは全て同一のものとすることができる。よって、ドットパターンを節約することができる。また、検査課スタッフ等は、識別帳票においてチェックマークが記入されていない受診者IDに対応する受診者は未受診であることが明白であるため、項目毎の検診の進捗状況を容易に把握することができる。