JP4409023B2 - 接着剤用共重合ポリエステル樹脂及びそれを用いてなる接着剤 - Google Patents

接着剤用共重合ポリエステル樹脂及びそれを用いてなる接着剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐湿熱性に優れた接着剤用ポリエステル樹脂及びそれを用いた接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気分野における絶縁用フィルムとしてポリエステルフィルムが多用されているが、それを接着する接着剤用樹脂としては、ポリエステルフィルムへの接着性の点から、ポリエステル系樹脂が主に使用されている。電気分野での接着剤には耐湿熱性が要求され、その指標として例えば温度60℃、湿度90%の湿熱処理によっても変質しないといった性能が必要とされているが、従来のほとんどの接着剤用共重合ポリエステル樹脂は、この条件を満足していた。
【0003】
しかしながら、より過酷な環境で使用される場合に、これまでの接着剤用共重合ポリエステル樹脂では加水分解による経時的な分子量の低下が起こり、接着強度が低下するため対応できない用途が生じて来ている。そのような用途には、共重合ポリエステル樹脂以外の樹脂が用いられているが、ポリエステルフィルムに対する接着性が低いため、十分な接着強度を確保するにはポリエステルフィルム自身に接着性を高めるような加工や処理を施す必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の状況に鑑みて、本発明の課題は、ポリエステルフィルムへの良好な接着性を保持しつつ耐湿熱性を高めた接着剤用共重合ポリエステル樹脂及びそれを用いた接着剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、共重合成分としてポリアルキレングリコールを特定割合で用い、共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度を低く保ちながらエステル基密度を低下させることによって、接着性を低下させることなく耐湿熱性を大幅に向上させ得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、第1に、共重合ポリエステル樹脂を構成する二価アルコール成分として下記式(1)で示されるポリアルキレングリコールが、全二価アルコール成分中の1mol%〜30mol%の範囲で共重合されており、かつ繰り返し単位の平均分子量が230以上である接着剤用共重合ポリエステル樹脂であって、ガラス転移温度が30℃以下であり、かつ温度85℃、湿度95%、500時間の湿熱処理による数平均分子量の低下率が35%未満であることを特徴とする接着剤用共重合ポリエステル樹脂である。
【0007】
【化2】
[式(1)中、nは2〜36の整数を表し、mは1〜200の整数を表す。]
【0008】
第2に、上記したいずれかの共重合ポリエステル樹脂と、それを溶解する有機溶剤とからなることを特徴とする接着剤である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。共重合ポリエステル樹脂とは、多価アルコール成分と多塩基酸成分とから構成され、各1種類の多価アルコール成分と多塩基酸成分とに加えて、さらに1種類以上の多塩基酸成分もしくは多価アルコール成分もしくはオキシ酸成分を含むポリエステル系樹脂の総称である。
【0010】
本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂を構成する二価アルコール成分としては、脂肪族グリコール、脂環族グリコール、芳香族グリコールが挙げられる。そのような二価アルコール成分を具体的に例示すれば、脂肪族グリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリヘキシレングリコール、ポリノナンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタン)ジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ノナンジオール等が挙げられ、脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール等が挙げら れ、芳香族グリコールとしては、ビスフェノール−Aのポリエチレングリコール付加物、ビスフェノール−Aのポリプロピレングリコール付加物、ビスフェノール−Aのポリテトラメチレングリコール付加物、ビスフェノール−Aのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノール−Aのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノール−Sのエチレンオキサイド付加物、ダイマージオール等が挙げられる。なお、後述するように、ポリアルキレングリコールが二価アルコール成分として好ましく用いられるが、それ以外の二価アルコール成分としては、上記した中でもエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール−Aのエチレンオキサイド付加物等が好ましく用いられる。
【0011】
また、ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸が挙げられる。そのようなジカルボン酸成分を具体的に例示すれば、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、ダイマー酸等が挙げられ、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらのジカルボン酸のうちでも、テレフタル酸及びイソフタル酸が好ましい。
【0012】
また、本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂には、上記の二価アルコール成分やジカルボン酸成分以外に、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の三価以上の多価アルコール成分、あるいはトリメリット酸、ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸成分、さらにはε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、p−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシイソフタル酸等の成分が含まれていてもよい。これらは本発明の目的を逸脱しない範囲で、樹脂の要求性能に応じて1種類もしくは2種類以上含まれていてもよい。
【0013】
本発明において、共重合ポリエステル樹脂を構成する二価アルコール成分中の1mol%〜30mol%の範囲、さらには5mol%〜20mol%の範囲で、下記式(1)で示されるポリアルキレングリコールが共重合されており、かつ共重合ポリエステル樹脂の繰り返し単位の平均分子量が230以上、さらには250以上であることは、本発明の好ましい態様である。
【化3】
[式(1)中、nは2〜36の整数を表し、mは1〜200の整数を表す。]
【0014】
上記の共重合されるポリアルキレングリコールが二価アルコール成分中に占める割合(以下、共重合比率と記する)を1mol%〜30mol%の範囲にすれば、接着剤用樹脂に求められる適度に低いガラス転移温度を有しつつ加水分解されにくい優れた耐湿熱性を備えた共重合ポリエステル樹脂が得られる。この共重合比率が1mol%未満では、共重合ポリエステル樹脂の耐湿熱性が不足するので好ましくなく、一方、30mol%を超えると、共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度が過度に低下して、樹脂の取り扱い及び製造時における樹脂の払い出しが困難になるので好ましくない。また、上記式(1)中の整数mが200を超える場合にも、共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度が過度に
低下するので好ましくない。なお、上記式(1)で示されるポリアルキレングリコールとしては、直鎖状又は分岐があるもののいずれでもよく、具体的に例示すると、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリヘキシレングリコール、ポリノナンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタン)ジオール等が挙げられる。
【0015】
また、繰り返し単位の平均分子量が230未満では、共重合ポリエステル樹脂の耐湿熱性が不足するので好ましくない。なお、本発明における繰り返し単位の平均分子量とは、共重合ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分(残基)の分子量をその構成比に応じて加重平均した値と、共重合ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分(残基)の分子量をその構成比に応じて加重平均した値との和を言う。繰り返し単位の平均分子量の具体的な求め方を下記に例示する。
[繰り返し単位の平均分子量の求め方:例]
共重合ポリエステル樹脂の構成をNMR(核磁気共鳴スペクトル)によって分析した結果、アルコール成分としては、ネオペンチルグリコールが50mol%、エチレングリコールが50mol%であり、カルボン酸成分としては、テレフタル酸が50mol%、イソフタル酸が30mol%、アジピン酸が20mol%、であったとする。このとき、各成分の分子量としては、アジピン酸残基が114、ネオペンチルグリコール残基が102、エチレングリコール残基が60であり、テレフタル酸残基が132、イソフタル酸残基が132であることから、この共重合ポリエステル樹脂の繰り返し単位の平均分子量(MU)の値は、下記数式に示す計算によって求められ、209.4となる。
【0016】
【数1】
【0017】
本発明においては、良好な接着性を発現させるために共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度が一定以下に保たれていることが必要である。すなわち、共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度としては、30℃以下であることが必要であり、−30℃〜30℃が好ましく、−20℃〜10℃がより好ましい。共重合ポリエステル樹脂の耐湿熱性の点からはガラス転移温度が高い方が有利であるが、ガラス転移温度が30℃を超えると、接着性が低下する。一方、ガラス転移温度が−30℃未満では、樹脂の取り扱い及び製造時における樹脂の払い出しが困難になる傾向にあるので好ましくない。
【0018】
また、本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂は耐湿熱性に優れており、その指標としての温度85℃、湿度95%、500時間の湿熱処理による数平均分子量の低下率としては、35%未満であることが必要であり、30%未満が好ましい。上記の数平均分子量の低下率が35%以上である場合には、湿熱条件下で経時的に接着強度が低下するため、耐湿熱性を満足しない。
【0019】
また、本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量としては、15,000〜60,000、さらには20,000〜45,000が好ましい。数平均分子量が15,000未満である場合には、湿熱条件下に置かるまでもなく接着強度が不足する傾向にあるので好ましくない。一方、数平均分子量が60,000を超えると、樹脂の溶融粘度が著しく高い値となって、製造時における樹脂の払い出しが困難になる傾向にあるので好ましくない。
【0020】
また、本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂のカルボキシル価としては、2mgKOH/g以下、さらには1mgKOH/g以下であることが、共重合ポリエステル樹脂の耐湿熱性を向上させるうえで好ましい。
【0021】
本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂組成物を得るための製造方法としては、特に限定されないが、直接エステル化法、エステル交換法等の溶融重合法による公知の共重合ポリエステル樹脂の製造方法によって製造することができる。
【0022】
例えば直接エステル化法による製造方法を詳細に説明すると、まず、本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂の原料である二価アルコール成分とジカルボン酸成分、必要に応じてその他の成分の原料、及び触媒とを一括して反応器に仕込み、次いで系内の空気を排出して窒素ガス置換する。その後、好ましくは200〜240℃に昇温し、攪拌しながら好ましくは3〜5時間エステル化反応を行う。エステル化反応を行った後は、系内を減圧にして高真空条件下で、好ましくは220〜280℃の温度で重合反応を行う。このときの重合反応時間は、製造する樹脂種によって異なるが、通常好ましくは3〜8時間行う。重合反応を行った後は、系内に窒素ガスを導入して減圧を解除し、樹脂を払い出すことによって共重合ポリエステル樹脂が得られる。
【0023】
なお、共重合ポリエステル樹脂を製造する際のカルボン酸成分の原料としては、カルボン酸をそのまま用いることもできるが、カルボン酸のエステル誘導体やカルボン酸無水物を用いてもよい。
【0024】
また、共重合ポリエステル樹脂を製造する際の触媒としては、公知の金属化合物を用いることができる。そのような金属化合物を具体的に例示すると、アルカリ金属化合物としては、酸化リチウム、リチウムメチラート、リチウムエチラート、リチウムグリコレート、酢酸リチウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムグリコレート、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属化合物としては、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、マロン酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム酢酸マグネシウム等が挙げられ、亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、亜鉛グリコレート、安息香酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、酪酸亜鉛、吉草酸亜鉛、亜アンチモン酸亜鉛、亜ゲルマン酸亜鉛、ゲルマン酸亜鉛等が挙げられ、マンガン化合物としては、酢酸マンガン、クエン酸マンガン、ホウ酸マンガン、マンガングリコレート、亜アンチモン酸マンガン等が挙げられ、コバルト化合物としては、ギ酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、プロピオン酸コバルト、ヒドロキシ安息香酸コバルト等が挙げられ、チタン化合物としては、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニルカリウム、シュウ酸チタニルストロンチウム、酒石酸チタニルカリウム、酒石酸チタニルアンモニウム、チタングリコレート、テトラブチルチタネート、チタンアセチルアセテート等が挙げられ、アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモングリコレート、アンチモンアルコラート、酢酸アンチモン、アンチモンフェノレート等が挙げられ、ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニウムアルコレート、ゲルマニウムフェノレート、ゲルマン酸カリウム、ゲルマン酸ナトリウム、ゲルマン酸カルシウム、ゲルマン酸カリウム、ゲルマン酸タリウム、二酸化ゲルマニウム等が挙げられ、スズ化合物としては、ジメチルスズマレエート、モノブチルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ヒドロキシブチルスズオキサイド、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)等が挙げられる。これらの金属化合物の中でも、テトラブチルチタネートが本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂を製造する際の触媒として特に好ましい。なお、上記の触媒は1種類で用いることもできるが、2種類以上混合して用いてもよい。
【0025】
また、共重合ポリエステル樹脂の分子量を調節する方法としては、重合時にポリエステル溶融物の粘度が適当な値となったところで重合を止める方法や、1官能のアルコールやカルボン酸を予め添加する方法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、具体的には、重合時に共重合ポリエステル樹脂溶融物の粘度を示す撹拌機のトルクを指標として重合を止めるタイミングを決める方法が好適に採用される。
【0026】
本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂は、接着剤の主成分として用いられるものであり、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂に対して良好な接着性を有する。また、ポリエステル系樹脂以外の樹脂、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂等に対しても良好な接着性を有し、さらには銅、鉄、アルミニウム、ブリキ等の金属に対しても良好な接着性を有する。
【0027】
本発明の接着剤としては、本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂が有機溶剤に溶解されてなるものである。本発明の接着剤に用いられる有機溶剤としては、本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂を溶解する有機溶剤であればよく、特に限定されるものではないが、具体的に例示すると、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶剤、酢酸エチル、イソホロン、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル、ブチルセルソルブ、エチルセルソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素が挙げられる。なお、有機溶剤としては、1種類のみを使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
【0028】
また、本発明の接着剤には、その用途に応じて、共重合ポリエステル樹脂以外の樹脂や硬化剤が含まれていてもよい。そのような共重合ポリエステル樹脂以外の樹脂としては、例えばアルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂変性オレフィン樹脂、セルロース誘導体、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコン樹脂、オレフィン系樹脂等を挙げることができ、硬化剤としては、例えばフェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物及びその各種ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン化合物等を挙げることができる。
【0029】
また、本発明の接着剤には、必要に応じて、ハジキ防止剤、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、滑剤、難燃剤等の各種の添加剤や、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ等の顔料、さらにはオレフィンワックス、カルナバワックスなどのワックス等が配合されていてもよい。
【0030】
本発明の接着剤は、上記したポリエステル系樹脂を始めとする各種の樹脂からなる材料同士の接着や、樹脂材料と金属材料との接着に用いることができ、液状であるために被着体の形状を限定することなく、例えばフィルム状、板状、円筒状、繊維状等の色々な形状の材料に塗布して使用することができる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形および応用が可能である。なお、共重合ポリエステル樹脂の特性については、下記の方法で測定あるいは評価した。
【0032】
(a)構成成分
プロトンNMR分析装置(日本電子製、JOEL LAMDBA300WB)を用いて、樹脂の構成を分析した。
(b)繰り返し単位の平均分子量
上記(a)の分析結果を基にして、既に記載した方法で算出した。
(c)ガラス転移温度(Tgと略す)
示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用い、昇温速度20℃/minで測定して求めた。
(d)カルボキシル価
共重合ポリエステル樹脂0.5gを秤量し、25mlの1,4−ジオキサンに完全に溶解し、さらに指示薬であるクレゾールレッドを数滴添加した。こうして得た溶液を濃度0.1mol/lのKOHメタノール溶液で滴定した。この滴定量から、中和に消費されたKOHのmg数を樹脂1gあたりの量に換算した値をカルボキシル価として求めた。
【0033】
(e)数平均分子量
高速液体クロマトグラフ(Waters社製)を使用したゲルパーミエーションクロマトグラムにより測定した。検出器には示差屈折系(Waters400)を用い、カラムにはポリマーラボラトリーズ社製MIXED−Bを二本用い、留出液クロロホルム、流速1ml/min、カラム温度40℃の条件で測定したポリスチレン換算分子量を求め、共重合ポリエステル樹脂の分子量とした。
(f)数平均分子量の低下率
恒温恒湿槽(ナカツ科学機械製作所製、型式LH−30−13M)を用い、温度85℃、湿度95%の条件下に共重合ポリエステル樹脂を500時間保持することにより湿熱処理を行った。湿熱処理後の共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量を上記(e)の方法で測定し、湿熱処理前(未処理)の数平均分子量に対する低下率を算出して求めた。
【0034】
実施例1
共重合ポリエステル樹脂の原料として、テレフタル酸83.0g、イソフタル酸83.0g、ネオペンチルグリコール60.3g、分子量1,000のポリテトラメチレングリコール50g、エチレングリコール54.25gを反応器に仕込み、さらに触媒として、合成できる樹脂の質量に対し200ppmの量に相当するテトラブチルチタネート(エチレングリコール溶液)を添加し、系内の空気を窒素で置換した。そして回転速度30rpmで撹拌しながら、反応器を240℃に加熱し、内容物を溶融させた。反応器内温度が240℃に到達してから4時間かけてエステル化反応を進行させた。次いで、系内を徐々に減圧して1Torr以下としてから、240℃で6時間かけて重合反応を行なった。その後、系内に窒素を封入することで常圧に戻し、溶融状態の樹脂を払い出すことによって共重合ポリエステル樹脂を製造した。次に、上記の共重合ポリエステル樹脂をトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶剤(質量比1:1)に濃度が30質量%となるように溶解させて、接着剤を得た。
【0035】
実施例2〜8及び比較例1〜
共重合ポリエステル樹脂を製造する際の原料の仕込み組成を変えて、下記表1に示す仕込み組成とする以外は実施例1と同様にして、共重合ポリエステル樹脂を製造し、接着剤を得た。なお、実施例1〜8及び比較例1〜における共重合ポリエステル樹脂を製造する際の原料の仕込み組成を下記表1に示す。このときの表1中の数値は質量を表わし、単位はg(グラム)である。また、共重合ポリエステル樹脂の特性を下記表2に示す。このときの表2中に記載された構成成分のうち、上記式(1)で示されるポリアルキレングリコールに対応する成分は、PTMG1’とPTMG2’である。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
次に、上記の実施例及び比較例で得られた接着剤を用いた接着を下記の方法によって行った。
[ポリエステルフィルム同士の接着]
厚さ25μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、上記の接着剤を塗布した後に溶剤を揮散させることによって厚さ30μmの接着剤層を形成させた。その接着剤層の上に同じく厚さ25μmのPETフィルムを重ね、シーラーを用いて温度180℃、圧力10kPaで2秒間圧着させることにより、ポリエステルフィルム同士を接着させた積層体を得た。
[ポリエステルフィルムと金属板との接着]
上記と同様にしてPETフィルム上に形成させた接着剤層の上に、厚さ30μmの銅板を重ね、上記と同様の条件で圧着させることにより、ポリエステルフィルムと金属板とを接着させた積層体を得た。
【0039】
上記で得られた積層体を幅15mm×長さ100mmに切断したものを試料として、剥離強度(T剥離)を測定して接着強度の指標とした。測定には島津製作所製オートグラフAG100Bを使用し、クロスヘッド速度50mm/min、温度20℃で行った。また、上記積層体を温度85℃、湿度95%で500時間の湿熱処理を行ったものについても、同様に剥離強度を測定した。なお、剥離強度の測定結果を下記表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
また、実施例1については、金属板として銅板の代わりにアルミ板又はブリキ板を用いた場合についてもPETフィルムとの接着を行い、剥離強度を測定した。この結果を下記表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
上記の実施例及び比較例の結果から、本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が30℃以下であるため接着性に優れており、また、温度85℃、湿度95%、500時間という過酷な湿熱処理による数平均分子量の低下率が35%未満にとどまる結果、十分な接着強度を維持できる耐湿熱性に優れるものであることがわかった。また、180℃という低い接着温度でポリエステルフィルム同士及びポリエステルフィルムと金属とを強固に接着できることがわかった。
【0044】
【発明の効果】
本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂材料同士あるいはポリエステル樹脂材料と他の材料とを接着する接着剤用として有用であり、200℃以下の接着温度で強固な接着ができ、得られた接着物は非常に優れた耐湿熱性を有する。したがって本発明の接着剤用共重合ポリエステル樹脂は、電線被覆剤やフラットケーブル等の電気・電子分野、機械分野、建材やふすま等の建築分野、自動車分野、食品や医薬品用の包装材の分野等における接着剤用の樹脂として好適に利用することができ、また、プレコートメタル塗料等にも利用することができる。また、本発明の接着剤は、液状で被着物の形状を選ばず、上記各分野における接着剤として好適であり、上記した共重合ポリエステル樹脂に由来する優れた性能を発揮する。

Claims (2)

  1. 共重合ポリエステル樹脂を構成する二価アルコール成分として下記式(1)で示されるポリアルキレングリコールが、全二価アルコール成分中の1mol%〜30mol%の範囲で共重合されており、かつ繰り返し単位の平均分子量が230以上である接着剤用共重合ポリエステル樹脂であって、ガラス転移温度が30℃以下であり、かつ温度85℃、湿度95%、500時間の湿熱処理による数平均分子量の低下率が35%未満であることを特徴とする接着剤用共重合ポリエステル樹脂。
    [式(1)中、nは2〜36の整数を表し、mは1〜200の整数を表す。]
  2. 請求項1記載の共重合ポリエステル樹脂と、それを溶解する有機溶剤とからなることを特徴とする接着剤。
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