JP2003253017A - 金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム - Google Patents
金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムInfo
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Abstract
保持しながら、耐加水分解性、特に保味保香性を改善
し、安価で衛生上も望ましい金属板貼合せ成形加工用ポ
リエステルフィルムを得ることを目的とする。 【解決手段】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
し単位とする二軸配向ポリエステルフィルムからなるフ
ィルムである。ポリエステル中にはリン化合物およびポ
リマーに可溶なチタン化合物を含有する。リン化合物が
以下の式(I)で表されるホスホネート化合物である。
かつフィルムは平均粒径が2.5μm以下の不活性粒子
を0.05〜5重量%含有する。 R1OC(O)XP(O)(OR2)2 …(I) ここで、式中の、R1およびR2は炭素数原子数1〜4の
アルキル基、Xは−CH 2−または―CH(Y)−(Y
は、ベンゼン環を示す。)であり、R1およびR2はそれ
ぞれ同一でも異なっていても良い。
Description
工用ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは金
属板と貼合せて絞り加工などの製缶加工をする際優れた
成形加工性を示し、耐熱性、耐レトルト性、保味保香
性、耐衝撃性、防錆性などに優れた金属缶、例えば飲料
缶、食品缶などを製造し得る金属板貼合せ成形加工用ポ
リエステルに関する。
に塗装が施されているが、最近、工程簡素化、衛生性向
上、公害防止などの目的で、有機溶剤を使用せずに防錆
性を得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑
性樹脂フィルムによる被覆が試みられている。即ち、ブ
リキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板
に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工
等により製缶する方法の検討が進められている。この熱
可塑性樹脂フィルムとしてポリオレフィンフィルムやポ
リアミドフィルムが試みられたが、成形加工性、耐熱
性、耐衝撃性、保味保香性の全てを満足するものではな
い。
エチレンテレフタレートフィルムがバランスのとれた特
性を有することから注目され、これをベースとしたいく
つかの提案がなされている(特開昭56−10451号
公報、特開昭64−22530号公報、特開平1−19
2545号公報、特開平1−192546号公報、特開
平2−57339号公報等が挙げられる)。
耐レトルト性、保味保香性等を全て満足することは、特
に大きな変形を伴う成形加工の場合に不十分となる場合
がある。
特開平6−39979号公報では、成形加工性、耐熱
性、耐衝撃性、保味保香性を満足するものとして、特定
の融点、ガラス転移温度あるいは特定の末端カルボキシ
ル基濃度を有する金属板貼合せ成形加工用ポリエステル
フィルムが提案されている。しかしこれらのフィルムを
用いた缶を例えば飲料容器に使用した場合、飲料の種類
によっては、例えば特開昭55−23136号公報に記
載されているような、臭気や味に対する変化が感知され
ることが指摘されている。
は、特定量のアルカリ金属元素とゲルマニウム元素を含
有する共重合ポリエステルからなる金属板成形加工用ポ
リエステルフィルムが提案されている。しかしこのフィ
ルムを用いた場合、コールドパックシステムの如き内容
物を詰めた段階で熱のかからない工程では優れた保味保
香性を示すが、レトルト処理の如き内容物を詰めた段階
で熱処理が行われる工程においては、必ずしも十分な保
味保香性が得られない課題がある。
び特開平10−231413号公報では、アルカリ金属
および触媒金属化合物の含有量とリン化合物の配合比が
特定範囲にある共重合ポリエステルが提案されている。
しかしこれらフィルムを用いても、ポリエステルの生産
性や二軸配向フィルム生産時の熱劣化性の面で必ずしも
十分ではなく、更なる性能の改良が望まれていた。
は、特定の金属を特定量含有する積層ポリエステルフィ
ルムが提案されている。しかしレトルト処理の如き内容
物を詰めた段階で熱処理が行われる工程においては、耐
加水分解性が十分ではなく、必ずしも十分な保味保香性
が得られない課題がある。
リエステルフィルムが持つ優れた耐熱性、耐衝撃性、深
絞り成形性、防錆性を保持しながら、耐加水分解性、特
に保味保香性を改善し、安価で衛生上も望ましい金属板
貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムを得ることを目
的とする。
形加工用ポリエステルフィルムは、エチレンテレフタレ
ートを主たる繰り返し単位とする二軸配向ポリエステル
フィルムからなる金属板貼合せ成形加工用ポリエステル
フィルムにおいて、ポリエステル中にはリン化合物およ
びポリマーに可溶なチタン化合物を含有し、リン化合物
が以下の式(I)で表されるホスホネート化合物であっ
て、なおかつフィルムは平均粒径が2.5μm以下の不
活性粒子を0.05〜5重量%含有することを特徴とす
る。本発明は、こうした構成により、耐加水分解性およ
び保味保香性の向上に顕著な効果がある。 R1OC(O)XP(O)(OR2)2 …(I) なお式(I)中で、R1およびR2は炭素数原子数1〜4
のアルキル基、Xは−CH2−または―CH(Y)−
(Yは、ベンゼン環を示す。)であり、R1およびR2は
それぞれ同一でも異なっていても良い。
ては、アンチモン化合物,ゲルマニウム化合物等が用い
られているが、本発明における優れた耐加水分解性およ
び保味保香性を発現する為には、ポリマーに可溶なチタ
ン化合物を使用することが必要である。
やチタンテトラブトキシド(TBT)等が挙げられる
が、保味保香性と耐熱性のバランスを得る上で特に望ま
しいのは、下記一般式(II)で表される化合物、もし
くは一般式(II)で表される化合物と下記一般式(I
II)で表される芳香族多価カルボン酸またはその無水
物とを予め反応させた生成物である。 Ti(OR3)4 ・・・(II) ここで、式(II)中の、R3はアルキル基またはフェ
ニル基である。
整数である。
アルコキサイドとしては、R3がアルキル基および/ま
たはフェニル基であれば特に限定されないが、チタンテ
トライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チ
タンテトラブトキシド、チタンテトラエトキシド、チタ
ンテトラフェノキシドなどが好ましく用いられる。ま
た、かかるチタン化合物として反応させる一般式(II
I)で表される芳香族多価カルボン酸またはその無水物
としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット
酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物が好ましく用
いられる。上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸ま
たはその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族
多価カルボン酸またはその無水物の一部とを溶解し、こ
れにチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で30
分以上反応させれば良い。
時ならびに成形加工時の熱劣化を抑制する目的で、熱安
定剤防止,酸化防止剤を添加することができるが、本発
明における優れた保味保香性と耐熱性を発現する上で、
前述の一般式(I)で表される化合物を使用する。
物には、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエト
キシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホ
ン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボメトキ
シ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホ
ノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェ
ニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢
酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピル
エステルおよびジブチルエステル、テトラエチル−ホス
ホノ酢酸、テトラメチル−ホスホノ酢酸が挙げられる
が、これらは単体で用いても、また混合物で用いても構
わない。
より特に制限は無いが、上述のチタン化合物を触媒とし
かつリン化合物を安定剤として、下記式(1)〜(3)
を満足することが好ましい。そして更に好ましくは、下
記式(4)〜(6)の範囲である。 2≦Ti≦10 ・・・(1) 0.1≦P/Ti≦10 ・・・(2) 5≦Ti+P≦40 ・・・(3) 4≦Ti≦8 ・・・(4) 0.4≦P/Ti≦6 ・・・(5) 8≦Ti+P≦30 ・・・(6) なお上記式中、Tiはポリエステル中に含有されるポリ
エステル可溶チタン化合物のチタン元素濃度(ミリモル
%)を、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物の
リン元素濃度(ミリモル%)をそれぞれ示す。
ン金属元素として2〜10ミリモル%含有することが好
ましい。特に好ましくは4〜8ミリモル%の範囲であ
る。該チタン金属元素が2ミリモル%未満ではポリエス
テルの生産性が低下し、目標の分子量のポリエステルが
得られない。また、該チタン金属元素が10ミリモル%
を超える場合は熱安定性が逆に低下し、フィルム製造時
の分子量低下が大きくなり目的のポリエステルが得られ
ない。尚、ここで言うポリマー中に可溶なチタン金属元
素とは、エステル交換反応による第一段階反応をする場
合は、エステル交換反応触媒として使用されたチタン化
合物と重縮合反応触媒として使用されたチタン化合物の
合計を示す。
安定性および保味保香性が急激に低下しするので好まし
くない。またP/Tiが10を越える場合、ポリエステ
ルの重合反応性が大幅に低下するので好ましくない。
たない場合は、静電印可法によるフィルム製膜プロセス
における生産性が低下し、またフィルム厚みの均一性も
低下することに起因する成形加工性の低下や耐熱脆化性
の低下が生じ、満足な性能が得られない場合があるので
好ましくない。また、(Ti+P)が30ミリモル%を
超える場合は、ポリエステルとの相互作用により生じる
ポリエステルの低分子成分によりフレーバー性が低下し
てしまい、満足な性能が得られない場合があるので好ま
しくない。
テレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル
である。このポリエステルは、エチレンテレフタレート
単位を構成する成分以外の第3成分を共重合した、共重
合ポリエチレンテレフタレートが耐熱性、成形加工性の
点で好ましい。上記第3成分(共重合成分)は、ジカル
ボン酸成分またはグリコール成分のいずれでもよい。
ボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、イソフタル酸、フタル酸等の如き芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジ
カルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサ
ンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸等が例示で
き、これらは単独または二種以上を使用することができ
る。これらの中、2,6−ナフタレンジカルボン酸およ
びイソフタル酸が好ましい。
ール成分としてはジエチレングリコール、プロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、
ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の如き脂肪族ジ
オール、シクロヘキサンジメタノール等の如き脂環族ジ
オール、ビスフェノールA等の如き芳香族ジオール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の
如きポリアルキレングリコールが例示できる。これらは
単独または二種以上を使用することができる。これらの
中、ジエチレングリコールが好ましい。全グリコール成
分に対するジエチレングリコール成分の共重合量が4モ
ル%以下であることが好ましく、更に好ましくは2.5
モル%以下である。ジエチレングリコールの共重合量が
5モル%を超えると、耐熱性が低下することがある。な
お、このジエチレングリコール成分はエチレングリコー
ルをグリコール成分とする共重合芳香族ポリエステルを
製造する際に副生するジエチレングリコール成分も含
む。
て製造する事ができる。例えばイソフタル酸の如き第三
成分を共重合する共重合ポリエチレンテレフタレートに
ついて説明すれば、テレフタル酸およびイソフタル酸の
低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステ
ル交換反応させるか、またはテレフタル酸およびイソフ
タル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応さ
せるか、またさらにはテレフタル酸グリコールエステル
および/またはその低重合体とイソフタル酸をエステル
化反応させて、テレフタル酸−イソフタル酸のグリコー
ルエステルおよび/またはその低重合体が生成される第
一段階の反応が行われる。この反応生成物を高真空化加
熱して脱グリコール反応を進行させることで所望の重合
度になるまで重縮合反応させて目的のポリエステルを得
ることができる。上記の方法(溶融重合)により得られ
たポリエステルは、必要に応じて固相状態での重合方法
(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとす
ることができる。
て溶融重合時の第一段階の反応を行う場合には、該反応
時にエステル交換反応触媒の添加が必要である。一般に
エステル交換反応触媒としてはカルシウム化合物、マン
ガン化合物、チタン化合物などが挙げられ、いずれも用
いることができるが、触媒量を最小化でき、得られるポ
リエステルが優れた保味保香性を有する点でポリマー中
に可溶なチタン化合物が好ましい。また、重縮合反応に
使用する触媒にも、優れた耐加水分解性および保味保香
性の点で、ポリマー中に可溶なチタン化合物を使用する
ことが必要である。
クロロフェノール、35℃)は、0.50〜0.80の
範囲にあることが好ましく、さらに0.55〜0.7
5、特に0.60〜0.70の範囲が好ましい。固有粘
度が0.50未満であるとフィルムの耐衝撃性が不足す
るため好ましくない。他方、固有粘度が0.80を超え
ると、原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げる必要
があり生産性が悪い。
Tgと略することがある)は、70℃以上、特に73℃
以上であることが好ましい。Tgが70℃未満である
と、耐熱性が劣るようになりフィルムのレトルト処理後
の保味保香性が悪化する場合がある。ここでフィルムの
Tgは、DSC測定用パンに20mgのサンプルを入
れ、290℃加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すば
やく試料パンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化
し、Du Pont Instruments 910
DSCを用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を
求める方法による。
0℃の範囲、特に215〜245℃の範囲にあることが
好ましい。融点が210℃未満ではフィルムの耐熱性が
劣り好ましくなく、一方融点が250℃を超えると、フ
ィルムの結晶性が高くなりフィルムの成形加工性が損な
われるようになるので好ましくない。ここでフィルムの
融点測定は、Du Pont Instruments
910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピ
ークを求める方法による。なおサンプル量は20mgと
する。
ルムは末端カルボキシル基濃度が40eq/106g以
下、特に好ましくは35以下であることが好ましい。な
お、末端カルボキシル基は、A.Conixの方法(M
akromol. Chem. 26, 226(19
58))に従って求めることができる。
は、平均粒径2.5μm以下の不活性粒子を含有する必
要がある。この粒子は滑剤として機能する。この平均粒
径は、好ましくは0.05〜2.0μmであり、さらに
好ましくは0.1〜1.5μmである。平均粒径が2.
5μmを超えると成形加工時にピンホールを生じ易くな
り好ましくない。ここで、粒子の平均粒径は、遠心沈降
式粒度分布測定器によって得た等価球径分布における積
算50%点の値を用いる。
有量は、0.05〜5.0重量%である必要がある。好
ましくは0.08〜3.0重量%であり、さらに好まし
くは0.1〜1.0重量%である。含有量が0.05重
量%に満たないとフィルム巻き取り性が不十分で生産性
に劣ることになる。また5.0重量%を超えると成形加
工時にフィルムにピンホールを生じてしまい好ましくな
い。
機粒子としてはコロイダルシリカ、多孔質シリカ、酸化
チタン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、アルミナ、ジルコニア、カオリン、複合酸化物粒子
等が挙げられ、有機粒子としては架橋ポリスチレン、ア
クリル系架橋粒子、メタクリル系架橋粒子、シリコーン
粒子等が挙げられる。また前記の如き外部添加粒子に限
るものではなく、例えば共重合ポリエステル製造時に用
いた触媒などの一部または全部を反応工程で析出させた
内部析出粒子を用いることもできる。また、外部添加粒
子と内部析出粒子を併用することも可能である。これら
の中でも無機粒子が好ましく、中でもコロイダルシリカ
が成形加工上好ましい。
合ポリエステルに含有させる方法は特に限定されるもの
ではなく、例えば、共重合ポリエステル製造工程の任意
の段階で添加する方法が挙げられる。また、共重合ポリ
エステルには必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘
度調整剤、可塑剤、色相改良剤、核剤、紫外線吸収剤な
どの添加剤を加えることができる。
より熱固定された二軸延伸フィルムの形態で使用され
る。具体的に逐次二軸延伸による方法を以下に説明す
る。本発明のフィルムは、ポリエステルを溶融してダイ
スより押出し、固化前に積層融着した後、直ちに急冷し
て実質的に非晶質のポリエステルシートを得る。次いで
このシートをロール加熱、赤外線加熱等で加熱して縦方
向に延伸する。このとき延伸温度をポリエステルのガラ
ス転移点(Tg)より20〜40℃高い温度とし、延伸
倍率を2.7〜3.6倍とすることが好ましい。横方向
の延伸はTgより20℃以上高い温度から始め、ポリエ
ステルの融点(Tm)より100〜130℃低い温度ま
で昇温しながら行うのが好ましい。横延伸の倍率は2.
8〜3.7倍とすることが好ましい。また、熱固定の温
度は150℃〜205℃の範囲でポリエステルポリマー
の融点に応じフィルム品質を調整すべく選択する。
るアルカリ金属元素、アンチモン元素およびゲルマニウ
ム元素の総量は5重量ppm以下、好ましくは3重量p
pm以下であることが必要である。また、アンチモン元
素およびゲルマニウム元素の総量は1重量ppm未満で
あることが好ましい。ここで、アルカリ金属元素量は、
原子吸光分析により定量されるLi、Na、K元素のp
pm濃度の和である。また、アンチモン元素量およびゲ
ルマニウム元素量は、蛍光X線分析により定量する。ア
ルカリ金属元素、アンチモン金属元素およびゲルマニウ
ム金属元素の総量が5重量ppmを超えると、保味保香
性、特にレトルト処理後の保味保香性が劣ることにな
る。
品缶または飲料缶に用いられるものであるから、フィル
ムより溶出あるいは飛散する物質が少ないほど良いが、
それらの物質を全くなくすことは実質的に不可能であ
る。そこで、食品缶または飲料缶用途に使用するために
は、例えばイオン交換水で121℃、2時間抽出したと
きのフィルム1cm2当りの抽出量が10μg以下であ
ることが好ましく、8μg以下であることが更に好まし
い。上記抽出量を少なくするには、ポリエステルフィル
ム中の触媒化合物と安定剤化合物の種類・含有量の適性
化、共重合成分の種類・量の適性化を行なえば良い。共
重合成分の種類・量を変更する場合、ポリエステルフィ
ルムのガラス転移温度や融点、結晶性を変化させる可能
性が有る為、触媒化合物と安定剤化合物の種類・含有量
の適性化することが好ましい。
特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリースチ
ール、アルミニウム等の板が適切である。金属板へのフ
ィルムの貼合せは、例えば次の(イ)や(ロ)の方法で
行うことができる。
熱しておいてフィルムを貼合せた後冷却し、金属板に接
するフィルムの表層部(薄層部)を非晶化して密着させ
る。
マーコートしておき、この面と金属板を貼合せる。接着
剤層としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着
剤、エポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着剤
等を用いることができる。
る。なお、フィルムの特性は下記の方法で測定、評価し
た。
SCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める
方法による。なおサンプル量は20mgとする。
℃加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パ
ンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化した後、Du
Pont Instruments 910 DSC
を用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方
法による。
おける積算体積分率50%の直径を平均粒径とする。
元素、アンチモン金属元素およびリン元素量 フィルムサンプルを240℃に加熱溶融して、円形ディ
スクを作成し、リガク製蛍光X線装置3270型を用い
て触媒金属元素およびリン元素濃度を定量した。
し、1H−NMRにて測定した。
℃で30日間保持した。この際の分子量低下を(1)記
載の固有粘度[η]の測定によって評価した。 ○:[η]の低下が0.04以下 △:[η]の低下が0.04を超え0.10未満 ×:[η]の低下が0.10以上
板厚0.25mmのティンフリースチール板と貼合せた
後、冷却して被覆鋼鈑を得た。この被覆鋼鈑を観察し、
ラミネート性を下記の判定基準で評価した。
ト性A) 〇:気泡、しわが見られない。 △:気泡、しわが長さ10cm当り2〜3箇所見られ
る。 ×:気泡、しわが多数見られる。
性B) 〇:収縮率が2%未満。 △:収縮率が2%以上5%未満。 ×:収縮率が5%以上。
ンフリースチール板を150mm径の円板状に切り取
り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工
し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略するこ
とがある)を作成した。この缶について以下の観察を行
い、下記の基準で評価した。 ○:フィルムに異常なく加工されたフィルムに白化や破
断が認められない。 △:フィルムの缶上部に白化が認められる。 ×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる。
を行い、下記の基準で評価した。 ○:異常なく加工され、缶内フィルム面の防錆性試験
(1%NaCl水溶液を缶内に入れ、電極を挿入し、缶
体を陽極にして6Vの電圧をかけた時の電流値を測定す
る。以下、ERV試験と略することがある)において
0.1mA以下を示す。 ×:フィルムに異常はないが、ERV試験では電流値が
0.1mAを超えており、通電箇所を拡大観察するとフ
ィルムの粗大滑剤を起点としたピンホール状の割れが認
められる。
冷却した後、10個ずつを高さ30cmから塩ビタイル
床面に落とした後、ERV試験を行い、下記の基準で評
価した。 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えていたか、ある
いは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
保持した後、前述の耐衝撃性評価を行い、下記の基準で
評価した。 ○:全10個について0.1mA以下であった。 △:1〜5個について0.1mAを超えていた。 ×:6個以上について0.1mAを超えていたか、ある
いは200℃×5分間加熱後既にフィルムのひび割れが
認められた。
菌器で120℃、1時間レトルト処理を行った後、55
℃で60日間保存した。処理後の缶を10個ずつ高さ5
0cmから塩ビタイル床面に落とした後、缶内のERV
試験を行い、下記の基準で評価した。 ○:全10個について0.1mA以下であった。 △:1〜5個について0.1mAを超えていた。 ×:6個以上について0.1mAを超えていたか、ある
いは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
し、常温(20℃)で120日間保管した。その充填液
を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較
用のイオン交換水と比較し、下記の基準で評価した。 ◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化
を感じた。 〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 △:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 ×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。
し、蒸気滅菌器で121℃、2時間レトルト処理を行っ
た後、常温(20℃)で120日間保管した。その充填
液を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比
較用のイオン交換水と比較し、下記の基準で評価した。 ◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化
を感じた。 〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 △:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 ×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。
に示す酸成分、共重合成分、金属触媒、リン化合物とを
用いた。なお表1中の記号で、酸成分におけるDMTは
テレフタル酸ジメチル、TAはテレフタル酸、共重合成
分におけるIAはイソフタル酸、NDCは2,6−ナフ
タレンジカルボン酸ジメチル、リン化合物におけるTE
PAはテトラエチルホスホノ酢酸、TMPはリン酸トリ
メチル、PAは正リン酸、金属元素におけるTiはチタ
ン元素、Sbはアンチモン元素、Geはゲルマニウム元
素、P/Tiはポリエステル中に残存するリン元素とチ
タン元素との濃度比、Ti+Pはポリエステル中に残存
するリン元素とチタン元素の濃度の和(単位はミリモル
%)、そしてDEGはジエチレングリコールを示す。
るようにして得られた共重合ポリエチレンテレフタレー
ト(平均粒径0.5μm、球状シリカ粒子を0.1重量
%含有)を乾燥した後、280℃で溶融押出し、急冷固
化して未延伸フィルムを得た。次いでこの未延伸フィル
ムを縦方向に110℃で3.0倍延伸した後、横方向に
120℃で3.0倍延伸し、180℃で熱固定して二軸
配向フィルムを得た。得られた各フィルムの厚みは25
μmであった。フィルムの特性を表1に、評価結果を表
2に示す。
Tは、TBT(テトラブトキシチタン)とTMA(トリ
メリット酸)とを以下の要領で調製した。無水トリメリ
ット酸のエチレングリコール溶液(0.2%)にテトラ
ブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モ
ル添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反
応せしめた。その後、常温に冷却し、10倍量のアセト
ンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物をろ紙によ
って濾過し、100℃で2時間乾燥せしめ、目的の触媒
を得た。
してホスホネート化合物を用い、ポリマー可溶性チタン
化合物をチタン元素濃度として2〜10ミリモル%の範
囲で含有し、(P/Ti)および(Ti+P)が適正範
囲にある本発明のフィルムは良好な性能が得られたが、
リン酸系化合物を用いた場合(比較例1、2、5)や、
ポリエステルの融点が210℃以下となる場合(比較例
3、4)、触媒金属としてチタン化合物以外を使用した
場合(比較例6,7)、リン化合物が適正範囲を外れた
場合(比較例8,9)は、深絞り加工性、耐衝撃性、保
味保香性が不良であった。
耐熱性、深絞り成形加工性、耐衝撃性が良好であると共
に、特に保味保香性、耐加水分解性に優れたものであっ
た。
性、深絞り成形性、防錆性を保持しながら、耐加水分解
性、保味保香性を改善し、安価で衛生上も望ましい金属
板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムを提供するこ
とができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
し単位とする二軸配向ポリエステルフィルムからなる金
属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおいて、
ポリエステル中にはリン化合物およびポリマーに可溶な
チタン化合物を含有し、リン化合物が以下の式(I)で
表されるホスホネート化合物であって、なおかつフィル
ムは平均粒径が2.5μm以下の不活性粒子を0.05
〜5重量%含有することを特徴とする金属板貼合せ成形
加工用ポリエステルフィルム。 R1OC(O)XP(O)(OR2)2 …(I) (ここで、式中の、R1およびR2は炭素数原子数1〜4
のアルキル基、Xは−CH2−または―CH(Y)−
(Yは、ベンゼン環を示す。)であり、R1およびR 2は
それぞれ同一でも異なっていても良い。) - 【請求項2】 ポリエステルはジカルボン酸成分とグリ
コール成分を含有した共重合ポリエステルであり、さら
にジカルボン酸成分はテレフタル酸とイソフタル酸を含
有し、全ジカルボン酸成分中でテレフタル酸は82モル
%以上であって、全グリコール成分中で82モル%以上
はエチレングリコールであることを特徴とする請求項1
記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。 - 【請求項3】 ポリエステルはジカルボン酸成分とグリ
コール成分を含有した共重合ポリエステルであり、さら
にジカルボン酸成分はテレフタル酸と2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸を含有し、全ジカルボン酸成分中でテレ
フタル酸が82モル%以上であり、全グリコール成分中
で82モル%以上はエチレングリコールであることを特
徴とする請求項1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエ
ステルフィルム。 - 【請求項4】 リン化合物およびポリマーに可溶なチタ
ン化合物の添加量が、以下の式(1)〜(3)の範囲に
あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。 2≦Ti≦10 ・・・(1) 0.1≦P/Ti≦10 ・・・(2) 5≦Ti+P≦40 ・・・(3) (上記式中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエ
ステル可溶チタン化合物のチタン元素濃度(ミリモル
%)を、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物の
リン元素濃度(ミリモル%)をそれぞれ示す。) - 【請求項5】 ポリマーに可溶なチタン化合物が、以下
の式(II)で表わされる化合物、または以下の式(I
I)で表わされる化合物と以下の式(III)で表わさ
れる芳香族多価カルボン酸とを反応させた生成物である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属
板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。 Ti(OR3)4 ・・・(II) (ここで、式(II)中の、R3はアルキル基またはフ
ェニル基である。) 【化1】 (ここで、式(III)中の、nは2〜4の整数であ
る。) - 【請求項6】 ポリエステルはグリコール成分を含有し
ており、さらにグリコール成分はエチレングリコールと
ジエチレングリコールを含有し、全グリコール成分中で
エチレングリコールは95モル%以上であることを特徴
とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属板貼合せ成
形加工用ポリエステルフィルム。 - 【請求項7】 フィルムの融点が210〜250℃の範
囲であり、かつガラス転移点が70℃以上である請求項
1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィル
ム。 - 【請求項8】 フィルムの溶出量が10μg/cm2以
下である請求項1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエ
ステルフィルム。
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