JP3749586B2 - 金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム - Google Patents

金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは金属板と貼合せて絞り加工などの製缶加工をする際優れた成形加工性を示し、かつ耐熱性、耐レトルト性、保香性、耐衝撃性、防錆性などに優れた金属缶、例えば飲料缶、食品缶などを製造し得る金属板貼合せ成形加工用ポリエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属缶には内外面の腐蝕防止として一般に塗装が施されているが、最近、工程簡素化、衛生性向上、公害防止などの目的で、有機溶剤を使用せずに防錆性を得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑性樹脂フィルムによる被覆が試みられている。即ち、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工等により製缶する方法の検討が進められている。この熱可塑性樹脂フィルムとしてポリオレフィンフィルムやポリアミドフィルムが試みられたが、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性、保香性の全てを満足するものではない。
【0003】
そこで、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムがバランスのとれた特性を有することから注目され、これをベースとしたいくつかの提案がなされている(特開昭56−10451号公報、特開昭64−22530号公報、特開平1−192545号公報、特開平1−192546号公報、特開平2−57339号公報等が挙げられる)。しかし、成形加工性、耐レトルト性、保香性等を全て満足することは特に大きな変形を伴う成形加工の場合、不十分となることが本発明者らの研究で明らかになった。
【0004】
また、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性、保香性を満足するものとして共重合ポリエステルフィルムが検討されているが、例えば特開平5−339348号公報では、特定の融点、ガラス転移温度及び末端カルボキシル基濃度を有する共重合ポリエステルからなる金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムが、また特開平6−39979号公報では特定の融点、ガラス転移温度を有する共重合ポリエステルを積層した金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムが提案されているが、本発明者らの研究によれば、これらのフィルムを用いた缶を例えば飲料容器に使用した場合、飲料の種類によっては、例えば特開昭55−23136号公報に記載されているような臭気や味に対する変化が感知されることが明らかになった。
【0005】
また、特開平6−116376号公報では、特定量のアルカリ金属元素とゲルマニウム元素を含有する共重合ポリエステルからなる金属板成形加工用ポリエステルフィルムが提案されているが、このフィルムを用いた場合、コールドパックシステムの如き内容物を詰めた段階で熱のかからない工程では優れた保味保香性を示すが、レトルト処理の如き内容物を詰めた段階で熱処理が行われる工程においては、必ずしも十分な保味保香性が得られない問題がある。
【0006】
また、レトルト処理工程を要する内容物に対して保香性を得る為に幾つかの提案がなされている。例えば、特開平8−231690号公報では、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールを特定範囲の比率でジオール成分として得られる共重合ポリエステルフィルムが提案されているが、このフィルムは耐熱性が低下する為十分な製缶特性が得られないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解消し、共重合ポリエステルフィルムが持っている優れた成形加工性、耐熱性、耐衝撃性を保持しながら、内容物の保香性、特にレトルト処理後の保味保香性を改善した金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸を主体とし、モル比(テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸)が82/18〜97/3である酸成分と、エチレングリコールを主体とするグリコール成分とから構成され、固有粘度が0.50〜0.80、ガラス転移点が75℃以上、融点が210〜250℃である共重合芳香族ポリエステルからなるフィルムであって、該フィルムに含有される遊離の芳香族ジカルボン酸グリコールエステルの量が50ppm以下であることを特徴とする金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムである。
【0009】
本発明において、共重合芳香族ポリエステルは、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸を主体とする酸成分と、エチレングリコールを主体とするグリコール成分とからなる共重合芳香族ポリエステルである。
【0010】
かかる酸成分のモル比(テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸)は、82/18〜97/3の範囲であることが必要であり、85/15〜97/3の範囲であることが好ましい。
【0011】
酸成分のモル比(テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸)が97/3を超える、すなわち全酸成分中の2,6−ナフタレンジカルボン酸のモル比が3モル%未満では成形加工性、保香性が不十分であり、一方、モル比(テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸)が82/18未満、すなわち全酸成分中の2,6−ナフタレンジカルボン酸のモル比が18モル%を超えると耐熱性、耐衝撃性が悪化するので好ましくない。
【0012】
また、該酸成分として、フィルムの物性(融点、水抽出物量等)を損なわない範囲で、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸以外の酸成分を併用することができる。併用し得る酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸等が例示できる。
【0013】
次に、該グリコール成分は主としてエチレングリコール(全グリコール成分に対して90モル%以上)からなるが、フィルムの物性(耐熱性、ガラス転移点等)を損なわない範囲で他のグリコール成分を併用することができる。併用しうるジオール成分としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の如き脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の如き脂環族ジオール、ビスフェノールA等の如き芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の如きポリアルキレングリコールが例示できる。これらは単独または二種以上を使用することができる。
【0014】
本発明における共重合芳香族ポリエステルはポリマー融点が210〜250℃、好ましくは215〜245℃の範囲にあることが必要である。融点が210℃未満ではフィルムの耐熱性が劣り好ましくなく、一方融点が250℃を超えると、ポリマーの結晶性が高くなりフィルムの成形加工性が損なわれるようになるので好ましくない。
【0015】
ここで、共重合芳香族ポリエステルの融点測定は、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0016】
また、本発明のポリエステルフィルムは、未延伸フィルムであってもよいが、二軸延伸し、熱固定した二軸延伸フィルムの形態で使用されることが好ましい。このとき、本発明のポリエステルフィルムのガラス転移温度(以下Tgと略することがある)は75℃以上である必要がある。フィルムのTgが75℃未満であると、耐熱性が劣るようになりレトルト後の保味保香性が悪化する。本発明の共重合芳香族ポリエステルの酸成分として、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸を主体とし、モル比(テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸)が82/18〜97/3の範囲の割合とし、グリコール成分として主としてエチレングリコールを構成成分とすることによりフィルムのTgが75℃以上とすることができる。ここでポリエステルフィルムのTgは、DSC測定用パンに20mgのフィルムサンプルを入れ、290℃加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方法による。
【0017】
さらに、共重合芳香族ポリエステルはフィルムの固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)が0.50〜0.80の範囲にあることが必要であり、好ましくは0.55〜0.75、さらに好ましくは0.60〜0.70である。固有粘度が0.50未満であるとフィルムの耐衝撃性が不足するため好ましくない。他方、固有粘度が0.80を超えると、原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げる必要があり不経済である。
【0018】
また、本発明においてフィルム中に含まれる遊離の芳香族ジカルボン酸グリコールエステル(以下、遊離グリコールエステルと称することがある)とは、例えば本発明の如き共重合芳香族ポリエステルの酸成分が、テレフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸であり、グリコール成分がエチレングリコールである場合、遊離のビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート(以下、BHETと称することがある)及び遊離のビス(β−ヒドロキシエチル)ナフタレート(以下、BHENと称することがある)のことを示す。さらに、フィルム中の芳香族ジカルボン酸グリコールエステルの含有量とはフィルム中に含まれる上記BHETとBHENの総和を示す。特に、本発明におけるポリマー構成成分組成の範囲ではBHENの含有量が少なく、特に酸成分のモル比(テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸)が85/15〜97/3の範囲では、BHENのフィルム中の含有量が定量検出限界以下となり遊離グリコールエステルとして実質的にBHETのみ検出される。さらに、遊離グリコールエステルとして実質的にBHETのみ検出されるようにポリマー構成成分組成を選択することにより、遊離グリコールエステル全体のフィルム中での含有量を低下させることができるので好ましい。
【0019】
この遊離グリコールエステルのフィルム中での含有量は50ppm以下にする必要が有り、好ましくは30ppm以下、更に好ましくは20ppm以下である。
【0020】
本発明のポリエステルフィルムに含有される遊離グリコールエステルが50ppmを超えると、レトルト殺菌処理を施した後の内容物の保味・保香性が著しく低下する。ポリエステルフィルム中に含有される遊離グリコールエステルの量を50ppm以下にするには、前述のポリマー構成成分組成範囲を満足することで達成される。
【0021】
本発明において、共重合芳香族ポリエステルは、その製法により限定されることはない。例えば、テレフタル酸、エチレングリコールおよび共重合成分である2,6−ナフタレンジカルボン酸をエステル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させて共重合芳香族ポリエステルを製造する方法、あるいは、テレフタル酸ジメチルエステル、エチレングリコールおよび共重合成分である2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルをエステル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させて共重合芳香族ポリエステルを製造する方法を好ましく挙げることができる。
【0022】
上記の方法(溶融重合)により得られた共重合芳香族ポリエステルは、必要に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとすることができる。また、共重合芳香族ポリエステルには必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、核剤、紫外線吸収剤などの添加剤を加えることができる。
【0023】
本発明の共重合芳香族ポリエステルからなるフィルムはフィルム中のアルカリ金属元素の総量(トータルアルカリ金属元素量A)がA≦5(ppm)を満足することが保味・保香性保持の為好ましい。このアルカリ金属量元素の総量は、原子吸光分析により定量されるLi、Na、K元素のppm濃度の和である。
【0024】
このアルカリ金属元素の総量が5ppm以下ではポリエステル製造時の副生エーテルグリコール量、特に副生ジエチレングリコール量が増加し、該ポリエステルフィルムの耐熱性が低下し、更にポリエステルフィルムの静電印加キャスト法での生産性が低下することが知られているが、本発明者らの研究から、触媒の金属化合物量の適正化、及びエステル化又はエステル交換反応の条件を適正化することにより、ポリエステル製造時の副生エーテルグリコール量、特に副生ジエチレングリコール量の制御が可能であり、また、該金属化合物による触媒金属元素の量とリン化合物に因るリン元素の量のフィルム中での存在比率をある範囲に特定することにより、ポリエステルフィルムの静電印加キャスト法での生産性の低下を抑制できることが分かった。
【0025】
ここで、本発明における“触媒金属元素”とは、反応触媒として用いた金属化合物に由来するものである。この金属元素はポリマーに溶けた状態で存在し、滑剤粒子中の金属元素と区別させるべきものである。また、“リン元素”とは、触媒を失活するため、あるいはポリマーの安定剤として用いられたリン化合物に由来するものである。
【0026】
また、本発明におけるポリエステルフィルムは、フィルム中に残存する触媒金属元素の濃度(M)とリン元素の濃度(P)との和が20≦(M+P)≦55(ミリモル%)の範囲にあることが好ましい。(M+P)が20ミリモル%未満の場合、前述のポリエステルの静電印加キャスト法での生産性が低下する。また、(M+P)が55ミリモル%を超えると、副生のエーテルグリコール量が増加し耐熱性が低下することがある。
【0027】
更に、本発明におけるポリエステルフィルムは、フィルム中に残存する触媒金属元素濃度(M)とリン元素濃度(P)との比が1≦(M/P)≦5(ミリモル%/ミリモル%)の範囲にあることが好ましい。M/Pが1に満たない場合または5を超える場合は、共に触媒金属元素とリン元素の存在比が崩れ、過剰のリン元素又は触媒金属元素がポリマー中に存在することにより、熱安定性が低下することがある。
【0028】
本発明におけるポリエステルフィルムは、フィルム中に残存する触媒金属元素(M)が10≦M≦35(ミリモル%)の範囲にあることが好ましい。Mが10ミリモル%未満では十分な重合度を有するポリマーを得ることが困難となり、耐衝撃性等の特性が低下することがある。一方、Mが35ミリモル%を超える場合は、熱安定性が低下することがある。
【0029】
また、本発明における共重合芳香族ポリエステルは、共重合成分のうち全グリコール成分に対してジエチレングリコール成分の共重合量が5モル%以下であることが好ましく、4モル%以下であることが更に好ましい。この共重合量が5モル%を超えると、耐熱性が低下することがある。なお、このジエチレングリコール成分はエチレングリコールをグリコール成分とする共重合芳香族ポリエステルを製造する際に副生するジエチレングリコール成分も含むものである。ジエチレングリコール成分の共重合量は、0.5モル%以上(全グリコール成分に対し)であることがポリマー製造の点から望ましい。
【0030】
前記重縮合反応に使用する触媒としては、特に限定されないが、アンチモン化合物(Sb化合物)、チタン化合物(Ti化合物)、ゲルマニウム化合物(Ge化合物)などが好ましく挙げられ、その中でもゲルマニウム化合物は、得られたポリエステルフィルムの保香性の点で特に好ましい。
【0031】
このアンチモン化合物としては、例えば三酸化アンチモン、酢酸アンチモン等が好ましく挙げられる。チタン化合物としては、例えばチタンテトラブトキシド、酢酸チタンなどが好ましく挙げられる。また、ゲルマニウム化合物としては、無定形酸化ゲルマニウム、微細な結晶性酸化ゲルマニウム、酸化ゲルマニウムをアルカリ金属またはアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに溶解した溶液、酸化ゲルマニウムを水に溶解した溶液などが好ましく挙げられる。
【0032】
共重合ポリエステルには、フィルムの巻取性を向上させる目的で滑剤を添加することができる。滑剤の種類は無機系、有機系の如何を問わないが、無機系が好ましい。無機系滑剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが例示でき、有機系滑剤としてはシリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子などが例示できる。特に耐ピンホール性の点で好ましい滑剤は、粒径比(長径/短径)が1.0〜1.2である単分散の滑剤である。このような滑剤としては、真球状シリカ、真球状シリコーン樹脂粒子、球状架橋ポリスチレンなどが例示できる。
【0033】
添加する滑剤の粒径および量は、フィルムの巻取性と耐ピンホール性および保香保味性から決定するとよい。すなわち、平均粒径1.5μmのシリカであれば0.06重量%以上0.25重量%以下、平均粒径0.8μmのシリカであれば0.1重量%以上0.45重量%以下の範囲で添加することにより、保香保味性を損なうことなく巻取性を確保することができる。
【0034】
なお、滑剤は上記外部添加粒子に限るものではなく、例えばポリエステル製造時に用いた触媒などの一部または全部を反応工程で析出させた内部析出粒子を用いることもできる。また、外部添加粒子と内部析出粒子を併用することも可能である。
【0035】
また、本発明の共重合ポリエステルフィルムは、特に食品缶または飲料缶用途に適用するには、該フィルムから溶出あるいは飛散する物質が少ないほど好ましい。すなわち、食品缶または飲料缶用途に適用するためには、例えばイオン交換水で125℃、1時間抽出処理を行なったときのフィルム1inch2当りの抽出量が0.1mg以下であることが好ましく、0.05mg以下であることが更に好ましい。ここで、イオン交換水とは上水中のイオンを陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂にて低減させた後、蒸留して得られた水のことをいう。
【0036】
また、共重合ポリエステルフィルムの厚さ方向の屈折率は、1.500〜1.540であることが好ましく、1.505〜1.530であることが更に好ましい。この屈折率が低すぎると成形加工性が不十分となり、一方高すぎると、フィルムが非晶に近い構造となるため、耐熱性が低下することがある。
【0037】
本発明の共重合ポリエステルフィルムは、厚みが6〜75μmが好ましい。更に8〜75μm、特に10〜50μmであることが好ましい。厚みが6μm未満では成形加工時に破れなどが生じやすくなり、一方75μmを超えるものは過剰品質であって不経済である。
【0038】
本発明のポリエステルフィルムが貼合せられる金属板、特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の板が適切である。金属板へのポリエステルフィルムの貼合せは、例えば下記▲1▼、▲2▼の方法で行うことができる。
【0039】
▲1▼ 金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフィルムを貼合せた後冷却し、金属板に接するフィルムの表層部(薄層部)を非晶化して密着させる。
【0040】
▲2▼ フィルムに予め接着剤層をプライマーコートしておき、この面と金属板を貼合せる。接着剤層としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着剤、エポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着剤等を用いることができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明する。なお、フィルムの特性は下記の方法で測定、評価した。
【0042】
(ア)ポリエステルの固有粘度
オルトクロロフェノール中、35℃で測定する。
【0043】
(イ)ポリエステルの融点
Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求めた。なおサンプル量は20mgとする。
【0044】
(ウ)ポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg)
DSC測定用パンに20mgのフィルムサンプルを入れ、290℃加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化した後、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求めた。
【0045】
(エ)遊離グリコールエステル量
ポリエステルフィルム500mgをヘキサフルオロイソプロパノール3mlに溶解した。これにメタノール10mlを加え、試料ポリマーを再沈殿させ、濾過後の濾液をそのまま用いて液体クロマトグラフにて遊離グリコールエステル量を定量し、フィルム中の濃度を求めた。なお、遊離グリコールエステル量は本実施例での範囲では遊離BHEN量が定量限界以下であるため、実質的に遊離BHET量を示す。
【0046】
(オ)水抽出物量
ポリエステルフィルムをイオン交換水に浸漬し、125℃、1時間で抽出処理を行なった。この浸漬液中の抽出物を定量し、フィルム1inch2あたりの抽出物量を求めた。
【0047】
(カ)アルカリ金属量
フィルムサンプルをオルソクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行う。この抽出液について原子吸光分析によりNa、K、Liの定量を各元素毎に行う。
【0048】
(キ)触媒金属元素量及びリン元素量
フィルムサンプルを240℃に加熱溶融して円形デイスクを作成し、蛍光X線分析により、触媒金属元素量及びリン元素量を定量した。
【0049】
(ク)ラミネート性
ポリエステルフィルムを、ポリエステルの融点以上に加熱した板厚0.25mmのティンフリースチール板と貼合せた後、冷却して被覆鋼鈑を得た。この被覆鋼鈑を観察し、ラミネート性を下記の判定基準で評価した。
【0050】
[気泡、しわの判定基準]
〇:気泡、しわが見られない。
△:気泡、しわが長さ10cm当り2〜3箇所見られる。
×:気泡、しわが多数見られる。
[熱収縮率の判定基準]
〇:収縮率が2%未満。
△:収縮率が2%以上5%未満。
×:収縮率が5%以上。
【0051】
(ケ)深絞り加工性−1
前項(ク)と同じ方法でポリエステルフィルムをラミネートしたティンフリースチール板を150mm径の円板状に切り取り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略することがある)を作成した。この缶について以下の観察を行い、下記の基準で評価した。
○:フィルムに異常なく加工されたフィルムに白化や破断が認められない。
△:フィルムの缶上部に白化認められる。
×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる。
【0052】
(コ)深絞り加工性−2
前項(ケ)で得られた缶について以下の観察及び試験を行い、下記の基準で評価した。
○:異常なく加工され、缶内フィルム面の防錆性試験(1%NaCl水溶液を缶内に入れ、電極を挿入し、缶体を陽極にして6Vの電圧をかけた時の電流値を測定する。以下、ERV試験と略することがある)において0.2mA以下を示す。
×:フィルムに異常はないが、ERV試験では電流値が0.2mA以上であり、通電箇所を拡大観察するとフィルムの粗大滑剤を起点としたピンホール状の割れが認められる。
【0053】
(サ)耐衝撃性
深絞り加工性が良好な缶について、水を満注し、0℃に冷却した後、10個ずつを高さ30cmから塩ビタイル床面に落とした後、前項(コ)と同じERV試験を行い、下記の基準で評価した。
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mA以上であった。
×:6個以上について0.2mA以上であるか、あるいは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0054】
(シ)耐熱脆化性
深絞り加工性が良好であった缶を200℃、5分間加熱保持した後、前項(サ)の耐衝撃性評価を行い、下記の基準で評価した。
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mA以上であった。
×:6個以上について0.2mA以上であるか、あるいは200℃×5分間加熱後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0055】
(ス)耐レトルト性
深絞り加工性が良好な缶について、水を満注し、蒸気滅菌器で120℃、1時間レトルト処理を行った後、50℃で30日間保存した。処理後の缶を10個ずつ高さ50cmから塩ビタイル床面に落とした後、缶内のERV試験を行い、下記の基準で評価した。
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mA以上であった。
×:6個以上について0.2mA以上であるか、あるいは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0056】
(セ)保味性−1
深絞り加工性が良好な缶について、イオン交換水を充填し、常温(20℃)で30日間保管した。その充填液を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用のイオン交換水と比較し、下記の基準で評価した。
◎:30人中3人以下が比較液と比べて味の変化を感じた。
〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味の変化を感じた。
△:30人中7人〜9人が比較液と比べて味の変化を感じた。
×:30人中10人以上が比較液と比べて味の変化を感じた。
【0057】
(ソ)保味性−2
深絞り加工性が良好な缶について、イオン交換水を充填し、蒸気滅菌器で125℃、1時間レトルト処理を行った後、常温(20℃)で30日間保管した。その充填液を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用のイオン交換水と比較し、下記の基準で評価した。
◎:30人中3人以下が比較液と比べて味の変化を感じた。
〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味の変化を感じた。
△:30人中7人〜9人が比較液と比べて味の変化を感じた。
×:30人中10人以上が比較液と比べて味の変化を感じた。
【0058】
[実施例1〜5および比較例2〜6]
表1に示す、酸成分、ジエチレングリコール、アルカリ金属化合物、重縮合触媒及びリン化合物を用いて共重合ポリエチレンテレフタレート(粒径比1.1、平均粒径0.5μmの真球状シリカを0.2重量%含有。以下共重合PETと略することがある。)を乾燥した後、280℃で溶融押出し、急冷固化して未延伸フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを縦方向に3.0倍遠心した後、横方向に3.0倍延伸し、180℃で熱固定して厚み25μmの二軸配向フィルムを得た。このフィルムの特性を表1及び表2に示す。
【0059】
[比較例1]
共重合PETを製膜する際の溶融押し出し温度を300℃とする以外は実施例1と同じ方法で二軸配向フィルムを得た。このフィルムの特性を表1及び表2に示す。この二軸配向フィルム中の遊離グリコールエステル量は、実施例1に比べて高くなった。
【0060】
【表1】
Figure 0003749586
【0061】
【表2】
Figure 0003749586
【0062】
表2の評価結果から明らかなように、本発明の共重合ポリエステルフィルムを使用した缶は、深絞り加工性、耐熱脆化性、耐レトルト性、耐衝撃性が良好であるとともに、保香性、特にレトルト後の保味保香性に優れている。
【0063】
【発明の効果】
本発明の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムは、金属板と貼合わせた後製缶加工、例えば深絞り加工して金属缶を成形するにあたり、成形加工性、耐熱性、耐レトルト性、耐衝撃性が良好であるとともに、保香性、特にレトルト後の保味保香性に優れたものであり、金属容器貼合せ加工用として極めて有用である。

Claims (5)

  1. テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸を主体とし、モル比(テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸)が82/18〜97/3である酸成分と、エチレングリコールを主体とするグリコール成分とから構成され、固有粘度が0.50〜0.80、ガラス転移点が75℃以上、融点が210〜250℃である共重合芳香族ポリエステルからなるフィルムであって、該フィルムに含有される遊離の芳香族ジカルボン酸グリコールエステルの量が50ppm以下であることを特徴とする金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  2. 共重合芳香族ポリエステルがゲルマニウム化合物を重縮合触媒として製造されたものである請求項1に記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルフィルム中の遊離芳香族ジカルボン酸グリコールエステルが、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートである請求項1に記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  4. 共重合芳香族ポリエステルが、共重合成分としてジエチレングリコールを全グリコール成分に対して5モル%以下共重合した共重合芳香族ポリエステルである請求項1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  5. ポリエステルフィルムをイオン交換水で125℃、1時間抽出処理したときの抽出量が0.1mg/inch2以下である請求項1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
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