JP3986692B2 - 金属板ラミネート用積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属板ラミネート用積層フィルムに関し、更に詳しくは金属板と貼合せて絞り加工などの製缶加工をする際優れた成形加工性を示し、かつ耐熱性、耐レトルト性、保味保香性、耐衝撃性などに優れた金属缶、例えば飲料缶、食品缶などを製造し得る金属板ラミネート用積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属缶には内外面の腐蝕防止として一般に塗装が施されているが、最近、工程簡素化、衛生性向上、公害防止などの目的で、有機溶剤を使用せずに防錆性を得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑性樹脂フィルムによる被覆が試みられている。
【0003】
すなわち、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工等により製缶する方法の検討が進められている。
【0004】
この熱可塑性樹脂フィルムとしては、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性、保味保香性などの点で、共重合ポリエステルフィルムが適していることが次第に明らかになりつつある。しかしながら、このポリエステルフィルムは、一般に耐衝撃性、特に15℃以下の低温での耐衝撃性が不十分であり、このフィルムを貼合せた金属缶を低温下で落下させたりして衝撃を与えると、フィルムにひび割れが生じ易く、ジュース、清涼飲料水用の金属缶のように冷却した状態で取り扱われるものでは大きな問題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解消し、共重合ポリエステルフィルムが持っている優れた成形加工性、耐熱性、耐レトルト性、保味保香性を保持しながら、耐衝撃性を向上せしめ、特に低温下で衝撃によりひび割れが生じ難い金属板ラミネート用積層フィルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、共重合ポリエステルのなかでも、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位としてフィルム層とするとともに、特定の融点を有する共重合ポリエステルとアイオノマーを特定の割合で混合した樹脂層を設けた2層構造とすることにより、保味保香性に優れ、しかも、耐衝撃性、特に低温下での耐衝撃性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、融点が210〜245℃である共重合ポリエステルからなる樹脂層(A)と、融点が210〜245℃の共重合ポリエステル5〜45重量%とアイオノマー55〜95重量%からなる樹脂層(B)とを積層してなることを特徴とする金属板ラミネート用積層フィルムである。
【0008】
また、該樹脂層(A)を構成する共重合ポリエステルの共重合成分は、2,6−ナフタレンジカルボン酸であることが好ましく、該樹脂層(B)を構成する共重合ポリエステルは、2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。また、該ポリエステルフィルムをイオン交換水で121℃、2時間抽出処理したときの抽出量が0.5mg/inch2以下であることが好ましい。
【0009】
本発明において、樹脂層(A)に用いられる共重合ポリエステルとしては、種々の共重合ポリエステルのなかでも、保味保香性、特にレトルト処理後の保味保香性を改善することができることから、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、融点が210〜245℃、好ましくは215〜240℃である共重合ポリエステルを使用する。
【0010】
この共重合ポリエステルの共重合成分としては、ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。このジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が例示でき、またジオール成分としては1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールが例示できる。これらは単独または二種以上を使用することができる。これらのなかでも、耐衝撃性、保味保香性を向上させるためには、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。
【0011】
共重合成分の割合は、その種類にもよるが、結果としてポリマー融点が210〜245℃、好ましくは215〜240℃の範囲になる割合である。融点が210℃未満では耐熱性が劣ることになる。他方融点が245℃を超えると、ポリマーの結晶性が大きすぎて成形加工性が損なわれる。
【0012】
ここで、共重合ポリエステルの融点測定は、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0013】
また、本発明で樹脂層(A)に用いる共重合ポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)は0.52〜1.50であることが好ましく、さらに好ましくは0.57〜1.00、特に好ましくは0.60〜0.80である。この固有粘度が0.52未満の場合には耐衝撃性が不足することがあり好ましくない。他方、固有粘度が1.50を超える場合には、成形加工性が損なわれることがある。
【0014】
また、本発明において、樹脂層(B)に用いられる共重合ポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが代表例として挙げられる。この共重合成分は、ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。該ジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が例示でき、またジオール成分としては1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールが例示できる。これらは単独または二種以上を使用することができる。これらのなかでも、耐衝撃性、保味保香性を向上させるためには、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。
【0015】
共重合成分の割合は、ポリエステルの種類にもよるが、結果として、ポリマー融点が210〜245℃、好ましくは210〜235℃の範囲になる割合である。ポリマーの融点が210℃未満では積層フィルムの耐熱性が劣り好ましくなく、他方ポリマーの融点が245℃を超えると、ポリマーの結晶性が大きくなりすぎて成形加工性が損なわれる。
【0016】
ここで、樹脂層(B)に用いる共重合ポリエステルの融点測定も、樹脂層(A)に用いる共重合ポリエステルの融点測定と同じ方法により行う。
【0017】
また、この共重合ポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)は0.52〜1.00であることが好ましく、さらに好ましくは0.54〜0.80、特に好ましくは0.56〜0.70である。
【0018】
本発明において、樹脂層(A)に用いられる共重合ポリエステルおよび樹脂層(B)に用いられる共重合ポリエステルは、その製法によって限定されることはない。例えば、テレフタル酸、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル化反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法、あるいはテレフタル酸ジメチルエステル、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法を好ましく挙げることができる。また、上記の方法(溶融重合)により得られた共重合ポリエステルは、必要に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとすることができる。
【0019】
ポリエステルの製造においては、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、滑剤、核剤、紫外線吸収剤などの添加剤を加えることができる。
【0020】
前記重縮合反応に使用する触媒としては、アンチモン化合物(Sb化合物)、チタン化合物(Ti化合物)、ゲルマニウム化合物(Ge化合物)などが好ましく挙げられ、これらの中、チタン化合物、ゲルマニウム化合物はフィルムの保味保香性の点でさらに好ましい。チタン化合物としては、例えばチタンテトラブトキシド、酢酸チタンなどが好ましく挙げられる。また、ゲルマニウム化合物としては、(イ)無定形酸化ゲルマニウム、(ロ)微細な結晶性酸化ゲルマニウム、(ハ)酸化ゲルマニウムをアルカリ金属またはアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに溶解した溶液、(ニ)酸化ゲルマニウムを水に溶解した溶液などが好ましく挙げられる。
【0021】
本発明における樹脂層(B)に用いられるアイオノマーとは、α−オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体であり、該共重合体中のカルボキシル基の一部または全部に1〜2価の金属元素が結合したものである。かかるアイオノマーの例としては、エチレン−アクリル酸共重合体やエチレン−メタクリル酸共重合体などにおいて、カルボキシル基の一部または全部がナトリウムや亜鉛などにより中和された重合体を挙げることができる。
【0022】
更に本発明における樹脂層(B)は、前述の共重合ポリエステル5〜45重量%と、前述のアイオノマー55〜95重量%、好ましくは共重合ポリエステル10〜40重量%とアイオノマー60〜90重量%からなることが必要である。共重合ポリエステルの割合が45重量%を超えると、十分な耐衝撃性が得られず、他方5重量%未満では、耐熱性に劣るようになる。共重合ポリエステルとアイオノマーの割合を上記範囲とすることで、特に15℃以下の低温での耐衝撃性を向上させることができる。
【0023】
本発明のフィルムは、樹脂層(A)と樹脂層(B)とを積層した構造を有するものであり、かかる積層構造のフィルムは、例えば、それぞれの層を構成する樹脂を別々に溶融して共押し出しし、固化前に積層融着させた後、二軸延伸、熱固定する方法、それぞれの層を構成する樹脂を別々に溶融、押し出してフィルム化し、未延伸状態または延伸後、両者を積層させる方法等により製造することができる。
【0024】
本発明のフィルムにおいては、樹脂層(A)の表面粗さ(Ra)を15nm以下、特に4〜15nmとすることが、保味保香性を向上させる上で好ましい。ここで表面粗さ(Ra)は、JIS−B0601に準じて求めた中心線平均粗さである。
【0025】
本発明のフィルムは、好ましくは厚みが6〜75μmである。更に10〜75μm、特に15〜50μmであることが好ましい。厚みが6μm未満では加工時に破れなどが生じ易くなり、一方75μmを超えるものは過剰品質であって不経済である。
【0026】
樹脂層(A)の厚みTAと樹脂層(B)の厚みTBとの比(TA/TB)は、0.02〜50が好ましく、更に好ましくは0.1〜30、特に好ましくは0.2〜20である。具体的には、例えば厚みが20μmのフィルムの場合、樹脂層(A)の厚みを好ましくは0.4〜19.6μm、更に好ましくは1.9〜19.3μm、特に好ましくは3.4〜19.0μmとする。
【0027】
本発明のフィルムは、特に食品缶または飲料缶に用いられるものであるから、該フィルムより溶出あるいは飛散する物質が少ないほど良いが、それらの物質を全くなくすことは実質的に不可能である。そこで、食品缶または飲料缶用途に使用するためには、例えばイオン交換水で121℃、2時間抽出したときのフィルム1平方インチ当りの抽出量が0.5mg以下であることが好ましく、0.1mg以下であることが更に好ましい。
【0028】
上記抽出量を少なくするには、フィルムのガラス転移温度を高くすればよい。フィルムのガラス転移温度は該フィルムを構成するポリマーのガラス転移温度と配向度によって決まるが、配向度を上げると成形加工性が悪化するので、ポリマーのガラス転移温度を高くするのが好ましい。
【0029】
本発明のフィルムが貼合せられる金属板、特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の板が適切である。金属板へのフィルムの貼合せは、例えば下記▲1▼、▲2▼の方法で行うことができる。
▲1▼ 金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフィルムを貼合せた後冷却し、金属板に接するフィルムの表層部(薄層部)を非晶化して密着させる。
▲2▼ フィルムに予め接着剤層をプライマーコートしておき、この面と金属板を貼合せる。接着剤層としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着剤、エポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着剤等を用いることができる。
【0030】
なお、本発明のフィルムを金属板へ貼り合せる際には、樹脂層(B)の側を金属板に貼り合せるようにする。
さらに、本発明のフィルムにおいては、必要に応じて、樹脂層(A)と樹脂層(B)との間または片側に、他の追加の層を積層させてもよい。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明する。なお、実施例中の特性は下記の方法で測定した。
(1)ポリエステルの固有粘度
オルトクロロフェノール中、35℃で測定する。
【0032】
(2)ポリエステルの融点
Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0033】
(3)中心線平均粗さ(Ra)
(株)小坂研究所製、触針式表面粗さ計(SURFCORDER SE−30C)を用いて、触針半径2μm、測定圧0.03g、カットオフ値0.25mmの条件下で測定した。
【0034】
(4)深絞り加工性
樹脂層(A)を構成する共重合ポリエステルの融点以上に加熱した板圧0.25mmのティンフリースチール板の両面に、樹脂層(B)がティンフリースチール板側となるようフィルムを貼合せ、水冷した後150mm径の円板状に切り取り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略す)を作成した。この缶について以下の観察および試験を行い、各々下記の基準で評価した。
【0035】
▲1▼深絞り加工性−1
○:フィルムに異常なく、加工されたフィルムに白化や破断が認められない。
△:缶上部のフィルムに白化が認められる。
×:フィルムの一部に破断が認められる。
【0036】
▲2▼深絞り加工性−2
○:異常なく加工され、缶内フィルム面の防錆性試験(1%NaCl水溶液を缶内に入れ、電極を挿入し、缶体を陽極にして6Vの電圧をかけた時の電流値を測定する。以下、ERV試験と略することがある)において0.2mA以下を示す。
×:フィルムに異常はないが、ERV試験では電流値が0.2mAを超えており、通電箇所を拡大観察するとフィルムの粗大滑剤を起点としたピンホール状の割れが認められる。
【0037】
(5)耐衝撃性
深絞り成形が良好な缶について、水を満注し、0℃に冷却した後、各テストにつき10個ずつを高さ50cmから塩ビタイル床面に落とした後、缶内のERV試験を行った結果、
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mAを超えていた。
×:6個以上について0.2mAを超えているか、あるいは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0038】
(6)耐熱脆化性
深絞りが良好であった缶を200℃×5分間加熱保持した後、前述の耐衝撃性評価を行った結果、
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mAを超えていた。
×:6個以上について0.2mAを超えているか、あるいは200℃×5分間加熱後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0039】
(7)耐レトルト性
深絞り成形が良好な缶について、水を満注し、蒸気滅菌器で120℃、1時間レトルト処理を行い、しかる後、50℃で30日間保存した。得られた缶を各テストにつき10個ずつ高さ50cmから塩ビタイル床面に落とした後、缶内のERV試験を行った結果、
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mAを超えていた。
×:6個以上について0.2mAを超えているか、あるいは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0040】
(8)保味保香性−1
深絞り成形が良好な缶について、イオン交換水を充填し、常温下(20℃)30日間保管した。その浸漬液を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用のイオン交換水と比較し、下記基準で評価した。
◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
△:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
【0041】
(9)保味保香性−2
深絞り成形が良好な缶について、イオン交換水を充填し、蒸気滅菌器で120℃、1時間レトルト処理を行い、しかる後、常温下(20℃)30日間保管する。その浸漬液を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用のイオン交換水と比較し、下記基準で評価した。
◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
△:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
【0042】
[実施例1〜7および比較例1〜5]
表1に示す共重合成分を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.64で、平均粒径が0.3μmかつ粒径比が1.1の真球状シリカを0.1重量%含有)が樹脂層(A)、同じく表1に示す共重合成分を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.64)とアイオノマー(三井デュポンポリケミカル製、商品名:ハイミラン1652)を表1に示す割合であらかじめドライブレンドした樹脂組成物が樹脂層(B)となるように、それぞれ別々に、常法により乾燥し、互いに隣接したダイから共押出して、積層、融着させ、急冷固化して未延伸積層フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを110℃、3.2倍で縦延伸した後、120℃、3.4倍で横延伸し、更に160℃で熱固定して二軸延伸フィルムを得た。
【0043】
なお、比較例5では、比較のために、樹脂層(B)を設けず、樹脂層(A)のみからなる二軸延伸フィルム(厚み20μm)を作成した。
【0044】
得られたフィルムの厚みは20μmであり、樹脂層(A)および樹脂層(B)の厚みは、それぞれ4μmおよび16μm、樹脂層(A)の表面粗さ(Ra)は5nmであった。また、フィルムのイオン交換水抽出量を表1に、その他の評価結果を表2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
表2の評価結果から明らかなように、本発明のフィルムは、成形加工性、耐衝撃性、耐熱性、保味保香性に優れたものであった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の金属板ラミネート用積層フィルムは、金属板と貼合わせた後、製缶加工、例えば深絞り加工して金属缶を成形するにあたり、優れた成形加工性、耐熱性、耐レトルト性、保味保香性を有しながら、耐衝撃性、特に低温下での耐衝撃性が改善されたものであり、金属容器用フィルムとして極めて有用である。
Claims (4)
- エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、融点が210〜245℃である共重合ポリエステルからなる樹脂層(A)と、融点が210〜245℃の共重合ポリエステル5〜45重量%とアイオノマー55〜95重量%からなる樹脂層(B)とを積層してなることを特徴とする金属板ラミネート用積層フィルム。
- 樹脂層(A)を構成する共重合ポリエステルの共重合成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸である請求項1記載の金属板ラミネート用積層フィルム。
- 樹脂層(B)を構成する共重合ポリエステルが、2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートである請求項1または2記載の金属板ラミネート用積層フィルム。
- フィルムをイオン交換水で121℃、2時間抽出処理したときの抽出量が0.5mg/inch2以下である請求項1〜3のいずれかに記載の金属板ラミネート用積層フィルム。
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