JP3188660B2 - 金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム - Google Patents

金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム

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JP3188660B2
JP3188660B2 JP28349097A JP28349097A JP3188660B2 JP 3188660 B2 JP3188660 B2 JP 3188660B2 JP 28349097 A JP28349097 A JP 28349097A JP 28349097 A JP28349097 A JP 28349097A JP 3188660 B2 JP3188660 B2 JP 3188660B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板貼合せ成形
加工用ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは金属
板に貼合せて絞り加工等の製缶加工をする際優れた成形
加工性を示し、耐衝撃性、耐熱性、耐レトルト性、保香
保味性等に優れた金属缶、例えば飲料缶、食品缶等を製
造し得る金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】金属缶には内外面の腐蝕防止として一般
に塗装が施されているが、最近、工程簡素化、衛生性向
上、公害防止の目的で、有機溶剤を使用せずに防錆性を
得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑性樹
脂フィルムによる被覆が試みられている。すなわち、ブ
リキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板
に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工
等により製缶する方法の検討が進められている。この熱
可塑性樹脂フィルムとしてポリオレフィンフィルムやポ
リアミドフィルムが試みられたが、成形加工性、耐熱
性、保香性、耐衝撃性のすべてを満足するものではなか
った。
【0003】一方、ポリエステルフィルム、特にポリエ
チレンテレフタレートフィルムがバランスのとれた特性
を有するフィルムとして注目され、これをベースとした
幾つかの提案がされている。例えば、 (A)二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを
低融点ポリエステルの接着層を介して金属板にラミネー
トし、製缶材料として用いる(特開昭56−10451
号公報、特開平1−192546号公報)。 (B)非晶性もしくは極めて低結晶性の芳香族ポリエス
テルフィルムを金属板にラミネートし、製缶材料として
用いる(特開平1−192545号公報、特開平2−5
7339号公報)。 (C)低配向で、熱固定された二軸配向ポリエチレンテ
レフタレートフィルムを金属板にラミネートし、製缶材
料として用いる(特開昭64−22530号公報)。
【0004】しかし、本発明者らの研究によれば、いず
れも十分な特性が得られず、それぞれ次の問題があるこ
とがわかった。
【0005】(A)については、二軸配向ポリエチレン
テレフタレートフィルムは耐熱性、保香性に優れるが、
成形加工性が不十分であり、大きな変形を伴う製缶加工
ではフィルムの白化(微小クラックの発生)、破断が発
生する。
【0006】(B)については、非晶性もしくは極めて
低結晶性の芳香族ポリエステルフィルムであるため成形
加工性は良好であるが、保香性が劣り、また製缶後の印
刷、レトルト殺菌処理等の後処理、更には長期の保存に
より脆化しやすく、缶外部からの衝撃によって割れやす
いフィルムに変質する恐れがある。
【0007】(C)については、上記(A)と(B)の
中間領域で効果を発揮せんとするものであるが、未だ製
缶加工に適用可能な低配向には達しておらず、また、変
形度の小さい領域で加工し得たとしても、その後の印
刷、缶内容物を滅菌するレトルト処理により脆化しやす
くなり、前記(B)と同様に缶外部からの衝撃により割
れやすいフィルムに変質する恐れがある。
【0008】かかる問題を解決するために、本発明者等
は、共重合ポリエステルからなるフィルムを使用するこ
とを考え、種々検討を重ねてきた。その結果、共重合ポ
リエステルフィルムは、成形加工性、耐熱性、耐レトル
ト性、保香性には優れているものの、耐衝撃性、特に1
5℃以下の低温での耐衝撃性が不十分であり、このフィ
ルムを貼合せた金属缶を低温で落下させたりして衝撃を
与えると、フィルムにひび割れが生じやすいことがわか
ってきた。低温下での耐衝撃性が悪いことは、ジュー
ス、清涼飲料水用の金属缶のように冷却した状態で取り
扱われる用途では、大きな問題となる。
【0009】また、フィルムの耐衝撃性を向上させる目
的で、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位と
するポリエステル(I)とブチレンテレフタレートを主
たる繰り返し単位とするポリエステル(II)とからなる
ポリエステル組成物においてポリエステル(I)とポリ
エステル(II)とを互いにエステル交換反応を起こさせ
たものをフィルムに用いる方法が提案されている。しか
し、かかる方法においてはエステル交換反応が進みすぎ
るとポリマー劣化が起こり、フィルムの諸特性が低下す
る問題がある。従って、このエステル交換反応を制御す
ることがフィルムの特性向上に不可欠であるが、これま
で技術的に困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る問題を解消し、耐衝撃性に優れ、かつ成形加工性、耐
熱性、耐レトルト性、保香保味性等に優れた金属缶、例
えば飲料缶、食品缶等を製造し得る金属板貼合せ成形加
工用ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決すべく鋭意検討した結果、フィルムを積層フィ
ルムとし、その中の1層をエチレンテレフタレートを主
たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルと、ブチレ
ンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエス
テルとからなるポリエステル組成物から形成せしめ、さ
らにブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とす
るポリエステルのOH末端基量を特定の範囲とすること
により本発明の目的を達成するに至った。
【0012】すなわち、融点が210〜245℃である
イソフタル酸共重合ポリエステルから形成された第1層
(A)と、融点が210〜245℃のエチレンテレフタ
レートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステル
(I)99〜50重量%と融点が180〜223℃のブ
チレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリ
エステル(II)1〜50重量%とからなるポリエステル
組成物から形成された第2層(B)とを積層してなる積
層ポリエステルフィルムであって、第2層(B)におけ
る溶融混合前のポリエステル(II)のブチレンテレフタ
レートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)
のOH末端量が50〜150当量/tonであることを
特徴とする金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィル
ムである。
【0013】本発明において、イソフタル共重合ポリエ
ステルから形成される第1層(A)は優れた保香保味性
を発現する層であって、イソフタル酸共重合ポリエステ
ルで構成されており、イソフタル酸成分を共重合した共
重合ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸共重合
ポリエチレンテレフタレート)がその代表例として挙げ
られる。このイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタ
レートは、イソフタル酸以外の酸成分またはアルコール
成分が、その特性を損なわない範囲、例えば全酸成分又
は全アルコール成分に対して3モル%以下の割合で、共
重合されていてもよい。該共重合酸成分としてはフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン
酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジ
カルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸等が例示でき、
またアルコール成分としてはブタンジオール、ヘキサン
ジオール、ネオペンチルグリコール等の如き脂肪族ジオ
ール;シクロヘキサンジメタノールの如き脂肪族ジオー
ル等が例示できる。これらは単独または二種以上を使用
することができる。
【0014】イソフタル酸及びその他の共重合成分の割
合は、ポリマーの融点が210〜245℃、好ましくは
215〜235℃の範囲となる割合である。ポリマーの
融点が210℃未満では積層フィルムの耐熱性が劣り好
ましくなく、一方、245℃を超えると、ポリマーの結
晶性が大きくなりすぎて積層フィルムの成形加工性が損
なわれるので好ましくない。
【0015】なお、イソフタル酸共重合ポリエステルの
融点測定は、Du Pont Instruments
910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピー
クを求める方法による。なお、サンプル量は約20mg
とする。
【0016】また、イソフタル酸共重合ポリエステルの
固有粘度は0.52〜0.80であることが好ましく、
更に好ましくは0.54〜0.70、特に好ましくは
0.57〜0.65である。
【0017】なお、イソフタル酸共重合ポリエステルの
固有粘度は、ο−クロロフェノール中、35℃で測定し
た値である。
【0018】本発明において、第2層(B)を構成する
共重合ポリエステル(I)は、エチレンテレフタレート
を主たる繰り返し単位とするポリエステルである。この
共重合成分は、酸成分でも、アルコール成分でも良い。
該酸成分としてはイソフタル酸、フタル酸、ナフタレン
ジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸;アジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等
の如き脂肪族ジカルボン酸等が例示でき、またアルコー
ル成分としてはブタンジオール、ヘキサンジオール、ネ
オペンチルグリコール等の如き脂肪族ジオール;シクロ
ヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等が例示で
きる。これらは単独または2種以上を使用することがで
きる。これらの中、イソフタル酸が好ましい。
【0019】共重合成分の割合は、ポリマーの融点が2
10〜245℃、好ましくは215〜235℃の範囲と
なる割合である。ポリマーの融点が210℃未満では積
層フィルムの耐熱性が劣り好ましくなく、一方、ポリマ
ーの融点が245℃を超えると、ポリマーの結晶性が大
きすぎてフィルムの成形加工性が損なわれるため好まし
くない。
【0020】なお、共重合ポリエステル(I)の融点測
定法は、前述のイソフタル酸共重合ポリエステルの融点
測定と同じ方法により行う。
【0021】また、共重合ポリエステル(I)の固有粘
度は0.52〜0.80であることが好ましく、更に好
ましくは0.54〜0.70、特に好ましくは0.57
〜0.65である。共重合ポリエステル(I)の固有粘
度は、ο−クロロフェノール中、35℃で測定した値で
ある。
【0022】また、第2層(B)を構成するポリエステ
ル(II)は、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し
単位とするポリエステルである。ブチレンテレフタレー
トを主たる繰り返し単位とするポリエステルとしては、
ポリブチレンテレフタレートホモポリマーであってもよ
いし、酸成分及び/又はアルコール成分を共重合したも
のであっても良い。共重合可能な酸成分としては、H00C
-(CH2)n-COOH(但し、n=4〜8)で表わされる脂肪族
ジカルボン酸;デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカ
ルボン酸等、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸等が例示でき、一
方、共重合可能なアルコール成分としては、エチレング
リコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール
等の如き脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール
の如き脂環族ジオール等が例示できる。これらは単独ま
たは2種以上を使用することができる。これらの中、H0
0C-(CH2)n-COOH(但し、n=4〜8)で表わされる脂肪
族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸がさらに好まし
い。
【0023】共重合成分の割合は、ポリマーの融点が1
80〜223℃、好ましくは200〜223℃、更に好
ましくは210〜223℃の範囲となる割合である。ポ
リマーの融点が180℃未満では積層フィルムの耐熱性
が劣り好ましくない。なお、ポリブチレンテレフタレー
トホモポリマーの融点は223℃である。
【0024】積層フィルムの耐衝撃性の点から特に好ま
しい態様としては、酸成分としてアジピン酸を5〜40
モル%共重合したものが挙げられる。
【0025】なお、このポリエステルの融点測定も、前
述のイソフタル酸共重合ポリエステルと同じ方法により
行う。
【0026】また、ポリエステル(II)の固有粘度は
0.70〜2.00であることが好ましく、更に好まし
くは0.80〜1.70、特に好ましくは0.85〜
1.50である。
【0027】なお、ポリエステル(II)の固有粘度も、
前述のイソフタル酸共重合ポリエステルと同じ方法によ
り行う。
【0028】本発明の積層ポリエステルフィルムにおい
て、第2層(B)は、融点が210〜245℃のエチレ
ンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポ
リエステル(I)99〜50重量%と融点が180〜2
23℃のブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位
とするポリエステル(II)1〜50重量%から形成され
ていることが必要である。
【0029】ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し
単位とするポリエステル(II)が1重量%未満で、エチレ
ンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポ
リエステル(I)が99重量%を超えると、積層フィル
ムの低温下での耐衝撃性を改善することができないため
好ましくない。また、ブチレンテレフタレートを主たる
繰り返し単位とするポリエステル(II)が50重量%を超
え、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とす
る共重合ポリエステル(I)が50重量%未満の場合
は、積層フィルムの耐熱性が低下し、耐衝撃性も不充分
となるため好ましくない。
【0030】本発明において、第1層(A)に用いられ
るイソフタル酸共重合ポリエステル、第2層(B)の共
重合ポリエステル(I)に用いられるエチレンテレフタ
レートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステ
ル、及び第2層(B)のポリエステル(II)に用いられ
るブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする
ポリエステルは、その製造方法によって限定されること
はない。例えば、共重合ポリエチレンテレフタレートの
場合、テレフタル酸、エチレングリコール及び共重合成
分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を
重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法、ある
いはジメチルテレフタレート、エチレングリコール及び
共重合成分をエステル交換反応させ、次いで得られる反
応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする
方法が好ましく用いられる。
【0031】ポリエステルの製造においては、必要に応
じ他の添加剤例えば蛍光増白剤、酸化防止剤、帯電防止
剤等も添加することができる。
【0032】本発明においては、共重合ポリエステル
(I)とポリエステル(II)とのエステル交換反応がフ
ィルムの結晶性等の特性に大きく関係する。例えば、エ
ステル交換反応率が低いとポリマーが高結晶性となり積
層フィルムの耐衝撃性が低下する。すなわち、共重合ポ
リエステル(I)とポリエステル(II)とのエステル交
換反応を進めることが必要である。その手段として、ポ
リマー溶融時の滞留時間を長くしたり、滞留温度を高く
する方法が挙げられる。しかし、滞留時間を長くしたり
滞留温度を高くするとエステル交換反応率は高くなる
が、ポリマーの劣化という弊害が発生する。
【0033】本発明者らはエステル交換反応を進めつつ
この弊害を伴わない技術を鋭意検討した結果、驚くべき
ことに第2層(B)のポリエステル(II)の溶融混合前
のOH末端量が50〜150当量/tonとすると、共
重合ポリエステル(I)とポリエステル(II)とのエス
テル交換反応が進みやすくかつ制御されて本目的が達成
することが判明した。
【0034】OH末端量が50当量/ton未満である
と、かかるエステル交換反応率が低くなり、ポリマーの
結晶性が上がり、積層フィルムの加工性や耐衝撃性が不
十分となるため好ましくない。一方、OH末端量が15
0当量/tonを超えるものはポリマー重合反応時に条
件制約が生じ過剰品質となり不経済である。
【0035】なお、OH末端量はサンプル10mgをο
−クロロフェノール/重クロロホルム=3/1の混合溶
媒0.5mlに溶解し400MHz−プロトンNMRを
用い80℃で測定する。
【0036】ポリエステル(II)のOH末端量とエステ
ル交換反応性との関係は不明だが、おそらくポリエステ
ル(II)のOH末端基の化学的活性が強いため選択的に
反応が起こるため反応するOH末端量が多いほうが、エ
ステル交換反応が進むと思われる。
【0037】本発明において、第2層(B)を形成する
ポリエステル組成物の融点により該ポリエステル組成物
のエステル反応率を表わすことができる。すなわち、ポ
リエステル組成物の融点が低いとエステル交換反応が進
んでおり、逆に融点が高いとエステル交換反応が進んで
いないと言うことができる。かかるポリエステル組成物
の融点は220〜240℃であることが好ましい。
【0038】なお、このポリエステル組成物の融点測定
も、前述のイソフタル酸共重合ポリエステルの融点測定
と同じ方法にて行う。
【0039】本発明の積層ポリエステルフィルムは、イ
ソフタル酸共重合から形成される第1層(A)とポリエ
ステル組成物から形成される第2層(B)とを積層した
構造を有するものであり、かかる積層構造のフィルム
は、例えば、それぞれの層を構成するイソフタル酸共重
合ポリエステルとポリエステル組成物を別々に溶融し
て、共押し出し、固化前に積層融着させた後、二軸延
伸、熱固定する方法、イソフタル酸共重合ポリエステル
とポリエステル組成物を別々に溶融、押し出してフィル
ム化し、未延伸状態または延伸後、両者を積層させる方
法等により製造することができる。
【0040】本発明の積層ポリエステルフィルムは、未
延伸フィルムであってもよいが、二軸延伸された後熱固
定された二軸延伸フィルムの形態であるのが好ましい。
この場合、イソフタル酸共重合ポリエステルから形成さ
れる第1層(A)の厚さ方向の屈折率は、1.490〜
1.550であることが好ましく、更に好ましくは1.
505を超え1.540以下である。この屈折率が低す
ぎると成形加工性が不十分となり、一方、高すぎると非
晶に近い構造となるため耐熱性が低下することがある。
【0041】本発明の積層ポリエステルフィルムは、好
ましくは厚みが6〜75μmである。更に好ましくは1
0〜75μm、特に好ましくは15〜50μmである。
厚みが6μm未満では加工時に破れ等が生じやすくな
り、一方、75μmを超えるものは過剰品質であって不
経済である。
【0042】第1層(A)の厚みTAと、第2層(B)
の厚みTBとの比(TA/TB)は、0.02〜1.5が
好ましく、更に好ましくは0.04〜0.67、特に好
ましくは0.04〜0.25である。具体的には、例え
ば厚みが20μmのポリエステルフィルムの場合、第1
層(A)の厚みを0.5〜15μm、好ましくは1〜1
0μm、更に好ましくは1〜4μmとするのが好まし
い。
【0043】本発明の積層ポリエステルフィルムが貼合
せられる金属板、特に製缶用金属板としては、ブリキ、
ティンフリースチール、アルミニウム等の板が適切であ
る。金属板への積層ポリエステルフィルムの貼合せは、
例えば下記(ア)、(イ)の方法で行うことができる。 (ア)金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフ
ィルムを貼合せた後冷却し、金属板に接するフィルムの
表層部(薄層部)を非晶化して密着させる。 (イ)フィルムにあらかじめ接着剤をプライマーコート
しておき、この面と金属板を貼合せる。かかる接着剤と
しては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着剤、エ
ポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着剤等を用
いることができる。
【0044】なお、本発明のポリエステルフィルムを金
属板へ貼合せる際には、第2層(B)の側を金属板に貼
合せるようにする。更に、本発明のポリエステルフィル
ムにおいては、必要に応じて、第1層(A)と第2層
(B)との間又は片側に、他の追加の層を積層させても
よい。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する。
【0046】[実施例1〜8、比較例1〜6]表1に示
す成分を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート
(固有粘度0.64)が第1層(A)、同じく表1に示
すポリエステル組成物が第2層(B)となるように、そ
れぞれ別々に常法により乾燥し、280℃で溶融した
後、互いに隣接したダイから共押出して、積層、融着さ
せて急冷固化し、未延伸積層フィルムを作成した。次い
で、この未延伸フィルムを130℃で3.2倍に縦延伸
した後、120℃で3.3倍に横延伸し、180℃で熱
固定して二軸配向積層フィルムを得た。得られたフィル
ムの厚みは20μmであり、第1層(A)及び第2層
(B)の厚みは、それぞれ4μm及び16μmであっ
た。
【0047】
【表1】
【0048】上記実施例1〜8、比較例1〜6で得られ
たフィルムを、230℃に加熱した板厚0.25mmの
ティンフリースチールの両面に、第2層(B)の表面が
ティンフリースチールに接するように貼合せ、水冷した
後、150mm径の円板状に切り取り、絞りダイスとポ
ンチを用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面
無継目容器(以下、缶と略することがある)を作成し
た。
【0049】この缶について以下の観察及び試験を行い
評価した。 (1)固有粘度 ο−クロロフェノール中、35℃で測定した。
【0050】(2)融点及びガラス転移温度 Du Pont Instruments 910 DSC
を用い、昇温速度20℃/分で融解ピーク及びガラス転
移温度を求めた。なお、サンプル量は約20mgとし
た。
【0051】(3)OH末端基量 サンプル10mgをο−クロロフェノール/重クロロホ
ルム=3/1の混合溶媒0.5mlに溶解し400MH
z−プロトンNMRを用い80℃で測定した。
【0052】(4)深絞り加工性 缶に貼合わされたフィルムを目視観察し、下記の基準で
評価した。 ○:フィルムに異状なく加工され、フィルムに白化や破
断が認められない。 △:フィルムの缶上部に白化が認められる。 ×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる。
【0053】(5)耐衝撃性 深絞り成形が良好な缶について、水を満注し、10℃に
冷却した後、各テストにつき10個ずつを高さ30cm
から塩ビタイル床面に落とした後、缶内フィルム面の防
錆性試験(1%NaCl水を缶内にいれ、電極を挿入
し、缶体を陽極にして6Vの電圧をかけた時の電流値を
測定する。以下ERV試験と略することがある)を行
い、下記の基準で評価した。 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えているかあるい
は、落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0054】(6)保香性 深絞り成形が良好な缶について、サイダーを充填し密封
した。37℃で30日間保持した後、開缶し、香りの変
化を官能検査により調べ、下記の基準で評価した。 ○:香りの変化はなかった。 △:わずかに香りの変化が認められた。 ×:香りの変化が認められた。
【0055】(7)保味性 (6)に記した保香性と同様にして、味の変化を官能試
験により調べ、下記の基準で評価した。 ○:味の変化はなかった。 △:わずかに味の変化が認められた。 ×:味の変化が認められた。 評価結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】表2の結果から明らかなように、本発明の
積層ポリエステルフィルムを使用した缶では、深絞り加
工性、保香性に優れているとともに、耐衝撃性、特に低
温下での耐衝撃性に優れており、しかも清涼飲料水など
の味を悪化させることがない。
【0058】
【発明の効果】本発明の金属板貼合せ成形加工用ポリエ
ステルフィルムは、優れた成形加工性、耐熱性、耐レト
ルト性、保香性を有するとともに、耐衝撃性、特に低温
下での耐衝撃性に優れており、しかも清涼飲料水などの
味を悪化させることがない。従って、冷却して低温下で
取り扱われることの多い清涼飲料水用などの金属缶に貼
合せて用いるのに、特に好適である。
フロントページの続き (72)発明者 長谷川 哲也 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人株式会社 相模原研究センター内 (56)参考文献 特開 平6−218895(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が210〜245℃であるイソフタ
    ル酸共重合ポリエステルから形成された第1層(A)
    と、融点が210〜245℃のエチレンテレフタレート
    を主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステル(I)
    99〜50重量%と融点が180〜223℃のブチレン
    テレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステ
    ル(II)1〜50重量%とからなるポリエステル組成物
    から形成された第2層(B)とを積層してなる積層ポリ
    エステルフィルムであって、第2層(B)における溶融
    混合前のポリエステル(II)のブチレンテレフタレート
    を主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)のOH
    末端量が50〜150当量/tonであることを特徴と
    する金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 第2層(B)におけるブチレンテレフタ
    レートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)
    が、H00C-(CH2)n-COOH(但し、n=4〜8)を5〜40
    モル%共重合していることを特徴とする請求項1記載の
    金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 第2層(B)を構成するポリエステル組
    成物の融点が220〜240℃であることを特徴とする
    請求項1〜2のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工
    用ポリエステルフィルム。
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