JP4403637B2 - ボールペン用水性インキ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールペン用インキであって、とくに、ペン先出没型ボールペンのような、ボールペンペン先に対する気密性の少ないボールペンに好適に用いられる、経時的に増粘、析出などの変質のない安定なボールペン用水性インキに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ボールペンは、比較的細い筆跡が得られると共に、繊維性ペン先や樹脂製ペン先を有する筆記具に比べて、長期間使用してもペン先の摩耗やつぶれなどによる筆跡巾の変化が少ないことから、広く使用されている。このようなボールペンに使用される水性インキ組成物の粘度は1〜数mPa・s(25℃)のものと、50〜2,000mPa・s(25℃)のものとが知られている。1〜数mPa・s(25℃)のものは主にインキ吸蔵体として中綿を用いた構造のボールペンに使用され、50〜2,000mPa・s(25℃)のものは主にインキ貯蔵体として中空の筒体を用いた構造のものに使用されている。
【0003】
ボールペンの筆記の機構は、ボール表面に付着したインキがボールの回転に伴って、紙などの被筆記面に転写されるものである。ボールペンは基本的に、被筆記面に適正な量のインキが転写され、更に、筆跡におけるかすれ、ボールペン先端のボールペンチップからのインキ洩れ等の各種不具合が発生しないという、ボールペンに対する一般的な要求を満足する必要があり、このため、適宜、添加剤を選択したり、物性を調整することが要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特に、ペン先出没式水性ボールペンにおいては、インキの減量を抑える為に高沸点有機溶剤の添加や保湿剤の添加が試みられてきたが、長期間保管した時、ボールとボールペンチップ小口とのわずかな隙間からのインキ減量が多くなり、インキの粘度が上昇し、筆記に際してのインキの追従性が悪くなってカスレてしまったり、ペン先内部の一部分でインキが乾燥し、その固化物がインキの吐出を妨げ、カスレてしまうなどの不具合が発生しやすいものであった。そこで、ペン先の構造において、ボール部をボール部後端からバネ等で押すことによって、ボールとボールが取れないようにカシメているボールペンチップ小口部との隙間を無くし減量を抑えようという構造のものが発売されてきているが、どうしてもわずかな隙間が生じてしまい、インキの減量を抑えきれていないために、経時的に増粘、析出などのインキの変質が発生し、カスレなどの筆記異常が発生してしまう。
【0005】
本発明は、水と、着色材と、固体の高分子微粒子である樹脂粒子と、最低造膜温度が40℃〜80℃である樹脂エマルジョンと、水溶性有機溶剤をインキ全量に対して15〜40重量%とを少なくとも含有することを特徴とするボールペン用水性インキを要旨とするものである。
【0006】
以下、詳細に説明する。
最低造膜温度が40℃〜80℃である樹脂エマルジョンは、インキ全体の粘度を上昇させて、顔料を保持することによる分散安定化、もしくはインキの流動性を低くすることによるインキ洩れの防止のために添加する水溶性増粘剤の経時安定化、ボールの回転を円滑にし筆記感を向上させるなど、各種不具合を発生しにくくするものである。最低造膜温度が40℃未満のものは、常温で早く膜を形成するため、長期経時で比較的ペン先内部の方まで造膜が進み、必要以上の粘度上昇が発生しカスレを引き起こしてしまう。最低造膜温度が80℃より高いと固くもろい膜ができてしまい、筆記時にボール内部まで壊れた膜を巻き込んでしまい、詰まりが発生し,カスレてしまうものである。最低造膜温度が40℃〜80℃である樹脂エマルジョンの一例として、プライマルB−74(最低造膜温度:41℃)、同WL−51(同:52℃)、同WL−71(同:52℃)、同WL−81(同:57℃)、同WL−91(同:52℃)、同WL−93(同:77℃)、メインコートTL−5(同:52℃)、エクスペリメンタルエマルジョンE−1630(同:53℃)、同E−357(同:52℃)(以上、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製)、アクロナールYJ−1100D(同:58℃)(以上、BASFディスパージョン(株)製)などのアクリル系エマルジョンが挙げられる。
最低造膜温度が40℃〜80℃である樹脂エマルジョンの使用量は、ボールペン用水性インキ全量に対して0.1〜5.0重量%が好ましく、少ない場合は効果が得られず、多い場合はそれ以上の効果が得られない。
【0007】
樹脂粒子は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレートなどの単独重合体や、スチレン−アクリルニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの2種以上のモノマーが共在している共重合体などの固体の高分子微粒子の粉末もしくは固体の高分子微粒子を水性媒体に分散した分散体であり、ボールの回転を円滑にし筆記感を向上させたり、インキの色度を調整するために使用するものである。樹脂粒子は、球状、もしくは異形の形状のものなどが使用でき、更に、表面から中心まで均一な固体樹脂粒子、もしくは外殻のみ固体樹脂製で中心部が気体または液体で満たされている中空樹脂粒子などが使用できる。また、樹脂粒子は染料や顔料などで着色したものも使用できる。
樹脂粒子は、粒子経が、0.1〜20μmである比較的粒子経の揃った樹脂粒子であることが好ましく、粒子径が小さい場合は効果が得られず、大きい場合はペン先での目詰まりや樹脂粒子の沈降による分離が発生しやすくなる。また、樹脂粒子の添加量は、樹脂粒子が粉末の場合ボールペン用水性インキ全量に対して1〜30重量%が好ましい。また、樹脂粒子が分散体の場合は樹脂粒子の含有率である固形分により変わるが、樹脂粒子分散体の固形分がインキ全量に対し1〜20重量%の範囲であることが好ましい。樹脂粒子の添加量は、少ない場合は十分な効果が得られず、多い場合はそれ以上の効果が得られず、ペン先での目詰まりなどが発生しやすくなる。樹脂粒子の一例としては、ファインパール3000SP(架橋ポリスチレン樹脂粒子、平均粒子径6μm)ファインパール3000F(架橋ポリスチレン樹脂粒子、平均粒子径6μm)、ファインパールPB−3000(架橋ポリスチレン樹脂粒子、平均粒子径15μm)ファインパールPB−3003(架橋ポリスチレン樹脂粒子、平均粒子径15μm)(以上、住友化学工業(株)製)、SX863(A)(架橋スチレン−アクリル共重合体の中空樹脂粒子分散体、固形分21重量%、平均粒子経0.35μm)、SX864(B)(架橋スチレン−アクリル共重合体の中空樹脂粒子分散体、固形分40重量%、平均粒子経0.49μm)、HCP8742(架橋ポリスチレン樹脂粒子分散体、固形分15重量%、平均粒子経0.5μm)(以上、JSR(株)製)、ローペイクOP−84J(アクリル−スチレン共重合体の中空樹脂粒子分散体、固形分42.5重量%、平均粒子経0.55μm)、ローペイクHP−91(アクリル−スチレン共重合体の中空樹脂粒子分散体、固形分27.5重量%、平均粒子経1μm)(以上、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製)などがあげられ、これらは1種または2種以上を混合して使用できる。
【0008】
着色材としては、染料及び/又は顔料が使用できる。
染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料などのいずれも用いることができるが、ボールやチップ材は、その種類によっては、pHが低いと腐食することがある為、pHが中性からアルカリ性で安定に溶解する直接染料、酸性染料を用いることが好ましい。その一例を挙げる。
【0009】
直接染料としては、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同71、同86、同106、同199等が挙げられる。
【0010】
酸性染料としては、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドエロー7:1、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同72、同61、同78、同110、同141、同135、同127、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同103、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27等が挙げられる。
【0011】
塩基性染料としては、C.I.ベーシックブルー7、C.I.ベーシックレッド1などが挙げられる。
【0012】
顔料としては、従来公知の顔料が使用でき、具体例としては、SpecialBlack 6、同S170、同S610、同5、同4、同4A、同550、同35、同250、同100、Printex 150T、同U、同V、同140U、同140V、同95、同90、同85、同80、同75、同55、同45、同P、同XE2、同L6、同L、同300、同30、同3、同35、同25、同200、同A、同G(以上、デグサ・ジャパン(株)製)、#2400B、#2350、#2300、#2200B、#1000、#950、#900、#850、#MCF88、MA600、MA100、MA7、MA11、#50、#52、#45、#44、#40、#33、#32、#30、CF9、#20B、#4000B、(以上、三菱化成工業(株)製)、MONARCH 1300、同100、同1000、同900、同880、同800、同700、MOGULL、REGAL 400R、同660R、同500R、同330R、同300R、同99R、ELFTEX 8、同12、BLACK PEARLS 2000(以上、米国、キャボットCo.LTD製)、Raven7000、同5750、同5250、同5000、同3500、同2000、同1500、同1255、同1250、同1200、同1170、同1060、同1040、同1035、同1020、同1000、同890H、同890、同850、同790、同780、同760、同500、同450、同430、同420、同410、同22、同16、同14、同825oil Beads、同H20、同C、Conductex 975、同900、同SC(以上、コロンビヤン・カーボン日本(株)製)などのカーボンブラック、KA−10、同10P、同15、同20、同30、同35、同60、同80、同90、KR−310、同380、同460、同480(以上、チタン工業(株)製)、P25(日本アエロジル(株)製)などの酸化チタン、BS−605、同607(以上、東洋アルミ(株)製)、ブロンズパウダーP−555、同P−777(以上、中島金属箔工業(株)製)、ブロンズパウダー3L5、同3L7(以上、福田金属箔工業(株)製)などの金属粉顔料、また、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロムなどの無機顔料、ハンザエロー−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、ベンジジンエロー、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキ、キノリンエロー、スダーン1、パーマネントオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGN、パーマネントブラウンFG、パラブラウン、パーマネントレッド4R、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミンBS、ピラゾロンレッド、レーキレッドC、キナクリドンレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー5B、チオインジゴレッド、ファストバイオレットB、ジオキサジンバイオレット、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、インジゴ、アシッドグリーンレーキ、フタロシアニングリーンなどの有機顔料などが挙げられる。また、この他に硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウムなどの無機蛍光顔料が挙げられる。
上記の染料及び顔料といった着色剤は、単独或いは、他との組み合わせにより使用でき、その使用量は色調などによっても異なるが、少ない場合はインキの発色が悪くなり、多い場合は着色剤が分散不足となり各種不具合が発生するため、ボールペン用水性インキ全量に対して0.1〜40重量%が好ましい。
【0013】
本ボールペン用水性インキでは、顔料を用いる場合、分散剤を併用することが好ましい。
分散剤としては、従来一般に用いられている高分子分散剤や、アニオン系もしくはノニオン系の界面活性剤などで顔料の分散剤として用いられるものが使用できる。一例として、高分子分散剤として、スチレン−アクリル酸共重合体の塩、スチレン−アクリル酸アルキルエステルを主成分とした共重合体の塩スチレン−マレイン酸共重合体の塩、スチレン−マレイン酸アルキルエステルを主成分とした共重合体の塩などの水溶性高分子などが挙げられる。また、界面活性剤として、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。これら水溶性高分子及び界面活性剤は、その1種または2種以上を選択し、併用しても使用できる。その使用量は、少ない場合は添加する目的である分散効果が弱く、多い場合はインキ中の各組成物の溶解バランスを崩してしまい各種不具合が発生する懸念があるため、ボールペン用水性インキ全量に対して0.1〜10重量%が好ましい。
【0014】
更に、顔料を水性媒体に分散した水性インキベースを用いることは、顔料インキ製造上有利なことである。具体的には、Fuji SP Black 8031、同8119、同8167、同8276、同8381、同8406、同8556、同8922、Fuji SP RED 5096、同5111、同5193、同5220、同5543、同5544、Fuji SP Bordeaux 5500、Fuji SP Blue 6062、同6133、同6134、同6401、Fuji SP Green 7051、Fuji SP Yellow 4060、同4178、Fuji SP Violet 9011、Fuji SP Pink 9524、同9527、Fuji SP Orange534、Fuji SP Brown 3074(以上、冨士色素(株)製)、Emacol Black CN、Emacol Blue FBB、同FB、同KR、Emacol Green LXB、Emacol Violet BL、Emacol Brown 3101、Emacol CarmmineFB、Emacol RED BS、Emacol Orange R、Emacol Yellow FD、同IRN、同3601、同FGN、同GN、同GG、同F5G、同F7G、同10GN、Sandye Super Black K、同C、Sandye Super Grey B、Sandye Super Brown SB、同FRL、同RR、Sandye Super Navy Blue HRL、同GLL、同HB、同FBL−H、同FBL−160、同FBB、Sandye Super Violet BL H/C、同BL、同BLN、Sandye Super Bordeaux FR、Sandye Super Pink FBL、同F5B、Sandye Super Rubine FR、Sandye Super Carmine FB、Sandye Super Red FFG、同RR、同BS、Sandye Super Orange FL、同R、同BO、Sandye Gold Yellow 5GR、同R、同3R、Sandye Yellow GG、同F3R、同IRC、同FGN、同GN、同GRS、同GSR−130、同GSN−130、同GSN、同10GN(以上、山陽色素(株)製)、Rio Fast Black Fx 8012、同8313、同8169、Rio Fast Red Fx 8209、同8172、Rio Fast Red S Fx 8315、同8316、Rio Fast Blue Fx 8170、Rio Fast Blue Fx 8170、Rio Fast Blue S Fx 8312、Rio Fast Green S Fx 8314(以上、東洋インキ(株)製)、NKW−2101、同2102、同2103、同2104、同2105、同2106、同2107、同2108、同2117、同2127、同2137、同2167、同2101P、同2102P、同2103P、同2104P、同2105P、同2106P、同2107P、同2108P、同2117P、同2127P、同2137P、同2167P、NKW−3002、同3003、同3004、同3005、同3007、同3077、同3008、同3402、同3404、同3405、同3407、同3408、同3477、同3602、同3603、同3604、同3605、同3607、同3677、同3608、同3702、同3703、同3704、同3705、同3777、同3708、同6013、同6038、同6559(以上、日本蛍光(株)製)、コスモカラーS 1000Fシリーズ(東洋ソーダ(株)製)、ビクトリアエロー G−11、同G−20、ビクトリアオレンジ G−16、同G−21、ビクトリアレッド G−19、同G−22、ビクトリアピンク G−17、同G−23、ビクトリアグリーン G−18、同G−24、ビクトリアブルー G−15、同G−25(以上、御国色素(株)製)、ポルックスブルー PC5T−1020、ポルックスブラック PC8T−135、ポルックスレッド IT−1030、ポルックスグリーンPC−4T1021等のポルックスシリーズ(以上、住化カラー(株)製)などが挙げられるものであり、これらは1種または2種以上選択して併用できるものである。
【0015】
溶剤又は分散媒として必須の水の他に各種の水溶性有機溶剤が使用可能であり、これらは水性インキとしての種々の品質、例えば、ペン先でのインキ乾燥防止、低温時でのインキ凍結防止、顔料の分散媒などの目的で使用するものである。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、テトラリン、グリセリンなどのグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のエーテル類、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどが使用でき、またこれらは1種又は2種以上選択して併用できるものである。そして、その使用量は、少ない場合はインキ中の各組成物の溶解不足や分散不足により不溶・凝集物が発生し、多い場合はインキ中の各組成物の濃度が小さくなってその効果が小さくなり、各種不具合が発生するため、ボールペン用水性インキ全量に対して5〜40重量%が好ましい。
【0016】
必須成分である最低造膜温度が40℃〜80℃である樹脂エマルジョンの他に、インキの粘度調整のため、又は着色剤などの分散安定化のために、増粘性の水溶性高分子を併用することもできる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルモノマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂のアルカリ金属塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体、天然系のアラビアガム、トラガカントガム、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、デキストラン、半合成系のメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
【0017】
また、黴の発生によるインキ通路におけるインキの流出阻害を抑制するためにデヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾチアザリン−3−オン、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸エステル、安息香酸ナトリウムなどの防腐防黴剤を適量加えることもできる。
【0018】
更に、金属の腐食防止のためにベンゾトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸などの防蝕剤や、ボール受け座摩耗によるボール沈み防止のために、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの脂肪酸の塩も添加することができる。
【0019】
本発明のインキを製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ターボミキサーなどの攪拌機やボールミル、サンドグラインダー、スピードラインミル、ロールミル等の分散機により混合分散することによって容易に得られる。
【0020】
【作用】
樹脂粒子と最低造膜温度が40℃〜80℃である樹脂エマルジョンを併用したインキが何故長期間保管後のボールペンインキの安定性に優れるのかは以下のように推察される。
最低造膜温度が40℃〜80℃である樹脂エマルジョンは水性インキ中ではマイクロエマルジョン構造を形成する。このマイクロエマルジョンは、長期間保管後のボールペンペン先部のインキ中で水分が減少した場合に互いに接触しあい、さらに乾燥が進むと、互いにとけあって融着し、固い連続膜を形成しようとするため、ペン先部のインキだけが増粘、もしくは固化してしまってボールの回転が阻害され、カスレが発生してしまう。
樹脂粒子は水性インキ中ではほぼ均一に分散された状態にある。この樹脂粒子は硬い外殻を有しており、長期間保管後のボールペンペン先内部のインキ中で水分が減少して乾燥が進んでも、互いに独立した状態を保っており、連続膜を形成することがないため樹脂粒子の隙間から水分の蒸発が進み、さらにはペン先内深部まで乾燥が進んでしまい、インキが増粘、もしくは固化してインキ通路のインキ流通を阻害するためインキ吐出が困難となり、カスレが発生してしまう。
しかしながら、樹脂粒子と最低造膜温度が40℃〜80℃である樹脂エマルジョンとを併用した場合には、マイクロエマルジョン中に樹脂粒子が入り込み、水分が蒸発したときに硬い連続膜を作ろうとする効果を和らげる働きがあり、ボールと小口部のわずかな隙間を埋めると同時に、長期経時後のペン先内部の水分蒸発を防ぐため、インキの増粘や固化を抑制でき、カスレを発生させないものと推察する。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により更に詳細に説明する。
【0022】
Figure 0004403637
上記成分のうちSX863(A)を除いた成分を混合し,ボールミルにて24時間分散処理を行なった後、SX863(A)を添加して攪拌機で3時間撹拌後、遠心分離機にて粗大粒子を除去して黒色水性顔料インキを得た。
【0023】
Figure 0004403637
上記各成分を混合し,ボールミルにて24時間分散処理を行なった後、遠心分離機にて粗大粒子を除去して青色水性顔料インキを得た。
【0024】
Figure 0004403637
上記各成分を混合し,攪拌機にて4時間混合処理を行なって黒色水性染料インキを得た。
【0025】
Figure 0004403637
上記各成分を混合し,ボールミルにて24時間分散処理を行なった後、遠心分離機にて粗大粒子を除去して赤色水性顔料インキを得た。
【0026】
Figure 0004403637
上記各成分を混合し,ボールミルにて24時間分散処理を行なった後、遠心分離機にて粗大粒子を除去して緑色水性顔料インキを得た。
【0027】
比較例1
実施例1においてSX863(A)を除き、その量だけプロピレングリコールを加えた他は、実施例1と同様になして黒色水性顔料インキを得た。
【0028】
比較例2
実施例2においてプライマルWL−81を除き、その量だけイオン交換水を加えた他は、実施例2と同様になして青色水性顔料インキを得た。
【0029】
比較例3
実施例3においてアクロナールYJ1100Dを除き、その量だけイオン交換水を加えた他は、実施例3と同様になして水性黒色染料インキを得た。
【0030】
比較例4
実施例4においてアクロナールYJ1100Dを除き、その量だけプライマルB−90(最低造膜温度:90℃、アクリル系エマルジョン、ロームアンドハースジャパン(株)製)を加えた他は、実施例4と同様になして赤色水性顔料インキを得た。
【0031】
上記、実施例1〜5、比較例1〜4で得た水性顔料又は染料インキをボール径がφ0.7mmのステンレスボールペンチップ(ボール素材:超硬合金、バネにてボールを押し上げているもの)をポリプロピレン製の中空軸筒の透明なインキ収容官の一端に連接したリフィールに充填し、図1に示すペン先出没型ボールペンに組み込み、ペン先を露出して、試験用サンプルとし、50℃の恒温室内で2ヶ月放置した後、筆記機能の確認を行った。
図1のペン先出没型ボールペンは、ノック式ボールペンと言われるもので、外装体1と、この外装体1の前方(図中下方)に螺着などにより着脱自在に取り付けられた前軸2との内側に、リフィール5を前後動自在に挿入したものである。前記リフィール5は、前記前軸2の内側に取り付けられたコイルスプリングなどの弾撥部材4により前記外装体1の後方に付勢され且つ後方からの押圧に応じて前後動自在になるよう配置される。
本ペン先出没型ボールペンは、前記外装体1の後部に前後摺動可能に取り付けられた操作部材6を繰り返し押圧することで従来より公知であるペン先出没機構、たとえば突起を係止孔などに係止する出没機構や、回転カムを用いた出没機構、ハートカムを用いた出没機構などの出没機構により前記リフィール5のペン先の出没を繰り返し行うものである。
【0032】
筆記機能の確認:前記試験用サンプルを50℃恒温室内から取り出し、室温で2時間放置した後、直径1.5cmの円を螺旋状に20丸連続筆記する丸書き筆記を手書きで行い、カスレ度合いを目視評価した。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0004403637
【0034】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る水性インキは、長期間経時した後でも、インキの増粘や固化などによるインキの劣化を起こすことがなく、筆記した際のカスレが発生しない優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】ペン先出没型ボールペンの縦断面図。
【符号の説明】
1 外装体
2 前軸
4 弾撥部材
5 リフィール
6 操作部材

Claims (4)

  1. 水と、着色材と、固体の高分子微粒子である樹脂粒子と、最低造膜温度が40℃〜80℃である樹脂エマルジョンと、水溶性有機溶剤をインキ全量に対して15〜40重量%とを少なくとも含有することを特徴とするボールペン用水性インキ。
  2. 上記樹脂粒子の粒子経が0.1〜20μmである請求項1記載のボールペン用水性インキ。
  3. 上記ボールペンは、ペン先が常に開放されている型のボールペンである請求項1又2記載のボールペン用水性インキ。
  4. 上記ボールペンは、ペン先が筆記具先端から出没する型のボールペンである請求項1又2記載のボールペン用水性インキ。
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