JP7161742B2 - 水性インク組成物 - Google Patents

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この発明は、水性インク組成物に関するものである。
ボールペンに用いられるインクとして、水に着色剤を添加した水性インク組成物が知られている。例えば、着色剤としてのカーボンブラックと、エマルジョンとを含有する水性ボールペンインキ組成物が特開平8-92519号公報(特許文献1)に開示されている。
特開平8-92519号公報
水性インク組成物に用いられる黒色の着色剤としては、例えば、顔料や染料が用いられる。黒色の着色剤の中でも無機黒色顔料は、安価である。このような無機黒色顔料を用いた水性インク組成物において、発色性、すなわち水性インク組成物を塗布した際の色を出来るだけ黒くすることが求められている。なお、特許文献1に開示の技術では、上記した場合には対応できない。
そこで、本発明は、黒色の発色性が良好な水性インク組成物を提供することを目的とする。
本発明に係る水性インク組成物は、無機黒色顔料と、水溶性黒色染料と、樹脂エマルションと、水と、を備える。水溶性黒色染料の含有量は、0.1質量%以上である。樹脂エマルションの含有量は、1質量%以上である。
このように本発明に係る水性インク組成物によれば、無機黒色顔料、樹脂エマルションおよび水溶性黒色染料を併用しているため、黒色の発色性が良好である。
上記水性インク組成物において、水溶性黒色染料の含有量は、3質量%以下であってもよい。3質量%を超えて水溶性黒色染料を添加したとしても、発色性を向上させる効果は飽和してしまう。また、3質量%を超えて水溶性黒色染料を添加すると、染料の析出が生じ、色味が変化してしまう場合もある。このため、水溶性黒色染料の含有量は、3質量%以下であることが好ましい。
上記水性インク組成物において、樹脂エマルションの含有量は、7質量%以下であってもよい。樹脂エマルションの含有量を7質量%以下とすることで、水性インク組成物の粘度が上昇してしまうことを抑制することができる。そのため、水性インク組成物をボールペンのインクとして用いても、筆記した際の水性インク組成物の流出量の低下を抑制し、インクのカスレを抑制することができる。
上記水性インク組成物において、水溶性黒色染料は、酸性染料であってもよい。このように酸性染料を用いることで、黒色の発色性をより向上させることができる。
上記水性インク組成物において、樹脂エマルションのガラス転位温度が、80℃以上であってもよい。このようなガラス転位温度の樹脂エマルションを用いることで、室温(例えば23℃)において樹脂エマルションが軟化することによって、水性インク組成物の粘度が上昇してしまうことを抑制することができる。そのため、水性インク組成物をボールペンのインクとして用いても、筆記した際の不良の発生を抑制することができる。
上記水性インク組成物において、樹脂エマルションの構成樹脂は、アクリル酸エステル共重合体であってもよい。このような樹脂エマルションを用いることで、水性インク組成物における分散性を向上させることができる。
上記水性インク組成物において、無機黒色顔料は、カーボンブラックであり、カーボンブラックの平均粒子径は、10μm以下であってもよい。カーボンブラックは、取扱い性が良く、水性インク組成物として好適である。10μm以下の平均粒子径を有するカーボンブラックを用いることで、水性インク組成物における分散性を向上させることができる。
本発明の水性インク組成物によれば、黒色の発色性が良好な水性インク組成物を提供することが可能となる。
用紙に無機黒色顔料のみを含む水性インク組成物を塗布した場合の概略断面図である。 用紙に無機黒色顔料および樹脂エマルションのみを含む水性インク組成物を塗布した場合の概略断面図である。 用紙に水溶性黒色染料のみを含む水性インク組成物を塗布した場合の概略断面図である。 用紙に本実施の形態に係る水性インク組成物を塗布した場合の概略断面図である。
以下、本発明の水性インク組成物の実施の形態を説明する。本実施の形態に係る水性インク組成物は、無機黒色顔料と、水溶性黒色染料と、樹脂エマルションと、水と、を含有する。水性インク組成物の粘度は、例えば、500mPa・s~10000mPa・sである。なお、粘度は、例えば、ELD型粘度計(コーンロータの種類:3゜ R14、回転数:0.5rpm、20℃)における測定値である。
[無機黒色顔料]
本実施の形態における無機黒色顔料としては、例えば、炭素系黒色顔料である。無機黒色顔料を用いることで、耐水性や耐光性が良好な水性インク組成物を得ることができる。無機黒色顔料は、用紙の繊維に入り込むことで、黒く発色する。炭素系黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、黒雲母、黒鉛粉末、グラファイト粉末等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。中でも、取扱い性の観点から、カーボンブラックを好適に用いることができる。カーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等が挙げられる。
本実施の形態における無機黒色顔料の含有量の下限値は、2.5質量%である。このような範囲とすることで、水性インク組成物の黒色の発色性をより向上させることができる。無機黒色顔料の含有量の下限は、好ましくは2.6質量%であり、より好ましくは2.8質量%である。無機黒色顔料の含有量の上限値は、好ましくは9質量%である。9質量%を超えて無機黒色顔料を添加したとしても、黒色の発色性の効果は飽和してしまう。このため、無機黒色顔料の含有量は9質量%以下であることが好ましい。無機黒色顔料の含有量の上限は、より好ましくは8.9質量%であり、さらに好ましくは8.7質量%である。
無機黒色顔料の平均粒子径としては、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下であり、最も好ましくは0.1μm以下である。このような範囲とすることで水性インク組成物における分散性を向上させることができる。無機黒色顔料の平均粒子径の下限値は、好ましくは10nmであり、より好ましくは20nmである。なお、平均粒子径は、例えば、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
[水溶性黒色染料]
本実施の形態における水溶性黒色染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料等が挙げられる。中でも酸性染料は、黒色の発色性をより向上させることができる。水溶性黒色染料としては、例えば、ジスアゾ染料、金属含有アゾ染料、アントラキノン染料、モノアゾ染料、ヒドロオキシケトン染料、硫化染料等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。中でも、取扱い性の観点からジスアゾ染料を好適に用いることができる。
水溶性黒色染料の含有量の下限値は、0.1質量%である。このような範囲の水溶性黒色染料を含有することで、水性インク組成物の発色性を向上させることができる。なお、水溶性黒色染料の含有量の下限は、好ましくは0.2質量%であり、より好ましくは0.4質量%であり、さらに好ましくは0.7質量%である。
本実施の形態における水溶性黒色染料の含有量の上限値は、3質量%である。3質量%を超えて水溶性黒色染料を添加したとしても、発色性を向上させる効果は飽和してしまう。このため、水溶性黒色染料の含有量は、3質量%以下であることが好ましい。なお、水溶性黒色染料の含有量の上限は、より好ましくは2.8質量であり、さらに好ましくは2.6質量%である。
[樹脂エマルション]
本実施の形態における樹脂エマルションは、樹脂粒子の水分散体である。樹脂エマルションの成分樹脂としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物等のモノマー成分の共重合体等であり、中でも、分散性の観点からアクリル酸エステル共重合体を好適に用いることができる。エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。また、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。また、ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
樹脂エマルションの含有量の下限値は、1質量%である。このような範囲の樹脂エマルションを含有することで、水性インク組成物の発色性を向上させることができる。なお、樹脂エマルションの含有量の下限は、好ましくは1.2質量%であり、より好ましくは1.4質量%であり、さらに好ましくは1.6質量%である。なお、樹脂エマルションの含有量とは、水性インク組成物に対する樹脂エマルションの固形分の含有割合(質量%)である。
本実施の形態における樹脂エマルションの含有量の上限値は、7質量%である。このような樹脂エマルションの含有量とすることで、水性インク組成物の粘度が上昇してしまうことを抑制することができる。そのため、水性インク組成物をボールペンのインクとして用いても、筆記した際の水性インク組成物の流出量の低下を抑制し、インクのカスレを抑制することができる。なお、樹脂エマルションの含有量の上限は、好ましくは7.8質量%であり、より好ましくは7.5質量%であり、さらに好ましくは6.4質量%である。
樹脂エマルションのガラス転位温度は、好ましくは80℃以上である。このようなガラス転位温度の樹脂エマルションを用いることで、室温(例えば23℃)において樹脂エマルションが軟化することによって、水性インク組成物の粘度が上昇してしまうことを抑制することができる。そのため、水性インク組成物をボールペンのインクとして用いても、筆記した際の不良の発生を抑制することができる。樹脂エマルションのガラス転位温度は、より好ましくは90℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。なお、ガラス転位温度は、例えば、樹脂エマルションの成分樹脂の組成に基づいて、FOXの式により求められるガラス転位温度である。
[媒体]
本実施の形態における水性インク組成物は、上記成分を溶解又は分散させる媒体として、水を含有する。本実施の形態における水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等を用いることができる。水性インク組成物における水の含有量は、水性インク組成物の乾燥のし易さなどの必要な特性を考慮して適宜設定される。水性インク組成物における水の含有量は、例えば、50質量%~70質量%である。
[その他の成分]
本実施の形態における水性インク組成物は、さらに他の成分として、例えば、粘度調整剤、湿潤剤、潤滑剤、pH調整剤、分散剤、防腐剤、防カビ剤等の慣用の添加剤を含んでいてもよい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[粘度調整剤]
粘度調整剤は、水性インク組成物の粘度を適宜調整するために配合される。粘度調整剤としては、例えば、天然水溶性高分子多糖類や合成高分子等が挙げられる。天然水溶性高分子多糖類としては、例えばボールペンのインクとして水性インク組成物を用いた際に、ボールの回転により水性インク組成物の粘度が低下するものが好ましい。天然水溶性高分子多糖類としては、例えば、ラムザンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ジェランガム、プルラン、ザンサンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、ペクチン等が挙げられる。中でも、キサンタンガムを好適に用いることができる。合成高分子としては、例えば、架橋型アクリル樹脂、アルカリ膨潤会合型増粘剤、ノニオン会合型増粘剤等が挙げられ、中でも架橋型アクリル樹脂を好適に用いることができる。粘度調整剤の含有量は、好ましくは0.01質量%~10質量%であり、より好ましくは0.01質量%~5質量%である。
[湿潤剤]
湿潤剤は、水性インク組成物の乾燥を防止するために配合される。湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエスエル類等が挙げられる。中でも、グリセリン、またはジプロピレングリコールモノメチルエーテルを好適に用いることができる。
[潤滑剤]
潤滑剤は、例えば、ボールペンのインクとして水性インク組成物を用いた際のボールペンの滑りを良くするために配合される。潤滑剤としては、例えば、リン酸エステル系化合物等が挙げられる。
[pH調整剤]
pH調整剤は、水性インク組成物のpHの値を調整し、水性インク組成物のゲル化を防止するために配合される。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、炭酸ナトリウム等が挙げられる。中でも、水酸化ナトリウムを好適に用いることができる。
[分散剤]
分散剤は、水性インク組成物における無機黒色顔料の分散性を向上させるために配合される。分散剤としては、例えば、スチレンアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
[防カビ剤・防腐剤]
防カビ剤や防腐剤は、腐敗や、カビの発生を抑制するために配合される。防カビ剤や防腐剤としては、例えば、クロロアセトアミド、2-ピリジンチオール-1-オキサイド・ナトリウム塩、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメイト、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3(2H)-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンチアベンダゾール、フェノキシエタノール、フッ化ナトリウム、4-(2-ニトロブチル)モルホリン、1,3-ジモルホリノ-2-エチル-2-ニトリプロパン等が挙げられる。
次に、水性インク組成物を用紙に塗布した場合について考える。図1は、用紙に無機黒色顔料のみを含む水性インク組成物を塗布した場合の概略断面図である。図2は、用紙に無機黒色顔料および樹脂エマルションのみを含む水性インク組成物を塗布した場合の概略断面図である。図3は、用紙に水溶性黒色染料のみを含む水性インク組成物を塗布した場合の概略断面図である。図4は、用紙に無機黒色顔料、水溶性黒色染料および樹脂エマルションを含む本実施の形態に係る水性インク組成物を塗布した場合の概略断面図である。なお、図1~図4において、上下の方向はZ軸方向であり、左右の方向はX軸方向である。なお、Z軸方向は用紙の厚み方向である。
図1に示すように、用紙11に無機黒色顔料21を含む水性インク組成物を塗布すると、無機黒色顔料21は用紙11の繊維間に入り込み、用紙の厚み方向(Z軸方向)に浸透していく。このため、用紙11の最表面12には用紙11の繊維が表れることとなる。これは、水性インク組成物における無機黒色顔料21の含有量を増やしても、同様である。従って、水性インク組成物における無機黒色顔料21の含有量によっては、水性インク組成物の発色性は十分に向上しない。
図2に示すように、用紙11に無機黒色顔料21および樹脂エマルション41を含む水性インク組成物を塗布すると、樹脂エマルション41は無機黒色顔料21と同様に用紙11の繊維間に入り込む。水性インク組成物において1質量%以上の含有量の樹脂エマルション41を含むことで、無機黒色顔料21の用紙11の厚み方向(Z軸方向)への浸透を抑制する。すなわち、無機黒色顔料21を用紙11の最表面12に近い領域に留めることができる。
図3に示すように、用紙11に水溶性黒色染料31を含む水性インク組成物を塗布すると、水溶性黒色染料31は用紙11の繊維を黒く染めることができる。
図4に示すように、無機黒色顔料21を含む水性インク組成物において、水溶性黒色染料31および樹脂エマルション41を併用することで、無機黒色顔料21を用紙11の最表面12に近い領域に留め、用紙11の繊維を黒く染めることができる。その結果、無機黒色顔料21を用いた水性インク組成物であっても、黒色の発色性を向上させることができる。
本実施の形態における水性インク組成物は、ボールペンに用いられるインク組成物として好適に用いることができる。水性インク組成物が用いられるボールペンとしては、一般的なボールペンと同様の構造を有する。例えば、ボールペンの先端には、筆記用のボールが回転自在に保持されている。水性インク組成物は、水性ボールペンのインク収納管に収容されている。筆記時には、水性インク組成物がインク収納管から流出し、ボールの表面に付着し、ボールの回転によって用紙に転写されることで、筆記が行われる。
本実施の形態における水性インク組成物の製造方法は、特に限定されず、当業者が適宜選択する公知の手法により水性インク組成物を製造することができる。例えば、まず無機黒色顔料をビーズミル等の攪拌機を用いて水に分散させて、顔料ベースを作製する。次に、顔料ベース、染料、樹脂エマルション、粘度調整剤および水等の各成分を攪拌機にて混ぜ合わせる。その後、メッシュ等を用いて濾過し、脱泡することで水性インク組成物を得ることができる。
以下において、実施例を参照して本発明をより具体的に説明する。なお、本願発明の範囲は、これら実施例の記載によって限定して解釈されるものではない。また、実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は質量基準である。
(実施例1)
実施例1に係る水性インク組成物の製造に際し、以下の材料を準備した。具体的には、無機黒色顔料としてカーボンブラック(商品名「三菱カーボンブラック♯25」、三菱ケミカル株式会社製)、水溶性黒色染料としてジスアゾ染料(商品名「Water Black 256-L」、オリエント化学工業製)、樹脂エマルションとしてアクリル酸エステル共重合体水性エマルション(商品名「モビニール790」、日本合成化学工業製、ガラス転位温度100℃)、粘度調整剤(1)としてキサンタンガム、粘度調整剤(2)としてカルボキシビニルポリマー(商品名「カーボポール934」、Lubrizol Advanced Materials社製)、湿潤剤として精製グリセリンおよびジプロピレングリコールメチルエーテルからなる混合溶液(グリセリンの混合割合50質量%、ジプロピレングリコールメチルエーテルの混合割合50質量%)、潤滑剤としてリン酸エステル系化合物(商品名「フォスファノールPE-510」、東邦化学工業株式会社製)
、分散剤としてアクリル酸系樹脂(商品名「ジョンクリル683」、BASF社製)、pH調整剤として水酸化ナトリウム、防腐剤としてベンゾイソチアゾール系化合物(商品名「プロクセルXL-2」、Lonza社製)、防カビ剤として有機ヨウ素化合物(商品名「コートサイドPH2」、大阪ガスケミカル社製)を準備した。まず、黒色顔料をビーズミルによって水に分散させて、顔料ベースを作製した。作製した顔料ベース、黒色染料、樹脂エマルションおよびその他の成分を表1に示す割合に従って配合し、攪拌機にてよく混ぜ合わせた。そして、メッシュによって濾過し、脱泡することで実施例1の水性インク組成物を作製した。
(実施例2)
樹脂エマルションの含有割合を表1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る水性インク組成物を作製した。
(実施例3)
樹脂エマルションの含有割合を表1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様にして実施例3に係る水性インク組成物を作製した。
(実施例4)
樹脂エマルションの含有割合を表1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様にして実施例4に係る水性インク組成物を作製した。
(実施例5)
樹脂エマルションの含有割合を表1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様にして実施例5に係る水性インク組成物を作製した。
(実施例6)
水溶性黒色染料の含有割合を表2に示す配合割合とした以外は、実施例2と同様にして実施例6に係る水性インク組成物を作製した。
(実施例7)
水溶性黒色染料の含有割合を表2に示す配合割合とした以外は、実施例2と同様にして実施例7に係る水性インク組成物を作製した。
(実施例8)
水溶性黒色染料の含有割合を表2に示す配合割合とした以外は、実施例3と同様にして実施例8に係る水性インク組成物を作製した。
(実施例9)
無機黒色顔料の含有割合を表2に示す配合割合とした以外は、実施例7と同様にして実施例9に係る水性インク組成物を作製した。
(実施例10)
無機黒色顔料の含有割合を表2に示す配合割合とした以外は、実施例7と同様にして実施例10に係る水性インク組成物を作製した。
(比較例1)
水溶性黒色染料および樹脂エマルションを除いた以外は実施例1と同様にして、表3に示す配合に従って比較例1に係る水性インク組成物を作製した。
(比較例2)
水溶性黒色染料を添加し、水溶性黒色染料の含有割合を表3に示す配合割合とした以外は、比較例1と同様にして比較例2に係る水性インク組成物を作製した。
(比較例3)
水溶性黒色染料の含有割合を表3に示す配合割合とした以外は、比較例2と同様にして比較例3に係る水性インク組成物を作製した。
(比較例4)
水溶性黒色染料の含有割合を表3に示す配合割合とした以外は、比較例2と同様にして比較例4に係る水性インク組成物を作製した。
(比較例5)
樹脂エマルションを添加し、樹脂エマルションの含有割合を表3に示す配合割合とした以外は、比較例1と同様にして比較例5に係る水性インク組成物を作製した。
実施例、比較例で得られた水性インク組成物について、下記方法により黒色度の測定およびカスレ試験を行った。
(1)黒色度
実施例、比較例で得られた水性インク組成物を用い、バーコータ―によって白色用紙に厚み約20μm程度の塗膜サンプルを作製し、下記方法により黒色度を測定した。塗膜サンプルについて、測色計(商品名「蛍光分光濃度計FD-5」、コニカミノルタジャパン株式会社製)でY値を測定し、以下の算出式により黒色度Myを算出した。なお、黒色度Myは、塗膜の色相に影響されない黒さの度合いを示す数値である。黒色度Myが145よりも大きい値である場合には、良好な発色性であると判断した。
[My]=100×Log(100/[Y])
(2)カスレ試験
実施例、比較例で得られた水性インク組成物を市販のボールペンのインクとして充填し、ボールペンサンプルを作製した。それぞれのボールペンサンプルについて、白紙の用紙(紀州上質紙 坪量64g/m)に100m程度筆記して、その筆跡を目視にて確認した。そして、カスレの発生の有無を確認した。なお、カスレの発生が無い場合には「A」、カスレが発生した場合には「B」として評価した。
実施例1~実施例10、比較例1~比較例5の黒色度およびカスレ試験の結果を表1~表3に示す。
Figure 0007161742000001
Figure 0007161742000002
Figure 0007161742000003
黒色度Myとしては、例えば、1つの指標として黒色度Myの数値が145よりも大きいことが求められる。表1および表2を参照して、実施例1~実施例10については、黒色度Myの数値は145よりも大きい数値であり、発色性が良好なものとなっている。実施例5については、黒色度Myの数値は145よりも大きい数値であるものの、カスレ試験については「B」の評価である。これは、樹脂エマルションによって水性インク組成物の粘度が上昇し、ボールペンから水性インク組成物が流出し難くなったためであると考えられる。従って、ボールペンのインクとして水性インク組成物を用いる際には、樹脂エマルションの含有量は8質量%よりも少なくするのが良い。
これに対し、比較例1~比較例5を見てみると、黒色度Myの数値が145以下である。具体的には、水溶性黒色染料および樹脂エマルションを含まない比較例1では、黒色度Myの数値は131となっている。したがって、水溶性黒色染料および樹脂エマルションを含まない場合には、発色性は不十分である。水溶性黒色染料のみを含む比較例2~比較例4では、比較例1と比べて黒色度Myの数値は上昇するものの、145以下となっている。水溶性黒色染料の含有量が2.6質量%以上である比較例3および比較例4では、黒色度Myの数値は増加せずに飽和している。したがって、水溶性黒色染料のみを含む場合では、発色性は不十分である。樹脂エマルションのみを含む比較例5でも、比較例1と比べて黒色度Myの数値は上昇するものの、145以下となっている。したがって、樹脂エマルションのみを含む場合では、発色性は不十分である。
以上より、この発明に係る水性インク組成物によれば、黒色の発色性が良好な水性インク組成物であるといえる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本願の水性インク組成物は、黒色の発色性が良好な水性インク組成物が求められる分野において、特に有利に適用され得る。
11 用紙、12 表面、21 無機黒色顔料、31 水溶性黒色染料、41 樹脂エマルション。

Claims (9)

  1. 無機黒色顔料と、
    水溶性黒色染料と、
    樹脂エマルションと、
    水と、を備え、
    前記無機黒色顔料の含有量は、2.5質量%以上9質量%以下であり、
    前記水溶性黒色染料の含有量は、0.1質量%以上であり、
    前記樹脂エマルションの含有量は、1質量%以上である、ボールペン用水性インク組成物。
  2. 粘度が500mPa・s~10000mPa・sである、請求項1に記載のボールペン用水性インク組成物。
  3. 前記水溶性黒色染料の含有量は、3質量%以下である、請求項1または2に記載のボールペン用水性インク組成物。
  4. 前記樹脂エマルションの含有量は、8質量%以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のボールペン用水性インク組成物。
  5. 前記水溶性黒色染料は、酸性染料である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のボールペン用水性インク組成物。
  6. 前記樹脂エマルションのガラス転温度が、80℃以上である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のボールペン用水性インク組成物。
  7. 前記樹脂エマルションの構成樹脂は、アクリル酸エステル共重合体である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のボールペン用水性インク組成物。
  8. 前記無機黒色顔料は、カーボンブラックであり、
    前記カーボンブラックの平均粒子径は、10μm以下である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のボールペン用水性インク組成物。
  9. 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のボールペン用水性インク組成物が収容されたインク収容管を備える、ボールペン。
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