JP6320205B2 - 油性ボールペン用インキ組成物 - Google Patents

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本発明は、油性ボールペン用インキ組成物に関する。さらに詳しくは、水性ボールペンのような筆記感と筆記線を実現することのできる油性ボールペン用インキ組成物に関するものである。
従来、油性ボールペン用インキは、インキの粘性が高いために筆記時のタッチが重いという欠点がある。このため、粘度を低くして水性ボールペン並の軽い書き味を有する油性ボールペンが要望されている。しかし、低粘度としただけではインキ収容管に直接インキを詰めた場合にチップからインキの垂れ下がりが生じるという問題がある。このため、油性ボールペン用インキに脂肪酸アマイドワックスなどを添加して、この問題を改善する提案がなされている(特許文献1〜2参照)。
脂肪酸アマイドワックスはインキ中で網目構造を形成すると言われており、その作用によってチクソトロピー性が付与される。このためボールペンが静止状態つまり、使用しない状態ではインキを高粘度の状態とすることでボールペンチップからのインキ垂れ下がりを防止し、使用時にはボールペンチップのボールの回転によりインキに剪断力を与えて低粘度の状態とすることでインキをボールペンチップから流出させ、水性ボールペンのような軽い筆記感となる。
更に特許文献3のように、インキの具体的な粘性指標を定め、20℃、剪断速度0.17sec−1において2000〜30000mPa・sであり、剪断速度6.8sec−1において100〜8000mPa・sであり、非ニュートン粘性付与指数が0.60〜0.90である場合に、静止時のインキの垂れ下がり現象と水性ボールペンのような使用時の軽い筆記感とが両立することが提案されている。
これらの発明は、指定した剪断速度に対する粘度領域の範囲において、インキの垂れ下がり現象と使用時の軽い筆記感の両立という課題を解決している。しかしながら、油性ボールペン用インキに用いる主溶剤は、有機溶剤であり、表面張力が低く、紙に対する浸透性が極端に高いため、指定範囲内にあっても、その粘度が低い場合、例えば、剪断速度1000sec−1において粘度が5〜100mPa・sであるような場合には、筆記線が滲んだり、裏写りしてしまうといった問題があった。
更に、滲みの少ない筆跡のきれいなボールペン用インキ組成物として、特許文献4のように、インキの粘性と弾性の比率であるtanδ(損失正接)に着目し、tanδ>1、つまりインキを弾性応答的にすることにより、滲みの問題が解決することが提案されている。しかしながら、tanδは損失弾性率を貯蔵弾性率で除した値であり、インキの粘性と弾性の比を示したものであるため、粘性自体の絶対値が低い場合には、tanδ>1であっても、滲みや裏写りが発生してしまうという問題があった。
特開平07−268268号公報 特開平07−196972号公報 特開2011−011391号公報 特開2009−030040号公報
本発明は、油性ボールペン用インキでありながら、水性ボールペンのような使用時の軽い筆記感を得るとともに、滲みや裏写りのない筆記線を実現することのできる油性ボールペン用インキ組成物を提供することを課題とする。
本発明は、油性ボールペン用インキ組成物において、使用時の筆記性が良いボールペン用インキの粘性と、滲みや裏写りのない筆記線とを両立できる粘性についての検討結果から得られた知見、すなわち高剪断速度におけるインキの粘性によって使用時の筆記性を評価できること、及び、滲みや裏写りのない筆記線を実現することのできる油性ボールペン用インキ組成物は複素粘性率が特定の範囲内になる、との知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、少なくとも、着色剤を1.0〜10.0重量%の範囲、有機溶剤(ただし、芳香族アルコールを含まない。)を75.0〜90.0重量%の範囲、チクソトロピー性付与剤を0.3〜20.0重量%の範囲で含有する油性ボールペン用インキ組成物であって、25℃、剪断速度1000sec−1における粘度が5〜100mPa・sであり、かつ角周波数が10rad/sにおける複素粘性率が50mPa・s〜1000mPa・sであることを特徴とする油性ボールペン用インキ組成物を提供する。
また、本発明は、前記油性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒に充填したことを特徴とする油性ボールペンを提供する。
本発明によれば、油性ボールペン用インキでありながら、水性ボールペンのような使用時の軽い筆記感と、滲みや裏写りのない筆記線を実現することのできる油性ボールペン用インキを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る、水性ボールペンのような使用時の軽い筆記感と、滲みや裏写りのない筆記線とを両立する油性ボールペン用インキ組成物は、少なくとも、着色剤、有機溶剤、チクソトロピー性付与剤を含有し、前記着色剤が顔料である場合にはさらに分散剤を含有することが好ましいインキ組成物であり、第1の条件として、25℃、剪断速度1000sec−1における粘度は5〜100mPa・sでなければならない。剪断速度1000sec−1におけるより好ましい粘度は10〜60mPa・sである。ところが、一般的な油性ボールペン用インキ組成物は、前記の粘度範囲では、筆記線の滲みや裏写りが生じてしまう。
上記の場合、剪断速度0.2〜7sec−1の範囲のような低剪断速度域におけるインキ組成物の粘度を、一定の値以上にすることは、筆記線の滲みや裏写りを抑制する手段として有効ではある。しかし、インキの流動阻害などによってインキの追従性が悪くなり、筆記線が途切れるなどの不具合が発生することがある。
一方、剪断速度0.2〜7sec−1の範囲のインキ組成物の粘度を一定の値より低くすると、例えば、剪断速度0.2sec−1においては3000mPa・s以下、剪断速度7sec−1においては1000mPa・s以下、剪断速度1000sec−1においては50mPa・sを下回ると、筆跡線の滲みや裏写りが顕著となる。これは油性ボールペン用インキ組成物の主溶剤が有機溶剤であり、表面張力が低く、紙に対する浸透性が水性ボールペン用インキ組成物に比べて極端に高いためである。
油性ボールペン用インキ組成物でありながら、水性ボールペンのような使用時の軽い筆記感を得るとともに、筆記線の滲みや裏写りのない油性ボールペン用インキ組成物を提供するためには、上記した第1の条件を満たしながら、第2の条件として、角周波数が10rad/sにおける複素粘性率が50mPa・s〜1000mPa・sでなければならない。複素粘性率(η)は、複素弾性率(G)を角周波数(ω)で除した値である。つまり、特定の角周波数での複素弾性率を比較することで、筆記線の滲みや裏写りを評価できる。前記の複素弾性率は、応力をひずみで除した値であり、動的ひずみに対する動的応力が高ければ、筆記線の滲みや裏写りが発生し難くなる。角周波数が10rad/sにおける複素粘性率は70〜800mPa・sがより好ましく、100〜600mPa・sが最も好ましい。
また、角周波数が10rad/sにおける複素粘性率を採用する理由としては、ひずみや応力を一定方向に与えて測定する定常流粘度に対し、歪みや応力を、振幅を与えて測定する複素粘性率を、角周波数10rad/sで捕えた値が、実際の筆記状態に近い状態を表していると考えられるからである。つまり、実際の筆記では、ボールは一方向のみに回転を続けるのではなく、筆記される文字の方向に合わせて、様々な方向に回転する。インキのマクロな挙動を見るには、定常流による粘度測定で良いが、滲みや裏写りなどの挙動は短時間又はミクロ的な挙動であるため、複素粘性率を測定することで、実際の筆記に最も近い現象を捕えられると考えられるためである。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物で用いる着色剤としては、公知の顔料及び染料を、制限なく用いることができる。顔料としては、無機顔料、有機顔料、加工顔料等を用いることができ、具体的には、カーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ギオキサジン系、メタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。これらの顔料の中でも、本発明のインキ組成物を得るためには、カーボンブラックのような溶媒に分散させ易い顔料が好ましい。
また、着色剤として顔料を用いる場合、インキ組成物は分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、公知の顔料分散剤を用いることができ、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。分散剤の含有量は、一般的な量範囲、例えば、1〜20質量%であって良い。
染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料や、それらの各種造塩タイプの染料等を用いることができ、具体的には、バリファーストブラック1802、バリファーストブラック1805、バリファーストブラック1807、バリファーストバイオレット1701、バリファーストブルー1601、バリファーストブルー1605、バリファーストブルー1621、バリファーストレッド1320、バリファーストレッド1355、バリファーストレッド1360、バリファーストイエロー1101、バリファーストイエロー1151、ニグロシンベースEXBP、ニグロシンベースEX、BASE OF BASIC DYES ROB−B、BASE OF BASIC DYES RO6G−B、BASE OF BASIC DYES VPB−B、BASE OF BASIC DYES VB−B、BASE OF BASIC DYES MVB−3(以上、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンブラックGMH−スペシャル、アイゼンスピロンバイオレットC−RH、アイゼンスピロンブルーGNH、アイゼンスピロンブルー2BNH、アイゼンスピロンブルーC−RH、アイゼンスピロンレッドC−GH、アイゼンスピロンレッドC−BH、アイゼンスピロンイエローC−GNH、アイゼンスピロンイエローC−2GH、S.P.T.ブルー111、S.P.T.ブルーGLSH−スペシャル、S.P.T.レッド533、S.P.T.オレンジ6、S.B.N.バイオレット510、S.B.N.イエロー510、S.B.N.イエロー530、S.R.C−BH(以上、保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。これらの染料の中でも、本発明のインキ組成物を得るためには、油溶性染料のような溶媒に溶解させ易い染料が好ましい。
上記の着色剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。着色剤の含有量は、特に制限はなく、着色剤の溶解度や分散性に応じた量、又は色相や濃度に適した量であれば良い。含有量が多すぎると筆記性能が悪くなり、少なすぎると筆記線の発色が悪くなるので、油性ボールペン用インキ組成物全量に対し、1.0〜10.0重量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは2.0〜10.0重量%の範囲である。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物で用いる有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール等のグリコールエーテル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール等のグリコール類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロパルギルアルコール、アリルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートやその他の高級アルコール等のアルコール類;フェニルセロソルブ等のセロソルブ類など、油性ボールペン用インキ組成物に一般的に用いられる有機溶剤が例示でき、これらを1種又は2種以上併用して用いることができる。本発明のインキ組成物を得るためには、プロピレングリコールモノメチルエーテルのような顔料を分散させ易い有機溶剤、或いは、染料を溶解させ易い有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤の含有量は、着色剤の溶解性、筆跡乾燥性、滲み等を考慮すると、油性ボールペン用インキ組成物全量に対し、75.0〜90.0重量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは75.0〜85.0重量%の範囲である。有機溶剤は油性ボールペン用インキとしての基本性能を確保するために必要なものであり、着色剤を溶解もしくは分散させることは勿論、適度な筆記線の乾燥性を得るために必要なものである。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物で用いるチクソトロピー性付与剤は、それを含有するインキ組成物が、上記した第1の条件及び第2の条件を満たすように配合する必須成分であり、インキ組成物にチクソトロピー性を付与するものであれば特に限定はない。かかるチクソトロピー性付与剤としては、例えば、長鎖脂肪酸エステル重合体、水添ヒマシ油、高級脂肪酸アマイド及びその誘導体、硫酸エステル系アニオン活性剤等の有機化合物、有機ベントナイト、シリカ等の無機化合物、酸化ポリエチレン、アクリル系ポリマー、ビニルアセトアミドポリマー等の高分子化合物などが挙げられる。これらのチクソトロピー性付与剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
上記のチクソトロピー性付与剤は、配合する着色剤の種類に応じて、適宜選択することが好ましい。チクソトロピー性付与剤の含有量は、チクソトロピー性付与剤の種類によって最適な含有量が異なるが、油性ボールペン用インキ組成物全量に対し、0.3〜20.0重量%の範囲とすることが好ましい。チクソトロピー性付与剤が0.3重量%より少ないと、インキの漏れ出しを抑制する効果が不充分となるおそれがあり、20.0重量%を越えると、インキが経時で析出して溶解不良となったり、凝集や沈降を起こして分散不良となってしまうおそれがある。より好ましくは、1.0〜10.0重量%の範囲である。
本発明のインキ組成物では、高級脂肪酸アマイドなどの有機化合物が有機溶剤に膨潤して膨潤ゲル構造を形成することにより、或いは、有機溶剤中でのシリカや高分子化合物が有する水素結合力により、或いは、アクリル系ポリマーの分子鎖の絡み合いによる網目構造の形成により、インキ組成物の粘性が改良されたものと考察する。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物においては、着色剤、有機溶剤、チクソトロピー性付与剤は必須の構成成分である。また、着色剤として顔料を配合する場合は分散剤を用いることが好ましい。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物においては、着色剤の経時安定性や潤滑性を向上させるために、有機酸、有機アミンなどのpH調整剤;オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、リシノール酸、ラウリン酸、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤などの界面活性剤;ケトン樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドンなどの粘度調整剤;着色剤安定剤;可塑剤;キレート剤などを適宜配合してもよい。これらの添加剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。これらの添加剤は、油性ボールペン用インキ組成物全量に対し、それぞれ0.05〜3.0重量%の範囲とすることが好ましい。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物は、着色剤、有機溶剤、チクソトロピー性付与剤および添加剤を、公知の方法・装置により均一に混合することにより調製できる。顔料および分散剤を用いる場合は、顔料を分散剤で分散させた分散液を配合することが好ましく、これにより、安定性に優れる組成物を得ることができる。
また、本発明の油性ボールペン用インキ組成物は、インキ収容筒であれば特に制限なく充填することができる。当該インキ組成物をインキ収容筒に充填した油性ボールペンを使用する場合は、ボールとチップ先端開口部とのクリアランスが10μm〜40μmの範囲であることが好ましい。前記クリアランスが10μm未満では、インキの吐出量が十分でなく良好な筆跡が得られず、逆に、このクリアランスが40μmを越えると、チップ先端開口部の面積が大きいために、インキの垂れ下がり及び漏れ出し抑制効果が劣る。より好ましくは、15μm〜30μmの範囲である。
また、チップ内のボールの後方には、コイルスプリング等のコイルスプリングを配設し、ボールをチップ先端部の内壁に押圧する弁機構を具備していることが好ましい。コイルスプリングによるボールの押圧力は、押圧荷重が高ければ高い程、垂れ下がり及びインキ漏れの防止力が高くなるので、好ましい。その反面、コイルスプリングによるボールの押圧力が高いと、筆感の低下や筆跡の濃淡が発生しやすい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明のボールペンは以下の実施例に限定されるものではない。なお、油性ボールペン用インキ組成物の粘度及び複素粘性率の測定方法は以下の通りとした。
[粘度測定]油性ボールペン用インキ組成物の粘弾性スペクトルは、レオメータDHR−ETC(TA−インスツルメント社)を用いて測定した。測定冶具:φ40 パラレルプレート、測定Gap:100μm、測定温度:25℃。
得られた粘弾性スペクトルより、振動周波数10(rad/s)における複素粘性率を求めた。複素粘性率(η)=G(複素弾性率)/ω(角周波数)
[書き味試験];JIS P 3201 に規定される筆記用紙Aを用いて、手書きによる官能試験を行い、その時の書き味の重さ、軽さを評価した。
[インキ追従性試験];書き味試験時に、筆記速度を速めた際の筆跡のカスレ度合いからインキの追従性を良いか、悪いかで評価した。
[インキ漏れ出し試験];スプリングを内部に挿入したチップを持つノック式のボールペンの形態で、ペン先を下向きとし、40℃60%環境下に2週間静置した後のチップ先端からのインキの漏れ出しが有るか、無いかを評価した。
[裏写り試験];書き味試験した試験紙を裏側から観察し、裏写りが有るか、無いかを評価した。
[滲み試験];書き味試験した試験紙をルーペで観察し、滲みが有るか無いかを評価した。
(実施例1〜4)
プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGM)、カーボンブラック、分散剤を循環型のビーズミルにて5000rpmで2h運転させて、色材の分散体を得た。この時、カーボンブラックの粒子径を平均粒子径D50=0.1μm、最大粒子径D100=1.0μmとなるように調整した。脂肪酸アマイド1(伊藤製油社製 T-530SF)は粉体のまま乾式のジェットミルで粉砕加工を行い、平均粒子径D50=1μm、最大粒子径D100=5μmとした。この脂肪酸アマイドを上記色材の分散体中に添加後、高速ホモジナイザーによって、分散させた後、50℃で加熱撹拌して、脂肪酸アマイドを溶剤中に膨潤させることで、インキを増粘させた。その後、固着剤としてケトン樹脂、必要に応じて粘度調整及び曳糸性付与としてポリビニルピロリドン、潤滑剤としてリン酸エステル活性剤を必要量添加し、インキ組成物を得た。
(実施例5〜6)
PGM、カーボンブラック、分散剤、シリカ1又はシリカ2を循環型のビーズミルにて5000rpmで2h運転させて、分散体を得た。この時、カーボンブラックの粒子径を平均粒子径D50=0.1μm、最大粒子径D100=1.0μmとなるように、シリカの粒子径を平均粒子径D50=0.1μm、最大粒子径D100=1.5μmに調整した。その後、固着剤としてケトン樹脂、粘度調整及び曳糸性付与としてポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール樹脂、潤滑剤としてリン酸エステル活性剤を必要量添加し、インキ組成物を得た。
(実施例7〜8)
PGM、カーボンブラック、分散剤を循環型のビーズミルにて5000rpmで2h運転させて、色材の分散体を得た。この時、カーボンブラックの粒子径を平均粒子径D50=0.1μm、最大粒子径D100=1.0μmとなるように調整した。アクリルポリマー(Lubrizol社製 carbopol 981)又はビニルアセトアミドポリマー(昭和電工社製 PNVA GX205)をPGMで高速ホモジナイザーによって十分に溶解させて高濃度溶液を作製し、位相差顕微鏡にて100倍で観察しても不溶解物がない状態を確認した。これを上記分散体中に必要量添加し、更に高速ホモジナイザーによって溶解させた。その後、固着剤としてケトン樹脂、粘度調整及び曳糸性付与としてポリビニルピロリドン、潤滑剤としてリン酸エステル活性剤を必要量添加し、インキ組成物を得た。
(実施例9)
PGM中で油溶性染料を十分に溶解させて、染料溶解液を得た。脂肪酸アマイド1は粉体のまま乾式のジェットミルで粉砕加工を行い、平均粒子径D50=1μm、最大粒子径D100=5μmとした。この脂肪酸アマイドを上記染料溶解液に添加後、高速ホモジナイザーによって、分散させた後、50℃で加熱撹拌して、脂肪酸アマイドを溶剤中に膨潤させることで、インキを増粘させた。その後、固着剤としてケトン樹脂、粘度調整及び曳糸性付与としてポリビニルピロリドン、潤滑剤としてリン酸エステル活性剤を必要量添加し、インキ組成物を得た。
(実施例10)
PGM中で油溶性染料を十分に溶解させて、染料溶解液を得た。更にシリカ2を循環型のビーズミルにて5000rpmで2h運転させて、分散体を得た。この時、シリカ2の粒子径を平均粒子径D50=0.1μm、最大粒子径D100=1.5μmに調整した。
その後、固着剤としてケトン樹脂、粘度調整及び曳糸性付与としてポリビニルピロリドン、潤滑剤としてリン酸エステル活性剤を必要量添加し、インキ組成物を得た。
(比較例1〜2)
PGM、カーボンブラック、分散剤を循環型のビーズミルにて5000rpmで2h運転させて、色材の分散体を得た。この時、カーボンブラックの粒子径を平均粒子径D50=0.1μm、最大粒子径D100=1.0μmとなるように調整した。脂肪酸アマイド2(日本化成社製 ダイヤミッドKH)及び脂肪酸アマイド3(伊藤製油社製 T-023)は乾式のジェットミルで粉砕することによって、平均粒子径D50=5μm、最大粒子径D100=20μmとなったが、これ以下の粒子径まで粉砕することは出来なかった。この脂肪酸アマイドを上記色材の分散体中に添加後、高速ホモジナイザーによって、分散させた後、50℃で加熱撹拌して、脂肪酸アマイドを溶剤中に膨潤させることで、インキを増粘させた。その後、固着剤としてケトン樹脂、粘度調整及び曳糸性付与としてポリビニルピロリドン、潤滑剤としてリン酸エステル活性剤を必要量添加し、インキ組成物を得た。
(比較例3)
PGM、カーボンブラック、分散剤を循環型のビーズミルにて5000rpmで2h運転させて、色材の分散体を得た。この時、カーボンブラックの粒子径を平均粒子径D50=0.1μm、最大粒子径D100=1.0μmとなるように調整した。脂肪酸アマイド3はすでに溶剤に膨潤されたペーストタイプのものであるため、そのまま上記色材の分散体中に添加後、高速ホモジナイザーによって、平均粒子径D50=5μm、最大粒子径D100=20μmなったが、これ以下の粒子径には粉砕することは出来なかった。その後、50℃で加熱撹拌して、脂肪酸アマイドを溶剤中に膨潤させることで、インキを増粘させた。その後、固着剤としてケトン樹脂、粘度調整及び曳糸性付与としてポリビニルピロリドン、潤滑剤としてリン酸エステル活性剤を必要量添加し、インキ組成物を得た。
(比較例4)
PGM、カーボンブラック、分散剤を循環型のビーズミルにて5000rpmで2h運転させて、色材の分散体を得た。この時、カーボンブラックの粒子径を平均粒子径D50=0.1μm、最大粒子径D100=1.0μmとなるように調整した。脂肪酸アマイド1は粉体のまま乾式のジェットミルで粉砕加工を行い、平均粒子径D50=1μm、最大粒子径D100=5μmとした。この脂肪酸アマイドを上記色材の分散体中に添加後、高速ホモジナイザーによって、分散させた後、50℃で加熱撹拌して、脂肪酸アマイドを溶剤中に膨潤させることで、インキを増粘させた。その後、固着剤としてケトン樹脂、粘度調整及び曳糸性付与としてポリビニルピロリドン、潤滑剤としてリン酸エステル活性剤を必要量添加し、インキ組成物を得た。このインキ組成物は非常に粘度の高い粘調体であった。
実施例及び比較例で得たインキ組成物の粘度及び複素粘性率、ならびに、インキ特性を表1に示す。
Figure 0006320205

表1より、角周波数10(rad/s)における複素粘性率が50mPa・s以上である実施例1〜10のインキ組成物は、書き味、インキ追従性が良好であり、筆記線の滲みや裏写りが認められなかった。一方、角周波数10(rad/s)における複素粘性率が50mPa・sに満たない比較例1〜3のインキ組成物は、筆記線の滲みや裏写りが認められた。
また、脂肪酸アマイド1の含有量を増やした比較例4のインキ組成物は、剪断速度1000sec−1における粘度が150mPa・sとなり、書き味及びインキ追従性が劣るものとなった。なお、インキ組成物の角周波数10rad/sにおける複素粘性率は2000mPa・sとなり、筆記線の滲みや裏写りは認められなかった。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物を用いることにより、水性ボールペンのような使用時の軽い筆記感を有するとともに、滲みや裏写りのない筆記線を描くことができる油性ボールペンを提供することができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも、着色剤を1.0〜10.0重量%の範囲、有機溶剤(ただし、芳香族アルコールを含まない。)を75.0〜90.0重量%の範囲、チクソトロピー性付与剤を0.3〜20.0重量%の範囲で含有する油性ボールペン用インキ組成物であって、
    25℃、剪断速度1000sec−1における粘度が5〜100mPa・sであり、かつ角周波数が10rad/sにおける複素粘性率が50mPa・s〜1000mPa・sであることを特徴とする油性ボールペン用インキ組成物。
  2. 有機溶剤がグリコールエーテル類である請求項1に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  3. 有機溶剤がプロピレングリコールモノメチルエーテルである請求項1に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の油性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒に充填したことを特徴とする油性ボールペン。
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