JP6052872B2 - 油性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた油性ボールペン - Google Patents

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Description

本発明は油性ボールペン用インキ組成物に関し、さらに詳細としては、チップ先端部に皮膜形成によるドライアップ時の書き出し性能(耐ドライアップ性能)が良好な油性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた油性ボールペンに関するものである。
従来より、油性ボールペン用インキ組成物において、チップ先端部を大気中に放置すると、インキ中の溶媒などが蒸発して、着色剤や樹脂などが乾燥固化したときに、筆記時の書き出しにおいて筆跡カスレが発生してしまう欠点があった。
このような筆記時の書き出し性能を向上するために、様々な溶剤や添加剤を用いることを検討していた。例えば、蒸気圧0.005〜0.5mmHg(20℃)である不揮発性の有機溶剤を主溶剤として含有したものとしては、特開平6−247093号公報「油性ボールペン」が、平均分子量が200〜4,000,000であるポリエチレングリコールを含有したものとしては特開平7−196971公報「油性ボールペン用インキ組成物」が、重量平均分子量が25万以上のポリビニルピロリドンを含有したものとしては、特開2002−3771号公報「油性ボールペン用インキ組成物」が、デカマカデミアナッツ油脂肪酸デカグリセリルと、アルキル基の炭素数が16以上であり常温で固体のポリオキシエチレンアルキルエーテルとを少なくとも含有するものとしては、特開2008−88264号公報「ボールペン用油性インキ組成物」等に、開示されている。
「特開平6−247093号公報」 「特開平7−196971号公報」 「特開2002−3771号公報」 「特開2008−88264号公報」 「特開2001−288396号公報」
しかし、特許文献1では、有機溶剤として、蒸気圧0.005〜0.5mmHg(20℃)である不揮発性の有機溶剤を含有すると、インキが完全に乾ききるのを防ぐ効果はあるが、筆跡の乾燥性が悪く、それだけでは筆記性能を満足させることができなかった。
また、特許文献2〜3では、添加剤として、特定分子量のポリエチレングリコールやポリビニルピロリドンを含有すると、チップ先端部に樹脂皮膜を形成することで、それ以上のチップ先端部の乾燥を抑制して、チップ内のインキ増粘を抑制えることにより、ある程度耐ドライアップ性能を向上することは可能ではあるが、樹脂皮膜が硬いため、ドライアップ時の書き出しにおいて、筆跡カスレが発生してしまい、十分な耐ドライアップ性能が得られない。また、特許文献4では、デカマカデミアナッツ油脂肪酸デカグリセリルとポリオキシエチレンアルキルエーテルを併用することで、ある程度耐ドライアップ性能を向上することは可能ではあるが、十分に満足するものでもなく、さらに界面活性剤を併用しているため、インキ経時安定性にも影響が出やすかった。
また、特許文献5のように、顔料系インキの場合、染料系のインキとは異なり、チップ先端部に顔料粒子が固化して皮膜形成するが、顔料粒子が硬いため、耐ドライアップ性能の向上が望まれており、さらに、ノック式ボールペンや回転繰り出し式ボールペン等の出没式ボールペンにおいては、キャップ式ボールペンよりも、チップ先端部を出したままの状態であるため、耐ドライアップ性能の向上が望まれていた。
本発明の目的は、ドライアップ時の書き出し性能が良好である油性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた油性ボールペンを提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために、
「1.少なくとも着色剤、有機溶剤、1,2−オクタンジオール、リン酸エステル系界面活性剤からなり、前記1,2−オクタンジオールが、25℃の環境下において、ペースト状であることを特徴とする油性ボールペン用インキ組成物
2.前記1,2−オクタンジオールの含有量が、インキ組成物全量に対し、0.1〜20.0質量%であることを特徴とする第1項に記載の油性ボールペン。
3.前記リン酸エステル系界面活性剤のアルキル基の炭素数が、10〜18であることを特徴とする第1項または第2項に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
4.前記着色剤が少なくとも顔料を含有することを特徴とする第1項ないし第項のいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物
5.前記有機溶剤が少なくとも芳香族アルコール系溶剤を含有することを特徴とする第1項ないし第項のいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
6.20℃、剪断速度3.84sec−1におけるインキ粘度が1000〜10000mPa・sであることを特徴とする第1項ないし第項のいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物
7.インキ収容筒の先端部に、チップ本体のボール抱持室にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接またはチップホルダーを介して具備し、前記インキ収容筒内に、第1項ないし第項のいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物を直に収容することを特徴とする油性ボールペン用インキ組成物。」とする。

本発明は、チップ先端部を大気中に放置した状態で、該チップ先端部が乾燥したときに、形成する皮膜の固化を和らげることで、筆跡カスレが発生しない耐ドライアップ性能に優れた油性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた油性ボールペンを提供することができた。
本発明の特徴は、油性ボールペン用インキ組成物に、1,2−アルカンジオールを含有することを特徴とする。
本発明で用いる1,2−アルカンジオールは、隣接した水酸基を有し、
一般式: R− CH(OH)−CH( OH)、(ただしRは、アルキル基である)
で示される化合物である。
そこで、本願発明者は、油性ボールペン用インキ組成物に1,2−アルカンジオールを含有することで、チップ先端部が乾燥しても、筆跡カスレが発生せずに、耐ドライアップ性能が向上することが解った。これは、1,2−アルカンジオールは、隣接した二つの水酸基により特に優れた吸湿性を有するため、チップ先端部が乾燥したときに形成する皮膜の強度を和らげ、ボールの回転をスムーズにする効果が得られるので、ドライアップ時の書き出しにおいて、筆跡カスレが発生せずに、耐ドライアップ性能が向上するものと推測される。このとき、25℃の環境下においてペースト状の1,2−アルカンジオールを用いると、前記皮膜の強度が大幅に和らぎやすくなるため、耐ドライアップ性能がさらに向上しやすい。
尚、本発明において、ペースト状とは、25℃の環境下で、流動性を有する半固体状のものであればどのような状態でもかまわない。
1,2−アルカンジオールとしては、具体的には、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなど挙げられる。その中でも、25℃の環境下において、ペースト状である1,2−アルカンジオールとしては、1,2−オクタンジオール(融点15〜33℃)が挙げられる。これらは、単独または2種以上混合して使用してもよい。
前記1,2−アルカンジオールの含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1〜20.0質量%が好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、耐ドライアップ性能が劣りやすく、20.0質量%を越えると、インキ中で溶解性が劣りやすいためである。また、15.0質量%を越えると筆跡に泣きボテが発生しやすいため、0.1〜15.0質量%が好ましく、より考慮すれば、3.0〜10.0質量%が、最も好ましい。
また、本発明においては、リン酸エステル系界面活性剤を含有する方が好ましい。これは、リン酸エステル系界面活性剤を1,2−アルカンジオールと併用して用いることで、理由は定かではないが、チップ先端部が乾燥したときに形成する皮膜の強度をさらに和らげ、ボールの回転をよりスムーズにし、耐ドライアップ性能を向上しやすくなるためである。
また、リン酸エステル系界面活性剤は、25℃の環境下において、ペースト状または液体状ものを用いる方が、チップ先端部が乾燥したときに形成する皮膜が柔らかくなりやすく、より耐ドライアップ性能が向上するため、好ましい。特に、25℃の環境下において、ペースト状である1,2−アルカンジオールと、ペースト状または液体状であるリン酸エステル系界面活性剤を併用することで、より形成する皮膜が柔らかくなりやすくなるため、好ましい。
リン酸エステル系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸トリエステル、アルキルリン酸エステル、アルキルエーテルリン酸エステル或いはその誘導体等が挙げられ、これらのリン酸エステル系界面活性剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。その中でも、エチレンオキシド基(CH2CH2O)を有するリン酸エステル系界面活性剤が好ましい。これは、エチレンオキシド基(CH2CH2O)を有することで、形成皮膜が柔らかくなりやすいためであると推測される。
また、その中でも、アルキル基の炭素数が10〜18であるリン酸エステル系界面活性剤を少なくとも用いる方が好ましい。これはアルキル基の炭素数が10未満であると、アルキル基の直鎖が短すぎて、十分な膜が形成しづらく、チップ先端部のインキが増粘しやすい傾向があり、耐ドライアップ性能に影響が出やすく、アルキル基の炭素数が18を超えるとインキ経時安定性に影響が出やすい傾向があるためであり、よりその傾向を考慮すれば、アルキル基の炭素数が12〜15であるリン酸エステル系界面活性剤を少なくとも用いる方が最も好ましい。
また、リン酸エステル系界面活性剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1〜5.0質量%がより好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、所望の皮膜の強度が得られにくい傾向があり、5.0質量%を越えると、インキ経時が不安定性になりやすい傾向があるためであり、その傾向を考慮すれば、インキ組成物全量に対し、0.3〜3.0質量%が好ましく、より考慮すれば、0.5〜2.0質量%が、最も好ましい。
リン酸エステル系界面活性剤として、具体的には、プライサーフシリーズ(第一工業製薬 (株)製)の中から、プライサーフA212C、同A210G、同A207H、同AL、同A208B、同A213B、同A208S、同A208F、同A208M、同A212E、同A215C、同A219B、同A208 N、同M208F、同DB−01等が挙げられる。また、フォスファノールシリーズ(東邦化学工業(株 )製)の中から、フォスファノールRD−510Y、同RD−720、同RB−410、同RA−600、同ML−200、同ML−220、同ML−240、同RS−610、同GF−185、同RE−410、同RE610、同sED−200、同RP−710、同SM−172等が挙げられる。また、ニッコールシリーズ(日光ケミカルズ(株)製)の中から、NIKKOL DDP−4、同DDP−6、同DDP−8、同TDP−2、同TDP−8、同TDP−10等、アデカコールシリーズ((株)ADEKA社製)アデカコールCS1361E、同PS440E、同PS810E等が挙げられる。
本発明に用いる着色剤については、染料、顔料があるが、染料については、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料、直接染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等が採用可能である。顔料については、無機、有機、加工顔料などが挙げられる。これらの染料および顔料は、2種以上組み合わせて使用することが可能である。特に、顔料系の場合は、染料系のインキとは異なり、チップ先端部が乾燥したときに、顔料粒子が固化して皮膜を形成するが、顔料粒子が硬いため、耐ドライアップ性能の劣化の影響が出やすい。そのため、少なくとも顔料を含有する場合は、前記1,2−アルカンジオールを用いると効果的であり、さらにリン酸エステル系界面活性剤を併用するとより効果的である。
また、顔料については、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、DPP系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ギオキサジン系、メタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独または2種以上組み合わせて使用してもかまわない。また、顔料の平均粒子径は、300nm以下が好ましい。これは、平均粒子径が300nmを越えると、粒子径が大きいため、皮膜が硬くなりやすく、耐ドライアップ性能に影響が出やすくなるためで、よりそのことを考慮すれば、250nm以下が好ましい。ここで、平均粒子径とは、粒度分布計による平均粒子径d50のことである。これらの顔料は、単独または2種以上組み合わせて使用してもかまわない。顔料の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.5〜15.0質量%が好ましい。これは0.5質量%未満だと、筆跡が薄くなりやすいためで、15.0質量%を越えると、インキ中で凝集しやすい傾向があるためであり、よりその傾向を考慮すれば、2.0〜10.0質量%が好ましく、最も好ましくは、3.0〜7.0質量%である。
また、顔料分散剤については、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルピロリドン等が例示でき、これらを1種または2種以上用いることができる。その中でも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましいが、これは、有機溶剤中に速やかに溶解しやすく、さらにポリビニルブチラール樹脂が、顔料に吸着することで、長期間の顔料の分散を維持しやすいためである。顔料については、ポリビニルブチラール樹脂との顔料分散性を考慮すれば、塩基性カーボンブラックが好ましい。ここで、塩基性カーボンブラックとは、カーボンブラック粒子をpH7のイオン交換水に分散し、pHメーターにて25℃のpHを測定したpH値が7以上を塩基性カーボンブラックと定義する。より顔料分散性を考慮すれば、pH値が7〜10の塩基性カーボンブラックが最も好ましい。
また、ポリビニルブチラール樹脂の分子量は、100000以下である方が好ましい。これは、分子量が100000を越えると、耐ドライアップ性能に影響が出やすくなる傾向や有機溶剤に溶解しづらくなる傾向があるためで、より考慮すれば、30000以下である方がより好ましい。
前記顔料分散剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、1.0〜20.0質量%が好ましい。これは、1.0質量%より少ないと、顔料分散性が劣りやすく、20.0質量%を越えると、インキ中で溶解性が劣りやすく、インキ粘度も高くなりやすいためであり、また、耐ドライアップ性能への影響を考慮すれば、2.0〜10.0質量%が好ましく、より考慮すれば、5.0〜10.0質量%が最も好ましい。
本発明に用いる有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール等のグリコールエーテル系、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール等のグリコール系、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール系など、油性ボールペン用インキとして一般的に用いられる溶剤が例示できる。これらの中でも、前記1,2−アルカンジオールやリン酸エステル系界面活性剤との溶解安定性や、顔料とのインキ経時安定性を考慮すれば、少なくとも芳香族アルコール系溶剤を用いる方が好ましい。より、それを考慮すれば、ベンジルアルコールを少なくとも用いる方が最も好ましい。これらの有機溶剤は、1種または2種以上用いることができる。
また、有機溶剤の含有量は、着色剤の溶解性、筆跡乾燥性、にじみ等を考慮すると、インキ組成物全量に対し、10.0〜70.0質量%が好ましく、よりその傾向を考慮すれば、30.0〜60.0質量%が好ましく、最も好ましくは、40.0〜60.0質量%である。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物のインキ粘度は、特に限定されるものではないが、20℃、剪断速度3.84sec−1におけるインキ粘度は、1000〜10000mPa・sが好ましい。これは、1000mPa・s未満の場合には、インキ粘度が低いため、インキが出やすく、チップ先端部にインキが残りやすいためチップ先端部が乾燥したときに形成する皮膜が厚くなりやすいため、耐ドライアップ性能に影響が出やすくなり、10000mPa・sを超えると、樹脂などの固形分量が多くなり、耐ドライアップ性能に影響が出やすくなるためである。より耐ドライアップ性能の向上を考慮すれば、1000〜5000mPa・sが好ましく、最も好ましくは、2000〜5000mPa・sである。
また、その他として、潤滑性やインキ経時安定性を向上させるために、界面活性剤として、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤や、陰イオン性界面活性剤および/または陽イオン性界面活性剤の造塩体等を、粘度調整剤として、ケトン樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル等の樹脂や脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油などの擬塑性付与剤等を、摩耗抑制剤として、アクリル系、シリコーン系、ポリエチレン系等の樹脂微粒子やアルミナ微粒子、シリカ微粒子など等を、曳糸性付与剤としてポリビニルピロリドンを、また、着色剤安定剤、可塑剤、キレート剤、水などを適宜用いても良い。これらは、単独または2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
次に、実施例を示して本発明を説明する。
実施例1の油性ボールペン用インキ組成物は、有機溶剤に顔料と顔料分散剤を添加し分散機で分散させた後、染料、1,2−アルカンジオール、リン酸エステル系界面活性剤を添加し、混合撹拌機を用いて50℃で溶解させて油性ボールペン用インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りである。尚、ブルックフィールド社製粘度計DV−2+(CPE−42スピンドル)を用いて20℃の環境下で、剪断速度3.84sec−1にてインキ粘度を測定したところ、4400mPa・sであった。
実施例1
染料(バリファーストレッド 1362) 10.0質量%
染料(スピロンブルー C−RH) 10.0質量%
染料(スピロンイエロー C−GNH) 10.0質量%
顔料(塩基性カーボンブラック) 5.0質量%
顔料分散剤(ポリビニルブチラール) 8.0質量%
有機溶剤(ベンジルアルコール) 53.0質量%
1,2−アルカンジオール(1,2−オクタンジオール) 3.0質量%
リン酸エステル系界面活性剤(アルキル基の炭素数が12と13の混合物)1.0質量%
実施例2〜11
表1、2に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2〜11の油性ボールペン用インキ組成物を得た。
Figure 0006052872
比較例1〜2
表2に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様の手順(1,2−アルカンジオール、リン酸エステル系界面活性剤は未添加)で比較例1〜2の油性ボールペン用インキ組成物を得た。
Figure 0006052872
試験及び評価
実施例1〜11及び比較例1〜2で作製した油性ボールペン用インキ組成物(0.4g)及びグリース状のインキ追従体を、インキ収容筒(ポリプロピレン)に、ボール径がφ0.5mmまたはφ1.0mmのボールを回転自在に抱持したボールペン用チップ(ステンレス綱線)を装着したボールペン用レフィルに充填し、(株)パイロットコーポレーション製の油性ボールペン(商品名:アクロボール)に装着して、以下の試験および評価を行った。なお、筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いた。
耐ドライアップ性能試験:手書き筆記した後、チップ先端部を出したまま20℃、65%RHの環境下に30分および3時間放置し、その後、走行試験で下記筆記条件にて筆記し、書き出しにおける筆跡カスレの長さを測定した。
<筆記条件>筆記荷重70gf、筆記角度70°、筆記速度4m/minの条件で、走行試験機にて直線書きを行い評価した。
筆跡カスレの長さが、3mm未満であるもの ・・・◎◎
筆跡カスレの長さが、3mm以上、20mm未満であるもの ・・・◎
筆跡カスレの長さが、20mm以上、40mm未満であるもの・・・○
筆跡カスレの長さが、40mm以上、80mm未満であるもの・・・×
筆跡カスレの長さが、80mm以上であるもの。 ・・・××
実施例1〜11では、1,2−アルカンジオールを含有しているため、耐ドライアップ性能試験において良好な性能が得られた。特に、実施例1〜5、9〜11においては、リン酸エステル系界面活性剤を併用したため、筆跡カスレの長さが3mm未満となり、耐ドライアップ性能が飛躍的に向上した。また、いずれも実用筆記において異常は認められず、良好な筆記性能を有していた。
比較例1〜2では、1,2−アルカンジオールを含有していないため、耐ドライアップ性能試験において筆跡カスレがひどく、筆跡カスレの長さが40mmを越えてしまった。特に、比較例2においては、ボール径がφ1.0mmであるため、筆跡カスレが特にひどく、筆跡カスレの長さが80mmを越え、実用筆記に耐えうるものではなかった。
本発明のように、20℃、剪断速度3.84sec−1におけるインキ粘度を、1000〜10000mPa・sの範囲に設定する場合には、インキの垂れ下がりを防止するため、ボールペンチップ先端部に回転自在に抱持したボールを、コイルスプリングにより直接または押圧体を介してチップ先端縁の内壁に押圧して、筆記時の押圧力によりチップ先端縁の内壁とボールに間隙を与えインキを流出させる弁機構を具備し、チップ先端部端の微少な間隙も非使用時に閉鎖することが好ましい。さらに、前記機構にすることで、チップ先端部の間隙を閉鎖し、空気の出入りをなくすことで、耐ドライアップ性能がより向上できるため、好ましい。
発明は油性ボールペンとして利用でき、さらに詳細としては、該油性ボールペン用インキ組成物を充填した、キャップ式、ノック式等の油性ボールペンとして広く利用することができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも着色剤、有機溶剤、1,2−オクタンジオール、リン酸エステル系界面活性剤からなり、前記1,2−オクタンジオールが、25℃の環境下において、ペースト状であることを特徴とする油性ボールペン用インキ組成物。
  2. 前記1,2−オクタンジオールの含有量が、インキ組成物全量に対し、0.1〜20.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の油性ボールペン。
  3. 前記リン酸エステル系界面活性剤のアルキル基の炭素数が、10〜18であることを特徴とする請求項1または2に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  4. 前記着色剤が少なくとも顔料を含有することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  5. 前記有機溶剤が少なくとも芳香族アルコール系溶剤を含有することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  6. 20℃、剪断速度3.84sec−1におけるインキ粘度が1000〜10000mPa・sであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  7. インキ収容筒の先端部に、チップ本体のボール抱持室にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接またはチップホルダーを介して具備し、前記インキ収容筒内に、請求項1ないしのいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物を直に収容することを特徴とする油性ボールペン用インキ組成物。
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