JP2022116510A - 筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具 - Google Patents

筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、着色剤、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤を含んでなることで、書き出し性能、インキ経時安定性、書き味が良好である筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることである。【解決手段】着色剤、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤を含んでなることを特徴とする筆記具用油性インキ組成物。【選択図】なし

Description

本発明は筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具に関するものである。
筆記具用油性インキ組成物において、チップ先端部を大気中に放置すると、インキ中の溶媒などが蒸発して、着色剤や樹脂などが乾燥固化したときに、ドライアップ時の書き出しにおいて筆跡カスレが発生してしまう欠点があった。
このようなドライアップ時の書き出し性能を向上するために、様々な溶剤や添加剤を用いることを検討していた。例えば、蒸気圧0.005~0.5mmHg(20℃)である不揮発性の有機溶剤を主溶剤として含有したものとしては、特開平6-247093号公報「油性ボールペン」が開示されており、特定分子量の200~4,000,000であるポリエチレングリコールを含有したものとしては、特開平7-196971公報「油性ボールペン用インキ組成物」が開示されており、デカマカデミアナッツ油脂肪酸デカグリセリルと、アルキル基の炭素数が16以上であり常温で固体のポリオキシエチレンアルキルエーテルとを少なくとも含有するものとしては、特開2008-88264号公報「ボールペン用油性インキ組成物」等に、開示されている。
しかし、特許文献1では、有機溶剤として、蒸気圧0.005~0.5mmHg(20℃)である不揮発性の有機溶剤を含有すると、インキが完全に乾ききるのを防ぐ効果はあるが、筆跡の乾燥性が悪く、それだけではドライアップ時の書き出し性能を満足させることができなかった。
また、特許文献2では、添加剤として、特定分子量のポリエチレングリコールを含有すると、チップ先端部に樹脂皮膜を形成することで、それ以上のチップ先端部の乾燥を抑制して、チップ内のインキ増粘を抑制えることにより、ある程度書き出し性能を向上することは可能ではあるが、樹脂皮膜が硬いため、ドライアップ時の書き出しにおいて、筆跡カスレが発生してしまい、十分な書き出し性能が得られなかった。
また、特許文献3では、デカマカデミアナッツ油脂肪酸デカグリセリルとポリオキシエチレンアルキルエーテルを併用することで、ある程度、書き出し性能を向上することは可能ではあるが、潤滑性が十分でなく、書き味が劣ってしまい、さらに、特殊な界面活性剤を用いているため、着色剤、有機溶剤、他の界面活性剤などの選定次第では、インキ経時安定性に影響してしまい、染料や他の界面活性剤との相性が合わないと、析出物が発生してしまい、筆記不良の原因となり、改善の余地があった。
「特開平6-247093号公報」 「特開平7-196971号公報」 「特開2008-88264号公報」 「特開2007-176995号公報」
上記の特許文献1~4では満足できなかった、ドライアップ時の書き出し性能と、インキ経時安定性、書き味を満足できる筆記具用油性インキ組成物が必要とされている。特に、ノック式筆記具(油性ボールペン)や回転繰り出し式筆記具(油性ボールペン)等の出没式筆記具(油性ボールペン)を用いた場合では、書き出し性能に影響が出やすいので重要となる。
本発明の目的は、書き出し性能、インキ経時安定性、書き味が良好である筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることである。
本発明は、上記課題を解決するために
「1.着色剤、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤を含んでなることを特徴とする筆記具用油性インキ組成物。
2.前記アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤のアルキレングリコール部位の炭素数が、2~8であることを特徴とする第1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
3.前記アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤のアルキルエーテル部位の炭素数が1~8であることを特徴とする第1項または第2項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
4.前記アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤の含有量は、筆記具用油性インキ組成物中の全溶剤の含有量に対して50%以上であることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
5.前記ノニオン系界面活性剤のHLB値が14以下であることを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
6.前記ノニオン系界面活性剤の脂肪酸エステル類、ポリアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリンの中から1種以上を選択することを特徴とする第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
7.前記着色剤が、造塩染料であることを特徴とする第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
8.第1項~第7項のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物を収容してなることを特徴とする筆記具。
9.インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に第1項ないし第8項のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物を収容してなることを特徴とする油性ボールペン。
」とする。
本発明は、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤とノニオン系界面活性剤を含んでなることで、形成される被膜が、剥がれやすいことで、書き出し性能を向上しつつ、さらに、イオン性を示しづらいため、インキ経時安定性に優れ、同時に、筆記時(ボールの回転時)においても、筆記先端部の筆記抵抗(ボールの回転抵抗)を低減することで、書き味を良好とする筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることができた。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準であり、含有量とは、インキ組成物の質量を基準としたときの構成成分の質量%である。
本発明の特徴は、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤とノニオン系界面活性剤を含んでなる筆記具用油性インキ組成物とすることである。これは、チップ先端部が乾燥した場合、チップ先端部において、インキ中に含まれるアルキレングリコールアルキルエーテル溶剤とノニオン系界面活性剤によって、形成される被膜が、安定した均一の柔らかい被膜であるため、剥がれやすいことで、書き出し性能を向上しつつ、同時に、筆記時(ボールの回転時)においても、該被膜が柔らかいため、筆記先端部の筆記抵抗(ボールの回転抵抗)を低減することで、書き味を良好とすることができる。特に、ボールペンの場合では、金属材のボールペンチップにおいて、金属表面へ吸着しやすく、潤滑層が形成しやすく、書き味を良好とすることができるため、効果的である、
さらに、ノニオン系界面活性剤は、イオン性を示しづらく、インキ中の他成分による析出物が発生しづらく、インキ経時安定性を良好とすることが可能となるためである。
そのため、上記したように、書き出し性能、インキ経時安定性、書き味を全て良好とすることが可能である。
(ノニオン系界面活性剤)
ノニオン系界面活性剤については、インキ組成物中に含まれる成分(着色剤、樹脂など)によって筆記先端部に形成される被膜が、均一の柔らかい被膜であるため、剥がれやすいことで、書き出し性能を向上し、さらに潤滑性を保ち、書き味を良好としやすいため、インキをスムーズに吐出でき、インキ消費量を多くすることで、筆跡の堅牢性(耐水性、耐アルコール性、耐光性)が有利に働きやすい。さらに、ノニオン系界面活性剤は、非イオン性であることによって、インキ組成物中に含まれる成分(着色剤、樹脂など)による析出物が発生しづらいため、インキ経時安定性を良好とすることができる。
ノニオン系界面活性剤については、インキ経時安定性を考慮すれば、HLB値が16以下であることが好ましく、1~14であることがより好ましく、4~10であることが、特に好ましい。また、書き出し性能、書き味を向上すること考慮すれば、HLB値が10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。インキ経時安定性と書き出し性能をバランス良く両立させることを考慮すれば、HLB値が1~10であることが好ましく、4~10であることが好ましい。なお、HLB値は、グリフィン法などから求めることができる。
ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具においては、キャップ式筆記具とは異なり、ペン先が外部に常時露出した状態である。このような場合、筆記先端部が乾燥しやすい。上記HLB値を有する界面活性剤は、そのような問題も改良することができるので、それを用いることはより好ましい。
また、ノニオン系界面活性剤としては、脂肪酸エステル類、ポリアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルイミダゾリン、アルキルアルカノールアミド、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、アセチレン結合を有する界面活性剤などが挙げられる。その中でも、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤との相性が良く、上記のような書き出し性能、書き味、および経時安定性を考慮すれば、脂肪酸エステル類、ポリアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルイミダゾリン、アルキルアルカノールアミドの中から1種以上を選択することが好ましい。特に書き出し性能を向上することを考慮すれば、脂肪酸エステル類を用いることが好ましい。これらは、単独または2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
上記のようなノニオン系界面活性剤は、後述するアルキレングリコールアルキルエーテル溶剤との溶解性を考慮すれば、溶解度パラメーター(SP値)9~15(cal/cm1/2のアルキレングリコールアルキルエーテル溶剤に対して、溶解安定しやすく、書き出し性能、書き味を向上しやすいため好ましく、より考慮すれば、溶解度パラメーター(SP値)が、9~13(cal/cm1/2であることが好ましく、さらに、考慮すれば、溶解度パラメーター(SP値)が、9~12(cal/cm1/2であることが好ましく、10~12(cal/cm1/2であることが好ましい。
また、脂肪酸エステル類としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどが挙げられる。このうち、書き出し性能を改良されやすいことを考慮すれば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルの中から1種以上を選択することが好ましく、さらに、環状骨格を有している構造であるソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルを用いることが好ましく、さらに、水酸基を複数有する脂肪酸エステルは、筆記先端部に形成される被膜の水分を適切に保持できるので、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルの中から1種以上を選択することが好ましい。
また、書き出し性能を考慮すれば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル類のアルキル基に含まれる炭素数が1~20であることが好ましく、より考慮すれば、ソルビタン脂肪酸エステル類のアルキル基に含まれる炭素数が10~20であることが好ましく、12~18であることが好ましい。
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、具体的に、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノココエート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレートやそれらの複合物などのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートやそれらの複合物などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステルとしては、具体的には、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖リノール酸エステル、ショ糖リノレン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルはポリグリセリンと脂肪酸とのエステルであり、前記脂肪酸として、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、オレイン酸等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1~15質量%がより好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、所望の書き出し性能、書き味が得られにくく、15質量%を越えると、インキ経時が不安定になりやすい傾向があるためである。その傾向を考慮すれば、インキ組成物全量に対し、0.5~10質量%が好ましく、0.5~5質量%が、最も好ましい。
(アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤)
アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤については、ノニオン系界面活性剤との溶解安定性を良好とし、形成される被膜が、安定した均一の柔らかい被膜とし、剥がれやすいことで、書き出し性能を向上することができ、さらに、該被膜が柔らかいため、書き味を良好とすることができる。
また、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤のアルキレングリコール部位の炭素数については、ノニオン系界面活性剤や着色剤との溶解安定しやすく、インキ経時安定性を考慮すれば、前記炭素数は2~10が好ましく、より考慮すれば、2~8であり、2~6が好ましい。さらに、ノニオン系界面活性剤との相性が良好であり、書き出し性能、書き味を向上しやすいことを考慮すれば、前記炭素数は1~8が好ましく、より考慮すれば、1~6が好ましく、さらに4~6が好ましい。
これらの中でも、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤との溶解性を考慮し、インキ経時安定性、書き出し性能、書き味を考慮すれば、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル溶剤、ブチレングリコールモノアルキルエーテル構造を有する溶剤、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルの中から選択することが好ましく、より考慮すれば、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル溶剤、ブチレングリコールモノアルキルエーテル構造を有する溶剤が好ましく、さらにトリエチレングリコールモノアルキルエーテル溶剤が好ましい。
また、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤のアルキルエーテル部位の炭素数については、ノニオン系界面活性剤や着色剤との溶解安定しやすく、インキ経時安定性を考慮すれば、前記炭素数は1~8が好ましく、より考慮すれば、3~6が好ましく、1~3が好ましい。さらに、後述する界面活性剤との相性が良好であり、書き出し性能、書き味を向上しやすいことを考慮すれば、前記炭素数は1~8が好ましく、より考慮すれば、1~6が好ましく、さらに1~3が好ましい。
これらの中でも、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤との溶解性を考慮し、インキ経時安定性、書き出し性能、書き味を考慮すれば、アルキレングリコールモノメチルエーテル溶剤、アルキレングリコールモノブチルエーテル溶剤が好ましく、より考慮すれば、アルキレングリコールモノメチルエーテル溶剤が好ましい。
また、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤については、溶解度パラメーター(SP値)が、9~15(cal/cm1/2であることが好ましい。これは、前記ノニオン系界面活性剤、着色剤との溶解安定性を良好とし、本発明の効果を得るためで、より考慮すれば、溶解度パラメーター(SP値)が、9~13(cal/cm1/2であることが好ましく、さらに、考慮すれば、溶解度パラメーター(SP値)が、9~12(cal/cm1/2であることが好ましく、10~12(cal/cm1/2であることが好ましい。
本発明でいう溶媒の溶解度パラメーター(SP値)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を用いた。単位は(cal/cm1/2であり、25℃における値を指す。
なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算することができる。
また、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤の沸点については、沸点が170℃以上とすることが好ましい。これは、170℃未満だと、溶剤が蒸発しやすく、インキ経時安定性に影響が生じやすく、インキ粘度が増加しやすいためであり、より考慮すれば、220℃以上とすることが好ましい。一方、沸点が300℃を超えると、筆跡の乾燥性に影響を生じやすいため、沸点が300℃以下とすることが好ましく、より考慮すれば、280℃以下とすることが好ましい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル構造を有するもの、ブチレングリコールモノエチルエーテル構造を有するもの等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
アルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジブチレングリコールジメチルエーテル構造を有するもの、ジブチレングリコールジエチルエーテル構造を有するもの等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤の含有量は、筆記具用油性インキ組成物中の全溶剤の含有量に対して50%以上とし、主溶剤として用いることが好ましい。これは、ノニオン系界面活性剤や着色剤との溶解安定しやすく、本発明の効果を発揮しやすくなるためである。より上記を考慮すれば、アルキレングリコールアルキルエーテル類の含有量は、全溶剤の含有量に対して70%以上が好ましく、90%以上が好ましい。
また、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤の含有量は、溶解性、筆跡乾燥性、にじみ等を向上することを考慮すると、インキ組成物全量に対し、10~70質量%が好ましく、より好ましくは20~60質量%である。
(着色剤)
本発明では、着色剤として、染料、顔料等、適宜選択して用いても良く、染料、顔料を併用しても良い。
染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等として、直接染料とアミンとの造塩染料、酸性染料と塩基性染料との造塩染料、有機酸と塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料などの種類が挙げられる。これらの染料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
染料としては、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤との溶解安定性しやすく、本発明の効果を得られやすくするには、造塩染料を用いることが好ましく、さらに造塩結合が安定していることで経時安定性を保てることを考慮すれば、直接染料とアミンとの造塩染料、塩基性染料と有機酸との造塩染料、酸性染料との塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料の中から1種以上選択することが好ましく、インキ経時安定性を考慮すれば、直接染料とアミンとの造塩染料を用いることが好ましく、より考慮すれば、ダイレクトブラックとアミンとの造塩結合、または、ダイレクトブルーとアミンの造塩染料を用いることが好ましく、ダイレクトブラックとアミンとの造塩結合がより好ましい。
さらに、前記造塩染料は、芳香環を有する化合物を有しており、筆記先端部での潤滑効果が得られるため、インキがスムーズに吐出でき、インキ消費量を多くすることで、筆跡の(堅牢性)に有利に働き、さらに筆跡カスレも抑制し、筆記性を向上しやすく、特にボールペンとした場合は効果的である。
また、直接染料とアミンとの造塩染料については、ダイレクトブラックとして、ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、同154、同168、同195など、ダイレクトブルー86、同87、同199等が挙げられるが、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤との溶解安定性や耐水性、耐アルコール性、耐光性(堅牢性)を考慮すれば、アゾ染料(-N=N-)を有することや、含金染料とすることが好ましく、ダイレクトブラック19、ダイレクトブラック154や、ダイレクトブルー86、ダイレクトブルー87が好ましい。さらに、アミンとの造塩安定性を考慮して、耐水性、耐アルコール性、耐光性(堅牢性)を安定して保つことを考慮すれば、(-N=N-)が多く有するダイレクトブラック19や、ダイレクトブルー86が好ましい。
前記造塩染料のアミンとしては、造塩結合の安定性を考慮すれば、芳香族アミン、脂肪族アミン、脂環族アミン、アルコキシアルキルアミン、グアニジン誘導体のアミンなどの有機アミンが好ましい。
上記のような造塩染料は、溶解度パラメーター(SP値)9~15(cal/cm1/2のアルキレングリコールアルキルエーテル溶剤に対して、溶解安定しやすく、書き出し性能、書き味を向上しやすいため好ましく、より考慮すれば、溶解度パラメーター(SP値)が、9~13(cal/cm1/2であることが好ましく、さらに、考慮すれば、溶解度パラメーター(SP値)が、9~12(cal/cm1/2であることが好ましく、10~12(cal/cm1/2であることが好ましい。
また、顔料については、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、メタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
着色剤としては、顔料を用いることが好ましい、これは、顔料を用いることで、ボールペンの場合は、ボールとチップ本体の隙間に顔料粒子が入り込むことで、ベアリングのような作用が働きやすく、金属接触を抑制することで、潤滑性を向上し、書き味を向上し、ボール座の摩耗を抑制する効果が得られやすいため、顔料を用いることが好ましい。
着色剤の総含有量は、インキ組成物全量に対し、5~45質量%が好ましい。これは5質量%未満だと、濃い筆跡が得られにくい傾向があり、45質量%を越えると、インキ中での溶解性に影響しやすい傾向があるためで、よりその傾向を考慮すれば、7~35質量%が好ましく、さらに考慮すれば、10~30質量%である。
(樹脂)
また、インキ漏れ抑制をより向上するためには、樹脂をインキ粘度調整剤として、用いることが好ましい、樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などが挙げられるが、その中でも、着色剤、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤との安定性を考慮すれば、ポリビニルブチラール樹脂またはケトン樹脂を含んでなることが好ましい。さらに、筆跡に形成された樹脂膜によって、堅牢性(耐水性、耐アルコール性、耐光性)を付与しやすく、紫外線を遮りやすく、特に耐光性を付与しやすいため、好ましい。
ポリビニルブチラール樹脂は、より高い潤滑効果が得られる潤滑層を形成しやすい。これは、前記ポリビニルブチラール樹脂を用いると、ボールとボール座との間に常に弾力性があるインキ層を形成して、直接接触しづらくするため、書き味を向上しやすいため、インキをスムーズに吐出でき、インキ消費量を多くすることで、筆跡の堅牢性が有利に働きやすい。さらに、前記ポリビニルブチラール樹脂を用いると、形成する被膜によって、インキ漏れをより向上しやすくなるため、好ましく、また、着色剤として顔料を用いる場合は、顔料分散効果も得られるため、ポリビニルブチラール樹脂を用いることが好ましい。
ここで、ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)をブチルアルデヒド(BA)と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造である。
また、ポリビニルブチラール樹脂は、水酸基量25mol%以上とすることが好ましい。これは、水酸基量25mol%未満のポリビニルブチラール樹脂では、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤への溶解性が十分でなく、本発明の効果が得られにくく、さらに、吸湿性による書き出し性能を考慮すると、水酸基量25mol%以上のポリビニルブチラール樹脂を用いることが好ましいためで、より考慮すれば、水酸基量30mol%以上のポリビニルブチラール樹脂が、好ましく、さらに、書き味を向上しやすいため、インキをスムーズに吐出でき、インキ消費量を多くすることで、筆跡の堅牢性に有利に働きやすいため、好ましい。また、前記水酸基量40mol%を越えるポリビニルブチラール樹脂を用いると、吸湿量が多くなりやすく、インキ成分との経時安定性に影響が出やすいため、水酸基量40mol%以下のポリビニルブチラール樹脂が好ましい。そのため、水酸基量30~40mol%のポリビニルブチラール樹脂が好ましく、さらに好ましくは、水酸基量30~36mol%が好ましい。
なお、前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基量(mol%)とは、ブチラール基(mol%)、アセチル基(mol%)、水酸基(mol%)の 全mol量に対して、水酸基(mol%)の含有率を示すものである。
また、樹脂として、曳糸性付与剤を適宜用いてもよい。特に、ポリビニルピロリドン樹脂を含んだ場合では、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤、造塩染料との相性も良好であり、インキの結着性を高め、チップ先端における余剰インキの発生を抑制しやすい効果が得られるため、ポリビニルピロリドン樹脂を含有することが好ましい。
前記樹脂の含有量は、インキ組成物全量に対し、1質量%より少ないと、所望の潤滑性やインキ漏れ抑制性能が劣りやすく、40質量%を越えると、インキ中で溶解性が劣りやすいため、インキ組成物全量に対し、1~40質量%が好ましい。さらに、考慮すれば3質量%以上が好ましく、30質量%を越えると、インキ粘度が高くなりすぎて書き味に影響する傾向があるため、3~30質量%が好ましく、より考慮すれば、5~25質量%が好ましい。
本発明では、インキ中でのインキ成分の安定性を考慮すれば、有機アミン(造塩染料のアミンを除く)を用いることが好ましい。前記有機アミンと、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤、造塩染料との安定性を考慮すれば、2級アミンまたは3級アミンを用いることが好ましい。これは、油性インキ中での反応性については、1級アミンが最も強く、次いで2級アミン、3級アミンと反応性が小さくなり、1級アミンは、ノニオン系界面活性剤、造塩染料やその他の成分と反応しやすく、インキ経時安定性に影響が出やすい。そのため、2級アミンまたは3級アミンを用いることが好ましく、より考慮すれば、3級アミンを用いることが好ましい。
また、有機アミンとしては、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のエチレンオキシドを有するアミンや、ラウリルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミンや、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン等のジメチルアルキルアミン等の脂肪族アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン等が挙げられ、その中でも、インキ中での安定性を考慮すれば、エチレンオキシドを有するアミン、ジメチルアルキルアミン、アルカノールアミンが好ましい。
さらに、前記有機アミンの全アミン価は、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤、造塩染料やその他の成分との安定性を考慮すれば、70~300(mgKOH/g)とすることが好ましい。これは、300(mgKOH/g)を超えると、反応性が強いため、上記成分と反応し易いため、インキ経時安定性が劣りやすい。また、全アミン価が、70(mgKOH/g)未満であると、ノニオン系界面活性剤の安定性に影響が出やすい。より上記成分との安定性を考慮すれば、100~300(mgKOH/g)の範囲が好ましく、より安定性を考慮すれば、150~300(mgKOH/g)が好ましい。
なお、全アミン価については、1級、2級、3級アミンの総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する塩酸に当量の水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
また、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤以外の有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール溶剤、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2―プロパノール、イソブタノール、t-ブタノールなどの脂肪族アルコール溶剤などの有機溶剤が挙げられる。
また、有機溶剤の含有量は、溶解性、筆跡乾燥性、にじみ等を向上することを考慮すると、インキ組成物全量に対し、10~80質量%が好ましく、より好ましくは30~80質量%である。
また、ノニオン系界面活性剤以外の界面活性剤としては、脂肪酸、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、アセチレン結合を有する界面活性剤などの界面活性剤を併用して用いても良い。
また、その他として、粘度調整剤として、脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油などの擬塑性付与剤を、また、着色剤安定剤、可塑剤、キレート剤、水などを適宜用いても良い。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
本発明の筆記具用油性インキ組成物のインキ粘度の粘度は、特に限定されるものではないが、粘度が過度に高いと、書き出し性能、書き味、インキ追従性が劣りやすいため、20℃、剪断速度5sec-1(静止時)におけるインキ粘度は、30,000mPa・s以下であることが好ましい。また、粘度が過度に低いと、インキ漏れを抑制しにくいため、500mPa・s以上とすることが好ましく、1,000mPa・s以上とすることがより好ましい。インキ漏れ抑制、書き味、インキ追従性能、書き出し性能をより向上することを考慮すれば、インキ組成物の粘度は500~25,000mPa・sであることが好ましく、1,000~25,000mPa・sであることがより好ましく、800~25,000mPa・sであることがより好ましい。さらに、書き出し性能、書き味の観点から、1,000~20,000mPa・sであることがより好ましく、2,000~20,000mPa・sであることがより好ましい。
(ボールペン)
また、ボールペンチップについては、ボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量が、3~25μmとするのが好ましい。これは、上記範囲であれば、濃い筆跡としつつ、書き出し性能や、筆跡のカスレ、泣きボテなどの筆記性を良好に保ちやすく、さらに、インキ吐出量を確保して、インキ消費量を多くすることで、濃い筆跡が得られ、筆跡の堅牢性を有利に働きやすくなるためである。より考慮すれば、前記縦軸方向の移動量を5~20μmとするのが好ましく、7~18μmとするのが好ましい。
本発明において、ボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量については、筆記開始前の初期状態のボールペンのボールペンチップの形態とする。
ボールペンチップのボール表面の算術平均粗さ(Ra)については、0.1~12nmとすることが好ましい。これは、上記範囲であると、濃い筆跡としつつ、書き出し性能、書き味、筆跡のカスレ、泣きボテなどの筆記性を良好に保ちやすいためで、さらにボール表面に十分にインキが載りやすく、インキがスムーズに吐出でき、インキ消費量を多くすることで、濃い筆跡が得られ、筆跡の堅牢性を有利に働きやすくなるためである。前記算術平均粗さ(Ra)が0.1~10nmであると、ボール表面にインキが載りやすいため、好ましく、より考慮すれば、2~8nmが好ましい。なお、表面粗さの測定は(セイコーエプソン社製の機種名SPI38、00N)で求めることができる。
また、ボールに用いる材料は、特に限定されるものではないが、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボール、ステンレス鋼などの金属ボール、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、シリカ、ジルコニアなどのセラミックスボール、ルビーボールなどが挙げられる。
また、ボ-ルペンチップの材料は、ステンレス鋼、洋白、ブラス(黄銅)、アルミニウム青銅、アルミニウムなどの金属材、ポリカーボネート、ポリアセタール、ABSなどの樹脂材が挙げられるが、ボール座の摩耗、経時安定性、コストを考慮するとステンレス製のチップ本体とすることが好ましい。
(実施例)
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1の油性ボールペン用インキ組成物は、造塩染料、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂を採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて完全溶解させて油性ボールペン用インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りである。
尚、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP-52スピンドルを使用して、実施例1のインキ粘度を測定したところ、20℃の環境下、剪断速度5sec-1、インキ粘度=3300mPa・sであった。
実施例1(インキ配合)
着色剤(ダイレクトブラック19とアミンとの造塩染料)30.0質量%
アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤(溶解度パラメーター(SP値):10.5(cal/cm1/2、沸点:249℃) 65.2質量%
ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル) 2.0質量%
ポリビニルブチラール樹脂 2.5質量%
ポリビニルピロリドン樹脂 0.3質量%
実施例2~24
表1に示すように、インキ成分を変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2~24の筆記具用油性インキ組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
比較例1~5
表に示すように、インキ成分を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1~5の筆記具用油性インキ組成物を得た。表に評価結果を示す。
Figure 2022116510000001
Figure 2022116510000002
Figure 2022116510000003
試験および評価
実施例1~24および比較例1~5で作製した筆記具用油性インキ組成物(0.4g)を、インキ収容筒に、ボール径がφ0.7mmのボールを回転自在に抱持したボールペン用チップ(チップ内にボールを直接チップ先端縁の内壁に押圧したコイルスプリングを有する、ボールの縦軸方向の移動量:10μm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):3nm)を装着した油性ボールペン用レフィルに充填し、油性ボールペンを作製した。筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験および評価を行った。
なお、実施例1と同様の方法で、実施例23~24の、20℃の環境下、剪断速度5sec-1(回転数2.5rpm)におけるインキ粘度を測定したところ、実施例23:5000mPa・s、実施例24:10000mPa・sであった。
書き出し性能試験:手書き筆記した後、チップ先端部を出したまま20℃、65%RHの環境下に24時間放置し、その後、走行試験で下記筆記条件にて筆記し、書き出しにおける筆跡カスレの長さを測定した。
<筆記条件>筆記荷重200gf、筆記角度70°、筆記速度4m/minの条件で、走行試験機にて直線書きを行い評価した。
筆跡カスレの長さが、1mm未満であるもの ・・・◎◎
筆跡カスレの長さが、1mm以上、5mm未満であるもの ・・・◎
筆跡カスレの長さが、5mm以上、15mm未満であるもの ・・・○
筆跡カスレの長さが、15mm以上、30mm未満であるもの・・・△
筆跡カスレの長さが、30mm以上であるもの ・・・×
インキ経時試験:50℃環境下、1ヶ月後にチップ本体内のインキを顕微鏡観察した。
析出物がなく、良好のもの ・・・◎
析出物が微少に発生したもの ・・・○
析出物が発生したが、実用上問題のないもの ・・・△
析出物が発生し、カスレや筆記不良などの原因になるもの・・・×
書き味:手書きによる官能試験を行い評価した。
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかなもの ・・・○
やや重いもの ・・・△
重いもの ・・・×
耐水性試験:筆記用紙に、らせん筆記した筆跡を乾燥後に、水に24時間浸し、筆跡の状態を観察した。
筆跡が良好であるもの ・・・◎
筆跡が薄くなったが、判別できるもの・・・○
筆跡が視認できないもの ・・・×
耐アルコール試験:筆記用紙に、らせん筆記した筆跡を乾燥後に、エタノール(50%水溶液)に10分浸し、筆跡の状態を観察した。
筆跡が良好であるもの ・・・◎
筆跡が薄くなったが、判別できるもの・・・○
筆跡が視認できないもの ・・・×
実施例1~24では、書き出し性能試験、インキ経時安定性、書き味、耐水性・耐アルコール試験ともに良好な性能が得られた。
実施例1の油性インキを用いて、ボールペン用チップ仕様を、ボールの縦軸方向の移動量:15μm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):6nmに変更した以外は、実施例1と同様の手順で、油性ボールペンを作成して、同様の試験および評価を行ったところ、実施例1と同等レベルの評価となり、全ての試験で良好であった。
比較例1~5では、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤とノニオン系界面活性剤を用いなかったため、書き出し性能試験、書き味が劣ってしまった。さらに、比較例4~5では、インキ経時安定性が劣ってしまった、そのため、その他の試験を評価できなかった。
また、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具(出没式ボールペン)を用いた場合では、書き出し性能において、筆跡カスレの影響が出やすいため、本発明のような筆記具用油性インキ組成物を用いると効果的である。
また、書き出し性能(筆跡カスレ)、インキ漏れ抑制を向上するためには、ボールペンチップ先端に回転自在に抱持したボールを、コイルスプリングにより直接又は押圧体を介してチップ先端縁の内壁に押圧して、筆記時の押圧力によりチップ先端縁の内壁とボールに間隙を与えインキを流出させる弁機構を具備し、チップ先端の微少な間隙も非使用時に閉鎖することが好ましい。
また、本実施例では、便宜上、軸筒内に、筆記具用インキ組成物を直に収容した油性ボールペン用レフィルを収容した油性ボールペンを例示しているが、本発明の筆記具は、軸筒をインキ収容筒とし、軸筒内に、筆記具用インキ組成物を直に収容した直詰め式のボールペン、マーキングペン、サインペンとした筆記具であってもよい。
また、本実施例では便宜上、線材を切削によって形成したボールペンチップを例示しているが、パイプ材を押圧加工によって形成するボールペンチップであってもよい。
本発明は、筆記具として利用でき、さらに詳細としては、キャップ式、出没式等の筆記具としてボールペンとして広く利用することができる。

Claims (9)

  1. 着色剤、アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤、ノニオン系界面活性剤を含んでなることを特徴とする筆記具用油性インキ組成物。
  2. 前記アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤のアルキレングリコール部位の炭素数が、2~8であることを特徴とする請求項1に記載の筆記具用油性インキ組成物。
  3. 前記アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤のアルキルエーテル部位の炭素数が1~8であることを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用油性インキ組成物。
  4. 前記アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤の含有量は、筆記具用油性インキ組成物中の全溶剤の含有量に対して50%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
  5. 前記ノニオン系界面活性剤のHLB値が14以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
  6. 前記ノニオン系界面活性剤の脂肪酸エステル類、ポリアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリンの中から1種以上を選択することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
  7. 前記着色剤が、造塩染料であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物を収容してなることを特徴とする筆記具。
  9. インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に請求項1ないし8のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物を収容してなることを特徴とする油性ボールペン。
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