JP2023169058A - 筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、トナーなどの印刷インキで形成された印字上において、筆記先端部の潤滑性を向上することで、形成された印字上で良好に筆記することが可能で、ボール座の摩耗抑制、書き味を向上する筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることである。【解決手段】着色剤、有機溶剤、ポリエステルポリオールを含んでなることを特徴とする筆記具用油性インキ組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具に関するものである。
従来から、油性インキを用いた筆記具が知られ、扱いが簡便であることから幅広い年齢層に利用されている。これらの筆記具は、着色剤、溶剤、界面活性剤などを含むことによって、紙面に良好に筆記することを可能にしている。(特許文献1)
通常の使用時では、紙面に良好に筆記することは可能であるが、トナーなどの印刷インキで形成された印字上に筆記した際には、筆跡に線トビやカスレが見られ、良好に筆記できなかった。これは、ボールペンの場合、筆記する際にボールが印字上で滑ってしまい、ボールが十分に回転せずに、線トビや筆跡カスレが発生してしまうためであり、改善の余地があった。(特許文献1)
さらに、筆記具は筆記時に筆記先端部と被筆記面との間で筆記抵抗によって、ボールペンやマーキングペン等の書き味に影響を及ぼしやすく、特にボールペンは、先端にステンレス鋼などからなる金属チップと、該金属チップのボール受け座に抱持される超鋼などの金属からなる転写ボールと、からなるボールペンチップをインキ収容筒に装着した構成を有しており、筆記時にボールの回転によって、ボール座に摩耗が発生し、筆跡に線飛び、カスレなどの発生や、書き味が悪くなるという問題があり、改善の余地があった。
こうした問題を解決するため、筆記時に筆記先端部と被筆記面との間で筆記抵抗を抑制するために、潤滑性向上を目的として、様々な潤滑剤を用いた筆記具用油性インキ組成物が多数提案されている。(特許文献2~5)
特開平8-41406 特開平5-331403号公報 特開2007-176995号公報 特開2013-151594号公報 特開2014-88486号公報
しかし、新たに様々な各種潤滑剤を用いた場合、筆記先端部と被筆記面との間で筆記抵抗をある程度低減することはできるが、十分ではなく、ボール座への負荷によって、ボール座の摩耗による、筆記不良の原因となるため、改良の余地があった(特許文献2~5)。
本発明の目的は、トナーなどの印刷インキで形成された印字上において、筆記先端部の潤滑性を向上することで、形成された印字上で良好に筆記することが可能で、ボール座の摩耗抑制、書き味を向上する筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることである。
本発明は、上記課題を解決するために
「1.着色剤、有機溶剤、ポリエステルポリオールを含んでなることを特徴とする筆記具用油性インキ組成物。
2.前記ポリエステルポリオールの水酸基が、120(mgKOH/g)以下であることを特徴とする第1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
3.前記ポリエステルポリオールの含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1~10質量%であることを特徴とする第1項または第2項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
4.前記筆記具用油性インキ組成物に、界面活性剤を含んでなることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
5.前記界面活性剤のHLB値が、6以上、14以下であることを特徴とする第4項に記載の筆記具用油性インキ組成物。
6.第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物を収容してなることを特徴とする筆記具。
7.インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の筆記具用油性インキ組成物を収容してなることを特徴とする油性ボールペン。」とする。
本発明は、トナーなどの印刷インキで形成された印字上において、筆記先端部の潤滑性を向上することで、形成された印字上で線トビや筆跡カスレを抑制し、良好な筆記性とすることが可能で、さらにボール座の摩耗抑制、書き味を向上する筆記具用油性インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることができた。
本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」等は特に断らない限り質量基準である。
本発明の特徴は、ポリエステルポリオールを含んでなる筆記具用油性インキ組成物とすることである。これは、ポリエステルポリオールを含んでなることで、筆記先端部の潤滑性を向上し、ボールペンの場合は、ボールと、チップ本体のボール座との間の潤滑性を向上し、ボール座間の摩擦を低減して、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、良好な筆記性とすることが可能で、さらにボール座の摩耗抑制、書き味を向上することが可能となる。
(ポリエステルポリオール)
本発明で用いるポリエステルポリオールについては、筆記先端部の潤滑性を向上し、ボールペンの場合は、ボールとボール座との間の潤滑性を向上し、ボール座との間の摩擦を低減して、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、良好な筆記性とすることが可能となる。
ポリエステルポリオールについては、ポリカルボン酸と多価アルコール(脂肪族ジオール類等)を脱水縮合して製造される化合物である。
ポリエステルポリオールの中でも、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、良好な筆記性とすることを考慮すれば、酸成分にダイマー酸、すなわちオレイン酸、リノール酸、リシノール酸等の不飽和脂肪族カルボン酸の二量体を用いたポリエステルポリオールとしたダイマー酸系ポリエステルポリオールを用いることが好ましい。
前記ポリエステルポリオールの水酸基価(mgKOH/g)は、着色剤、有機溶剤やその他の成分との安定性を考慮すれば、120(mgKOH/g)以下とすることが好ましい。これは、前記水酸基価が120(mgKOH/g)以下であると、インキ中で安定しやすく、本発明の効果が得られやすく、より考慮すれば、100(mgKOH/g)以下であることが好ましく、特に、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制することを考慮すれば、前記水酸基価が70(mgKOH/g)以下であることが好ましい。また、本発明の効果が得られやすくするには、前記水酸基価が20(mgKOH/g)以上とすることが好ましく、特に、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制することを考慮すれば、前記水酸基価が30(mgKOH/g)以上であることが好ましく、前記水酸基価が40(mgKOH/g)以上であることが好ましい。
また、前記ポリエステルポリオールの数平均分子量については、5,000以下とすることが好ましい。これは、前記数平均分子量が5,000以下であると、インキ中で安定しやすく、本発明の効果が得られやすく、より考慮すれば、3,500以下であることが好ましく、特に、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制することを考慮すれば、前記数平均分子量が2,500以下であることが好ましい。また、本発明の効果を得られやすくするには、前記数平均分子量が500以上とすることが好ましく、特に、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制することを考慮すれば、前記数平均分子量が1,000以上であることが好ましい。
具体的には、昭和電工マテリアルズ社製のテスラック2456(水酸基価120~130mgKOH/g)、テスラック2457(水酸基価174~194mgKOH/g)、テスラック2458(水酸基価70~75mgKOH/g)、テスラック2470(水酸基価78~82mgKOH/g)、クローダ・ジャパン社製のプリプラスト3197(水酸基価56mgKOH/g)、プリプラスト3199(水酸基価55mgKOH/g)、プリプラスト1838(水酸基価56mgKOH/g、数平均分子量:2,000)、プリプラスト3186(水酸基価71mgKOH/g、数平均分子量:1,700)等がある。
前記ポリエステルポリオールの含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%以上が好ましい。これは、0.1質量%以上とすることで、本発明の効果が得られやすく、より考慮すれば、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上が好ましい。また、インキ経時安定性に影響しづらく本発明の効果を得られやすいため、10質量%以下であることが好ましく、より考慮すれば、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることが好ましい。
(着色剤)
本発明に用いる着色剤は、染料、顔料等、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができ、染料、顔料は併用して用いても良い。染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等として、酸性染料と塩基性染料との造塩染料、塩基性染料と有機酸との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料などの種類が挙げられる。これらの染料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。染料について、具体的には、バリファーストブラック1802、バリファーストブラック1805、バリファーストブラック1807、バリファーストバイオレット1701、バリファーストバイオレット1704、バリファーストバイオレット1705、バリファーストブルー1601、バリファーストブルー1605、バリファーストブルー1613、バリファーストブルー1621、バリファーストブルー1631、バリファーストレッド1320、バリファーストレッド1355、バリファーストレッド1360、バリファーストイエロー1101、バリファーストイエロー1151、ニグロシンベースEXBP、ニグロシンベースEX、BASE OF BASIC DYES ROB-B、BASE OF BASIC DYES RO6G-B、BASE OF BASIC DYES VPB-B、BASE OF BASIC DYES VB-B、BASE OF BASIC DYES MVB-3(以上、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンブラック GMH-スペシャル、アイゼンスピロンバイオレット C-RH、アイゼンスピロンブルー GNH、アイゼンスピロンブルー 2BNH、アイゼンスピロンブルー C-RH、アイゼンスピロンレッド C-GH、アイゼンスピロンレッド C-BH、アイゼンスピロンイエロー C-GNH、アイゼンスピロンイエロー C-2GH、S.P.T.ブルー111、S.P.T.ブルーGLSH-スペシャル、S.P.T.レッド533、S.P.T.オレンジ6、S.B.N.イエロー510、S.B.N.イエロー530、S.R.C-BH(以上、保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
さらに、着色剤としては、ポリエステルポリオールとの相性による経時安定性を考慮して、少なくとも造塩染料を用いることが好ましく、さらに造塩結合が安定していることで経時安定性を保てることを考慮すれば、塩基性染料と有機酸との造塩染料、酸性染料との塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料を用いることが好ましい。
また、顔料については、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、メタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。
着色剤としては、潤滑性を考慮すれば、顔料を用いることが好ましい、これは、顔料粒子を用いることで、筆記先端部のボールとチップ本体の隙間に顔料粒子が入り込むことで、ベアリングのような作用が働きやすく、筆記先端部の金属接触を抑制することで、潤滑性を向上し、ボール座との間の摩擦を低減して、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、良好な筆記性としやすく、書き味を向上し、ボール座の摩耗を抑制する効果が得られやすいため、顔料を用いることが好ましい。また、ボールペンチップ内部の隙間関係を考慮し、平均粒子径は、1nm以上、500nm以下とすることが好ましい。より好ましくは、30nm以上、350nm以下であり、さらに好ましくは、50nm以上、300nm以下である。ここで、平均粒子径は、レーザー回折法、具体的には、レーザー回折式粒度分布測定機(商品名「MicrotracHRA9320-X100」、日機装株式会社)を用いて、標準試料や他の測定方法を用いてキャリブレーションした数値を基に測定される粒度分布の体積累積50%時の粒子径(D50)により求めることができる。
尚、前記顔料は、筆記具用油性インキ組成物中での顔料の分散状態で前記した作用効果を奏するため、分散状態の粒子径を求めることが好ましい。さらに、顔料は、耐水性、耐光性に優れ、良好な発色を得られるため、好ましい。
着色剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、5質量%以上、30質量%以下が好ましい。これは、5質量%未満だと、濃い筆跡が得られにくい傾向があり、30質量%を越えると、インキ中での溶解性に影響しやすい傾向があるためで、よりその傾向を考慮すれば、7質量%以上、25質量%以下が好ましく、さらに考慮すれば、10質量%以上、20質量%以下である。
(有機溶剤)
本発明に用いる有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール等のグリコールエーテル溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール等のグリコール溶剤、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t-ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール溶剤など、筆記具用インキとして一般的に用いられる有機溶剤が例示できる。
これらの有機溶剤の中でも、ポリエステルポリオールとの相性により、本発明の効果を発揮しやすいことを考慮すれば、非水溶性有機溶剤を用いて、油性ボールペン用インキ組成物として、溶解安定させることが好ましい。
その中でも、グリコールエーテル溶剤を用いることが好ましい。これは、長期間保存においてもインキ経時が安定しやすいためであり、後述する界面活性剤と併用するとより効果的で、インキ中での安定性を考慮すれば、芳香族グリコールエーテル溶剤を用いることが好ましい。さらに、グリコールエーテル溶剤以外の有機溶剤については、アルコール溶剤を用いることが好ましいが、これは、アルコ-ル溶剤は揮発して、チップ先端での乾燥をしやすく、筆記先端部内(チップ先端部内)をより早く増粘させることで、筆記先端部の間隙からインキ漏れを抑制して、インキ漏れ抑制性能を向上するためで、好ましい。さらに、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコ-ルは、潤滑性を向上する効果もあるため、少なくとも用いる方が好ましい。そのため、グリコールエーテル溶剤とアルコ-ル溶剤を併用することが好ましい。
また、有機溶剤の含有量は、溶解性、筆跡乾燥性、にじみ等を向上することを考慮すると、インキ組成物全量に対し、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。また、アルコ-ル溶剤の含有量は、チップ先端での乾燥性を考慮すれば、全有機溶剤に対し、30%質量%以上、90質量%以下が好ましく、より好ましくは50%質量%以上、90質量%以下である。
(界面活性剤)
本発明においては、界面活性剤を用いることが好ましい。これは、筆記先端部の潤滑性をより向上し、ボールペンの場合は、ボールとボール座との間の潤滑性を向上し、ボール座との間の摩擦を低減して、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制しやすく、ボール座の摩耗抑制をして、書き味を向上しやすいためである。さらに、筆記先端部(チップ先端部)を大気中に放置した状態で、該筆記先端部(チップ先端部)が乾燥したときの書き出し性能を向上しやすくする効果が得られるため、界面活性剤を用いることが好ましい。これは、界面活性剤を用いると、形成される被膜を柔らかくする傾向があり、書き出し性能を改良でき、さらに潤滑性も向上することができる。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸、脂肪酸エステルなどが挙げられる。その中でも、上記効果を考慮すれば、リン酸エステル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸、脂肪酸エステルから選択される1種以上であることが好ましく、より考慮すれば、2種以上用いることが、より好ましい。特に、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも良好に筆記することを考慮すれば、リン酸エステル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを併用することが好ましい。
さらに、リン酸エステル系界面活性剤を用いる場合は、酸価は、160以下(mgKOH/g)とすることが好ましい。これは、リン酸エステル系界面活性剤による潤滑性の向上を発揮しやすくし、印刷された印字上でも良好に筆記しやすいためで、さらにインキ中での安定性や、潤滑性を考慮すれば、酸価は30以上、160以下が好ましく、より考慮すれば、酸価は70以上、120以下(mgKOH/g)が好ましい
なお、酸価については、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いる場合は、アルキル基の炭素数が10以上、20以下であることが好ましい。これは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキル基鎖はポリエステルポリオールが溶剤中で安定した性能を維持させるために適した長さであり、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも良好に筆記しやすいためで、よりアルキル基鎖の長さを考慮すれば、アルキル基の炭素数が12以上、18以下であることが好ましい。さらに、溶剤中で安定した性能を維持させることを考慮すれば、アルキル基がラウリル基、オレイル基、ステアリル基、セチル基であることが好ましく、より考慮すれば、ラウリル基であることが好ましい。
前記界面活性剤については、HLB値が6以上、14以下であることが好ましい。これは、HLB値が14を越えると親水性が強くなりやすいため、油性インキ中での溶解性が劣りやすいため、前記界面活性剤の効果が得られにくく、溶剤中で安定した性能を維持させにくく、本発明の効果に影響しやすいためである。また、HLB値が6未満だと、親油性が強くなり過ぎて、有機溶剤との相溶性に影響が出やすく、インキ経時が安定しにくくなるためである。さらに、前記界面活性剤の効果を考慮すれば、HLB値が12以下にすることが好ましく、HLB値が6以上、12以下であることが好ましく、よりインキ経時性能を考慮すれば、HLB値が7以上、12以下が好ましい。
尚、HLBは、グリフィン法、川上法などから求めることができ、一例としては、一般式として、HLB=7+11.7log(Mw/Mo)、(Mw;親水基の分子量、Mo;親油基の分子量)などから求めることができる。特に、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具においては、キャップ式筆記具とは異なり、常時ペン先が外部に露出した状態であるため、筆記先端部の乾燥時の書き出し性能に影響しやすいため、上記HLB値とした界面活性剤を用いることはより好ましい。
前記界面活性剤としては、具体的には、脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸などが挙げられ、脂肪酸エステルとしては、脂肪酸と1価アルコールとをエステル化反応させた脂肪酸エステルや、多価アルコールなどのアルコールとをエステル化反応させた脂肪酸エステルなどが挙げられ、シリコーン系界面活性剤としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーンなどが挙げられ、フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロ基ブチルスルホン酸塩、パーフルオロ基含有カルボン酸塩、パーフルオロ基含有リン酸エステル、パーフルオロ基含有リン酸エステル型配合物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物などが挙げられ、リン酸エステル系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸トリエステル、アルキルリン酸エステル、アルキルエーテルリン酸エステル或いはその誘導体等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%以上、5.0質量%以下が好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、所望の潤滑性が得られにくく、5.0質量%を越えると、インキ経時が不安定性になりやすいためであり、より考慮すれば、インキ組成物全量に対し、0.3質量%以上、3.0質量%以下が好ましく、より考慮すれば、0.5質量%以上、3.0質量%以下が好ましい。
(有機アミン)
本発明では、リン酸エステル系界面活性剤などの界面活性剤を用いる場合、中和することで、インキ中で溶解安定させ、筆記先端部の潤滑性をより向上し、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制しやすく、ボール座の摩耗抑制をして、書き味、書き出し性能を向上する効果が得られやすいため、好ましい。有機アミンとしては、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のエチレンオキシドを有するアミンや、ラウリルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミンや、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン等のジメチルアルキルアミン等の脂肪族アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン等が挙げられる。これらの中でも、インキ中で溶解安定性を考慮すれば、エチレンオキシドを有するアミンまたはジメチルアルキルアミンが好ましい。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
さらに、前記有機アミンの全アミン価は、ポリエステルポリオール、着色剤、界面活性剤やその他の成分との安定性を考慮すれば、300(mgKOH/g)以下とすることが好ましい。これは、300(mgKOH/g)を超えると、反応性が強いため、上記成分に影響しやすいため、インキ経時安定性に影響しやすく、全アミン価は、200(mgKOH/g)以下が好ましく、より考慮すれば、150(mgKOH/g)以下が好ましい。一方、上記効果を考慮して、全アミン価の下限値は、30(mgKOH/g)以上が好ましい。
なお、全アミン価については、1級、2級、3級アミンの総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する塩酸に当量の水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
前記有機アミンの含有量は、ポリエステルポリオール、着色剤、界面活性剤やその他の成分との安定性を考慮すれば、インキ組成物全量に対し、0.1質量%以上、10質量%以下が好ましく、さらに後に説明する界面活性剤に対する中和を考慮すれば、0.5質量%以上、5質量%以下が好ましい。
また、本発明においては、筆記具用油性インキ組成物は、水を含んでなることが好ましい。これは、水は、インキ粘度を低粘度化しやすく、さらにボールの滑り性を向上しつつ、インキ吐出性を良好として、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上しやすく、点ムラ、泣きボテなどを抑制し筆記性を向上しやすいためである。
前記水の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。これは、上記範囲であると、インキ吐出性を良好として、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上しやすく、点ムラ、泣きボテなどを抑制し筆記性を向上しやすいためで、より考慮すれば、インキ組成物全量に対する水の含有量は、1質量%以上、10質量%以下が好ましく、より考慮すれば、2質量%以上10質量%以下が好ましい。
また、本発明では、インキ粘度調整剤、インキ漏れ抑制を向上、書き味を向上、筆跡カスレ顔料分散性を向上しやすくするために、樹脂を用いても良い。樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、エチレンオキサイド重合体などや、アクリル酸エステル樹脂粒子、アミノ樹脂粒子などの樹脂粒子などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
樹脂の中でも、ケトン樹脂は、筆記先端部の潤滑性を向上し、ボール座の摩耗抑制をして、筆跡カスレの抑制しやすくすることが可能であるため、好ましい。特に、界面活性剤との相性が良く、本発明の特徴である潤滑性を阻害することなく、相乗的に潤滑性を向上することで、より一層ボール座の摩耗を抑制しやすいため好ましい。
ケトン樹脂の中でも、芳香環骨格(フェニル基、アセトフェノン基、ナフタレン基などベンゼン環を有する)やシクロヘキサン骨格(シクロヘキサン基、シクロヘキサノン基などシクロヘキサン環を有する)などの環状構造を有するケトン樹脂を用いることが好ましい。これは、環状構造を有するケトン樹脂によるクッション効果が得られ、潤滑性を向上し、ボール座の摩耗抑制をして、筆跡カスレを抑制しやすいためで、より好ましくは、芳香環を有するケトン樹脂の方が、二重結合構造を多数有するため、より強いクッション効果が得られやすいため、潤滑性には効果的であり、好ましい。
また、樹脂の中でも、ポリビニルブチラール樹脂は、書き味を向上しやすくするため、好ましい。ポリビニルブチラール樹脂を、界面活性剤と併用することで、より高い潤滑効果が得られる潤滑層を形成しやすい。そのため、筆記先端部(ボールとボール座との間)に常に弾力性があるインキ層を形成して、直接接触しづらくするため、書き味を向上しやすい。さらに、前記ポリビニルブチラール樹脂を用いると、形成する被膜によって、インキ漏れをより向上しやすくなるため、好ましく、また、着色剤として顔料を用いる場合は、顔料分散効果も得られるため、ポリビニルブチラール樹脂を用いることが好ましく、油性ボールペンに用いる場合は、効果的である。
ここで、ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)をブチルアルデヒド(BA)と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造である。
また、ポリビニルブチラール樹脂は、水酸基量25mol%以上とすることが好ましい。これは、水酸基量25mol未満のポリビニルブチラール樹脂では、有機溶剤への溶解性が十分でなく、十分な書き味向上効果や、インキ漏れ抑制の効果が得られにくく、さらに、吸湿性による書き出し性能を考慮すると、水酸基量25mol%以上のポリビニルブチラール樹脂を用いることが好ましいためである。また、前記水酸基量30mol%以上のポリビニルブチラール樹脂は、書き味が向上しやすくなるため、好ましい。これは、筆記時において、ボールの回転により摩擦熱が発生することで、チップ先端部のインキが温められて、該インキの温度が高くなるが、前記ポリビニルブチラール樹脂は他の樹脂とは違い、インキ温度が高くなっても、インキ粘度を下がりづらくする性質があり、筆記先端部(ボールとボール座との間)に常に弾力性があるインキ層を形成して、直接接触しづらくするため、書き味を向上しやすいためである。また、前記水酸基量40mol%を越えるポリビニルブチラール樹脂を用いると、吸湿量が多くなりやすく、インキ成分との経時安定性に影響が出やすいため、水酸基量40mol%以下のポリビニルブチラール樹脂が好ましい。そのため、水酸基量30~40mol%のポリビニルブチラール樹脂が好ましく、さらに好ましくは、水酸基量30~36mol%が好ましい。
なお、前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基量(mol%)とは、ブチラール基(mol%)、アセチル基(mol%)、水酸基(mol%)の 全mol量に対して、水酸基(mol%)の含有率を示すものである。
また、その他として、粘度調整剤として、脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油などの擬塑性付与剤を、また、着色剤安定剤、可塑剤、キレート剤などを適宜用いても良い。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
本発明の筆記具用油性インキ組成物のインキ粘度は、特に限定されるものではないが、筆記時のインキ粘度を低くして、インキ消費量を多くして、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上しやすい。このため、20℃、剪断速度24sec-1(筆記時)におけるインキ粘度が7000mPa・s以下が好ましく、より考慮すれば、インキ粘度が6000mPa・s以下が好ましく、より考慮すれば、インキ粘度が5000mPa・s以下が好ましい。一方、筆跡の泣きボテ、にじみ、裏抜け、筆跡乾燥性などの筆記性を考慮すれば、インキ粘度が100mPa・s以上が好ましく、より考慮すれば、200mPa・s以上が好ましく、400mPa・s以上がより好ましい。
(ボールペン)
また、ボールペンの100mあたりのインキ消費量は、20mg以上、100mg以下であることが好ましい。これは、100mあたりのインキ消費量が、上記範囲であると、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上し、濃い筆跡としやすいためである。より考慮すれば、25mg以上、90mg以下であることが好ましく、40mg以上、80mg以下であることが好ましい。
なお、インキ消費量については、20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度70°、筆記荷重200gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、試験サンプル5本を用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義する。
(ボールペンチップ)
ボールペンチップについては、ボールとチップ本体との間の潤滑性を保ち、筆跡カスレの抑制と、ボール座の摩耗抑制をして、書き味を向上すること、ボール抱持室の底壁に、略円弧面状のボール座を設けることが好ましい。
また、本発明で用いるボールペンチップのボール表面の算術平均粗さ(Ra)については、0.1nm以上、12nm以下とすること好ましい。これは、算術平均粗さ(Ra)が上記範囲であると、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上し、濃い筆跡としやすいためである。より考慮すれば、前記算術平均粗さ(Ra)が0.1nm以上、10nm以下が好ましく、より好ましくは、1nm以上、8nm以下である。なお、表面粗さの測定は(セイコーエプソン社製の機種名SPI3800N)で求めることができる。
また、ボールに用いる材料は、特に限定されるものではないが、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボール、ステンレス鋼などの金属ボール、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、シリカ、ジルコニアなどのセラミックスボール、ルビーボールなどが挙げられる。
また、ボ-ルペンチップの材料は、ステンレス鋼、洋白、ブラス(黄銅)、アルミニウム青銅、アルミニウムなどの金属材、ポリカーボネート、ポリアセタール、ABSなどの樹脂材が挙げられるが、ボール座の摩耗、経時安定性を考慮するとステンレス製のチップ本体とすることが好ましい。
また、本発明に用いるボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量が、3μm以上、25μm以下とするのが好ましい。これは、上記範囲であると、、インキ消費量を多くして、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上し、濃い筆跡としやすいためで、より考慮すれば、ボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量がが、3μm以上、22μm以下とするのが好ましく、5μm以上、20μm以下とするのが好ましく、より考慮すれば、7μm以上、18μm以下とするのが好ましい。
(実施例)
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1の筆記具用油性インキ組成物は、有機溶剤に顔料と顔料分散剤を添加し分散機で分散させた後、顔料分散体、染料、有機溶剤、ケトン樹脂、界面活性剤、有機アミン、界面活性剤、樹脂を採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて完全溶解させて筆記具用油性インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りである。
実施例1
着色剤(酸性染料と塩基性染料との造塩染料) 10.0質量%
着色剤(塩基性染料と有機酸との造塩染料) 5.0質量%
顔料分散体(顔料分20%) 15.0質量%
アルコール溶剤(ベンジルアルコール) 26.5質量%
グリコールエーテル溶剤(エチレングリコールモノフェニルエーテル)20.0質量%
ポリエステルポリオール(ダイマー酸系ポリエステルポリオール) 2.0質量%
界面活性剤(リン酸エステル系界面活性剤) 2.0質量%
界面活性剤(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル) 2.0質量%
有機アミン 2.0質量%
ポリビニルブチラール樹脂(水酸基量:36mol%) 5.0質量%
ケトン樹脂(芳香環を有するケトン樹脂) 10.0質量%
曳糸性付与樹脂(ポリビニルピロリドン樹脂) 0.5質量%
実施例2~14
表に示すように、各成分、チップ仕様を変更した以外は、実施例1と同様な手順でインキ配合し、実施例2~14の筆記具用油性インキ組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
尚、20℃の環境下、剪断速度24において、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP-52スピンドルを使用して、実施例1、実施例2、実施例3のインキ粘度を測定したところ、以下のような結果となった。
実施例1:インキ粘度=4500mPa・s、実施例2:インキ粘度=4500mPa・s、 実施例10 :インキ粘度=3700mPa・s
比較例1~2
表に示すように、各成分、チップ仕様を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1~2の筆記具用油性インキ組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
試験および評価
実施例1~14および比較例1~2で作製した筆記具用油性インキ組成物を、インキ収容筒(ポリプロピレン製)の先端に、前記ボールを弾発部材によりチップ先端縁の内壁に押圧したボールペンチップのボール(φ0.7mm)を回転自在に抱時したボールペンチップ(ボールの縦軸方向の移動量:12μm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)2nm))を装着するとともに、インキ収容筒内に、実施例1の筆記具用油性インキ組成物(0.3g)を直に収容してボールペンレフィルを(株)パイロットコーポレーション製の油性ボールペンに配設して、油性ボールペンを作製し筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験および評価を行った。
実施例1、実施例2、実施例10の初期100mあたりのインキ消費量は、油性ボールペンで、らせん筆記試験を行ったところ、それぞれ、45mg/100m、42mg/100m、52mg/100mであった。
筆記性試験:トナーで印字された紙面上を、手書き筆記した時の筆跡を観察した。
◎・・・線トビや筆跡カスレがないもの
○・・・線トビや筆跡カスレが若干あるもの
△・・・線トビや筆跡カスレがあるが、実用上問題ないもの
×・・・線トビや筆跡カスレがひどいもの
耐摩耗試験(ボール座の摩耗試験):荷重100gf、筆記角度70°、4m/minの走行試験機にて筆記試験後のボール座の摩耗を測定した。
◎・・・ボール座の摩耗が5μm未満のもの
○・・・ボール座の摩耗が5μm以上、10μm未満のもの
△・・・ボール座の摩耗が10μm以上、20μm未満であるが、筆記可能であるもの
×・・・ボール座の摩耗がひどく、筆記不良になってしまうのもの
書き味:手書きによる官能試験を行い評価した。
◎・・・非常に滑らかなもの
○・・・滑らかであるもの
△・・・実用上問題ないレベルの滑らかさであるもの
×・・・重いもの
実施例1~14では、筆記性試験、耐摩耗試験(ボール座の摩耗試験)、書き味ともに良好な性能が得られた。実施例1、2と実施例10とで、筆記性試験を比較したところ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含んでいる実施例1、2の方が、筆跡が非常に良好であった。
比較例1~2では、ポリエステルポリオールを用いなかったため、トナーで印字された紙面上を、手書き筆記したところ、線トビや筆跡カスレがひどかった。さらに、耐摩耗試験(ボール座の摩耗試験)において、ボール座の摩耗も劣っていた。
また、本実施例では、インキ収容筒内に筆記具用油性インキ組成物を収容したボールペンレフィルを軸筒内に配設した油性ボールペンを例示したが、本発明の筆記具は、軸筒自体をインキ収容筒とし、軸筒内に、筆記具用油性インキ組成物を直に収容した直詰め式のボールペン、マーキングペン、サインペンとした筆記具であっても良く、インキ収容筒内に筆記具用油性インキ組成物を収容したもの(ボールペンレフィル)をそのままボールペンとして使用した構造であっても良い。
本発明は筆記具用油性インキ組成物として利用でき、さらに詳細としては、該筆記具用油性インキ組成物を充填した、キャップ式、ノック式等の油性ボールペン、マーキングペン、サインペンとして広く利用することができる。

Claims (7)

  1. 着色剤、有機溶剤、ポリエステルポリオールを含んでなることを特徴とする筆記具用油性インキ組成物。
  2. 前記ポリエステルポリオールの水酸基が、120(mgKOH/g)以下であることを特徴とする請求項1に記載の筆記具用油性インキ組成物。
  3. 前記ポリエステルポリオールの含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1~10質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用油性インキ組成物。
  4. 前記筆記具用油性インキ組成物に、界面活性剤を含んでなることを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用油性インキ組成物。
  5. 前記界面活性剤のHLB値が、6以上、14以下であることを特徴とする請求項4に記載の筆記具用油性インキ組成物。
  6. 請求項1に記載の筆記具用油性インキ組成物を収容してなることを特徴とする筆記具。
  7. インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に請求項1に記載の筆記具用油性インキ組成物を収容してなることを特徴とする油性ボールペン。
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