JP2023183702A - 筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具 - Google Patents

筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、トナーなどの印刷インキで形成された印字上において、筆記先端部の潤滑性を向上することで、良好に筆記することが可能で、ボール座の摩耗抑制、書き味を向上する筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることである。【解決手段】着色剤、有機溶剤、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーを含んでなることを特徴とする筆記具用インキ組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具に関するものである。
従来から、インキを用いた筆記具が知られ、扱いが簡便であることから幅広い年齢層に利用されている。これらの筆記具は、着色剤、溶剤、界面活性剤などを含むことによって、紙面に良好に筆記することを可能にしている。(特許文献1)
通常の使用時では、紙面に良好に筆記することは可能であるが、トナーなどの印刷インキで形成された印字上に筆記した際には、筆跡に線トビやカスレが見られ、良好に筆記できなかった。これは、ボールペンの場合、筆記する際にボールが印字上で滑ってしまい、ボールが十分に回転せずに、線トビや筆跡カスレが発生してしまうためであり、改善の余地があった。(特許文献1)
さらに、筆記具は筆記時に筆記先端部と被筆記面との間で筆記抵抗によって、ボールペンやマーキングペン等の書き味に影響を及ぼしやすく、特にボールペンは、先端にステンレス鋼などからなる金属チップと、該金属チップのボール受け座に抱持される超鋼などの金属からなる転写ボールと、からなるボールペンチップをインキ収容筒に装着した構成を有しており、筆記時にボールの回転によって、ボール座に摩耗が発生し、筆跡に線飛び、カスレなどの発生や、書き味が悪くなるという問題があり、改善の余地があった。
さらに、長時間筆記すると、ポリオレフィン樹脂などのようなインキ収容筒を用いていているので、筆記具インキとの親和性が強く、インキ収容筒内をインキが移動する際、インキが内壁に付着しやすく、インキ残量(インキ残量視認性)が分かりづらいという問題があり、改善の余地があった。
こうした問題を解決するため、筆記時に筆記先端部と被筆記面との間で筆記抵抗を抑制するために、潤滑性向上を目的として、様々な潤滑剤を用いた筆記具用インキ組成物が多数提案されている。(特許文献2~5)
特開平8-41406 特開平5-331403号公報 特開2007-176995号公報 特開2013-151594号公報 特開2014-88486号公報
しかし、新たに様々な各種潤滑剤を用いた場合、筆記先端部と被筆記面との間で筆記抵抗をある程度低減することはできるが、十分ではなく、ボール座への負荷によって、ボール座の摩耗による、筆記不良の原因となるため、改良の余地があった(特許文献2~5)。
本発明の目的は、トナーなどの印刷インキで形成された印字上において、筆記先端部の潤滑性を向上することで、良好に筆記することが可能で、ボール座の摩耗抑制、書き味を向上し、インキ残量を視認できる筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることである。
本発明は、上記課題を解決するために
「1.着色剤、有機溶剤、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーを含んでなることを特徴とする筆記具用インキ組成物。
2.前記(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーの含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1~10質量%であることを特徴とする第1項に記載の筆記具用インキ組成物。
3.前記筆記具用インキ組成物に、界面活性剤を含んでなることを特徴とする第1項ないし第2項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
4.前記界面活性剤のHLB値が、6以上、14以下であることを特徴とする第3項に記載の筆記具用インキ組成物。
5.第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とする筆記具。
6.インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とする油性ボールペン。」とする。
本発明は、トナーなどの印刷インキで形成された印字上において、筆記先端部の潤滑性を向上することで、線トビや筆跡カスレを抑制し、良好な筆記性とすることが可能で、さらにボール座の摩耗抑制、書き味を向上し、インキ収容筒内をインキが移動する際、インキ内壁への付着を抑制することで、インキ残量を視認できる(インキ残量視認性)筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることができた。
本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」等は特に断らない限り質量基準である。
本発明の特徴は、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーを含んでなる筆記具用インキ組成物とすることである。これは、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーを含んでなることで、筆記先端部の潤滑性を向上することで、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、良好な筆記性とし、書き味を向上することが可能で、ボールペンの場合は、ボールと、チップ本体のボール座との間の潤滑性を向上し、ボール座間の摩擦を低減して、ボール座の摩耗抑制、書き味をより向上することが可能となる。さらに、ボールペンで用いる場合は効果的に用いることができ、特にトナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制することを考慮すれば、筆記具用油性インキ組成物として用いることが好ましく、油性ボールペンとすることが好ましい。
さらに、インキ収容筒内をインキが移動する際、インキ内壁への付着を抑制することで、インキ残量を視認でき、インキ残量視認性を良好とすることが可能である。そのため、インキ収容筒内に、界面活性剤などを内面に塗布加工する必要もなくなり、生産工程が減り、コスト削減効果が得られる。
((ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマー)
本発明で用いる(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーについては、ジグリセリン、ジリノール酸、ヒドロキシステアリン酸との共重合体であり、筆記先端部の潤滑性を向上し、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、良好な筆記性とし、書き味を向上し、ボールペンの場合は、ボールとボール座との間の潤滑性を向上し、ボール座との間の摩擦を低減して、ボール座の摩耗抑制、書き味をより向上し、インキ残量視認性を良好とするこことが可能となる。
(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーについては、ジグリセリンと、ジリノール酸と、ヒドロキシステアリン酸との共重合体である。
具体的には、高級アルコール社製のリソカスタHSDAがある。
前記(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーの含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%以上が好ましい。これは、0.1質量%以上とすることで、本発明の効果が得られやすく、より考慮すれば、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上が好ましい。また、インキ経時安定性に影響しづらく本発明の効果を得られやすいため、10質量%以下であることが好ましく、より考慮すれば、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることが好ましい。
(溶媒)
本発明で用いる筆記具用インキ組成物に用いられる溶媒としては、水、有機溶剤、および水と有機溶剤との混合溶媒を用いても良い。
有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール等のグリコールエーテル溶剤、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどのβ-アルコキシプロピオンアミド類のアミド溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール等のグリコール溶剤、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t-ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール溶剤など、筆記具用インキとして一般的に用いられる有機溶剤が例示できる。
これらの有機溶剤の中でも、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーとの相性により、本発明の効果を発揮しやすいことを考慮すれば、グリコールエーテル溶剤またはアミド溶剤を用いることが好ましい。これは、筆記先端部の潤滑性をより向上し、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上しやすく、ボールペンの場合は、ボールとボール座との間の潤滑性を向上し、ボール座との間の摩擦を低減して、ボール座の摩耗抑制をして、書き味をより向上しやすいためである。さらに、長期間保存においてもインキ経時が安定することで、本発明の効果を発揮しやすいことを考慮すれば、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、β-アルコキシプロピオンアミド類のアミド溶剤が好ましい。さらに、ボールペンで用いる場合は効果的に用いることができ、特にトナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制することを考慮すれば、筆記具用油性インキ組成物として用いることが好ましく、油性ボールペンとすることが好ましい。
また、アルキレングリコールモノアルキルエーテルのアルキレングリコール部位の炭素数については、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーと安定的に効果を発揮しやすいことを考慮すれば、炭素数は2以上10以下が好ましい。より安定しやすく、前記効果が得られやすいことを考慮すれば、炭素数は3以上8以下であり、さらに5以上6以下が好ましい。
また、アルキレングリコールモノアルキルエーテルのアルキルエーテル部位の炭素数については、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーと安定的に効果を発揮しやすいことを考慮すれば、アルキルエーテル部位が短い方が好ましい。このため、前記炭素数は1以上6以下が好ましく、より安定しやすく、効果が得られやすいことを考慮すれば、1以上4以下であり、さらに1以上2以下が好ましい。
また、アルキレングリコールモノアルキルエーテルについては、溶解度パラメーター(SP値)が、8~13(cal/cm1/2であることが好ましい。これは、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーとの相性により、本発明の効果を発揮しやすいためで、より考慮すれば、溶解度パラメーター(SP値)が、9~12(cal/cm1/2であることが好ましく、さらに、考慮すれば、溶解度パラメーター(SP値)が、10~11(cal/cm1/2であることが好ましい。
本発明でいう溶媒の溶解度パラメーター(SP値)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を用いた。単位は(cal/cm1/2であり、25℃における値を指す。
なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算することができる。
また、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの沸点については、沸点が170℃以上とすることが好ましい。これは、170℃未満だと、アルキレングリコールモノアルキルエーテルが蒸発しやすく、インキ粘度が増加しやすく、トナーなどの印刷インキで形成された印字上で線トビや筆跡カスレを抑制し難く、書き味に影響しやすいためであり、より考慮すれば、220℃以上とすることが好ましい。一方、沸点が300℃を超えると、筆跡の乾燥性に影響を生じやすいため、沸点が300℃以下とすることが好ましく、より考慮すれば、280℃以下とすることが好ましい。
また、有機溶剤の含有量は、溶解性、筆跡乾燥性、にじみ等を向上することを考慮すると、インキ組成物全量に対し、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。また、アルコ-ル溶剤の含有量は、チップ先端での乾燥性を考慮すれば、全有機溶剤に対し、30%質量%以上、90質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以上、90質量%以下である。
水としては、イオン交換水、蒸留水および水道水などの慣用の水を用いることができる。
本発明において、筆記具用インキ組成物は、水を含んでなることが好ましい。これは、水を用いることにより、インキ粘度を低粘度化し、ボールの滑り性を向上しつつ、インキ吐出性を良好として、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上しやすく、点ムラ、泣きボテなどを抑制し、筆記性を向上しやすいためである。特に、ボールペンで用いる場合は効果的に用いることができる。
前記水の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。これは、上記範囲であると、インキ吐出性を良好として、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上しやすく、点ムラ、泣きボテなどを抑制し筆記性を向上しやすいためで、より考慮すれば、インキ組成物全量に対する水の含有量は、1質量%以上、10質量%以下が好ましく、より考慮すれば、2質量%以上10質量%以下が好ましい。
(着色剤)
本発明に用いる筆記具用水性インキ組成物、筆記具用油性インキ組成物に用いられる着色剤は、染料、顔料等、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。染料、顔料を併用しても良い。
油性インキ組成物に用いる染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等として、酸性染料と塩基性染料との造塩染料、有機酸と塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料などの種類が挙げられる。その中でも、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーとの安定性を考慮すれば、造塩染料を用いることが好ましい。
染料としては、バリファーストブラック1802、バリファーストブラック1805、バリファーストブラック1807、バリファーストバイオレット1701、バリファーストバイオレット1704、バリファーストバイオレット1705、バリファーストブルー1601、バリファーストブルー1605、バリファーストブルー1613、バリファーストブルー1621、バリファーストブルー1631、バリファーストレッド1320、バリファーストレッド1355、バリファーストレッド1360、バリファーストイエロー1101、バリファーストイエロー1151、ニグロシンベースEXBP、ニグロシンベースEX、BASE OF BASIC DYES ROB-B、BASE OF BASIC DYES RO6G-B、BASE OF BASIC DYES VPB-B、BASE OF BASIC DYES VB-B、BASE OF BASIC DYES MVB-3(以上、オリヱント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンブラック GMH-スペシャル、アイゼンスピロンバイオレット C-RH、アイゼンスピロンブルー GNH、アイゼンスピロンブルー 2BNH、アイゼンスピロンブルー C-RH、アイゼンスピロンレッド C-GH、アイゼンスピロンレッド C-BH、アイゼンスピロンイエロー C-GNH、アイゼンスピロンイエロー C-2GH、S.P.T.ブルー111、S.P.T.ブルーGLSH-スペシャル、S.P.T.レッド533、S.P.T.オレンジ6、S.B.N.イエロー510、S.B.N.イエロー530、S.R.C-BH(以上、保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
顔料としては、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、メタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。
これらの染料や顔料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
水性インキ組成物に用いる染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料、及び各種造塩タイプ染料等が採用可能である。
(a)直接染料としては、ダイレクトイエロー4、同26、同44、同50、同85、ダイレクトレッド1、同2、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、ダイレクトブルー1、同3、同15、同41、同71、同86、同106、同119、ダイレクトオレンジ6等、(b)酸性染料としては、アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、アシッドオレンジ56、アシッドイエロー3、同7、同17、同19、同23、同42、同49、同61、同92、アシッドレッド8、同9、同14、同18、同51、同52、同73、同87、同92、同94、アシッドブルー1、同7、同9、同22、同62、同90、同103、アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、アシッドバイオレット15、同17等、(c)塩基性染料としては、C.I.ベーシックイエロ-1、同2、同21、同7、同40、C.I.ベーシックオレンジ2、同14、同32、C.I.ベーシックレッド1、同1:1、同2、同9、同14、C.I.ベーシックバイオレット1、同3、同7、同10、同11:1、C.I.ベーシックブル-3、同7、同26、ベーシックグリ-ン4、C.I.ベーシックブラウン12、C.I.ベーシックブラック2、メチルバイオレット、ビクトリアブルーFB、マラカイトグリーン、ローダミンのシリーズ等、(d)その他の染料としては、ディスパーズイエロー82、同121、ディスパーズブルー7などの分散染料などが挙げられる。
また、着色剤としては、顔料を用いることが好ましい、これは、顔料粒子によって、ボールペンの場合はボールとチップ先端の内壁との間の隙間に物理的な障害を起こして、インキ漏れを抑制しやすいためである。また、顔料は、筆跡の堅牢性に優れ、特に耐光性に優れるため、好ましい。
さらに、顔料を用いることで、ボールペンの場合は、ボールとチップ本体の隙間に顔料粒子が入り込むことで、ベアリングのような作用が働きやすく、金属接触を抑制することで、潤滑性を向上し、書き味を向上し、ボール座の摩耗を抑制する効果が得られやすいため、顔料を用いることが好ましい。本発明のように、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーを用いることで、潤滑性を向上する場合、顔料を用いることは、より効果的である。さらに、後述する界面活性剤による潤滑層と、顔料粒子とのベアリング作用による相乗効果によって、潤滑性を保ちやすく、書き味を向上しやすいため、好ましい。
着色剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、5質量%以上、30質量%以下が好ましい。これは、5質量%未満だと、濃い筆跡が得られにくい傾向があり、30質量%を越えると、インキ中での溶解性に影響しやすい傾向があるためで、よりその傾向を考慮すれば、7質量%以上、25質量%以下が好ましく、さらに考慮すれば、10質量%以上、20質量%以下である。
(界面活性剤)
本発明においては、界面活性剤を用いることが好ましい。これは、筆記先端部の潤滑性をより向上し、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上しやすく、ボールペンの場合は、ボールとボール座との間の潤滑性を向上し、ボール座との間の摩擦を低減して、ボール座の摩耗抑制をして、書き味をより向上しやすいためである。
さらに、筆記先端部(チップ先端部)を大気中に放置した状態で、該筆記先端部(チップ先端部)が乾燥したときの書き出し性能を向上しやすくする効果が得られるため、界面活性剤を用いることが好ましい。これは、界面活性剤を用いると、形成される被膜を柔らかくする傾向があり、書き出し性能を改良でき、さらに潤滑性も向上することができる。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸、脂肪酸エステルなどが挙げられる。その中でも、上記効果を考慮すれば、リン酸エステル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸、脂肪酸エステルから選択される1種以上であることが好ましく、より考慮すれば、2種以上用いることが、より好ましい。中でも、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも良好に筆記することを考慮すれば、リン酸エステル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを併用することが好ましい。
特に、ボールペンで用いる場合は効果的に用いることができ、さらにトナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制することを考慮すれば、筆記具用油性インキ組成物として用いることが好ましく、油性ボールペンとすることが好ましい。
さらに、リン酸エステル系界面活性剤を用いる場合は、酸価は、160以下(mgKOH/g)とすることが好ましい。これは、リン酸エステル系界面活性剤による潤滑性の向上を発揮しやすくし、トナーなどの印刷インキで印刷された印字上でも良好に筆記しやすいためで、さらにインキ中での安定性や、潤滑性を考慮すれば、酸価は30以上、160以下が好ましく、より考慮すれば、酸価は70以上、120以下(mgKOH/g)が好ましい
なお、酸価については、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いる場合は、アルキル基の炭素数が10以上、20以下であることが好ましい。これは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキル基鎖は(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーが溶剤中で安定した性能を維持させるために適した長さであり、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも良好に筆記しやすいためで、よりアルキル基鎖の長さを考慮すれば、アルキル基の炭素数が12以上、18以下であることが好ましい。さらに、溶剤中で安定した性能を維持させることを考慮すれば、アルキル基がラウリル基、オレイル基、ステアリル基、セチル基であることが好ましく、より考慮すれば、ラウリル基であることが好ましい。
前記界面活性剤については、HLB値が6以上、14以下であることが好ましい。これは、HLB値が14を越えると親水性が強くなりやすいため、油性インキ中での溶解性が劣りやすいため、前記界面活性剤の効果が得られにくく、溶剤中で安定した性能を維持させにくく、本発明の効果に影響しやすいためである。また、HLB値が6未満だと、親油性が強くなり過ぎて、有機溶剤との相溶性に影響が出やすく、インキ経時が安定しにくくなるためである。さらに、前記界面活性剤の効果を考慮すれば、HLB値が12以下にすることが好ましく、HLB値が6以上、12以下であることが好ましく、よりインキ経時性能を考慮すれば、HLB値が7以上、12以下が好ましい。
尚、HLBは、グリフィン法、川上法などから求めることができ、一例としては、一般式として、HLB=7+11.7log(Mw/Mo)、(Mw;親水基の分子量、Mo;親油基の分子量)などから求めることができる。特に、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具においては、キャップ式筆記具とは異なり、常時ペン先が外部に露出した状態であるため、筆記先端部の乾燥時の書き出し性能に影響しやすいため、上記HLB値とした界面活性剤を用いることはより好ましい。
前記界面活性剤としては、具体的には、脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸などが挙げられ、脂肪酸エステルとしては、脂肪酸と1価アルコールとをエステル化反応させた脂肪酸エステルや、多価アルコールなどのアルコールとをエステル化反応させた脂肪酸エステルなどが挙げられ、シリコーン系界面活性剤としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーンなどが挙げられ、フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロ基含有ブチルスルホン酸塩、パーフルオロ基含有カルボン酸塩、パーフルオロ基含有リン酸エステル、パーフルオロ基含有リン酸エステル型配合物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物などが挙げられ、リン酸エステル系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸トリエステル、アルキルリン酸エステル、アルキルエーテルリン酸エステル、或いはその誘導体等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%以上、5.0質量%以下が好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、所望の潤滑性が得られにくく、5.0質量%を越えると、インキ経時が不安定性になりやすいためであり、より考慮すれば、インキ組成物全量に対し、0.3質量%以上、3.0質量%以下が好ましく、より考慮すれば、0.5質量%以上、3.0質量%以下が好ましい。
(有機アミン)
本発明では、リン酸エステル系界面活性剤などの界面活性剤を用いる場合、中和することで、インキ中で溶解安定させ、筆記先端部の潤滑性をより向上し、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制しやすく、ボール座の摩耗抑制をして、書き味、書き出し性能を向上する効果が得られやすいため、好ましい。有機アミンとしては、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のエチレンオキシドを有するアミンや、ラウリルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミンや、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン等のジメチルアルキルアミン等の脂肪族アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン等が挙げられる。これらの中でも、インキ中で溶解安定性を考慮すれば、エチレンオキシドを有するアミンまたはジメチルアルキルアミンが好ましい。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
さらに、前記有機アミンの全アミン価は、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマー、着色剤、界面活性剤やその他の成分との安定性を考慮すれば、300(mgKOH/g)以下とすることが好ましい。これは、300(mgKOH/g)を超えると、反応性が強いため、上記成分に影響しやすいため、インキ経時安定性に影響しやすく、より考慮すれば全アミン価は、200(mgKOH/g)以下が好ましく、更に考慮すれば、150(mgKOH/g)以下が好ましい。一方、上記効果を考慮して、全アミン価の下限値は、30(mgKOH/g)以上が好ましい。
なお、全アミン価については、1級、2級、3級アミンの総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する塩酸に当量の水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
前記有機アミンのHLB値については、HLB値が5~17であることが好ましい。これは、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマー、着色剤、界面活性剤、樹脂やその他の成分と安定しやすく、本発明の効果が得られやすいためで、より考慮すれば、HLB値が7~17であることが好ましく、さらに、考慮すれば、HLB値が9~16であることが好ましい。
特に、ポリアクリル酸樹脂を用いる場合は、中和安定させ、溶媒との膨潤分散を安定化することで、安定した増粘作用が得られるため好ましい。
前記有機アミンの含有量は、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマー、着色剤、界面活性剤やその他の成分との安定性を考慮すれば、インキ組成物全量に対し、0.1質量%以上、10質量%以下が好ましく、さらに前述した界面活性剤に対する中和を考慮すれば、0.5質量%以上、5質量%以下が好ましい。
また、本発明では、インキ粘度調整剤として、樹脂を用いても良い。樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、エチレンオキサイド重合体などや、アクリル酸エステル樹脂粒子、アミノ樹脂粒子などの樹脂粒子などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
また、本発明では、剪断減粘性付与剤を用いることが好ましい。剪断減粘性付与剤としては、ポリアクリル酸樹脂、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガム、λ-カラギーナン、セルロース誘導体、酸化セルロース、ダイユータンガム等が挙げられるが、これらを含有することで、インキ中で3次元網目構造を形成することで、擬塑性を付与しやすく、書き味、筆記性(筆跡カスレ抑制)の向上に対して効果的であるため、好ましい。その中でも、ポリアクリル酸樹脂を用いた場合は、三次元網目構造を形成しやすく、より密な架橋構造を形成しやすいため好ましく、より考慮すれば、架橋型ポリアクリル酸樹脂が好ましい。ポリアクリル酸樹脂については、増粘剤として用いるものである。ポリアクリル酸樹脂は、アルキレングリコールアルキルエーテル類と親和性があり、膨潤分散することで、擬塑性を有した、安定した増粘作用が得られる。さらに、書き味や筆記性(筆跡のカスレ、泣きボテの抑制)を考慮すれば、架橋型ポリアクリル酸樹脂を用いることが好ましい。さらに、より密な架橋構造を形成することで、擬塑性を付与しやすく、それにより、筆記時のインキ粘度が低くなり、書き味や筆記性(カスレ、泣きボテ抑制)などが向上しやすくなることを考慮すれば、カルボキシビニルポリマーが好ましい。
特に、有機溶剤として、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、β-アルコキシプロピオンアミド類のアミド溶剤を用いると、より立体的な三次元網目構造を形成しやすいため、効果的であり、好ましい。
特に、ボールペンで用いる場合は効果的に用いることができ、さらにトナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制することを考慮すれば、筆記具用油性インキ組成物として用いることが好ましく、油性ボールペンとすることが好ましい。
また、ポリアクリル酸樹脂については、ポリアクリル酸樹脂中のカルボキシル基含有量は、アルキレングリコールアルキルエーテル類と安定した増粘作用を得られることを考慮すれば、40質量%以上80質量%以下であることが好ましい。より考慮すれば、50質量%以上70質量%以下であることが好ましい。特に、アルキレングリコールアルキルエーテル類として、アルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いた場合は、カルボキシル基含有量が、55質量%以上65質量%以下であるポリアクリル酸樹脂を用いると、膨潤分散性に優れており、擬塑性を付与することで、筆記時のインキ粘度を低粘度化し、書き味を向上しやすいため、好ましい。さらに、アルキレングリコールモノメチルエーテルの場合は、より好ましい。
前記ポリアクリル酸樹脂の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%より少ないと、膨潤性が十分ではなく、擬塑性が得られないため、書き味向上が得られづらく、5.0質量%を越えると、インキ中で膨潤分散性が劣りやすいため、インキ組成物全量に対し、0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましい。さらに、より書き味などを考慮すれば0.3質量%以上3.0質量%以下が好ましく、より考慮すれば、0.6質量%以上1.8質量%以下が好ましい。
また、その他として、粘度調整剤として、脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油などの擬塑性付与剤を、また、着色剤、安定剤、可塑剤、キレート剤などを適宜用いても良い。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
本発明の筆記具用インキ組成物のインキ粘度は、特に限定されるものではないが、筆記時のインキ粘度を低くして、インキ消費量を多くして、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上しやすくすることを考慮すれば、20℃、剪断速度24sec-1(筆記時)におけるインキ粘度が7000mPa・s以下が好ましく、より考慮すれば、インキ粘度が6000mPa・s以下が好ましく、より考慮すれば、インキ粘度が5000mPa・s以下が好ましい。一方、筆跡の泣きボテ、にじみ、裏抜け、筆跡乾燥性などの筆記性を考慮すれば、インキ粘度が100mPa・s以上が好ましく、より考慮すれば、200mPa・s以上が好ましく、400mPa・s以上がより好ましい。
また、ポリアクリル酸樹脂を用いる場合は、擬塑性を付与することで、筆記時のインキ粘度を低くして、インキ消費量を多くして、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上しやすくすることを考慮すれば、20℃、剪断速度200sec-1(筆記時)におけるインキ粘度が1500mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより好ましい。より考慮すれば、インキ粘度が900mPa・s以下が好ましい。一方、筆跡の泣きボテ、にじみ、裏抜け、筆跡乾燥性などの筆記性を考慮すれば、インキ粘度が100mPa・s以上が好ましく、より考慮すれば、200mPa・s以上が好ましく、400mPa・s以上がより好ましい。
また、インキ追従性を考慮すれば、20℃、剪断速度0.18sec-1(静止時)におけるインキ粘度が50000mPa・s以下が好ましく、より考慮すれば、30000mPa・s以下が好ましい。一方、インキ漏れ抑制を考慮すれば、インキ粘度が1000mPa・s以上が好ましく、より考慮すれば、2000mPa・s以上が好ましく、3000mPa・s以上がより好ましい。
また、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具においては、インキ漏れ抑制をより考慮する必要があるため、効果的である。
本発明のように、剪断減粘性付与剤を用いる場合は、粘性指数nは、S=αDで示される粘性式中のnを指す。なお、Sは剪断応力(dyn/cm=0.1Pa)、Dは剪断速度(s-1)、αは粘性係数を示す。粘性指数nは、20℃において、TAインスツルメント社製レオメーターAR-G2粘度計(コーンプレート40mm・角度2°)を使用して、インキ粘度を測定して、算出することができる。
粘性指数nについては、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味、泣きボテ、カスレなどの筆記性を考慮すれば、粘性指数n=0.3以上0.8以下とすることが好ましい。書き味、泣きボテ、カスレなどの筆記性のバランスを考慮すれば、粘性指数n=0.35以上0.7以下とすることが好ましく、0.4以上0.7以下とすることが好ましい。特に、ボールペンで用いる場合は効果的に用いることができる。
(ボールペン)
また、ボールペンの100mあたりのインキ消費量は、20mg以上、100mg以下であることが好ましい。これは、100mあたりのインキ消費量が、上記範囲であると、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上し、濃い筆跡としやすいためである。より考慮すれば、25mg以上、90mg以下であることが好ましく、40mg以上、80mg以下であることが好ましい。
なお、インキ消費量については、20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度70°、筆記荷重200gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、試験サンプル5本を用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義する。
(ボールペンチップ)
ボールペンチップについては、ボールとチップ本体との間の潤滑性を保ち、筆跡カスレの抑制と、ボール座の摩耗抑制をして、書き味を向上すること、ボール抱持室の底壁に、略円弧面状のボール座を設けることが好ましい。
また、本発明で用いるボールペンチップのボール表面の算術平均粗さ(Ra)については、0.1nm以上、12nm以下とすること好ましい。これは、算術平均粗さ(Ra)が上記範囲であると、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上し、濃い筆跡としやすいためである。より考慮すれば、前記算術平均粗さ(Ra)が0.1nm以上、10nm以下が好ましく、より好ましくは、1nm以上、8nm以下である。なお、表面粗さの測定は(セイコーエプソン社製の機種名SPI3800N)で求めることができる。
また、ボールに用いる材料は、特に限定されるものではないが、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボール、ステンレス鋼などの金属ボール、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、シリカ、ジルコニアなどのセラミックスボール、ルビーボールなどが挙げられる。
また、ボ-ルペンチップの材料は、ステンレス鋼、洋白、ブラス(黄銅)、アルミニウム青銅、アルミニウムなどの金属材、ポリカーボネート、ポリアセタール、ABSなどの樹脂材が挙げられるが、ボール座の摩耗、経時安定性を考慮するとステンレス製のチップ本体とすることが好ましい。
また、本発明に用いるボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量が、3μm以上、25μm以下とするのが好ましい。これは、上記範囲であると、、インキ消費量を多くして、トナーなどの印刷インキで形成された印字上でも線トビや筆跡カスレを抑制し、書き味を向上し、濃い筆跡としやすいためで、より考慮すれば、ボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量がが、3μm以上、22μm以下とするのが好ましく、5μm以上、20μm以下とするのが好ましく、より考慮すれば、7μm以上、18μm以下とするのが好ましい。
(実施例)
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1の筆記具用油性インキ組成物は、有機溶剤に顔料と顔料分散剤を添加し分散機で分散させた後、顔料分散体、染料、有機溶剤、ケトン樹脂、有機アミン、界面活性剤、樹脂を採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて完全溶解させて筆記具用油性インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りである。
実施例1
着色剤(染料、酸性染料と塩基性染料との造塩染料) 10.0質量%
着色剤(染料、塩基性染料と有機酸との造塩染料) 5.0質量%
顔料分散体(顔料分20%) 15.0質量%
アルコール溶剤(ベンジルアルコール) 28.5質量%
グリコールエーテル溶剤(エチレングリコールモノフェニルエーテル)20.0質量%
(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマー 1.0質量%
界面活性剤(リン酸エステル系界面活性剤) 2.0質量%
界面活性剤(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル) 2.0質量%
有機アミン(HLB値:15.4) 1.0質量%
ポリビニルブチラール樹脂(水酸基量:36mol%) 5.0質量%
ケトン樹脂(芳香環を有するケトン樹脂) 10.0質量%
曳糸性付与樹脂(ポリビニルピロリドン樹脂) 0.5質量%
実施例2~4
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様な手順でインキ配合し、実施例2~4の筆記具用油性インキ組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
実施例5
実施例5の筆記具用油性インキ組成物は、有機溶剤に顔料と顔料分散剤を添加し分散機で分散させた後、着色剤、有機溶剤、界面活性剤、有機アミンを採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて溶解させて、ベースインキを作製した。その後、上記作製したベースインキを加温しながら、ポリアクリル酸樹脂を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合攪拌して、実施例5の筆記具用油性インキ組成物を得た。
実施例6~18
表に示すように、各成分、チップ仕様を変更した以外は、実施例5と同様な手順でインキ配合し、実施例6~18の筆記具用油性インキ組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
尚、実施例1、2のインキ粘度について、20℃の環境下、剪断速度500sec-1において、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP-52スピンドルを使用して、実施例1、2のインキ粘度を測定したところ、いずれもインキ粘度=4500mPa・sであった。
また、実施例5のインキ粘度について、同様に、20℃の環境下、剪断速度0.18sec-1、インキ粘度=10000mPa・s、20℃の環境下、剪断速度200sec-1でインキ粘度=700mPa・s、粘性指数nは、0.58であった。
実施例8のインキ粘度について、同様に、20℃の環境下、剪断速度0.18sec-1、インキ粘度=4500mPa・s、20℃の環境下、剪断速度200sec-1でインキ粘度=550mPa・s、粘性指数nは、0.67であった。
比較例1~2
表に示すように、各成分、チップ仕様を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1の筆記具用油性インキ組成物を得た。また、実施例5と同様の手順で、比較例2の筆記具用油性インキ組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
試験および評価
実施例1~18および比較例1~2で作製した筆記具用油性インキ組成物を、インキ収容筒(ポリプロピレン製)の先端に、前記ボールを弾発部材によりチップ先端縁の内壁に押圧したボールペンチップのボール(φ0.7mm)を回転自在に抱時したボールペンチップを装着するとともに、インキ収容筒内に、実施例1~18および比較例1~2で作製した筆記具用油性インキ組成物(0.3g)を直に収容してボールペンレフィルを(株)パイロットコーポレーション製の油性ボールペンに配設して、油性ボールペンを作製し、筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験および評価を行った。
実施例1、実施例2、実施例5、実施例15の初期100mあたりのインキ消費量は、油性ボールペンで、らせん筆記試験を行ったところ、それぞれ、44mg/100m、40mg/100m、70mg/100m、80mg/100mであった。

筆記性試験1(トナー印字紙面上での筆記試験):トナーで印字された紙面上を、手書き筆記した時の筆跡を観察した。
◎・・・線トビや筆跡カスレがないもの
○・・・線トビや筆跡カスレが若干あるもの
△・・・線トビや筆跡カスレがあるが、実用上問題ないもの
×・・・線トビや筆跡カスレがひどいもの
耐摩耗試験(ボール座の摩耗試験):荷重350gf、筆記角度70°、4m/minの走行試験機にて筆記試験後のボール座の摩耗を測定した。
◎・・・ボール座の摩耗が5μm未満のもの
○・・・ボール座の摩耗が5μm以上、10μm未満のもの
△・・・ボール座の摩耗が10μm以上、20μm未満であるが、筆記可能であるもの
×・・・ボール座の摩耗がひどく、筆記不良になってしまうのもの
書き味:手書きによる官能試験を行い評価した。
◎・・・非常に滑らかなもの
○・・・滑らかであるもの
△・・・実用上問題ないレベルの滑らかさであるもの
×・・・重いもの
筆記性試験2(泣き・ボテ試験):荷重200gf、筆記角度70°、4m/minの走行試験機にて、100m筆記試験後の筆跡を観察した。
◎・・・筆跡に泣き・ボテがない、または少ないもの
○・・・筆跡に泣き・ボテが若干あるが、実用上問題ないレベルのもの
△・・・筆跡に泣き・ボテがあり、実用上に影響があるもの
×・・・筆跡に泣き・ボテが多いもの
実施例1~18では、筆記性試験1(トナー印字紙面上での筆記試験)、耐摩耗試験(ボール座の摩耗試験)、書き味、筆記性試験2(泣き・ボテ試験)ともに良好な性能が得られた。実施例と実施例12とで、筆記性試験1(トナー印字紙面上での筆記試験)を比較したところ、リン酸エステル系界面活性剤を含んでいる実施例5の方が、筆跡が非常に良好であった。
また、実施例1~18において、荷重200gf、筆記角度70°、4m/minの走行試験機にて、インキ終了まで、筆記試験を行ったところ、インキ収容筒のインキ残量を終始確認することができ、インキ残量視認性は良好であった。
比較例1~2では、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーを用いなかったため、筆記性試験1(トナー印字紙面上での筆記試験)では、トナーで印字された紙面上を、手書き筆記したところ、線トビや筆跡カスレがひどかった。さらに、耐摩耗試験(ボール座の摩耗試験)において、ボール座の摩耗も劣っていた。
また、本実施例では、インキ収容筒内に筆記具用油性インキ組成物を収容したボールペンレフィルを軸筒内に配設した油性ボールペンを例示したが、本発明の筆記具は、軸筒自体をインキ収容筒とし、軸筒内に、筆記具用油性インキ組成物を直に収容した直詰め式のボールペン、マーキングペン、サインペンとした筆記具であっても良く、インキ収容筒内に筆記具用油性インキ組成物を収容したもの(ボールペンレフィル)をそのままボールペンとして使用した構造であっても良い。
本発明は筆記具用インキ組成物として利用でき、さらに詳細としては、該筆記具用インキ組成物を充填した、キャップ式、ノック式等の油性ボールペン、マーキングペン、サインペンとして広く利用することができる。

Claims (6)

  1. 着色剤、溶媒、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーを含んでなることを特徴とする筆記具用インキ組成物。
  2. 前記(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマーの含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1~10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の筆記具用インキ組成物。
  3. 前記筆記具用インキ組成物に、さらに界面活性剤を含んでなることを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用インキ組成物。
  4. 前記界面活性剤のHLB値が、6以上、14以下であることを特徴とする請求項3に記載の筆記具用インキ組成物。
  5. 請求項1に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とする筆記具。
  6. インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に請求項1に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とするボールペン
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