JP7096142B2 - 筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具 - Google Patents
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Description
「1.着色剤、有機溶剤、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを含んでなることを特徴とする筆記具用インキ組成物。
2.前記フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が、インキ組成物全量に対して、0.1~10.0質量%であることを特徴とする第1項に記載の筆記具用インキ組成物。
3.前記筆記具用インキ組成物に、界面活性剤を含んでなることを特徴とする第1項または第2項に記載の筆記具用インキ組成物。
4.前記筆記具用インキ組成物に、ポリビニルブチラール樹脂またはケトン樹脂を含んでなることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
5.20℃、剪断速度3.4sec-1におけるインキ粘度が、50000mPa・s以下であることを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
6.第1項~第5項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とする筆記具。
7.インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とするボールペン。
8.第7項に記載のボールペンが油性ボールペンであることを特徴とするボールペン。」とする。
本発明では、インキ漏れをより抑制しやすくするには、筆記具用インキ組成物にフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを含んでなることが重要である。これは、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、インキ中で粘性粒子状に分散していることで、筆記具の筆記先端部の隙間に物理的な障害を起こして、インキの流動を抑えることで、筆記先端部の間隙からインキ漏れ(ボールペンの場合はボールとチップ先端の間隙からのインキ漏れ)を抑制しながら、さらに、筆記先端部の乾燥時に高い付着性を有する被膜を形成することで、筆記先端部の間隙から、よりインキ漏れを抑制することができるためである。特に、ボールペンの場合は、筆記を繰り返すことで、ボールとチップ先端の間隙を生じやすく、インキ漏れの影響が出やすいため、ボールペンでは効果的で、インキ粘度が高く設定する油性ボールペン用インキ組成物では、より効果的である。
また、インキ粘度調整剤として樹脂などを用いると、筆記先端部が乾燥した時に、樹脂被膜を形成することで、インキ漏れを抑制することができるが、硬い樹脂被膜を形成しやすく、前記樹脂による被膜形成に時間がかかることで(乾きが遅い)、チップ内のインキが乾いて、インキ増粘しやすく、書き出し性能が劣りやすく、改良の余地があった。
そこで、さらなるフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの効果としては、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは粘性粒子状に分散しており、筆記先端部が乾燥した時に、形成する被膜が、脆い粒子被膜であり、硬くならないため、書き出し性能も向上することができる。そのため、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを用いることで、筆記先端部の間隙からインキ漏れを抑制するだけではなく、さらに、書き出し性能を向上することを両立することが可能となる。
後述するようなインキ粘度調整剤として、樹脂を用いて、樹脂被膜を形成したとしても、書き出し性能を向上できるため、効果的である。
また、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステル顔料は、顔料分散性を向上する効果も得られるため、より好ましい。
下記化学式(化1)では、nがフルクトオリゴ糖を構成するフルクトース残基の個数を示し、Rがフルクトース残基の水酸基とエステル結合を形成した脂肪酸の残基あるいは水素を示している。フルクトオリゴ糖脂肪酸を構成するフルクトオリゴ糖の重合体がグルコースを含む場合には、R’が下記化学式(化1)に示されるグルコース残基であり、フルクトオリゴ糖の重合体がグルコースを含まない場合には、R’は、Rと同様の脂肪酸の残基あるいは水素を示す。
脂肪酸は、一般式R1COOHで示され、脂肪酸を構成する炭化水素基R1には、直鎖のアルキル基、あるいは、分岐鎖アルキル基およびアルケニル基の少なくとも1つが用いられる。インキ漏れを抑制、書き出し性能を向上することを考慮すれば、前記アルキル基、アルケニル基に含まれる炭素数は、7~17であることが好ましく、より考慮すれば、12~17であることがより好ましく、さらに分岐鎖アルキル基を有することが好ましい。脂肪酸には、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、2-エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、2-ヘキシルデカン酸、イソステアリン酸、および、オレイン酸等の少なくとも1つが用いられる。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの具体例としては、カプリル酸フルクトオリゴ糖、カプリン酸フルクトオリゴ糖、(カプリル/カプリン酸)フルクトオリゴ糖、ラウリン酸フルクトオリゴ糖、2-エチルヘキサン酸フルクトオリゴ糖、イソノナン酸フルクトオリゴ糖、2-ヘキシルデカン酸フルクトオリゴ糖、イソステアリン酸フルクトオリゴ糖、(ラウリン酸/イソノナン酸)フルクトオリゴ糖などが挙げられる。インキ漏れを抑制、書き出し性能の両性能をバランス良く向上することを考慮すれば、2-ヘキシルデカン酸フルクトオリゴ糖(下記化学式(化2))を用いることが好ましい。
本発明に用いる油性インキ組成物、水性インキ組成物に用いる着色剤は、染料、顔料等、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。染料、顔料を併用しても良い。
油性インキとしては、染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等として、酸性染料と塩基性染料との造塩染料、有機酸と塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料などの種類が挙げられる。これらの染料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。染料としては、インキ中の成分との相性による経時安定性を考慮して、少なくとも造塩染料を用いることが好ましく、さらに造塩結合が安定していることで経時安定性を保てることを考慮すれば、塩基性染料と有機酸との造塩染料、酸性染料と塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料を用いることが好ましく、より考慮すれば、塩基性染料と有機酸との造塩染料が好ましい。
染料について、具体的には、バリファーストブラック1802、バリファーストブラック1805、バリファーストブラック1807、バリファーストバイオレット1701、バリファーストバイオレット1704、バリファーストバイオレット1705、バリファーストブルー1601、バリファーストブルー1605、バリファーストブルー1613、バリファーストブルー1621、バリファーストブルー1631、バリファーストレッド1320、バリファーストレッド1355、バリファーストレッド1360、バリファーストイエロー1101、バリファーストイエロー1151、ニグロシンベースEXBP、ニグロシンベースEX、BASE OF BASIC DYES ROB-B、BASE OF BASIC DYES RO6G-B、BASE OF BASIC DYES VPB-B、BASE OF BASIC DYES VB-B、BASE OF BASIC DYES MVB-3(以上、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンブラック GMH-スペシャル、アイゼンスピロンバイオレット C-RH、アイゼンスピロンブルー GNH、アイゼンスピロンブルー 2BNH、アイゼンスピロンブルー C-RH、アイゼンスピロンレッド C-GH、アイゼンスピロンレッド C-BH、アイゼンスピロンイエロー C-GNH、アイゼンスピロンイエロー C-2GH、S.P.T.ブルー111、S.P.T.ブルーGLSH-スペシャル、S.P.T.レッド533、S.P.T.オレンジ6、S.B.N.バイオレット510、S.B.N.イエロー530、S.R.C-BH(以上、保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
染料について、具体的には、このような染料としては、各種のものが市販されており、それらから任意も選択して用いることができる。具体的には、(a)直接染料としては、ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、同85、ダイレクトレッド1、同2、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、ダイレクトブルー1、同3、同15、同41、同71、同86、同106、同119、ダイレクトオレンジ6等、(b)酸性染料としては、アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、アシッドオレンジ56、アシッドイエロー3、同7、同17、同19、同23、同42、同49、同61、同92、アシッドレッド8、同9、同14、同18、同51、同52、同73、同87、同92、同94、アシッドブルー1、同7、同9、同22、同62、同90、同103、アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、アシッドバイオレット15、同17等、(c)塩基性染料としては、C.I.ベーシックイエロ-1、同2、同21、同7、同40、C.I.ベーシックオレンジ2、同14、同32、C.Iベーシックレッド1、同1:1、同2、同9、同14、C.I.ベーシックバイオレット1、同3、同7、同10、同11:1、C.I.ベーシックブル-3、同7、同26、ベーシックグリ-ン4、C.I.ベーシックブラウン12、C.I.ベーシックブラック2、メチルバイオレット、ビクトリアブルーFB、マラカイトグリーン、ローダミンのシリーズ等、(d)その他の染料としては、ディスパーズイエロー82、同121、ディスパーズブルー7などの分散染料などが挙げられる。
本発明に用いる有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール等のグリコールエーテル溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール溶剤、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t-ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール溶剤など、油性インキ組成物、水性インキ組成物として一般的に用いられる有機溶剤が例示できる。
本発明においては、上記潤滑性と、チップ先端部を大気中に放置した状態で、該チップ先端部が乾燥したときの書き出し性能を向上することを考慮すれば、界面活性剤を用いることが好ましい。これは、界面活性剤を用いると、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルによって形成される被膜を脆くする傾向があり、書き出し性能を改良でき、さらに潤滑性も向上することができる。界面活性剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤などが挙げられる。その中でも、上記効果を考慮すれば、脂肪酸、シリコーン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤の中から1種以上を用いることが好ましく、書き出し性能、潤滑性を考慮すれば、リン酸エステル系界面活性剤を用いることが好ましい。特に、ボールペンで用いる場合は、リン酸基が金属吸着などするため好ましい。
さらに、後述するが、ポリビニルブチラールを用いる場合は、ポリビニルブチラールによって形成するインキ層と、上記界面活性剤による潤滑層によって、より潤滑性を向上しやすいため好ましい。
尚、HLBは、グリフィン法、川上法などから求めることができる。特に、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具においては、キャップ式筆記具とは異なり、常時ペン先が外部に露出した状態であるため、筆記先端部の乾燥時の書き出し性能に影響しやすいため、上記HLB値とした界面活性剤を用いることはより好ましい。
本発明では、インキ中でのインキ成分の安定性や、pHを調整することを考慮すれば、アミンを用いることが好ましい。オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のエチレンオキシドを有するアミンや、ラウリルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミンや、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン等のジメチルアルキルアミン等の脂肪族アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられ、その中でも、インキ中での安定性を考慮すれば、エチレンオキシドを有するアミン、ジメチルアルキルアミン、アルカノールアミンが好ましい。特にリン酸エステル系界面活性剤を用いる場合は、中和することで、インキ中で安定することで、書き出し性能や書き味を向上する効果が得られやすいため、好ましい。
また、インキ漏れ抑制をより向上するためには、樹脂をインキ粘度調整剤として、用いることが好ましい、樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などが挙げられるが、その中でも、インキ漏れ抑制効果をより向上しやすくするには、ポリビニルブチラール樹脂またはケトン樹脂を含んでなることが好ましい。
ここで、ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA) をブチルアルデヒド(BA)と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造である。
特に、ボール径を通常よりも大きくして、1.0mm~2.0mmとした場合では、ボールペンチップ本体とボールとの隙間からインキ漏れの影響が出やすいため、ポリビニルブチラール樹脂を用いると効果的であり、本発明で用いるフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルとポリビニルブチラール樹脂を併用するとより効果的であり、特に1.2mm~2.0mmとした場合は、より効果的である。
なお、前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基量(mol%)とは、ブチラール基(mol%)、アセチル基(mol%)、水酸基(mol%)の 全mol量に対して、水酸基(mol%)の含有率を示すものである。
本発明の筆記具用インキ組成物は、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップなどのペン芯またはボールペンチップなどをペン先としたマーキングペンやボールペンなどの筆記具に用いることができる。その中でも、フィルムなど非浸透性の記録媒体に対する筆記性を良好にするには、ペン芯が繊維チップやフェルトチップであることが好ましい。特には、マーキングペンに用いることが好ましい。また、前記ペン芯の気孔率は、50%~80%とすることが好ましい。前記ペン芯の気孔率が上記数値範囲内であれば、前記顔料粒子の目詰まりがなく、適切なインキ吐出量を維持することができる。
また、本発明に用いるボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量は、特に限定されないが、3~50μmとするのが好ましい。これは、3μm未満であると、濃い筆跡や良好な書き味が得られづらくなり、50μmを越えると、インキ漏れ性能、書き出し性能に影響が出やすくなるためで、よりそのことを考慮すれば、5~40μmとするのが好ましい。
また、ボールの直径は、特に限定されないが、ボールの直径が大きいと、ボールペンチップ本体とボールとの隙間からインキ漏れがしやすく、筆記先端部の乾燥時に書き出し性能が劣りやすいため、ボール径を通常よりも大きくして、1.0mm~2.0mmとした場合では、影響が出やすく、特に1.2mm~2.0mmとした場合は顕著で、より効果的である。
実施例1の油性ボールペン用インキ組成物は、有機溶剤に顔料とポリビニルブチラール樹脂(顔料分散剤)を添加し分散機で分散させた後、着色剤として染料および前記顔料分散体、有機溶剤としてベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステル、樹脂としてはポリビニルブチラール樹脂、界面活性剤としてはリン酸エステル系界面活性剤、ポリビニルピロリドンを採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて完全溶解させて油性ボールペン用インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りである。尚、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP-52スピンドルを使用して、実施例1のインキ粘度を測定したところ、20℃の環境下、剪断速度3.4sec-1、インキ粘度=3000mPa・sであった。
着色剤(染料、塩基性染料と有機アミンとの赤色造塩染料) 8.0質量%
着色剤(染料、塩基性染料と有機アミンとの青色造塩染料) 8.0質量%
着色剤(染料、酸性染料とアミンとの造塩染料) 8.0質量%
着色剤(カーボンブラック) 5.0質量%
有機溶剤(ベンジルアルコール) 50.0質量%
有機溶剤(エチレングリコールモノフェニルエーテル) 10.0質量%
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステル(化2) 1.0質量%
界面活性剤(リン酸エステル系界面活性剤) 2.0質量%
ポリビニルブチラール樹脂
(水酸基量:36mol%、平均重合度:300) 7.5質量%
ポリビニルピロリドン樹脂 0.5質量%
表1に示すように、インキ成分を変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2~12の油性ボールペン用インキ組成物を得た。表に、評価結果を示す。
尚、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDV II +Pro CP-52スピンドルを使用して、実施例6のインキ粘度を測定したところ、20℃の環境下、剪断速度3.4sec-1、インキ粘度=500mPa・sであった。
表に示すように、インキ成分とチップ仕様を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1~4の油性ボールペン用インキ組成物を得た。表に、評価結果を示す。
実施例1~12及び比較例1~4で作製した油性ボールペン用インキ組成物を、インキ収容筒の先端に、ボール(φ0.7mm)を回転自在に抱時したボールペンチップ(チップ内にボールを直接チップ先端縁の内壁に押圧したコイルスプリングを有する、ボールの縦軸方向の移動量12μm)を装着するとともに、インキ収容筒内に、実施例1の油性ボールペン用インキ(0.27g)を直に収容してボールペンレフィルを(株)パイロットコーポレーション製の油性ボールペン(商品名:スーパーグリップ)に配設して、油性ボールペンを作製し筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験及び評価を行った。
実施例13の水性ボールペン用インキ組成物は、着色剤として顔料分散体、水、水溶性有機溶剤として多価アルコール、アミンとしてトリエタノールアミン、潤滑剤としてはリン酸エステル系界面活性剤、防錆剤を採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて完全溶解させて、ベースインキを作成した。その後、上記作製したベースインキを加温しながら、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステル、剪断減粘性付与剤を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合攪拌して、実施例1の水性ボールペン用インキ組成物を得た。
尚、実施例13のインキ粘度は、ブルックフィールド社製DV-II粘度計(CPE-42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec-1(回転数0.5rpm)の条件にてインキ粘度を測定したところ、1800mPa・sであった。
顔料分散体(着色樹脂粒子、固形分量34%) 20.0質量部
水 66.0質量部
多価アルコール(グリセリン) 10.0質量部
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステル(化2) 0.5質量部
アミン(トリエタノールアミン) 2.0質量部
潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤) 1.0質量部
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量部
剪断減粘性付与剤(キサンタンガム) 0.4質量部
実施例13のインキ成分からフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを外した以外は、実施例13と同様の手順で、比較例5の水性ボールペン用インキ組成物を得た。
実施例13~15及び比較例5で作製した水性ボールペン用インキ組成物を、インキ収容筒の先端に、ボール(φ0.7mm)を回転自在に抱時したボールペンチップ(チップ内にボールを直接チップ先端縁の内壁に押圧したコイルスプリングを有する、ボールの縦軸方向の移動量30μm)を装着するとともに、インキ収容筒内に、実施例15及び比較例5の水性ボールペン用インキ(1.0g)を直に収容してボールペンレフィルを(株)パイロットコーポレーション製の水性ボールペン(商品名:G-2)に配設して、水性ボールペンを作製し筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験及び評価を行った。
チップ先端のインキ滴がないもの ・・・◎
チップ先端のインキ滴がテーパー部の1/4以内のもの ・・・○
チップ先端のインキ滴がテーパー部の1/4以上、1/2以内のもの ・・・△
チップ先端のインキ滴がテーパー部の1/2以上のもの ・・・×
<筆記条件>筆記荷重200gf、筆記角度70°、筆記速度4m/minの条件で、走行試験機にて直線書きを行い評価した。
筆跡カスレの長さが、15mm未満であるもの ・・・◎
筆跡カスレの長さが、15mm以上、20mm未満であるもの ・・・○
筆跡カスレの長さが、20mm以上、40mm未満であるもの ・・・△
筆跡カスレの長さが、40mm以上であるもの ・・・×
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかであるもの ・・・○
実用上問題ないレベルの滑らかさであるもの ・・・△
重いもの ・・・×
また、実施例1~15の中で、着色剤として顔料を用いたインキを、顕微鏡で見たところ、顔料分散性が良好で、析出物もなく良好であった。
Claims (8)
- 着色剤、有機溶剤、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを含んでなることを特徴とする筆記具用インキ組成物。
- 前記フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が、インキ組成物全量に対して、0.1~10.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の筆記具用インキ組成物。
- 前記筆記具用インキ組成物に、界面活性剤を含んでなることを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用インキ組成物。
- 前記筆記具用インキ組成物に、ポリビニルブチラール樹脂またはケトン樹脂を含んでなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
- 20℃、剪断速度3.4sec-1におけるインキ粘度が、50000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とする筆記具。
- インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に請求項1ないし6のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とするボールペン。
- 請求項7に記載のボールペンが油性ボールペンであることを特徴とするボールペン。
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