JP2012218193A - 水性ボールペン - Google Patents
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Abstract
【課題】水性ボールペンにおいて、従来では解決できなかった、滑らかな筆感を有し、手脂性能と、カーボンブラックの分散性に優れた水性ボールペンを提供する。
【解決手段】インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持した、ボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部に、水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしてなる水性ボールペンであって、前記ボール表面の算術平均粗さが、0.1〜5nmであり、前記水性ボールペン用インキ組成物が、少なくとも、カーボンブラック、水からなり、前記カーボンブラックの吸油量が1〜100g(/100g)であることを特徴とする水性ボールペン。
【選択図】なし
【解決手段】インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持した、ボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部に、水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしてなる水性ボールペンであって、前記ボール表面の算術平均粗さが、0.1〜5nmであり、前記水性ボールペン用インキ組成物が、少なくとも、カーボンブラック、水からなり、前記カーボンブラックの吸油量が1〜100g(/100g)であることを特徴とする水性ボールペン。
【選択図】なし
Description
本発明は水性ボールペンに関し、さらに詳細としては、滑らかな筆感を有し、手脂の付着した筆記面における筆記性能と、カーボンブラックの分散性に優れる水性ボールペンに関するものである。
従来より、水性ボールペン用インキ組成物について、筆感の向上や、筆跡のカスレ、線とびなどが発生しないように、特開2006−282870号公報「ボールペン用水性インキ組成物」、特開平7−62288号公報「水性ボールペン用インキ組成物」等、様々な潤滑剤などを含有する水性ボールペン用インキ組成物が提案されている。
また、筆記性能を向上させるため、特開2002−225481号公報「ボールペン」等では、ボールの表面の算術平均粗さを所定範囲に設定したボールペンチップが開示されている。
特許文献1では、イソプレンスルホン酸−アクリル酸共重合体を含有することで、インキが途切れることなく安定した吐出が行われるため、軽い書き味で筆記することができ、筆跡の線切れやカスレを抑制すること、特許文献2では、ジベンジリデンソルビトールを含有することで、ボールの回転によりインキが容易に流動する事によりスムースに筆記が可能となり、カスレ等の筆記性能を向上することが開示されているが、ある程度滑らかな筆感を得ることはできたが、手脂の付着した筆記面においての筆記性能については、十分満足する性能は得られなかった。
また、特許文献3では、 ボールの表面が任意の50×50μm2における算術平均粗さが18〜25nmで、且つ最大高低差が280〜450nmとしたボールペンチップを用いることで、手脂の付着した筆記面に対して、線切れのないようなボールペンを提供することが開示されているが、十分満足する手脂性能や筆感は得られなかった。
さらに、特許文献1〜3で、カーボンブラック等の顔料系のインキを用いた場合では、染料系の水性ボールペン用インキ組成物と違い、経時的に顔料の凝集やそれに伴う沈降が発生することで、長期保存にて筆跡の濃度変化が発生したり、また、チップ先端部の部分的な増粘でインキの流れが悪化し、筆跡にカスレが発生したり、筆記不能になるといった課題が解決されない問題も抱えていた。
本発明の目的は、上記のような問題を解決するもので、水性ボールペンにおいて、滑らかな筆感を有し、手脂性能と、カーボンブラックの分散性に優れた水性ボールペンを提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために、
「1.インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持した、ボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部に、水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしてなる水性ボールペンであって、前記ボール表面の算術平均粗さが、0.1〜5nmであり、前記水性ボールペン用インキ組成物が、少なくとも、カーボンブラック、水からなり、前記カーボンブラックの吸油量が1〜100g(/100g)であることを特徴とする水性ボールペン。
2.前記カーボンブラックの平均一次粒径が、0.1〜40nmであることを特徴とする第1項に記載の水性ボールペン。
3.前記水性ボールペン用インキ組成物に、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩の中から1種以上を選択し、含有することを特徴とする第1項または第2項に記載の水性ボールペン。
4.前記水性ボールペン用インキ組成物に、パーフルオロアルキルエチレンオシド付加物を有するフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
5.前記水性ボールペン用インキ組成物に、リン酸エステル系界面活性剤および/または脂肪酸塩を含有することを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の水性ボールペン。」である。
「1.インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持した、ボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部に、水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしてなる水性ボールペンであって、前記ボール表面の算術平均粗さが、0.1〜5nmであり、前記水性ボールペン用インキ組成物が、少なくとも、カーボンブラック、水からなり、前記カーボンブラックの吸油量が1〜100g(/100g)であることを特徴とする水性ボールペン。
2.前記カーボンブラックの平均一次粒径が、0.1〜40nmであることを特徴とする第1項に記載の水性ボールペン。
3.前記水性ボールペン用インキ組成物に、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩の中から1種以上を選択し、含有することを特徴とする第1項または第2項に記載の水性ボールペン。
4.前記水性ボールペン用インキ組成物に、パーフルオロアルキルエチレンオシド付加物を有するフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
5.前記水性ボールペン用インキ組成物に、リン酸エステル系界面活性剤および/または脂肪酸塩を含有することを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の水性ボールペン。」である。
本発明は、水性ボールペンにおいて、滑らかな筆感を有し、手脂の付着した筆記面において、筆記しても筆跡に線とび、カスレ等が発生しない手脂性能と、カーボンブラックがインキ中で凝集や沈降せずに、分散性に優れた水性ボールペンを提供することができた。
本発明の特徴としては、水性ボールペンにおいて、ボールペンチップのボール表面の算術平均粗さが、0.1〜5nmであり、水性ボールペン用インキ組成物が、少なくとも、カーボンブラック、水からなり、前記カーボンブラックの吸油量が1〜100gであることを特徴とする。
ボール 表面の算術平均粗さについて、算術平均粗さ(Ra)とは、(式1)で示すように、表面粗さ測定器(セイコーエプソン社製の機種名SPI3800N)により測定された粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値である。
(式1)
(式1)
カーボンブラックの吸油量は、カーボンブラックのストラクチャーを示す特性であり、乾燥された一定量のカーボンブラックがDBP(ジブチルフタレート)を吸収する量をいいJISK6221に規定される試験方法で測定される。
本発明で用いるボール表面の算術平均粗さ(Ra)については、0.1〜5nmとすることで、滑らかな筆感が得られることが分かった。一方、算術平均粗さ(Ra)が、この範囲を越えると、手脂の付着した筆記面においての筆記性能については向上するものの、ボール表面が粗すぎて、ボールとボール座の回転抵抗が大きいため、筆感の劣りがみられる。また、この範囲を下まわると、ボールの表面に十分にインキが載らないため、筆跡にカスレや線とびが発生してしまう。そのため、滑らかな筆感を得て、良好な筆跡をえるためには、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.1〜5nmとすることを必須とする。
また、ボール材は、特に限定されるものではないが、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボールや、炭化珪素、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素などが挙げられる。特に、超硬合金ボールは、低コストであり、さらに、インキがボール表面に載りやすく、手脂の付着した筆記面において筆記時にも有利であるため好ましい。
しかし、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.1〜5nmとする構成とした水性ボールペンでは、筆感は優れるものの手脂の付着した筆記面においての筆記性能については、十分満足する性能は得られなかった。
そのため、上記問題を鑑み、 鋭意検討した結果、本願発明者らは、水性インキ組成物中に、吸油量が1〜100g(/100g)のカーボンブラックを含有することで、手脂性能を良好とすることが解った。前述の通り、吸油量はカーボンブラックのつながりであるストラクチャーをあらわす代替特性であり、吸油量が大きいほどストラクチャーは大きくなる。ストラクチャーが大きくなると、分散性は良好になるが、紙面への浸透性が下がり、特に手脂の付着した紙面に対しては顕著である。一方、ストラクチャーを適度に調整した、吸油量が1〜100g(/100g)のカーボンブラックを含有することで、手脂の付着した紙面に対しても良好に浸透し、更には筆跡のカスレ、線とびを抑制する効果がある。さらに、前記吸油量が1〜100g(/100g)のカーボンブラックのストラクチャーだと、算術平均粗さ(Ra)が0.1〜5nmのボールを用いれば、ボール表面の隙間に、しっかりと載るため、手脂の付着した紙面でも、筆跡が跳ぶことがなく載せることが可能となる。また、より分散安定性を考慮すると、吸油量が、50〜100g(/100g)が好ましく、より手脂性能を考慮すれば、50〜80g(/100g)が最も好ましい。
さらに、カーボンブラックの平均一次粒径は、0.1〜40nmが好ましい。これは、この範囲を越えると、カーボンブラックの沈降が発生しやすい傾向があり、この範囲を下まわると、小さすぎて、製造工程上の粒径管理が難しい傾向があり、実用性に乏しくなる。よりカーボンブラックの分散安定性の向上を考慮すれば、0.1〜30nmが好ましく、さらに、10nm未満だと、粒子間の凝集が強まりやすい傾向があるため、10〜30nmが最も好ましい。なお、平均一次粒径は、カーボンブラックの透過型電子顕微鏡(TEM)写真の二次元形状において、任意の10個のカーボンブラックの長径の平均として求めることができる。
吸油量が1〜100g(/100g)のカーボンブラックとしては、プリンテックス35、プリンテックス45、プリンテックス55、プリンテックス75、プリンテックス90、プリンテックス95(デグサ(株))、#33、MCF88(三菱化成工業(株))等が挙げられる。
また、手脂性能をより向上させるために、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩の中から1種以上の界面活性剤を含有することが好ましい。また前記界面活性剤の中でも、手脂性能をより向上させるために、フッ素系界面活性剤を用いる方が好ましい。これは、前記フッ素系界面活性剤は、最も表面張力を低減することが可能で、濡れ性を向上させる効果があり、インキを広がりやすくし、疎水性表面となっている手脂が付着した筆記面においても、良好な筆跡が得られ易いためである。そのため、前記カーボンブラックと併用することで、より手脂性能を向上させる効果が得られる。
また、 シリコーン系界面活性剤は、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、フッ素変性、ジメチル、メチルフェニルなどのシリコーンオイル等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、パーフルオロ基ブチルスルホン酸塩、パーフルオロ基含有カルボン酸塩、パーフルオロ基含有リン酸エステル、パーフルオロ基含有リン酸エステル型配合物、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロ基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、パーフルオロ基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロ基・親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物等が挙げられる。その中でも、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物を用いる方が好ましい。これは、エチレンオキシド基があると、親水性が強いため、水に対して溶解しやすく、経時安定性が安定する傾向にあるためである。さらに、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物のフッ素系界面活性剤は、手脂が付着した筆記面においても、筆跡に線とび、カスレなどを抑制することが可能なため、好ましく用いることができる。
また、前記界面活性剤について、シリコーン系界面活性剤の具体例としては、KF351、KF-352、KF -353、KF-354、KF-355、KF-615、KF-618、KF−642、KF643、KF945、KF−6004(信越化学工業(株))、FZ−2104、FZ−2110、FZ2163、FZ−2191、FZ−7002、FZ−720、SILWETL−7001、L−7002、Y−7006、L−7604東レ・ダウコーニング(株))、TSF4445(東芝シリコーン(株))が挙げられる。フッ素系界面活性剤の具体例としては、メガファックF−447、F−410、F−444、F−445、F−552、F−553、F−554(DIC(株))、DSN−403N(ダイキン工業(株))、FC−170C、FC−430、ノベックFC−4430、FC−4432(住友スリーエム(株))等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤の具体例としては、ダイノール604、サーフィノール104H、同104A、同104BC、同104DPM、同104PA、同104S、同420、同440、同SE、同SE−F、同61等(エアープロダクツ ジャパン(株)社製)が挙げられる。ジアルキルスルホコハク酸塩具体例としては、ネオコールSW−C、ネオコールYSW−CE、ネオコールYSK(第一工業製薬(株))、ペレックスOT−P、ペレックスTR、ペレックスCS、ペレックスTA(花王(株))、エアロールOB−70(東邦化学工業(株))、エアロゾ−ルMA−80、エアロゾ−ルAY−100(三井サイアナミド(株))、アデカコールEC((株)アデカ)等が挙げられる。これらは、単独または2種以上混合して使用してもよい。
前記界面活性剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.01〜5.0質量%が好ましい。この範囲を下まわると、表面張力を十分に下げる効果が得られにくく、この範囲を越えると、筆跡に滲みが発生したり、インキ経時が不安定となる傾向となるためである。より好ましい筆跡滲みを考慮すれば、0.1〜3.0質量%であり、最も好ましくは0.1〜1.5質量%である。
また、本発明の水性インキ組成物の表面張力は、20℃の環境下において、10〜35mN/mがより好ましい。この範囲を下まわると、筆跡に滲み、紙への裏抜けが発生しやすくなる傾向があり、この範囲を越えると、手脂性能に影響が出やすくなる傾向があるため、表面張力は、10〜35mN/mである方が好ましい。より手脂性能を向上する傾向を考慮すれば、10〜25mN/mが好ましい。
また、本発明のように、より滑らかな筆感を得るようにするために、潤滑剤として、リン酸基、脂肪酸基を有するものを用いると、金属類に対して吸着力があり、ボールやチップ本体などに対して吸着することで、他の種類の潤滑剤よりも、潤滑性があり、さらに、良好な潤滑効果を有するため、リン酸エステル系界面活性剤、および/または、脂肪酸塩を用いる方が好ましい。特に、本発明のようにボール表面の算術平均粗さ(Ra)が0.1〜5nmのボールペンチップ材を用いて、リン酸エステル系界面活性剤および/または脂肪酸塩を併用することで、より筆感を向上できる相乗効果が得られる。
さらに、より潤滑効果を考慮すれば、リン酸エステル系界面活性剤が好ましい。リン酸エステル系界面活性剤の種類としては、スチレン化フェノール系、ノニルフェノール系、ラウリルアルコール系、トリデシルアルコール系、オクチルフェノール系、短鎖アルコール系等が上げられる。この中でも、フェニル骨格を有すると立体障害により潤滑性に影響が出やすいため、リン酸エステル系界面活性剤は、直鎖アルコール系のラウリルアルコール系、トリデシルアルコール系、短鎖アルコール系を用いる方が、好ましい。これらは、単独または2種以上混合して使用してもよい。
また、リン酸エステル系界面活性剤の具体例としては、プライサーフシリーズ(第一工業製薬(株))の中から、プライサーフA212C(トリデシルアルコール系)、同A208B(ラウリルアルコール系)、同A213B(ラウリルアルコール系)、同A208F(短鎖アルコール系)、同A215C(トリデシルアルコール系)、同A219B(ラウリルアルコール系)等が挙げられる。また、脂肪酸塩の具体例としては、OSソープ、NSソープ、FR−14、FR−25(花王(株))等が挙げられる。これ等のリン酸エステル系界面活性剤、脂肪酸塩は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
また、着色剤は、前記カーボンブラック以外にも、他の染料、顔料など、適宜併用して使用することができる。染料については、直接染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料、及び各種造塩タイプ染料等が採用可能である。顔料については、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはアニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ギオキサジン系、アルミ顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、補色顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。含有量は、インキ組成物全量に対し、1〜20質量%が好ましい。
また、分散剤については、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレンーマレイン酸樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の樹脂や、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性剤などの界面活性剤などが挙げられる。これらの分散剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
その他の添加剤として、水分の溶解安定性、水分蒸発乾燥防止するために、エチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類などの水溶性有機溶剤や、着色剤の経時安定性を向上させるためにpH調整剤や、1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン等の防菌剤、尿素、ソルビット等の保湿剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤などを添加することができる。また、樹脂エマルジョンとして、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等や、インキ粘度調整として、架橋型アクリル酸重合体、キサンタンガム等の剪断減粘性付与剤を添加することができる。これらは単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、インキ粘度については、限定されるものではないが、本発明で用いるカーボンブラックの分散安定性や筆記性能の向上を考慮すると、剪断速度1.92sec−1において、1000mPa・s〜3500mPa・sにする方が好ましく、より好ましくは、1200Pa・s〜2500mPa・sである。
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1
カーボンブラック(吸油量:52g(/100g)、平均一次粒径:15nm) 6.0質量部
水溶性有機溶剤(グリセリン) 18.0質量部
水 67.5質量部
フッ素系界面活性剤 0.5質量部
分散剤(スチレン-アクリル樹脂) 3.0質量部
潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤) 1.0質量部
pH調整剤(トリエタノールアミン) 3.0質量部
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量部
防菌剤(1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン) 0.5質量部
剪断減粘性付与剤(キサンタンガム) 0.40質量部
実施例1
カーボンブラック(吸油量:52g(/100g)、平均一次粒径:15nm) 6.0質量部
水溶性有機溶剤(グリセリン) 18.0質量部
水 67.5質量部
フッ素系界面活性剤 0.5質量部
分散剤(スチレン-アクリル樹脂) 3.0質量部
潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤) 1.0質量部
pH調整剤(トリエタノールアミン) 3.0質量部
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量部
防菌剤(1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン) 0.5質量部
剪断減粘性付与剤(キサンタンガム) 0.40質量部
まず、カーボンブラック、水溶性有機溶剤、水、分散剤、pH調整剤を適量採取し、分散機を使用し、充分に分散した後、遠心分離を行い、粗大分を除去して分散体を得る。その後、作製した分散体、水溶性有機溶剤、水、フッ素系界面活性剤、潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、防菌剤をマグネットホットスターラーで加温撹拌等してベースインキを作成した。
その後、上記作製したベースインキを加温しながら、剪断減粘性付与剤を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合攪拌した後、濾紙を用い濾過を行って、実施例1に用いる水性ボールペン用インキ組成物を得た。また、直径が0.7mmで表面の算術平均粗さ(Ra)が4nmである超硬合金ボールを回転自在に抱持したステンレス鋼材からなるボールペンチップをチップホルダーを介して装着し、前記水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内部に直詰めしたレフィルを、(株)パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:G−knock)に装着して、本発明の水性ボールペンを得た。
実施例2〜7
インキ配合とボール 表面の算術平均粗さ(Ra)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2〜7の水性ボールペンを得た。表1にインキ配合、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)および測定、評価結果を示す。
インキ配合とボール 表面の算術平均粗さ(Ra)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2〜7の水性ボールペンを得た。表1にインキ配合、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)および測定、評価結果を示す。
比較例1〜4
インキの配合とボール表面の算術平均粗さ(Ra)を、表2のように変更した以外は、実施例1と同様な手順で比較例1〜4の水性ボールペンを得た。表2にインキ配合、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)および測定、評価結果を示す。
インキの配合とボール表面の算術平均粗さ(Ra)を、表2のように変更した以外は、実施例1と同様な手順で比較例1〜4の水性ボールペンを得た。表2にインキ配合、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)および測定、評価結果を示す。
試験および評価
実施例1〜7及び比較例1〜4で作製した水性ボールペンを用いて、以下の試験および評価を行った。尚、手脂性能試験、筆感の評価は、筆記試験用紙としてJIS P3201 筆記用紙Aを用い、以下のような試験方法で評価を行った。また、手脂性能試験に用いる人工皮脂は、スクワラン3.0重量部、イソプロピルミリステート6.0重量部、オリーブ油12.0重量部、コレステロール0.6重量部、パルミチン酸0.6重量部、オレイン酸3.9重量部、イソステアリン酸3.9重量部、アセトン70.0重量を撹拌混合して人工皮脂を作製したものを用いた。
実施例1〜7及び比較例1〜4で作製した水性ボールペンを用いて、以下の試験および評価を行った。尚、手脂性能試験、筆感の評価は、筆記試験用紙としてJIS P3201 筆記用紙Aを用い、以下のような試験方法で評価を行った。また、手脂性能試験に用いる人工皮脂は、スクワラン3.0重量部、イソプロピルミリステート6.0重量部、オリーブ油12.0重量部、コレステロール0.6重量部、パルミチン酸0.6重量部、オレイン酸3.9重量部、イソステアリン酸3.9重量部、アセトン70.0重量を撹拌混合して人工皮脂を作製したものを用いた。
手脂試験:人工皮脂を付着させた紙面に筆記した筆跡を観察した。
筆跡に線とび、カスレがないもの ・・・◎
筆跡に若干線とび、カスレがあるもの ・・・○
筆跡に線とび、カスレがあるが、実用上問題ないもの ・・・△
筆跡に線とび、カスレがあるがひどく、実用性に乏しいもの ・・・×
筆跡に線とび、カスレがないもの ・・・◎
筆跡に若干線とび、カスレがあるもの ・・・○
筆跡に線とび、カスレがあるが、実用上問題ないもの ・・・△
筆跡に線とび、カスレがあるがひどく、実用性に乏しいもの ・・・×
筆感:手書きによる官能試験を行い評価した。
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかなもの ・・・○
重く、滑りが悪いもの ・・・×
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかなもの ・・・○
重く、滑りが悪いもの ・・・×
カーボンブラック分散試験:各試料を適量採取し、顕微鏡でカーボンブラックの分散状態を観察した。
カーボンブラックが均一分散されていたもの ・・・○
カーボンブラックの沈降が発生したもの ・・・×
カーボンブラックが均一分散されていたもの ・・・○
カーボンブラックの沈降が発生したもの ・・・×
表1の結果より、実施例1〜7では、手脂性能試験、カーボンブラック分散試験、筆感ともに良好もしくは、実用上問題のないレベルの性能が得られた。
表2の結果より、比較例1、2では、カーボンブラックの吸油量が、100g(/100g)を越えるものを用いたため、手脂性能試験において、筆跡に線とび、カスレが発生してしまった。
比較例3、4では、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)が、5nmを越えるものを用いたため、筆感が悪かった。
本発明は水性ボールペンとして利用でき、さらに詳細としては、該水性ボールペン用インキ組成物を充填した、キャップ式、ノック式等の水性ボールペンとして広く利用することができる。
また、インキ消費量については、本発明の水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に直詰めした水性ボールペンとして使用し、筆記用紙として、JIS P3201筆記用紙A上に筆記角度65°、筆記荷重100gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、試験サンプル5本用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義すれば、100mあたりのインキ消費量については、50〜300mg/100mであることが、好ましい。この範囲以下だと、インキ消費量が少ないので、筆跡にカスレが発生しやすく、この範囲を越えると、インキ消費量が多いので、筆跡擦過性に影響を及ぼす可能性もある。より、好ましくは、80〜250mg/100mである。
Claims (5)
- インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持した、ボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部に、水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしてなる水性ボールペンであって、前記ボール表面の算術平均粗さが、0.1〜5nmであり、前記水性ボールペン用インキ組成物が、少なくとも、カーボンブラック、水からなり、前記カーボンブラックの吸油量が1〜100g(/100g)であることを特徴とする水性ボールペン。
- 前記カーボンブラックの平均一次粒径が、0.1〜40nmであることを特徴とする請求項1に記載の水性ボールペン。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物に、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩の中から1種以上を選択し、含有することを特徴とする請求項1または2に記載の水性ボールペン。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物に、パーフルオロアルキルエチレンオシド付加物を有するフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物に、リン酸エステル系界面活性剤および/または脂肪酸塩を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
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JP2019183042A (ja) * | 2018-04-13 | 2019-10-24 | 株式会社サクラクレパス | 水性インク組成物 |
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2011
- 2011-04-05 JP JP2011083282A patent/JP2012218193A/ja not_active Withdrawn
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