JP2018109114A - 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン - Google Patents
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Abstract
Description
こうした課題を解決するため、特許文献1では、1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチルアルコール、nープロピルアルコール、イソプロピルアルコールのうち一つまたは二つ以上を含有してなるインキ組成物が開示され、特許文献2では、ジオクチルスルフォコハク酸塩を含有してなるインキ組成物が開示され、さらに特許文献3では、フッ素系界面活性剤を含有してなるインキ組成物が開示されるなど、水性インキ組成物の表面張力を下げて紙面への浸透性を向上させたインキ組成物が多数提案されている。
「1.水、着色剤、界面活性剤、アルカリ膨潤会合型増粘剤を含んでなる水性ボールペン用インキ組成物であって、前記界面活性剤がアセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、またはシリコーン系界面活性剤であることを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
2.前記アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤が、エチレンオキシド付加モル数が10以下であることを特徴とする第1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
3.前記シリコーン系界面活性剤の重量平均分子量が500〜3000であることを特徴とする第1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
4.前記着色剤が顔料であることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
5.前記水性ボールペン用インキ組成物に有機樹脂粒子を含んでなることを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
6.前記有機樹脂粒子がオレフィン樹脂であることを特徴とする第5項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
7.インキ収容筒の先端部にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物を収容してなることを特徴とする水性ボールペン。」とする。
上記のように、アルカリ膨潤会合型増粘剤と、アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤とを併用することで、特段の筆跡乾燥性の効果が得られ、重要な構成である。
アルカリ膨潤会合型増粘剤については、アルカリ剤の添加によりカルボキシル基が中和・解離されることにより溶解または膨潤が生じて粘度を上昇することができる会合型の樹脂である。前記アルカリ膨潤会合型増粘剤は、前記界面活性剤の効果に加え、筆跡乾燥性を向上する効果が得られる。前記アルカリ膨潤会合型増粘剤は、親水性基を骨格とし、側鎖、または末端などに疎水性基を有するものであり、顔料を用いた場合、前記アルカリ膨潤会合型増粘剤の疎水性基が顔料に吸着することにより、インキ中で顔料と会合型増粘剤の相互構造が形成される。筆記の際には前記アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、またはシリコーン系界面活性剤により、相互構造を形成した顔料と会合型増粘剤は、紙面に速やかに浸透すると共に相互構造は紙繊維と三次元的に一部絡み合った状態で紙面に定着すると推定される。インキ中の各成分が浸透剤および定着剤として働き、耐擦性を向上するため、筆跡乾燥性が向上しやすい。さらに、前記増粘剤は疎水基が顔料に吸着して分散剤としても機能して顔料分散性も向上しやすい。
本発明のインキ組成物は、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤は、エチレンオキシド付加モル数が10以下であることが好ましい。
エチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤とは、エチレンオキシドが付加されたアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤であって、該界面活性剤のエチレンオキシド付加モル数が10以下であるものである。例えば、エチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレングリコール系界面活性剤やエチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレンアルコール系界面活性剤などが挙げられる。
このエチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤は、紙面に対する浸透性を顕著に向上させることができる。このため、前記アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を含んでなるインキ組成物は、紙に素早く浸透することができるようになり、よって、得られる筆跡が完全に乾燥するまでの時間が短縮され、紙面や筆跡自体がこすれて汚れることを防止できる筆跡乾燥性に優れたものとなる。特に、前記アルカリ膨潤会合型増粘剤と、前記エチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤と、を併用することで、より筆跡乾燥性向上の効果が得られるため、効果的である。
筆記後、インキ組成物が紙面に速やかに浸透するためには、筆記後のインキ組成物の表面張力を好適に制御する必要がある。筆記動作に伴う表面張力、いわゆる動的表面張力を瞬時に制御し、紙面への速やかな浸透性を得るためには界面活性剤分子のインキ中での挙動が重要である。動的条件において界面活性剤分子が気液界面に速やかに配列し、瞬時に、しかも効果的に表面張力を制御するためには、特定構造の界面活性剤を用いることで可能となることから、筆跡乾燥性に優れたインキ組成物を得ることができる。
アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤の親水性が高すぎると、インキ組成物への溶解性が高くなりすぎ、気液界面に対する界面活性剤分子の配列が速やかに成され難く、紙面に対する浸透性が向上しにくい傾向にある。逆に、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤の疎水性が高すぎると、インキ組成物への溶解性が低くなりすぎ、紙面への浸透性が向上しにくいだけでなく、分離などによるインキ組成物への安定性が劣る傾向にある。
エチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤は、親水性と疎水性のバランスが保たれることから、該界面活性剤を用いると、活性剤分子は気液界面に適切に配列されるため、インキ組成物の表面張力はコントロールされ、インキ組成物の紙への浸透性が向上する。よって、エチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を含んでなるインキ組成物は、紙面に対する浸透性が向上し、優れた筆跡乾燥性が得られると推測する。
尚、前記アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を含んでなる本発明のインキ組成物は、その他の潤滑剤を含ませることが可能であるが、特には、潤滑剤の中でも、後述するリン酸エステル系界面活性剤と併用することが好ましい。
これは、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤が、エチレンレンオキシドとプロピレンオキシドの二つが付加された場合、疎水性と親水性のバランスがさらに好適に保たれるためである。
前述の通り、アセチレン結合を構造中に有し界面活性剤の効果を得るためには、その親水性と疎水性のバランスが適切に保たれることが好ましい。
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの両方が付加されたアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤は、親水性と疎水性のバランスが、さらに好適に保ちやすくなることから、該界面活性剤を用いると、インキ組成物中で非常に安定でありながら、活性剤分子は気液界面に速やかに配列される。このため、インキ組成物の表面張力は速やかにコントロールされ、インキ組成物の紙への浸透性が速やかに向上しやすい。よって、本発明において、エチレンオキシドとさらにプロピレンオキシドが付加されたアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を用いることにより、筆跡乾燥性はさらに向上し、またインキ経時安定性にも優れたインキ組成物を提供することができるため、好ましい。
特に、上記のように、顔料とアルカリ膨潤会合型増粘剤を用いた場合は、相互構造を形成した顔料とアルカリ膨潤会合型増粘剤と、前記エチレンオキシドとプロピレンオキシドの両方が付加された界面活性剤によって、紙面に速やかに浸透すると共に相互構造は紙繊維と三次元的に一部絡み合った状態で紙面に定着しやすく、筆跡乾燥性を向上しやすい。
また、気液界面への配列性を考慮すれば、エチレンオキシド付加モル数とプロピレンオキシド付加モル数の合計が10以下であることが好ましい。付加モル数が多くなりすぎると、界面活性剤分子が長くなりすぎ、気液界面へ配列時に立体障害を生じやすくなる傾向があるが、付加モル数の合計が10以下であると界面活性剤の疎水性と親水性のバランスを好適に保ち、かつ気液界面への配列時の立体障害の影響も考慮された効果を得られるため特に好ましい。
さらに、筆跡乾燥性の向上や、インキの経時安定性を考慮すると、エチレンオキシド付加モル数が5であり、プロピレンオキシド付加モル数が2である前記アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を用いることが、より好ましい。
さらに、筆跡乾燥性の向上や、インキの経時安定性を考慮すると、エチレンオキシド付加モル数が5であり、プロピレンオキシド付加モル数が2である前記アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を用いることが、より好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤については、構造内のSi骨格、プロピレンオキシドなどの疎水基や、エチレンオキシドなどの親水基とのバランスをとり、好適とすることで、インキ中で安定でありながら、活性剤分子が気液界面に速やかに配列し易くなるため、筆記時にインキの表面張力を速やかにコントロールして浸透性が向上し、筆跡乾燥性とインキ経時安定性を両立する優れたインキを得られやすくなる。前記シリコーン系界面活性剤の中でも、重量平均分子量が500〜3000であることが好ましい。これは前述の界面活性剤が気液界面への配列性に関して、重量平均分子量が3000を越えると、シリコーン系界面活性剤の分子が大きくなりすぎ、気液界面への配列が遅くなる傾向にあるため、筆跡乾燥性が十分でない場合がある。一方、重量平均分子量が3000以下であると、シリコーン系界面活性剤の分子が比較的小さくなることで、活性剤分子の気液界面への配列が速やかに成される傾向があり、筆跡乾燥性を向上しやすい。また、重量平均分子量が500未満であると、所望の筆跡乾燥性が得られにくいためである。上記効果をより考慮すれば、重量平均分子量が500〜3000であることが好ましく、より好ましくは、重量平均分子量が500〜2000であり、さらに考慮すれば、重量平均分子量が1000〜2000であることが好ましい。
特に、前記アルカリ膨潤会合型増粘剤と、前記シリコーン系界面活性剤と、を併用することで、より筆跡乾燥性向上の効果が得られるため、効果的である。
尚、前記アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を含んでなる本発明のインキ組成物は、その他の潤滑剤を含ませることが可能であるが、特には、潤滑剤の中でも、後述するリン酸エステル系界面活性剤と併用することが好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤については、具体的には、シルフェイスシリーズ(日信化学工業(株)社製)、BYKシリーズ(ビックケミー(株)社製)、Silsoft Spreadシリーズ、Coatosilシリーズ(いずれもモメンティブパフォマンスマテリアルズ(株)社製)などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
本発明で用いる着色剤は、特に限定されないが、水性ボールペン用インキ組成物に用いられる顔料、染料などを使用することができる。
本発明においては、これらの着色剤の中でも、耐水性、耐光性に優れ、良好な発色を得ることを考慮すると、顔料を用いることが好ましい。
染料はインキ中で溶解状態にあることに対し、顔料はインキ中で不溶状態で分散しているため、特に、顔料の方が染料よりも、紙面への浸透性が劣りやすく、筆跡乾燥性を向上させにくい。しかし、本発明では、前記界面活性剤を用いることで、顔料を用いた場合でも好適に用いられるため、好ましい。また、耐水性、耐光性に優れ、良好な発色を得ること、さらに顔料の不溶性によるインキ漏れ抑制効果を考慮すると、顔料を用いることが好ましい。
また、顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定機(商品名「MicrotracHRA9320−X100」、日機装株式会社)を用いてレーザー回折法で測定される粒度分布の体積累積50%時の粒子径(D50)により測定することができる。
カーボンブラック10質量%の水分散体のpH値とは、カーボンブラックの濃度が10質量%の時のカーボンブラック水分散体を測定した値を用いる。
前記カーボンブラック10質量%の水分散体は、カーボンブラックを水中に攪拌などしながら分散することや、市販のカーボンブラック水分散体を希釈するなどして、調整することができる。
水としては、特に制限はなく、例えば、イオン交換水、限外ろ過水または蒸留水などを用いることができる。
アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤または、シリコーン系界面活性剤を用いることで、該インキ組成物の紙面に対する濡れ性が向上されるため、紙への浸透性が向上し、良好な筆跡乾燥性と良好な書き味を得ることができる。一方でボールやボールペンチップとの濡れ性が高まり、ボールとボールペンチップ先端の内壁との隙間より、インキが漏れ出してしまう可能性を有する。特に、本発明のインキ組成物を出没式ボールペンのようなペン先が露出され、常時キャップオフ状態となり得るボールペンに用いた場合には、インキ漏れが起こり得る可能性は非常に高い。このインキ漏れの課題に対し、インキ組成物のインキ粘度を高めるなどして防止することが考えられるが、この場合、得られる筆跡が完全に乾燥するまでの時間が増え、筆跡乾燥性能が劣り、さらには、インキ消費量が減少して、書き味が劣る傾向となる。
しかし、有機樹脂粒子により、前述のようなペン先からのインキ漏れの課題を効果的に抑制することができると同時に、優れた筆跡乾燥性と良好な筆跡も得られる。よって、本発明においては、有機樹脂粒子を用いることは、特に好ましい。前記有機樹脂粒子は、ボールとボールペンチップ先端の内壁との間の隙間に物理的な障害を起こして、インキ漏れを抑制することができるが、前記有機樹脂粒子は、無機粒子と比較して硬度が低く、粒子同士が一部変形などして、お互い密着するため、微弱な凝集構造を形成することから、そのインキ漏れ抑制効果は、高いものである。
さらに、前記有機樹脂粒子は、上述のようにインキ漏れを抑制するだけでなく、ボールとボール座との間に入り込み、直接接触しづらくすることができるため、ボールの回転抵抗を緩和してボール座の摩耗を抑制し、書き味を向上させることができる。
また、最近では、出没式ボールペンのようなキャップオフ状態のボールペンの場合、ボールペンチップを突出させた状態で陳列ケースに戻された場合には、試し書き等をしたボールペンを、同陳列ケースに戻すことを繰り返すうちに、最初に戻したボールペンの上に、何本ものボールペンが積まれることがある。その結果、積まれた複数のボールペンの重みによるインキ漏れを抑制することを想定して、よりインキ漏れ抑制効果が格段に高い、オレフィン系樹脂粒子を用いることが好ましい。
これは、デキストリンを用いることで、ペン先のインキが乾燥する際、皮膜を形成することから、ボールとチップ先端の内壁との間の隙間からのインキ漏れを抑制したり、ペン先のドライアップ性能を向上したりする効果が得られやすいためである。特に、本発明においては、前記有機樹脂粒子とデキストリンと併用することは、インキ漏れ抑制において、より効果的である。
本発明のインキ組成物は、インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有した水性ボールペンに好適に用いることができる。
そこで、本発明者は、さらに鋭意検討した結果、ボールペンチップの仕様とインキ消費量の関係を、ボールペンの100mあたりのインキ消費量をA(mg)、前記ボール径をB(mm)とした場合、110≦A/B≦600とすることにより、筆跡乾燥性に優れ、発色良好な筆跡得られ、さらに滑らかな書き味が得られることがわかった。また、ボテを抑制することで、紙面への余剰インキを抑えて、筆跡乾燥性を向上することを考慮すれば、120≦A/B≦500とすることが好ましく、さらに、より上記効果を、考慮すれば、150≦A/B≦450となることが好ましい。
尚、ボールペンの100mあたりのインキ消費量とは、100mの筆記線を筆記するのに用いたインキの使用量であり、25℃、筆記用紙JIS P3201、筆記角度65°、筆記荷重100gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、25分間、試験サンプル5本を用いて、らせん筆記試験を行い、そのときに用いたインキの使用量(減少量)の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義する。
ボール径については、特に限定されないが、0.1〜2.0mm程度のボールを用いる。
また、前記アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、またはシリコーン系界面活性剤を含んでなるインキ組成物は、表面の算術平均粗さ(Ra)が上記数値範囲内であるボールの表面上にのりやすく、さらに均一にインキがのるため、紙面に対して適正量のインキ組成物を転写することが可能である。よって、発色性を十分に保ちながらも、必要以上のインキ組成物が紙面に転写されにくいことから、筆跡乾燥性が向上する。
さらに、筆跡乾燥性と滑らかな良好な書き味を得ることを考慮すると、前記ボールの表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.5〜3nmとすることが好ましい。
尚上記算術平均粗さ(Ra)は、表面粗さ測定器(セイコーエプソン社製、機種名SPI3800N)により測定することができ、測定された粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値である。
ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量(クリアランス)とは、ボールがボールペンチップ本体の縦軸方向への移動可能な距離を示す。
本発明によるインキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
実施例1
顔料分散体(カーボンブラック、カーボンブラック10質量%の水分散体のpH値9、1次平均粒子径17nm)) 20.0質量部
水 64.1質量部
多価アルコール(エチレングリコール:SP値14) 10.0質量部
アセチレングリコール系界面活性剤(HLB値8、エチレンオキシド(EO)付加モル数:2、プロピレンオキシド(PO)付加モル数:2) 0.3質量部
有機樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%) 0.5質量部
デキストリン(重量平均分子量:100000) 1.0質量部
pH調整剤(トリエタノールアミン) 2.0質量部
潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤) 1.0質量部
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量部
剪断減粘性付与剤(アルカリ膨潤会合型増粘剤) 0.6質量部
尚、実施例1のインキ粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(CPE−42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec−1(回転数0.5rpm)の条件にてインキ粘度を測定したところ、530mPa・sであった。
また、実施例1のpH値は、IM−40S型pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、20℃にて測定したところ、pH値=8.7であった。
実施例1〜19及び比較例1〜4で作製した水性ボールペン用インキ組成物を、インキ収容筒の先端にボールを回転自在に抱持したボールペンチップ(ボール径:0.7mm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):1nm)をチップホルダーに介して具備したインキ収容筒内(ポリプロピレン製)に充填したレフィル(1.0g)を(株)パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:G−2)に装着して、以下の試験および評価を行った。尚、ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量(クリアランス)を表のような仕様とした。筆跡乾燥性能試験、書き味の評価は、筆記試験用紙としてJIS P3201 筆記用紙Aを用い、以下のような試験方法で評価を行った。
また、実施例1の水性ボールペン用インキ組成物を用いて水性ボールペンとして、らせん筆記試験を行い、100mあたりのボールペンのインキ消費量をA(mg)、前記ボール径をB(mm)とした場合、A=200(mg)、ボール径をB=0.7(mm)となり、A/B=286であった。
紙面上に筆記後、経過時間毎に筆跡をティッシュペーパーで擦過させ、その筆跡の状態を下記基準に従って、筆跡乾燥性能を評価した。
筆記2秒未満で、筆跡が乾燥したもの ・・・◎◎
筆記2秒以上、5秒未満で、筆跡が乾燥したもの ・・・◎
筆記5秒以上、10秒未満秒で、筆跡が乾燥したもの ・・・○
筆記10秒以上、20秒未満秒で、筆跡が乾燥したもの ・・・△
筆記20秒越えても、筆跡が乾燥しなかったもの ・・・×
インキ漏れ量が5mg未満であるもの ・・・◎
インキ漏れ量が5〜15mgであるもの ・・・○
インキ漏れ量が15mgを越えて、30mg未満のもの ・・・△
インキ漏れ量が30mg以上のもの ・・・×
極めて滑らかな書き味であった ・・・◎
滑らかな書き味であった ・・・○
やや重い書き味を感じたが、実用上問題のないレベルであった ・・・△
重く、滑りが悪い書き味であった ・・・×
Claims (7)
- 水、着色剤、界面活性剤、アルカリ膨潤会合型増粘剤を含んでなる水性ボールペン用インキ組成物であって、前記界面活性剤がアセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、またはシリコーン系界面活性剤であることを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤が、エチレンオキシド付加モル数が10以下であることを特徴とする請求項1に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記シリコーン系界面活性剤の重量平均分子量が500〜3000であることを特徴とする請求項1に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記着色剤が顔料であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物に有機樹脂粒子を含んでなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記有機樹脂粒子がオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- インキ収容筒の先端部にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物を収容してなることを特徴とする水性ボールペン。
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