JP6537839B2 - 水性ボールペン - Google Patents
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「1.インキ収容筒の先端部にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒内に少なくとも水、着色剤、有機樹脂粒子、増粘剤からなる水性ボールペン用インキ組成物を収容してなる水性ボールペンであって、ボールペンチップのボールの軸方向への移動量が15μm以上であり、かつ、前記有機樹脂粒子が水素結合性官能基を有する有機樹脂粒子、または、オレフィン系樹脂粒子であり、前記増粘剤が会合型増粘剤であることを特徴とする水性ボールペン。
2.前記有機樹脂粒子の水素結合性官能基が、アミノ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基の中から1種以上を有することを特徴とする第1項に記載の水性ボールペン。
3.前記有機樹脂粒子がアミノ基及び/またはイミノ基を有する含窒素樹脂粒子であることを特徴とする第1項または第2項に記載の水性ボールペン。
4.前記有機樹脂粒子が架橋構造を有することを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
5.前記会合型増粘剤がアルカリ膨潤増粘剤であることを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
6.前記水性ボールペン用インキ組成物のインキ粘度が、20℃、剪断速度1.92sec−1において、100〜1000mPa・s以下であることを特徴とする第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の水性ボールペン。 」とする。
7.前記水性ボールペン用インキ組成物にデキストリンを含有することを特徴とする第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
8.前記インキ収容筒の内径が2.3mm以下とすることを特徴とする第1項ないし第7項のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
9.第1項ないし第8項のいずれか1項に記載の水性ボールペンを軸筒内に摺動自在に配設し、前記ボールペンチップのチップ先端部を前記軸筒先端部から出没可能とした出没式の水性ボールペンであることを特徴とする水性ボールペン。」とする。
そこで、会合性増粘剤と着色剤および平均粒子径が15μm以下である有機樹脂粒子を併用して用いることで、会合性増粘剤の疎水性基が着色剤(顔料)および前記有機樹脂粒子に吸着し、更に他方の疎水性基が他の着色剤(顔料)および有機樹脂粒子又は疎水性基と吸着することにより、微弱な架橋構造を形成するとともに、前記有機樹脂粒子同士で形成していた凝集構造とが相互に絡み合うことで、三次元構造を形成し、高いインキ漏れ抑制効果を呈すると推測する。さらに、前述のように、前記ボールとチップ先端の内壁との間の隙間に物理的な障害を起こすことでも、インキ漏れを抑制することが可能となる効果も得られる。
そのため、凝集構造と架橋構造とが相互に絡み合うことで形成する三次元構造と、前記有機樹脂粒子の物理的な障害による効果によって、上記のような陳列ケースなどで発生するボールペンの重みによってチップ先端に負荷がかかる場合で発生する、ひどいインキ漏れを抑制することが可能となると推測する。
そのため、会合型増粘剤、着色剤(顔料)、有機樹脂粒子の3種を併用して用いることにより、3種間で巨視的な会合体構造を形成することにより、インキ漏れを抑制する効果だけではなく、着色剤(顔料)や有機樹脂粒子の分散安定効果、インキ増粘効果、インキ経時安定効果を得ることが可能となり、効果的である。
また、顔料粒子の平均粒子径は、レーザー回折法(MICROTRAC9320-X100 Honeywell製)による体積基準法によって求められる。
実施例1
顔料分散体(カーボンブラック:平均粒子径0.07μm、固形分量25%)
20.0質量部
水 57.9質量部
水素結合性官能基を有する有機樹脂粒子(エポスターS6:平均粒子径0.6μm)
1.0質量部
多価アルコール(エチレングリコール) 15.0質量部
デキストリン(重量平均分子量:100000) 1.0質量部
尿素 1.0質量部
pH調整剤(トリエタノールアミン) 2.0質量部
潤滑剤(リン酸エステル系界面活性剤) 1.0質量部
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量部
会合型増粘剤(アルカリ膨潤増粘剤:酢酸ビニル、メチルメタクリレート、メタクリル酸の共重合体) 0.6質量部
尚、実施例1のインキ粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(CPE−42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec−1(回転数0.5rpm)の条件にてインキ粘度を測定したところ、740mPa・sであった。
また、実施例1のpHは、IM−40S型 pHメーターを用いて、20℃にて測定したところ、pH=8.5であった。
インキ配合を表に示すように変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2〜21の水性ボールペン用インキ組成物を得た。表に、インキ配合および評価結果を示す。
インキ配合を表に示すように変更した以外は、実施例1と同様な手順で比較例1〜11の水性ボールペン用インキ組成物を得た。表に、インキ配合および評価結果を示す。
実施例1〜21及び比較例1〜11で作製した水性ボールペン用インキ組成物を、インキ収容筒の先端にボール径が0.7mmのボールを回転自在に抱持し、コイルスプリングなどの弾発部材を具備したボールペンチップ(ボールペンチップのボールの軸方向の移動量30μm)をチップホルダーに介して具備したインキ収容筒内(ポリプロピレン製、内径2.1mm)に充填したレフィル(1.0g)を(株)パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:フリクションボールスリム038)に装着して、以下の試験および評価を行った。
耐摩耗試験(ボール座の摩耗抑制)、書き味の評価は、筆記試験用紙としてJIS P3201 筆記用紙Aを用い、以下のような試験方法で評価を行った。
インキ漏れ量が10mg未満であるもの ・・・◎
インキ漏れ量が10〜20mgであるもの ・・・○
インキ漏れ量が20mgを越えて、50mg未満のもの ・・・△
インキ漏れ量が50mg以上のもの ・・・×
ボール座の摩耗が10μm未満のもの ・・・◎
ボール座の摩耗が10〜20μmのもの ・・・○
ボール座の摩耗が20〜30μmを越えるもの ・・・△
ボール座の摩耗が30μmを越えるもの ・・・×
濃く鮮明な筆跡であるもの ・・・◎
濃い筆跡であるもの ・・・○
実用上問題ない濃さの筆跡であるもの ・・・△
薄い筆跡のもの ・・・×
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかであるもの ・・・○
実用上問題ないレベルの滑らかさであるもの ・・・△
重いもの ・・・×
初期と同等レベルで、筆跡が良好であるもの ・・・◎
初期と比べると、筆跡に若干カスレが出るが、問題ないもの ・・・○
初期と比べると、筆跡にカスレが出るが、実用上問題ないレベルのもの ・・・△
初期と比べると、筆跡にカスレがひどかった、又は顔料分散の崩れがひどく、筆記不良になるもの ・・・×
詳細には、比較例2〜5においては、増粘剤としてガム型増粘剤、高分子型増粘剤を用いたため、同程度の粘度でも増粘剤と着色剤および有機微粒子との相互作用が発現せず、インキの漏れ抑制効果が劣り、経時安定性試験において顔料沈降が発生した。
Claims (9)
- インキ収容筒の先端部にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒内に少なくとも水、着色剤、有機樹脂粒子、増粘剤からなる水性ボールペン用インキ組成物を収容してなる水性ボールペンであって、ボールペンチップのボールの軸方向への移動量が15〜50μmであり、かつ、前記有機樹脂粒子がアミノ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基の中から1種以上を有する有機樹脂粒子、または、オレフィン系樹脂粒子であり、該有機樹脂粒子の含有量について、インキ組成物全量に対し、0.1〜5.0質量%であり、前記増粘剤が会合型増粘剤であり、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、及びメタクリル酸の3種の単量体から構成されることを特徴とする水性ボールペン。
- 前記有機樹脂粒子がアミノ基及び/またはイミノ基を有する含窒素樹脂粒子であることを特徴とする請求項1に記載の水性ボールペン。
- 前記有機樹脂粒子が架橋構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の水性ボールペン。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物にリン酸エステル系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物のpH値が、20℃において、8〜10であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物のインキ粘度が、20℃、剪断速度1.92sec−1において、100〜1000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物にデキストリンを含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
- 前記インキ収容筒の内径が2.3mm以下とすることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水性ボールペンを軸筒内に摺動自在に配設し、前記ボールペンチップのチップ先端部を前記軸筒先端部から出没可能とした出没式の水性ボールペンであることを特徴とする水性ボールペン。
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