JP5956247B2 - 水性ボールペン - Google Patents

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Description

本発明は水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペンに関し、さらに詳細には、濃い筆跡で、手脂の付着した筆記面における筆記性能と、滑らかな筆感を有する水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペンに関するものである。
従来より、水性ボールペン用インキ組成物について、筆跡の線とび、カスレなどが発生しないように、特開2006−282870号公報「ボールペン用水性インキ組成物
特開平7−62288 号公報「水性ボールペン用インキ組成物」等、様々な潤滑剤などを含有する水性ボールペン用インキ組成物や、着色剤として比表面積600m
2/g以上の導電性カーボンブラックを含有する特開2005−120314号公報「筆記具用水性インキ組成物と筆記具」が提案されている。
また、筆記性能を向上させるため、特開2002−225481 号公報「ボールペン」等では、ボールの表面の算術平均粗さを所定範囲に設定したボールペンチップが開示されている。
「特開2006−282870号公報」 「特開平7−62288号公報」 「特開2005−120314号公報」 「特開2002−225481号公報」
特許文献1は、イソプレンスルホン酸−アクリル酸共重合体を含有することで、インキが途切れることなく安定した吐出が行われるため、軽い書き味で筆記し、筆跡の線切れやカスレを抑制することができ、特許文献2では、ジベンジリデンソルビトールを含有することで、ボールの回転によりインキが容易に流動する事によりスムースに筆記が可能となり、カスレ等の筆記性能を向上することができ、特許文献3では、比表面積600m
2/g以上の導電性カーボンブラックを含有することで、顔料沈降安定性の向上についてある程度はできたが、筆跡の濃さや、手脂の付着した筆記面に対する筆記性能については、十分満足する性能は得られなかった。
また、特許文献4では、ボールの表面が任意の50×50μm2における算術平均粗さが18nm〜25nmで、且つ最大高低差が280nm〜450nmとしたボールペンチップを用いることで、手脂の付着した筆記面に対して、線切れのないようなボールペンを提供することが開示されているが、それだけでは十分満足する手脂性能や筆感は得られなかった。
本発明の目的は、上記のような問題を解決するもので、水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペンにおいて、濃い筆跡で、手脂性能に優れ、滑らかな筆感を有する水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペンを提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために、
「1.インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持した、ボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部に、少なくとも水、カーボンブラック、界面活性剤とからなる水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしてなる水性ボールペンであって、前記カーボンブラックの吸油量が101g以上(/100g)であり前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩の中から1種以上を選択し、前記水性ボールペン用インキ組成物のインキ粘度が、剪断速度1.92sec −1 において、1000mPa・s〜3500mPa・sで、pH値が7〜10であり、かつ、筆記角度65°、筆記荷重100gの条件において、100mあたりのインキ消費量が、50〜300mg/100mであることを特徴とする水性ボールペン。
2.前記水性ボールペン用インキ組成物に、直鎖アルコール系のリン酸エステル系界面活性剤を含有することを特徴とする第1項に記載の水性ボールペン
3.前記界面活性剤が、パーフルオロアルキルエチレンオシド付加物を有するフッ素系界面活性剤であることを特徴とする第1項または第2項に記載の水性ボールペン。
4.前記カーボンブラックが、塩基性カーボンブラックであることを特徴とする第1項ないし第3項に記載のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
5.前記水性ボールペン用インキ組成物の20℃における表面張力が、10〜25mN/mであることを特徴とする第1項ないし第4項に記載のいずれか1項に水性ボールペン。
6.前記ボール表面の算術平均粗さが、0.1〜5nmであることを特徴とする第1項ないし第5項に記載の水性ボールペン。 」とする。

本発明は、水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペンにおいて、濃い鮮明な筆跡で、手脂の付着した筆記面において、筆記しても筆跡に線とび、カスレが発生しない手脂性能と、滑らかな筆感を有する優れた水性ボールペン用インキ組成物と水性ボールペンを得ることができる優れた効果を奏するものである。
本発明の特徴としては、水性ボールペン用インキ組成物に、吸油量が101g(/100g)以上のカーボンブラックと、特定の界面活性剤を併用することを特徴とする。
カーボンブラックの吸油量は、カーボンブラックのストラクチャーを示す特性であり、乾燥された一定量のカーボンブラックがDBP(ジブチルフタレート)を吸収する量をいいJISK6221に規定される試験方法で測定される。
本発明において、吸油量が101g以上のカーボンブラックを含有することで、濃い鮮明な筆跡が得られることが解った。前述の通り、吸油量はカーボンブラックのつながりであるストラクチャーをあらわす代替特性であり、吸油量が大きいほどストラクチャーは大きくなる。吸油量が101g以上のカーボンブラックは、ストラクチャーが大きいため、紙面への浸透を抑制し、カーボンブラック自体が、紙面上に残ることで、濃い鮮明な筆跡が得られる。そのため、吸油量が101g(/100g)以上のカーボンブラックを用いることを必須とする。
しかし、前記カーボンブラックを用いることで、濃い鮮明な筆跡が得られる一方で、特に手脂の付着した紙面に対しては、ストラクチャーが大きいため、紙面へ浸透しづらく、筆跡に線とび、カスレが発生してしまう。そこで、上記問題を鑑み、鋭意検討した結果、本願発明者は、吸油量が101 g(/100g)以上のカーボンブラックを用いる場合には、水性インキ組成物中に、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩の中から1種以上の界面活性剤を併用することで、手脂の付着した紙面に対しても良好に浸透し、筆跡に線とび、カスレを抑制する効果が得られることが解った。さらに、同時に、紙に対する浸透性が向上することで、カーボンブラック自体が、紙面上に残り、より濃い鮮明な筆跡が得られる相乗効果も得られる。そのため、本発明では、特定のカーボンブラックと前記界面活性剤を併用することを必須とする。
また、カーボンブラックの吸油量については、101〜200g(/100g)がより好ましい。吸油量が200g(/100g)を越えると、カーボンブラックの沈降が発生しやすい傾向があるためであり、また、より濃い筆跡にすることを考慮すれば、吸油量が、120〜200g(/100g)がさらに好ましく、最も好ましくは、150〜200g(/100g)である。
特に、前記カーボンブラックの中でも、インキ中での分散性を考慮すれば、塩基性カーボンブラックを用いる方が好ましい。ここで、塩基性カーボンブラックとは、カーボンブラック粒子をpH7のイオン交換水に分散し、pHメーターにて25℃のpHを測定したpH値が7以上を塩基性カーボンブラックと定義する。より分散性を考慮すれば、pH値が7〜10の塩基性カーボンブラックが最も好ましい。
本発明に用いられるカーボンブラックの含有量は、インキ組成物全量に対し、1〜15質量%が好ましい。この範囲より少ないと、所望の筆跡濃度が得られにくく、この範囲を越えると、カーボンブラックの分散安定性に影響が出やすいためである。より濃い鮮明な筆跡とカーボンブラックの分散安定性を考慮すれば、3〜10質量%が好ましい。
吸油量が101g(/100g)以上のカーボンブラックとしては、プリンテックス60、プリンテックス70(デグサ(株))、#3203B(三菱化学工業(株))等が挙げられる。
また、本発明に用いられる界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩から選ばれる1種以上の界面活性剤であるが、その中でも、手脂性能をより向上させ、より濃い筆跡を得る観点から、フッ素系界面活性剤を用いるのが好ましい。これは、前記フッ素系界面活性剤は、最も表面張力を低減することが可能で、濡れ性を向上させる効果があり、インキを広がりやすくし、疎水性表面となっている手脂が付着した筆記面においても、良好な筆跡が得られやすく、同時に、紙への浸透性も向上しやすいため、濃い筆跡が得られやすいからである。
また、シリコーン系界面活性剤は、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、フッ素変性、ジメチル、メチルフェニルなどのシリコーンオイル等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、パーフルオロ基ブチルスルホン酸塩、パーフルオロ基含有カルボン酸塩、パーフルオロ基含有リン酸エステル、パーフルオロ基含有リン酸エステル型配合物、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロ基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、パーフルオロ基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロ基・親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物等が挙げられる。その中でも、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物を用いるのが好ましい。これは、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物のフッ素系界面活性剤は、手脂が付着した筆記面においても、筆跡に線とび、カスレをより抑制し易く、より濃い筆跡になり易くすることが可能なため、好ましく用いることができる。さらに、エチレンオキシド基があると、親水性が強くなるため、水に対して溶解しやすく、経時安定性が安定する傾向にあることも挙げられる。
また、前記界面活性剤について、シリコーン系界面活性剤の具体例としては、KF351、KF-352、KF-353、KF-354、KF-355、KF-615、KF-618、KF−642、KF-643、KF-945、KF-6004(信越化学工業(株))、FZ−2104、FZ−2110、FZ2163、FZ−2191、FZ−7002、FZ−720、SILWETL−7001、L−7002、Y−7006、L−7604(東レ・ダウコーニング (株))、TSF4445(東芝シリコーン(株))が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤の具体例としては、ダイノール604、サーフィノール104H、同104A、同104BC、同104DPM、同104PA、同104S、同420、同440、同SE、同SE−F、同61等(エアープロダクツ ジャパン(株)社製)が挙げられる。フッ素系界面活性剤の具体例としては、メガファックF−447、F−410、F−444、F−445、F−552、F−553、F−554(DIC(株))、DSN−403N(ダイキン工業(株))、FC−170C、FC−430、ノベック FC−4430、FC−4432(住友スリーエム(株))等が挙げられる。ジアルキルスルホコハク酸塩具体例としては、ネオコールSW−C、ネオコールYSW−CE、ネオコールYSK(第一工業製薬(株))、ペレックスOT−P、ペレックスTR、ペレックスCS、ペレックスTA(花王(株))、エアロールOB−70(東邦化学工業(株))、エアロゾ−ルMA−80、エアロゾ−ルAY−100(三井サイアナミド(株))、アデカコールEC((株)アデカ)等が挙げられる。これらは、単独または2種以上混合して使用してもよい。
前記界面活性剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.01〜5.0質量%が好ましい。この範囲より少ないと、表面張力を十分に下げることができにくく、この範囲を越えると、筆跡に滲みが発生したり、インキ経時が不安定となりやすいため、0.01〜5.0質量%が好ましい。より好ましい筆跡滲みを考慮すれば、0.1〜3.0質量%であり、最も好ましくは0.1〜1.0質量%である。
また、本発明の水性ボールペン用インキ組成物には別途分散剤を用いることもできる。分散剤については、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレンーマレイン酸樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の樹脂や、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性剤などの界面活性剤などが挙げられる。その中でも、アクリル樹脂を用いると、筆記乾燥後の筆跡膜に艶があり、より濃い筆跡になる傾向があるため好ましい。
また、本発明の水性インキ組成物の表面張力は、20℃の環境下において、10〜30mN/mがより好ましい。この範囲より低いと、筆跡に滲み、紙への裏抜けが発生しやすくなる傾向があり、この範囲を超えると、手脂性能に影響が出やすくなる傾向があるため、表面張力は、10〜30mN/mである方が好ましい。より手脂性能を向上する傾向を考慮すれば、10〜25mN/mが好ましく、最も好ましくは、15〜20mN/mである。特に、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物のフッ素系界面活性剤は、少量添加することで表面張力を低減しやすいため、最も好ましい。
また、より滑らかな筆感を得て、筆跡に線とび、カスレのない良好な筆跡を得るためには、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.1〜5nmとするとより好ましい。これは、算術平均粗さ(Ra)が、この範囲を越えると、ボール表面が粗すぎて、ボールとボール座の回転抵抗が大きくなりやすいため、筆感が劣りやすく、筆跡に線とび、カスレが発生しやすい傾向があり、この範囲を下まわると、ボールの表面に十分にインキが乗らないため、筆跡に線とび、カスレが発生する傾向が強くなる。そのため、滑らかな筆感と良好な筆跡を得るためには、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.1〜5nmとすることが好ましく、より滑らかな筆感とすることを考慮すれば、0.1〜4nmである。
ボール 表面の算術平均粗さについて、算術平均粗さ(Ra)とは、(式1)で示すように、表面粗さ測定器(セイコーエプソン社製の機種名SPI3800N)により測定された粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値である。
(式1)
Figure 0005956247
また、ボール材は、特に限定されるものではないが、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボールや、炭化珪素、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素などが挙げられる。特に、超硬合金ボールは、低コストであり、さらに、インキがボール表面に載りやすく、手脂の付着した筆記面において筆記時にも有利であるため好ましい。
また、より滑らかな筆感を得るようにするために、潤滑剤として、リン酸基、脂肪酸基を有するものを用いると、金属類に対して吸着力があり、ボールやチップ本体などに対して吸着することで、他の種類の潤滑剤よりも、潤滑性があり、さらに、良好な潤滑効果を有するため、リン酸エステル系界面活性剤、および/または、脂肪酸塩を用いる方が好ましい。特に、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)が0.1〜5nmのボールペンチップ材を用いて、リン酸エステル系界面活性剤および/または脂肪酸塩を併用することで、より筆感を向上できる相乗効果が得られる。
さらに、より潤滑効果を考慮すれば、リン酸エステル系界面活性剤が好ましい。リン酸エステル系界面活性剤の種類としては、スチレン化フェノール系、ノニルフェノール系、ラウリルアルコール系、トリデシルアルコール系、オクチルフェノール系、短鎖アルコール系等が上げられる。この中でも、フェニル骨格を有すると立体障害により潤滑性に影響が出やすいため、リン酸エステル系界面活性剤は、直鎖アルコール系のラウリルアルコール系、トリデシルアルコール系、短鎖アルコール系を用いる方が、好ましい。これらは、単独または2種以上混合して使用してもよい。
さらに、ボール径が0.4mm以下のボールを用いたボールペンは、ボールとボール座の接触面積が小さく、単位面積に掛かる荷重が高くなることによる筆感の劣化やボール座の摩耗が進行しやすいので、前記潤滑剤を用いると、その効果は顕著である。
また、着色剤は、前記カーボンブラック以外にも、他の染料、顔料など、適宜併用して使用することができる。染料については、直接染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料、及び各種造塩タイプ染料等が採用可能である。顔料については、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはアニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ギオキサジン系、アルミ顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、補色顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独または2種以上組み合わせて使用してもかまわない。含有量は、インキ組成物全量に対し、1〜20質量%が好ましい。
本発明の水性ボールペン用インキ組成物には水溶性溶剤を用いることもできる。水溶性溶剤としては、水分の溶解安定性、水分蒸発乾燥防止等を考慮し、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3―メトキシブタノール、3―メトキシー3―メチルブタノール等のグリコールエーテル類など、水性ボールペン用インキとして一般的に用いられる溶剤が例示でき、これらを1種又は2種以上用いることができる。溶剤の含有量は、着色剤の溶解性、筆跡乾燥性、にじみ等を考慮すると、インキ組成物全量に対し、5.0〜50.0質量%が好ましい。
その他の添加剤として、着色剤の経時安定性やさらに潤滑性を向上させるためにpH調整剤や、脂肪酸等の潤滑剤、1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン等の防菌剤、尿素、ソルビット等の保湿剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤などを添加することができる。また、樹脂エマルジョンとして、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等や、インキ粘度調整として、架橋型アクリル酸重合体、キサンタンガム等の剪断減粘性付与剤等を添加することができる。これらは単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、インキ粘度については、限定されるものではないが、本発明で用いるカーボンブラックの分散安定性や筆記性能の向上を考慮すると、剪断速度1.92sec−1において、1000mPa・s〜3500mPa・sにする方が好ましく、より好ましくは、1200Pa・s〜2500mPa・sである。
特に、本発明の水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしたインキ収容筒の先端部に、チップ本体のボール抱持室にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して具備したボールペンレフィルを、軸筒内に摺動自在に配設し、前記ボールペンチップを前記軸筒の先端開口部から出没可能としたことを特徴とするノック式水性ボールペンや回転繰り出し式水性ボールペン等においては、インキ垂れ下がりが問題になるため、インキ粘度を上記粘度範囲にする方が好ましい。
また、ボールペンチップ先端縁の内壁に、コイルスプリングを配設することによって、インキ垂れ下がりの抑制効果が向上するため、より好ましい。
本発明の水性ボールペン用インキ組成物のpHは、インキ経時安定性を考慮して、pH値が7〜10が好ましい。特に、顔料として、塩基性カーボンブラックを用いる場合、pH値が7〜10が好ましい。これは、pH値7以上であると、塩基性カーボンブラックの分散性を向上するためで、pH値が10を超えると、インキ経時安定性や、色調に影響が出やすい傾向があるためである。さらに、よりインキ経時安定性を考慮すれば、pH値が7〜9が好ましい。
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1
カーボンブラック(吸油量:170g(/100g)、一次粒径:30nm)6.0質量部
水溶性有機溶剤(グリセリン) 18.0質量部
水 68.0質量部
フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオシド付加物を有するフッ素系界面活性剤) 1.0質量部
分散剤(アクリル樹脂) 3.0質量部
pH調整剤(トリエタノールアミン) 3.0質量部
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量部
防菌剤(1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン) 0.5質量部
剪断減粘性付与剤(キサンタンガム) 0.40質量部
まず、カーボンブラック、水溶性有機溶剤、水、分散剤、pH調整剤を適量採取し、分散機を使用し、充分に分散した後、遠心分離を行い、粗粒分を除去して分散体を得る。その後、作製した分散体、水溶性有機溶剤、水、フッ素系界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防菌剤をマグネットホットスターラーで加温撹拌等してベースインキを作成した。
その後、上記作製したベースインキを加温しながら、剪断減粘性付与剤を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合攪拌した後、濾紙を用い濾過を行って、実施例1に用いる水性ボールペン用インキ組成物を得た。また、直径が0.7
mmで表面の算術平均粗さ(Ra)が4nmである超硬合金ボールを回転自在に抱持したステンレス鋼材からなるボールペンチップをチップホルダーを介して装着し、前記水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内部に直詰めしたレフィルを、(株)パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:G−knock)に装着して、本発明の水性ボールペンを得た。また、表面張力を、20℃の環境下において、協和界面科学株式会社製の表面張力計測器を用い、ガラスプレートを用いて、垂直平板法によって測定したところ、18mN/mであった。また、pH測定は東亜ディーケーケー社製IM−40S型pHメーターを用いて、20℃にて測定したところ、pH値は8であった。
実施例2〜8
インキ配合とボール表面の算術平均粗さ(Ra)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2〜8の水性ボールペンを得た。表1にインキ配合、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)および測定、評価結果を示す。
Figure 0005956247
比較例1〜5
インキの配合とボール 表面の算術平均粗さ(Ra)を、表2のように変更した以外は、実施例1と同様な手順で比較例1〜5の水性ボールペンを得た。表2にインキ配合、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)および測定、評価結果を示す。
Figure 0005956247
試験および評価
実施例1〜8及び比較例1〜5で作製した水性ボールペンを用いて、以下の試験および評価を行った。尚、手脂性能試験、筆跡の濃さ、筆感の評価は、筆記試験用紙としてJIS P3201 筆記用紙Aを用い、以下のような試験方法で評価を行った。また、手脂性能試験に用いる人工皮脂は、スクワラン3.0重量部、イソプロピルミリステート6.0重量部、オリーブ油12.0重量部、コレステロール0.6重量部、パルミチン酸0.6重量部、オレイン酸3.9重量部、イソステアリン酸3.9重量部、アセトン70.0重量を撹拌混合して人工皮脂を作製したものを用いた。
筆跡の濃さ:手書きによる筆記した筆跡を観察した。
濃く鮮明な筆跡であるもの ・・・◎
濃い筆跡であるもの ・・・○
実用上問題ない濃さの筆跡であるもの ・・・△
薄い筆跡のもの ・・・×
手脂試験:人工皮脂を付着させた 紙面に筆記した筆跡を観察した。
筆跡に線とび、カスレがないもの ・・・◎
筆跡に線とび、カスレが、若干あるもの ・・・○
筆跡に線とび、カスレがあるが、実用上問題ないもの ・・・△
筆跡に線とび、カスレがあるがひどく、実用性に乏しいもの ・・・×
筆感:手書きによる官能試験を行い評価した。
滑らかなもの ・・・◎
実用上問題ない滑らかさのもの ・・・○
重く、滑りが悪いもの ・・・×
表1の結果より、実施例1〜8では、手脂性能試験、筆跡の濃さ 、筆感ともに良好もしくは、実用上問題のないレベルの性能が得られた。
表2の結果より、比較例1〜3では、界面活性剤として、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩ものを使用していないため、手脂性能試験において、筆跡に線とび、カスレが発生してしまった。
比較例4、5では、カーボンブラックの吸油量が100g以下(/100g)を用いたため、筆跡の濃さが、やや劣ってしまった。
また、インキ消費量については、本発明の水性ボールペン用インキ組成物をインキ収容筒内に直詰めした水性ボールペンとして使用し、筆記用紙として、JIS P3201筆記用紙A上に筆記角度65°、筆記荷重100gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、試験サンプル5本用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義すれば、100mあたりのインキ消費量については、50〜300mg/100mであることが、好ましい。この範囲以下だと、インキ消費量が少ないので、筆跡にカスレが発生しやすく、この範囲を越えると、インキ消費量が多いので、筆跡擦過性に影響を及ぼす可能性もある。より、好ましくは、80〜250mg/100mである。
本発明は水性ボールペン用インキ組成物として利用でき、さらに詳細には、該水性ボールペン用インキ組成物を充填した、キャップ式、ノック式等の水性ボールペンとして広く利用することができる。

Claims (6)

  1. インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持した、ボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部に、少なくとも水、カーボンブラック、界面活性剤とからなる水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしてなる水性ボールペンであって、前記カーボンブラックの吸油量が101g以上(/100g)であり前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩の中から1種以上を選択し、前記水性ボールペン用インキ組成物のインキ粘度が、剪断速度1.92sec −1 において、1000mPa・s〜3500mPa・sで、pH値が7〜10であり、かつ、筆記角度65°、筆記荷重100gの条件において、100mあたりのインキ消費量が、50〜300mg/100mであることを特徴とする水性ボールペン。
  2. 前記水性ボールペン用インキ組成物に、直鎖アルコール系のリン酸エステル系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の水性ボールペン
  3. 前記界面活性剤が、パーフルオロアルキルエチレンオシド付加物を有するフッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性ボールペン。
  4. 前記カーボンブラックが、塩基性カーボンブラックであることを特徴とする請求項1ないしに記載のいずれか1項に記載の水性ボールペン。
  5. 前記水性ボールペン用インキ組成物の20℃における表面張力が、10〜25mN/mであることを特徴とする請求項1ないしに記載のいずれか1項に水性ボールペン。
  6. 前記ボール表面の算術平均粗さが、0.1〜5nmであることを特徴とする請求項1ないし5に記載の水性ボールペン。
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