JP5651290B2 - 消去性インキ組成物 - Google Patents
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Description
前記着色剤は、平均粒子径が2μm以上であり、インキ成分全量に対して10〜20重量%含まれ、
前記造膜樹脂は、水性樹脂エマルションであり、インキ成分全量に対して固形分が0.1〜10重量%含まれ、前記水性樹脂エマルションに用いられる樹脂粒子の平均粒子径2μm以下で、かつガラス転移温度が25〜45℃であり、
前記水溶性有機溶剤が、インキ成分全量に対して5〜20重量%含まれる
ことを最も主要な特徴とする。
また特に平均粒子径が2μm以上の大粒径の顔料と、500mPa・s、好ましくは2,000mPa・s以上の高粘度の場合、造膜樹脂である水性樹脂エマルションの量は固形分で0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%と多く必要とする場合がある。
着色剤の種類としては、公知のインキ等で用いられているものを採用することができる。例えば、酸化チタン、アニリンブラック、カーボンブラック、群青、コバルトブルー、酸化クロム、べんがら、黒鉛等の無機顔料、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントバイオレット19等の有機顔料が使用できる。
本発明では、更に無色樹脂粒子を配合することが好ましい。無色樹脂粒子は、紙に筆記した際に、着色剤よりも先に紙の繊維間に入り込むことで、着色剤が繊維間に浸入することを抑制し、消去性インキ組成物を用いた筆記具の消去性を向上させることができる。本発明にいう無色樹脂粒子とは、着色されていない透明又は半透明の樹脂粒子を示しているが、その粒子の形状は、特に制限されず、球状、多角形状、扁平状、繊維状等のいずれであっても良いが、前記着色剤と同様、本発明では球状、即ち無色樹脂球が好ましく、特に真球に近いほど好ましい。
造膜樹脂は、乾燥して、インキ組成物自体を造膜させる効果を有する。造膜樹脂を含有する消去性インキ組成物を用いたボールペンやマーカーで筆記した後、その筆記跡が乾燥すると、該筆記跡が塗膜状態になり、消しゴムで消した際に前記塗膜が剥がれ落ちるため、インキ組成物に消去材擦過による消去性を付与することができる。
本発明の消去性インキ組成物においては、キャップオフ性能確保のため、一般的に配合される程度の量において、水溶性有機溶剤を含有させる。本発明において、造膜樹脂の適正化によって、キャップオフ性能を確保する試みは、水溶性有機溶剤の過剰配合による弊害を防止するためであって、そのような弊害の生じない範囲においては、水溶性有機溶剤の配合によって、キャップオフ性能をある程度まで確保しておくことが求められるからである。
本発明の消去性インキ組成物は、更に水溶性樹脂を含有させる。水溶性樹脂は、水性インキ組成物に適用する場合、インキの粘度調整を図るほか、前記着色剤、前記造膜樹脂ないし前記無色樹脂粒子の沈降防止及び分散安定化を図る役割を果たす。なかでも本発明で用いる着色剤には、平均粒子径が比較的大きい粒子の集合体を用いるので、本発明の消去性インキ組成物の成分として水溶性樹脂を配合することで、沈降防止効果を発揮させる。
その他必要に応じて、界面活性剤(アニオン・ノニオン系)、防腐防黴剤、防錆剤、水等の慣用の添加剤を添加することができる。
本発明の消去性インキ組成物は水性であり、溶媒としては水を用いる。溶媒としての水は、一般的に水性インキ組成物に用いられているものと同様、イオン交換水など清浄な水を用いることが好ましい。
本発明の消去性インキ組成物の好ましい調製方法は、下記の通りである。ただし本発明の消去性インキ組成物の調製方法は、下記手順に限られるものではない。
秤量した、着色剤、水溶性有機溶剤及び必要に応じて無色樹脂粒子を所定量、溶媒である所定量の水に投入し、数十分程度攪拌する。水溶性樹脂や防腐防黴剤などを加える場合には、前記操作後に投入し、更に数十分程度攪拌する。その後、所定量の造膜樹脂を投入し、更に1時間程度攪拌する。界面活性剤を加える場合には、更に前記操作後に投入し、更に10分程度攪拌する。前記操作完了後、得られたインキ組成物をSUS製400メッシュ程度のフィルターで濾過すれば、本発明の消去性インキ組成物を得ることができる。攪拌は、ディゾルバーを使用するなど、公知の方法で行うことができる。
表1中に示した成分を前記調製方法の手順で調製して、各実施例及び比較例の消去性インキ組成物を得た。
なお、表1に示した着色剤、樹脂の具体的な製品名は次のとおりである。
『着色剤1』 商品名「オプトビーズ」日産化学工業製(平均粒子径6.5μm)
『無色樹脂粒子1』 商品名「アートパールJ−5P」根上工業製(平均粒子径3.0μm)
『水溶性有機溶剤1』 グリセリン
『水溶性樹脂1』 ラムザンガム
『防腐剤1』 商品名「プロクセルXL−2」アーチケミカルズ社製
『防黴剤1』 商品名「コートサイド」タケダ薬品工業社製
『造膜樹脂2』 アクリル系水性樹脂エマルション 商品名「ニカゾールB−7612」日本カーバイド社製(平均粒子径6.0μm、Tg0℃未満、固形分30.0重量%)
『界面活性剤1』 ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸 商品名「フォスファノールML−220」東邦化学工業社製
(1)消去性評価
上記実施例及び比較例で得られた消去性水性インキを20μmアプリケーターにて白紙画用紙に塗布し、乾燥後試験塗膜として使用した。得られた試験塗膜を市販プラスチック消しゴム(株式会社ラビット製 商品名「ジャンカー」)にて1.5kgの荷重を加えながら5往復させ、消去性を目視により調べ、下記の基準により評価した。
評価基準
○:容易に消去可能
△:薄くなる
×:ほとんど変化なし
〔試験ボールペンの作製〕
上記実施例及び比較例で得られた消去性水性インキを、それぞれ、SUS製のバネ入りチップ、ポリプロピレン製のパイプ、ボール径0.8mmの先栓からなる収納管に充填し、後部に逆流防止用のグリースを充填して、1000rpmで1分間遠心分離を行い、試験サンプル用のボールペンを得た。これらのペンを用いて筆記性評価及び(2)キャップオフ性評価を行った。
上記試験サンプルのペンを手書きで十丸筆記を行うことで評価した。
○:筆記可
×:筆記不可(比較例1は二重線になった。)
上記試験サンプルのペンのキャップを外した状態で、ペンを横置きし、20℃、50%RH条件で、1日間及び1週間放置後、手書きで十丸筆記(丸を10回筆記する間に、筆記跡にカスレが消失し、正常な筆記跡に戻るかを調べる評価法)を行うことで評価した。
評価基準
◎:カスレ無しで筆記可
○:カスレ殆ど無しで筆記可
△:カスレ有だが筆記可
×:筆記不可
以上、消去性評価、筆記性評価及びキャップオフ性評価の結果も併せて表1に示した。
前記実施例2の消去性インキ組成物の条件から、平均粒子径及びTgが異なるアクリル系水性樹脂エマルションのみを変えて、更に詳細なキャップオフ性の評価を行った。用いた造膜樹脂の種類は次のとおりである。なお、実施例7は下記造膜樹脂3を配合した以外は前記実施例4と同じ条件で、比較例6は下記造膜樹脂4を配合した以外は前記実施例4と同じ条件で、比較例7は下記造膜樹脂5を配合した以外は前記実施例4と同じ条件で、比較例8は下記造膜樹脂2を配合した以外は前記実施例4と同じ条件で、比較例9はいかなる造膜樹脂をも配合しない以外は前記実施例4と同じ条件で評価した。
『造膜樹脂1』 詳細上述。
『造膜樹脂2』 詳細上述。
『造膜樹脂3』 アクリル系水性樹脂エマルション 商品名「モビニールDM774」クリアラントポリマー社製(平均粒子径0.08μm、Tg25℃、固形分46.0重量%)
『造膜樹脂4』 アクリル系水性樹脂エマルション 商品名「モビニール792」クリアラントポリマー社製(平均粒子径0.33μm、Tg13℃、固形分50.0重量%)
『造膜樹脂5』 アクリル系水性樹脂エマルション 商品名「ニカゾールA−02」日本カーバイド社製(平均粒子径0.10μm、Tg0℃、固形分46.0重量%)
採点基準
5点:カスレなし、または1丸以内にカスレが解消して筆記可
4点:2丸以内にカスレが解消して筆記可
3点:5丸以内にカスレが解消して筆記可
2点:10丸以内にカスレが解消して筆記可
1点:10丸にカスレあり
評価基準
n=3の採点平均値が下記のとおり
◎:5.0〜4.0
○:3.9〜3.0
△:2.9〜2.0
×:1.9〜1.0
なお、少数第2位は四捨五入する。これらの結果を用いたアクリル系水性樹脂エマルションの平均粒子径及びTgとともに表2に示す。
Claims (4)
- 少なくとも着色剤、造膜樹脂、水溶性有機溶剤、水溶性樹脂及び水を含有する消去性インキ組成物であって、
前記着色剤は、平均粒子径が2μm以上であり、インキ成分全量に対して10〜20重量%含まれ、
前記造膜樹脂は、水性樹脂エマルションであり、インキ成分全量に対して固形分が0.1〜10重量%含まれ、
前記水性樹脂エマルションに用いられる樹脂粒子の平均粒子径が0.15μm以下であり、かつガラス転移温度が25〜45℃であり、
前記水性樹脂エマルションに用いられる樹脂が、アクリル系樹脂エマルションであり、
前記水溶性有機溶剤が、インキ成分全量に対して5〜20重量%含まれることを特徴とする消去性インキ組成物。 - 前記水性樹脂エマルションに用いられる樹脂粒子の平均粒子径が0.08μm以下である請求項1記載の消去性インキ組成物。
- 前記消去性インキ組成物中に、更に、無色樹脂粒子をインキ成分全量に対して2〜10重量%含む請求項1又は2記載の消去性インキ組成物。
- 前記消去性インキ組成物中の粘度が、500〜7000mPa・sである請求項1乃至3の項のいずれかに記載の消去性インキ組成物。
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