JP5651290B2 - 消去性インキ組成物 - Google Patents

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本発明は、筆記後に筆記跡を消しゴムなどで消すことのできる消去性インキ組成物に関する。
近年、ボールペンやマーカーでありつつも、その筆記跡を消しゴムで消すことのできる技術が開示されている。かかる効果を付与するには、該ボールペンやマーカーに用いるインキ組成物を改良して消去性を付与することにより達成される。このようなインキ組成物は、消去性インキ組成物といわれる。
かかる消去性インキ組成物の基本的な組成は、着色剤、造膜樹脂である水性樹脂エマルション及び溶媒である水を含み、必要に応じて、湿潤剤であるグリセリンなどの水溶性有機溶剤や無色樹脂粒子、粘度調整のための水溶性樹脂などを加えるのが一般的である。
消去性インキ組成物に関する従来の問題としては、筆跡定着性を保持しつつ、如何にして優れた消去性を獲得することができるかであった。その解決方法の一手段として、好適な造膜樹脂や着色剤について、具体的に、用いる化合物や配合条件などを適正化することにより、筆跡定着性を維持しつつ消去性を改善する技術が知られている。
例えば、特許文献1では、着色剤の平均粒子径が2μm以上という比較的大きな粒子径の着色剤を用いた上で、粘着性樹脂(造膜樹脂)の粒子径2μm以下という比較的小さな平均粒子径の粘着性樹脂を消去性インキ組成物全量に対し30重量%以上含み、好ましくは更に平均粒子径が2μm以上の比較的大きな平均粒子径の粘着性樹脂をも含む消去性インキ組成物とすることで、筆跡定着性、及び消去性の両方が優れた消去性インキ組成物にすることができる技術が開示されている。
特開2004−26826号公報
しかし、上記のように、着色剤として、平均粒子径が2μm以上という比較的大きな粒子を使用する場合、十分な着色効果を得ようとすると、その配合量は、通常の着色剤よりも5〜10重量%程度多く配合する必要がある。しかし、特許文献1の消去性インキ組成物のように、比較的大きな平均粒子を持つ固形分(着色剤粒子)がインキ中に多く配合されてしまうと、これを充填したボールペンなどは、キャップオフ性能に劣ってしまい、消去性インキのボールペンを使用後、速やかにキャップをしないと、使用できなくなってしまうという問題がある。
通常のインキ組成物の場合、かかるキャップオフ性能を改善するための常套手段は、湿潤成分として、グリセリンなどの水溶性有機溶剤を多めに配合することである。そうであれば、比較的大きな粒子を着色剤として使用する消去性インキの場合であっても、同様に、水溶性有機溶剤を多めに配合すれば、キャップオフ性能の問題が解決するとも思われる。
ところが、比較的大きな粒子を着色剤として使用する消去性インキ組成物においては、水溶性有機溶剤を多めに配合することで、キャップオフ性能を改善しようとすると、水溶性有機溶剤が水性樹脂エマルションに影響を与え、筆記性や消去性を劣化させてしまうという問題が生じる。
上記現状に鑑みて本発明が解決しようとする課題は、比較的大きな平均粒子径の着色剤と比較的小さな造膜樹脂を使用して、消去性及び筆跡定着性を改善した消去性インキ組成物において、その消去性及び筆跡定着性を維持しつつこれを用いた筆記具において、キャップオフ性能が改善された消去性インキ組成物を提供することにある。
上記課題を解決するため、少なくとも着色剤、造膜樹脂、水溶性有機溶剤、水溶性樹脂及び水を含有する消去性インキ組成物において、本発明では
前記着色剤は、平均粒子径が2μm以上であり、インキ成分全量に対して10〜20重量%含まれ、
前記造膜樹脂は、水性樹脂エマルションであり、インキ成分全量に対して固形分が0.1〜10重量%含まれ、前記水性樹脂エマルションに用いられる樹脂粒子の平均粒子径2μm以下で、かつガラス転移温度が25〜45℃であり、
前記水溶性有機溶剤が、インキ成分全量に対して5〜20重量%含まれる
ことを最も主要な特徴とする。
本発明で採用する手段は、造膜樹脂の最適化によってキャップオフ性能を改善する手段であるので、過剰な湿潤剤を加えることによる筆記性や消去性などについての弊害を引き起こすことなく、キャップオフ性能を改善できる。
また特に平均粒子径が2μm以上の大粒径の顔料と、500mPa・s、好ましくは2,000mPa・s以上の高粘度の場合、造膜樹脂である水性樹脂エマルションの量は固形分で0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%と多く必要とする場合がある。
〔着色剤〕
着色剤の種類としては、公知のインキ等で用いられているものを採用することができる。例えば、酸化チタン、アニリンブラック、カーボンブラック、群青、コバルトブルー、酸化クロム、べんがら、黒鉛等の無機顔料、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントバイオレット19等の有機顔料が使用できる。
その他にも、本発明の着色剤として、蛍光顔料、蓄光顔料等も用いることができる。また、本発明の着色剤として、フレーク状アルミナ粒子(板状アルミナ)、フレーク状アルミニウム粒子、フレーク状窒化ホウ素などの着色及び/又は非着色のフレーク状粒子を用いることもできる。この中でも特に、フレーク状アルミナ粒子及びフレーク状窒化ホウ素の少なくとも1種を用いることが好ましい。また、いわゆるカラー樹脂球も本発明の着色剤として使用できる。カラー樹脂球としては、例えば、樹脂球(アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂等)に染料又は顔料を含有させたもの、樹脂球を染料によって着色したもの等が挙げられる。さらに、本発明では、コピー用トナー等も使用できる。これら着色剤は、単独で又は2種以上で用いることができる。この中でも、カラー樹脂球を用いるのが好ましい。
本発明で用いる着色剤としては、その平均粒子径が2.0μm以上である。本発明では、平均粒子径が大きな着色剤と、造膜樹脂として平均粒子径が小さい樹脂を用いた水性樹脂エマルションとを用いることで、インキ組成物の消去性と筆跡定着性を両立するからである。また本発明で用いる着色剤の更に好ましい平均粒子径は6.0〜9.0μmである。
また、着色剤を構成する粒子の形状は、特に制限されず、球状、多角形状、扁平状、繊維状等のいずれであっても良いが、なかでも各粒子に、角が存在しない、球状が好ましい。なお、ここで球状とは、粒子に角のない状態をいうので、楕円球や扁平球であってもよい。
本発明で用いる着色剤は、平均粒子径が2μm以上であることから、一般的な着色剤の配合よりも5〜10重量%程度多く配合することが好ましい。具体的には、消去性インキ組成物全量に対し、10〜20重量%とすることが好ましく、更には13〜17%とすることが最適である。着色成分が20重量%を超える場合は、本発明の手段によっても十分なキャップオフ性能改善効果を得られない場合がある。一方、5重量%未満の場合は十分な着色性能が得られない。
〔無色樹脂粒子〕
本発明では、更に無色樹脂粒子を配合することが好ましい。無色樹脂粒子は、紙に筆記した際に、着色剤よりも先に紙の繊維間に入り込むことで、着色剤が繊維間に浸入することを抑制し、消去性インキ組成物を用いた筆記具の消去性を向上させることができる。本発明にいう無色樹脂粒子とは、着色されていない透明又は半透明の樹脂粒子を示しているが、その粒子の形状は、特に制限されず、球状、多角形状、扁平状、繊維状等のいずれであっても良いが、前記着色剤と同様、本発明では球状、即ち無色樹脂球が好ましく、特に真球に近いほど好ましい。
また特に、消去性インキ組成物における前記無色樹脂粒子の役割から、無色樹脂粒子としては、粒子径が0.1〜10μmのものが好ましく、中でも前記着色剤より粒子径が小さく、前記着色剤よりも比重が大きい前記無色樹脂粒子が好ましい。また最低造膜温度(MFT)が40℃以上又はガラス転移温度(Tg)が40℃以上の無色樹脂粒子が好ましい。
前記無色樹脂粒子としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂を例示することができ、それぞれの樹脂球が好適に用いられる。前記無色樹脂粒子は1種もしくは2種以上を混合して用いることができる。特にアクリル系樹脂球、中でも0.15〜5.00μmの範囲内の粒子径を持つアクリル系樹脂球が最適である。
前記無色樹脂粒子を含有される場合には、インキ組成物全量に対して2〜10重量%含有することが好ましい。前記無色樹脂粒子もまた固形成分なので、前記無色樹脂粒子が10重量%を超える場合は、着色剤過剰の場合と同じく、本発明の手段によっても十分なキャップオフ性能改善効果を得られない場合がある。
〔造膜樹脂〕
造膜樹脂は、乾燥して、インキ組成物自体を造膜させる効果を有する。造膜樹脂を含有する消去性インキ組成物を用いたボールペンやマーカーで筆記した後、その筆記跡が乾燥すると、該筆記跡が塗膜状態になり、消しゴムで消した際に前記塗膜が剥がれ落ちるため、インキ組成物に消去材擦過による消去性を付与することができる。
具体的な造膜樹脂の種類としては、水性樹脂エマルションが好ましく、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレンブタジエン系樹脂、アクリロニトリルブタジエン系の水性樹脂エマルションなどを用いることができるが、下記の条件を満たす限りにおいて、これらに限定されるものではない。
本発明の消去性インキ組成物においては、着色剤として、その平均粒子径が2.0μm以上という比較的大きな平均粒子径を用いた場合でも、過剰な湿潤成分を加えることなく、キャップオフ性能を改善させるために、前記造膜樹脂である水性樹脂エマルションは、用いられる樹脂粒子のガラス転移温度が25〜45℃であるものを使用する。Tgが25℃未満の場合、本発明で要求するキャップオフ性能を得ることができず、キャップを閉めない状態で数日放置した跡の筆記跡がカスレてしまう。本発明の効果を奏するには、樹脂粒子の粒子径は2μm以下であるが、水性樹脂エマルションに用いられる樹脂粒子の平均粒子径はできるだけ小さいほうが好ましいと推察される。しかし、平均粒子径が0.02μm未満の樹脂を用いた水性樹脂エマルションは、筆記具用の消去性インキ組成物に使用するということを鑑みると、経済的に見合う価格で入手することが困難であり、コストパフォーマンスに劣る。具体的には、樹脂粒子の粒子径は2μm以下であり、好ましくは0.15μm以下0.02μm以上、より好ましくは0.08μm以下、0.05μm以上である。
樹脂粒子のガラス転移温度が25℃以上、45℃以下(好ましくは42℃以下)である水性樹脂エマルションの例としては、具体的には、アクリル系樹脂エマルションである、日本カーバイド社製の商品名「ニカゾールRX-7013ED」(平均粒子径0.05μm、Tg42℃)、クリアラントポリマー社製の商品名「モビニールDM774」(平均粒子径0.08μm、Tg25℃)を挙げることができる。このうち最も好ましい水性樹脂エマルションは、アクリル酸エステル‐メタクリル酸エステル共重合体水性エマルションである、商品名「ニカゾールRX-7013ED」である。
本発明で用いられる造膜樹脂は、インキ成分全量に対して固形分が0.1〜10重量%含まれる。含まれる水性樹脂エマルションが、インキ成分全量に対して固形分が0.1重量%未満の場合、本発明の効果であるキャップオフ性能を発揮できなくなる。一方、10重量%を超えると、消去性に劣る。特にキャップオフ性能及び消去性の点で好ましくは固形分で1〜5重量%である。
〔水溶性有機溶剤〕
本発明の消去性インキ組成物においては、キャップオフ性能確保のため、一般的に配合される程度の量において、水溶性有機溶剤を含有させる。本発明において、造膜樹脂の適正化によって、キャップオフ性能を確保する試みは、水溶性有機溶剤の過剰配合による弊害を防止するためであって、そのような弊害の生じない範囲においては、水溶性有機溶剤の配合によって、キャップオフ性能をある程度まで確保しておくことが求められるからである。
具体的な水溶性有機溶剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,8−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコール等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ジグリセリン、ソルビット等の多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテルの他、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等が使用できる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が好ましい。
前記水溶性有機溶剤の含有量は、インキ成分全量に対して5〜20重量%である。5重量%以下では、本発明の造膜樹脂の適正化によっても、十分なキャップオフ性能を確保できず、一方20重量%を超える過剰配合であると、上述のとおり、インキの消去性、筆記性に劣るという弊害が生じる。
〔水溶性樹脂〕
本発明の消去性インキ組成物は、更に水溶性樹脂を含有させる。水溶性樹脂は、水性インキ組成物に適用する場合、インキの粘度調整を図るほか、前記着色剤、前記造膜樹脂ないし前記無色樹脂粒子の沈降防止及び分散安定化を図る役割を果たす。なかでも本発明で用いる着色剤には、平均粒子径が比較的大きい粒子の集合体を用いるので、本発明の消去性インキ組成物の成分として水溶性樹脂を配合することで、沈降防止効果を発揮させる。
水溶性樹脂は、水溶性である限りは天然高分子、合成高分子、半合成高分子等のいずれであっても良いが、インキにチキソトロピー性を与える剪断減粘性付与剤が好ましく、公知のゲルインキのゲル化剤として用いられているものもそのまま使用できる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
水溶性樹脂としては、プルラン、ザンサンガム、ウェランガム、ラムザンガム、サクシノグルカン等の微生物産系多糖類及びその誘導体、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、デンプン、カラギーナン、アルギン酸等の植物系多糖類及びその誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等の動物系多糖類及びその誘導体、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、スチレン−アクリル共重合体等のアクリル系合成樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリN−ビニルアセトアミド及びその共重合体などのビニル系合成樹脂、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系樹脂、その他、エチレン−マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキシド等の合成樹脂乃至合成樹脂エマルション等を例示することができる。これらは1種もしくは2種以上を混合して用いることができる。
これらの水溶性樹脂の中でも、多糖類、特にプルラン、ザンサンガム、ウェランガム、ラムザンガム、サクシノグルカン、ダイユータンガム等の微生物産系多糖類及びその誘導体が好適に用いられる。これらの多糖類は、高粘度において優れたチキソトロピー性を有し、インキ組成物に適度な粘性と流出性をより有効に付与するほか、特に前記着色剤乃至無色樹脂粒子の沈降防止及び分散安定化を良好に図ることができる点で優れている。このため、これをボールペン用インキとして用いる場合には、インキ粘度が高いのでペン先からインキ洩れすることがなく、しかもインクタンク内において前記着色剤、前記粘着性樹脂乃至前記無色樹脂粒子がインキ中で分散安定化しているため、着色剤等の分離もない。その一方で筆記時のボールの回転により剪断力が加わるとインキ粘度が低下して良好な流出性を発揮する。
水溶性樹脂の含有量は、他の成分との関係や種類に応じて適宜設定すれば良く、通常、インキ組成物全量に対して0.01〜40重量%程度、好ましくは0.05〜20重量%である。特に、多糖類、中でもプルラン、ザンサンガム、ウェランガム、ラムザンガム、サクシノグルカンから選ばれる微生物産系多糖類の場合は、0.05〜4.0重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%である。4.0重量%を超える場合は粘度が高くなりすぎてインキの流出性が悪くなるおそれがある。
このような水溶性樹脂、なかでも微生物産系多糖類のような、チキソトロピー性を有する水溶性樹脂は、配合されるインキ組成物において、少量でもインキ組成物の粘度を決定づける因子成分である。本発明のインキ組成物において、好適な粘度範囲としては500〜7,000mPa・sであり、更に好ましくは2,000〜4,000mPa・sである。粘度が500mPa・s未満であると、本発明で用いる粒子径の比較的大きな着色剤においては、粒子の沈降が生じやすくなる。一方、粘度が7,000mPa・sを超えると筆記時においてインキの出が悪くなりやすい。なお、本明細書においては、粘度の値はELD型粘度計(3゜R14コーン、回転数:0.5rpm、20℃)による測定値を採用するものとする。
〔その他の添加剤〕
その他必要に応じて、界面活性剤(アニオン・ノニオン系)、防腐防黴剤、防錆剤、水等の慣用の添加剤を添加することができる。
〔溶媒〕
本発明の消去性インキ組成物は水性であり、溶媒としては水を用いる。溶媒としての水は、一般的に水性インキ組成物に用いられているものと同様、イオン交換水など清浄な水を用いることが好ましい。
〔調製方法〕
本発明の消去性インキ組成物の好ましい調製方法は、下記の通りである。ただし本発明の消去性インキ組成物の調製方法は、下記手順に限られるものではない。
秤量した、着色剤、水溶性有機溶剤及び必要に応じて無色樹脂粒子を所定量、溶媒である所定量の水に投入し、数十分程度攪拌する。水溶性樹脂や防腐防黴剤などを加える場合には、前記操作後に投入し、更に数十分程度攪拌する。その後、所定量の造膜樹脂を投入し、更に1時間程度攪拌する。界面活性剤を加える場合には、更に前記操作後に投入し、更に10分程度攪拌する。前記操作完了後、得られたインキ組成物をSUS製400メッシュ程度のフィルターで濾過すれば、本発明の消去性インキ組成物を得ることができる。攪拌は、ディゾルバーを使用するなど、公知の方法で行うことができる。
〔インキの調製〕
表1中に示した成分を前記調製方法の手順で調製して、各実施例及び比較例の消去性インキ組成物を得た。
なお、表1に示した着色剤、樹脂の具体的な製品名は次のとおりである。
『着色剤1』 商品名「オプトビーズ」日産化学工業製(平均粒子径6.5μm)
『無色樹脂粒子1』 商品名「アートパールJ−5P」根上工業製(平均粒子径3.0μm)
『水溶性有機溶剤1』 グリセリン
『水溶性樹脂1』 ラムザンガム
『防腐剤1』 商品名「プロクセルXL−2」アーチケミカルズ社製
『防黴剤1』 商品名「コートサイド」タケダ薬品工業社製
『造膜樹脂1』 アクリル系水性樹脂エマルション アクリル酸エステル‐メタクリル酸エステル共重合体水性エマルション 商品名「ニカゾールRX-7013ED」日本カーバイド社製(平均粒子径0.05μm、Tg42℃、固形分35.0重量%)
『造膜樹脂2』 アクリル系水性樹脂エマルション 商品名「ニカゾールB−7612」日本カーバイド社製(平均粒子径6.0μm、Tg0℃未満、固形分30.0重量%)
『界面活性剤1』 ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸 商品名「フォスファノールML−220」東邦化学工業社製
Figure 0005651290
〔評価方法〕
(1)消去性評価
上記実施例及び比較例で得られた消去性水性インキを20μmアプリケーターにて白紙画用紙に塗布し、乾燥後試験塗膜として使用した。得られた試験塗膜を市販プラスチック消しゴム(株式会社ラビット製 商品名「ジャンカー」)にて1.5kgの荷重を加えながら5往復させ、消去性を目視により調べ、下記の基準により評価した。
評価基準
○:容易に消去可能
△:薄くなる
×:ほとんど変化なし
(2)筆記性評価及びキャップオフ性評価
〔試験ボールペンの作製〕
上記実施例及び比較例で得られた消去性水性インキを、それぞれ、SUS製のバネ入りチップ、ポリプロピレン製のパイプ、ボール径0.8mmの先栓からなる収納管に充填し、後部に逆流防止用のグリースを充填して、1000rpmで1分間遠心分離を行い、試験サンプル用のボールペンを得た。これらのペンを用いて筆記性評価及び(2)キャップオフ性評価を行った。
〔筆記性評価〕
上記試験サンプルのペンを手書きで十丸筆記を行うことで評価した。
○:筆記可
×:筆記不可(比較例1は二重線になった。)
〔キャップオフ性評価〕
上記試験サンプルのペンのキャップを外した状態で、ペンを横置きし、20℃、50%RH条件で、1日間及び1週間放置後、手書きで十丸筆記(丸を10回筆記する間に、筆記跡にカスレが消失し、正常な筆記跡に戻るかを調べる評価法)を行うことで評価した。
評価基準
◎:カスレ無しで筆記可
○:カスレ殆ど無しで筆記可
△:カスレ有だが筆記可
×:筆記不可
以上、消去性評価、筆記性評価及びキャップオフ性評価の結果も併せて表1に示した。
(3)造膜樹脂の影響評価
前記実施例2の消去性インキ組成物の条件から、平均粒子径及びTgが異なるアクリル系水性樹脂エマルションのみを変えて、更に詳細なキャップオフ性の評価を行った。用いた造膜樹脂の種類は次のとおりである。なお、実施例7は下記造膜樹脂3を配合した以外は前記実施例4と同じ条件で、比較例6は下記造膜樹脂4を配合した以外は前記実施例4と同じ条件で、比較例7は下記造膜樹脂5を配合した以外は前記実施例4と同じ条件で、比較例8は下記造膜樹脂2を配合した以外は前記実施例4と同じ条件で、比較例9はいかなる造膜樹脂をも配合しない以外は前記実施例4と同じ条件で評価した。
『造膜樹脂1』 詳細上述。
『造膜樹脂2』 詳細上述。
『造膜樹脂3』 アクリル系水性樹脂エマルション 商品名「モビニールDM774」クリアラントポリマー社製(平均粒子径0.08μm、Tg25℃、固形分46.0重量%)
『造膜樹脂4』 アクリル系水性樹脂エマルション 商品名「モビニール792」クリアラントポリマー社製(平均粒子径0.33μm、Tg13℃、固形分50.0重量%)
『造膜樹脂5』 アクリル系水性樹脂エマルション 商品名「ニカゾールA−02」日本カーバイド社製(平均粒子径0.10μm、Tg0℃、固形分46.0重量%)
上記試験サンプルのペンのキャップを外した状態で、ペンを横置きし、20℃、50%RH条件で、1日間、4日間及び7日間放置後、手書きで十丸筆記を行うことで評価した。評価数(n)は、各実施例につきそれぞれ3点の筆記具にて下記基準に基づく採点を行い、n=3の採点平均値で評価を行った。
採点基準
5点:カスレなし、または1丸以内にカスレが解消して筆記可
4点:2丸以内にカスレが解消して筆記可
3点:5丸以内にカスレが解消して筆記可
2点:10丸以内にカスレが解消して筆記可
1点:10丸にカスレあり
評価基準
n=3の採点平均値が下記のとおり
◎:5.0〜4.0
○:3.9〜3.0
△:2.9〜2.0
×:1.9〜1.0
なお、少数第2位は四捨五入する。これらの結果を用いたアクリル系水性樹脂エマルションの平均粒子径及びTgとともに表2に示す。
Figure 0005651290
本発明の消去性インキ組成物は、これをインキ収納管に収納して筆記具にすれば、消しゴムなどで筆跡を消去できる水性ボールペンやマーカーとして産業上利用できる。

Claims (4)

  1. 少なくとも着色剤、造膜樹脂、水溶性有機溶剤、水溶性樹脂及び水を含有する消去性インキ組成物であって、
    前記着色剤は、平均粒子径が2μm以上であり、インキ成分全量に対して10〜20重量%含まれ、
    前記造膜樹脂は、水性樹脂エマルションであり、インキ成分全量に対して固形分が0.1〜10重量%含まれ、
    前記水性樹脂エマルションに用いられる樹脂粒子の平均粒子径が0.15μm以下であり、かつガラス転移温度が25〜45℃であり、
    前記水性樹脂エマルションに用いられる樹脂が、アクリル系樹脂エマルションであり、
    前記水溶性有機溶剤が、インキ成分全量に対して5〜20重量%含まれることを特徴とする消去性インキ組成物。
  2. 前記水性樹脂エマルションに用いられる樹脂粒子の平均粒子径が0.08μm以下である請求項1記載の消去性インキ組成物。
  3. 前記消去性インキ組成物中に、更に、無色樹脂粒子をインキ成分全量に対して2〜10重量%含む請求項1又は2記載の消去性インキ組成物。
  4. 前記消去性インキ組成物中の粘度が、500〜7000mPa・sである請求項1乃至3の項のいずれかに記載の消去性インキ組成物。
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