JP4196415B2 - インクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物及びその製造方法に関し、更に詳しくは、染料が染着した自己水分散性樹脂によって無彩色顔料が内包された着色樹脂粒子をマイクロカプセル成分として含んでなることを特徴とするインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェット記録用インクのうち、染料インクは高い発色が得られるが、耐水・耐光性が悪くかつ印刷における文字の滲みが大きいという欠点を有していた。一方顔料インクは、耐水・耐光性・文字の滲みが良好であるが、カラーの発色が染料インキと比較して悪いという欠点を有していた。また黒色インクで使用している顔料は一般的にはカ−ボンブラックであるため、やや赤茶けた色相にならざるを得なかった。
【0003】
上記欠点を解決するために、ポリマー粒子を染料で着色するという提案がなされており、具体例としては、特開昭58−45272号公報では染料を含有したウレタンポリマーラテックスを含むインク組成物、特開昭62−95366号公報では水不溶性有機溶媒中にポリマーと油性染料を溶解し、さらに表面活性剤を含む水溶液と混合して乳化させた後に溶媒を蒸発してポリマー粒子中に内包された染料を含むインクジェット組成物の調整方法が提案されている。しかし芯材がないことから微粒子で分散安定性に優れた着色粒子が得にくいという欠点を有していた。またポリマーを染料を用いて着色しているため、必ずしも耐光性に優れていなかった。
【0004】
一方、特開平3−160069号公報では、エマルジョン粒子の表面に染料または顔料を吸着させる画像記録用インクが提案されているが、未吸着の染顔料が多くブリード等の染顔料に起因する特性劣化が避けられなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、発色性、耐光性に優れ、また微粒子で分散安定性に優れたインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を解決するに至った。
【0007】
即ち本発明は、染料が染着した自己水分散性樹脂(A)によって無彩色顔料が内包された着色樹脂粒子(B)が、水を必須成分とする水性媒体(C)中に分散していることを特徴とするインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物を提供するにある。
【0008】
また本発明は、中和により自己水分散しうる、酸基を有する合成樹脂(1)と前記酸基を中和しうる塩基(2)と染料(3)と無彩色顔料(4)とを有機溶剤(5)の存在下に混合して得た該樹脂(1)の少なくとも一部の酸基を中和してなる自己水分散性の着色樹脂溶液と、水を必須成分とする水性媒体(C)とを混合して転相乳化を行い、染料(3)が染着した自己水分散性樹脂(A)で無彩色顔料(4)を内包した着色樹脂粒子(B)を水性媒体(C)中に分散させ、次いで得られた水性分散液から前記有機溶媒(5)を除去することを特徴とするインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物の製造方法を提供するにある。
【0009】
本発明においてマイクロカプセルを形成している自己水分散性樹脂(A)、いわゆるマイクロカプセルの殻材樹脂には、中和により自己水分散性を示す、酸基を有する合成樹脂(1)において当該酸基の少なくとも一部が塩基(2)で中和された自己水分散性樹脂を用いる。このような樹脂は無彩色顔料との濡れが良く、かつ染料との相溶性も良好で好ましい。
【0010】
合成樹脂(1)が有する酸基としてはカルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基等であって特に限定されるものではないが、このうちカルボン酸基が一般的である。
【0011】
当該合成樹脂(1)の酸価は50以上280以下が好ましい。合成樹脂(1)の酸価が50未満の時は得られた着色樹脂粒子の水分散安定性が十分ではなく、また酸価が280を越える場合には有機溶媒に溶解した水分散性樹脂の塩基による中和の際に凝集を生じ易く、また水に添加した際に一部の樹脂が溶解することによってノズル目詰まりを生じ易いことから、用いる合成樹脂(1)の酸価は、50以上280以下の範囲で、好ましくは70〜250の範囲である。
【0012】
このような合成樹脂(1)としては、カルボン酸基を有するビニル共重合体がよく、例えばスチレンあるいはα−メチルスチレンのような置換スチレン、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一つ以上のモノマー単位と、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも一つ以上のモノマー単位を含むビニル共重合体が好ましく、さらに好ましくは必須モノマー成分としてスチレンモノマー、アクリル酸モノマー、メタアクリル酸モノマーを用いるビニル共重合体である。これらのモノマーを用いたビニル共重合体はその分子構造中に、光、熱、溶剤等によって分断され易い基例えばエステル結合等を有していないので極めて安定な樹脂と言える。
特にこれらの必須モノマー成分構成比率がスチレンモノマー60〜90モル%、アクリル酸モノマー5〜15モル%、メタアクリル酸モノマー5〜25モル%である場合にはインクジェット記録用としてノズル目詰まりのない優れた着色樹脂粒子(着色マイクロカプセル粒子)を可能とする。
【0013】
前記した合成樹脂(1)の分子量範囲についても特に制限はないが、1000以上10万以下の分子量のものがより好ましい。勿論、かかる樹脂(1)が後記する水性媒体(C)との組み合わせで安定なマイクロカプセルを形成するものであれば、これらに特に限定されるものではなく、同時に2種類以上を混合して使用しても良い。
【0014】
また当該合成樹脂(1)のガラス転移温度は、50℃未満であっても記録紙への印刷後の文字の定着性は良好であるが、ノズル目詰まりや貯蔵安定性を更に高めることを考慮するとガラス転移温度が好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上のものがインクジェット記録用として好適である。
【0015】
塩基(2)による中和、即ちアルカリ性中和剤による中和は、合成樹脂(1)が水に溶解しない程度に中和する必要があり、溶解しない程度であれば塩基(2)を過剰に加えても良い。合成樹脂(1)の酸基の60モル%以上を中和するのが好ましい。中和率が60モル%以上であると、得られる着色樹脂粒子(B)は微粒でかつ分散安定性に優れている。
【0016】
かかる自己水分散性樹脂(A)の水性媒体(C)中での含有量としては、本発明における効果を達成すれば特に規定されないが、最終的に得られる水性インキ組成物中で0.5〜20重量%となるような量が好ましい。
【0017】
塩基(2)としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン等の塩基性物質の他、特にトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルコールアミンが使用可能であるが、特にアルコールアミンの使用が好ましい。アルコールアミンであると、より着色樹脂粒子(B)の分散安定性に優れ、また水分や有機溶剤の蒸発に伴う粒子凝集によるノズル目詰まりが改良されたインクジェット記録用インクが得られる。
【0018】
本発明で使用される酸基を有する合成樹脂(1)にかかる塩基(2)を添加して中和する方法としては、予め合成樹脂(1)の有機溶媒溶液に添加するか、該合成樹脂(1)の有機溶媒溶液と水性媒体(C)とを混合する際に水性媒体中に添加するか等の方法があるが、その採用については最も良い条件を選択すればよい。
【0019】
一方、本発明において用いる顔料は無彩色の顔料であって、このようなものとしては黒色顔料、白色顔料があり、黒色顔料としてはカーボンブラックが、白色顔料としては、チタンホワイトのほかシリカ、酸化亜鉛、アルミナ等の体質顔料も本発明ではこの中に包含する。前記した白色顔料の場合、一般的にはそのままで使用されるが、必要によっては前記白色顔料に染料を表面吸着させた着色顔料の形態にて用いてもよい。
【0020】
また染料としては、特に制限はないが、好ましくは有機溶剤に溶解可能な染料がよい。代表的なものとして例えばモノアゾ・ジスアゾ等のアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリアリルメタン系等を例示することができるが、これらの例に限定されるものではない。これらの染料は一部分散する形で存在しても良いが、マイクロカプセルを形成している殻材樹脂に溶解するものを選択することが好ましい。
【0021】
本発明におけるマイクロカプセルでは、これら無彩色顔料・染料は、染料が染着した自己水分散性樹脂によって無彩色顔料が内包された着色樹脂粒子として存在する。この着色樹脂粒子(着色マイクロカプセル粒子)は分散安定性に優れており、しかも耐水性、耐光性が良好で文字の滲みがない、カラーの発色が良好である等の効果も発揮する。さらに色彩の点からも種々の有用性を示す。
【0022】
例えば、異種顔料同士の着色と異なり異色の粒子の混在が少なくて印刷物の色別れがなく、顔料のみでは沈みがちな発色と比べ染料の併用によって発色性の改良効果が得られる、また染料のみでは耐光性に弱いが顔料の併用によって紫外線の散乱・吸収効果によって耐光性が大幅に向上するという利点がある。更にまた、芯材の無彩色顔料がシリカやアルミナのような屈折率が小さい体質顔料の場合は、透明性が高く、染料が染着した自己水分散性樹脂によって透明で明るい発色が得られる。チタンホワイトのような屈折率が大きい白色顔料は、染料が染着した自己水分散性樹脂によって明るくかつ隠蔽性の高い発色が得られる等の利点が挙げられる。一方、芯材が黒色顔料のカーボンブラックである場合には染料による染着は調色を主たる目的にすることが出来る。特に顔料がカーボンブラックで、染料が黒色染料及び/又は青色染料である組み合わせる場合には、従来のカーボンブラックにない、高級感のある漆黒の色相の再現が可能となる。
【0023】
本発明において使用する染料と無彩色顔料の総使用量は、本発明における効果を達成すれば特に規定されないが、最終的に得られる水性インキ中で0.5〜20重量%となるような量が好ましい。本発明における効果を達成するには、無彩色顔料に対する染料の重量比率は、1重量%以上50%重量以下の範囲にて用いることが望ましい。
【0024】
本発明における着色マイクロカプセルは、染料による樹脂の染着と同時に無彩色顔料のマイクロカプセル化を行う、染料で樹脂を染着した後に同顔料のマイクロカプセル化を行う、同顔料を内包した樹脂粒子(マイクロカプセル粒子)を染料で染着する、等の手段によって形成される。
【0025】
形成された着色マイクロカプセル成分を含む本発明組成物、即ち染料が染着した自己水分散性樹脂によって無彩色顔料が内包された着色マイクロカプセルを水性媒体中に分散した本発明のインクジェット記録用組成物は、例えば合成樹脂(1)の有機溶剤溶液に染料及び無彩色顔料を添加し、攪拌機や分散装置を用いて溶解・分散を行ってよく混合した後、塩基(2)の存在下でそれと水性溶媒(C)とを混合することによって調製出来る。
【0026】
より具体的に説明すると、一般に転相乳化法と呼ばれるマイクロカプセル化方法によって調製することで本発明のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物は容易に製造可能である。転相乳化法による製造は、基本的には第1段階として有機溶剤に可溶で中和によって自己水分散性を合成樹脂(1)を有機溶剤に溶解させ、更に無彩色顔料及び染料を当該樹脂溶液中に分散、溶解させる工程(ミルベース工程)、第2段階としてその溶液を塩基(2)の存在下で過剰量の水性媒体と混合させることにより、染料が染着した水分散性樹脂によって無彩色顔料を内包した樹脂粒子を得る工程(カプセル化工程)からなり、場合により、第3段階として、第1段階のミルベース工程で用いた有機溶剤を除去する工程(脱溶剤工程)を入れても良い。
【0027】
前記のマイクロカプセルインク組成物の製造に際して、染料・無彩色顔料は、両方とも予め水性媒体中に分散する前の自己水分散性樹脂中に分散または溶解せしめておくことが好ましい。
【0028】
また前記転相乳化法を用いてカプセル化を行う場合、第1段階で使用する有機溶剤はアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;酢酸エチルエステル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;アミド類等、樹脂を溶解させるものであれば使用可能であるが、前記合成樹脂(1)を用いた転相乳化法の場合、ケトン系溶剤とアルコール系溶剤から選ばれる少なくとも1種類以上の組み合わせが良好なマイクロカプセルを与え、この組み合わせは好適である。
【0029】
本発明においては、分散剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を必要に応じて有機溶剤、樹脂、染料・顔料と共に用いても良い。
第2段階のカプセル化は、上記溶剤に樹脂と染料・無彩色顔料を混合し、攪拌機や分散装置を用いて溶解・分散を行い、得られた有機溶剤溶液と水を必須成分とする水性媒体とを混合することにより行う。
【0030】
第2段階のマイクロカプセル化では、第1段階で得たミルベースに塩基(2)の存在下、水又は水溶液を混合してカプセル化を行うが、使用する無彩色顔料や染料によってはカプセル同士の緩い凝集を生ずることがあるため、カプセル化後に水又は水溶液を追加し混合分散を行うことが好ましい。この工程では、水を必須成分とする水性媒体中に、自己水分散性樹脂を含む着色溶液を加えても良いが、逆に当該樹脂を含む着色溶液中に水性媒体を加えるほうが、均一な粒子径の水性分散液が得られる点で好ましい。必要によっては界面活性剤を併用して、強制的に乳化させて得ることもできる。しかしながら界面活性剤や保護コロイドは最終的に得られる粒子の物性を低下させる傾向があるので用いないことが好まれる。
【0031】
塩基(2)はミルベースまたは水溶液に添加する。また水性媒体において用いられる水は、イオン交換水以上のグレードが好ましい。
第3段階として、カプセル化が終了した後に第1段階のミルベース工程で用いた合成樹脂(1)を溶解する有機溶剤を除去する脱溶剤工程を経ることにより、着色マイクロカプセルの膨潤・凝集を押さえて安定した水分散液が得られ、これはインクジェット記録用水性インクに適している。この脱溶媒工程において必要ならば水を除去してもよい。また勿論、この第3段階の工程は場合によっては省くこともある。
【0032】
着色マイクロカプセル含む本発明組成物をインクジェット記録用インク組成物として実用に供するには、乾燥防止のための水溶性有機溶剤を添加剤として用いることが好ましい。乾燥防止剤としては従来知られているエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類またはそれらのアルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン類、アミド類、ジメチルスルホオキサイド、イミダゾリジノン等があり、これらに限定されるものではない。
【0033】
また必要に応じて浸透性付与のための水溶性有機溶剤を加えてもよく、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ジエチレングリコール−N−ブチルエーテル等のグリコールエーテル等を用いることができるがこれらに限定されるものではない。その他必要に応じて水溶性樹脂、pH調整剤、分散・消泡・紙への浸透のための界面活性剤、防腐剤、キレート剤等の添加剤を加えることができる。
【0034】
これらの添加剤は、第1段階から最終段階までの適当な工程で加えることができるが、好ましくは最終ろ過後の添加剤の添加は避けたほうがよい。最終の組成の調整が終了した後、フィルターろ過や遠心分離等で大粒径粒子を除去し、本発明の水性インクとすることが好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を転相乳化法によって製造する場合を例にして説明すると次の通りである。
【0036】
合成樹脂として、スチレン、置換スチレン、(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーと、(メタ)アクリル酸とを共重して得られる、酸価が50以上280以下、分子量1000以上10万以下のビニル共重合体を有機溶媒に溶解した合成樹脂溶液と、無彩色顔料と、染料として前記合成樹脂に溶解し得る染料とを混合し練肉して着色ミルベースを得る。顔料に対する染料の重量比率は1重量%以上50%重量以下の範囲とする。この着色ミルベースに前記合成樹脂の酸基を中和しうる塩基を加え、攪拌混合し、更に攪拌下に水を含む水性媒体を滴下し混合して転相乳化を行うことにより、染料が染着した自己水分散性樹脂によって無彩色顔料が内包された着色樹脂粒子が水性媒体中に分散した着色マイクロカプセルの水分散液を得る。この際、アルカリ中和剤としての塩基の添加量は、酸基の60モル%以上を中和する量を範囲とする。使用する無彩色顔料や染料によってカプセル同士の緩い凝集を生じた場合は、カプセル化後に水又は水溶液を追加混合して再度分散する。さらに合成樹脂の溶解に用いた有機溶媒を減圧蒸留を行って除去し、インクジェット記録用インク組成物を得る。
【0037】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の実施例中における「部」は『重量部』を表わす。
【0038】
(実施例1)
カ−ボンブラック 20部
スチレンアクリル酸樹脂 20部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸=77/10/13;酸価100、分子量4万)
油性フタロシアニン染料 2部
メチルエチルケトン 49部
の配合物を直径0.2mmのガラスビーズを用いてペイントシェーカーで4時間練肉し、
メチルエチルケトン 40部
イソプロピルアルコール 40部
を加えて内容物を取り出し、ミルベース溶液171部を得た。
【0039】
前記ミルベース171部にトリエタノールアミン5.3部(樹脂の中和率100%相当)を加えて攪拌しながら、グリセリン50部とイオン交換水120部の混合液を毎分5mlの速度で滴下し、着色マイクロカプセル組成物を得た。得られた着色マイクロカプセル組成物を衝突式分散装置ナノマイザー(ナノマイザー株式会社製)を用いて1500kg/cm2の圧力で再度分散処理を行った。得られた処理液にグリセリン80部とイオン交換水300部の混合液を毎分5mlの速度で滴下した後、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを留去し、最終の着色マイクロカプセル水分散物を得た。
【0040】
この水分散物を1.5μmフィルターを用いてろ過を行い、インクジェット記録用マイクロカプセルインクとした。得られたインク中のマイクロカプセルは0.1μmの平均粒子径を有しており、凝集物もなく長期にわたって安定な分散を示し、インクジェットプリンターを用いた印字は安定しており、得られた印刷物は漆黒の色調を有しており、滲みもなく、耐水耐光性に優れていた。
【0041】
(比較例1)
実施例1のミルベースから油性フタロシアニン染料を除いた配合で同様にしてインクジェット記録用マイクロカプセルインクを得た。得られた印刷物はやや褐色を帯び、良好な色調とはいえなかった。
【0042】
(実施例2)
コロイダルシリカ 2部
スチレンアクリル酸樹脂 40部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/メタアクリル酸=72/5/10/13;酸価155、分子量4万5千)
油性マゼンタ染料 4部
メチルエチルケトン 50部
ガラスビーズ 150部
の配合物をペイントシェーカーで4時間練肉し、
メチルエチルケトン 40部
イソプロピルアルコール 40部
を加えて内容物を取り出し、ミルベース溶液176部を得た。
【0043】
前記ミルベース176部にトリエタノールアミン16.5部(樹脂の中和率100%相当)を加えて攪拌しながら、グリセリン65部とイオン交換水210部の混合液を毎分5mlの速度で滴下し、着色マイクロカプセル組成物を得た。
【0044】
得られた得られた着色マイクロカプセル液を衝突式分散装置ナノマイザー(ナノマイザー株式会社製)を用いて1500kg/cm2の圧力で再度分散処理を行った。得られた処理液にグリセリン75部とイオン交換水210部の混合液を毎分5mlの速度で滴下した後ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを留去し、最終の着色マイクロカプセル水分散物を得た。
【0045】
この水分散物を1.5mフィルターを用いてろ過を行い、インクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物とした。得られたインク中のマイクロカプセルは0.086μmの平均粒子径を有しており、凝集物もなく長期にわたって安定な分散を示し、インクジェットプリンターを用いた印字は安定しており、得られた印刷物は明るいマゼンタ色の色調を有しており、滲みもなく、耐水耐光性に優れていた。
【0046】
(比較例2)
スチレンアクリル酸樹脂 40部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/メタアクリル酸=72/5/10/13;酸価155、分子量4万5千)
油性マゼンタ染料 4部
メチルエチルケトン 90部
イソプロピルアルコール 40部
の実施例2の配合からコロイダルシリカを除いた配合物を攪拌機で溶解し、ミルベース溶液174部を得た。
【0047】
前記ミルベース174部にトリエタノールアミン16.5部(樹脂の中和率100%相当)を加えて攪拌しながら、グリセリン65部とイオン交換水210部の混合液を毎分5mlの速度で滴下し、着色樹脂乳化物を得た。
【0048】
得られた得られた着色樹脂乳化物を衝突式分散装置ナノマイザー(ナノマイザー株式会社製)を用いて1500kg/cm2の圧力で再度分散処理を行った。得られた処理液にグリセリン75部とイオン交換水210部の混合液を毎分5mlの速度で滴下した後ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを留去し、最終の着色樹脂乳化物を得た。この着色樹脂乳化物は5mフィルターでもろ過が出来ず、インクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物が得られなかった。着色樹脂乳化物は0.22μmの平均粒子径を有していたが、1μm以上の粗大粒子が約2%存在していた。
【0049】
(実施例3)
実施例2のスチレンアクリル樹脂に代えてスチレンアクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸/メタアクリル酸=65/10/25;酸価221、分子量4万5千)を用い、更に当該樹脂の中和率100%に相当する量のトリエタノールアミンを用いる以外は実施例2と同様な方法でインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物を調製した。得られたインク中のマイクロカプセルは0.060μmの平均粒子径を有しており、凝集物もなく長期にわたって安定な分散を示し、インクジェットプリンターを用いた印字は安定しており、得られた印刷物は明るいマゼンタ色の色調を有しており、滲みもなく、耐水耐光性に優れていた。
【0050】
【発明の効果】
染料が染着した自己水分散性樹脂で無彩色顔料を内包した着色樹脂粒子が水性媒体(C)中に分散した本発明のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物は、優れた発色性、耐光性を有し、また長期にわたって安定な分散を可能にする。

Claims (13)

  1. 染料が染着した自己水分散性樹脂(A)を殻材樹脂として無彩色顔料が内包された着色樹脂粒子(B)が、水を必須成分とする水性媒体(C)中に分散しており、前記染料は有機溶剤に溶解可能であり、前記自己水分散性樹脂(A)は、酸価50以上280以下の酸基の少なくとも一部が、塩基(2)で中和されたビニル共重合体であることを特徴とするインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物。
  2. 前記ビニル共重合体は必須モノマー成分としてスチレンモノマー、アクリル酸モノマー、メタアクリル酸モノマーを用いるビニル共重合体である請求項1に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物。
  3. 前記ビニル共重合体の必須モノマー構成比率は、スチレンモノマー60〜90モル%、アクリル酸モノマー5〜15モル%、メタクリル酸モノマー5〜25モル%である請求項2に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物。
  4. 前記染料は油性染料である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物。
  5. 前記染料は前記自己水分散性樹脂(A)に溶解するものである請求項4に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物。
  6. 無彩色顔料が、白色顔料である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物。
  7. 白色顔料が、チタンホワイト、シリカ、酸化亜鉛、アルミナから選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物。
  8. 無彩色顔料が、カーボンブラックである請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物。
  9. 顔料がカーボンブラックであり、染料が黒色染料及び/又は青色染料である請求項8に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物。
  10. 前記塩基(2)が、アルコールアミンである請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物。
  11. 中和により自己水分散しうる、酸価50以上280以下のビニル共重合体と、前記酸基を中和しうる塩基(2)と、染料(3)と無彩色顔料(4)とを有機溶剤(5)の存在下に混合して得た、該ビニル共重合体の少なくとも一部の酸基を中和してなる自己水分散性の着色樹脂溶液と、水を必須成分とする水性媒体(C)とを混合して転相乳化を行い、染料(3)が染着した自己水分散性樹脂(A)で無彩色顔料(4)を内包した着色樹脂粒子(B)を水性媒体(C)中に分散させ、次いで得られた水性分散液から前記有機溶媒(5)を除去することを特徴とするインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物の製造方法。
  12. 前記ビニル共重合体が、必須モノマー成分としてスチレンモノマー、アクリル酸モノマー、メタアクリル酸モノマーを用いるビニル共重合体である請求項11に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物の製造方法。
  13. 塩基(2)が、アルコールアミンである請求項11〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録用マイクロカプセルインク組成物の製造方法。
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