JP2008274146A - ボールペン用水性インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インキ貯蔵体として中空の筒体を用いたボールペンに水性インキを使用した場合、ペン先を下向き方向に長時間放置したときにペン先のボールとボールホルダの微少な隙間からインキが洩れ出しやすいという問題があるが、長期間保存してもカスレなどの不具合を発生することなくインキの洩れだしを防止するインキ提供すること。
【解決手段】 着色剤と、水と、水溶性有機溶剤と、剪断速度0.175s-1における粘度が20000mPa・s以上200000mPa・s以下(測定温度25℃)であるシリコーンオイルを少なくとも含むボールペン用水性インキ組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インキ収納筒内に直接インキを充填するボールペンに用いる水性インキに関するもので、更に詳しくは、製品をペン先下向きにして長時間放置した場合の、ペン先からのインキの漏れ出しが発生し難いボールペン用水性インキに関するものである。
ボールペンは、繊維製ペン先や樹脂製ペン先などを用いた筆記具と比較して、比較的細い筆跡が得られると共に、繊維製ペン先や樹脂製ペン先を有する筆記具に比べて、長期間使用してもペン先の摩耗やつぶれなどによる筆跡巾の変化が少ないことから、広く使用されている。このようなボールペンに使用される水性インキ組成物の粘度は1mPa・s〜数mPa・s(25℃)のものと、50mPa・s〜2000mPa・s(25℃)のものとが知られている。1mPa・s〜数mPa・s(25℃)のものは主にインキ吸蔵体として中綿を用い、焼結した繊維芯を介してインキをペン先に吐出させる構造のボールペンに使用され、50mPa・s〜2000mPa・s(25℃)のものは主にインキ貯蔵体として中空の筒体を用い、インキ貯蔵筒の片方の端に直接あるいはペン先ホルダを介して取り付けたペン先に直接インキを供給する構造のボールペンに使用されている。従来のインキ貯蔵筒内に直接インキを充填するボールペンに用いる水性インキとしては、例えばキサンタンガム0.5重量%〜1.5重量%を増粘剤として含有させた水性ボールペン用インキ組成物(特許文献1参照)が知られている。
また、インキ漏れを防止するために高分子色素エマルジョンやラテックス粒子を添加し、ボールペンペン先におけるボールとボールホルダーとの隙間部分にこれらのエマルジョン粒子が形成する乾燥皮膜によって隙間を閉塞し、インキの流出を防ぐ提案がなされている。(特許文献2、3参照)
特開昭62−48777号公報 特開昭59−140273号公報 特開昭62−176281号公報
インキに剪断減粘性を付与したものでも、非筆記時の粘度の設定によってはインキ漏れを抑制できず、インキが漏れない程度の高粘度とすると、筆記した際にボール周辺のインキは流動するが、インキタンク内のインキは流動し難く追従していかないので、結局はインキ吐出が阻害され、筆記線が不連続となることがあった。また、高分子色素エマルジョンやラテックス粒子を添加したものでは乾燥皮膜が形成され難い多湿条件下での効果が期待できず、更に長期間未使用状態で保存された場合にはエマルジョン粒子の皮膜の乾燥が過剰に進行してインキの流路をエマルジョンの固化物で塞いでしまう場合があり、カスレや筆記不能などの不具合をおこしやすいという問題があり十分に満足できるものではなかった。
本発明は、着色剤と、水と、水溶性有機溶剤と、剪断速度0.175s-1における粘度が20000mPa・s以上200000mPa・s以下(測定温度25℃)であるシリコーンオイルを少なくとも含むボールペン用水性インキ組成物を要旨とするものである。
粘度が20000mPa・s以上200000mPa・s以下の範囲であるシリコーンオイルは、常温では流動性の乏しい粘ちょう状態であり、且つインキの主溶剤である水に溶解しない非水溶性の物質である。前記シリコーンオイルは、水性インキ中に分散された場合、ほぼ均一な分散状態となっている。このインキを充填したボールペンをペン先下向きにして放置した場合、ボールペンペン先部のボールとボールホルダーの微少な隙間をシリコーンオイルの微少な粒が埋めて粘ちょう物質の連続層を形成する。この連続層は粘ちょうなシリコーンオイルで形成されているため、インキの自重程度では容易にその層を破られることが無くインキの漏れだしを抑制することができ、またこの層は筆記の際のボールの回転を妨げるような固形物質の層ではないため、ボールの回転により連続層が容易に破れてインキを吐出させることができる。更に、この連続層は難揮発性のシリコーンオイルにより構成されているために吸湿や乾燥による変質がおき難い物質である。そのためボールペンペン先のボールとボールホルダーの隙間に形成したシリコーンオイルの連続層は乾燥固化や吸湿による軟化などの変質をおこすことなく長期間に渡りインキ漏れを防ぐ効果を維持することができる。また、シリコーンオイルの連続層には水を主としたインキ溶剤の透過、蒸発がし難くいという効果があり、そのため溶剤の蒸発によるペン先乾燥を抑制し、経時でのペン先部インキの乾燥や、ペン先内部インキの増粘によるカスレやインキ追従不良も防止することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
着色材としては、染料及び/又は顔料が使用できる。
染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料などのいずれも用いることができるが、ボールペンペン先のボールやボールホルダーの素材は、その種類によっては、pHが低いと腐食することがある為、pHが中性からアルカリ性で安定に溶解する直接染料、酸性染料を用いることが好ましい。その一例を挙げる。
直接染料としては、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同71、同86、同106、同199等が挙げられる。
酸性染料としては、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドエロー7:1、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同72、同61、同78、同110、同141、同135、同127、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同103、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27等が挙げられる。
塩基性染料としては、C.I.ベーシックイエロー1、同2、C.I.ベーシックオレンジ14、C.I.ベーシックレッド1、同9、同12、C.I.ベーシックバイオレット1、同3、同10、同14、C.I.ベーシックブルー1、同5、同7、同9、同26、C.I.ベーシックグリーン1、同4、C.I.ベーシックブラウン1などが挙げられる。
顔料としては、従来公知の顔料が使用でき、具体例としては、Special Black 6、同S170、同S610、同5、同4、同4A、同550、同35、同250、同100、Printex 150T、同U、同V、同140U、同140V、同95、同90、同85、同80、同75、同55、同45、同P、同XE2、同L6、同L、同300、同30、同3、同35、同25、同200、同A、同G(以上、デグサ・ジャパン(株)製)、#2400B、#2350、#2300、#2200B、#1000、#950、#900、#850、#MCF88、MA600、MA100、MA7、MA11、#50、#52、#45、#44、#40、#33、#32、#30、CF9、#20B、#4000B、(以上、三菱化成工業(株)製)、MONARCH 1300、同100、同1000、同900、同880、同800、同700、MOGUL L、REGAL 400R、同660R、同500R、同330R、同300R、同99R、ELFTEX 8、同12、BLACK PEARLS 2000(以上、米国、キャボットCo.LTD製)、Raven7000、同5750、同5250、同5000、同3500、同2000、同1500、同1255、同1250、同1200、同1170、同1060、同1040、同1035、同1020、同1000、同890H、同890、同850、同790、同780、同760、同500、同450、同430、同420、同410、同22、同16、同14、同825oil Beads、同H20、同C、Conductex 975、同900、同SC(以上、コロンビヤン・カーボン日本(株)製)などのカーボンブラック、KA−10、同10P、同15、同20、同30、同35、同60、同80、同90、KR−310、同380、同460、同480(以上、チタン工業(株)製)、P25(日本アエロジル(株)製)などの酸化チタン、BS−605、同607(以上、東洋アルミ(株)製)、ブロンズパウダーP−555、同P−777(以上、中島金属箔工業(株)製)、ブロンズパウダー3L5、同3L7(以上、福田金属箔工業(株)製)などの金属粉顔料、また、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロムなどの無機顔料、ハンザエロー−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、ベンジジンエロー、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキ、キノリンエロー、スダーン1、パーマネントオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGN、パーマネントブラウンFG、パラブラウン、パーマネントレッド4R、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミンBS、ピラゾロンレッド、レーキレッドC、キナクリドンレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー5B、チオインジゴレッド、ファストバイオレットB、ジオキサジンバイオレット、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、インジゴ、アシッドグリーンレーキ、フタロシアニングリーンなどの有機顔料などが挙げられる。また、この他に硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウムなどの無機蛍光顔料が挙げられる。
本発明に係るボールペン用水性インキ組成物では、着色剤に顔料を用いる場合、分散剤を併用することが好ましい。
更に、顔料を水性媒体に分散した水性インキベースを用いることは、顔料インキ製造上有利なことである。具体的には、Fuji SP Black 8031、同8119、同8167、同8276、同8381、同8406、同8556、同8922、Fuji SP RED 5096、同5111、同5193、同5220、同5543、同5544、Fuji SP Bordeaux 5500、Fuji SP Blue 6062、同6133、同6134、同6401、Fuji SP Green 7051、Fuji SP Yellow 4060、同4178、Fuji SP Violet 9011、Fuji SP Pink 9524、同9527、Fuji SP Orange 534、Fuji SP Brown 3074(以上、冨士色素(株)製)、Emacol Black CN、Emacol Blue FBB、同FB、同KR、Emacol Green LXB、Emacol Violet BL、Emacol Brown 3101、Emacol Carmmine FB、Emacol RED BS、Emacol Orange R、Emacol Yellow FD、同IRN、同3601、同FGN、同GN、同GG、同F5G、同F7G、同10GN、Sandye Super Black K、同C、Sandye Super Grey B、Sandye Super Brown SB、同FRL、同RR、同RR−E、Sandye Super Navy Blue HRL、同GLL、同HB、同FBL−H、同FBL−160、同FBB、Sandye Super Violet BL H/C、同BL、同BL−P、同BL−E、同BLN、同1105、Sandye Super Bordeaux FR、Sandye Super Pink FBL、同F5B、同F5B−E、Sandye Super Rubine FR、同FR−E、Sandye Super Carmine FB、同FB−E、Sandye Super Red FFG、同RR、同RR−E、同1321、同1321−E、同BS、Sandye Super Orange FL、同R、同R−E、同BO、Sandye Gold Yellow 5GR、同R、同3R、Sandye Super Yellow GG、同F3R、同IRC、同FGN、同GN、同GRS、同GSR−130、同GSN−130、同GSN、同GSN−E、同10GN、同10GS、同10GS−E、同D215、同D215−E、Sandye Super Green LXB、同LXB−E、(以上、山陽色素(株)製)、NKW−2305、同2305P(日本蛍光化学(株)製)、Rio Fast Black Fx 8012、同8313、同8169、Rio Fast Red Fx 8209、同8172、Rio Fast Red S Fx 8315、同8316、Rio Fast Blue Fx 8170、Rio Fast Blue Fx 8170、Rio Fast Blue S Fx 8312、Rio Fast Green S Fx 8314(以上、東洋インキ(株)製)、コスモカラーS 1000Fシリーズ(東洋ソーダ(株)製)、ビクトリアエロー G−11、同G−20、ビクトリアオレンジ G−16、同G−21、ビクトリアレッド G−19、同G−22、ビクトリアピンク G−17、同G−23、ビクトリアグリーン G−18、同G−24、ビクトリアブルー G−15、同G−25(以上、御国色素(株)製)、ポルックスブルー PC5T−1020、ポルックスブラック PC8T−135、ポルックスレッド IT−1030、ポルックスグリーンPC−4T1021等のポルックスシリーズ(以上、住化カラー(株)製)などが挙げられる。
上記の染料及び顔料といった着色剤は、単独或いは、他との組み合わせにより使用でき、その使用量は色調などによっても異なるが、少ない場合はインキの発色が悪くなり、多い場合は着色剤が溶解不良や分散不足となり各種不具合が発生するため、ボールペン用水性インキ組成物全量に対して0.1重量%以上40重量%以下が好ましい。
本発明のボールペン用水性インキ組成物の着色剤に顔料を用いる場合には顔料の分散剤として、従来一般に用いられている高分子分散剤や、アニオン系もしくはノニオン系の界面活性剤などで一般に顔料の分散剤として用いられるものが使用できる。一例として、高分子分散剤として、スチレン−アクリル酸共重合体の塩、スチレン−アクリル酸アルキルエステルを主成分とした共重合体の塩、スチレン−マレイン酸共重合体の塩、スチレン−マレイン酸アルキルエステルを主成分とした共重合体の塩などの水溶性高分子などが挙げられる。また、界面活性剤として、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。これら水溶性高分子及び界面活性剤は、その1種または2種以上を選択し、併用しても使用できる。その使用量は、少ない場合は添加する目的である分散効果が弱く、多い場合はボールペン用水性インキ組成物中の各組成物の溶解バランスを崩してしまい各種不具合が発生する懸念があるため、ボールペン用水性インキ組成物全量に対して0.1重量%以上15重量%以下が好ましい。
溶剤又は分散媒として主要剤である水の他に各種の水溶性有機溶剤を使用する。水溶性有機溶剤は、水性インキとしての種々の品質、例えば、ペン先でのインキ乾燥防止、低温時でのインキ凍結防止、顔料の分散媒等の目的で使用するものである。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、テトラリン、グリセリンなどのグリコール類やエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のエーテル類、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどが使用でき、またこれらは1種又は2種以上選択して併用できるものである。そして、その使用量は、少ない場合はボールペン用水性インキ組成物中の各組成物の溶解不足や分散不足により不溶・凝集物が発生し、多い場合はボールペン用水性インキ組成物中の各組成物の濃度が小さくなってその効果が小さくなり、各種不具合が発生するため、ボールペン用水性インキ組成物全量に対して5重量%以上40重量%以下が好ましい。
また、本発明のボールペン用水性インキ組成物には増粘性のある水溶性高分子や無機系増粘剤などの粘度調整剤を使用する。粘度調整剤は水性インキ組成物の粘度を上昇させてボールペンのインキ収容部に充填されたインキがインキ吸蔵体を使用しなくてもボールペン内部より容易に漏れ出さないようにするために使用するものであるが、顔料や合成樹脂粒子などのインキ組成物中に分散している成分の分散安定化にも寄与するものである。具体的には、合成系のポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、カルボキシビニルモノマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、N−ビニルアセトアミド重合架橋物、アクリル樹脂のアルカリ金属塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体、天然系のアラビアガム、トラガカントガム、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、デキストラン、半合成系のメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、及びこれらの誘導体などの水溶性高分子、合成スメクタイトなどの無機系増粘剤などが挙げられる。
これらの粘度調整剤を加える場合、使用量が少ない場合は増粘効果が得られず、多い場合はゲル化や顔料などの凝集等の問題を生じるため、ボールペン用水性インキ組成物全量に対して0.05重量%以上5.0重量%以下が好ましい。
本発明のボールペン用水性インキ組成物には、シリコーンオイルが必須成分であるが、シリコーンオイルの粘度が低すぎる場合はボールペンのペン先部分の密閉効果が不足したり、インキ中でシリコーンオイルの分離や合一により筆跡の油染みなどの不具合の原因となり、粘度が高すぎる場合にはペン先のボールの回転を妨げて筆記感が重くなったり、カスレ等の不具合が発生するため、剪断速度0.175s-1(測定温度25℃)の条件で測定したときの粘度が20000mPs・s以上200000mPa・s以下の範囲である必要がある。
シリコーンオイルは耐熱性、耐化学薬品性、耐酸化性に優れた特性を持つ極めて安定、且つ安全性の高い物質である。また近年のボールペン用インキには着色剤である顔料の分散剤や染料の可溶化剤、ペン先のボールの潤滑効果を上げるための潤滑剤や、防腐・防カビ剤、樹脂エマルション、表面張力調整剤、消泡剤等の多種多様な界面活性剤を含有する添加剤が使用されているが、これらの活性剤を含んでいる水性インキは界面活性剤の作用により、経時で多くの油脂類とは親和性が増す現象がある為、これらの活性剤成分との親和性が現われ難いシリコーンオイルをインキ漏れを防止する成分の基材として使用する。
シリコーンオイルとしてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのストレートシリコーンオイルや、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルなどの変性シリコーンオイルが使用できる。シリコーンオイルは具体的には、KF69、同92、同96、同99、同961、同965、同50、同56、同410、同412(信越化学工業(株)製)、SH200、同203、同230、同510、同550、同710、同702、同704、同705、同1107、同3746、同3749、同3771、同8400、同8410、同8700、SF8411、同8413、同8416、同8417、同8418、同8419、同8421、同8427、同8428、SRX310(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、TSF451、同453、同455、同460、同462、同465、同431、同433、同437、同484、同400、同401、YF33、同37、同25(東芝シリコーン(株)製)などが挙げられる。これらのシリコーンオイルは1種を単独で、または2種以上を混合したものを使用することができ、分子量が大きく粘度が20000mPa・s以上200000mPa・s以下の範囲であればそのまま使用でき、20000mPa・sより低いものでもシリコーンオイルに増粘剤を用いて粘度調整するなどして前期粘度範囲まで増粘することで使用することができる。
これらのシリコーンオイルを増粘させる場合は、ステアリン酸アルミニウムやステアリン酸リチウムなどの金属石けんや、パルミチン酸デキストリンなどの変性デキストリン、微粒子シリカ、粘土鉱物などが使用できるが、オルガノポリシロキサンやオルガノハイドロジェンポリシロキサン等のポリシロキサンを架橋結合させた架橋型変性シリコーンは、その構造中にシリコーンオイルと同様のシロキサン鎖部分を持っているためシリコーンオイルとの親和性が高く、増粘後の経時による低粘度油分の分離現象が少ないため好ましい。架橋型変性シリコーンの具体例としてはポリエーテル変性シリコーンを架橋したものとして、KSG−210、同310、同320、同330、同340(信越化学工業(株)製)が、ポリグリセリン変性シリコーンを架橋したものとしては、KSG−710、同810、同820、同830、同840(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
これらの増粘剤は、1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
その使用量は増粘後のシリコーンオイルの粘度が20000mPa・s以上200000mPa・s以下の範囲に入る量を添加することができる
剪断速度0.175s-1(測定温度25℃)の条件で測定したときの粘度が20000以上200000mPa・s以下の範囲のシリコーンオイルの水性インキへの使用量は、少ない場合はペン先からのインキ漏れだしを抑制する効果が不足し、多い場合はペン先部で凝集してインキの流動性を阻害するなどの不具合が発生するため、ボールペン用水性インキ全量に対して0.5重量%〜10重量%が好ましい。
また、本発明ではシリコーンオイルはインキ中に均一に分散されているが、その平均粒子径は15μm〜200μmの範囲であることが望ましい。それよりも小さい場合は、ボールペンのペン先部分の密閉効果が不足し、大きい場合はペン先内部のインキ流通路に詰まってインキの流れを阻害してカスレや筆記不能となったり、ボールペンを製造する工程においてボールペンに充填されたインキ内に存在する気泡を、ペン先側に遠心力が作用するように回転させることで抜くときにインキとの比重差によりインキから分離してしまうなどの不具合を生じてしまう。インキを調整したとき、非水溶性のゲル状物の平均粒子径が25μm以下であれば、そのまま使用することができるが、大きい場合にはインキ化するときにホモジナイザーなどの攪拌装置を使用する場合には回転数と攪拌時間を調整したり、ロールミルやサンドミルなどの分散機を使用する場合は、分散機への通し回数や、ロールの間隙距離やビーズミルの回転羽根の周速などの分散力を調節することで希望の平均粒子径のゲル粒子を得ることができる。また、調整したインキを適当な孔径のメッシュやろ紙などでろ過することで粗大粒子分を除去し、希望の粒子径以下のみを選択的に残すこともできる。
水性インキ中に分散したシリコーンオイルの粒子径は、ガラス板に薄く伸ばしたインキを光学顕微鏡で100倍に拡大して粒子を観察することで確認できる。このとき、LabView5.1(National Instruments社製画像処理ソフト)を用いると容易に平均粒子径をもとめることができる。
更に、前記シリコーンオイルには、必要に応じてショ糖脂肪酸エステル等の経時安定剤やポリメタクリレート等の流動点降下剤や粘度指数向上剤や酸化防止剤などの従来公知の油脂添加剤を用いることができる。
本発明で増粘したシリコーンを使用する場合にはインキの調整に先駆け、予めシリコーンオイルを増粘しておくことが望ましい。基材となるシリコーンオイルに前記架橋型変性シリコーンなどの増粘剤と、必要に応じて各種添加剤を加えて攪拌機やコロイドミルやホモジナイザー等の混合機で混ぜ合わせることで得ることができるが、増粘したシリコーンオイルは常温(23℃〜27℃)では流動性の乏しい粘ちょうな状態である。その為、シリコーンオイルを増粘する場合、加熱しながら撹拌すると短時間に均一にすることができる。その場合基材となるシリコーンオイルを撹拌機で撹拌しながら80℃〜160℃程度に加熱して各添加物を投入し、更に撹拌した後冷却することでほぼ均一な粘ちょう状態を得ることができる。また、加熱攪拌による混合の後、常温まで徐冷したシリコーンオイルを二本ロールや三本ロール等のロールミルで混練する方法は増粘したシリコーンオイルを更に均一にすることができるので好ましい。
また、インキには粘度調整のため、又は着色剤や非水溶性のゲル状物などの分散安定化のために、増粘性のある水性剪断現粘性樹脂を併用することもできる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルモノマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂のアルカリ金属塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体、天然系のアラビアガム、トラガカントガム、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、デキストラン、半合成系のメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
更に、本発明のボールペン用水性インキ組成物には、pH調整剤を使用することができる。pH調整剤としては、主溶剤である水に溶解し、アルカリ性を示す種々の物質が使用できる。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの水酸化アルカリ類の他、炭酸ナトリウム、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなどが使用できる。これらは必要に応じて1種又は2種以上を選択して併用することができる。
また、黴の発生によるインキ通路におけるインキの流出阻害を抑制するためにデヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸エステル、安息香酸ナトリウムなどの防腐防黴剤を所望により本発明の作用効果に対して悪影響を及ぼさない範囲で加えることもできる。これら防腐防黴剤を加える場合は、少ない場合は防腐防黴効果が不足し、多い場合は結晶の析出・溶解不良等の不具合が生じるため、ボールペン用水性インキ組成物全量に対して0.01重量%以上5重量%以下が好ましい。
更に、ペン先等の金属の腐食防止のためにベンゾトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸などの防錆剤等の各種添加剤を使用することができる。
また、ペン先のボールとボールホルダーの摩擦抵抗を小さくしてボールが円滑に回転するようにし、ボール受け座の磨耗を抑制するため、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの脂肪酸やそれらの誘導体などの潤滑剤を使用することができる。
本発明のインキを製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ターボミキサーなどの攪拌機やボールミル、サンドグラインダー、スピードラインミル、ロールミル等の分散機により混合分散し、必要に応じてメッシュやろ過器などで粗大粒子を除去することによって容易に得ることができる。このときの製造手順としては、先ず非水溶性の半固形状物質を調整しておき、別に非水溶性の半固形状物質を添加しないベースとなるインキを調整する。次にベースとなるインキに非水溶性の半固形状物質を添加して、前記の撹拌機や分散機で混合分散を行い、最後に孔径25μmのメッシュを通す等方法があげられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
まず、剪断速度0.175s-1(測定温度25℃)の条件で測定したときの粘度が20000以上200000mPa・s以下の範囲であるシリコーンオイルの組成物を調整する。
(シリコーンオイル1)
TSF451−10M(シリコーンオイル、剪断速度0.175s-1(測定温度25℃)の条件で測定したときの粘度が97500mPa・s、東芝シリコーン(株)製)をそのまま用いて、シリコーンオイル1とする。
(シリコーンオイル2)
SH230(シリコーンオイル、剪断速度0.175s-1(測定温度25℃)の条件で測定したときの粘度が1300mPa・s、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
88.0重量部
アエロジルR972(微粒子シリカ、増粘剤、日本アエロジル(株)製)12.0重量部
上記各成分を混合し,電熱器で110℃に加熱しながら攪拌機にて2時間混合処理を行い、室温まで冷却した後、更に三本ロールミルにて2回混練処理を行ってシリコーンオイル2を得た。剪断速度0.175s-1(測定温度25℃)の条件で測定したときのシリコーンオイル2の粘度は、32500mPa・sであった。
(シリコーンオイル3)
KF96−3000(シリコーンオイル、剪断速度0.175s-1(測定温度25℃)の条件で測定したときの粘度が2910mPa・s、信越化学工業(株)製)
95.0重量部
アエロジルR972(微粒子シリカ、増粘剤、日本アエロジル(株)製) 3.5重量部
レオパールKE(パルミチン酸デキストリン、増粘剤、千葉製粉(株)製)1.5重量部
上記成分の、KF96−3000を電熱器で90℃に加熱しながら、撹拌機で撹拌する。KF96−3000がほぼ均一に加熱され、全体が流動するようになったら上記成分のアエロジルR972とレオパールKEを各々振り入れてから更に撹拌する。アエロジルR972とレオパールKEを添加後2時間撹拌した後、室温まで冷却してシリコーンオイル3を得た。剪断速度0.175s-1(測定温度25℃)の条件で測定したときのシリコーンオイル3の粘度は、82000mPa・sであった。
(シリコーンオイル4)
TSF451−2000(シリコーンオイル、剪断速度0.175s-1(測定温度25℃)の条件で測定したときの粘度が1950mPa・s、東芝シリコーン(株)製)
80.0重量部
KSG210(架橋型ポリエーテル変性シリコーン、増粘剤、信越化学工業(株)製)
20.0重量部
上記成分の、TSF451−2000を電熱器で120℃に加熱しながら、撹拌機で撹拌する。TSF451−2000がほぼ均一に加熱され、全体が流動するようになったら上記成分のKSG210を添加し、更に撹拌する。KSG210を添加後1時間撹拌した後、室温まで冷却した後、更に三本ロールミルにて2回混練処理を行ってシリコーンオイル4を得た。剪断速度0.175s-1(測定温度25℃)の条件で測定したときのシリコーンオイル4の粘度は、184000mPa・sであった。
(実施例1)
三菱カーボンブラック #1000(黒色顔料、三菱化成(株)製)
10.0重量部
ナイミーンS−210(分散剤、日本油脂(株)製) 0.8重量部
ジョンクリル734(アクリル樹脂エマルション、BASFジャパン(株)製)
15.0重量部
ケルザン(増粘剤、三晶(株)製) 0.3重量部
バイオタック(防腐剤、クミアイ化学工業(株)製) 0.2重量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0重量部
エチレングリコール(水溶性有機溶剤) 12.0重量部
グリセリン(水溶性有機溶剤) 8.0重量部
イオン交換水 49.7重量部
シリコーンオイル1 3.0重量部
上記成分のうち、ケルザンとシリコーンオイル1を除いた各成分を混合し、ボールミルにて8時間分散した後、ケルザンとシリコーンオイル1を添加し、ホモジナイザー(分散機、ULTRA−TURRAX T50、IKAジャパン社製)にて1時間分散して水性黒色顔料インキを得た。このインキに分散されたシリコーンオイル1の平均粒子径は18μmであった。
(実施例2)
C.I.Acid Red 87(赤色染料) 2.5重量部
C.I.Acid Red 92(赤色染料) 3.0重量部
ポバール105(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製) 5.0重量部
バイオタック(前述) 0.1重量部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 0.3重量部
モノエタノールアミン(pH調整剤) 2.0重量部
グリセリン(前述) 8.0重量部
プロピレングリコール(水溶性有機溶剤) 10.0重量部
イオン交換水 61.1重量部
シリコーンオイル2 8.0重量部
上記成分のうちシリコーンオイル2を除いた各成分を混合し、攪拌機で4時間撹拌した後、シリコーンオイル2を添加し、更にホモジナイザーで30分間分散して水性赤色染料インキを得た。このインキに分散されたシリコーンオイル2の平均粒子径は45μmであった。
(実施例3)
LIONOL BLUE SM(青色顔料、東洋インキ製造(株)製) 11.0重量部
EXCEDIC VIOLET ST202(紫色水性顔料分散体、大日本インキ(株)製) 5.0重量部
ジョンクリル354J(分散剤、BASFジャパン(株)製) 12.0重量部
カーボポール1342(増粘剤、BFGoodrich社製) 0.15重量部
バイオタック(前述) 0.2重量部
ベンゾトリアゾール(前述) 0.2重量部
20%水酸化ナトリウム水溶液(pH調整剤) 0.4重量部
エチレングリコール(前述) 12.0重量部
プロピレングリコール(前述) 7.0重量部
イオン交換水 46.05重量部
シリコーンオイル3 6.0重量部
上記成分のうちカーボポール1342と20%水酸化ナトリウム水溶液とシリコーンオイル3を除いた各成分を混合し、ボールミルで7時間分散した後、カーボポール1342を添加して撹拌機で2時間、更に20%水酸化ナトリウム水溶液を添加して1時間撹拌する。次にシリコーンオイル3を添加し、ホモジナイザーで12分間分散して水性青色顔料インキを得た。このインキに分散されたシリコーンオイル3の平均粒子径は180μmであった。
実施例4
C.I.Acid Blue 9 5.0重量部
ケルザン(前述) 0.8重量部
ポリエチレングリコールモノオレエート(界面活性剤) 0.05重量部
サンアイバックITW(防腐剤、三愛石油(株)製) 0.3重量部
ベンゾトリアゾール(前述) 0.4重量部
ジエタノールアミン(pH調整剤) 0.9重量部
ジプロピレングリコール(水溶性有機溶剤) 15.0重量部
エチレングリコール(前述) 5.0重量部
イオン交換水 68.55重量部
シリコーンオイル組成物4 1.0重量部
上記各成分のうちシリコーンオイル4を除いた各成分を混合し、撹拌機で6時間撹拌する。次にシリコーンオイル4を添加してホモジナイザーで10分間分散し、更にろ過フィルタ(ボンメッシュBM150、ろ過粒度109μm、(株)ニチダイ製)にて粗大粒子をろ過して水性青色染料インキを得た。このインキに分散されたシリコーンオイル4の平均粒子径は85μmであった。
(比較例1)
実施例1のインキのシリコーンオイル1の全量をKF50(シリコーンオイル、剪断速度0.175s-1(測定温度25℃))の条件で測定したときの粘度が2,970mPa・s、信越化学工業(株)製)に置き換え、更にホモジナイザーによる分散時間を5分間にした他は実施例1と同様にして水性黒色顔料インキを得た。このインキに分散されたKF50の平均粒子径は16μmであった。
(比較例2)
実施例2のインキのシリコーンオイル2の全量を水に置き換えた他は実施例2と同様にして水性赤色染料インキを得た。このインキには分散された粒子は認められなかった。
(比較例3)
実施例3のインキのシリコーンオイル3の全量を水に置き換えた他は実施例3と同様にして水性青色顔料インキを得た。このインキには分散された粒子は認められなかった。
(比較例4)
実施例4のインキのシリコーンオイル3の全量を水に置き換えた他は実施例4と同様にして水性青色染料インキを得た。このインキには分散された粒子は認められなかった。
(比較例5)
実施例4のインキのシリコーンオイル4の全量をKF96H−500000(シリコーンオイル、剪断速度0.175s-1(測定温度25℃))の条件で測定したときの粘度が487500mPa・s、信越化学工業(株)製)に置き換えた他は実施例4と同様にして水性青色染料インキを得た。このインキに分散されたKF96H−500000の平均粒子径は98μmであった。
実施例1〜4及び比較例1〜5に記載のインキを、市販のボールペン(ハイブリッドK177、ぺんてる(株)製)に充填した。ハイブリッドK177は、半透明な合成樹脂製のパイプをインキ収納筒とし、その先端に直径が0.7mmのボールを使用したボールペンペン先を備えたペン先ホルダーが装着された構造のボールペンリフィルを用いたボールペンである。インキ収納筒の内部には、ペン先側に水性インキが、後端側にαオレフィンオリゴマーを主成分とした難揮発性油を増ちょうさせたインキ追従体が互いに接触して直接充填されるものである。このボールペンをペン先の方向に遠心力が働くように配置して、遠心分離機(国産遠心器(株)製:卓上遠心機H−103N)で遠心処理を施し、筆記具内に存在する気体を除去して、ボールペン試料とし、次の試験を行った。
まず筆記用紙にボールペン試料で、縦15mm、横40mmの範囲に手書きで螺旋状に連続4丸筆記を行い、次にペン先を大気に解放した状態で、且つペン先部を何にも触れさせずに下向きになるようにボールペン試料を固定し、室内で放置した。
次に1時間と24時間及び3日間放置した後ペン先部のボールとボールホルダーの微少な隙間からのインキの洩れだしの確認と、再筆記を行った。結果を表1に示す。
尚、各評価項目の評価基準は以下の通りである。
インキ洩れだし評価基準
○:インキの洩れだしなし
△:ペン先部にインキの滴がたまる
×:インキの滴がペン先から落下する
再筆記状態の評価基準
○:書き出しから異常なく筆記できる
△:書き出し部でかすれるが4丸筆記以内に通常筆記状態に復元する
×:4丸以上筆記に異常が認められる
以上、詳細に説明したように、本発明のボールペン用水性インキは、インキ収納筒内に直接インキを充填するボールペンに用いて、製品をペン先下向きにして長時間放置した場合の、ペン先からのインキの洩れ出しが発生し難く、また長期間保管してもカスレなどの異常が発生し難いものである。

Claims (4)

  1. 着色剤と、水と、水溶性有機溶剤と、剪断速度0.175s-1における粘度が20000mPa・s以上200000mPa・s以下(測定温度25℃)であるシリコーンオイルを少なくとも含むボールペン用水性インキ組成物。
  2. 前記のシリコーンオイルが、平均粒子径が15μm以上200μm以下の大きさでインキ中に分散されている請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
  3. 前記シリコーンオイルに架橋型変性シリコーンを混合し、剪断速度0.175s-1における粘度が20000mPa・s以上200000mPa・s以下(測定温度25℃)とした請求項1又は請求項2に記載のボールペン用水性インキ組成物。
  4. 更に剪断減粘性樹脂を含む請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013040302A (ja) * 2011-08-19 2013-02-28 Pilot Corporation 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン
JP2017014355A (ja) * 2015-06-30 2017-01-19 株式会社パイロットコーポレーション 水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いた水性ボールペン
JP2019014769A (ja) * 2017-07-03 2019-01-31 大日精化工業株式会社 筆記具用の水性顔料インキ組成物及び該インキ組成物を搭載した中綿式サインペン

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