JP4401698B2 - タイヤ性能のシミュレーション方法及びタイヤ設計方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4輪を装着した実車の走行状態を想定して、有限要素法を用いてタイヤ性能を静的にシミュレーションするタイヤ性能のシミュレーション方法、これを利用したタイヤ設計方法、及びその設計値に基づいてタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤの形状やトレッドパターン等を設計するにあたり、タイヤが走行している間の変形度合いや内部応力を計算により知ることできれば、有用な情報となる。しかし、タイヤは、形状・構造が複雑であり、タイヤ走行中はトレッド部などが路面に接触して変形することから、計算が難しい非線形な解析を行わなければならない。
【0003】
そこで、コンピュータの性能が飛躍的に進歩してきたことと相まって、かかるタイヤの走行特性を解析するために有限要素法(FEM)が利用されてきている。有限要素法とは、構造体を多数の小さな要素に分割し、解析する方法である。この有限要素法によるコンピュータ解析により、複雑なタイヤ走行を解析し、タイヤの設計に反映させることができるようになった。
【0004】
例えば、有限要素法を利用した動的なシミュレーション方法として、タイヤを有限個の多数の要素に分割した有限要素モデルを構築し、仮想路面に接地させて所定の走行条件で走行させるシミュレーションを行い、走行中の有限要素モデルから所定の情報を取得するタイヤ性能シミュレーション方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、上記のような動的シミュレーション方法において、タイヤ有限要素モデルに軸荷重を与えたり、タイヤ有限要素モデルと仮想路面との間の摩擦係数を含む走行条件を設定する方法も存在する(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
更に、上記のような動的シミュレーション方法において、タイヤ単独でシミュレーションして得られたタイヤ特性データに基づいて、タイヤ4輪を装着した車両の走行状態をシミュレーションするステップを含むタイヤ設計方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、上記のように動的なシミュレーション方法を行う場合、シミュレーションされる経時的な状態の変化を逐次コンピュータで計算していく必要があるため、シミュレーション結果を得るまでに長時間かかるという問題があった。つまり、コンピュータの性能にもよるが、例えば、有限要素モデルに対して、標準的な荷重条件と摩擦係数を与えて、直線走行(タイヤ単独でのシミュレーション)させる動的シミュレーションによって、タイヤの燃費性能を評価する場合、24時間程度の時間がかかっていた。これに対して、静的なシミュレーションによって、タイヤ有限要素モデルと仮想路面とを相対移動させずに(仮想走行を行わずに)、上記と同様の評価結果を得るには、1時間かかるだけであり、時間を1/24程度に短縮できる。
【0008】
このような静的なシミュレーションによって、タイヤの燃費性能を評価する方法としては、次の方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。まず、タイヤ有限要素モデルに内圧と垂直荷重を負荷した状態で、有限要素法により、タイヤ全体についてタイヤ1周分の応力と歪みの変動を計算する。その変動を、タイヤ回転速度に対応する角速度の関数とし、これをフーリエ級数展開を利用して各次数ごとに、粘弾性による位相差を導入してヒステリシスループを作成し、各々の面積を求める。これを各要素ごとに計算し、合計したものをタイヤ1周分の損失エネルギーとし、これを転がり抵抗値に換算する方法である。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−153520号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】
特開平11−201875号公報(第2頁、図8)
【特許文献3】
特開2002−356106号公報(第2頁、図5)
【非特許文献1】
加部和幸ら著「転がり抵抗低減のための構造技術」日本ゴム協会誌、第73巻、第2号(2000)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際のタイヤの燃費性能を評価する場合、直進走行だけでなく、旋回、駆動、制動などが行われるため、これを行わずに直進走行だけを上記の如き方法で静的にシミュレーションした場合、実測値からのズレが大きくなることが判明した。従って、静的なシミュレーションにおいても、実走行モードを忠実に再現する必要がある。
【0011】
しかし、仮想走行を行う動的なシミュレーションの場合では、実走行モードの条件をそのまま採用すればよいが、静的なシミュレーション方法では、動的な走行状態を静的な状態にモデル化する上で、その精度を高めるための条件設定の工夫が必要であり、条件設定が難しい面も多い。例えば、キャンバー角については、タイヤ有限要素モデルを仮想路面に接地させた状態で、ホイル軸を傾斜させると、静的なシミュレーション方法では、接地面付近でタイヤに横力が生じるため、モデル状態として不適切となる。このため、静的手法では、直進走行だけをシミュレーションする方法のみが、これまで知られていた。
【0012】
また、4輪を装着した実車の走行状態をシミュレーションする場合にも、動的な走行状態を静的な状態にモデル化する上で、その精度を高めるための条件設定の工夫が必要となる。なお、静的手法において過度に複雑な条件を設定する場合、計算が長時間となるため、静的シミュレーションを採用する意義が失われる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、静的なシミュレーション方法において、4輪を装着した実車の走行状態をモデル化しながら、比較的短時間でより精度の高いタイヤ性能の評価結果が得られるタイヤ性能のシミュレーション方法、これを利用したタイヤ設計方法、及びその設計値に基づいてタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明のシミュレーション方法は、有限個の多数の要素に分割されたタイヤ有限要素モデルによって評価しようとするタイヤを近似し、有限要素法を用いて前記タイヤ有限要素モデルからタイヤ性能を静的にシミュレーションするタイヤ性能のシミュレーション方法において、予めコントロールタイヤを4輪装着した車両に対して特定の走行状態で動的なシミュレーションを行い、その結果として各々のタイヤに生じる外的条件を求めておき、前記外的条件に基づいて前記タイヤ有限要素モデルの境界条件を設定し、前記外的条件の異なるタイヤの各々について前記走行状態を静的にシミュレーションし、そのシミュレーションで得られた各々のタイヤの物理量から4輪トータルのタイヤ性能の評価値を計算することを特徴とする。
【0015】
本発明のシミュレーション方法によると、予めコントロールタイヤによる車両の走行状態を動的にシミュレーション(車両走行シミュレーション)して、各々のタイヤに生じる外的条件を求めて、これを各々のタイヤの静的なシミュレーションに利用するため、4輪を装着した実車の走行状態をモデル化しながら、比較的短時間でタイヤ性能を評価することができる。その際、外的条件に基づいて前記タイヤ有限要素モデルの境界条件を設定するため、実車の走行状態をタイヤの静的なシミュレーションに反映させることができ、より精度の高いタイヤ性能の評価結果が得られるようになる。
【0016】
上記において、前記外的条件が、各々のタイヤに生じる垂直荷重を含むと共に、走行状態として旋回走行を設定した場合には、スリップ角を含むものであることが好ましい。実車の走行状態を再現する際、各々のタイヤに生じる垂直荷重が大きく異なるため、これを静的なシミュレーションに反映させることで、タイヤ性能の評価精度をより高めることができる。また、走行状態として旋回走行を設定した場合のスリップ角も重要なファクターであり、これを静的なシミュレーションに反映させることで、タイヤ性能の評価精度をより高めることができる。
【0017】
また、前記特定の走行状態として、定常直進走行、旋回走行、駆動時走行、及び制動時走行を設定し、各々の走行状態で前記外的条件を求めておき、各々の走行状態のシミュレーションで得られた物理量に、走行モード比に応じた重みづけを行って前記評価値を計算することが好ましい。この場合、走行状態として、定常直進走行、旋回走行、駆動時走行、及び制動時走行を含むため、実走行を最も忠実にシミュレーションできるようになる。また、走行モード比に応じた重みづけを行うため、各々のシミュレーション結果がより精度良く、タイヤ性能に反映されることになる。
【0018】
更に、前記タイヤに生じる外的条件が左右のタイヤについて同じ場合に、前輪タイヤと後輪タイヤについて静的なシミュレーションを行い、得られた2輪のタイヤの物理量を4輪分の物理量に換算することが好ましい。これによりタイヤ2輪分のシミュレーションを省略することができ、より短時間で4輪トータルのタイヤ性能の評価値を計算することができる。
【0019】
一方、本発明のタイヤ設計方法は、上記いずれかに記載のタイヤ性能のシミュレーション方法により、所定の設計値に基づいてモデル化したタイヤに対してタイヤ性能の評価を行い、得られた評価結果が目標性能を達成していない場合に、前記タイヤの設計値を変更し、前記目標性能を達成するまで、前記タイヤ性能のシミュレーション方法を繰り返して、目標性能を達成する設計値を得ることを特徴とする。
【0020】
本発明のタイヤ設計方法によると、静的なシミュレーション方法において、簡易な付加条件の採用により、比較的短時間でより精度の高い燃費性能の評価結果が得られるタイヤ性能のシミュレーション方法を利用するため、これを繰り返すことで比較的短時間でより精度の高い設計値を得ることができる。
【0021】
他方、本発明の空気入りタイヤの製造方法は、上記のタイヤ設計方法によって得られた設計値に基づいて、タイヤを製造することを特徴とする。本発明の空気入りタイヤの製造方法によると、設計・試作・評価を繰り返す従来の製造方法などに比べて、短時間で最適な性能に近い空気入りタイヤを製造できるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、(a)実タイヤと(b)タイヤ有限要素モデルとの関係を示している。図2は、本発明のシミュレーション方法の一例のフローチャートを示し、図3〜図4、及び図8は、そのサブルーチンの一例を示すフローチャートである。図5〜図7、本発明における外力等の負荷状態を示している。
【0023】
本発明では、図2に示すように、静的なシミュレーションを行うに先立って、コントロールタイヤを4輪装着した車両に対して特定の走行状態で動的なシミュレーション(車両走行シミュレーション)を行い、その結果として各々のタイヤに生じる外的条件を求めておく(ステップ#2)。
【0024】
その際、予め特定の走行状態を設定する(ステップ#1)。本発明では、対象とする走行状態として、定常直進走行、旋回走行、駆動時走行、又は制動時走行の何れか又はその複数もしくは全部を設定することができる。例えば、燃費性能、耐久性、ハンドリング性能、制動特性、旋回性能などをシミュレーションする場合、定常直進走行、旋回走行、駆動時走行、及び制動時走行を設定するのが好ましい。以下、上記の4種の走行状態を設定する場合の実施形態について説明する。
【0025】
1つの走行状態を設定して動的なシミュレーションが行われると、必要な走行状態についてシミュレーションが完了したかを判定し(ステップ#3)、必要な走行状態(例えば1種〜4種)が完了するまで、ステップ#1〜ステップ#3を繰り返す。その際、順次設定する走行状態の順序は何れでもよい。
【0026】
ステップ#2の動的なシミュレーションは、例えば特開2002−356106号公報に記載の方法に基づいて行うことができる。具体的には図3に示すフローチャートにしたがって、以下のように行えばよい。
【0027】
まず、コントロールタイヤの設計値を入力する(#2−1)。ここでは、具体的なタイヤの各部の寸法、形状の入力を行う。コントロールタイヤとしては、装着する車両の標準タイヤや改良設計の基礎となるタイヤなどが選択できる。
【0028】
次にコントロールタイヤをモデル化する(#2−2)。このモデル化は、 数値解析法に基づく走行シミュレーションを行うためのものであり、例えば、有限要素法による解析を行う。タイヤ有限要素モデルの設定については、後述する静的なシミュレーションと同様に行うことができる。
【0029】
次に、タイヤ走行条件を入力する(#2−3)。タイヤ走行条件とは、タイヤ空気圧、タイヤ負荷力、タイヤ走行速度、タイヤ軸周りモーメント負荷、タイヤの路面に対する姿勢角(スリット角、キャンバー角)、仮想路面の形状と寸法、路面の界面性状、摩擦条件等である。
【0030】
次に、 タイヤ走行シミュレーションを行う(#2−4)。つまり、入力された設計値のタイヤを入力されたタイヤ走行条件で走行させるシミュレーションを行う。タイヤ走行シミュレーションは、各種の手法が公知であり、特開平11−153520号公報や特開平11−201875号公報などに詳細に記載されている。
【0031】
これにより、タイヤ特性データを獲得する(#2−5)。このタイヤ特性データとしては種々のデータを獲得できるが、引き続いて行われる車両走行シミュレーションに必要なデータは次の通りである。すなわち、タイヤの縦・横バネ定数、タイヤ半径、タイヤ断面高さ、転がり抵抗係数、ダンピング係数、最大摩擦係数、 ロック摩擦係数、 スリップ剛性、タイヤ軸荷重ごとの、CF−SA,SAT−SA,CT−CA関係を表わす点列データ等である。ただし、CFはコーナリングフォース、SAはスリップ角、SATはセルフアライニングトルク、CTはキャンバスラスト、CAはキャンバー角である。なお、点列データについては、マジックフォーミュラと呼ばれるモデル式で表現するための定数一式で代用することもできる。
【0032】
次に、タイヤ走行シミュレーションにより得られたタイヤ特性データのうち、車両走行シミュレーションに必要なデータが車両シミュレーションプログラムに引き渡される(#2−6)。
【0033】
次に、 車両のモデル化を行う(#2−7)。車両のモデル化は、走行シミュレーションに必要な機構部分のみをモデル化すればよい。例えば、サスペンション(寸法や形式やバネ定数等の機械的特性)、ステアリング系等をモデル化する。また、タイヤ軸間距離、車両の重量、重心位置等のデータも入力する。このモデル化により、(株)電通国際情報サービスのADAMS等の市販のソフトウエアによる機構解析を行うことができる。
【0034】
次に、車両走行条件を入力する(#2−8)。これは、車両をどのように走行させるかを入力するものであり、定常直進走行、旋回走行、駆動時走行、及び制動時走行等に対する走行条件が入力される。走行条件としては、走行速度、加速条件、制動条件、操舵角、旋回軌跡などを設定することができる。
【0035】
上記のようなモデル化及び必要なデータの入力を経て、 車両走行シミュレーションを行う(#2−9)。この車両走行シミュレーションは、最初にモデル化されたタイヤを車両に装着した状態で行われる。車両走行シミュレーションは、主に連立微分方程式で表される車両運動モデルあるいは自動車の主要構成部材を剛体または弾性体の集合とみなした多体連結モデルに基づいて、自動車の運動をコンピュータで解析することで行うことができる。例えば前記の市販のソフトウエアを用いて、前述したタイヤ特性データと走行条件の入力により、解析を行うことができる。
【0036】
その結果として、各々のタイヤに生じる外的条件を獲得する(#2−10)。外的条件としては、タイヤの各方向(ホイル軸方向、垂直方向、前後方向)と、各方向回りの回転の外力・トルクや変位・回転、その速度、加速度などが挙げられる。本発明では、外的条件として、各々のタイヤに生じる垂直荷重を含むと共に、設定する走行状態に応じて、スリップ角又は加速度を含むことが好ましい。その他の外的条件としては、キャンバー角、走行加速度等が重要である。
【0037】
図3に示すサブルーチンのフローチャートでは、ステップ#2−3で、予め決めておいたタイヤ走行条件を入力し、ステップ#2−10で得られるタイヤの外的条件との比較を行わない例を示したが、この処理では両者の値の差が大きくなる場合がある。従って、ステップ#2−3で入力したタイヤ走行条件を、ステップ#2−10で取り出して、両者を比較し、その差が一定以下(又は収束)になるまで、ステップ#2−3からステップ#2−10を繰り返してもよい。その場合、例えば、両者の平均値を新たなタイヤ走行条件として、ステップ#2−3で入力する方法などが有効である。
【0038】
本発明では、図2に示すように、必要な動的シミュレーションが完了して(#1〜#3)、各種の走行状態に応じて各々のタイヤに生じる外的条件を求めた後に、その外的条件に基づいてタイヤ有限要素モデルの境界条件を設定し、前記外的条件の異なるタイヤの各々について夫々の走行状態を静的にシミュレーションする(#4〜#8)。
【0039】
まず、走行状態の選定を行う(#4)。このとき、先に行われた車両の走行シミュレーションの何れかが選択される。これに基づき、予め獲得した、各々の走行状態に対応する外的条件のデータを、静的シミュレーションを行うソフトウエアに引き渡す。
【0040】
次に、タイヤTnの選定を行う(#5)。タイヤTnの選定は、無条件に4輪全てを選定の対象にしてもよいが、前記外的条件の異なるタイヤのみを対象にするのが、計算時間を短縮する上で好ましい。例えば、定常直進走行、駆動時走行、及び制動時走行のように、外的条件が左右のタイヤについて同じ場合に、前輪タイヤと後輪タイヤについて合計2輪分を選択の対象にすればよい。また、定常直進走行についても、前輪タイヤと後輪タイヤについて合計2輪分を選択の対象にすればよい。
【0041】
タイヤTnの選択に基づいて、予め獲得した、各々の走行状態および各タイヤに対応する外的条件のデータを、静的シミュレーションを行うソフトウエアに順次引き渡す。
【0042】
次に、タイヤTnについて静的なシミュレーションを行う(#6)。つまり、本発明では、外的条件に基づいてタイヤ有限要素モデルの境界条件を設定し、前記外的条件の異なるタイヤの各々について前記走行状態を静的にシミュレーションする。その際、有限個の多数の要素に分割されたタイヤ有限要素モデルによって評価しようとするタイヤを近似し、有限要素法を用いて前記タイヤ有限要素モデルからタイヤ性能を静的にシミュレーションする。
【0043】
このシミュレーションは、図4に示すフローチャートにしたがって、以下のように行えばよい。図4に示すように、タイヤ有限要素モデルの設定、外力等の境界条件の設定、シミュレーションの実行、タイヤの物理量の獲得などが実行される。
【0044】
まず、タイヤ有限要素モデルの設定(#6−1)について説明する。図1(a)はモデル化の対象となる空気入りタイヤの一例のタイヤ子午線断面図であり、図1(b)は有限個の多数の要素に分割されたタイヤ有限要素モデルの一例である。
【0045】
図1(a)に示すように、タイヤは、トレッド部12からサイドウォール部13を経て、ビード部14のビードコア15の回りで折り返され、コードをタイヤのラジアル方向又はバイアス方向に配設したカーカス層16と、このカーカス層16の外側かつトレッド部12の内方に配されるベルト層17とを含むコード補強材を具える。
【0046】
ベルト層17は、本例ではタイヤ周方向に対して20度程度の角度で並列された内、外2枚のベルトプライが前記コードが交差する向きに積層されて構成される。また、前記ベルト層17の外側に、有機繊維コードをタイヤ周方向に実質的に平行に配列したバンド層19を具え、高速走行時のベルト層17のリフティングを防止している。
【0047】
なお前記カーカス層16は、例えばポリエステルなどの有機繊維コードを、またベルトプライはスチールコードを、それぞれシート状のトッピングゴムにより被覆されて構成されている。
【0048】
また、タイヤは、前記各コード補強材の外側に、トレッドゴム20、サイドウォールゴム21、ビードゴム22などを具える。トレッドゴム20は、ベルト層17の外側に配され、タイヤ子午断面において縦溝の溝底ラインを通りトレッド部12の表面に略沿ってのびるベースゴムと、その外側に配され路面と接触して様々な力を伝達するキャップゴムとから構成された2層構造を例示される。トレッド部12の外表面には、所定のトレッドパターンが形成されている。
【0049】
サイドウォールゴム21は、例えば前記トレッドゴム20よりも柔軟なゴムを用いるのが好ましく用いられ、またビードゴム22は、リムフランジと接触する嵌合部付近に配され、例えば比較的弾性率の大きくかつ耐摩耗性に優れたゴムが用いられる。
【0050】
上記のようなタイヤを、図1(b)に示すような有限個の多数の要素に分割したタイヤ有限要素モデル2で近似する方法としては、汎用のプログラム言語(フォートラン等)を用いて、独自のプログラムを作成し、これをパーソナルコンピュータ等で実行することも可能であるが、市販のFEM解析用ソフトウエアを利用するのが簡便である。市販のソフトウエアとしては、ABAQUS Inc.社のABAQUS、エムエスシーソフトウエア(株)のMARC、およびサイバネットシステム(株)のANSYSが挙げられる。
【0051】
市販のFEM解析用ソフトウエアでは、一般に有限要素モデルの設定、外力等の境界条件の設定、シミュレーションの実行、シミュレーション結果の保存・出力などが可能である。タイヤ有限要素モデルの設定を行う場合、タイヤ子午線断面における有限な要素への分割、タイヤ周方向へ展開して三次元的な要素への分割(メッシュイング)、各々の要素への物理量の設定などが行われる。
【0052】
有限要素法における要素とは、例えば2次元平面では三角形要素、四辺形要素、3次元要素としては、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、6面体ソリッド要素などコンピュータで用いうる要素とするのが望ましく、これらの要素は2次元座標あるいは3次元座標を用いて逐一特定されうる。
【0053】
コード補強材は、他の部分と同様に、6面体ソリッド要素(8節点ソリッド要素)でモデル化してもよいが、シミュレーションの精度を高めるために、該当する領域を、個別により複雑な要素の組合せでモデル化してもよい。例えばベルト層17のうちコード材を、四辺形膜要素にてモデル化し、またトッピングゴムを六面体ソリッド要素でモデル化するのが好ましい。
【0054】
その際、コード材をモデル化した前記四辺体膜要素の材料定義は、その厚さを例えばコード材の直径とし、コード材の配列方向と同方向と垂直方向とで剛性の異なる異方性材料として取り扱うことができる。コード補強材のトッピングゴムを表す六面体ソリッド要素は、他のゴム部材と同様に超粘弾性材料として定義して取り扱うことができる。なお、各ゴム部、ビードコア15等を有限要素にモデル化する際には、各ゴムの弾性率、ビードコア15の弾性率などに基づき材料、剛性を定義しうる。
【0055】
本発明では、以上のようなタイヤ有限要素モデル2の設定の後に、外力等の境界条件の設定を行う(#6−2)。その時、ホイル軸から外力等を負荷できるように、タイヤ有限要素モデル2を仮想ホイルに装着しておく。
【0056】
仮想ホイルについては、そのホイル軸から垂直荷重を負荷したり、ホイル軸の回転角や変位を与えることができる。これらの外力は仮想ホイルの仮想リムを介して、タイヤ有限要素モデル2のビード部14のリム接触面に伝達される。従って、本発明における仮想ホイルは、その全体がモデル化される必要はなく、仮想リムが仮想路面に対して一定の距離を保ちつつビード部14を拘束し、かつ仮想リムから上記外力が伝達できるものであればよい。
【0057】
まず、駆動時走行又は制動時走行のシミュレーションを行う場合の例について述べる。この例では、図5(a)〜(b)に示すように、仮想路面7にタイヤ有限要素モデル2を接地させる際の設定条件(境界条件の設定)として、前記仮想ホイルのホイル軸Oからの垂直荷重F2と、ホイル軸Oに対するキャンバー角θ2と、タイヤの仮想内圧に相当するタイヤ内面への外力F3と、仮想路面7に対する摩擦係数μと、前記ホイル軸Oの回転角θ1とを与える。このとき、回転角θ1に代えてホイル軸Oの回転トルクや、ホイル軸Oへの仮想路面7に平行な変位もしくは外力を与えてもよい。なお、仮想路面7は、平坦な四辺形剛表面としてモデル化できる。
【0058】
ホイル軸Oに対するキャンバー角θ2については、他の外力等の設定条件を与える前に(最初に)、仮想路面7と非接触の状態で、タイヤの進行方向に対する回転角としてキャンバー角θ2を与えておくことが、モデル状態を適切に再現する上で好ましい。具体的には、仮想路面7と非接触の状態で、例えばホイル軸Oの中央位置O1を中心として、キャンバー角θ2に相当する角度で仮想路面7に対してホイル軸Oを傾斜させる(タイヤの進行方向回りの回転)。一般的にはキャンバー角θ2は−0.5°〜−0.2°の範囲で選択できる。また、キャンバー角θ2を0°に設定して、キャンバー角θ2を無視してシミュレーションすることも可能である。
【0059】
ホイル軸Oからの垂直荷重F2については、仮想ホイルの仮想リムを介して、タイヤ有限要素モデル2のビード部14のリム接触面に伝達される。その際、タイヤの進行方向、ホイル軸の軸方向、および仮想路面に垂直方向について、それぞれ回転と並進の自由度(6自由度)が存在するが、3方向の回転自由度、および進行方向の並進自由度を拘束する条件(拘束条件)を与える。従って、キャンバー角θ2が維持された状態で、仮想路面7に対し垂直な方向に、垂直荷重F2を負荷することができる。
【0060】
タイヤの仮想内圧に相当するタイヤ内面への外力F3については、タイヤ有限要素モデル2の内面にタイヤ内圧に相当する等分布荷重を作用させることにより設定できる。タイヤの仮想内圧としては、タイヤの標準内圧などが設定できる。
【0061】
仮想路面7に対する摩擦係数μについては、実タイヤと実路面との静止摩擦係数が考慮され、最大摩擦係数を超えない範囲、例えば0.4〜1.2の範囲内の数値が採用される。この摩擦係数によって、ホイル軸Oの回転角θ1を与えることによって、仮想路面7との関係でタイヤ有限要素モデル2に回転軸周りのトルクを負荷することができる。
【0062】
ホイル軸Oに与える回転角θ1としては、燃費性能の評価のための実走行における駆動時走行又は制動時走行の加速度を求め、その加速度から、仮想車両の重量に基づいてタイヤにかかる進行方向の荷重を計算し、これと等価な前記ホイル軸の回転角θ1を設定することができる(回転トルク、ホイル軸への変位、外力についても同様)。
【0063】
駆動時走行に対する回転角θ1は、一般に0.75〜0.95°が好ましい。また、制動時走行に対する回転角θ1は、一般に0.60〜0.75°が好ましい。これらの回転角θ1を付与することによって、駆動時走行又は制動時走行の際における回転軸周りのトルクが負荷されたモデル状態が精度良く再現できる。回転角θ1の代わりに回転トルクを与える場合も、上記範囲の回転角θ1と等価な回転トルクを与えればよい。
【0064】
その際、前記の6自由度に関し、進行方向と垂直方向の回転自由度、および進行方向とホイル軸方向の並進自由度を拘束する条件(拘束条件)を与える。また、垂直荷重F2を負荷した後に回転角θ1を与える場合には、垂直方向の並進自由度については、拘束せずに荷重を保持した状態とする。
【0065】
図6に示すように、仮想路面7に平行な変位Xを与える場合、駆動時走行に対する変位Xとしては、一般に3.9〜4.3mmの範囲内が好ましい。また、制動時走行に対する変位Xとしては、一般に3.1〜3.8mmの範囲内が好ましい。これらの変位Xを付与することによって、駆動時走行又は制動時走行の際における回転軸周りのトルクが負荷されたモデル状態が精度良く再現できる。変位Xの代わりに同方向の外力を与える場合も、上記範囲の変位Xと等価な外力を与えればよい。
【0066】
その際、前記の6自由度に関し、3方向の回転自由度、およびホイル軸方向の並進自由度を拘束する条件(拘束条件)を与える。また、垂直荷重F2を負荷した後に変位Xを与える場合には、垂直方向の並進自由度については、拘束せずに荷重を保持した状態とする。
【0067】
一方、旋回走行をシミュレーションする際には、図7(a)〜(b)に示すように、設定条件として、タイヤの仮想回転に相当する遠心力F1と、仮想ホイルのホイル軸Oからの垂直荷重F2と、ホイル軸Oに対するキャンバー角θ2と、タイヤの仮想内圧に相当するタイヤ内面への外力F3と、仮想路面7に対する摩擦係数μと、ホイル軸Oに対するスリップ角θ3とを与える。
【0068】
遠心力F1については、旋回走行における車速やタイヤ回転速度をタイヤの仮想回転とし、これに相当する遠心力F1を負荷する。遠心力F1は、タイヤ有限要素モデル2の全体に各要素の質量、ホイル軸Oから要素重心までの距離、回転速度などから計算される。市販のソフトウエアを利用する場合でも、タイヤの仮想回転の速度や回転軸の位置などを入力・設定することで、各要素に対して遠心力F1を負荷することが可能である。
【0069】
例えば、実走行モードにおける旋回時の速度としては、時速30〜60kmが採用されているが、この速度に対応した遠心力F1が、タイヤ有限要素モデル2の各要素全体に負荷される。本実施形態では、定常直進走行を時速60km、旋回走行を時速30kmの場合を想定している。
【0070】
ホイル軸Oに対するスリップ角θ3は、ホイル軸や仮想路面7に対する垂直方向の回転角(ホイル軸方向のねじり角)として与えることができる。実走行モードにおける旋回時の旋回半径は25〜110mが一般的であるが、これに対応するスリップ角θ3としては、0.7〜1.0°程度が好適である。
【0071】
その際、前記の6自由度に関し、進行方向とホイル軸方向の回転自由度、および3方向の並進自由度を拘束する条件(拘束条件)を与える。また、垂直荷重F2を負荷した後に変位Xを与える場合には、垂直方向の並進自由度については、拘束せずに荷重を保持した状態とする。
【0072】
他方、定常直進走行をシミュレーションする際には、図7(a)と同様に、設定条件として、タイヤの仮想回転に相当する遠心力F1と、仮想ホイルのホイル軸Oからの垂直荷重F2と、ホイル軸Oに対するキャンバー角θ2と、タイヤの仮想内圧に相当するタイヤ内面への外力F3と、仮想路面7に対する摩擦係数μとを与える。
【0073】
本発明においては、更に、その他の境界条件として、タイヤのトー角、タイヤ横力などを設定することも可能である。タイヤ横力は、ホイル軸Oの軸方向の変位や外力で与えることができる。
【0074】
本発明では、以上のような境界条件の設定の後、シミュレーションの実行を行う(#6−3)。シミュレーションの実行についても、市販のソフトウエアを利用して行うことができる。シミュレーションの実行は、有限要素法に基づいて前記タイヤ有限要素モデル2を用いて行われるが、マトリックスによる演算が行われる。
【0075】
一般な有限要素法では、有限要素モデルに各種の境界条件を与え、その系全体の力、変位などの情報を取得する手順が実行される。例えば、要素の形状、要素の材料特性、例えば密度、ヤング率、減衰係数などをもとに、要素の質量マトリックスMn、剛性マトリックスKn、減衰マトリックスCnを作成し、各マトリックスを組み合わせて、シミュレーションされる全体の系の各々のマトリックスを作成する。これに適宜境界条件をあてはめて、次の運動方程式を作成し、取得する情報を数値計算により求める。
【0076】
F=Mx..+Cx. +Kx
ここで、Mは質量マトリックス、Cは減衰マトリックス、Kは剛性マトリックス、x..は加速度マトリックス、x. は速度マトリックス、xは変位マトリックスである。
【0077】
一般的に、静的なシミュレーション方法では、演算の精度を高めるため、例えば垂直荷重が特定の設定値で設定された場合、垂直荷重の設定値を複数の段階に分けて段階的に垂直荷重を増加させる数値計算処理がなされている。垂直荷重の各段階において計算される変位等が収束した段階で、次の段階の計算が行われ、最終的には設定値まで垂直荷重が負荷されて、最終的な状態が演算される。市販のソフトウエアもこのような数値計算処理が通常なされており、上記の如きマトリックスによる演算が自動的に行われる。但し、このような数値計算処理の手法は、各種の方法が知られており、本発明は何れの数値計算処理でも可能である。
【0078】
本発明では、シミュレーションを行う際の境界条件として、遠心力F1と、垂直荷重F2と、タイヤ内面への外力F3と、キャンバー角θ2と、回転角θ1あるいは変位Xなどを与えるが、これらを設定した上記の如き計算は、キャンバー角θ2及びタイヤ内面への外力F3を垂直荷重F2より前に与える以外は、何れの順序で行ってもよい。例えば、タイヤ内面への外力F3、キャンバー角θ2、垂直荷重F2、遠心力F1、回転角θ1あるいは変位Xの順で計算したり、それらの計算を同時に行うことも可能である。
【0079】
本発明では、次いでシミュレーションの結果として、タイヤの物理量の獲得を行う(#6−4)。シミュレーション結果として、タイヤ有限要素モデル2から取得される物理量には各種のものが存在するが、例えば、タイヤ内部に発生する弾性・粘性・塑性に起因する変位・ひずみ・応力・エネルギー等、タイヤと路面間に発生する変位・相対速度・力・エネルギー等が挙げられる。
【0080】
図2のフローチャートに戻り、上記シミュレーションの後に、外的条件の異なるタイヤの各々についてシミュレーション(例えば1本〜4本)が完了するまで、ステップ#5〜ステップ#6を繰り返す。その際、順次選定するタイヤTnの順序は何れでもよい。
【0081】
必要なタイヤについてシミュレーションが繰り返された後、必要な走行状態のシミュレーション(例えば、1種〜4種)が完了するまで、ステップ#4〜ステップ#7を繰り返す。その際、順次選定する走行状態の順序は何れでもよい。
【0082】
上記のシミュレーションの繰り返しによって得られた物理量は、各々の走行状態における各々のタイヤについて、保存しておく。
【0083】
本発明では、上記のシミュレーションの繰り返しで得られた各々の物理量から4輪トータルのタイヤ性能の評価値を計算する(ステップ#9)。対象となるタイヤ性能としては、燃費性能、制動性能、旋回性能、耐久性、ハンドリング性能などが挙げられる。
【0084】
まず、燃費性能の評価値を計算する場合について説明する。そのとき必要な物理量としては、タイヤ全体におけるタイヤ1周分の応力と歪みが挙げられる。
【0085】
前記のステップ#6−1〜#6−4は、市販の1つのソフトウエアを利用して行うことができるが、次いで行うタイヤ性能の計算(ステップ#9)については、独自のプログラムや、別の市販のソフトウエアを用いることができる。
【0086】
以下、前記の走行状態として、定常直進走行、旋回走行、駆動時走行、及び制動時走行を設定するシミュレーションで得られた物理量を燃費性能に反映させる際に、各々の走行状態で得られた物理量に、走行モード比に応じた重みづけを行って燃費性能を計算する場合について述べる。
【0087】
その際、図8に示すように、定常直進走行のシミュレーションによる代用評価値を算出した後、旋回走行、駆動時走行、制動時走行の順で同様にして代用評価値を算出する(#9−1〜#9−4)。
【0088】
前記の応力と歪みから、転がり抵抗値(代用評価値)を計算する場合、加部和幸ら著「転がり抵抗低減のための構造技術」日本ゴム協会誌、第73巻、第2号(2000)に記載されているような計算方法を採用することができる。
【0089】
つまり、各要素ごとの応力と歪みの変動を求め、タイヤ回転速度に対応する角速度の関数とし、これをフーリエ級数展開を利用して各次数ごとに、粘弾性による位相差を導入してヒステリシスループを作成し、各々の面積を求めることで、各要素ごとのタイヤ1周分の損失エネルギーを計算することができる。この面積を各要素ごとに計算して合計することで、タイヤ全体の1周分の損失エネルギーを求めることができ、タイヤ回転速度に応じて、損失エネルギー率を求めることも可能である。例えば、損失エネルギー率をタイヤの回転速度(周速)で除することで、転がり抵抗値(代用評価値)に換算することができる。
【0090】
これを外的条件の異なるタイヤの各々について計算する。異なるタイヤが2輪の場合は、2輪の代用評価値の2倍した合計値又は2輪の代用評価値の平均値などを4輪分の代用評価値とすることができる。異なるタイヤが1輪だけ(全て外的条件が同じ)の場合も、同様にして総和や平均値などを4輪分の代用評価値とすることができる。
【0091】
次に、各々の走行状態の代用評価値に対して、走行モード比を乗じて、それらを積算し、これを全体の代用評価値とする(#9−5)。このとき夫々のシミュレーションについて走行モード比を乗じた値を計算しておき、これを積算してもよく、また、シミュレーションの順序は何れでもよい。この代用評価値(この計算式が目的関数となる)が小さいほど、燃費性能が良好と評価できる。
【0092】
一方、制動性能の評価値を計算する場合は、次のようにして計算を行えばよい。制動性能の評価値を接地圧分散として計算する場合、必要な物理量としては、タイヤの接地面における各々の接地節点の圧力が挙げられる。走行状態としては、例えば制動時走行のみを考慮し、その走行状態でシミュレーションした際に得られた、タイヤの接地節点の圧力を使用して計算を行う。
【0093】
接地圧分散は、例えば各々の接地節点の圧力と平均の接地圧力との差を二乗したものの総和や平均値を、1本のタイヤの全接地節点について計算すればよい。次いで、これを外的条件の異なるタイヤの各々について計算する。制動時走行では左右のタイヤは外的条件が同じになるため、前後の2輪の代用評価値の2倍した合計値又は2輪の代用評価値の平均値などを4輪分の代用評価値とすることができる。得られた4輪トータルの接地圧分散(この計算式が目的関数となる)が小さいほど、制動性能が良好と評価できる。
【0094】
その他、旋回性能の評価値を計算する場合は、次のようにして計算を行えばよい。制動性能の評価値を横力として計算する場合、必要な物理量としては、仮想ホイルのセンターの横方向軸力が挙げられる。走行状態としては、例えば旋回走行のみを考慮し、その走行状態でシミュレーションした際に得られた、仮想ホイルのセンターの横方向軸力を使用して計算を行う。
【0095】
横力は、例えば1本のタイヤの横方向軸力について計算すればよい。次いで、これを外的条件の異なる4本タイヤの各々について計算し、横力の総和や平均値を4輪トータルの横力とする。得られた4輪トータルの横力(この計算式が目的関数となる)が大きいほど、旋回性能が良好と評価できる。
【0096】
また、旋回性能の評価値を計算する場合、後述の実施例に記載のように、タイヤの接地面における接地圧分散を評価値として計算してもよい。走行状態としては、旋回走行のみを考慮し、その走行状態でシミュレーションした際に得られた、各々のタイヤの接地面における接地節点の圧力を使用して計算を行うことができる。得られた4輪トータルの接地圧分散(この計算式が目的関数となる)が小さいほど、旋回性能が良好と評価できる。
【0097】
一方、本発明のタイヤ設計方法は、以上のような本発明のシミュレーション方法により、所定の設計値に基づいてモデル化したタイヤに対してタイヤ性能の評価を行い、得られた評価結果が目標性能を達成していない場合に、前記タイヤの設計値を変更し、前記目標性能を達成するまで、前記タイヤ性能のシミュレーション方法を繰り返して、目標性能を達成する設計値を得ることを特徴とする。
【0098】
なお、タイヤの設計値の変更は、人間が経験等に基づいて行ってもよいが、設計値のフィードバックを行う最適化プログラムを使用した最適化技法を用いることが好ましい。具体的には、数理計画法、生態を模擬した最適化法(例えば、ニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズム等)、統計的最適化法(例えば、実験計画法、タグチ法等)、物理現象を模擬した最適化法(例えば、焼きなまし法等)、人工知能的最適化法等を利用することができる。
【0099】
上記最適化法によって得た新しい設計値にしたがって、タイヤモデルを変更する必要があり、そのために別のタイヤモデル修正プログラムを用いることができる。ただし、タイヤの外形の形状と寸法、タイヤの構成部材の寸法と材質、トレッドパターンの形状と寸法等の設計変数の種類により、手法を使い分ける。例えば、寸法変更には、 タイヤモデルの格子点(有限要素法では節点と呼ばれる。)を単純に移動したり、 数種類の基本形状を重み付きベクトル合成するベーシスベクトル法、有限要素法で多用される形状関数等で面や中実体を写像する方法等を使用する。構成部材の有無やトレッドパターンのトポロジーを変更するには、二値化コーディングと特殊関数を組み合わせる方法や、 多くの小直方体連結に構造を分解するボクセル法等を使用する。
【0100】
以上のように、 本発明においては、コンピュータシミュレーションを駆使することにより、タイヤ開発のコストを低減させ、開発期間を短縮させ、タイヤ設計データを一元管理することができ、その結果、設計効率を大幅に向上させることができる。
【0101】
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、このようなタイヤ設計方法によって得られた設計値に基づいて、タイヤを製造する空気入りタイヤを製造する方法である。当該設計値に基づいて製造する以外は、従来公知の製造方法と同じであり、それらを何れも採用することができる。
【0102】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0103】
実施例1
基準となるコントロールタイヤとして、図1(a)に示すような、195/65R15のサイズを有する一般なラジアルタイヤを用いた。このタイヤを、実車(国産、2000ccクラスFR車)に装着し、実際にハンドリング走行の条件で走行を行い、その際の旋回性能(ハンドリング性能)をフィーリングにより評価した。その結果、一般タイヤでは3+の旋回性能であった。
【0104】
一方、市販のソフトウエア(ABAQUS)を用いて、コントロールタイヤに対して、図1(b)に示すような、タイヤ有限要素モデルの要素分割(全て8節点ソリッド要素、節点数22729、要素数18156)を行い、材料定義などの物理量の設定を行った。これを剛体の仮想ホイルに装着し、旋回走行について、仮想路面に接地させる際の設定条件として、表1の設定条件で各々のタイヤについてシミュレーションを行った。その際の表1の設定条件は、予めコントロールタイヤをモデル化して有限要素法により得られたタイヤ特性データを利用して、旋回走行に対応した車両運動のシミュレーションを行い、垂直荷重、キャンバー角、スリップ角、駆動時及び制動時加速度などを求めたものである。このシミュレーションで得られた各々のタイヤの物理量から、目的関数として、4輪トータルの接地圧分散(各々の接地節点の圧力と平均の接地圧力との差を二乗したものの総和)を計算した。その結果を基準値100とした。
【0105】
次に、数理計画法に基づく最適化技法を用いて、タイヤの設計値を変更し、これに基づき旋回走行状態について有限要素法による解析を繰り返して、目的関数の最小値(最小値は95)とそれに対応するタイヤ設計値(最適解)とを得た。そのタイヤ設計値に基づいてタイヤを製造し、コントロールタイヤと同じ条件で旋回性能を評価したところ、当該タイヤでは4+の旋回性能であった。
【0106】
【表1】
Figure 0004401698
【0107】
比較例1
実施例1において、4輪トータルの接地圧分散を評価する代わりに、1輪だけの接地圧分散を評価すること以外は、同様にして旋回走行状態について有限要素法による解析を繰り返して、目的関数の最小値(最小値は91)とそれに対応するタイヤ設計値(最適解)とを得た。その際、表1の設定条件を用いる代わりに、4輪のうちで最もシビアリティの高い条件を採用した。
【0108】
そのタイヤ設計値に基づいてタイヤを製造し、コントロールタイヤと同じ条件で旋回性能を評価したところ、当該タイヤでは3+の旋回性能であった。
【0109】
以上の結果を表2にまとめた。
【0110】
【表2】
Figure 0004401698
表2に示すように、実施例1のシミュレーションによると、目的関数の最適解での設計値に基づいて製造したタイヤが、コントロールタイヤと比較して旋回性能の実測値に改善が見られた。これに対して、比較例1のシミュレーションでは、目的関数が実施例1の値より小さくなっているにも係わらず、得られた設計値に基づいて製造したタイヤの実測値(旋回性能)には、コントロールタイヤからの改善が見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における(a)実タイヤと(b)タイヤ有限要素モデルとの関係の一例を示すタイヤ子午線断面図
【図2】本発明の静的シミュレーション方法の一例を示すフローチャート
【図3】図2のフローチャートのサブルーチンの一例を示すフローチャート
【図4】図2のフローチャートのサブルーチンの一例を示すフローチャート
【図5】 本発明における駆動時走行又は制動時走行のシミュレーションの際の外力等の負荷状態の一例を示す説明図
【図6】 本発明における駆動時走行又は制動時走行のシミュレーションの際の外力等の負荷状態の他の例を示す説明図
【図7】本発明における旋回走行のシミュレーションの際の外力等の負荷状態の一例を示す説明図
【図8】 図2のフローチャートのサブルーチンの一例を示すフローチャート
【符号の説明】
2 タイヤ有限要素モデル
7 仮想路面
O ホイル軸(軸心)
F1 遠心力
F2 垂直荷重
F3 タイヤ内面への外力
θ1 ホイル軸の回転角
θ2 キャンバー角
θ3 スリップ角
X ホイル軸の変位
μ 仮想路面に対する摩擦係数

Claims (6)

  1. 有限個の多数の要素に分割されたタイヤ有限要素モデルによって評価しようとするタイヤを近似し、有限要素法を用いて前記タイヤ有限要素モデルからタイヤ性能を静的にシミュレーションするタイヤ性能のシミュレーション方法において、
    予めコントロールタイヤを4輪装着した車両に対して特定の走行状態で動的なシミュレーションを行い、その結果として各々のタイヤに生じる外的条件を求めておき、
    前記外的条件に基づいて前記タイヤ有限要素モデルの境界条件を設定し、前記外的条件の異なるタイヤの各々について前記走行状態を静的にシミュレーションし、
    そのシミュレーションで得られた各々のタイヤの物理量から4輪トータルのタイヤ性能の評価値を計算することを特徴とするタイヤ性能のシミュレーション方法。
  2. 前記外的条件が、各々のタイヤに生じる垂直荷重を含むと共に、走行状態として旋回走行を設定した場合には、スリップ角を含むものである請求項1記載のタイヤ性能のシミュレーション方法。
  3. 前記特定の走行状態として、定常直進走行、旋回走行、駆動時走行、及び制動時走行を設定し、各々の走行状態で前記外的条件を求めておき、各々の走行状態のシミュレーションで得られた物理量に、走行モード比に応じた重みづけを行って前記評価値を計算する請求項1又は2に記載のタイヤ性能のシミュレーション方法。
  4. 前記タイヤに生じる外的条件が左右のタイヤについて同じ場合に、前輪タイヤと後輪タイヤについて静的なシミュレーションを行い、得られた2輪のタイヤの物理量を4輪分の物理量に換算する請求項1〜3いずれかに記載のタイヤ性能のシミュレーション方法。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載のタイヤ性能のシミュレーション方法により、所定の設計値に基づいてモデル化したタイヤに対してタイヤ性能の評価を行い、得られた評価結果が目標性能を達成していない場合に、前記タイヤの設計値を変更し、前記目標性能を達成するまで、前記タイヤ性能のシミュレーション方法を繰り返して、目標性能を達成する設計値を得るタイヤ設計方法。
  6. 請求項5記載のタイヤ設計方法によって得られた設計値に基づいて、タイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法。
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