JP2003330997A - 車両のシミュレーション方法 - Google Patents
車両のシミュレーション方法Info
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- JP2003330997A JP2003330997A JP2002133005A JP2002133005A JP2003330997A JP 2003330997 A JP2003330997 A JP 2003330997A JP 2002133005 A JP2002133005 A JP 2002133005A JP 2002133005 A JP2002133005 A JP 2002133005A JP 2003330997 A JP2003330997 A JP 2003330997A
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Abstract
する。 【解決手段】 タイヤと、このタイヤを支承する前後左
右のサスペンション部材と、このサスペンション部材が
取り付く車体本体とをそれぞれ有限個の要素を用いてモ
デル化したタイヤモデル2、サスペンションモデル3、
及び車体本体モデル4を有する車両モデル1から走行性
能をシミュレーションする車両のシミュレーション方法
である。車体本体モデル4は、前のサスペンションモデ
ル3Fa、3Fbが取り付けられた剛体からなる前部分
4Fと、剛体からなりかつ後のサスペンションモデル3
Ra、3Rbが取り付けられしかも前部分4Fとは別体
の後部分4Rと、前部分4Fと後部分4Rとを相対移動
可能に継ぐ継手モデル4Jとを含む。
Description
精度良く解析しうる車両のシミュレーション方法に関す
る。
特定の車両に適したタイヤを開発する場合、実際にタイ
ヤを試作し、これを前記車両に装着して該車両を走行さ
せ、官能あるいは計測等の種々の評価がなされている。
また試作されたタイヤは、例えば実験室などにおいてド
ラム試験機を用いてコーナリング特性などが調べられ、
その結果からさらに試作モデルに改良を加えて、再び車
両に装着して実車評価を繰り返すことが行われていた。
車評価を行うため実際にタイヤの試作が必要となる他、
実車試験に用いる車両、該車両の走行場所や必要な計測
機器、計測者、テストドライバーなどを必要とするな
ど、多くの手間と労力さらには時間が必要となり、開発
コストと開発期間の増加を招いていた。
ヤ、サスペンション、車体本体などをそれぞれ有限個の
要素でモデル化してコンピュータ上に車両モデルを設定
し、これを用いて数値解析による走行シミュレーション
を行うことが提案されている。この方法によれば、タイ
ヤや車両を実際に製造しなくとも、それらの大凡の性能
を把握することが可能となり、開発期間ないしコストの
短縮化が期待されている。
が取り付けられるいわゆるボディと称される車体本体
は、外力が作用しても変形しないいわゆる剛体要素とし
てモデル化されている。このような車両モデルは、前後
左右のサスペンションの車体本体への取り付け位置が、
相対的に変化しないことになる(なお、サスペンション
自体は緩衝機能を有しておりタイヤを上下等に変位させ
ることはできる)。
の遠心力、制動力、駆動力といった種々の外力が作用す
ると僅かではあるが、伸び、縮み或いはねじれ等の歪が
単一ないし複合的に生じる。このため、前後左右のサス
ペンションの車体本体への取り付け位置は、相対的に変
化することが経験的にも良く知られていることである。
従って、従来のシミュレーション方法では、このような
車体本体の剛性に由来する走行中のサスペンション取り
付け位置の変化が取り込まれていないため、シミュレー
ション精度の向上という点では未だ改善の余地がある。
ーションの精度を高めるためには、車体本体について
も、剛体ではなく実際の使用材料に応じた物理特性を定
義した細かな要素で詳細にモデル化すれば、外力に基づ
く微小な変形までもシミュレーションすることができ
る。しかしながら、この方法では要素数ないしこれに伴
う計算量が大幅に増加するため計算時間が著しく増大す
る。例えば、車体本体を剛体として取り扱った場合で
も、この種のシミュレーションには、スーパーコンピュ
ータを使用して数十〜数百時間の計算時間が必要であ
る。従って、これにさらに車体本体の計算時間が加わる
と、計算時間が圧倒的に増加し実用化を困難とする。
なされたもので、車体本体モデルを、剛体からなりかつ
夫々少なくとも一つのサスペンションモデルが取り付け
られた第1の部分、第2の部分と、該第1の部分と第2
の部分とを相対移動可能に継ぐ継手モデルとを含んで構
成することを基本として、簡易な構成で車体本体の変形
をシミュレーション上に取り込むことにより、計算時間
の著しい増加を防止しつつ解析精度を高め得る車両のシ
ミュレーション方法を提供することを目的としている。
載の発明は、タイヤと、このタイヤを支承する前、後各
2つのサスペンション部材と、このサスペンション部材
が取り付く車体本体とをそれぞれ数値解析が可能な要素
でモデル化したタイヤモデル、サスペンションモデル、
及び車体本体モデルを有する車両モデルを用いて走行性
能をシミュレーションする車両のシミュレーション方法
であって、前記車体本体モデルは、剛体からなりかつ少
なくとも一つのサスペンションモデルが取り付けられた
第1の部分と、剛体からなりかつ少なくとも他の一つの
サスペンションモデルが取り付けられた第2の部分と、
前記第1の部分と第2の部分とを相対移動可能に継ぐ継
手部とを含むことを特徴としている。
分は、前2つのサスペンションモデルが取り付けられた
前部分をなし、かつ前記第2の部分は、後2つのサスペ
ンションモデルが取り付けられた後部分をなすととも
に、前記継手部は、前部分と後部分とを継ぐことを特徴
とする請求項1記載の車両のシミュレーション方法であ
る。
は、弾性体を有限個の要素でモデル化した継手モデルで
構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の車両
のシミュレーション方法である。
は、可撓方向とその方向の剛性が定義されることを特徴
とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両のシミュ
レーション方法である。
は、ねじり変形が可能な方向と、その方向におけるねじ
り剛性とが定義されることを特徴とする請求項1乃至4
のいずれかに記載の車両のシミュレーション方法であ
る。
に基づき説明する。図1は、本実施形態で用いる車両モ
デルの斜視図、図2はその分解図、図3は車両モデルの
側面図、図4はその平面図をそれぞれ示している。本発
明の一実施形態では、図1ないし4に示すような車両モ
デル1を用いてコンピュータ上で数値解析を行ない走行
性能をシミュレーションする車両のシミュレーション方
法である。
支承する前後各2つのサスペンション部材と、このサス
ペンション部材が取り付く車体本体とを含む車両の前記
各部(いずれも図示省略)をそれぞれ数値解析が可能な
要素を用いてモデル化したタイヤモデル2、サスペンシ
ョンモデル3、及び車体本体モデル4を少なくとも具え
ている。
イヤモデル2Fa、2Fbと、後輪をなす後のタイヤモ
デル2Ra、2Rbとを含んでいる。各タイヤモデル2
は、図5に拡大して示すように、コンピュータによって
数値解析が可能な微小かつ有限個の要素2a、2b、2
c…を用いてモデル化されている。即ち連続したタイヤ
を有限個の微小な要素の集合体へと置き換えることでコ
ンピュータ上で力学計算が可能な状態とする。
プライ、及びビードコアといったタイヤの内部構造部材
や、トレッド面に形成されるタイヤ周方向溝、及びこの
タイヤ周方向溝と交わる向きにのびる横溝を含むトレッ
ドパターンなどについても忠実にモデル化することが特
に好ましい。前記要素2a、2b…としては、図示しな
いが2次元要素では四辺形要素、3次元要素としては、
四ないし六面体ソリッド要素などが挙げられ、プライな
どについては例えば膜要素とソリッド要素との複合体で
モデル化しうる。なお各要素には、その材料特性に応じ
て弾性率、曲げ剛性、比重などがそれぞれ定義される。
またタイヤモデル2は、例えばタイヤモデル2のビード
部分をリム巾に等しく強制的に変位させて拘束するとと
もにタイヤ内腔面に内圧に応じた等分布荷重を負荷する
ことにより、リム組みされかつ内圧が充填され状態をシ
ミュレーション上で作り出すことができる。
ペンションモデル3Fa、3Fbと、後のサスペンショ
ンモデル3Ra、3Rbとを含む。各サスペンションモ
デル3は、コンピュータによって数値解析が可能な有限
個の要素を用いてモデル化されている。
サスペンション装置SP1の模式図を示し、図6(B)
にはそれをモデル化したサスペンションモデル3Fa、
3Fbを例示している。本例の前部サスペンション装置
SP1は、一端が車体本体に枢支された上下のアッパー
アーム21、ロアアーム22と、これらの各アームの他
端で枢支されたナックル23と、該ナックル23に回転
可能に固着されかつタイヤ25を装着するハブ部24
と、前記ナックル23と車体本体との間に介在するバネ
付きダンパ27とを含むものを例示している。なおナッ
クル23には、一端が該ナックル23に固着されかつ他
端が車体本体に固着される捻り剛性を高めるスタビライ
ザー26が固着されている。このようなサスペンション
装置SP1は、ナックル23をキングピン軸KCの回り
に傾動させることでタイヤにスリップ角を与えることが
できる。
Fa、3Fbは、前記アッパアーム21、ロアアーム2
2をモデル化したアッパーアームモデル21m、ロアア
ームモデル22mと、前記ナックル23をモデル化した
ナックルモデル23mと、前記ハブ部24をモデル化し
たハブモデル24mと、前記バネ付きダンパ27をモデ
ル化したバネ付きダンパモデル27mと、前記スタビラ
イザー26をモデル化したスタビライザーモデル26m
とを含むものを例示している。
後部サスペンション装置SP2の模式図を示し、図7
(B)にはそれをモデル化した後のサスペンションモデ
ル3Ra、3Rbを例示している。後部サスペンション
装置SP2は、一端部が車体本体に枢着されかつ他端部
に車輪を装着する可回転のハブ30を具える一対のトレ
ーリングアーム31、31と、前記一対のトレーリング
アーム31、31間を継ぐトーションビーム32と、該
トーションビーム32と車体本体(図示省略)との間に
配されたバネ付きダンパ33とを含むものを例示する。
2は、図7(B)の如く、前記ハブ30をモデル化した
ハブモデル30mと、前記トレーリングアーム31をモ
デル化したトレーリングアームモデル31mと、前記ト
ーションビーム32をモデル化したトーションビームモ
デル32mと、前記バネ付きダンパ33をモデル化した
バネ付きダンパモデル33mとを含む後のサスペンショ
ンモデル3Ra、3Rbにモデル化されたものを示す。
は、その機械的な運動を表現できるようにモデル化され
ている。例えば、前記バネ付きダンパモデル27m、3
3mは、線形若しくは非線形のバネ要素が用いられ、軸
方向に伸縮が可能に定義される。またハブモデル24
m、30mや各アームモデル21m、22m、31m
は、それぞれ外力が加えられても変形しない剛体要素と
して定義される。さらにスタビライザーモデル26mや
トーションビームモデル32mは、ねじれが作用した際
に微小のねじれ角を生じるとともに、そのねじれ角に応
じた反力が生じうるようねじれのビーム要素としてモデ
ル化できる。
本体モデル4に固定される連結点Pf、Prが定義され
る。前のサスペンションモデル3Fa、3Fbの連結点
Pfは、後述する車体本体4の前部分4Fに固着され、
互いの相対位置が変化せずかつ前部分4Fに対しても位
置が変わらない固定点として定義される。同様に、後の
サスペンションモデル3Ra、3Rbの連結点Prは、
後述の車体本体4の後部分4Rに固着され、互いの相対
位置が変化せずかつ該後部分4Rに対しても位置が変わ
らない固定点として定義される。
置、重心回りの慣性モーメントなどが定義される。また
バネ要素については、バネ定数、ダンパー減衰定数が定
義される。さらにビーム要素については曲げ剛性、ねじ
れ剛性が定義される。また各要素間の結合部(節点)に
ついては、各々の連結部の状態に基づき、例えば移動不
能に固定する剛結合、軸方向に移動可能なスライド結
合、回転できかつ多軸に周りに揺動可能なジョイント結
合又は1軸に関して揺動可能な回転ジョイント結合など
が適宜定義される。
a、3Fbは、実際のサスペンション装置SP1と同
様、荷重負荷時や旋回走行時などの横力作用時の変形を
コンピュータ上で再現することができる。また前のサス
ペンションモデル3Fa、3Fbについては、ナックル
モデル23mを傾動させることでタイヤモデル2にスリ
ップ角を与えることができる。
を前記サスペンションモデル3のハブモデル24m、3
0mの車軸部に軸心を揃えて移動不能に固着されるよう
定義することで、サスペンションモデル3に取り付けた
状態をモデル化できる。また図示しないリムをモデル化
したリムモデルを介してタイヤモデル2を取り付けるよ
うに定めても良い。
す如く、剛体からなりかつ少なくとも一つのサスペンシ
ョンモデルが取り付けられた第1の部分fと、剛体から
なりかつ少なくとも他の一つのサスペンションモデルが
取り付けられた第2の部分rと、前記第1の部分fと第
2の部分rとを相対移動可能に継ぐ継手部jとを含んで
構成される。なお本実施形態では、第1の部分fは、前
2つのサスペンションモデル3Fa、3Fbが取り付け
られた前部分4Fをなし、かつ前記第2の部分rは、後
2つのサスペンションモデル3Ra、3Rbが取り付け
られた後部分4Rをなし、しかも前記継手部jは、前部
分4Fと後部分4Rとを継ぐ態様を例示しており、以下
この態様に基づき説明する。
後方へのびるととともに、本例ではほぼ前席部と後席部
との間で終端したものを示している。また本例の後部分
4Rは、前部分4Fの後端から小距離を隔てた位置から
車体後端までを構成している。また前部分4F、後部分
4Rは、本例では図2に示す如く外装部材Wと、サスペ
ンションモデル3を取り付けるための下部フレームFと
いった基本的な骨格部分を含むが、車両の運動性能に実
質的に関与しない例えば内装材やその他細部については
モデル化せず省略している。また前部分4F及び後部分
4R自体は、いずれも外力が作用した場合でも変形しな
い剛体として定義されているため、各々自体の変形計算
を不要とし解析時間の短縮化に役立つ。さらに前部分4
F、後部分4Rは、それぞれ、重量、重心の座標、この
重心を通る垂直軸、及びそれに直交する2本の水平軸回
りの慣性モーメントなどが定義される。なお前部分4
F、後部分4Rの形状は、例示の形態に特に限定される
ものではなく、種々の形状が採用できる。これについて
は後述する。
示すように、長さa、幅b、高さcの立方体形状の弾性
体を、複数個かつ同一形状の小さな六面体のソリッド要
素4jaでモデル化した継手モデル4Jからなるものを
例示している。分割数は特に限定されないが、例えば要
素数で5以上、好ましくは10〜100程度、特に好ま
しくは10〜30程度が計算時間の増大を防ぐ点で好ま
しい。また継手モデル4Jは、その前端部4JFが車体
本体モデル4の前部分4Fへ、また後端部4JRは車体
モデル4の後部分4Rにそれぞれ固着されるよう(接触
面の相対位置が変化しないように)定義される。
軸線に沿うY軸、車体の幅方向に沿うX軸及び車体の上
下方向に沿うZ軸に沿ってそれぞれ伸び縮み可能な可撓
性が定義されるとともに、各X、Y、Z軸回りにねじり
変形が可能に定義されたものを示す。このため、継手モ
デル4Jを構成する各ソリッド要素4Jaには、少なく
とも前記X、Y、Z軸に沿う方向の弾性率と、各X、
Y、Z軸回りのねじり剛性とが定義されている。前記弾
性率やねじり剛性は、例えば予め実際の車体本体から計
算される各X、Y、Z軸方向の弾性率、ねじり剛性の値
とほぼ同一に定めることができる。これにより、実際の
車体本体の変形状態などを、この継手モデル4Jで代表
させるという簡単な構造でシミュレーション上に取り込
むことができる。
(B)に誇張して示すように、実際の車両Mの車体本体
40における平面曲げの中立線CL1を通る垂直面上で
かつ前後軸ねじりの中心軸CL2の高さに位置するよう
定義される。図9(A)の平面曲げは、水平面内におけ
る車体の曲げを意味する。また前後軸ねじりの中心軸C
L2は車体本体のロール軸を意味している。
デルは、例えば剛表面を有する剛体要素で定義すること
ができ、平坦路面ないし凹凸路面など種々の形状でモデ
ル化できる。この路面モデルとタイヤモデル2とは、互
いに接触の可能性が定義される。時間を追うシミュレー
ションの中では、両者が互いに接触しているかどうかが
常に判定される。また、タイヤモデル2の表面と路面モ
デルとの間には摩擦係数が定義され、接触が生じている
場合、この摩擦係数に基づき発生する摩擦力が計算され
かつこれをタイヤモデル2に作用させる。なおこの摩擦
係数の設定により、例えば氷路面などを容易に設定する
ことができる
予め設定された境界条件に基づいて仮想路面上を走行す
る走行シミュレーションが行われる。前記境界条件とし
ては、例えばタイヤモデル2についてのリムサイズ、内
圧、走行速度、スリップ角、路面モデルとの間の摩擦係
数などが挙げられる。車両モデル1に速度を与えるに
は、例えば車体本体モデル4に加速度を与えて動かすか
或いはタイヤモデル2に駆動トルクを定義して仮想路面
との間の摩擦力で走行させる。また。スリップ角は、タ
イヤモデル2をキングピン(図示せず)回りに所定角度
回転させることにより再現できる。車両モデル1の走行
シミュレーションは、下記の運動方程式を時間積分する
ことにより行われる。
程式が作成され、微小時間ステップを追って積分する事
で時々刻々の車両モデル1の状態がシミュレーションで
きる。このときの時間ステップは、使用されている個々
の要素を応力波が伝わる最小の時間より小さく設定す
る。従って、要素の大きさにも依存するが、この時間ス
テップは、概ね10-5〜10-6sec 程度とするのが好ま
しい。また路面モデル6とタイヤモデル2との間の様に
接触現象が起こる部分では、接触を考慮する様に定義さ
れている。すなわち、前記微小時間ステップの中で、路
面モデル6とタイヤモデル2との接触が検知されると、
接触がないものとして路面モデル内に食い込んだタイヤ
モデル2に該部分を押し戻す反力を与えることにより、
前記接触状態を表現しうる。このような過程で行われる
シミュレーションにより、各部の変形(歪)、速度、加
速度、力(圧力)などが逐次計算され、かつ出力され
る。このような具体的には計算には、米国リバモア・ソ
フトウエア・テクノロジー(LSTC)社製のアプリケ
ーションソフト「LS−DYNA」などを用いて行いう
る。
本体モデル4が前部分4Fと後部分4Rと、この前部分
4Fと後部分4Rとを相対移動可能に継ぐ継手モデル4
Jとを含んでいる。従って、図10(A)〜(C)に示
したように、実際の旋回、駆動、制動の各走行状態に応
じ、路面モデルからの反力や車体本体モデルに生じる遠
心力等によって前部分4F、後部分4Rの各重心Gf、
Grに大きさ、方向、向きが異なる外力が生じた場合、
継手モデル4Jを弾性変形させることにより、車体本体
4のねじれ、縮み、伸びといった変形を擬似的に作り出
すことができる。これにより、前部分4Fと後部分4R
との間に相対的な変位を作り出すことができ、これはシ
ミュレーション上に取り込まれる。とりわけ、図10
(A)に示すように、旋回時には車体本体モデル4に垂
直軸回りのねじれが生じ、実際のスリップ角が変化す
る。従って、本発明ではスリップ角に起因した物理量、
例えばタイヤモデル2で生じるコーナリングフォースな
どをより精度良く求めることができる。
本体を単一の剛体でモデル化したものに比して車両の走
行性能をより精度良くシミュレーションしうる。なお、
車体本体モデル4の前部分4F及び後部分4Rがいずれ
も剛体からなるため、このような車体本体モデル4の変
形計算に際して該前部分4F、後部分4R自体の変形計
算は不要となり、継手モデル4Jだけの変形計算で足り
る。従って、計算時間の大幅な増大も防止できる。
を、可撓性が定義された弾性体を有限個の要素でモデル
化して構成することにより、有限要素法等を適用して継
手モデル4Jの変形についても正確に計算することがで
きる。従って、より精度の良い走行シミュレーションを
行うことができる。
す。この形態では、継手部jに、仮想継手4JVを用い
たものを示す。前記弾性体をモデル化した継手モデル4
Jでは、分割された各ソリッド要素4Jaについて、変
形と応力との計算を行い、その結果として、継手モデル
4J全体の変位等が計算でき、これが車体本体モデルの
前部分4Fと後部分4Rの変位となる。これに対して、
前部分4Fと後部分4Rとの間に、両部分の拘束状態を
定義した仮想的な継手を設定しうる。本明細書ではこれ
を仮想継手と言う。この仮想継手には、例えば、計算
上、所定のバネ定数を持つように設定することもでき
る。例えば図11(A)に示すように、前部分4Fに属
する節点S1と、後部分4Rに属する節点S2(図では
ずらして記載しているが節点S1と同一座標とする。)
とに仮想継手4JVを定義する。仮想継手4JVは、前
部分4Fと後部分4Rとを図11(B)に示すように、
紙面を貫く軸線回りに回動可能に拘束することができ
る。また回動方向に抵抗力又はバネ定数などを定義する
ことで、回動量などを実際の車体剛性と近似させて調節
できる。なおこの例では、紙面を貫く軸線回りで回動可
能な仮想継手を示しているが、これに限定されるわけで
はなく、種々の方向、例えばX、Y及びZの3軸回りの
回動や、各軸方向に沿った伸縮などを適宜組み合わせて
設定することができる。このようにう継手部jに、仮想
継手4JVを用いた場合でも、弾性体をモデル化した継
手モデル4Jと同様に、外力に応じた前部分4Fと後部
分4Rとの相対変位を計算して生じさせることができ、
しかも前記継手モデル4Jのように該継手モデル4J自
体の変形計算(構造解析)が不要となるため、より計算
コストを低減しうる点で好ましい。
した車の形状をなしている必要は無い。即ち図12に示
すように、前記車体本体モデル4の前部分4F、後部分
4Rは、計算上の重量と、重心Gf、Grの位置(図示
せず)、さらには慣性モーメントが定義されるととも
に、各サスペンションモデル3の固定点Pf、Prを拘
束するものであれば、外装材などを一切省略して簡単な
骨組みだけで設定することができる。さらに換言すれ
ば、前記重量、重心位置等の定義が可能であれば骨組み
なども一切省略することもできる。
(A)に示すように、巾方向で2分して第1の部分j、
第2の部分rを設けても良く、また図13(B)のよう
に、第1ないし第4の部分j1、j2、r1、r2に区
分しても良い。このように本発明は種々の態様で実施し
うる。
レーションを行なった。タイヤは、195/65R15
であり、コーナリングフォースによって変化しうる車両
の回頭率(ヨーレート)を出力した。仮想路面は平坦な
剛表面としてモデル化するとともにタイヤモデルと路面
の摩擦係数は、静動摩擦とともに1.0とした。路面の
移動速度は時速20km/hとした。本シミュレーション
では、操舵角を4deg を設定してシミュレーションを行
った。シミュレーション開始後、定常状態となる4秒後
の回頭率を出力した。なお実施例1として、継手部が弾
性体を有限個の要素でモデル化した継手モデルからなる
もの、実施例2は継手部が仮想継手として定義されたも
のとした。また比較のために、ドラム試験器を用いた実
車データ、さらに車体本体モデルが単一の剛体からなる
車両モデル(比較例)についても同一の条件でシミュレ
ーションを行い、性能を比較した。この結果を表1に示
す。
例に比べると、計算精度が大幅に向上していることが分
かる。また計算時間についても大幅な増加が抑えられて
おり、良好な結果が得られている。
ータ上において、車体本体モデルとタイヤモデルとを組
み合わせた車両モデルから走行性能を評価することがで
きるため、開発効率を大幅に向上し開発期間の短縮化、
開発コストの低減化に役立つ。また車体本体モデルは、
剛体からなりかつ少なくとも一つのサスペンションモデ
ルが取り付けられた第1の部分と、剛体からなりかつ少
なくとも他の一つのサスペンションモデルが取り付けら
れた第2の部分と、前記第1の部分と第2の部分とを相
対移動可能に継ぐ継手部とを含むことによって、実際の
走行中に生じる車体本体の微小な変形をシミュレーショ
ン上に的確に取り込むことができる。従って、サスペン
ションと車体との取り付け位置の変化を再現しうる結
果、車両の走行性能をより実車に近い状態で精度良くシ
ミュレーションしうる。なお車体本体モデルの第1、第
2の部分自体は、それぞれ剛体からなることにより変形
計算は不要となり、計算時間の著しい増加をも防止でき
る。
1の部分を、前2つのサスペンションモデルが取り付け
られた前部分とし、かつ前記第2の部分を後2つのサス
ペンションモデルが取り付けられた後部分とするととも
に、前記継手部で前部分と後部分とを継ぐときには、車
体本体の前後のねじれ、伸び縮みといった走行中に生じ
る変形をより効果的にシミュレーション上に取り込むこ
とができる。
手部は、弾性体を有限個の要素でモデル化した継手モデ
ルとして構成することにより、車体本体モデルの前部分
と後部分とを変位させることが容易に行えかつ有限要素
法等を適用することによりこの継手モデルの変形につい
ても正確に計算することができる。従って、より精度の
良い走行シミュレーションを行うことができる。
手部は、可撓方向とその方向の剛性が定義した場合や、
請求項4記載の発明のようにねじり変形が可能な方向と
その方向のねじり剛性とを定義することができる。この
場合、各剛性を実際の車体本体の剛性に合わせて定義す
ることで、走行中の遠心力、制動力、駆動力等によって
に車体本体モデルに生じる変形をより簡単な方法でより
正確にシミュレーションに取り込むことができる。
である。
視図、(B)はそれをモデル化した前のサスペンション
モデルの一例を示す斜視図である。
視図、(B)はそれをモデル化した後のサスペンション
モデルの一例を示す斜視図である。
平面図、(B)は前後軸のねじりの中心軸を例示する側
面図である。
(B)は制動時の側面面図、(C)は発進時の側面図の
各一例を示す。
る。
である。
Claims (5)
- 【請求項1】タイヤと、このタイヤを支承する前、後各
2つのサスペンション部材と、このサスペンション部材
が取り付く車体本体とをそれぞれ数値解析が可能な要素
でモデル化したタイヤモデル、サスペンションモデル、
及び車体本体モデルを有する車両モデルを用いて走行性
能をシミュレーションする車両のシミュレーション方法
であって、 前記車体本体モデルは、剛体からなりかつ少なくとも一
つのサスペンションモデルが取り付けられた第1の部分
と、剛体からなりかつ少なくとも他の一つのサスペンシ
ョンモデルが取り付けられた第2の部分と、 前記第1の部分と第2の部分とを相対移動可能に継ぐ継
手部とを含むことを特徴とする車両のシミュレーション
方法。 - 【請求項2】前記第1の部分は、前2つのサスペンショ
ンモデルが取り付けられた前部分をなし、 かつ前記第2の部分は、後2つのサスペンションモデル
が取り付けられた後部分をなすとともに、 前記継手部は、前部分と後部分とを継ぐことを特徴とす
る請求項1記載の車両のシミュレーション方法。 - 【請求項3】前記継手部は、弾性体を有限個の要素でモ
デル化した継手モデルで構成されることを特徴とする請
求項1又は2記載の車両のシミュレーション方法。 - 【請求項4】前記継手部は、可撓方向とその方向の剛性
が定義されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
かに記載の車両のシミュレーション方法。 - 【請求項5】前記継手部は、ねじり変形が可能な方向
と、その方向におけるねじり剛性とが定義されることを
特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両のシ
ミュレーション方法。
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