JP3363442B2 - タイヤ性能のシミュレーション方法 - Google Patents

タイヤ性能のシミュレーション方法

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JP3363442B2 JP2001129941A JP2001129941A JP3363442B2 JP 3363442 B2 JP3363442 B2 JP 3363442B2 JP 2001129941 A JP2001129941 A JP 2001129941A JP 2001129941 A JP2001129941 A JP 2001129941A JP 3363442 B2 JP3363442 B2 JP 3363442B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、精度良くタイヤ性
能をシミュレートしうるタイヤ性能のシミュレーション
方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
タイヤの開発は、試作品を作り、それを実験し、実験結
果から改良品をさらに試作するという繰り返し作業で行
われていた。この方法では、試作品の製造や実験に多く
の費用と時間を要するため、開発効率の向上には限界が
ある。かかる問題点を克服するために、近年では近似解
析手法などを用いたコンピューターシミューションによ
り、タイヤを試作しなくてもある程度の性能を予測・解
析する方法が提案されている。
【0003】コンピュータシミュレーションには、種々
の解析法が用いられ、例えば有限要素法を用いたものが
良く知られている。有限要素法(Finite Element Metho
d )は、構造物を有限要素と呼ばれる有限の大きさの多
数の領域に分割し、各有限要素に比較的簡単な特性を与
えて系全体を解析する手法である。
【0004】従来のタイヤ性能の有限要素法による解析
は、タイヤの非転動状態での荷重負荷解析であったり、
またトレッドパターンについては、溝のない、いわゆる
プレーントレッドが多く、タイヤのトレッドパターン全
てを有限要素にモデル化したものは知られていない。ま
た、タイヤの内部には、カーカス、ベルトなどのコード
材を角度を変えて積層した補強層などが設けられるが、
これらについても1枚の平面シェル要素などで簡略モデ
ル化した解析がほとんどであった。
【0005】本発明は、実際の開発に適用可能な精度の
良いタイヤ性能をシミュレートしうるタイヤ性能のシミ
ュレーション方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記
載の発明は、評価しようとするタイヤを有限個の多数の
要素に分割したタイヤ有限要素モデルで近似し、有限要
素法を用いて前記タイヤ有限要素モデルからタイヤ性能
をシミュレーションするタイヤ性能のシミュレーション
方法であって、タイヤ有限要素モデルのリム接触域を拘
束するとともに該タイヤ有限要素モデルのビード部のタ
イヤ軸方向距離をリム巾に強制変位させる仮想リム組み
処理を含むとともに、前記タイヤ有限要素モデルは、そ
内側面にタイヤ内圧に相当する等分布荷重を作用させ
ることにより内圧条件が設定され、しかも前記タイヤ有
限要素モデルの回転軸は前記リム拘束域との相対距離が
常に一定となるよう連結固定されていることを特徴とし
ている。
【0007】また請求項1記載の発明では、前記タイヤ
有限要素モデルは、カーカス、ベルトを含むコード補強
材と、サイドウォールゴム、ビードゴムを含むゴム部
と、ビードコアとがタイヤ周方向に同一断面形状で連続
するタイヤボディ部を、その回転軸を含む子午断面の2
次元形状を周方向に展開して要素分割しタイヤボディ部
要素モデルを設定する処理と、タイヤ周方向にのびる縦
溝とこの縦溝と交わる向きにのびる横溝とを有する前記
タイヤのトレッドパターンを、タイヤ周方向の全周に亘
り有限個の多数の要素に分割したトレッドパターン部要
素モデルを設定する処理と、前記タイヤボディ部要素モ
デルに前記トレッドパターン部要素モデルを結合する処
理とを含んで形成される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図面
に基づき説明する。本実施形態では、図13に示すよう
な乗用車用ラジアルタイヤ(以下、単にタイヤというこ
とがある。)Tの性能をシミュレートするものを例示し
ている。タイヤTは、トレッド部12からサイドウォー
ル部13を経てビード部14のビードコア15の回りで
折り返されかつコードをタイヤ周方向に対して略90度
で傾けたプライ16aからなるカーカス16と、このカ
ーカス16のタイヤ半径方向外側かつトレッド部12の
内方に配されるベルト層17とを含むコード補強材Fを
具える。
【0009】前記ベルト層17は、本例ではタイヤ周方
向に対して20度の角度で並列された内、外2枚のベル
トプライ17A、17Bが前記コードが交差する向きに
積層されて構成される。また本例では、前記ベルト層1
7のタイヤ半径方向外側に、ナイロンコードをタイヤ周
方向に実質的に平行に配列したバンド層19を具え、高
速走行時のベルト層17のリフティングを防止してい
る。なおバンド層19は例えば、ベルト層17の両端部
を覆うエッジバンドと、ベルト層17の略全巾を覆うフ
ルバンドとを具える。
【0010】なお前記カーカス16は、例えばポリエス
テルなどの有機繊維コードを、またベルトプライ17
A、17Bはスチールコードを、それぞれシート状のト
ッピングゴムにより被覆されて構成されている。なおコ
ード補強材Fには、これらカーカス16、ベルト層1
7、バンド層19の他、ビード部14の剛性を補強する
ビード補強フィラーなどを必要に応じて含ませることが
できる。
【0011】またタイヤTは、前記各コード補強材Fの
外側に、トレッドゴム20、サイドウォールゴム21、
ビードゴム22などを具える。前記トレッドゴム20
は、本例では前記ベルト層17の半径方向外側に配さ
れ、タイヤ子午断面において縦溝G1の溝底ラインを通
りトレッド部12の表面に略沿ってのびるトレッド部ベ
ースゴム20aと、その外側に配され路面と接触して様
々な力を伝達するトレッド部キャップゴム20bとから
構成された2層構造を例示する。
【0012】前記サイドウォールゴム21は、タイヤの
転動時に大きく屈曲する部分であり、路面の縁石と接触
したときでもタイヤTの側部を保護するもので、例えば
前記トレッドゴム20よりも複素弾性率が小さい柔軟な
ゴムを用いるのが好ましい。また前記ビードゴム22
は、リムフランジと接触する嵌合部付近に配され、例え
ば比較的弾性率の大きくかつ耐摩耗性に優れたゴムから
構成されうる。
【0013】また、トレッド部12の外表面には、例え
ばタイヤ周方向にのびる縦溝G1と、この縦溝G1に交
わる向きにのびる横溝G2などにより所定のトレッドパ
ターンが形成されている。このトレッドパターンは、タ
イヤ性能に大きく影響を与えるもので、本発明のシミュ
レーション方法では、後述するようにこのトレッドパタ
ーンのタイヤ性能への影響を解析することが可能にな
る。
【0014】本例のシミュレーション方法乃至装置で
は、評価しようとするこのようなタイヤTを、図1に示
すような有限個の多数の要素2a、2b、2c…に分割
したタイヤ有限要素モデル2で近似し、有限要素法を用
いて前記タイヤ有限要素モデル2からタイヤ性能をシミ
ュレーションするものである。
【0015】本シミュレーション装置は、例えば図6に
示すように、演算処理装置であるCPUと、このCPU
の処理手順などが予め記憶されるROMと、画像ないし
数値を一時的に記憶しうる作業用メモリであるRAM
と、入出力ポートと、これらを結ぶデータバスとから構
成されている。
【0016】また、前記入出力ポートには、本例ではタ
イヤ有限要素モデルを設定するための数値などを入力す
るキーボード、マウス等の入力手段Iと、入力結果やシ
ミュレーション結果を表示しうるディスプレイ、プリン
タなどの出力手段Oと、ハードディスク、光磁気ディス
クなどの外部記憶装置Dとが接続されている。
【0017】前記ROMには、予め図7に示すようなシ
ミュレーションの処理手順などが記憶されており以下説
明する。シミュレーションが行われるタイヤ有限要素モ
デル2は、タイヤボディ部要素モデル3と、トレッドパ
ターン部要素モデル4とから構成されている。
【0018】前記タイヤボディ部要素モデル3は、図
1、図2に示すように、タイヤボディ部1Bを有限要素
法に基づき分割して得られるものである。またタイヤボ
ディ部1Bとは、評価すべきタイヤにおいて周方向につ
いて実質的に同じ材料でかつ同じ断面形状が連続する部
分であって、本例では前記タイヤTからトレッドゴム2
0のトレッド部キャップゴム20bを除いた部分として
いる。
【0019】このタイヤボディ部1Bは、具体的には前
記タイヤのカーカス16、ベルト層17、バンド層19
を含むコード補強材Fと、トレッドゴム20のトレッド
部ベースゴム20a、サイドウォールゴム21、ビード
ゴム22を含むゴム部と、ビードコア15とを含む。
【0020】本例のシミュレーション方法では、前記タ
イヤボディ部1Bは、有限要素法に基づき有限個の要素
に分割される。有限要素法に基づく要素とは、例えば2
次元平面では四辺形要素、3次元要素としては、4面体
ソリッド要素、5面体ソリッド要素、6面体ソリッド要
素などコンピュータで用いうる要素とするのが望まし
く、これらの要素は3次元座標X−Y−Zを用いて逐一
特定されうる。
【0021】前記コード補強材Fとして例えばベルト層
17の任意の微小領域は、図3に示すように、コード補
強材要素モデル5に設定される。本例ではコード補強材
Fのうちコード材cは、四辺形膜要素5a、5bにてモ
デル化され、またトッピングゴムtについては、六面体
ソリッド要素5c、5d、5eでモデル化したものを例
示している。
【0022】前記コード材cをモデル化した前記四辺体
膜要素5aの材料定義は、その厚さを例えばコード材c
の直径とし、コード材cの配列方向と、これと直交する
方向とにおいて剛性の異なる直交異方性材料として取り
扱い、各方向の剛性は均質化しているものとして取り扱
うものを例示している。またコード補強材Fのトッピン
グゴムtを表す六面体ソリッド要素5c〜5eは、他の
ゴム部材と同様に超粘弾性材料として定義して取り扱う
ことができる。
【0023】また、タイヤボディ部1Bのトレッド部ベ
ースゴム部10a、サイドウォールゴム21、ビードゴ
ム22、ビードコア14については、例えば六面体ソリ
ッド要素または五面体ソリッド要素でモデル化する処理
を行う。このようなモデル化は、前記入力手段Iを用い
て行うことができる。またタイヤボディ部要素モデル3
は、タイヤの回転軸を含む子午断面の2次元形状を特定
し、これを周方向に展開する形で要素分割することによ
り、比較的簡単にモデリングを行うことができる。
【0024】このように、本例ではコード補強材Fを従
来のように1枚の平面ショル要素でモデル化するのでは
なく、コード材c、トッピングゴムtというように、そ
れぞれ材質の特性に応じてモデル化することによって、
実際の製品により近いタイヤ性能をシミュレートするこ
とが可能となる。また、各ゴム部20〜22、コード補
強材F、ビードコア14を有限要素にモデル化する際に
は、各ゴム、コードの複素弾性率、ビードコアの弾性率
などに基づき材料、剛性を定義しうる。
【0025】次に、前記トレッドパターン部要素モデル
4は、タイヤのトレッドパターンをタイヤ周方向の全周
に亘り有限個の多数の要素に分割したトレッドパターン
要素部を設定する処理により得られる。このパターン要
素モデル4は、本例では前記トレッドゴムのトレッド部
キャップゴム20bをモデル化したもので、前記タイヤ
ボディ部要素モデル3とは別個に設定された後、前記タ
イヤボディ部要素モデル3に結合されるものを例示して
いる。
【0026】本実施形態では、パターン要素モデル4
は、タイヤ周方向に配されるトレッド部キャップゴム2
0bを、有限個の多数の四面体要素4a、4b…で分割
したものを例示し、タイヤ全周にわたって構成される。
このようにパターン要素モデル4を、タイヤボディ部要
素モデル3と分離してモデル化することにより、例えば
本例のように前記タイヤボディ部要素モデル3よりも詳
細に要素化(メッシュ化)でき、トレッドパターンの影
響をより詳しく解析しうる点で好ましい。また、タイヤ
の内部構造を同じとし、トレッドパターンのみ異なる種
々のタイヤについては、トレッドパターン部要素モデル
4のみを設定し、タイヤボディ部要素化モデル用3につ
いてはこれを共用化でき、さらに開発効率を向上しうる
利点がある。
【0027】そして、本実施形態では前記タイヤボディ
部要素モデル3に、前記トレッドパターン部要素モデル
4を結合する処理を行うことにより、タイヤ有限要素モ
デル2を完成させる。なお図5に示すように、トレッド
パターン部要素モデル4の内側の面または節点は、タイ
ヤボディ部要素モデル3の面または節点に対してその相
対位置が変わらないように強制変位させるよう定義して
接合される。
【0028】次に、このタイヤ有限要素モデル2を仮想
リムに装着し仮想路面7に接地させて所定の走行条件で
前記仮想路面に対して接触又は相対移動させる走行シミ
ュレーション処理を行う。
【0029】前記「タイヤ有限要素モデル2を仮想リム
に装着する」とは、図8に示すように、タイヤ有限要素
モデル2のリム接触域を拘束するとともに該モデル2の
ビード部のタイヤ軸方向距離Wをリム巾に強制変位させ
ることをいう。なお、タイヤ有限要素モデル2の回転軸
CLは、図8に示したようにタイヤ有限要素モデル2の
リム拘束域との相対距離rが常に一定となるよう連結固
定されている。また、仮想路面7は、平坦な四辺形剛表
面としてモデル化している。このため、現実のリム組み
状態をシミュレーション上で容易にかつ正確に再現しう
る。
【0030】前記走行シミュレーション処理での所定の
走行条件としては、例えばタイヤ有限要素モデル2の内
圧、軸荷重、スリップ角α、キャンバー角、タイヤ有限
要素モデル2と仮想路面7との間の摩擦情報などを含
む。また前記内圧は、タイヤ有限要素モデル2の内側面
にタイヤ内圧に相当する等分布荷重を作用させることに
より設定しうる。
【0031】また「スリップ角α」とは、図9に示すよ
うに、路面の進行方向とタイヤの周方向の中心線とのな
す角をいう。一般に、このような転動状態(コーナリン
グ中)にあるタイヤは、図13に示すようにトレッド部
の接地面が時間の経過とともに路面との接触を保ちなが
ら横方向に移動する。このようにトレッド部の表面が路
面によって横方向に押され、トレッド部がせん断変形を
起こし、それによって進行方向と直角方向の力であるコ
ーナリングフォースが生じる。またキャンバー角とは、
タイヤを進行方向正面から見たときの路面とタイヤ周方
向中心線とのなす角をいう。
【0032】そして、タイヤ有限要素モデル2を走行シ
ミュレーションする際には、例えば前記タイヤ有限要素
モデルのビード部を拘束し、内圧を作用させた後、図8
に示したように仮想路面7をタイヤ有限要素モデル2に
押しつけるか、若しくはタイヤ有限要素モデル2の回転
軸CLを仮想路面7に押し付けることにより、タイヤ有
限要素モデル2を仮想路面7と接触させて実際の使用条
件等に合わせて荷重負荷等の諸条件を設定する。
【0033】例えばコーナリング特性などを解析する場
合には、仮想路面7に対してタイヤ有限要素モデル2を
前記の如く接触させるとともに、スリップ角αがつくよ
うに向き換えして両者を相対移動させることによりシミ
ュレーションを行う。なおこのとき、タイヤ有限要素モ
デル2は、例えば回転軸を自由支持とした場合には、前
記仮想路面7の移動による摩擦力により転動させること
ができる。
【0034】なおコーナリングフォースなどをシミュレ
ートする際には、仮想路面7に対してタイヤ有限要素モ
デルが半回転以上転動させることが正確な情報を解析し
うる点で好ましい。何故ならば、タイヤのコーナリング
フォースは、時間とともに変化し、定常状態になるに
は、ある程度のタイヤの転動が必要だからである。
【0035】次に、本例のシミュレーションでは、前記
走行シミュレーション中のタイヤ有限要素モデル2から
所定の情報を取得する情報取得処理を行う。この処理
は、例えばタイヤ有限要素モデル2からコーナリングフ
ォース、接地面の形状又は内部応力分布を含む情報を数
値情報、ないしアニメーションなどの画像情報として取
得することができる。
【0036】本シミュレーションは、有限要素法により
行われる。一般に、有限要素モデルに各種の境界条件を
与え、その系全体の力、変位などの情報を取得する手順
については、よく知られている公知の例に従い行うこと
ができる。なお本例の計算のアルゴリズムは、陽解法で
ある。例えば、要素の形状、要素の材料特性、例えば密
度、ヤング率、減衰係数などをもとに、要素の質量マト
リックスM、剛性マトリックスK、減衰マトリックスC
を作成する。
【0037】前記各マトリックスを組み合わせて、シミ
ュレーションされる全体の系のマトリックスを作成す
る。また適宜境界条件をあてはめて、下記数1の運動方
程式を作成する。
【数1】
【0038】この数1を微小時間tごとにCPUにて逐
次計算することによりシミュレーションを行ないうる。
前記逐次計算の微小時間tは、全ての要素について応力
波の伝達時間を計算し、その最小時間の0.9倍以下の
時間とするのが好ましい。
【0039】タイヤには、コーナリングフォース、制動
性能、ノイズ性能、摩耗性能、転がり抵抗性能など多く
の性能が要求され、特にこれらのタイヤ性能を解析する
ためには、タイヤを転動させるシミュレーションが必要
となる。本シミュレーションでは、タイヤボディ部要素
モデル2、トレッドパターン部要素モデル3がいずれも
周方向に連続するため転動シミュレーションが可能であ
り、コーナリング性能や摩耗性能、さらに、減衰の効果
を考慮すれば振動性能、流体との連成によりハイドロプ
レーニング性能についての予測・解析が可能となる。
【0040】以上、詳述したが、本発明は上記実施形態
に限定されるものではなく、例えばタイヤボディ部1B
はベルト層までとし、トレッド部ベースゴム20aをト
レッドパターン部に含ませるなど、種々の態様に変形し
うる。
【0041】
【実施例】今回シミュレーションを行ったタイヤは、2
35/45ZR17LMG02(住友ゴム工業株式会社
製)であり、コーナリングフォース、コーナリング中の
トレッド面、内部応力分布である。このタイヤの有限要
素モデルは図1に示したものと同じであり、節点数は4
3896、要素数は76359である。
【0042】また仮想路面は平坦な剛表面としてモデル
化した。そしてタイヤ有限要素モデルのビード部を拘束
し、タイヤ内圧荷重を作用させた後、仮想路面をタイヤ
モデルに押しつけて荷重負荷し、路面をタイヤに対して
スリップ角がつくように移動させてシミュレーションを
行った。タイヤ有限要素モデルは回転軸をフリーとして
おり、路面の移動による摩擦力により転動する。タイヤ
と路面の摩擦係数は、静動摩擦とともに1.0とした。
路面の移動速度は時速20km/hとした。
【0043】本シミュレーションでは、スリップ角αと
して0、1、2、4deg を設定し、コーナリングシミュ
レーションを行った。この結果を図10に示す。
【0044】図10から明らかなように、スリップ角を
つけて路面移動して約0.15秒後にはコーナリングフ
ォースがほぼ安定して得られていることが解る。これは
タイヤの回転数に換算すると約半回転弱である。したが
って、コーナリングフォースをシミュレーションするた
めには、少なくともタイヤをこの程度転動させることが
必要であり、そのためにはトレッドパターンをタイヤの
全周に具えることが好ましいものであることが解った。
【0045】また、本シミュレーションによるコーナリ
ングフォースと、ドラム試験機を用いた実測による定常
コーナリングフォース(Experiment) とはほぼ一致して
おり、このシミュレーションの精度の高さが確認でき
た。なお本シミュレーションでは、スリップ角0deg で
コーナリングフォースが若干発生しているが、これは主
として、ベルト層がバイアス積層された構造をなすた
め、そのカップリング効果により起こるプライステア現
象が現れたものと見ることができる。このようなプライ
ステア現象までの本シミュレーションにおいて忠実に表
現されており、精度の高さが窺える。
【0046】次に、スリップ角4deg におけるコーナリ
ング時の接地中心断面応力分布を解析した結果を図12
に示す。これより、コーナリング内側のタイヤ側面に大
きな引張応力(ドット部分)が発生していることが判っ
た。また、このときのトレッド部の接地圧分布を図11
に示す。これより、トレッド部の後方のタイヤ中央部の
ブロックでの変形が大きく、接地圧も高い(ドット部
分)ことがわかる。なお今までのところ、実車を用いた
タイヤ転動中の接地圧分布は、実験計測は不可能である
が、本シミュレーションではこれを知ることができる。
このようなデータを採取することにより、タイヤのトレ
ッドパターンの、どの部分にどのような力が働くかを詳
細に解析することができ、タイヤパターン設計を効率よ
く行え、非常に有用なものである。本シミュレーション
は、スーパーコンピューターを使って約40時間のCP
U計算時間を要した。
【0047】上述したように、請求項1記載の発明で
は、タイヤ性能のシミュレーション方法において、タイ
ヤ有限要素モデルのリム接触域を拘束するとともに該タ
イヤ有限要素モデルのビード部のタイヤ軸方向距離をリ
ム巾に強制変位させる仮想リム組み処理を含むことによ
り、リム組み状態をシミュレーション上で容易にかつ正
確に再現でき、実際の開発に適用可能な精度の良いタイ
ヤ性能をシミュレートするのに役立つ。またタイヤ有限
要素モデルは、カーカス、ベルトを含むコード補強材
と、サイドウォールゴム、ビードゴムを含むゴム部と、
ビードコアとがタイヤ周方向に同一断面形状で連続する
タイヤボディ部を、その回転軸を含む子午断面の2次元
形状を周方向に展開して要素分割しタイヤボディ部要素
モデルを設定する処理と、タイヤ周方向にのびる縦溝
と、この縦溝に交わる向きにのびる横溝を具えたトレッ
ドパターンをタイヤ周方向の全周に亘り有限個の多数の
要素に分割した前記トレッドパターン部要素モデルを設
定する処理と、前記タイヤボディ部要素モデルに前記ト
レッドパターン部要素モデルを結合する処理とを含んで
形成されるため、簡単にモデリングを行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ有限要素モデルの斜視図であ
る。
【図2】タイヤボディ部要素モデルの斜視図である。
【図3】コード補強材の要素モデル化を示す概念図であ
る。
【図4】トレッドパターン部要素モデルの斜視図であ
る。
【図5】タイヤ有限要素モデルの変形を例示する線図で
ある。
【図6】本例のシミュレーション装置の実施形態を示す
ブロック図である。
【図7】本実施形態の処理手順を示すフローチャート図
である。
【図8】タイヤ有限要素モデルを仮想路面に接地させた
断面の概念図である。
【図9】タイヤ有限要素モデルを仮想路面に接地させた
平面の概念図である。
【図10】コーナリングフォースのシミュレーション結
果を示すグラフである。
【図11】コーナリング中のタイヤ有限要素モデルのト
レッド面を示す線図である。
【図12】コーナリング中のタイヤ有限要素モデルの断
面を示す線図である。
【図13】タイヤの断面図である。
【図14】コーナリングフォースを説明する線図であ
る。
【符号の説明】
T タイヤ 2 タイヤ有限要素モデル 3 タイヤボデイ部要素モデル 4 トレッドパターン部要素モデル 5 コード補強材要素モデル 7 仮想路面
フロントページの続き (56)参考文献 A.Kamoulakos et a l.,Transient Respo nse of a Rotating Tire under Multipl e Impacts with a R oad Bump Using PAM −SHOCK,Proceedings of 1996 PAM Users C onference in Asia, 日本,1996年11月14日,p181−200 R.Gall et al.,Som e Notes on the Fin ite Element Analys is of Tires,Tire S cience and Technol ogy,米国,The Tire So ciety,vol.23,no.3,J uly−September 1995,p 175−188 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06F 17/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】評価しようとするタイヤを有限個の多数の
    要素に分割したタイヤ有限要素モデルで近似し、有限要
    素法を用いて前記タイヤ有限要素モデルからタイヤ性能
    をシミュレーションするタイヤ性能のシミュレーション
    方法であって、前記タイヤ有限要素モデルは、カーカス、ベルトを含む
    コード補強材と、サイドウォールゴム、ビードゴムを含
    むゴム部と、ビードコアとがタイヤ周方向に同一断面形
    状で連続するタイヤボディ部を、その回転軸を含む子午
    断面の2次元形状を周方向に展開して要素分割しタイヤ
    ボディ部要素モデルを設定する処理と、 タイヤ周方向にのびる縦溝とこの縦溝と交わる向きにの
    びる横溝とを有する前記タイヤのトレッドパターンを、
    タイヤ周方向の全周に亘り有限個の多数の要素に分割し
    たトレッドパターン部要素モデルを設定する処理と、 前記タイヤボディ部要素モデルに前記トレッドパターン
    部要素モデルを結合する処理とを含んで形成され、 かつ 前記タイヤ有限要素モデルのリム接触域を拘束する
    とともに該タイヤ有限要素モデルのビード部のタイヤ軸
    方向距離をリム巾に強制変位させる仮想リム組み処理を
    含むとともに、 前記タイヤ有限要素モデルは、その内側面にタイヤ内圧
    に相当する等分布荷重を作用させることにより内圧条件
    が設定され、しかも前記タイヤ有限要素モデルの回転軸
    前記リム拘束域との相対距離が常に一定となるよう連
    結固定されていることを特徴とするタイヤ性能のシミュ
    レーション方法。
  2. 【請求項2】前記タイヤ有限要素モデルは、前記回転軸
    を仮想路面に押し付けることにより、荷重負荷条件が設
    定されることを特徴とする請求項1記載のタイヤ性能の
    シミュレーション方法。
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