JP4395394B2 - カッタインサート及びフライス工具 - Google Patents

Description

本発明はフライス工具、特にコーナフライスのためのカッタインサート並びにこのようなカッタインサートで装備されたフライス工具に関する。

フライス工具は通常は複数のカッタインサートを有し、該カッタインサートは複数の組込み位置で各インサート座に固定される。これによってカッタインサートに設けられた複数の切刃が順次使用されることでカッタインサートの寿命が延長される。この場合、カッタインサートの幾何学的な形は切子形成に著しい影響を及ぼす。例えばたいていはポジティブなすくい角がフライス工具の周面切刃においても、場合によっては端面切刃においても望まれる。カッタインサートに付与される形には、前記すくい角が考慮される。いわゆるポジティブカッタインサートはその切刃に９０゜よりもはっきりと小さい楔角を有している。これは側面（逃げ面）と天面（すくい面）との適当な傾斜により達成される。

例えばこのようなカッタインサートはＤＥ３６１８５７４Ａ１号によって公知である。このようなカッタインサートのすくい面は、例えば図４２並びに５５及び５６に示すように平らな面形状とは異なっている。前記すくい面は、固定孔を貫く対角線に向かって下降する２つの部分面から成っている。このカッタインサートの底面は平らである。相応して工具体のカッタインサート座も対応する平らな接触面を有している。

この公知技術ではカッタインサートは２つの異なる位置で各カッタインサート座に固定されることができる。前記位置は固定孔を通る軸線に対し同軸の仮想軸線を中心とした１８０゜の回動により与えられる。アプローチ可能な切刃が両方の位置で摩滅するとカッタインサートは全体として交換されなければならない。
ＤＥ３６１８５７４Ａ１号明細書

本発明の課題はカッタインサートが改善された有効期限を有するカッタインサート及びフライス工具を提供することである。

本発明の課題は、請求項１に記載のカッタインサート並びに請求項１７に記載のフライス工具により解決された。

本発明によるカッタインサートは２つの方向に、つまり複式に捩られた基体を有している。したがって当該のカッタインサートはもはや平らな底面を有しておらず、天面と同じ形の底面を有している。反転カッタインサートが例えば長手方向軸線又は横方向軸線を中心として反転させられると、底面は先きに天面がとっていた位置をとり、天面はすべての主要な点で先きにこの個所にあった底面の形と合致し、反対に天面は先きに底面がとっていた位置をとり、底面はすべての主要な点で先きにこの個所にあった天面の形と合致する。これにより反転カッタインサートは横方向で固定孔を通る少なくとも１つの対称軸線に対し回転対称的に構成されている。したがって反転カッタインサートは１個所で、固定孔を同軸的に通る軸線（同様に対称軸線である軸線）を中心として１８０゜回動させられるだけではなく、付加的に固定孔に対し横方向に向けられた少なくとも１つの対称軸線を中心として回動させられることができる。これにより従来のように２つの切刃もしくは切刃対しかアプローチ可能であるだけではなく、全部で４つの切刃もしくは切刃対がアプローチ可能になり、当該カッタインサートの有効寿命が従来のカッタインサートに較べて２倍に延長される。

いわゆる反転カッタインサートの反転の可能性は、直方体形状の基本形を有する簡単な方形カッタインサートにより公知である。しかし、このような簡単なカッタインサートはコーナフライスに簡単に使用することはできない。特にポジティブなすくい角が要求される場合にはコーナフライスに対する適用が困難である。しかしながら本発明で提案したカッタインサートでは、カッタインサートが複式に捩られていることでこれは可能になる。両方の対称軸線は有利には、固定孔がほぼ垂直に位置する中央平面に位置している。さらに対称軸線は例えば平面として構成できる側面を貫通する。この場合には側面は前記中央平面とそれぞれ直角を成すので、全体としてネガティブな基本形状を有するカッタインサートが得られる。ネガティブな基本形状は粉末冶金工学的に簡単に製造することができる。特に粉末プレス品を製造する、可動な型部分を備えた型は不要である。すくい面として役立つ底面及び天面の特殊な捩りは、全体としてネガティブな基本形状を有するカッタインサートにおいて、簡単にポジティブなすくい角の達成を可能にする。これは可能な４つの組込み状態で可能である。ポジティブな逃げ角は工具ヘッドにおいてカッタインサートを適当にネガティブに傾けて組込むことにより達成される。

側面は有利には平らに構成されるが、これをファセット化するか又は凸状に湾曲して構成することも可能である。これによって両面型カッタインサートは幾何学的にポジティブなすくい面形状と環状にネガティブな逃げ面形状を有するようになる。さらに周切刃として用いようとする切刃は直線的にも、いくらかバルーン状に、例えば楕円形状に湾曲させて構成することもできる。この場合、湾曲は有利には、切刃が組込み状態で円筒面を規定するように規定される。このようなフライス工具は周切刃で平らな面を生ぜしめる。本発明の実施例の詳細は図面及び図面についての説明又は請求の範囲の従属請求項に開示してある。

図１には工具体２と該工具体２に固定されたカッタインサート３，４，５，６，７，８とを有するフライス工具１が示されている。カッタインサート３から８までは互いに同じ構成を有している。したがってカッタインサート３に関する記述はフライス工具１の他のすべてのカッタインサート４から８までにも当嵌まる。

工具体２は回転軸９を中心として回転させられるように構成され、回転軸９に対し同軸的な固定開口１１を有している。フライス工具１はカッタインサート３から８までがアクティブな切刃を端面側にも周面側にも有しているコーナフライスである。カッタインサート３から８までは適宜のインサート座１５から２０までに配置されている。該インサート座１５から２０は工具体２の相応の切子溝２１から２６までに配置されている。これは特に図２に示されいる。

カッタインサート３については以後、図３から７を用いて説明する。カッタインサート３は平面図で見て図７に示されているように長方形又は菱形に構成された基体を有している。基体は上に向かっては天面２８により制限されかつ下に向かっては底面２９によって制限されている。底面２９と天面２８は側方にて、有利には平らに構成された側面３１，３２，３３，３４を介して互いに結合されている。側面３１，３２，３３，３４は天面２８との間に２つの周面切刃３５，３６と２つの端面切刃３７，３８を形成する。周面切刃３５，３６は有利には直線的に構成される。必要な場合には周面切刃３５，３６はいくらか湾曲させられていることもできる。これらの周面切刃３５，３６は主切刃として用いられる。端面切刃３７，３８はこれに対し副切刃を形成する。周面切刃３６と端面切刃３７は第１の切刃対を形成し、周面切刃３５と端面切刃３８は第２の切刃対を形成する。したがって天面２８にはカッタインサート３の２つの作業位置に相応する２つの切刃対が配属されている。両方の作業位置は、基体２７の中央を通る固定孔４１に同心的に規定されている、図３に示されている孔軸線３９を中心とした１８０゜のカッタインサートの回動で互いに異なっている。したがって孔軸線３９は天面２８と側面３１，３２，３３，３４の形状に関し、カッタインサート３のための対称軸を形成する。相応してカッタインサートは底面２９に向かって見た場合にも対称的に構成されている。底面２９は側面３１，３２，３３，３４により規定された切刃４２，４３，４４，４５で取囲まれている。切刃４２，４３は周面切刃であるのに対し、切刃４４，４５は端面切刃である。

切刃３５から３８と４２から４５は孔軸線３９がほぼ垂直に位置する中央平面４６に対し斜めに配置されている。この中央平面４６は図５と６とに示されている。この中央平面４６はそれぞれ図平面に対し垂直に位置している。さらに中央平面４６は基体２７の重心を通っている。中央平面４６は同時に孔軸線３９に対し垂直に向けられた２つの別の対称軸線を規定している。第１の対称軸線４７は互いに面平行である側面３１，３３に対し平行に方向付けられ、第２の対称軸線４８は互いに平行に配置された側面３２，３４に対し平行に方向付けられている。これは平面図で見て方形の基本形状（図７）を有するカッタインサートにおいても菱形の基本形状を有するカッタインサートの場合にも当嵌まる。先きに述べた場合には対称軸線４７，４８は互いに直交しているのに対し、後に述べた場合には互いに多かれ少なかれ鋭角を成している。この角度の大きさは鋭角であるコーナ角の大きさと合致する。

対称軸線４７，４８はカッタインサート３の回動の中心となる反転軸線でもある。基体２７は対称軸線４７を中心としても対称軸線４８を中心としても捩られていることができる。相応して天面２８は端面切刃３７と周面切刃３６との間に規定される高いコーナから固定孔４１に向かって下降する。さらに天面２８は周面切刃３５と端面切刃３８との間に規定された別の高いコーナから固定孔４１に向かって下降する。したがって天面は対角線方向に延在する溝又は凹部５１を有している。これに対し、底面に配置された相応する凹部５２は平面図で見て方形である基本形の他方の対角線方向で延在している。

固定孔４１は互いに対向した両方の開口部に円錐形の支持面５３，５４を、孔軸線３９に対し同心的に配置されて有している。インサート座１５から２０まではそれぞれ切子溝２１から２６までに続いて、各カッタインサート３から８の側面のための２つの平らな支持面と、形が底面２９と天面２８とに相応する支持面とを備えている。この場合、インサート座は互いに同じく構成されている。インサート座はカッタインサート３から８までを軸方向に関してネガティブに調節する。図１には回転軸線９に対する中央平面４６の位置が示されている。図１に記入された線５５はカッタインサート５の端面側の側面３４に対し垂直に位置し、これにより図示されていない中央平面４６の傾きを表している。図示のように線５５は線９に対し、共通の図平面に投影した場合に鋭角を成しており、これによって側面３４はポジティブな逃げ角を規定している。しかし基体２７の強い捩れに基づき、端面側の切刃３８から離れて延びる天面２８は強く下降するので、端面側にはポジティブな軸角（すくい角）がカッタインサート５のネガティブな調節にも拘わらず生じる。

同じことは他のカッタインサートにも当嵌まる。半径方向の調節に関しては図２を参照されたい。中央平面４６に対し平行に配置されかつカッタインサート５の周面切刃３５の後行するコーナに当たる線５６は半径方向５７との間に鋭角αを形成する。この角度αはここでは負の角度と見なすことができる。これはポジティブな逃げ角をもたらす。ポジティブなすくい角は周面切刃３５から遠ざかる天面の強い下降によって得られる。ここでは強い下降とは天面２８が切刃３５にて側面３１との間に、９０゜よりもはっきりと小さい角度を成すことである。換言すれば本発明によるカッタインサート３は中心面４６に対し垂直に向けられた側面３１，３２，３３，３４を有し、すべての切刃３５，３６，３７，３８もしくは４２，４３，４４，４５にて９０゜よりも小さい楔角を有している。さらにすくい面、つまり天面２８並びに底面２９はそれぞれ１つの対角線に向かって下降している。この場合、図７の対角線は互いに異なっている。

図８と９にはカッタインサート３の変更された実施例が示されている。この実施例と先きに述べた実施例との相違点は、側面３１，３２，３３，３４が凸面状に湾曲されて構成されていることだけである。側面はそれぞれ同一の側面３１，３２，３３，３４に接続する切刃を互いに結合する線６１，６２，６３，６４を越えて湾曲している。しかしこの場合にも線６１から６４は中央平面４６に対し直角に配向されている。その他の点では先きの記述はこの実施例にも当嵌まる。凸面状に湾曲された側面の代りにこの側面は図１０に示すようにコンベックスにファセット化されていることもできる。これはカッタインサート３のすべての４つの側面に当嵌まる。側面ファセットは図１０ではアルファベットａ，ｂ，ｃで示してある。符号“ｂ”の付されたファセットは中央平面４６に直角でありかつ正方形の中央領域を画成している。中央領域の厚さＡは上方及び下方のコーナがそれぞれ中央領域Ａを越えて突出する隆起部Ｂの高さよりも有利にははっきりと小さい（図５参照）。これはカッタインサート３の劇的な捩りの結果である。中央領域は上方と下方へ、互いに平行な面にある溝又は凹部５１によって制限されている。これに相当する幾何学的な形状は図５から９までに示されたカッタインサート３も有している。

カッタインサート３、特にコーナフライス（フライス工具１）のために設けられたカッタインサートは、平面図で見て四角形、例えば長方形又は菱形の基体を有している。この基体の有利には平らな側面３１から３４は基体の固定孔４１の孔軸線３９に対し平行及び／又は基体２７の重心を通る中央平面４６に対し直角に向けられている。底面２９と天面２８は形が同じで、互いに反転対称的に構成されている。この場合、底面２９もしくは天面２８は底面２９もしくは天面２８上を斜めに延びる溝に向かって下降する。溝は互いに鋭角βを成して交差している。対を成して同じ側面３１もしくは３３に境界を接する周面切刃３５，４２，３６，４３は有利には真直ぐにかつ互いに平行に配置されている。この場合にはカッタインサートは４つの異なる組込み状態で使用でき、ひいては４つの異なる切刃又は切刃対を有する反転カッタインサートが得られる。カッタインサートは全体としてネガティブな基本形を有する。この場合、カッタインサート３はどの組込み位置でもポジティブな軸方向のすくい角とポジティブな半径方向のすくい角の達成を保証する。

本発明のフライス工具を側方から見た斜視図。 図１のフライス工具を端面側から見た図。 図１のフライス工具のカッタインサートを別の寸法で示した斜視図。 図３のカッタインサートを側方から見た図。 図３のカッタインサートの端面図。 図３のカッタインサートの変化実施例の側面図。 図６のカッタインサートの平面図。 本発明のカッタインサートの変化実施例を示した図。 図８のカッタインサートの側面図。 本発明によるカッタインサートの１実施例の端面図。

符号の説明

１ フライス工具、 ２ 工具体、 ３，４，５，６，７，８ カッタインサート、 ９ 回転軸、 １１ 固定開口、 １５，１６，１７，１８，１９，２０ インサート座、 ２１，２２，２３，２４，２５，２６ 切子溝、 ２７ 基体、 ２８ 天面、 ２９ 底面、 ３１，３２，３３，３４ 側面、 ３５，３６ 周面切刃、 ３７，３８ 端面切刃、 ３９ 孔軸線、 ４１ 固定孔、 ４２，４３，４４，４５ 切刃、 ４６ 中央平面、 ４７，４８ 対称軸線、 ５１ 凹部、 ５２ 凹部、 ５３，５４ 支持面、 ５５ 線、 ５６ 線、 ５７ 半径方向、 ６１，６２，６３，６４ 線

Claims (16)

1. コーナフライス工具（１）のためのカッタインサート（３）であって、１つの平らでない底面（２９）と１つの平らでない天面（２８）と４つの側面（３１，３２，３３，３４）とを有し、該側面（３１，３２，３３，３４）が前記底面（２９）と前記天面（２８）と共にそれぞれ１つの切刃（３５，３６，３７，３８，４２，４３，４４，４５）を規定している基体（２７）を有し、該基体（２７）が前記底面（２９）から前記天面（２８）に向かって延びる固定孔（４１）を有しており、前記天面（２８）と前記底面（２９）とが平面図で見て方形に構成されており、前記基体（２７）が２本の軸線（４７，４８）を中心として捩られており、該２本の軸線（４７，４８）が前記固定孔（４１）と直角に交差する共通の一平面（４６）に位置していることを特徴とするカッタインサート。
2. 前記共通の平面（４６）がカッタインサートの中央平面である、請求項１記載のカッタインサート。
3. 前記両軸線（４７，４８）が互いに直角を成して交差している、請求項１記載のカッタインサート。
4. 前記切刃（３５，３６，３７，３８，４２，４３，４４，４５）が前記両軸線（４７，４８）に対し対称的に配置され、前記切刃（３５，３６，３７，３８，４２，４３，４４，４５）の対称軸線を規定している、請求項１記載のカッタインサート。
5. カッタインサート（３）が二重に線対称に構成されている、請求項１記載のカッタインサート。
6. 同じ側面（３１，３２，３３，３４）に接し、一方が前記天面（２８）にかつ他方が前記底面（２９）に接する２つの切刃（３５，４２；３７，４４；３６，４３；３８，４５）が前記平面（４６）に直角に交差する線（６１，６２，６３，６４）を規定している、請求項１記載のカッタインサート。
7. 前記側面（３１，３２，３３，３４）がコンベックに構成されている、請求項１記載のカッタインサート。
8. カッタインサート（３）が、コーナ高さＢよりも厚さＡの小さい中央区分を有している、請求項１記載のカッタインサート。
9. 前記側面（３１，３２，３３，３４）が中央平面（４６）に対し直角に配置されている、請求項２記載のカッタインサート。
10. 前記側面（３１，３２，３３，３４）が平らな面である、請求項１記載のカッタインサート。
11. 前記固定孔（４１）が前記天面（２８）と前記底面（２９）とにおいて、固定ねじのヘッドのための支持面（５３，５４）を有している、請求項１記載のカッタインサート。
12. 前記支持面（５３，５４）が円錐面である、請求項１１記載のカッタインサート。
13. 少なくとも２つの側面（３１，３３）が菱形に構成されている、請求項１記載のカッタインサート。
14. 請求項１から１３までのいずれか１項記載のカッタインサートと、１つの回転軸（９）を規定しかつカッタインサート（３，４，５，６，７，８）のためのカッタインサート座（１５，１６，１７，１８，１９，２０）を備えた工具体（２）とを有することを特徴とする、フライス工具。
15. 前記カッタインサート座（１５，１６，１７，１８，１９，２０）が複数の支持面を有し、該支持面にてカッタインサート（３，４，５，６，７，８）が、周面切刃（３５）の後行するコーナにて該周面切刃（３５）に接触する、前記中央平面（４６）に対して平行な線（５６）に関して半径方向にネガティブに調節される、請求項１４記載のフライス工具。
16. カッタインサート（３，４，５，６，７，８）が中央平面（４６）に対し平行な線（５５）に関し軸方向にネガティブに調節される支持面をカッタインサート座（１５，１６，１７，１８，１９，２０）が有している、請求項１５記載のフライス工具。

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