JP4394295B2 - フォーカルプレーンシャッタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラ用シャッタに関し、さらに詳しくは露出制御手段の開放動作を開放羽根(先幕)、及び閉鎖動作を閉鎖羽根(後幕)によって行うものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
開放羽根と閉鎖羽根により露出制御を行うシャッタは、それぞれの開放動作及び閉鎖動作を行うための開放レバー及び閉鎖レバーの駆動力を電磁石により吸着保持し、電磁石の電流をオフすることにより開放動作及び閉鎖動作を行い、開放電磁石と閉鎖電磁石のオフするタイミングを変えることにより露出制御を行っている。
【0003】
二重遮光形式のフォーカルプレーンシャッタの場合、レリーズ前状態では閉鎖羽根及び開放羽根の双方が閉じており、レリーズ動作により、まず、閉鎖羽根が折りたたまれ開口から退避し、次いで開放羽根が折りたたまれて開口から退避し、これにより開口が開いて露光を開始すし、所定時間経過後に閉鎖羽根を閉じて露光終了し、更にリセット動作により開放羽根を閉じてレリーズ前状態に戻るようになっている。
【0004】
従来の具体的な構成を図5及び図6に示すと、基板1に開口10が設けられている。基板1上の軸1aには、セットレバー30が揺動自在に嵌合しており、セットレバー30の突部30aは、後述の第1閉鎖レバー21を初期位置にセットするためのものであり、突部30bは、後述の開放レバー23を初期位置にセットするためのである。基板1に立設した軸1bには、第1閉鎖レバー21と第2閉鎖レバー22の中心軸部21aと22aがそれぞれ回転自在に嵌合している。第1閉鎖レバー21は不図示の閉鎖ばねにより時計回り(以下、「右旋」という。)方向に付勢されている。そして、ばね41がアーム40aにかけられ、アーム40を介して第2閉鎖レバー22が反時計回り(以下、「左旋」という。)に付勢されている。また第1閉鎖レバー21に、半円柱状のピン21bを突設しており、このピン21bの中心面に第2閉鎖レバー22の側面が当接することにより、第2閉鎖レバー22を第1閉鎖レバー21に追従可能にしている。
【0005】
さらに基板1上の軸1cには開放レバー23の中心軸部23aが回転自在に嵌合しており、不図示の開放ばねにより右旋方向に付勢されている。第2閉鎖レバー22と開放レバー23のそれぞれの先端に設けられた駆動ピン22b、23bは、基板1に設けられた円弧状の透孔1d、1eを貫通して基板1の下方に突出し、駆動ピン22bは、閉鎖羽根ユニットのアーム40a,40bのうちの主アーム40aに連結してあり、駆動ピン23bは不図示の開放羽根ユニットの主アームに連結してある。主アーム40aは、ばね41により左旋方向に付勢されており、このばね41により第2閉鎖レバー22を開口10を開放する方向に付勢している。また開放羽根ユニットの主アームは、不図示のばねにより右旋方向(開口10を開放する方向)に付勢されている。
【0006】
図5は、レリーズ前状態からレリーズスイッチが押されて第2閉鎖レバー22がばね41により左旋した状態を示しており、閉鎖羽根が開口10から退避して折りたたまれた位置にきている。また駆動ピン23bは透孔1eの上端部に位置して開放羽根が広がることにより開口10を閉じている。この状態で、第1閉鎖レバー21は、その軟磁性板21cが基板1に固定されている閉鎖電磁石11に吸着され、開放レバー23は、その軟磁性板23cが基板1に固定されている開放電磁石12に吸着されている。このように、図5は、閉鎖羽根が開口10から退避し、開放羽根が開口10を閉じた一重遮光の状態であり、これは露光前状態である。
【0007】
レリーズ前状態から図5に示す露光前状態になる際に、第2閉鎖レバー22はばね41にチャージされているばね力で左旋し、第1閉鎖レバー21のピン21bにぶつかって停止する。図6に、第2閉鎖レバー22の側面が、ばね41のばね力により第1閉鎖レバー21の半円柱状のピン21bの中心面にぶっかって停止した様子を示している。主アーム40aの下方に羽根受板5が位置しており、不図示の開放羽根及び閉鎖羽根は、アームと羽根受板5との間に位置するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構成では、レリーズ前状態から露光直前状態になる際に、第1閉鎖レバー21の半円柱状のピン21bの中心面に、第2閉鎖レバー22の側面がばね41のばね力により衝突する。第1閉鎖レバー21は、閉鎖電磁石11との間の吸着力により位置保持されているので、このときの衝撃力によって閉鎖電磁石11から一瞬離れることがあり、このために吸着力が低下し、不図示のばねにより右旋してしまうことがある。こうなると第2閉鎖レバー22もピン21bに押されて追従して右旋し、再び閉鎖羽根により開口10を閉じてしまうこととなるので、以後の正常な撮影動作ができなくなるという問題点があった。
【0009】
そこで本発明は、レリーズ前状態から露光直前状態になる際に、第1閉鎖レバーが電磁石から離れて右旋することが生じない構成とし、常に安定した撮影ができるフォーカルプレーンシャッタを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のフォーカルプレーンシャッタは、基板に設けられている開口を開閉する閉鎖羽根を駆動する閉鎖レバーと、前記開口を開放する方向へ前記閉鎖レバーを付勢する付勢部材と、前記開口を開閉する開放羽根を駆動する開放レバーと、前記閉鎖レバーと前記開放レバーとを所定位置にセットするセットレバーとを備えている。前記閉鎖レバーは第1閉鎖レバーと第2閉鎖レバーとからなり、前記第2閉鎖レバーは、前記第1閉鎖レバーとともに同軸に揺動自在に支持され、かつ前記第1閉鎖レバーに追従可能であり、前記基板には、前記第2閉鎖レバーが前記付勢部材の付勢力により揺動されて前記閉鎖羽根を前記開口から退避させた際に、前記第2閉鎖レバーが当接するストッパ部が設けてあることを特徴としている。基板にストッパ部を設けているので、付勢部材により第2閉鎖レバーを開口が開放する方向へ揺動させた際に、付勢力による衝撃力をストッパ部で受けることができ、第1閉鎖レバーに悪影響を与えることがなく、以後の撮影動作を正常に行うことができる。
【0011】
前記ストッパ部は、前記基板に一体的に形成されていることが好ましく、部品点数が増加せず、組み立ての煩雑さがない。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。図1は本発明のフォーカルプレーンシャッタの駆動部を拡大して示したものであり、駆動部により駆動される閉鎖羽根や開放羽根等の図示は省略してある。また、図5で説明した各要素と実質的に同一の部分については、同一の名称と符号を付しているので、説明を省略している。
【0013】
図1は本発明の二重遮光形式のフォーカルプレーンシャッタにおけるレリーズ前状態を示している。第1閉鎖レバー21は段付きの軸1bの小径部に中心軸部21aを嵌合させてあり、図5の場合と同様に左旋位置にあり、第1閉鎖レバー21に設けた軟磁性板21cは、閉鎖電磁石11に吸着されている。第2閉鎖レバー22は、段付きの軸1bの大径部に中心軸部22aを嵌合させてあり、軸1bを中心にして右旋方向に揺動した位置にある。第2閉鎖レバー22は付勢部材であるばね41の付勢力により第1閉鎖レバー21に対して左旋方向、即ち、閉鎖羽根が開口10を開放する方向に付勢されているが、不図示のロックレバーに係止されているので、付勢力に抗して右旋位置にあり、透孔1dの下端部に保持されている。このために、第2閉鎖レバー22の先端に設けてある駆動部(駆動ピン)22bにより閉鎖羽根ユニットのアーム40a,40bを介して閉鎖羽根が広がる方向へ駆動されて開口10を閉じている。
【0014】
また開放レバー23は軸1cを中心にして左旋位置にあり、その駆動ピン23bにより開放羽根ユニットのアームを介して開放羽根が広がる方向に駆動されて開口10を閉じている。開放レバー23に設けた軟磁性板23cは、開放電磁石12に吸着されている。このように、図1に示すレリーズ前状態では、閉鎖羽根及び開放羽根はともに広がり開口10を閉じた位置に保持されており、第1閉鎖レバー21は左旋位置にあって閉鎖電磁石11に吸着されており、第2閉鎖レバー22に付勢力を及ぼしているばね41には、付勢力がチャージされている。
【0015】
基板1には透孔1dの上端部の近傍に、基板1と一体的にストッパ部1fが形成してある。このストッパ部1fは、図2に示すように、基板1から立ち曲げて第2閉鎖レバー22の側面に当接する位置に延伸している。ストッパ部1fの延伸長さは、第1閉鎖レバー21が左旋した位置において、半円柱状のピン21bの中心面よりも第2閉鎖レバー22の側面に接近している長さであることが必要である。この構成により、第2閉鎖レバー22がばね41の付勢力により左旋方向に揺動した際には、図2に示すように、第2閉鎖レバー22の側面がストッパ部1fに衝突して停止する。このときピン21bの中心面と第2閉鎖レバー22の側面との間には、間隔gが残されているので、第2閉鎖レバー22が第1閉鎖レバー21に直接衝突することはない。
【0016】
このような図1に示す二重遮光の状態のレリーズ前状態から、不図示のカメラのレリーズスイッチを押すと、図示していないモータによりセットレバー30が左旋して図3の状態になる。セットレバー30の左旋により、不図示のロックレバーによる第2閉鎖レバー22の係止が外れるので、第2閉鎖レバー22はばね41にチャージされている付勢力により左旋する。この左旋により図2に示したように第2閉鎖レバー22の側面がストッパ部1fに衝突して停止する。第1閉鎖レバー21の位置は、軟磁性板21cが閉鎖電磁石11に吸着されたままであるので、図1の位置と変わらない。また開放レバー23の位置も同様である。このために図3の状態では、閉鎖羽根は折りたたまれて開口10から退避した状態となっており、開放羽根は広がって開口10を閉じた状態になっている。即ち、開放羽根のみによる一重遮光の状態であり、これは露光直前状態であることを意味している。
【0017】
図3の状態で開放電磁石12への通電を停止すると、軟磁性板23cに対する吸着力が消失し、開放レバー23はばねの付勢力により右旋して、図4に示すように駆動ピン23bが透孔1eの下端部へ移動し、この結果、開放羽根は開口10から退避して折りたたまれた状態となる。図3の状態において既に閉鎖羽根が開口10から退避して折りたたまれた状態になっていたことと合わせて、この状態では、開口10が開いた露光状態であることを意味している。
【0018】
閉鎖羽根と開放羽根の両者が折りたたまれて、開口が完全に開き、所定の時間が経った後に、閉鎖電磁石11の通電を停止する。このために軟磁性板21cに対する吸着力が消失し、第1閉鎖レバー21はばねの付勢力により右旋する。第1閉鎖レバー21が右旋を始めた初期には、ピン21bの中心面と第2閉鎖レバー22の側面との間には間隔gがあるので、第2閉鎖レバー22は直ちに第1閉鎖レバー21に追従しないが、ピン21bの中心面が第2閉鎖レバー22の側面に当接した後は、第2閉鎖レバー22もばね41の付勢力に抗してばね41をチャージしながら第1閉鎖レバー21に追従して右旋する。そこで駆動ピン22bが透孔1dの下端部に移動するので、閉鎖羽根は広げられて開口10を閉じた状態になる。閉鎖羽根を広げ開口を閉じることにより露光が終了し、1コマ分の撮影が終わる。これが図4の状態であり、閉鎖羽根により開口10を閉じ、開放羽根はまだ開口10から退避して折りたたまれたままの露光動作直後の状態であることを意味している。
【0019】
この後で、図1のレリーズ前状態に部材をセットするために、セットレバー30が右旋を始める。このとき、不図示のロックレバーが回動されて第2閉鎖レバー22に係合し、第2閉鎖レバー22が第1閉鎖レバー21の左旋に追従することを阻止する。さらにセットレバー30の突部30aが第1閉鎖レバー21を左旋させ、突部30bが開放レバー23の突部23dを押すことで開放レバー23を左旋させる。このようにして第1閉鎖レバー21及び開放レバー23が、セットレバー30の右旋により左旋され、閉鎖及び開放電磁石11,12によりそれぞれ吸着され、ばね41に付勢力がチャージされた図1に示すレリーズ前状態に戻る。
【0020】
また、本実施例では、引張りばねがアームにかけられていたが、引張りばねを第1閉鎖部材と第2閉鎖部材とにかけて第2閉鎖部材に左旋の付勢力がかかるように構成してもよい。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、基板にストッパ部を設けているので、第2閉鎖レバーが付勢部材の付勢力によりレリーズ前状態から露光前状態に揺動された際に、第2閉鎖レバーの側面がストッパ部に衝突し、第1閉鎖レバーにはこの時の付勢力による衝撃が及ばない。このために電磁石による吸着力で位置保持されている第1閉鎖レバーの位置に影響を及ぼすことがなく、第1閉鎖レバーは安定して所定の位置に保持され、それ以後の撮影動作を定められた通りに安定して進行させることができる。また、ストッパ部を基板に一体的に形成すると、構成が簡単にでき、組み立て上の煩雑さも生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフォーカルプレーンシャッタにおけるシャッタ駆動機構のレリーズ前状態を示す正面図である。
【図2】同、第2閉鎖レバーのストッパ部を説明する拡大断面図である。
【図3】同、露光前の状態を示す正面図である。
【図4】同、露光動作直後の状態を示す正面図である。
【図5】従来のシャッタ駆動機構を示す正面図である。
【図6】従来のストッパ部を説明する拡大断面図である。
【符号の説明】
1 基板
1f ストッパ部
10 開口
21 第1閉鎖レバー
22 第2閉鎖レバー
23 開放レバー
30 セットレバー
41 付勢部材
Claims (3)
- 基板に設けられている開口を開閉する閉鎖羽根を駆動する閉鎖レバーと、前記開口を開放する方向へ前記閉鎖レバーを付勢する付勢部材と、前記開口を開閉する開放羽根を駆動する開放レバーと、前記閉鎖レバーと前記開放レバーとを所定位置にセットするセットレバーとを備え、
前記閉鎖レバーは第1閉鎖レバーと第2閉鎖レバーとからなり、
前記第2閉鎖レバーは、前記第1閉鎖レバーとともに同軸に揺動自在に支持され、かつ前記第1閉鎖レバーに追従可能であり、
前記基板には、前記第2閉鎖レバーが前記付勢部材の付勢力により揺動されて前記閉鎖羽根を前記開口から退避させた際に、前記第2閉鎖レバーが当接するストッパ部が設けてある
ことを特徴とするフォーカルプレーンシャッタ。 - 請求項1において、前記ストッパ部は、前記基板に一体的に形成されていることを特徴とするフォーカルプレーンシャッタ。
- 請求項1または2において、前記第1閉鎖レバーは電磁手段により保持されることを特徴とするフォーカルプレーンシャッタ。
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