JP4401035B2 - フォーカルプレーンシャッタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラ用シャッタに関し、さらに詳しくは露出制御手段の開放動作を開放羽根、及び閉鎖動作を閉鎖羽根によって行うものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
開放羽根と閉鎖羽根により露出制御を行うシャッタは、それぞれの開放動作及び閉鎖動作を行うための開放レバー及び閉鎖レバーの駆動力を電磁石により吸着保持し、電磁石の電流をオフすることにより開放動作及び閉鎖動作を行い、開放電磁石と閉鎖電磁石のオフするタイミングを変えることにより露出制御を行っている。
【0003】
二重遮光形式のフォーカルプレーンシャッタの場合、セット完了状態では閉鎖羽根及び開放羽根の双方の羽根を広げてシャッタ開口を二重に閉じており、レリーズ動作によりまず閉鎖羽根がシャッタ開口から退避し、その後、開放羽根が退避してシャッタ開口を開いて露光し、所定時間経過後に閉鎖羽根を広げてシャッタ開口を閉じて露光終了し、更にリセット動作により開放羽根を広げてシャッタ開口を二重に閉じてセット完了状態に戻るようになっている。
【0004】
従来の具体的な構成を図2及び図3に示すと、基板1に開口10が設けられている。基板1上の軸1aには、セットレバー30が揺動自在に嵌合しており、セットレバー30の突部30aは、後述の第1閉鎖レバー25をセット完了状態にセットするためのものであり、突部30bは、後述の開放レバー23をセット完了状態にセットするためのである。基板1に立設した軸1bには、第1閉鎖レバー25と第2閉鎖レバー26の中心パイプ26cが回転自在に嵌合している。第1閉鎖レバー25はピッチ巻きされた駆動ばね20(図3図示)により時計回り(以下、「右旋」という。)方向に付勢されている。そして、第2閉鎖レバー26は、引張りばね41によりアーム40aを介して反時計回り(以下、「左旋」という。)方向に付勢されている。
【0005】
また第1閉鎖レバー25に、半円柱状のピン25bを突設しており、ピン25bに第2閉鎖レバー26の側面が当接することにより、第2閉鎖レバー26を第1閉鎖レバー25に追従可能にしている。同様に基板1上の軸1c(図2図示)には開放レバー23の中心軸部23aが揺動自在に嵌合しており、不図示の開放ばねにより右旋方向に付勢されている。第2閉鎖レバー26と開放レバー23のそれぞれの先端に設けられた駆動ピン26b、23bは、基板1に設けられた円弧状の透孔1d、1eを貫通して基板1の下方に突出し、駆動ピン26bは、閉鎖羽根ユニットのアーム40a,40bのうちの主アーム40aに連結してあり、駆動ピン23bは不図示の開放羽根ユニットの主アームに連結してある。主アーム40aは、引張りばね41により左旋方向に付勢されている。また開放羽根ユニットの主アームは、不図示の駆動ばねにより右旋方向に付勢されている。
【0006】
図2はセット完了状態を示しており、駆動ピン26bは透孔1dの下端部に位置して閉鎖羽根を広げることにより開口10を閉じており、また駆動ピン23bは透孔1eの上端部に位置して開放羽根を広げることにより開口10を閉じている。この状態で、第1閉鎖レバー25に設けた軟磁性板25cは、基板1に固定されている閉鎖電磁石11に吸着され、第2閉鎖レバー26は不図示のロックレバーに係止されることにより、引張りばね41の付勢力に抗して、駆動ピン26bが透孔1dの下端部に位置するように保持されている。また、開放レバー23に設けた軟磁性板23cは、基板1に固定されている開放電磁石12に吸着されている。このように、閉鎖羽根及び開放羽根を広げることにより開口10を二重に閉じる前記セット完了状態に位置保持されている。
【0007】
また、第1閉鎖レバー25と第2閉鎖レバー26とは、それぞれ異なった揺動運動をするので、相互間に摩擦力が影響し合うことは好ましくない。そこで、図3に示されているように、軸1bと中心孔部25a及び中心軸部26aとの間に中間パイプ26cを設け、中心孔部25aと中心軸部26aとの間に座金26dを介在させ、相互間に摩擦力が影響し合うことのないように構成している。第1閉鎖レバー25の中心孔部25aの回りの上面に座金25dを配置し、軸1bの上端部に設けたラチェット車24との間に駆動ばね20を圧縮状態に介装し、第1閉鎖レバー25を右旋方向に付勢している。第1閉鎖レバー25の下面には、セットレバー30の駆動を受ける位置にローラ25eが設けてある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構成では、第1閉鎖レバー25の中心孔部25aは、軸方向に板厚分しか中間パイプ26cに嵌合しておらず、また、第2閉鎖レバー26の中心軸部26aでは、軸方向の長さが短く、いずれも中間パイプ26cとの間には若干のクリアランスがあるので、第1閉鎖レバー25及び第2閉鎖レバー26の先端はいずれも基板1の板厚方向に変位する。特に、第2閉鎖レバー26のようにその先端が軸心から遠い程、基板1の板厚方向の変位量が大きくなり、このために駆動ピン26bにより被駆動部材である閉鎖羽根ユニットを正しく駆動するのに好ましくない影響を与えるという問題がある。即ち、撮影時の1コマ毎の駆動におけるバラツキや撮影時のカメラの姿勢の違いによる露光時間の誤差等が発生する。また、摩擦力が両レバーの相互間に影響し合うことを極力避けるために、中間パイプ26c及び座金26dを介在させているので、部品点数が増加し、組み立ても煩雑になるという問題点があった。
【0009】
そこで本発明は、余分な部品を必要としないで組み立てを煩雑にすることなく、しかも第2閉鎖レバーの駆動部が基板の板厚方向に変位しない構成とし、被駆動部材である閉鎖羽根ユニットが正しい動作で駆動されるようにしたフォーカルプレーンシャッタを提供する。
【00010】
【課題を解決するための手段】
本発明のフォーカルプレーンシャッタは、基板に設けられている開口を開閉する閉鎖羽根を駆動する閉鎖レバーと、開口を開閉する開放羽根を駆動する開放レバーとを備えている。閉鎖レバーは第1閉鎖レバーと第2閉鎖レバーとからなり、第2閉鎖レバーは第1閉鎖レバーとともに同軸に揺動自在に支持され、かつ第1閉鎖レバーに追従可能であり、第2閉鎖レバーの先端部に閉鎖羽根を駆動する駆動部が設けてあり、第2閉鎖レバーは、揺動中心部である中心孔部を中心にして上方に延伸する、第2閉鎖レバーのパイプ部を軸に嵌合することにより回転自在に軸支され、第1閉鎖レバーは、揺動中心部である中心孔部を中心にして上方に延伸する、第1閉鎖レバーのパイプ部を第2閉鎖レバーのパイプ部に嵌合することにより回転自在に軸支され、両パイプ部により、第2閉鎖レバーの揺動時に駆動部の基板の板厚方向への変位が規制されることを特徴としている。この構成により、第2閉鎖レバーの駆動部が基板の板厚方向に変位することが規制され、被駆動部材である閉鎖羽根ユニットを正しい動作で駆動することができ、1コマ毎の駆動におけるバラツキや姿勢差が生じ難い。
【0011】
また、軸には段部が形成され、第1閉鎖レバーのパイプ部の先端には、段部に当接して第1閉鎖レバーの軸方向への移動を規制するつば部が形成されていることを特徴としている。この構成により、第1閉鎖レバーを駆動するピッチ巻きされた駆動ばねのスラスト方向の付勢力のために、第1閉鎖レバーが第2閉鎖レバーを押さえつけて互いの動きを阻害するのを防ぐように作用する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。図1は本発明のフォーカルプレーンシャッタにおける閉鎖レバーの構成を拡大して示している。図2で説明したシャッタ駆動部の閉鎖レバー以外の構成、及びこの駆動部により駆動される不図示の閉鎖羽根や開放羽根等の構成は、本発明においても実質的に同一であるので、同一符号を使用し、説明を省略している。
【0013】
図1に示すように、本発明の第1閉鎖レバー21及び第2閉鎖レバー22は、同心的に回転自在に軸1bに支持されている。即ち、第2閉鎖レバー22の揺動中心部である中心孔部22aは軸1bに嵌合し、中心孔部22aを中心にして上方にパイプ部22cが延伸して軸1bに嵌合している。第1閉鎖レバー21の揺動中心部である中心孔部21aはパイプ部22cに嵌合し、中心孔部21aを中心にして上方にパイプ部21cが延伸してパイプ部22cに嵌合している。
【0014】
軸1bは段付きの軸であって、軸1bの上端部に段部1dが形成してある。パイプ部21cの先端部には、この段部1dに当接しかつパイプ部22cの先端面に対向するようにつば部21dが形成してある。パイプ部22cの先端面とつば部21dとの間には若干のクリアランスが設けてある。このために第1閉鎖レバー21は軸方向(特に第2閉鎖レバー22の方向)への移動が段部1dにより規制され、パイプ部22cの先端部にピッチ巻きされた駆動ばね20からの押圧力を及ぼすことがない。この構成によって、駆動ばね20からのスラスト方向の力が作用しても、その力が第2閉鎖レバー22に作用することがなく、第1閉鎖レバー21が第2閉鎖レバー22を押さえつけて互いの動きを阻害することが防止できる。また、引張りばね41の付勢力により第2閉鎖レバー22が左旋方向に回転する際に第2閉鎖レバー22にねじりモーメント発生しても、パイプ部22cが軸1bと長く嵌合しているので、第2閉鎖レバー22は板厚方向の変位量が少なく円滑に回転できる。
【0015】
第1閉鎖レバー21に半円柱状の位置決めピン21bを突設し、この位置決めピン21bに第2閉鎖レバー22の側面が当接することにより、第2閉鎖レバー22を第1閉鎖レバー21に追従させる構成は、図2の場合と同様である。また、第2閉鎖レバー22の先端に駆動ピン22bが設けられ、基板1に設けられた円弧状の透孔1dを貫通して基板1の下方に突出し、閉鎖羽根ユニットのアーム40a,40bのうちの主アーム40aに連結して閉鎖羽根を駆動する構成は、図2の場合と同様である。また、第1閉鎖レバー21の上面に軟磁性板21eが設けてあり、この軟磁性板21eが基板1に固定されている閉鎖電磁石11に吸着され、第2閉鎖レバー22は不図示のロックレバーに係止されることにより、引張りばね41の付勢力に抗して、駆動ピン22bが透孔1dの下端に位置するように保持される構成は、図2の場合と同様である。また、第1閉鎖レバー21の上面と軸1bの上端部に設けたラチェット車24との間に、パイプ部21cに嵌合する閉鎖ばね20を圧縮状態に介装し、第1閉鎖レバー21を右旋方向に付勢する構成は、図3の場合と同様である。また、ローラ21fは、図3のローラ25eと実質的に同一である。
【0016】
本発明はこのような構成であるので、二重遮光の状態のセット完了状態からレリーズスイッチが押され、ロックレバーによる第2閉鎖レバー22の係止が外れると、第2閉鎖レバー22は引張りばね41のばね力により左旋して位置決めピン21bの中心面に当接して停止する。この間、第2閉鎖レバー22は軸方向に長いパイプ部22cを中心に回転するので、駆動ピン22bが基板1の板厚方向へ変位を大幅に小さくすることができる。また段部1dにより第1閉鎖レバー21からの押圧力が第2閉鎖レバー22へ作用することがない。このために第2閉鎖レバー22は、円滑に正しい姿勢で左旋することができる。露光時間が終了して閉鎖羽根により開口10を閉じる際には、第1閉鎖レバー21の軟磁性板21eを吸着している閉鎖電磁石11の通電が停止される。このために軟磁性板21eに対する吸着力が消失し、第1閉鎖レバー21は閉鎖ばね20の付勢力により右旋し、第2閉鎖レバー22も第1閉鎖レバー21に追従して右旋する。そこで駆動ピン22bが透孔1dの下端部に移動するので、閉鎖羽根は開口10を閉じた状態になって1コマ分の撮影が終わる。この間も、軸方向に長いパイプ部21c,22cを中心に回転するので駆動ピン22bの基板1の板厚方向への変位が従来よりも大幅に少ない。したがって閉鎖羽根を正しく駆動することができ、バラツキや露光時間の誤差等を生じることがない。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、第1閉鎖レバー及び第2閉鎖レバーが揺動中心部に設けたパイプ部を中心に揺動するようにしているので、第2閉鎖レバーの駆動部が基板の板厚方向に変位することが少なく、被駆動部材である閉鎖羽根ユニットを正しい動作で駆動することができ、1コマ毎の駆動におけるバラツキや露光時間の誤差等を生じることがない。また、軸に段部を設けて第1閉鎖レバーの軸方向の移動を規制するようにしているので、第1閉鎖レバーを駆動する駆動ばねのスラスト方向の付勢力のために、第1閉鎖レバーが第2閉鎖レバーを押さえつけて互いの動きを阻害するのを防ぐことができる。また、部品点数が増加せず、組み立ての煩雑さを生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフォーカルプレーンシャッタの要部である閉鎖レバーの構成を示す拡大断面図である。
【図2】従来のシャッタ駆動機構のセット完了状態を示す正面図である。
【図3】従来の閉鎖レバーの構成を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 基板
1b 軸
1d 段部
10 開口
21 第1閉鎖レバー
21c パイプ部
21d つば部
22 第2閉鎖レバー
22b 第2閉鎖レバーの駆動部
22c パイプ部

Claims (2)

  1. 基板に設けられている開口を開閉する閉鎖羽根を駆動する閉鎖レバーと、前記開口を開閉する開放羽根を駆動する開放レバーとを備え、
    前記閉鎖レバーは第1閉鎖レバーと第2閉鎖レバーとからなり、
    前記第2閉鎖レバーは前記第1閉鎖レバーとともに同軸に揺動自在に支持され、かつ前記第1閉鎖レバーに追従可能であり、
    前記第2閉鎖レバーの先端部に前記閉鎖羽根を駆動する駆動部が設けてあり、
    前記第2閉鎖レバーは、揺動中心部である中心孔部を中心にして上方に延伸する、第2閉鎖レバーのパイプ部を前記軸に嵌合することにより回転自在に軸支され、
    前記第1閉鎖レバーは、揺動中心部である中心孔部を中心にして上方に延伸する、第1閉鎖レバーのパイプ部を前記第2閉鎖レバーのパイプ部に嵌合することにより回転自在に軸支され、
    前記両パイプ部により、前記第2閉鎖レバーの揺動時に前記駆動部の前記基板の板厚方向への変位が規制されることを特徴とするフォーカルプレーンシャッタ。
  2. 請求項1において、前記軸には段部が形成され、前記第1閉鎖レバーのパイプ部の先端には、前記段部に当接して前記第1閉鎖レバーの前記軸方向への移動を規制するつば部が形成されていることを特徴とするフォーカルプレーンシャッタ。
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