JP4388689B2 - 新規なセルロースエーテル及びその製造法 - Google Patents
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Description
本発明は新規なセルロースエーテル及び均一系反応条件下におけるN−メチルモルホリン−N−オキシド一水和物(NMMNO)に溶解されたセルロースとアルキル化剤との反応によるその製造法に関する。この方法により製造される生成物は特定の置換パターン及び新規な性質を特徴とする。
【0002】
セルロースエーテルの工業的生産は今日もっぱら不均一系反応条件下で行われ、その場合セルロースを最初に濃アルカリ液を用いて活性化し、次いで高められた温度でハロゲン化アルキル又はエポキシアルキル化合物と反応させる。活性化は一方でセルロースの部分的に結晶性の構造をゆるめてヒドロキシル基の接近性(accessibility)を向上させ、他方でハロゲン化アルキル上のハロゲンの求核置換又はエポキシドの場合には環開裂及びそれに続く付加が可能になる程度までセルロースのヒドロキシル基を分極させるために必要である。置換基分布の均一性を向上させ、従って生成物の性質を向上させるために、反応は多くの場合に例えば2−プロパノールなどの不活性有機溶媒の存在下で行われる。
【0003】
プロセスを通じて不均一的に反応を行うことの欠点は:
1)触媒量のみを必要とする反応においてさえ、セルロースを膨潤させ、活性化するために高いアルカリ濃度が必要であり、
2)液の中和の間の分子量の低下及び高い塩負荷(salt load)が結果として不可避であり、
3)低い置換度を有し、完全に可溶性でそれでも高−粘度のセルロースエーテルを製造することが不可能であり、
4)セルロースの形態学的構造が大部分保持されるので、ポリマー鎖に沿ってそしてその間に満足し得る均一なエーテル化を達成することが不可能であり、可溶性の比較的高度に置換された生成物においてさえ、ジ−及びトリ−置換無水グルコース単位の他に非置換モノマー単位が常に存在し、
5)低もしくは高分子量性のイオン性もしくは非イオン性物質に関するセルロースエーテルの溶解性、熱安定性又は適合性が多くの場合に不満足で、適用分野を制限しており、
6)無水グルコース単位のある位置における遊離のOH基の位置選択的均一誘導化が不可能である
ことである。
【0004】
不均一系合成の故のそのような欠点を克服するために、均一相におけるセルロースのエーテル化のための種々の水性及び非−水性セルロース溶媒系がこの数十年で用いられてきた。より均一な置換基分布の達成は別として、目的は同時に長鎖及び広範囲の置換基を有する可溶性セルロースエーテルに近づく方法を提供することであった。必要な反応条件下で十分に安定であり、用いられるべき試薬に対して不活性でもある提案された溶媒系は、主に第4級のアンモニウム塩基(US−PS 2087549)、二酸化硫黄/ジメチルアミン/ジメチルスルホキシドの混合物(A.Isogai,A.Ishizu,J.Nakano:J.Appl.Polymer.Sci.31(1986)p.341−352)、ジメチルスルホキシド/パラホルムアルデヒドの混合物(US−PS−4024335)、N,N−ジメチルアセトアミド/塩化リチウムの混合物(US−PS 4278790)及びN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMNO)(Methoden der Organischen Chemie(Houben−Weyl),vol.E20−Makromolekulare Stoffe,eds.H.Bartel and J.Falbe,Georg Thieme Verl.,Stuttgart−New York,1987,p.2086−2093及びB.Philipp,B.Lukanoff,H.Schleicher,W.Wagenknecht:Z.Chem.26(1986)2,p.50−58をレビューのこと)であった。
【0005】
これらのセルロース溶媒系は、誘導化の広い可能性にもかかわらず工業的規模でこれまで確立されることはできず、それはいくつかの場合には特に高分子量の出発セルロース及び比較的高いセルロース濃度を考慮した限られた溶解力、成分回収の困難性あるいはコストの理由の故であった。
【0006】
工業的使用のための最も有望なセルロース溶媒はNMMNOであることが近年証明されたが、商業的興味はほとんどセルロースを繊維及びフィルムに成形することにおいてのみ示された(US−PS 3447956、US−PS 4196282、EP 452610、WO 95/11261)。
【0007】
希釈剤としての有機溶媒、好ましくはDMSOの存在下に、環状アミン酸化物、特にNMMNOの溶融溶液中でビニル化合物アクリロニトリル及びメチルビニルケトンを用いてシアノエチルセルロース又はセルロースオキシエチルメチルケトンとするセルロースの均一系エーテル化反応はJohnson(US−PS 3447939)により初めて記載され、操作は非常に低いセルロース濃度、極度に高い試薬使用量及びN−オキシドの分解を促進する高い反応温度を用いて不利な方法で行われた。シアノエチル化の場合、エーテル化触媒としてベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの使用が挙げられている。ここに言及されているすべての反応において、強度に着色されたセルロース誘導体溶液が最初に得られた。試薬収率は極度に低く、得られるセルロース誘導体は多少の程度まで分解し、その理由でこのプロセス原理及びそれを用いて得られる生成物は工業的使用に不適切と思われる。
【0008】
例えば没食子酸プロピル(EP−B 0 047 929)、フェニルプロピオネート、チオエーテル又は二置換フェニレンジアミン(DE−OS 42 446 099)、ホスフェート又はホスホネート(WO 83/044415)、塩基性物質(DD 158656,DD 218104)、特にアミン(US−PS 4290815)などの種々の安定剤を加えることにより、NMMNO中に溶解している間のセルロースの分解及びNMMNO自身の分解を大部分防げ得ることが後に見いだされた。
【0009】
NMMNO系において塩基として水酸化ナトリウム溶液を用い、セルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸Naと反応させることにより低度の置換を有する高−膨潤性カルボキシメチルセルロースを製造することは、DD−PS 207 380に特許請求されている。ここには、水酸化ナトリウム溶液を加える時に凝析する強い傾向を系が有することならびに不均一に置換された生成物が得られることは言及されていない。水酸化ナトリウム溶液のこの凝析効果は他のほとんどの上記の非−水性セルロース溶媒の場合にも観察され、これはこれらの周知のいわゆる均一系エーテル化プロセスの決定的な欠点である。塩化リチウム/ジメチルアセトアミド系における触媒としての粉末化苛性ソーダ(US−PS 4 278 790)、Naアルコレート及びNaH(A.Isogai,A.Ishizu,J.Nakano:J.Appl.Polymer Sci.29(1984)p.2097−2109)の使用は所望の成功をもたらさず、部分的に置換された誘導体への反応の間に不均一性に導いた。モデル物質としてのマンナンのヒドロキシアルキル化の間のNMMNOの触媒効果はSeneker and Glass(Polymeric materials science and engineering 52(1985)p.39−43)により分析され、C−6 OH基上における優先的置換がセルロースに関して仮定された。
【0010】
セルロースのエーテル化のための周知の方法の上記の欠点から出発し、本発明の目的は均一系反応条件下でそして溶媒もしくは反応媒体としてNMMNOを用いて、この系においてセルロースエーテルを経済的に製造することを可能にし、同時に新規な性質を有する生成物を与えるセルロースエーテルの製造のための方法を開発することであった。特に特殊な置換パターン、例えばセルロースの無水グルコース環の種々のOH基の非常に(largely)均一な位置選択的置換を有する生成物が得られる予定であった。
【0011】
本発明に従い、セルロースを最初に適した安定剤を添加してNMMNO中に溶解すること及びエーテル化反応を固相触媒の存在下で行うことを提案する。セルロース溶液の調製は好ましくは既知の方法で(US−PS 4145532、US−PS 4196282、EP 452610、WO 95/11261)、85〜115℃の温度でNMMNOの溶融物中にセルロースを溶解することにより行われる。セルロース材料を通常室温でNMMNOの水溶液中に撹拌しながら入れ、約85〜115℃に加熱しながら同時に減圧下で水を蒸留する。セルロース濃度は用いられるセルロースの重合度に依存して有利には2〜20%、好ましくは3〜15%である。
【0012】
有利には安定剤をセルロース懸濁液に加え、それはセルロース及びNMMNOの両方の分解を抑制もしくは防止することを目的としている。適した安定剤の例は没食子酸プロピルであり、安定剤の量は好ましくはセルロースの量に基づいて1質量%である。NMMNOに大体対応する含水率が得られたらすぐに(13.3%)、セルロースは溶解する。次いで溶解セルロースを直接あるいは好ましくは適した双極性非プロトン性有機溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)もしくはN−メチルピロリドン(NMP)又はプロトン性媒体、例えばn−もしくはイソ−プロパノール、n−もしくはイソ−ブタノールを例とするアルコールで希釈した後にエーテル化することができる。
【0013】
本発明の方法に適していることが証明されたエーテル化剤は主に、エポキシもしくはビニル基を含有するエーテル化剤、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、エポキシプロパノール又はアクリロニトリルであり;ビニルエチルケトン又はビニルスルホン酸も用いることができる。しかしながらハロゲン化アルキル、例えばモノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸塩、メチルクロリド、エチルクロリド又はベンジルクロリドを用いるエーテル化反応に該方法を適用することもできる。本発明の方法のための重大な因子は固相触媒を用いる反応の開始又は触媒作用である。該触媒はエーテル化剤の添加の前及び/又はその間及び/又はその後にセルロース溶液と接触させられ、反応の後に濾過又は他の既知の分離法により再び分離される。NMMNO中におけるセルロースの溶解状態はこの型の触媒作用により損なわれず、反応は反応時間を通じて均一ポリマー相において起こる。該系において適していることが証明された固相触媒は不溶性塩基性物質、主に例えばポリスチレンに基づく強度に塩基性のイオン交換樹脂であり、それは好ましくは0.2〜3mmの粒度を有する球形態で用いられ、第4級アンモニウム基を保有している。しかしながら提案する方法はこの群の固相触媒に制限されない。反応の前にイオン交換体を既知の方法で水酸化ナトリウム溶液を用いる処理により活性化する。必要な触媒の量はエーテル化剤のモル当たり0.01〜1モル、好ましくは0.05〜0.5モルである。しかしながら反応の型に依存して、エーテル化剤に基づいて等モル量で触媒を用いることが必要であり得ることも証明される。反応条件はエーテル化剤及び所望の置換度に注文通りに適合される。反応温度は室温から120℃の範囲であることができる。30〜100℃における反応が有利であることが証明され、必要な反応時間は5分〜約24時間の範囲である。
【0014】
反応の後、固相触媒の分離ならびに適した沈殿剤、例えば次いで副生成物の洗い出しに有利に用いることもできるエタノール、プロパノール、アセトン又はそれらの混合物を用いるセルロースエーテルの沈殿によりセルロースエーテルを単離し、精製する。
【0015】
該方法の特別な実施態様の場合、固相触媒を、例えば1つの濾板もしくは数個の濾板上の板状反応器中に固定的方法で配置し、エーテル化剤が加えられたセルロース溶液を高められた温度で1回又は繰り返し触媒層を介してポンプで汲み上げる。
【0016】
エーテル化剤をセルロース溶液に連続的に加えることもできる。
【0017】
接触時間は、エーテル化剤及び所望の置換度に依存して30〜80℃の反応温度で5分〜24時間、好ましくは10分〜6時間である。固相触媒から分離されたポリマー溶液からの得られるセルロースエーテルの単離及び精製は沈殿段階の後にバッチ法に類似の方法で行われる。
【0018】
触媒目的のための不溶性イオン交換体の使用は低分子量化合物の有機化学の分野からそして高分子量化合物の接触開裂に関しても周知であるが、極度に高粘度の溶液中における塩基性イオン交換体を用いるセルロースの均一系エーテル化反応を触媒することは決して明らかではなかった。
【0019】
本発明の方法の利点は主に:
1)場合により適した有機希釈剤と組み合わせて反応媒体としてNMMNOを用い、高濃度における高分子量型のセルロースでさえ凝析効果を有する塩基を加えずに均一にエーテル化することができ、
2)商業的エーテル化法と比較して、得られる望ましくない塩が全くないわけではないとしても(if at all)比較的少量であり、
3)適した安定剤を用いることによりそして例えばNaOH又は第4級アンモニウム塩基などの通常の塩基の添加を避けるかもしくは有意に減少させることにより、エーテル化反応の間、系中に溶解している間のセルロースの鎖長分解及びNMMNOの分解を減少させることができ、
4)低DS値においてさえ完全に可溶性の高粘度誘導体を得ることができ、
5)商業的セルロースエーテルと比較して、イオン適合性又は水溶液の熱安定性の点で新規な生成物を製造することができ、
6)一方でポリマー鎖に沿って及びその間で広いDS範囲における置換基の均一な分布そして他方で無水グルコース単位のある位置における官能基の位置選択的導入が起こる
ことにある。
【0020】
適した固相触媒の存在下における本発明に従うNMMNO中のセルロースの均一系反応を下記の実施例においてさらに詳細に説明する。
【0021】
例として用いるセルロース出発材料は、極限粘度数LVNcuen=1215を有するUltraether F型の木材セルロースであったが、例えば綿、コットンリンター又は種々の重合度を有するセルロースなどのセルロースも用いることができる。
【0022】
【実施例】
実施例1
ヒドロキシプロピルセルロースの製造
96gのN−メチルモルホリン−N−オキシド一水和物(NMMNO)−略字NMMNOは常にM−メチルモルホリン−N−オキシドの一水和物を示す−中の4.6gのセルロース(LVNcuen=1215)のセルロース溶融溶液(安定剤として0.046gの没食子酸プロピル)を撹拌しながら85℃における20mlのイソプロパノールを用いて希釈し、75℃に加熱する。30gのNMMNO/8mlのイソプロパノール中に7.5gの乾燥物質を含有するあらかじめ調製されたビーズ−形アニオン交換体(第4級アンモニウム基を有するポリスチレンに基づく)の懸濁液を次いで加え、15分間撹拌する。次いで20mlのプロピレンオキシドを滴下ロートを用い、強力に撹拌しながら75℃で45分以内にセルロース溶液に滴下し、撹拌を1時間続ける。固相触媒の分離の後、ポリマー溶液を3倍体積の75:25アセトン/エタノール混合物中に注ぐことによりヒドロキシプロピルセルロースを沈殿させ、エタノールで洗浄し、乾燥する。
【0023】
三フッ化酢酸を用いる熟成(digestion)及び高分解能13C−NMR分析の後、完全に水溶性のヒドロキシプロピルセルロースはMS=0.93;DS=0.63(MS/DS比=1.47)を有し、C2=0.07、C3=0.49及びC6=0.07の置換基分布を有した。20℃においてD=2.55s-1の剪断勾配を用いる2%水溶液の溶液粘度(Haake回転粘度計)はη=14000mPa.sであった。
【0024】
実施例2
96gのNMMNO中の4.6gのセルロースの溶液を撹拌しながら100℃における30mlのDMSOで希釈し、85℃に加熱する。次いで30mlのDMSO中に6gの乾燥物質を含有するあらかじめ調製されたビーズ−形アニオン交換体(第4級アンモニウム基を有するポリスチレンに基づく)の懸濁液を加え、15分間撹拌する。次いで10mlのプロピレンオキシドを蒸気相において無色のセルロース溶液中に1時間以内に計り込み、強力な撹拌を3時間続ける。固相触媒を琥珀色のヒドロキシプロピルセルロース溶液から濾過により分離し、該溶液を3倍体積の75:25アセトン/エタノール混合物中に注ぐことにより誘導体を沈殿させ、エタノールで洗浄し、乾燥する。
【0025】
三フッ化酢酸を用いる熟成及び高分解能13C−NMR分析の後、完全に水溶性のヒドロキシプロピルセルロースはMS=0.49;DS=0.35(MS/DS比=1.4)を有し、C2=0.05、C3=0.20及びC6=0.05の置換基分布ならびにD=2.55s-1の剪断勾配を用いて20℃でη=6300mPa.sという2%水溶液における溶液粘度を有した。
【0026】
実施例3
実施例2における通りに操作を行うが、反応を75℃で行い、20mlのプロピレンオキシドを滴下ロートを用いて1.5時間以内に加える。
【0027】
完全に水溶性のヒドロキシプロピルセルロースはMS=1.43;DS=1.01(MS/DS比=1.4)を有し、C2=0.01、C3=0.92及びC6=0.09の置換基分布ならびにD=2.55s-1の剪断勾配を用いて20℃でη=2150mPa.sという2%水溶液における溶液粘度を有した。
【0028】
このヒドロキシプロピルセルロースの水溶液は商業的製品と異なり、100℃に加熱した時に凝析しない。
【0029】
実施例4
75℃の反応温度で実施例3における通りに、しかしDMSOの代わりに希釈剤としてN−メチルピロリドンを用い、20mlのプロピレンオキシドを滴下ロートを用いて1.5時間以内に加えて操作を行う。
【0030】
完全に水溶性のヒドロキシプロピルセルロースはMS=0.48;DS=0.33(MS/DS比=1.45)を有し、C6置換のないC2=0.03、C3=0.30の置換基分布ならびにD=2.55s-1の剪断勾配を用いて20℃でη=11300mPa.sという2%水溶液における溶液粘度を有した。
【0031】
実施例5
ヒドロキシエチルセルロースの製造
96gのNMMNO中の4.6gのセルロースのセルロース溶融溶液を撹拌しながら100℃における30mlのDMSOで希釈し、65℃に加熱する。次いで30mlのDMSO中の懸濁液として7.5gの乾燥物質を含有するビーズ−形アニオン交換体を加え、15分間撹拌する。次いで12.5gのエチレンオキシドを加圧ポンプからセルロース溶液に65℃で30分以内に加える。わずか10分の反応時間の後に水溶性となるヒドロキシエチルセルロースを1時間の撹拌の後、ポリマー溶液から固相触媒をフリット上の遠心により分離し、該溶液を3倍体積の75:25アセトン/エタノール混合物中に注ぐことにより誘導体を沈殿させ、エタノールで洗浄し、乾燥することにより単離した。
【0032】
完全に水溶性のヒドロキシエチルセルロースはDS=0.95を有し、C2=0.20、C3=0.75ならびにD=2.55s-1の剪断勾配を用いて20℃でη=2500mPa.sという2%水溶液における溶液粘度を有した。
【0033】
実施例6
65℃の反応温度において実施例5における通りに、しかしDMSOの代わりに希釈剤としてN−メチルピロリドンを用いて操作を行う。
【0034】
完全に水溶性のヒドロキシエチルセルロースはDS=0.7を有し、C2=0.10、C3=0.57ならびにD=2.55s-1の剪断勾配を用いて20℃でη=3200mPa.sという2%水溶液における溶液粘度を有した。
【0035】
実施例7
シアノエチルセルロースの製造
96gのNMMNO中の4.6gのセルロースの溶液を撹拌しながら100℃における30mlのN−メチルピロリドンで希釈し、65℃に加熱する。次いで30mlのNMP中に7.5gの乾燥物質を含有するあらかじめ調製されたビーズ−形アニオン交換体の懸濁液を加え、15分間撹拌する。シアノエチル化のために15mlのアクリロニトリルを3分以内に加える。65℃において15分間の反応時間の後、ポリマー溶液から固相触媒を濾過により分離し、該溶液を3倍体積の75:25アセトン/エタノール混合物中に注ぐことにより誘導体を沈殿させ、エタノールで洗浄し、乾燥する。
【0036】
完全に水溶性のシアノエチルセルロースは0.6というシアノエチル基のDSを有し、C2=0.2、C3=0.32という置換基分布ならびにD=2.55s-1の剪断勾配を用いて20℃でη=5750mPa.sという2%水溶液における溶液粘度を有した。
【0037】
実施例8
カルボキシメチルセルロースの製造
125gのNMMNO溶融物中の6gのセルロースのセルロース溶液(安定剤として0.06gの没食子酸プロピル)を105℃において40mlのDMSOで希釈した。カルボキシメチル化のために試薬としてモノクロロ酢酸(MCA)及び助触媒としてトリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド(Triton B)を用いた。65℃に加熱した後、10mlのDMSO中に溶解された1.7gのMCAを強力に撹拌しながら3分以内に加え、次いで20mlのDMSO中の6.15gのTriton B(15.4mlの40%Triton B水溶液を20mlのDMSO中に溶解し、4mlの水を蒸留除去)を30分以内に滴下し、溶液を65℃で1時間撹拌した。次いで20mlのDMSO中の溶液としての3.5gのMCAを10分以内に加え、40mlのDMSO中に溶解された12.3gのTriton B(31mlの40%Triton B水溶液を40mlのDMSO中に溶解し、8mlの水を蒸留除去)を10分以内に加え、次いで30mlのDMSO中に7.5gの乾燥物質を含有するあらかじめ調製されたビーズ−形アニオン交換体の懸濁液を強力に撹拌しながら加えた。2時間の撹拌及び固相触媒の分離の後、3倍体積のエタノール中における沈殿、エタノールを用いる3回の洗浄、Na−CMCへの定量的転換のための0.5%のNaOH及び10%の水を含有するエタノールを用いる処理、中和メタノールを用い、濾液がClを含有しなくなるまでの洗浄によりカルボキシメチルセルロースを単離し、続いて乾燥した。三フッ化酢酸を用いる熟成及び高分解能13C−NMR分析の後、完全に水溶性のNa−CMCはDS=0.39を有し、C2=0.12、C3=0.26及びC6=0.01という置換基分布を有し、D=2.55s-1の剪断勾配を用いて20℃でη=41500mPa.sという2%水溶液における溶液粘度を有した。
【0038】
実施例9
カルボキシメチルヒドロキシプロピルセルロースの製造
1600gのNMMNO溶融物中の50gのセルロースのセルロース溶液(安定剤として0.5gの没食子酸プロピル)を105℃において500mlのDMSOで希釈した。65℃に加熱した後、53gのDMSO中に溶解された14.6gのMCAを撹拌しながら20分以内に加え、次いで130gのDMSO中の51.7gのTriton Bを1時間内に滴下し、溶液を65℃で1時間撹拌した。次いで100gのDMSO中の溶液としての29.2gのMCAを15分以内に加え、470gのDMSO中に溶解された129gのTriton Bを45分以内に加え、2時間撹拌した。(バッチから採取したCMC試料はDSCMC=0.45をC6置換のないC2=0.10、C3=0.35という置換基分布と共に有した。)ヒドロキシプロピル化の目的のために、40gのDMSO中に10gの乾燥物質を含有するあらかじめ調製されたビーズ−形アニオン交換体の懸濁液及び続いて70mlのプロピレンオキシドを反応混合物に強力に撹拌しながら1.5時間以内に加えた。2時間の撹拌及び固相触媒の分離の後、3倍体積のエタノール中における沈殿、エタノールを用いる3回の洗浄、カルボキシメチル基のNa塩形態への定量的転換のための0.5%NaOH及び10%の水を含有するエタノールを用いる処理、中和メタノールを用い、濾液がClを含まなくなるまでの洗浄によりカルボキシメチルヒドロキシプロピルエーテルをセルロースから単離し、続いて乾燥した。三フッ化酢酸を用いる熟成及び高分解能13C−NMR分析の後、完全に水溶性のカルボキシメチルヒドロキシプロピルセルロースはMSPO=0.82、DSPO=0.58を有し、約0.1というC6置換の割合を有し、D=2.55s-1の剪断勾配を用いて20℃でη=15500mPa.sという2%水溶液における溶液粘度を有する。
Claims (3)
- セルロースの無水グルコース単位のC3位における部分的DSが、合計DSに基づいて≧60%であるような置換パターンを有することを特徴とするセルロースエーテル。
- 合計DSに基づくC6位における部分的DSが、≦15%であることを特徴とする請求項1記載のセルロースエーテル。
- 第4級アンモニウム基を有する不溶性固相触媒、安定剤及び場合により可溶性第4級アンモニウム塩基の存在下で反応を行うことを特徴とするN−メチルモルホリン−N−オキシド−水和物(NMMNO)及び場合により他の不活性有機溶媒中に溶解されたセルロースのエーテル化剤との反応による請求項1又は2に記載のセルロースエーテルの製造法。
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