JP2010163485A - カルボキシ多糖類の溶液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体を、ジメチルスルホキシドと、pKaが4以下の酸化合物との混合溶媒に溶解したカルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体の溶液、ならびにカルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体をジメチルスルホキシド中に分散させ、そこにカルボキシル基1.0モル当量に対して酸化合物のプロトンを0.1〜10.0モル当量となるよう加えることにより、カルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体の溶液を得る方法。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、カルボキシメチルセルロースなどの酸性多糖類の4級アンモニウム塩がジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒に溶解することが記載されており、この酸性多糖類の4級アンモニウム塩は、エステル結合の生成など、カルボキシル基の化学修飾に有用であることが記載されている。
しかしながら、本発明のような実質的に水を含まない有機溶媒にカルボキシメチルセルロースを溶解させる方法や、溶解した溶液については開示も示唆もない。
本発明の溶液は、4級アンモニウム塩やイオン交換樹脂などを用いることなく簡単に調製できる。また、原料のカルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体中に含まれるミクロゲルを取り除くにも好都合であるため、高純度が要求される医療材料や日用品などに好ましく利用できる。
ここで、Xは炭素数1〜10の2価のアルキレン基を表す。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基などが挙げられるが、好ましくはメチレン基である。置換位置については上記C−2位、C−3位、C−6位いずれでもよいが、好ましくはC−6位である。
カルボキシアルキルセルロースの金属塩は、カルボキシル基のすべてが塩を形成していてもよく、一部が−COOHの状態で存在していてもよい。
上記カルボキシアルキルセルロースのカルボキシル基や水酸基は、さらに他の官能基で置換されていてもよい。この場合の該官能基の置換度は、0.4以下が好ましい。
また、本発明で用いる「カルボキシ多糖類の金属塩」における金属は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であるが、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。好ましくはナトリウムである。
このジメチルスルホキシドに酸化合物を添加することにより、カルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体の溶解が可能となる。本発明における酸化合物はプロトン酸であり、そのpKaは4以下である。これよりも大きい値の酸ではカルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体の溶解性が低い。ここでpKaとは、25℃での酸解離指数であり、水溶液中での酸化合物の解離定数の逆数の対数値に等しい。酸化合物のpKa値については、化学便覧などで参照できる。pKaは好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC−Na)として、日本製紙ケミカル製のセロゲンF−30MC(カルボキシメチル化度、0.69)を用いた。その他の試薬は和光純薬製のものを用いた。
100mlのサンプル瓶に、室温でCMC−Naを0.2g、ジメチルスルホキシド20mlを入れ、数分間攪拌した。CMC−Naが分散したら、室温で表1に記載の酸化合物を、CMC−Naのカルボキシル基1.0モル当量に対して、それぞれ1.0モル当量加え、そのまま室温で一晩攪拌した。得られた結果を表1に示す。
酸化合物を加えなかった以外は、実施例1と同様に、CMC−Naをジメチルスルホキシド中にて攪拌した。一夜攪拌したが、CMC−Naは溶解しなかった。
酸化合物として、酢酸(pKa=4.56)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。一夜攪拌したが、CMC−Naは溶解しなかった。
CMC−Naに代えてヒアルロン酸ナトリウム(紀文フードケミファ製、FCH−80)を0.2g用い、トリフルオロ酢酸を、ヒアルロン酸ナトリウムのカルボキシル基1.0モル当量に対して10.0モル当量加えた以外は、実施例1と同様に行った。室温にて一夜攪拌すると、ヒアルロン酸ナトリウムは溶解し、無色透明の溶液が得られた。
CMC−Naに代えてカルボキシメチルデキストランナトリウム(Fluka製、置換度1.1)を0.2g用い、トリフルオロ酢酸を、カルボキシメチルデキストランナトリウムのカルボキシル基1.0モル当量に対してそれぞれ0.5、1.0、2.0モル当量加えた以外は、実施例1と同様に行った。室温にて一夜攪拌すると、添加した酸の量が異なる3つの水準すべてにおいてカルボキシメチルデキストランは溶解し、無色透明の溶液が得られた。
実施例1の方法と同様に、100mlのガラス製のサンプル瓶に、室温でCMC−Naを0.2g、ジメチルスルホキシド20mlを入れ、数分間攪拌した。CMC−Naが分散したら、室温でトリフルオロ酢酸を、CMC−Naのカルボキシル基1.0モル当量に対して1.0モル当量加え、そのまま室温で一晩攪拌し、カルボキシメチルセルロースの溶液を得た。溶液を傾けると、ガラスのサンプル瓶の内部に不溶性のミクロゲルの存在を目視で確認した。
得られた溶液を孔径1.5μmのメンブレンフィルター(National Scientific社製のTarget Syringe Filters(Nylon Membrane)、直径30mmΦ)にてろ過したところ、10ml透過した時点でフィルターが目詰まりをおこした。フィルターを交換してろ過を続け、ろ液をガラス製のサンプル瓶に回収した。ろ液を傾けてもミクロゲルの存在は確認できなかった。
実施例4の方法と同様に、100mlのガラス製のサンプル瓶に、室温でCMC−Naを0.2g、脱イオン水20mlを入れ、そのまま室温で一晩攪拌し、カルボキシメチルセルロースの水溶液を得た。溶液を傾けるとガラスのサンプル瓶の内部に、不溶性のミクロゲルの存在を目視で確認した。
得られた溶液を孔径1.5μmのメンブレンフィルター(National Scientific社製のTarget Syringe Filters (Nylon Membrane))にてろ過したところ、5ml透過した時点でフィルターが目詰まりをおこした。フィルターを交換してろ過を続け、ろ液をガラス製のサンプル瓶に回収した。ろ液を傾けてもミクロゲルの存在は確認できなかった。
Claims (6)
- カルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体を、ジメチルスルホキシドと、pKaが4以下の酸化合物との混合溶媒に溶解したことを特徴とする、カルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体の溶液。
- カルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体のカルボキシル基1.0モル当量に対して、酸化合物のプロトンが0.1〜10.0モル当量である請求項1に記載の溶液。
- カルボキシ多糖類が、カルボキシアルキル多糖類またはヒアルロン酸である請求項2に記載の溶液。
- カルボキシ多糖類が、カルボキシメチルセルロースである請求項2に記載の溶液。
- カルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体をジメチルスルホキシド中に分散させ、そこにカルボキシル基1.0モル当量に対して酸化合物のプロトンを0.1〜10.0モル当量となるよう加えることにより、カルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体の溶液を得る方法。
- 請求項5の方法で得られる溶液をフィルター濾過することにより、該溶液中に含まれるミクロゲルを取り除くことを特徴とする、カルボキシ多糖類、その金属塩、またはそれらの誘導体の精製方法。
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